JP3230284B2 - 位相シフト・マスクの製造方法 - Google Patents

位相シフト・マスクの製造方法

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JP3230284B2
JP3230284B2 JP19425692A JP19425692A JP3230284B2 JP 3230284 B2 JP3230284 B2 JP 3230284B2 JP 19425692 A JP19425692 A JP 19425692A JP 19425692 A JP19425692 A JP 19425692A JP 3230284 B2 JP3230284 B2 JP 3230284B2
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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造分野等
においてフォトリソグラフィー用のフォトマスク(レチ
クル)として使用される位相シフト・マスクの製造方法
に関し、特に透明基板上における位相シフタのエッチン
グをドライ・エッチングで行うことを可能とする方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の分野においてはサブミ
クロン・レベルの加工が量産工場において既に実現さ
れ、今後のハーフミクロン・レベル、さらには64Mビ
ットDRAMクラスで必須となるクォーターミクロン・
レベルの加工に関する研究が進められている。
【0003】このような微細加工の進歩の鍵となった技
術はフォトリソグラフィであり、従来の進歩は主として
ステッパ(縮小投影露光装置)の光学系の改良により達
成されてきた。この光学系の限界解像度Rは、レイリー
(Rayleigh)の式として知られる次式で表され
る。 R=k1 ×λ/NA ここで、k1 は比例定数、λは露光波長、NAは縮小投
影レンズの開口数である。従来は、高圧水銀ランプのi
線(365nm)あるいはKrFエキシマ・レーザ光
(248nm)等の遠紫外線の利用に代表される露光波
長の短波長化、およびステッパ(縮小投影露光装置)の
縮小投影レンズの高開口数(NA)化に努力が注がれて
きた。しかし、これらの改良は実用的にはほぼ限界に達
している。また、短波長化と高開口数化は焦点深度DO
F(=k2 ×λ/NA2 :k2 は比例定数)の低下につ
ながるため、限界解像度Rの追求にも限度がある。
【0004】かかる状況下で、開口数NAを一定レベル
に抑え、実用レベルの焦点深度を確保した上で露光光の
高調波成分を利用して解像度を上昇させるいわゆる超解
像技術が注目されている。この超解像技術のひとつに、
位相シフト法がある。これは、フォトマスクを透過する
露光光に位相差を与えることにより、透過光相互の干渉
を利用して解像度の向上を図る方法である。この位相差
は、通常は180°、すなわち反転状態となるように設
定されている。
【0005】位相シフト法による解像度向上の原理に
は、大別して空間周波数変調とエッジ強調とがあり、こ
れらの原理とマスク構造の組み合わせにより様々な種類
の位相シフト・マスクが提案されている。代表的なもの
としては、レベンソン(Levenson)型位相シフ
ト・マスク、補助パターン付き位相シフト・マスク、自
己整合型位相シフト・マスク、透過型位相シフト・マス
ク等がある。
【0006】位相シフト法では、位相差を発生させるた
めに、レチクルを構成するガラス基板上に位相シフタを
特定のパターンに形成することが必要である。この位相
シフタは、ガラス基板とは屈折率の異なるSOG(スピ
ン・オン・グラス)等の透明膜をパターニングして形成
するのが最も一般的である。他のタイプの位相シフタと
しては、ガラス基板そのものを所定のパターンにエッチ
ングして溝部を形成したものがある。この場合は、溝部
の深さ分だけがガラス基板とは屈折率の異なる空気層に
置き換わるために、溝部の透過光とその周辺の透過光と
の間に位相差が生ずる。ただし、溝部のエッチング深さ
の制御よりは、上述の透明膜の膜厚の制御の方が容易で
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、透明基板上
で透明膜のパターニングを行う場合、従来の一般的な方
法では、電子ビーム描画装置による直接描画と現像処理
により電子ビーム・レジスト材料からなるエッチング・
