JP3230374U - 着物 - Google Patents

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Abstract

【課題】着物本体の下縁側に取り付けられる裏地が、裏地付き着物本来の装飾性を損なうことなく、着物本体に対して容易に着脱可能とされる着物を提供する。【解決手段】着物は、着物本体10と、着物本体の下縁側の裏面に、全域に亘って取り付けられる裏地50と、を備える。裏地は、その下縁が着物本体の下縁よりも下方に突出するふき75を形成するように着物本体に対して配置され、取着部材33(スライドファスナー)を利用して着物本体に着脱可能に取り付けられる。【選択図】図1

Description

本考案は少なくとも下縁(裾)側に、着脱可能な裏地を設けた着物に関する。
着物に設けられる裏地は、主に、胴裏と呼ばれる、着物本体の上端側に配置される部分と、八掛あるいは裾回しと呼ばれる、着物本体の下縁(裾)側、詳しくは、着物本体の下縁から上方に60cm程度までの領域に配置される部分と、から構成される。
着物の裏地には、保温性を高める、着用時の滑りを良くする、着物本体の生地を保護して摩耗を防止する、等の役割があるが、着物の下縁側に取り付けられる部分である八掛は、着物本体の下縁(裾)から数mmから1cm程度下方に突出するように取り付けられるもので、この突出した部分(「ふき」と呼ばれる)が着用時に外側から見え、また、着用者の動作に伴って着物の下縁側がめくれた際にも見える部分であることから、装飾的な意味においても大きな役割を果たすものである。
胴裏と異なり、着用時に外側から見えて装飾性を発揮する八掛に対しては、着物の着方の応用性を高めるべく、着物を着る時期、場所、機会に応じて取り替えたいという要請が当然生まれるが、胴裏を含めた着物の裏地は、着物本体に対して縫合されているため、取り換えるためには、細心の注意を払いつつ古い裏地の縫合部位をほどき、新しい八掛を着物本体に対し縫着し直す必要があった。すなわち、裏地の交換作業は、通常は、プロの職人に委託する必要があるものであり、着用者自身では容易にできないものであった。
着物の裏地を容易に交換できる着物は、特許文献1において提案されている。特許文献1に記載された着物は、上衣部と下衣部に分かれた二部式のもので、下衣部の裏面の略全体に亘って、止着部により着脱可能とされた裏地が配置されていた。
しかしながら、この裏地は、着物の保温性を調節可能とすることを目的として着脱可能に設けられたものであって、着物本体の下縁から下方に突出する「ふき」を形成するように設けられたものではないため、従来の裏地付き着物と比べて装飾性において劣るものであった。
実用新案登録第3181920号公報
本考案は、上述した問題を解決するものであり、着物本体の下縁側に取り付けられる裏地が、裏地付き着物本来の装飾性を損なうことなく、着物本体に対して容易に着脱可能とされる着物を提供することを目的とする。
本考案に係る着物は、着物本体と、着物本体を展開した状態における下縁側の裏面に、左右方向の全域に亘って取り付けられる裏地と、を備える着物であって、裏地が、その下縁が着物本体の下縁よりも下方に突出するふきを形成するように着物本体に対して配置されて、取着部材を利用して着物本体に着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
この構成によれば、着物本体に対して特別な技術や手間を要せず簡易に着脱できる裏地が、着物本体の下縁(裾)から見えるふきを形成できるため、従来の裏地付き着物が有する装飾性を犠牲にせず、着物を着る時期、場所、機会に応じて裏地を取り換えることができ、着物の着方の応用性を高めることができる。また、裏地を取り外した状態で着ることもでき、さらに着方の応用性を高めることができる。
上述した着物においては、
着物本体における着用時に上側となる上前側の衿下部と、裏地における上前側の衿下部に対応する衿下対応縁部と、を連結する前記取着部材を、スライドファスナーにより構成し、
このスライドファスナーを、
着物本体側に設けられる第一務歯チェーンと、裏地側に設けられる第二務歯チェーンと、第一務歯チェーンと第二務歯チェーンとの務歯列相互を噛合及び分離させるスライダーと、を備え、第一務歯チェーンと第二務歯チェーンとが完全に分離可能とされる構成とし、
着用時に外側から視認可能に、衿下部から突出するように配置する、
とした構成としてもよい。
この構成によれば、スライドファスナーが外から見えるように設けられるため、スライドファスナーを、裏地を着物本体に取り付ける取着部材としてだけではなく、装飾性を発揮する部分としても機能させることができる。
また上述の着物では、
