JP3231160U - ケーキ菓子 - Google Patents

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有香子 桔梗
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Abstract

【課題】意匠上、特徴のある立体的形状の装飾を、クリームで土台に加飾する場合でも、保形性を維持したまま、精巧に装飾を造形することができるケーキ菓子を提供する。【解決手段】クリームがスポンジケーキの表面上に施されたケーキ菓子において、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材10と、粉ゼラチン11Aと、グラニュー糖12Aまたは加糖練乳12Bである添加材12とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第1クリーム混合物1であり、スポンジケーキの表面を覆うナッペが、第1クリーム混合物1により形成され、第1クリーム混合物1は、動物性クリーム材10が100質量部に対し、粉ゼラチン11Aの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であり、かつ第1クリーム混合物1の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内である。【選択図】図1

Description

本考案は、土台となる生地の表面に、クリームを施したケーキ菓子に関する。
周知の通り、デコレーションケーキは、特に若い女性や子供をはじめ、老若男女を問わず、幅広い層の人から広く好まれ、誕生日会やクリスマス会、仲間との集いの場等、日常生活の様々な場で提供される。デコレーションケーキには、その土台上に加飾した装飾が、生クリームで成形されたものもある。この種の装飾は、生クリームのダレに起因して、型崩れし易い。そこで、このようなダレを抑えたクリーム材として、超泡性水中型油型乳化物が、特許文献1に開示されている。
特許文献1は、(A)乳脂肪分と、(B)バターミルクパウダーと、(C)寒天及びゼラチンからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分と、を含有する起泡性水中油型乳化物である。特許文献1によると、起泡性水中油型乳化物は、良好な起泡性(ホイップ性)と共に、静置保管時に、乳脂肪分が上方に集まって分離するクリーム栓現象を抑制する物性を有しているため、この起泡性水中油型乳化物をホイップして得られるホイップドクリームでは、しまりが低減されている。その結果、ホイップ時の作業性は良好であり、起泡性水中油型乳化物では、離水やダレが抑制できるとされている。
特開2020−137428号公報
例えば、結婚祝い、祝賀、来賓のもてなしの場等、その状況に合わせた態様で、装飾が加飾されたデコレーションケーキを提供したい場合があり、その装飾を、生クリームやホイップクリームを絞って、幾何学的な立体的形状で精巧に造形したいというニーズがある。
しかしながら、特許文献1では、起泡性水中油型乳化物は、良好な起泡性とされているものの、バターミルクパウダーの含有により、装飾を絞るのに不向きな高い粘度になってしまう虞がある。また、起泡性水中油型乳化物を含むホイップドクリームでは、ホイップ時に泡立てた空気が、内部に包含したままの状態になり易い。そのため、このような状態にあるホイップドクリームで装飾を造形しても、クリーム密度の低下に起因して、表面に大きな凹凸や気泡等が生じてしまうこともあり、連続したきれいな面で、装飾を仕上げることは極めて困難である。
しかも、特許文献1の起泡性水中油型乳化物を含むホイップドクリームは、きめ細やか状態で、滑らかに連続的に流動する性状で、かつ十分な保形性を有した性状になっていない。それ故に、このホイップドクリームを絞って、例えば、花や動物等のほか、意匠上、特徴のある幾何学的な面で構成された立体的形状の装飾を、保形性を有した状態で精巧に造形しようとしても、特許文献1のホイップドクリームでは、このような装飾を造形することは、極めて困難である。
本考案は、上記問題点を解決するためになされたものであり、意匠上、特徴のある立体的形状の装飾を、クリームで土台に加飾する場合でも、保形性を維持したまま、精巧に装飾を造形することができるケーキ菓子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本考案に係るケーキ菓子は、以下の構成を有する。
(1)クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、第1の前記クリームとして、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材と、ゼラチンと、砂糖または練乳のいずれかである添加材とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第1のクリーム混合物であり、前記土台の表面を覆う表層部が、前記第1のクリーム混合物により形成され、前記表層部をなす前記第1のクリーム混合物では、前記動物性クリーム材100質量部に対し、前記ゼラチンの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であること、かつ前記第1のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するケーキ菓子において、前記表層部上には、装飾が、前記第1のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に造形され、前記装飾をなす前記第1のクリーム混合物では、前記動物性クリーム材100質量部に対し、前記ゼラチンの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。
(3)クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、第2の前記クリームとして、少なくとも植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合したコーンスターチ入り粉砂糖とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第2のクリーム混合物であり、前記土台の表面を覆う表層部が、前記第2のクリーム混合物により形成され、前記表層部をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記コーンスターチ入り粉砂糖の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であること、かつ、前記第2のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。