マスクを形成し、このマスクを介してウェット・エッチ
ングを行っていた。
【0008】しかし、今後、半導体装置のデザイン・ル
ールがより一層微細化されると、レチクル上のパターン
寸法も半導体ウェハ上のそれより5倍大きいとは言え、
従来よりも大幅に縮小される。このような場合、位相シ
フタのエッジ部における位相のシャープな反転を実現す
るために、位相シフタの断面形状を良好な異方性形状に
制御する必要が高まる。この観点からは、等方的なエッ
チング反応が進行するウェット・エッチングよりも、イ
オン・アシスト機構により異方性加工が達成できるドラ
イ・エッチングの方が有利である。
【0009】また、レチクル上のパターンが微細になっ
てくると、ウェット・エッチングではエッチング液に透
明基板を浸漬した際に、Cr遮光膜と透明基板との間の
密着性の不足によりCr遮光膜が剥離する虞れもあり、
この観点からもドライ・エッチングを検討する必要性が
高まっている。
【0010】さらに、位相シフタのエッチングにおける
本質的な問題点として、透明基板と位相シフタとが同じ
系統の材料で構成されることが多いため、両者の間で十
分な選択性を確保しにくいことが挙げられる。従来は、
透明基板と透明膜との間にエッチング・ストッパ層を介
在させることにより、この問題を解決していた。しか
し、この方法ではエッチング・ストッパ層の形成に余分
の工程を要し、コストの上昇しがちな位相シフト・マス
クのコストをさらに上昇させる原因ともなっている。
【0011】そこで本発明は、ドライエッチングにより
透明基板に対して十分に大きな選択比を確保しながら、
透明膜をエッチングして位相シフタを形成することが可
能な位相シフタ・マスクの製造方法を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の位相シフト・マ
スクの製造方法は、上述の目的を達成するために提案さ
れるものであり、透明基板上でSiO 系材料からな
る透明膜をエッチングして所望のパターンを有する位相
シフタを形成する際に、放電解離条件下でプラズマ中に
遊離のイオウを放出し得るイオウ系化合物を含むエッチ
ング・ガスを用い、このイオウを、少なくともパターン
側壁面に堆積させながら前記エッチングを行うことを特
徴とする。
【0013】本発明はまた、前記イオウ系化合物がS2
2 ,SF2 ,SF4 ,S2 10から選ばれる少なくと
も1種類のフッ化イオウであることを特徴とする。
【0014】本発明はまた、前記イオウ系化合物が、分
子中にチオカルボニル基とフッ素原子とを有することを
特徴とする。
【0015】本発明はまた、前記エッチング・ガスが窒
素系化合物を含むことを特徴とする。
【0016】本発明はまた、前記エッチング・ガスが、
2 ,H2 S,シラン系化合物から選ばれる少なくとも
1種類のフッ素ラジカル消費性化合物を含むことを特徴
とする。
【0017】本発明はまた、前記透明基板と前記透明膜
が共に酸化シリコン(SiOx )系材料より構成され、
該透明膜の酸素含有量が該透明基板のそれよりも大とさ
れていることを特徴とする。
【0018】本発明はさらに、前記透明膜の酸素含有量
が、気相成長雰囲気中の酸素量の制御もしくは酸素のイ
オン注入により所望の値に制御されることを特徴とす
る。
【0019】
【作用】本発明者は、位相シフタを得るための透明膜が
従来どおり主としてSiOx 系材料により形成されるこ
とを想定し、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオ
ウ(S)を放出できるイオウ系化合物を用いてこの透明
膜をエッチングすることを考えた。
【0020】Sは通常のエッチングが行われるような減
圧下では、おおよそ90℃に加熱されれば何ら汚染を残
すことなく除去される昇華性物質であるが、基体がこれ
より低い温度、好ましくは室温以下に制御されていれ
ば、その表面へ堆積して表面保護を行う堆積性物質でも
ある。ここで、基体の表面のうちSが堆積する部位は、
イオンの垂直入射が起こらない領域、すなわち、位相シ
フト・マスクの製造工程を考えた場合、パターン側面で
ある。また、Sが堆積する領域は、エッチングに伴って
酸素(O)原子が大量に供給されていない領域、すなわ
ち、レジスト・マスクの表面、Cr遮光膜の露出面等で
ある。かかるSの堆積により、位相シフタの異方性形状
が達成され、レジスト・マスクやCr遮光膜に対して高
い選択性が確保される。
【0021】逆に、Sが堆積できない部位は、エッチン