第一務歯チェーンを、着物本体における上前側の衿下部からその務歯列が突出するように設け、
裏地の衿下対応縁部を、第一務歯チェーンの務歯列よりもさらに衿下部から突出するように設け、
第二務歯チェーンを、その務歯列が第一務歯チェーンの務歯列と対向して噛合するように、衿下対応縁部から衿下部側に反転する態様で衿下対応縁部に取り付ける
ことが望ましい。
この構成によれば、スライドファスナーを、着物本体から延長する態様で、着物本体に対し平らに、広い領域を外側から視認可能とさせるように設けることができるため、装飾的効果を最大限に発揮させることができる。また、着物本体に対し平らに設けることで、着心地も損なわない。
上述した着物において、スライドファスナーのスライダーを、その引手をスライドファスナーの裏面側に移動させることができるリバーシブルスライダーとして構成すれば、裏地を取り付けた着物本体の着用時に、スライダーの引手を、スライドファスナーの裏面側に移動させて隠すことができるため、着物の外観を、引手の見えない、すっきりとしたものとすることができる。
また、上述した着物において、スライドファスナーを、裏地を着物本体から取り外した際に、スライダーが着物本体側に残らないような構成とすれば、裏地を取り外した状態で着る際にも、外観が、スライダーのないすっきりとしたものとなる。
本実施形態の着物の、下前側である右前身頃側を開いた状態を示す正面図である。 本実施形態の着物の下縁側を展開した状態における着物本体の裏面側と、八掛の表面側を示す図である。 着物本体の下縁側を展開した状態の裏面側を示す図である。 図2のIV−IV部分を示す断面図である。 八掛の背面図である。 図1における着物の上前側である左側の衿下部を示す部分拡大図である。 図6のVII−VII部分を示す断面図である。
以下に本考案の望ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
着物Kは、着用者の胴体から脚にかけてを覆う部位であり、着物Kの表地を構成する着物本体10と、着物本体10に連結される左右一対の袖部5L,5Rと、着物本体10の下縁10b側の裏面10cに取り付けられる裏地としての八掛50と、を備える。
なお、本明細書における前後,左右及び上下の方向は、着用者からみた前後,左右,及び上下の方向をいう。
図1から図3に示すように、着物本体10は、右後身頃11,左後身頃12,右前身頃13,左前身頃14,右前身頃13の先端側に隣接する右衽(おくみ)15及び左前身頃14の先端側に隣接する左衽16を備え、これらの部位に対応する右後身頃基材21,左後身頃基材22,右前身頃基材23,左前身頃基材24,右衽基材25及び左衽基材26を、左右方向に並列させた状態で連結(縫合)して形成されている。図1から図3に示すように、右後身頃11,左後身頃12,右前身頃13,左前身頃14,右衽15及び左衽16は、いずれも、後述する裏地50が配置される着物本体10の下縁10bまで延設されている。着物本体10における、右衽15から,右前身頃13,右後身頃11,左後身頃12,左前身頃14を経て左衽16までの上縁10aには、衿部3が連結されている。
図4に示すように、着物本体10の下縁10bは、上述した着物本体10を構成する基材21,22,23,24,25,26を、裏面10c側に三つ折り縫いする端末処理をされて形成されている。
図3に示すように、着物本体10におけるいわゆる衿下部10d,10e、言い換えれば、衿部3の下側において上下方向に延びる、着物本体10を展開した状態における左右の縁部10d,10e(さらに言い換えれば、左衽16と右衽15における、左右の前身頃14,13とは反対側の縁部(先端部)16a,15a)には、それぞれ、後述する、裏地としての八掛50を着物本体10に取り付けるための取着部材としてのスライドファスナー33を構成する一方側の務歯チェーンである第一務歯チェーン35が取り付けられている。具体的には、本実施形態では、図3と図7とに示すように、左右の衿下部10d,10eは、長尺帯状の端末処理部材28が、連結代(縫い代)を外に出さない態様で左衽16と右衽15との先端部16a,15a(すなわち、衿下部10d,10e)の裏面16b,15bに、先端部16a,15aに沿って上下方向の全域に亘って連結されて端末処理されており、第一務歯チェーン35は、左右の衽基材26,25のそれぞれと端末処理部材28との間に挟みこまれる態様で、端末処理部材28と共に、着物本体10に連結(縫合)され、衿下部10d,10eの略全長に亘って配置されている。また、左右の衿下部10d,10eにおいて、各第一務歯チェーン35は、図3と図7に示すように、その務歯列35aが、左右の衽16,15の先端部16a,15a(すなわち、衿下部10d,10e)から突出する態様で、着物本体10に対し取り付けられている。