(4)(3)に記載するケーキ菓子において、前記第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、前記表層部をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記脱脂粉乳の配合量が、5〜25質量部の範囲内であること、を特徴とする。
(5)(3)または(4)に記載するケーキ菓子において、前記第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、前記表層部上には、装飾が、前記第2のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に形成され、前記装飾をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記脱脂粉乳の配合量が、20〜30質量部の範囲内であること、を特徴とする。
なお、本考案に係るケーキ菓子で、「保形性を有した状態」とは、例えば、実施形態で例示した略鎖状の造形(図11に示す装飾47B)や、薄くて複雑な形状をなす花びら(図12に示す装飾47C)等のように、第1のクリーム混合物や第2のクリーム混合物で造形した対象が、たとえ薄く複雑な幾何学形状に成形した装飾物や、細い口金を使用して絞り出された細いライン状をなす装飾物であっても、これらの装飾物では、常温でも溶け難く、かつ経時的に倒壊や崩れがなく、造形時の形状がそのまま保たれている状態を指す。加えて、装飾が、表層部からぶら下がった状態で造形された場合や、表層部の面上から、例えば、30数ミリ程の高さに立設して造形された場合等でも、型崩れすることなく原形を保っている状態を、本考案では、「保形性を有した状態」と定義する。
上記構成を有する本考案に係るケーキ菓子の作用・効果について説明する。
(1)クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、第1のクリームとして、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材と、ゼラチンと、砂糖または練乳のいずれかである添加材とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第1のクリーム混合物であり、土台の表面を覆う表層部が、第1のクリーム混合物により形成され、表層部をなす第1のクリーム混合物では、動物性クリーム材100質量部に対し、ゼラチンの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であること、かつ第1のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、面に極端な凹凸を有さない表層部が、第1のクリーム混合物により形成された、本考案に係るケーキ菓子では、表層部は、保形性を有し、かつクリーム密度の高い状態で、まるで綿・絹の生地のように、連続したきれいな面形状に仕上げられている。
従って、本考案に係るケーキ菓子によれば、絞ったクリームで、保形性を維持したまま精巧に装飾を造形することができている、という優れた効果を奏する。
(2)に記載するケーキ菓子において、表層部上には、装飾が、第1のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に造形され、装飾をなす第1のクリーム混合物では、動物性クリーム材100質量部に対し、ゼラチンの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、本考案に係るケーキ菓子を作るにあたり、いわゆる生クリーム等を含む第1のクリーム混合物により、装飾を、精巧に造形することができる。
(3)クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、第2のクリームとして、少なくとも植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合したコーンスターチ入り粉砂糖とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第2のクリーム混合物であり、土台の表面を覆う表層部が、第2のクリーム混合物により形成され、表層部をなす第2のクリーム混合物では、植物性クリーム材100質量部に対し、コーンスターチ入り粉砂糖の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であること、かつ、第2のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、面に極端な凹凸を有さない表層部が、第2のクリーム混合物により形成された、本考案に係るケーキ菓子では、表層部は、保形性を有し、かつクリーム密度の高い状態で、まるで綿・絹の生地のように、連続したきれいな面形状に仕上げられている。
(4)に記載するケーキ菓子において、第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、表層部をなす第2のクリーム混合物では、植物性クリーム材100質量部に対し、脱脂粉乳の配合量が、5〜25質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、第2のクリーム混合物は、保形性を有するほか、脱脂粉乳の配合により、流動性を良好に維持しつつ、弾力と共に一定の強度を帯びた性状となり、たとえ傾斜した面で表層部を形成しても、面は崩れず、造形された面形状は維持できている。
(5)に記載するケーキ菓子において、第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、表層部上には、装飾が、第2のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に形成され、装飾をなす第2のクリーム混合物では、植物性クリーム材100質量部に対し、脱脂粉乳の配合量が、20〜30質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、本考案に係るケーキ菓子では、型崩れを抑えた装飾が、いわゆる生クリーム等を含む第2のクリーム混合物により、精巧に造形できている。