グに伴ってO原子を大量に放出するSiO 系材料層
である透明膜の垂直イオン入射面である。すなわち、こ
の部位ではSはスパッタ・アウトされたO原子と結合し
てSO を生成し、燃焼除去される。したがって、S
iO 系材料層のエッチングは円滑に進行する。S
は、エッチング終了後、レジスト・マスクを除去するた
めのアッシング工程において容易に燃焼除去することが
できる。したがって、Sは何らパーティクル汚染の原因
とはならない。
【0022】Sの堆積については上述のとおりである
が、SiOx 系の透明膜の一方の構成元素であるSiを
除去するためには、ハロゲン・ラジカル、特にSi原子
との間にエネルギーの高い結合を生成し得るF* がエッ
チング反応系に存在していると好都合である。本発明で
使用するS2 2 ,SF2 ,SF4 ,S2 10の4種類
のフッ化イオウは、このような観点から選択された化合
物であり、本願出願人が先に特開平4−84427号公
報において提案している。これらのフッ化イオウから生
成するF* は、SiOx 中のSi原子をSiFx の形で
揮発除去する。
【0023】本発明で提案するイオウ系化合物のもう一
方は、分子中にチオカルボニル基(>C=S)とフッ素
原子とを有する化合物である。この化合物は、堆積性物
質として上述のSの他、炭素系ポリマーも生成すること
ができる。この炭素系ポリマーは、従来のドライエッチ
ングにおいて側壁保護の役目を果たしていたフルオロカ
ーボン系ポリマーよりも遙かにエッチング耐性が高い。
これは、原子間結合エネルギーの比較においてC−F結
合(536kJ/mol)よりも大きいC−S結合(6
99kJ/mol)が分子構造中に取り込まれること、
また、双極子を有するチオカルボニルが分子構造中に取
り込まれることにより、エッチング中に負に帯電してい
る基体に対する静電吸着力が上昇していること、等の理
由による。
【0024】本発明ではさらに、エッチング・ガスに窒
素系化合物を添加することも提案する。これは、エッチ
ング反応系にSとNとを共存させることにより、種々の
窒化イオウ系化合物を生成させ、表面保護効果を一層強
化することを意図している。上記窒化イオウ系化合物と
しては、後述するごとく種々の化合物が知られている
が、これをエッチング中の基体の表面保護に用いること
については、本願出願人が先に特願平3−155454
号明細書において初めて提案し、詳述したとおりであ
る。
【0025】本発明において特に側壁保護効果を期待さ
れる代表的な窒化イオウ系化合物は、ポリチアジル(S
N)x である。このポリマーは、結晶状態ではS−N−
S−N−…の繰り返し構造を有する共有結合鎖が平行に
配向した構造をとり、単体のSよりもエッチング種の攻
撃に対して高い耐性を示す。なお、本発明ではプラズマ
中にF* が存在しているので、(SN)x のS原子上に
F原子が結合したフッ化チアジルも生成し得る。また、
* が存在する系ではチアジル水素も生成し得る。
【0026】さらに、条件によっては分子内のS原子数
とN原子数が不均衡な環状窒化イオウ化合物、あるいは
これら環状窒化イオウ化合物のN原子上にH原子が結合
したイミド型の化合物等も生成可能である。
【0027】これらの窒化イオウ系化合物は、条件にも
よるが、基体がおおよそ130℃よりも低い温度に維持
されていれば、その表面へ堆積することができる。ただ
し、Sの場合と同様、O原子を大量にスパッタ・アウト
する材料の表面では堆積できず、SOx ,NOx 等の形
で除去される。その他の部分、すなわちパターン側壁
面、レジスト・マスクの表面、Cr遮光膜の露出面等に
おける表面保護効果は、Sと同じである。しかも、窒化
イオウ系化合物は、エッチング終了後に行われる通常の
アッシング工程において容易に昇華、分解、燃焼等の機
構により除去されるため、何らパーティクル汚染の原因
とはならない。
【0028】本発明ではまた、前記エッチング・ガスに
2 ,H2 S,シラン系化合物から選ばれるいずれか1
種類のフッ素ラジカル消費性化合物を添加して、Sまた
は窒化イオウ系化合物の生成効率を向上させることを提
案する。これらのフッ素ラジカル消費性化合物から放出
されるH* および/またはSi* は、フッ素ラジカルF
* を捕捉し、揮発性の高い化合物に変化させてエッチン
グ反応系から除去する役割を果たす。したがって、エッ
チング反応系の見掛け上のS/F比(S原子数とF原子
数の比)が上昇し、表面保護効果を高めることができる
わけである。