また、着物本体10の裏面10c側において、上述した、三つ折りによる端末処理をされた着物本体10の下縁10bと、右後身頃基材21,左後身頃基材22,右前身頃基材23,左前身頃基材24,右衽基材25及び左衽基材26を連結した連結代18とには、八掛50を着物本体に取り付けるための取着部材としてのスナップボタン31の雌部31aが複数、取り付けられている。具体的には、下縁10bに沿った複数箇所(実施形態では5箇所)と、左衽基材26と左前身頃基材24間,左前身頃基材24と左後身頃基材22間,左後身頃基材22と右後身頃基材21間、右後身頃基材21と右前身頃基材23間及び右前身頃基材23と右衽基材25間の各連結代18とに、スナップボタン31の雌部31aが取り付けられている。右前身頃基材23と右衽基材25間及び左衽基材26と左前身頃基材24間の各連結代18には、後述する八掛50の形状に応じ、上下に2個ずつ、スナップボタン31の雌部31aが取り付けられている。
左右一対の袖部5L,5Rは、着物本体10の上端10f側における、右前身頃13と右後身頃11との境界部位と、左前身頃14と左後身頃12との境界部位と、にそれぞれ連結されている。
なお、本実施形態では、着物本体10と左右の袖部5L,5Rとは、インディゴブルー色の綿製のデニム生地により形成されている。
裏地としての八掛50は、図1及び図2に示すように、着物本体10を展開した状態における下縁(裾)10b側の裏面10cに、左右方向の全域に亘って、すなわち、左衽16,左前身頃14,左後身頃12,右後身頃11,右前身頃13及び右衽15の全てに亘って配置されるものであり、着物本体10の裏面10cと対向する面を裏面50dとし、その反対側の面(図1及び図2において見える面)を、意匠面50eを有する表面50cとする。
図2及び図5に示すように、本実施形態の八掛50は、着物本体10の裏面10cにおける左衽16と右衽15との部位に配置される裏左衽部56及び裏右衽部55と、左前身頃14から左後身頃12,右後身頃11を経て右前身頃13までの部位に配置される裏身頃部54と、を備える。裏左衽部56と裏右衽部55とはそれぞれ、上下方向の長さを、着物本体10の左衽16と右衽15における、着物本体10の下縁10bから衿部3の下端3b(図2)近傍までを覆う長さとする略長方形部位に形成され、裏身頃部54は、上下方向の長さを、裏左衽部56及び裏右衽部55よりも短い、着物本体10の下縁10bから上方に60cm程度までの領域を覆う長さとした略長方形に形成されている。八掛50は、裏身頃部54の左右両側に、裏左衽部56と裏右衽部55とが連結された形状とされている。本実施形態の八掛50では、裏身頃部54が、着物本体10の左前身頃14,左後身頃12,右後身頃11及び右前身頃13に対応する裏左前基材64,裏左後基材62、裏右後基材61及び裏右前基材63の4つの基材を連結して構成されているが、裏身頃部54の構成はこれに限らず、左側と右側とで二分割した2枚の基材を連結して構成したり、1枚の基材から構成したりしてもよい。
八掛50の下縁50b側は、図4に示すように、上述した八掛50を構成する各基材66,64,62,61,63,65を、着物本体10の裏面10cと対向する側である裏面50d側に三つ折り縫いする端末処理をされて形成されており、下縁50b側の裏面50dにも意匠面50eが設けられる構成とされている。そして、八掛50は、図1及び図4に示すように、下縁50bが着物本体10の下縁10bより数mmから1cm程度下方に突出するようにして着物本体10に取り付けられる。こうして、着用時に着物本体10の下縁10bから、八掛50の下縁50bにおける裏面50dの意匠面50eを外側から視認可能に突出させてなる「ふき」75が形成される。また、本実施形態では、後述するように、裏左衽部56と裏右衽部55とは、着物本体10に取り付けられた際に、着物本体10の表側から見て、衿下部10d,10eに対応する先端側の縁部、すなわち衿下対応縁部50f,50gが、着物本体10における衿下部10d,10eにおいて、衿下部10d,10eから突出するように配置される第一務歯チェーン35の務歯列35aから、ふき75を形成する下縁部50bも含めて、さらに1cm程度突出するように、その左右方向の幅が設定されている(図1,図2,図6及び図7)。なお、図6及び図7は、左右の衿下部10d,10eを代表して、上前側となる左側の衿下部10dにおける構成を示している。
なお本実施形態では、八掛50は、インディゴブルー色のデニム生地からなる着物本体10とは対照的な、赤色系統の綿製の生地から形成されている。