実施形態の実施例1,2に係る装飾付きスポンジケーキで用いた第1クリーム混合物の組成を模式的に示す説明図である。 図1に続き、第1クリーム混合物を生成するまでの過程を示すフローチャート図である。 実施形態の実施例3に係る装飾付きスポンジケーキで用いた第2クリーム混合物の組成を模式的に示す説明図である。 図3に続き、第2クリーム混合物を生成するまでの過程を示すフローチャート図である。 クリーム状に生成されたクリーム混合物の表面状態を示す説明図である。 クリーム混合物を充填した様子を示す説明図であり、(a)は絞り袋に充填した場合を、(b)はコルネに充填した場合を、それぞれ示す図である。 土台となるスポンジケーキの表面にナッペを施す様子を示す説明図である。 絞り袋からクリーム混合物を絞り出して、土台に装飾を造形している様子を示す説明図である。 絞り袋からクリーム混合物を絞り出して、フラワーネイル上に装飾を造形した様子を示す説明図である。 実施例1に係る装飾付きケーキとして、土台の表面に凹凸を付して造形した装飾の一例を示す図である。 実施例2に係る装飾付きケーキとして、土台の傾斜面及び外周側面に加飾した装飾の一例を示す図である。 実施例3に係る装飾付きケーキとして、土台の上面及び外周側面に加飾した幾何学的形状の装飾の一例を示す図である。
以下、本考案に係るケーキ菓子、及びその製造方法について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本考案に係るケーキ菓子は、本実施形態では、土台となるスポンジケーキの表面に覆われたナッペ(表層部)や、そのナッペ上に加飾する装飾を、クリームで精巧に造形した装飾付きのスポンジケーキ(以下、「装飾付きケーキ」と称する。)である場合について、説明する。
なお、本考案に係るケーキ菓子の対象は、本実施形態のように、土台として、スポンジケーキの表面を覆うナッペ(表層部)に装飾を造形した装飾付きケーキ以外でも良く、本考案に係るケーキ菓子の製造方法により、装飾を表層部に加飾したケーキ菓子であれば、土台は、スポンジケーキに限定されることなく、何でも良い。
装飾付きケーキは、柔らかな食感と、甘くてほろっと蕩けるような口当たりを呈することから、菓子として美味しく食べることができ、日常生活を通じて、若い女性や子供をはじめ、老若男女を問わず、幅広い層の人から広く好まれている。装飾付きケーキは、例えば、誕生日会やクリスマス会、仲間との集い、結婚祝い、祝賀、来賓や集まった人へのもてなしの場等、日常生活の様々な場で提供される。また、装飾付きケーキは、例えば、カフェ等の飲食店で提供される場合のほか、商品を展示したショールームの来客者向けに飲み物と一緒に提供される場合等、産業界の様々な場で提供される。飲食時には、装飾付きケーキは、造形された装飾により、それを見る人に、安らぎと癒しを与えながら、豊かな気持ちにさせて、より楽しい一時を演出する材料にもなる。特に、装飾が精巧に造形されていると、この装飾付きケーキの付加価値は、より高くなる。
次に、本実施形態の装飾付きケーキについて、一例である実施例1〜3を挙げて簡単に説明する。
<実施例1>
図7は、土台となるスポンジケーキの表面に表層部を施す様子を示す説明図である。図10は、実施例1に係る装飾付きケーキとして、土台の表面に凹凸を付して造形した装飾の一例を示す図である。図10に示すように、実施例1に係る装飾付きケーキ40A(40)では、本体部41A(41)は、ナッペ43A(43)を被覆してなる。ナッペ43(表層部)は、図7に示すように、土台となるスポンジケーキ42のうち、底面を除く表面42a全体に、後述するクリーム混合物(図1及び図2中、第1クリーム混合物1、第2クリーム混合物2)をヘラ72で塗布してなり、本体部41の表層部となっている。
例示した装飾付きケーキ40Aでは、装飾部46A(46)が、ナッペ43Aの面上に加飾されている。装飾部46Aは、ナッペ43Aにおける上側の面と外周側の面に、凹凸による段差を付した装飾47Aを形成してなり、装飾47Aは、ランダムな配置で、不特定な形状に造形されている。一つひとつの装飾47Aは、一例としたイエロー、ピンク、ペパーミント―グリーン等、やや黄味を帯びたホワイトのナッペ43A自体と異なる色で、それぞれ着色した第1クリーム混合物1により、保形性を有した状態で造形されている。
<実施例2>
図11は、実施例2に係る装飾付きケーキとして、土台の傾斜面及び外周側面に加飾した装飾の一例を示す図である。図11に示すように、実施例2に係る装飾付きケーキ40B(40)では、本体部41B(41)は、ナッペ43B(43)で被覆されている。ナッペ43Bは、円筒状の外周部と、円錐状の上部を複合した形状で形成されている。例示した装飾付きケーキ40Bでは、装飾部46B(46)は、ナッペ43Bの面上に加飾されている。
装飾部46Bは、ナッペ43Bにおいて、上側の傾斜面に、略鎖状に造形した装飾47B等を、外周側の面に、仔馬を立体的に造形した装飾47Bや、立体的な帯を造形した装飾47B等を、それぞれ密着させて加飾されている。一つひとつの装飾47Bは、一例としたイエロー、ピンク、ペパーミント―グリーン等、ホワイトを基調としたナッペ43B自体と異なる色で、それぞれ着色した第1クリーム混合物1により、保形性を有した状態で造形されている。
<実施例3>
図12は、実施例3に係る装飾付きケーキとして、土台の上面及び外周側面に加飾した幾何学的形状の装飾の一例を示す図である。図12に示すように、実施例3に係る装飾付きケーキ40C(40)では、本体部41C(41)は、ナッペ43C(43)で被覆されている。装飾部46C(46)は、ナッペ43Cの面上に加飾されている。
装飾部46Cは、ナッペ43Cの面上において、その上側の面から外周側の面にかけて、まるで屋根に積もった雪が崩れ落ちるかのように、下方に向けてしたたる形態で造形された装飾47C、花や文字を立体的に造形した装飾47C等を、加飾してなる。一つひとつの装飾47Cは、一例としたホワイト、ブルー、ピンク、淡いグリーン等、パープルを基調としたナッペ43C自体と異なる色で、それぞれ着色した第2クリーム混合物2により、保形性を有した状態で造形されている。
次に、本実施形態の装飾付きケーキで用いたクリームついて、説明する。図1は、実施形態の実施例1,2に係る装飾付きスポンジケーキで用いた第1クリーム混合物の組成を模式的に示す説明図である。図3は、実施形態の実施例3に係る装飾付きスポンジケーキで用いた第2クリーム混合物の組成を模式的に示す説明図である。
装飾付きケーキ40に用いる加飾用のクリームは、図1及び図3に示すように、第1クリーム混合物1(第1のクリーム混合物)と、第2クリーム混合物2(第2のクリーム混合物)の2種に大別され、造形する装飾部46の形態や、装飾付きケーキ40を食べる人の嗜好等に応じて、区別して使用される。
はじめに、第1クリーム混合物1について、例示した実施例1,2に係る装飾付きケーキ40A,40Bの場合を挙げて、説明した後、第2クリーム混合物2について、例示した実施例3に係る装飾付きケーキ40Cの場合を挙げて、説明する。なお、本考案に係るケーキ菓子に用いる加飾用のクリームは、第1のクリーム混合物または第2のクリーム混合物の少なくとも一方を適宜選択して、使用されるものである。