【0029】以上、SiOx 系材料からなる透明膜のエ
ッチングがイオウ系化合物を用いて可能であることを説
明したが、さらに考慮を要する重要なポイントがある。
それは、透明基板と透明膜とが共にSiOx 系材料から
構成される場合に、両者間の選択比をいかに確保するか
という点である。本発明の目的を達するためには、透明
膜上ではエッチング反応が優先的に進行し、透明基板上
ではSおよび/または窒化イオウ系化合物の堆積が優先
的に進行するようなエッチング反応系を構築することが
必要である。
【0030】そこで本発明では、透明膜の酸素含有量を
透明基板のそれよりも大きく設定する。かかる設定によ
れば、エッチング条件を最適化することにより、透明膜
のエッチング中はここから放出される大量のO原子によ
りSや窒化イオウ系化合物の分解除去を促進させ、透明
基板の露出面上では放出されるO原子を減少させてSや
窒化イオウ系化合物の堆積を促進させることが可能とな
る。
【0031】また、透明膜の酸素含有量を増大させるに
は、気相成長雰囲気中の酸素量を制御するか、あるいは
エッチングに先立ち透明膜に酸素をイオン注入すること
が実用的な方法として考えられる。なお、SiOx 系材
料は、酸素含有量の変化に伴って屈折率nの変化を示す
ことが知られている。たとえば「CVDハンドブック」
(化学工学協会編,朝倉書店刊))p.223には、種
々のモル分率を有するSiH4 −N2 O混合ガスを用い
て減圧CVDでSiOx 膜を成膜した場合に、酸素含有
量が増大するにつれて屈折率nが低下するデータが示さ
れている。
【0032】位相シフト・マスクにおいて、位相を18
0°反転させるのに必要な位相シフタの膜厚dは、d=
λ/2(n−1)(1は空気の屈折率)で表されるの
で、酸素含有量に応じて透明膜の膜厚を決定することが
肝要である。
【0033】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について、実
験結果にもとづいて説明する。
【0034】実施例1 本実施例は、レベンソン型位相シフト・マスクの作製過
程において、ガラス基板上のSiOx 透明膜をS2 2
を用いてエッチングした例である。このプロセスを、図
1を参照しながら説明する。本実施例においてエッチン
グ・サンプルとして使用したマスク基板を、図1(a)
に示す。このマスク基板は、ガラス基板1上に所定のパ
ターンに形成されたCr遮光膜2を有し、さらに全面に
SiOx 透明膜3が被着形成され、この上に該SiOx
透明膜3のエッチング・マスクとしてレジスト・マスク
4が所定のパターンに形成されてなるものである。
【0035】ここで、上記ガラス基板1の酸素含有量
は、一般式SiOx において約x=2.0である。上記
SiOx 透明膜3は、一例として下記の条件でECR−
CVDを行うことにより形成されたものである。 SiH4 流量 10SCCM O2 流量 20SCCM Ar流量 10SCCM ガス圧 0.1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) 基板温度 300℃ このようにして形成されたSiOx 透明膜3の酸素含有
量は、一般式SiOxにおいて約x=2.2であり、上
記ガラス基板1のそれよりも高くなっている。また、こ
の場合に得られるSiOx の屈折率nは約1.45であ
ることがわかっている。本実施例では、作製される位相
シフト・マスクをi線ステッパ(λ=365nm)に搭
載することを想定し、式d=λ/2(n−1)より、上
記SiO x 透明膜3の膜厚dを405nmとした。
【0036】上記レジスト・マスク4は、Cr遮光膜2
による開口パターンをひとつ置きに被覆するように形成
されている。これは、ライン・アンド・スペースのごと
く周期的パターンにおいて、微細な隣接パターン間で透
過光の位相を180°反転させるというレベンソン型マ
スクの目的を達するためである。
【0037】次に、上記のマスク基板をRFバイアス印
加型の有磁場マイクロ波プラズマ・エッチング装置にセ
ットし、一例として下記の条件でSiOx 透明膜3をエ
ッチングした。 S2 2 流量 30SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 30W(2MHz) 基板温度 −10℃(エタノール系冷媒
使用) このエッチング条件は、SiOx 透明膜3のエッチング
を進行させるが、その下のガラス基板1上ではエッチン