この八掛50は、取着部材としてのスナップボタン31と、スライドファスナー33と、を利用して、着物本体10に対して着脱可能に取り付けられる。
スナップボタン31は雌部31aと雄部31bとから構成され、図2,3及び5に示すように、その雄部31bが、八掛50の上縁50aに沿った複数個所(実施形態では、7箇所)と、下縁50bに沿った複数個所(実施形態では5箇所)に設けられ、上述したように、着物本体10の基材21,22,23,24,25,26の連結代18と、下縁10bと、に設けられた雌部31aと嵌合する。
スライドファスナー33は、相互に噛合する多数の務歯列35a,37aをそれぞれ備えた一対の第一務歯チェーン35及び第二務歯チェーン37と、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーンと37との務歯列35a,37aを噛合及び分離させるスライダー39と、を備える。第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とはそれぞれ、帯状部材からなるテープ部35b,37bに、合成樹脂製の務歯列35a,37aが射出成形されてなる。上述したように、第一務歯チェーン35が、着物本体10の左右の衿下部10d,10eに取り付けられ、第二務歯チェーン37が、衿下部10d,10eに対応する八掛50の衿下対応縁部50f,50gに取り付けられる。
本実施形態のスライドファスナー33は、八掛50を着物本体10から着脱可能に取り付けるために、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とが完全に分離可能に構成される、いわゆるオープンエンド型に構成されている。具体的には、図1,3,5及び6に示すように、スライドファスナー33は、下端部33bに、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とを完全に分離可能とするための開離嵌挿具40を備える。開離嵌挿具40は、スライダー39が設けられるのと同じ務歯チェーン側に配置される箱体40aと、それとは反対側の務歯チェーン側に配置されて、スライドファスナー33の閉時に箱体40aに嵌挿される蝶棒40bと、を備える。本実施形態では、図5に示すように、スライダー39と開離嵌挿具40の箱体40aとが、八掛50側の第二務歯チェーン37側に設けられ、蝶棒40bが、図3に示すように、着物本体10側の第一務歯チェーン35に設けられている。スライドファスナー33の閉操作時には、まず八掛50側の第二務歯チェーン37側において、スライダー39を引き下げて開離嵌挿具40の箱体40aに当接させ、着物本体10側の第一務歯チェーン35の下端部35cに設けられた蝶棒40bを、スライダー39を介して箱体40aに嵌挿すれば、スライダー39を引き上げることができ、図6に示すように、スライドファスナー33を閉めて、八掛50を着物本体10に取り付けることができる。スライドファスナー33の開操作時には、図1に示す、八掛50が着物本体10に取り付けられた状態から、スライダー39を開離嵌挿具40の箱体40aに当接するまで引き下げ、着物本体10側の第一務歯チェーン35に設けられる蝶棒40bをスライダー39を介して箱体40aから抜くと、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とが完全に分離し、八掛50を着物本体10から取り外せる構成としている。スライダー39は、八掛50側の第二務歯チェーン37に配置されるため、この時、着物本体10側には残らない。
より具体的には、スライドファスナー33における第一務歯チェーン35は、着物本体10の左右の衿下部10d,10e、すなわち衿部3の下側において上下方向に延びる着物本体10の左右の縁部10d,10e、に、上下の略全長に亘って取り付けられている。本実施形態では、上述したように、第一務歯チェーン35が、その務歯列35aが左右の衿下部10d,10eから突出する態様で、着物本体10に対し取り付けられている。第一務歯チェーン35の下端部35cに、上述したように開離嵌挿具40の蝶棒40bが設けられている。そして他方側の第二務歯チェーン37は、図5に示すように、着物本体10の衿下部10d,10eに対応する八掛50の左右の衿下対応縁部50f,50gのそれぞれに、上下の略全長に亘って取り付けられている。詳しくは、上述したように、八掛50は、衿下対応縁部50f,50gが、着物本体10の表側から見て、衿下部10d,10eから突出するように配置される第一務歯チェーン35の務歯列35aから、ふき75を形成する下縁部50bも含めて、さらに突出するように構成されており(図2及び図6)、第二務歯チェーン37は、図6及び7に示すように、そのように構成された衿下対応縁部50f,50gのそれぞれから、その務歯列37aが着物本体10側(衿下部10d,10e側)に向くように、前記着物本体10側(衿下部10d,10e側)に反転する態様で衿下対応縁部50f,50gに取り付けられ、務歯列37aが、着物本体10の衿下部10d,10eから突出している第一務歯チェーン35の務歯列35aと噛合するように構成されている。そしてこの第二務歯チェーン37の下端部37cに、開離嵌挿具40の箱体40aが設けられている。すなわち、着物本体10に八掛50を取り付けるスライドファスナー33は、着物Kの着用時に外側から視認可能に、衿下部10d,10eから突出するように設けられている。