第1クリーム混合物1は、本実施形態では、乳脂肪分を35質量部以上含む生乳(動物性油脂)からなる食用の動物性クリーム材10と、粉ゼラチン11Aを水11Bに溶かしたゼラチン溶液11と、添加材12とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる。動物性クリーム材10は、いわゆる生クリームである。第1クリーム混合物1の粘度は、50〜300(Pa・s)の範囲内である。粉ゼラチン11Aは、動物性クリーム材10自体の構成成分の分離を抑えると共に、混合する動物性クリーム材や添加材12との分離も抑制することができる。また、粉ゼラチン11Aの配合により、第1クリーム混合物1は、動物性クリーム材10単体に比べ、弾力性を有した性状となり、引張りや曲げ、捻じれ等、第1クリーム混合物1の耐強度を向上させることができる。添加材12は、グラニュー糖12A(砂糖)または、練乳の一種である加糖練乳(コンデンスミルク)12Bのいずれか一方である。なお、グラニュー糖12Aや加糖練乳12Bは、第1クリーム混合物1に甘みとコクを付加するために添加される。
装飾付きケーキ40A,40Bの本体部41A,41Bのように、ナッペ43A,43Bが、その上面と外周面を、ほとんど凹凸のない面で形成されているような場合、ナッペ43A,43Bをなす第1クリーム混合物1では、動物性クリーム材10の割合を100質量部とすると、粉ゼラチン11Aの配合量は、0.5〜1.5質量部の範囲内であり、好ましくは、1質量部である。また、ゼラチン溶液11に占める水11Bの配合割合は、10質量部である。第1クリーム混合物1の粘度は、一例として、100〜150(Pa・s)である。
一方、ナッペ43A,43B上に、保形性を有した状態で造形した装飾部46A,46Bの装飾47A,47Bをなす第1クリーム混合物1では、粉ゼラチン11Aの配合量は、1.5〜2.5質量部の範囲内であり、好ましくは、2質量部である。また、ゼラチン溶液11に占める水11Bの配合割合は、10質量部である。また、装飾47を絞り出すのに適す第1クリーム混合物1の粘度は、ナッペ43を成形する場合に比べ、少し高めとなり、一例として、100〜150(Pa・s)程度である。
次に、第1クリーム混合物1の生成方法について、図2及び図5を用いて説明する。図2は、第1クリーム混合物を生成するまでの過程を示すフローチャート図である。図5は、クリーム状に生成されたクリーム混合物の表面状態を示す説明図である。
図2に示すように、最初に、ゼラチン溶液11の生成にあたり、ゼラチン溶液11に占める水11Bの配合割合が10質量部になるよう、粉ゼラチン11Aと水11Bとを、それぞれ必要とする所定量分だけ計量した後、粉ゼラチン11Aを容器内の水11Bに浸して加熱し、粉ゼラチン11Aが水11Bに溶けたゼラチン溶液11を生成する(S1)。次に、動物性クリーム材10と添加材12(グラニュー糖12Aまたは加糖練乳12Bのいずれか一方)に対し、それぞれ必要な配合量を計量した上で、動物性クリーム材10と添加材12を一つのボウルに入れ、動物性クリーム材10と添加材12とを、氷水に浸漬した状態にあるこのボウル内で混合し、ミキサーで撹拌する(S2)。
しばらくの間、動物性クリーム材10と添加材12との撹拌を続けることで、とろみを帯びたクリーム状の一次混合物が生成される(S3)。このような一次混合物が生成された段階で、ゼラチン溶液11を一次混合物に加える。このとき、ボウル内の一次混合物は、氷水により、低い温度に保たれた状態にある。そのため、添加したゼラチン溶液11が、可及的に凝固するのを防ぐため、ゼラチン溶液11が、液相状態を維持している間に、ゼラチン溶液11と一次混合物とを混合させ、ミキサーで泡立てながら撹拌する(S4)。
次に、ゼラチン溶液11と一次混合物を混ぜ合わせた二次混合物を撹拌し続けると、二次混合物の粘度が、一例として、100〜150(Pa・s)になったところで、図5に示すように、尖端をなす角状の突起5が、二次混合物の表面にピンと立った状態で形成される。このような状態になったクリーム状の二次混合物は、大きなエアポケットを全く内包せず、視認できない程に細やかな気泡を含み、均一な高密度の状態で混合され、滑らかな粘性を確保できていると共に、保形性を有した性状に調製されている。すなわち、このクリーム状の二次混合物は、装飾付きスポンジケーキ40のナッペ43や、装飾部46を造形するのに適す性状の第1クリーム混合物1となっている。かくして、第1クリーム混合物1は生成される(S5)。
生成された第1クリーム混合物1を、所望の色に着色する場合には、第1クリーム混合物1に食用色素を加えて撹拌し、第1クリーム混合物1を、食用色素によって呈する色に着色する。
次に、第2クリーム混合物2について、説明する。第2クリーム混合物2は、本実施形態では、植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材20と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合した粉糖21(コーンスターチ入り粉砂糖)と、脱脂粉乳(スキムミルク)23とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる。第2クリーム混合物2の粘度は、50〜300(Pa・s)の範囲内である。
植物性クリーム材20は、いわゆるホイップクリームであり、植物性油脂単体からなるクリームや、植物性油脂以外にも、動物性油脂や乳化剤、安定剤等の添加物を含有するクリームである。粉糖21は、グラニュー糖100質量部に対し、コーンスターチを3質量部ほど配合したコーンスターチ入り粉砂糖であり、第2クリーム混合物2に甘みを付加する。また、粉糖21は、植物性クリーム材20自体の構成成分の分離を抑えると共に、混合する植物性クリーム材20や脱脂粉乳23との分離も抑制することができる。
脱脂粉乳23は、生乳や牛乳に含む乳脂肪分と水分を除去した粉末状である。脱脂粉乳23が植物性クリーム材20に添加されると、第2クリーム混合物2にコクが生じる。加えて、脱脂粉乳23の配合により、第2クリーム混合物2は、植物性クリーム材20単体に比べ、弾力性を有した性状となり、引張りや曲げ、捻じれ等、第2クリーム混合物2の耐強度を向上させることができる。
装飾付きケーキ40Cの本体部41Cで、ナッペ43Cをなす第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20の割合を100質量部とすると、粉糖21の配合量は、1.0〜1.5質量部の範囲内であり、好ましくは、1.0質量部である。また、脱脂粉乳23の配合量は、5〜25質量部の範囲内であり、好ましくは、10〜15質量部前後である。