グが停止するように最適化されている。
【0038】この過程では、S2 2 から解離生成した
SFx + 等のイオンの寄与によるイオン・モード・エッ
チングにより、SiOx 透明膜3がSiFx ,SOx
の形で選択的に除去された。また、S2 2 からはSも
放出された。このSは、冷却されたマスク基板上の部位
に応じて、様々な挙動を示す。
【0039】図1(b)は、エッチングの途中状態を示
している。Sは、イオンの垂直入射が原理的に起こらな
いパターン側壁面上では堆積し、側壁保護膜5を形成し
た。これにより、SiOx 透明膜3のエッチングは異方
的に進行した。一方、イオンの垂直入射面上では、事情
がやや異なる。すなわち、レジスト・マスク4の表面で
は、冷却された該表面へのSの堆積過程と入射イオンに
よるそのスパッタ除去過程とが競合して表面保護が行わ
れるため、レジスト・マスク4に対して高い選択性が確
保される。図1(b)では、この表面保護の行われる領
域を表面保護領域6として破線で示す。
【0040】これに対し、SiOx 透明膜3の露出面で
は、入射イオンのスパッタ作用によりこの膜からO原子
が放出されるので、この部分に吸着されたSが直ちにS
xに変化し、燃焼除去される。したがって、この露出
面ではSは堆積せず、エッチングが円滑に進行する。
【0041】エッチングがさらに進行すると、図1
(c)に示されるようにCr遮光膜2およびガラス基板
1が順次露出した。Cr遮光膜2からはO原子がスパッ
タ・アウトされないので、その露出面上でSの堆積過程
とスパッタ除去過程とが競合し、Cr遮光膜2に対して
高い選択性が確保された。また、ガラス基板1は酸素を
構成元素として含むものの、エッチング条件が酸素含有
量の高いSiOx 透明膜3に合わせて設定されているた
め、その表面ではエッチングは進行せず、Sの堆積が優
先的に生じた。したがって、Cr遮光膜2とガラス基板
1の露出面は、いずれも表面保護領域6となった。この
間にも側壁保護は継続するので、異方性形状を有する位
相シフタ3aが形成された。
【0042】この後、マスク基板をアッシング装置に移
設し、通常のO2 プラズマ・アッシングを行った。この
結果、図1(d)に示されるようにレジスト・マスク4
が除去された。また、これと同時に側壁保護膜5や表面
保護領域6に付着したSも昇華もしくは燃焼され、何ら
パーティクル汚染を生ずることなく除去された。このよ
うにして形成された位相シフト・マスクをi線ステッパ
に搭載し、i線(hν)を入射させると、Cr遮光膜2
に開口された隣合う開口部の間で透過光の位相が互いに
反転してその境界部における光強度が0となり、空間周
波数変調の原理にもとづき微細なパターンを分離するこ
とができる。
【0043】実施例2 本実施例は、実施例1で使用したS2 2 にフッ素ラジ
カル消費性化合物としてH2 を添加したエッチング・ガ
スを用い、Sの堆積効率を高めて選択性を向上させた例
である。本実施例で使用したマスク基板は、実施例1と
同じである。このマスク基板を有磁場マイクロ波プラズ
マ・エッチング装置にセットし、一例として下記の条件
でSiOx 透明膜3をエッチングした。
【0044】 S2 2 流量 25SCCM H2 流量 10SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 25W(2MHz) 基板温度 −10℃(エタノール系冷媒
使用) 上記のガス系では、S2 2 から生成するF* の一部が
2 から生成するH*に捕捉されてHF(フッ化水素)
の形で除去されるので、エッチング反応系の見掛け上の
S/F比が上昇した。この結果、マスク基板上における
Sの堆積もしくは吸着が促進され、実施例1に比べて選
択性がさらに向上した。
【0045】実施例3 本実施例では、SiOx 透明膜3のエッチング・ガスと
してCSF2 (フッ化チオカルボニル)を用いた例であ
る。エッチング条件の一例を、以下に示す。 CSF2 流量 30SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 25W(2MHz) 基板温度 −10℃(エタノール系冷媒
使用) このエッチング過程では、SiOx 透明膜3の露出面上
において、CSF2 から解離生成したF* によるラジカ
ル反応が、同じくCSF2 から生成したCFx + ,CS
+ ,SFx + 等のイオンの入射エネルギーにアシストさ
れる機構でエッチングが進行した。このとき、CSF2