また、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37との務歯列35a,37aを噛合及び分離させるスライダー39は、図6に示すように、引手39aを、表面39dから上端部39bを経由して裏面39eに至るまでの領域に設けられる回転レール39fに沿ってスライドファスナー33の裏面33c側に移動させることができる周知の構成のいわゆるリバーシブルスライダーとして構成されている。これにより、八掛50を取り付けた着物本体10の着用時に、スライダー39の引手39aを、スライドファスナー33の裏面33c側に回転移動させて隠すことができる。
なお、本実施形態では、着物本体10側に設けられる第一務歯チェーン35として、テープ部35b及び務歯列35aとを、着物本体10のインディゴブルー色に近似した紺色としたものを用い、八掛50側に設けられる第二務歯チェーン37として、テープ部37b,務歯列37a及びスライダー39とを、赤色系統の八掛50と近似した赤色としたものを用いて、スライドファスナー33の第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37の色を相互に異ならせている。
上述のように構成された着物Kでは、着物本体10の下縁10b側の裏面10cに取り付けられる裏地としての八掛50が、その下縁50bが着物本体10の下縁10bよりも下方に突出するふき75を形成するように着物本体10に対して配置されて、取着部材を利用して着脱可能に取り付けられる。この構成によれば、着物本体10に対して特別な技術や手間を要せず簡易に着脱できる裏地50が、着物本体10の下縁(裾)10bから見えるふき75を形成できるため、従来の裏地付き着物が有する装飾性を備えたまま、着物を着る時期、場所、機会に応じて裏地50を取り換えることができ、着物の着方の応用性を高めることができる。また、裏地50を取り外せば、着物本体10を、裏地のついていない単衣(ひとえ)の着物として着ることもでき、さらに着方の応用性を高めることができる。
また、本実施形態の着物Kでは、着物本体10における、着用時に上側となる上前側の衿下部10dにおいて、衿下部10dと、裏地50における衿下部10dと対応する衿下対応縁部50fと、を連結する取着部材が、スライドファスナー33から構成されている。スライドファスナー33は、着物本体10側に設けられる第一務歯チェーン35と、裏地50側に設けられる第二務歯チェーン37と、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37との務歯列35a,37a相互を噛合及び分離させるスライダー39と、を備え、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とが、完全に分離可能に構成されており、また、着用時に外側から視認可能に、衿下部10dから突出するように配置されている。
この構成では、スライドファスナー33が、外から見えるように設けられるため、スライドファスナー33を、裏地50を着物本体10に取り付ける取着部材としてだけではなく、装飾性を発揮する部分としても機能させることができる。本実施形態では、スライドファスナー33における着物本体10側に設けられる第一務歯チェーン35を着物本体10の色と近似した紺色のものとし、裏地50側に設けられる第二務歯チェーン37を、赤色系統の裏地50に近似した赤色のものとしているため、着物Kの着用時に、着用者の正面において、インディゴブルー色の着物本体10に対し、第二務歯チェーン37とふき75とで、上前側の衿下部10dから着物Kの下縁10bにかけて赤色のL字型のラインを描くような効果を生むことができ、着物Kの装飾性を高めることができる。スライドファスナー33を外から見えるように配置することによる装飾的効果は、第一務歯チェーンと第二務歯チェーンとの色調を相互に異ならせることによってのみならず、スライドファスナーを、第一務歯チェーンと第二務歯チェーンとを同じ色調として、例えば、金属製または金属調の務歯を使用するものとしたり、特殊な形状の務歯を使用するものとしたり等、様々な構成にすることよっても、発揮させることができる。