一方、ナッペ43C上に、保形性を有した状態で造形した装飾47C(装飾部46C)をなす第2クリーム混合物2では、粉糖21の配合量は、1.0〜1.5質量部の範囲内であり、好ましくは、1.0質量部である。また、脱脂粉乳23の配合量は、20〜30質量部の範囲内であり、好ましくは、22質量部前後である。
次に、第2クリーム混合物2の生成方法について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、第2クリーム混合物を生成するまでの過程を示すフローチャート図である。
図4に示すように、最初に、植物性クリーム材20と粉糖21に対し、それぞれ必要な配合量を計量した上で、植物性クリーム材20と粉糖21を一つのボウルに入れ、植物性クリーム材20と粉糖21とを、氷水に浸漬した状態にあるこのボウル内で混合し、ミキサーで撹拌する(S21)。
しばらくの間、植物性クリーム材20と粉糖21との撹拌を続けることで、とろみを帯びたクリーム状の一次混合物が生成される(S22)。このような一次混合物が生成された段階で、脱脂粉乳23を一次混合物に加える。このとき、ボウル内では、脱脂粉乳23は、細かく分散された粉末の状態である。次に、この粉末状の脱脂粉乳23と一次混合物とを混合し、ミキサーで泡立てながら撹拌する(S23)。
次に、脱脂粉乳23と一次混合物を混ぜ合わせた二次混合物を撹拌し続けると、二次混合物の粘度が、例えば、100〜150(Pa・s)になったところで、図5に示すように、尖端をなす角状の突起5が、二次混合物の表面にピンと立った状態で形成される。このような状態になったクリーム状の二次混合物は、大きなエアポケットを全く内包せず、視認できない程に細やかな気泡を含み、均一な高密度の状態で混合され、滑らかな粘性を確保できていると共に、保形性を有した性状に調製されている。すなわち、このクリーム状の二次混合物は、装飾付きスポンジケーキ40のナッペ43や、装飾部46を造形するのに適す性状の第2クリーム混合物2となっている。かくして、第2クリーム混合物2は生成される(S24)。
生成された第2クリーム混合物2を、所望の色に着色する場合には、第2クリーム混合物2に食用色素を加えて撹拌し、第2クリーム混合物2を、食用色素によって呈する色に着色する。
次に、実施形態に係るケーキ菓子の製造方法について、説明する。図6は、クリーム混合物を充填した様子を示す説明図であり、(a)は絞り袋に充填した場合を、(b)はコルネに充填した場合を、それぞれ示す図である。
装飾付きケーキ40A,40Bのように、第1クリーム混合物1を用いた装飾付きスポンジケーキ40を作る場合には、実施形態に係るケーキ菓子の製造方法は、第1クリーム混合物1を、本体部41のスポンジケーキ42の表面42aに覆うナッペ43を形成する第1塗布工程と、第1クリーム混合物1により、保形性を有した状態にある幾何学的立体形状の装飾47(装飾部46)を、ナッペ43上に加飾する第1加飾工程を有する。
動物性クリーム材10の量を100質量部とすると、第1塗布工程で、ナッペ43の形成に用いる第1クリーム混合物1では、粉ゼラチン11Aの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内である。また、第1加飾工程で、装飾47(装飾部46)の造形に用いる第1クリーム混合物1では、粉ゼラチン11Aの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内である。そして、図6に示すように、第1クリーム混合物1を充填した絞り袋60やコルネ65により、絞り出した第1クリーム混合物1で装飾47を造形する場合、装飾47の成形時における第1クリーム混合物1の粘度は、概ね100〜150(Pa・s)である。
他方、装飾付きケーキ40Cのように、第2クリーム混合物2を用いた装飾付きスポンジケーキ40を作る場合、実施形態に係るケーキ菓子の製造方法は、第2クリーム混合物2を、本体部41のスポンジケーキ42の表面42aに覆うナッペ43を形成する第2塗布工程と、第2クリーム混合物2により、保形性を有した状態にある幾何学的立体形状の装飾47(装飾部46)を、ナッペ43上に加飾する第2加飾工程を有する。
第2クリーム混合物2の量を100質量部とすると、第1塗布工程で、ナッペ43の形成に用いる第2クリーム混合物2では、粉糖21の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であり、脱脂粉乳23の配合量は、5〜25質量部の範囲内である。また、第2加飾工程で、装飾47(装飾部46)の造形に用いる第2クリーム混合物2では、脱脂粉乳23の配合量は、20〜30質量部の範囲内である。そして、図6に示すように、第2クリーム混合物2を充填した絞り袋60やコルネ65により、絞り出した第2クリーム混合物2で装飾47を造形する場合、装飾47の成形時における第2クリーム混合物2の粘度は、一例として、100〜150(Pa・s)である。
次に、本実施形態の装飾付きケーキ40の装飾47を造形する要領について、簡単に説明する。なお、前述したように、装飾47の造形には、第1クリーム混合物1を用いる場合と、第2クリーム混合物2を用いる場合があるが、装飾47の造形要領は、双方のクリーム混合物とも、実質的に同じである。そのため、特に第1クリーム混合物1と第2クリーム混合物2とを区別する必要がある場合を除き、説明の便宜上、第1クリーム混合物1と第2クリーム混合物2を、まとめて第1クリーム混合物1等と総称して、説明する。
図8は、絞り袋からクリーム混合物を絞り出して、土台に装飾を造形している様子を示す説明図である。図9は、絞り袋からクリーム混合物を絞り出して、フラワーネイル上に装飾を造形した様子を示す説明図である。
図6に示すように、第1クリーム混合物1等は、洋菓子作りに用いる口金61付きの絞り袋60や、コルネ65に充填される。装飾付きスポンジケーキ40A,40Bで、さくらんぼを支える装飾や、略鎖状に造形した装飾47B、仔馬を立体的に造形した装飾47B等のように、比較的大きな装飾47を造形する場合には、図8に示すように、絞り袋60の口金61から絞り出された第1クリーム混合物1等を、ナッペ43上に絞り出しながら、所望の形状に装飾47を成形する。
一方、例えば、装飾付きスポンジケーキ40Cで、小さな花びらや、細やかな葉等のような細部の装飾47C等を、より小さく精巧に造形する場合等では、装飾47Cは、絞り袋60からフラワーネイル80の皿81上に第1クリーム混合物1等を絞り出して所望の形状に成形されるほか、コルネ65からナッペ43等に第1クリーム混合物1等を絞り出して所望の形状に成形される。
なお、第2クリーム混合物2は、粉糖21以外に、脱脂粉乳23が第2クリーム混合物2に含まれていると、第2クリーム混合物2は、コルネ65から吐出する流動性を良好に維持しつつ、弾力と共に一定の強度を帯びた性状となる。そのため、装飾47が、装飾47Bのように、幾重にも花弁を拡げる花や、象徴的な文字であっても、絞った第2クリーム混合物2により、装飾47をリアルに造形することが容易にできる。
すなわち、第1クリーム混合物1等の生成過程では、撹拌(図2中、S4や図4中、S13)で、泡立ちが促進されるが、大きな泡、細かな泡を問わず、泡の破裂を伴った撹拌を行うと、泡として、第1クリーム混合物1等に包含していた空気は、可及的に外部に放たれる。これにより、第1クリーム混合物1等は、視認できない程で、きめ細かな泡を包含するものの、比較的密度の高い状態となり、絞り袋60やコルネ65による絞り時にも、装飾47の絞りに適した程良い粘度(100〜150(Pa・s))と流動性になる。
しかも、特に第2クリーム混合物2の場合、脱脂粉乳23の配合により、第2クリーム混合物2が、装飾47の保形性を維持するのに足りる適度な硬さに調整できている。他方、第2クリーム混合物2が、コルネ65の吐出口(図6中、左下の尖端部)から外部に流動して絞り出せるように、過度に硬過ぎる粘度になっていないのにも拘わらず、卓越した弾力性を帯びた性状になっている。その弾力性を定性的に示す一例として、図5中、S24で、ミキサーによる撹拌を経て、ボウル内で生成された第2クリーム混合物2では、ミキサーの回転刃が、第2クリーム混合物2に浸漬した状態の下、この回転刃を、第2クリーム混合物2から引き出そうと、ミキサーを上方に持ち上げても、第2クリーム混合物2により、回転刃と繋がった状態になったボウルも、回転刃と一体化して持ち上がる程の強度である。
従って、第1クリーム混合物1を用いた装飾付きスポンジケーキ40Aの場合には、ナッペ43Aの外周側の面に、凹凸による段差を付した装飾47Aを、保形性を有した状態で造形することができている。また、装飾付きスポンジケーキ40Bの場合には、ナッペ43Bの傾斜面に、略鎖状に造形した装飾47B等や、外周側の面に、仔馬を立体的に造形した装飾47Bや、立体的な帯を造形した装飾47B等を、保形性を有した状態で造形することができている。また、第2クリーム混合物2を用いた装飾付きスポンジケーキ40Cの場合には、ナッペ43Cの面上において、その上側の面から外周側の面にかけて、まるで屋根に積もった雪が崩れ落ちるかのように、下方に向けてしたたる形態で造形された装飾47C、幾重にも花弁を拡げる花や、デザインに富む文字を立体的に造形した装飾47C等を、保形性を有した状態で造形することができている。
次に、本実施形態に係る装飾付きケーキ40、及びその製造方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る装飾付きケーキ40では、クリームがスポンジケーキ42(本体部41)の表面42a上に施されたケーキ菓子において、第1のクリームとして、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材10と、粉ゼラチン11Aと、グラニュー糖12Aまたは加糖練乳12Bのいずれかである添加材12とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第1クリーム混合物1であり、スポンジケーキ42の表面42aを覆うナッペ43が、第1クリーム混合物1により形成され、ナッペ43をなす第1クリーム混合物1では、動物性クリーム材10が100質量部に対し、粉ゼラチン11Aの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であること、かつ第1クリーム混合物1の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、面に極端な凹凸を有さないナッペ43が、第1クリーム混合物1により形成された装飾付きケーキ40では、ナッペ43は、保形性を有した状態で、かつクリーム密度の高い状態で、まるで綿・絹の生地のように、連続したきれいな面形状に仕上げられている。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40A,40B(40)等では、ナッペ43A,43B等のナッペ43上には、装飾47A,47B等の装飾47(装飾部46)が、第1クリーム混合物1により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に造形され、装飾47をなす第1クリーム混合物1では、動物性クリーム材10が100質量部に対し、粉ゼラチン11Aの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、例示した装飾付きケーキ40の通り、生クリームを含む第1クリーム混合物1により、装飾47を、精巧に造形することができる。しかも、一定の硬さを有したアイシングで装飾を造形した洋菓子のように、この装飾47は、第1クリーム混合物1を絞って成形されていても、型崩れを抑えて造形することができている。それ故に、装飾付きケーキ40は、造形された装飾47により、それを見る人に、安らぎと癒しを与えながら、豊かな気持ちにさせて、より楽しい一時を演出する材料になる等、付加価値の高い洋菓子になる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40では、クリームがスポンジケーキ42(本体部41)の表面42a上に施されたケーキ菓子において、第2のクリームとして、少なくとも植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材20と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合した粉糖21とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第2クリーム混合物2であり、スポンジケーキ42の表面42aを覆うナッペ43が、第2クリーム混合物2により形成され、ナッペ43をなす第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、粉糖21の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であること、かつ、第2クリーム混合物2の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、面に極端な凹凸を有さないナッペ43が、第2クリーム混合物2により形成された装飾付きケーキ40では、ナッペ43は、保形性を有し、かつクリーム密度の高い状態で、まるで綿・絹の生地のように、連続したきれいな面形状に仕上げられている。