しかしながら、このような効果が所望されないのであれば、着物本体10における上前側の衿下部10dと裏地50の衿下対応縁部50fと、を連結する取着部材は、必ずしも外から見えるようなスライドファスナー33から構成する必要はなく、衿下部10dから突出しないように配置されるスライドファスナーや、裏地50の上縁50a等を着物本体10に取着するのに使用されるのと同じスナップボタン31のほか、面ファスナー、ボタン構造等、裏地50を着物本体10に対して着脱可能とする任意のものを使用してもよい。
なお、本実施形態では、着物は左右対称の構造を有するという慣習にしたがい、着物本体10の左右の衿下部10d,10eの両方において、衿下部10d,10eから突出するように配置されるスライドファスナー33を使用して裏地50を着物本体10に取り付けている。しかしながら、下前側、すなわち右側の衿下部10eは、着用時、左前身頃14に覆われて見えない部分となるので、少なくとも着用時に上側となる左の衿下部10dにおいて、スライドファスナー33を衿下部10dから突出するように配置すれば、上述した装飾的効果は奏せられる。その場合、下前側となる右側の衿下部10eに裏地50の衿下対応縁部50gを取り付ける取着部材には、衿下部10eから突出しないように配置されるスライドファスナーや、裏地50の上縁50a等を着物本体10に取着するのに使用されるのと同じスナップボタン31のほか、面ファスナー、ボタン構造等、裏地50を着物本体10に対して着脱可能とする任意のものを使用することができる。
上前側(左側)の衿下部10dにおいて、外側から視認可能にスライドファスナー33を衿下部10dから突出するように配置するためには、本実施形態におけるように、第一務歯チェーン35を、着物本体10における衿下部10dからその務歯列35aが突出するように設け、裏地50の衿下対応縁部50fを、第一務歯チェーン35の務歯列35aよりもさらに衿下部10dから突出するように設け、第二務歯チェーン37を、その務歯列37aが第一務歯チェーン35の務歯列35aと対向して噛合するように、衿下対応縁部50fから衿下部10d側に反転する態様で衿下対応縁部50fに取り付けるとよい。この構成によれば、スライドファスナー33を、着物本体10から延長する態様で、着物本体10に対し平らに、広い領域を外側から視認可能とさせるように設けることができるため、装飾的効果を最大限に発揮させることができる。また、着物本体10に対し平らに設けることで、着心地も損なわない。
また本実施形態の着物Kでは、着物本体10の衿下部10dと裏地50の衿下対応縁部50fとを着脱可能に連結するスライドファスナー33のスライダー39が、引手39aを、スライドファスナー33の裏面33c側に移動させることができるいわゆるリバーシブルスライダーとして構成されているため、裏地50を取り付けた着物本体10の着用時に、スライダー39の引手39aを、スライドファスナー33の裏面33c側に回転移動させて隠すことができるため、着物Kの外観を、引手39aの見えない、すっきりとしたものとすることができる。
さらに本実施形態の着物Kでは、着物本体10の衿下部10dと裏地50の衿下対応縁部50fとを着脱可能に連結するオープンエンド型のスライドファスナー33において、スライダー39と開離嵌挿具40の箱体40aとが、裏地50側の第二務歯チェーン37に設けられることにより、裏地50を着物本体10から取り外した際に、スライダー39が裏地50側に残り、着物本体10側に残らないように構成されている。これによれば、裏地50を取り外した着物本体10を単衣の着物として着る際にも、スライダー39のないすっきりとした外観とすることができる。
なお、本実施形態においては、着物本体10の衿下部10d,10eと裏地50の衿下対応縁部50f,50gとを着脱可能に連結するスライドファスナー33を、下端部33bに開離嵌挿具40を備えるオープンエンド型のものとして説明したが、裏地50を着脱可能に、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とが完全に分離可能としたものであれば、上止具や下止具あるいは開離嵌挿具40を使用せず、第一務歯チェーン35,第二務歯チェーン37及びスライダー39が全く分離したものとして、使用の都度組み合わせるタイプのスライドファスナーを、本実施形態のスライドファスナーとして使用してもよい。その場合でも、裏地50を着物本体10から取り外した場合に、スライダー39が、第一務歯チェーン35と第二務歯チェーン37とから完全に分離するため、着物本体10に残らない。