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40では、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23を含有していること、ナッペ43をなす第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、脱脂粉乳23の配合量が、5〜25質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、第2クリーム混合物2は、保形性を有するほか、脱脂粉乳23の配合により、流動性を良好に維持しつつ、弾力と共に一定の強度を帯びた性状となり、たとえ傾斜した面でナッペ43Cを形成しても、面は崩れず、造形された面形状は維持できている。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40では、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23を含有していること、ナッペ43上には、装飾47が、第2クリーム混合物2により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に形成され、装飾47をなす第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、脱脂粉乳23の配合量が、20〜30質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、装飾付きスポンジケーキ40Cに例示したように、幾何学的な形状の装飾47C(47)等を加飾した装飾付きケーキ40であっても、保形性を有した状態の装飾47C(47)が、ホイップクリームを含む第2クリーム混合物2により、精巧に造形できている。しかも、この装飾47は、第2クリーム混合物2を絞って成形されていても、一定の硬さを有したアイシングで装飾を造形した洋菓子のように、型崩れを抑えて造形することができている。それ故に、装飾付きケーキ40は、造形された装飾47により、それを見る人に、安らぎと癒しを与えながら、豊かな気持ちにさせて、より楽しい一時を演出する材料になる等、付加価値の高い洋菓子になる。
従って、本実施形態に係る装飾付きケーキ40によれば、意匠上、特徴のある立体的形状の装飾47を、第1クリーム混合物1、第2クリーム混合物2でナッペ43や本体部41に加飾する場合でも、保形性を維持したまま、精巧に装飾47(装飾部46)を造形することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、クリームがスポンジケーキ42(本体部41)の表面42a上に施されたケーキ菓子の製造方法において、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材10と、粉ゼラチン11Aとを含有し、均一な混合状態になるまで撹拌することにより、粘度50〜300(Pa・s)の範囲内に調整された第1クリーム混合物1を生成すること、第1クリームとして、第1クリーム混合物1を、スポンジケーキ42の表面42aに覆うナッペ43を形成する第1塗布工程を有すること、第1塗布工程で用いる第1クリーム混合物1では、動物性クリーム材10が100質量部に対し、粉ゼラチン11Aの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、装飾付きケーキ40に対し、面に極端な凹凸を有さないナッペ43を、第1クリーム混合物1で形成すると、保形性を有し、かつクリーム密度の高い状態で、ナッペ43を、まるで綿・絹の生地のように、かつ連続したきれいな面形状に容易に仕上げることができるようになる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、第1クリーム混合物1により、保形性を有した状態にある幾何学的立体形状の装飾47(装飾部46)を、ナッペ43に加飾する第1加飾工程を有すること、第1加飾工程で用いる第1クリーム混合物1では、動物性クリーム材10が100質量部に対し、粉ゼラチン11Aの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、例示した装飾付きケーキ40の通り、生クリームを含む第1クリーム混合物1により、装飾47を、精巧に造形することができるようになる。しかも、この装飾47は、第1クリーム混合物1の絞りによる成形であっても、一定の硬さを有したアイシングで装飾を造形した洋菓子のように、型崩れを抑えて造形することが容易にできる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、装飾47の成形時における第1クリーム混合物1の粘度は、100〜150(Pa・s)であること、を特徴とする。この特徴により、装飾47が、その形状に依らず、精巧に、かつ型崩れを抑えた状態で、万遍に造形することができるようになる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、クリームがスポンジケーキ42(本体部41)の表面42a上に施されたケーキ菓子の製造方法において、少なくとも植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材20と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合した粉糖21とを含有し、均一な混合状態になるまで撹拌することにより、粘度50〜300(Pa・s)の範囲内に調整された第2クリーム混合物2を生成すること、第2のクリームとして、第2クリーム混合物2を、スポンジケーキ42の表面42aに覆うナッペ43を形成する第2塗布工程を有すること、第2塗布工程で用いる第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、粉糖21の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、装飾付きケーキ40に対し、面に極端な凹凸を有さないナッペ43を、第2クリーム混合物2に形成すると、保形性を有し、かつクリーム密度の高い状態で、ナッペ43を、まるで綿・絹の生地のように、かつ連続したきれいな面形状に容易に仕上げることができるようになる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23を含有していること、第2塗布工程で用いる第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、脱脂粉乳23の配合量が、5〜25質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23の配合により、流動性を良好に維持しつつ、弾力と共に一定の強度を帯びた性状となる。そのため、装飾47が、例えば、ナッペ43Cの面上において、その上側から外周側にかけて、屋根に積もった雪が崩れ落ちるかのように、下方に向けてしたたる形態であっても、ダレで型崩れすることなく、絞った第2クリーム混合物2で、装飾47を、リアルに造形することができるようになる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23を含有していること、第2クリーム混合物2により、保形性を有した状態にある幾何学的立体形状の装飾47(装飾部46)を、ナッペ43に加飾する第2加飾工程を有すること、第2加飾工程で用いる第2クリーム混合物2では、植物性クリーム材20が100質量部に対し、脱脂粉乳23の配合量が、20〜30質量部の範囲内であること、を特徴とする。この特徴により、第2クリーム混合物2は、脱脂粉乳23の配合により、流動性を良好に維持しつつ、弾力と共に一定の強度を帯びた性状となる。そのため、装飾47が、例えば、幾重にも花弁を拡げる花や、象徴的な文字の装飾47C等のように、たとえ複雑化した幾何学的な立体形状であっても、絞った第2クリーム混合物2により、装飾47を、より繊細に、かつリアルに造形することができるようになる。
また、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法では、装飾47の成形時における第2クリーム混合物2の粘度は、100〜150(Pa・s)であること、を特徴とする。この特徴により、装飾47が、その形状に依らず、精巧に、かつ型崩れを抑えた状態で、万遍に造形することができるようになる。すなわち、例示した装飾付きスポンジケーキ40C等の装飾付きスポンジケーキ40の通り、ホイップクリームを含む第2クリーム混合物2により、装飾47C(装飾47)を、精巧に造形することができる。しかも、一定の硬さを有したアイシングで装飾を造形した洋菓子のように、この装飾47Cは、第2クリーム混合物2の絞りにより、ナッペ43Cの面上において、その上側から外周側にかけて、積もった雪が崩れ落ちるかのように、下方に向けてしたたる形態や、幾重にも花弁を拡げる花、デザインに富む立体的な文字等の形態であっても、型崩れを抑えることができている。
従って、本実施形態に係る装飾付きケーキ40の製造方法によれば、意匠上、特徴のある立体的形状の装飾47を、第1クリーム混合物1、第2クリーム混合物2でナッペ43や本体部41に加飾する場合でも、保形性を維持したまま、精巧に装飾47(装飾部46)を造形することができる、という優れた効果を奏する。
以上において、本考案を実施形態に即して説明したが、本考案は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施形態では、実施例1〜3の装飾付きケーキ菓子40A、40B、40Cを例示して、装飾付きケーキ菓子40を説明したが、第1のクリームや第2のクリームを使って造形する装飾は、実施形態に限定されるものではなく、幾何学的な立体形状のほか、例えば、図柄や模様、文字等でも良く、第1のクリームや第2のクリームを自在に絞り出して造形されるものであれば、何でも良い。
1 第1クリーム混合物(第1のクリーム)
2 第2クリーム混合物(第2のクリーム)
10 動物性クリーム材
11A 粉ゼラチン
12 添加材
12A グラニュー糖(砂糖)
12B 加糖練乳(練乳)
20 植物性クリーム材
21 粉糖(コーンスターチ入り粉砂糖)
23 脱脂粉乳(スキムミルク)
40,40A,40B,40C 装飾付きスポンジケーキ(ケーキ菓子)
41,41A,41B,41C 本体部(土台)
42 スポンジケーキ(土台)
42a 表面
43,43A,43B,43C ナッペ(表層部)
47,47A,47B,47C 装飾(装飾)

Claims (5)

  1. クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、
    第1の前記クリームとして、乳脂肪分を35質量部以上含む動物性油脂からなる食用の動物性クリーム材と、ゼラチンと、砂糖または練乳のいずれかである添加材とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第1のクリーム混合物であり、
    前記土台の表面を覆う表層部が、前記第1のクリーム混合物により形成され、
    前記表層部をなす前記第1のクリーム混合物では、前記動物性クリーム材100質量部に対し、前記ゼラチンの配合量が、0.5〜1.5質量部の範囲内であること、かつ
    前記第1のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、
    を特徴とするケーキ菓子。
  2. 請求項1に記載するケーキ菓子において、
    前記表層部上には、装飾が、前記第1のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に造形され、
    前記装飾をなす前記第1のクリーム混合物では、前記動物性クリーム材100質量部に対し、前記ゼラチンの配合量が、1.5〜2.5質量部の範囲内であること、
    を特徴とするケーキ菓子。
  3. クリームが土台の表面上に施されたケーキ菓子において、
    第2の前記クリームとして、少なくとも植物性油脂を含む食用の植物性クリーム材と、コーンスターチ及び粉砂糖を配合したコーンスターチ入り粉砂糖とを含有し、均一な混合状態に撹拌してなる第2のクリーム混合物であり、
    前記土台の表面を覆う表層部が、前記第2のクリーム混合物により形成され、
    前記表層部をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記コーンスターチ入り粉砂糖の配合量が、1.0〜1.5質量部の範囲内であること、かつ、
    前記第2のクリーム混合物の粘度が、50〜300(Pa・s)の範囲内であること、
    を特徴とするケーキ菓子。
  4. 請求項3に記載するケーキ菓子において、
    前記第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、
    前記表層部をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記脱脂粉乳の配合量が、5〜25質量部の範囲内であること、
    を特徴とするケーキ菓子。
  5. 請求項3または請求項4に記載するケーキ菓子において、
    前記第2のクリーム混合物は、脱脂粉乳を含有していること、
    前記表層部上には、装飾が、前記第2のクリーム混合物により、保形性を有した状態で、幾何学的な立体形状に形成され、
    前記装飾をなす前記第2のクリーム混合物では、前記植物性クリーム材100質量部に対し、前記脱脂粉乳の配合量が、20〜30質量部の範囲内であること、
    を特徴とするケーキ菓子。
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