本実施形態においては、裏地50の上縁50a側や下縁50b側を着物本体10に取り付ける取着部材としてスナップボタン31が使用されているが、これについても、スナップボタン31の他、面ファスナーやボタン構造等、裏地50を着物本体10に対して着脱可能とする任意のものを使用することができる。
なお本実施形態では、裏地50を、裏左衽部56と裏右衽部55とが、着物本体10の下縁10bから衿部3の下端3b近傍までを覆う上下方向の長さとし、裏身頃部54が、裏左衽部56及び裏右衽部55よりも短い長さとする構成としたが、裏地の形状及び長さは、これに限るものではない。例えば、実施形態における裏身頃部54の長さを延長して、裏左衽部56と裏右衽部55と同じ長さとしてもよい。着物本体10の下縁10bよりも下方に突出するふき75を形成できるのであれば、裏地の着物本体10の下縁10bからの長さを部分的にあるいは全体的に、さらに上方に延長した構成としてもよい。
本実施形態においては、着物本体10及び裏地50を構成する各基材21,22,23,24,25,26,66,64,62,61,63,65の連結は、縫合によるものとして説明した。また、着物本体10と裏地50との下縁10b,50b側の端末処理も、三つ折り縫いによるものとして説明した。しかしながらこれらの連結及び端末処理作業は、縫合に限られるものではなく、接着剤や、接着テープ等の接着部材等の使用によっても行える。
また本実施形態では、着物本体10と裏地50とを綿生地製として説明したが、着物本体と裏地との素材は言うまでもなくこれに限るものではなく、絹,麻,毛,合成繊維製等の織布,不織布,あるいは和紙等の紙地も、着物本体や裏地の生地として使用できる。
また本実施形態の着物Kは、着物本体10の上端側に設けられる裏地である胴裏を備えないものとして説明したが、本考案は、胴裏を備えた着物にも適用可能である。
10…着物本体,10b…下縁,10c…裏面,10d…衿下部,31…取着部材(スナップボタン),33…取着部材(スライドファスナー),33c…裏面,35…第一務歯チェーン,35a…務歯列,37…第二務歯チェーン,37a…務歯列,39…スライダー,39a…引手,50…裏地,50b…下縁,50f…衿下対応縁部,75…ふき,K…着物

Claims (5)

  1. 着物本体と、前記着物本体を展開した状態における下縁側の裏面に、左右方向の全域に亘って取り付けられる裏地と、を備える着物であって、
    前記裏地は、
    その下縁が前記着物本体の下縁よりも下方に突出するふきを形成するように前記着物本体に対して配置されて、
    取着部材を利用して前記着物本体に着脱可能に取り付けられる
    ことを特徴とする着物。
  2. 前記着物本体における着用時に上側となる上前側の衿下部と、前記裏地における前記上前側の衿下部に対応する衿下対応縁部と、を連結する前記取着部材が、スライドファスナーから構成され、
    前記スライドファスナーが、
    前記着物本体側に設けられる第一務歯チェーンと、前記裏地側に設けられる第二務歯チェーンと、前記第一務歯チェーンと前記第二務歯チェーンとの務歯列相互を噛合及び分離させるスライダーと、を備え、前記第一務歯チェーンと前記第二務歯チェーンとが、完全に分離可能に構成され、
    着用時に外側から視認可能に、前記衿下部から突出するように配置される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の着物。
  3. 前記第一務歯チェーンが、前記着物本体における前記上前側の衿下部からその務歯列が突出するように設けられ、
    前記裏地の衿下対応縁部が、前記第一務歯チェーンの務歯列よりもさらに前記衿下部から突出するように設けられ、
    前記第二務歯チェーンが、その務歯列が前記第一務歯チェーンの務歯列と対向して噛合するように、前記衿下対応縁部から前記衿下部側に反転する態様で前記衿下対応縁部に取り付けられる
    ことを特徴とする請求項2に記載の着物。
  4. 前記スライダーが、引手を前記スライドファスナーの裏面側に移動させることができるリバーシブルスライダーとして構成されていることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の着物。
  5. 前記スライドファスナーが、前記裏地を前記着物本体から取り外した際に、前記スライダーが前記着物本体側に残らないように構成されることを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の着物。
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