からは同時に炭素系ポリマーやSも生成した。これらの
堆積性物質は、パターン側壁面上では側壁保護膜5を形
成し、レジスト・マスク4、Cr遮光膜2、ガラス基板
1の露出面上では表面保護効果を発揮した。なお、Si
x 透明膜3の露出面上におけるSの燃焼除去過程につ
いては実施例1で上述したとおりであるが、この部分で
は炭素系ポリマーもCOx等の形で燃焼除去されるの
で、エッチングは円滑に進行した。
【0046】本実施例においても、良好な高選択・異方
性エッチングが実現された。
【0047】実施例4 本実施例では、実施例3で使用したCSF2 にフッ素ラ
ジカル消費性化合物としてH2 を添加したエッチング・
ガスを用い、Sの堆積効率を高めて選択性を向上させた
例である。図1(a)に示したマスク基板を用い、一例
として下記の条件でSiOx 透明膜3をエッチングし
た。
【0048】 CSF2 流量 25SCCM H2 流量 5SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 25W(2MHz) 基板温度 −10℃(エタノール系冷媒
使用) 上記のガス系では、CSF2 から生成するF* の一部が
* により消費され、エッチング反応系の見掛け上のS
/F比が上昇することにより、実施例3に比べて選択性
がさらに向上した。
【0049】実施例5 本実施例では、S2 2 に窒素系化合物としてN2 を添
加したエッチング・ガスを用い、同様にSiOx 透明膜
3をエッチングした。エッチング条件の一例を、以下に
示す。 S2 2 流量 30SCCM N2 流量 10SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 20W(2MHz) 基板温度 10℃(エタノール系冷媒
使用)
【0050】上記のガス系では、S2 2 から生成する
* によるラジカル反応が、SFx,Nx + 等のイオン
の入射エネルギーにアシストされる機構でエッチングが
進行した。また、S2 2 から放出されるS原子の一部
はN2 から放出されるN原子と反応し、ポリチアジル
(SN)x を主体とする窒化イオウ系化合物を生成し
た。この窒化イオウ系化合物は、単体のSに比べて高い
エッチング耐性を発揮する。Sと窒化イオウ系化合物
は、パターン側壁面上においては側壁保護膜5を形成
し、レジスト・マスク4、Cr遮光膜2、ガラス基板1
の露出面上では表面保護効果を発揮した。ただし、Si
x 透明膜3の露出面上においては、窒化イオウ系化合
物はSOx ,NOx 等の形で除去され、何らエッチング
の進行を妨げることはない。
【0051】本実施例では、実施例1に比べてRFバイ
アス・パワーを低減し、基板温度を室温域に近づけてい
るにもかかわらず、同様に良好な高選択・異方性加工を
行って位相シフタ3aを形成することができた。
【0052】実施例6 本実施例では、同じくSiOx 透明膜3のエッチング
を、S2 2 /N2 /H 2 混合ガスを用いて行った。エ
ッチング条件の一例を示すと、下記のとおりである。 S2 2 流量 25SCCM N2 流量 5SCCM H2 流量 10SCCM ガス圧 1Pa マイクロ波パワー 800W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 20W(2MHz) 基板温度 室温(水冷) 上記のガス系では、H2 の添加によりエッチング反応系
の見掛け上のS/F比が上昇し、かつ窒化イオウ系化合
物の生成により強固な側壁保護および表面保護が行われ
た。この結果、実施例5よりもさらに基板温度を上昇さ
せているにもかかわらず、良好な高選択・異方性加工を
行うことができた。
【0053】実施例7 本実施例では、SiOx 透明膜3の酸素含有量をガラス
基板1のそれに比べて増大させるために、酸素のイオン
注入を行った例である。本実施例で使用したマスク基板
の構成は、図1(a)に示したとおりである。ただし、
本実施例におけるSiOx 透明膜3には、ECR−CV
D法による成膜後、レジスト・マスク4を形成する前
に、一例として注入エネルギー50keV,ドース量1
17/cm2 の条件でO2 のイオン注入を行った。この
ようにして得られたSiOx 透明膜3の酸素含有量は、
一般式SiOx において約x=2.5であり、ガラス基
板1の酸素含有量(x=2.0)よりも高くなった。ま
た、SiOx 透明膜3の屈折率nは1.40であり、膜
厚dはi線露光を想定して456nmとした。
【0054】かかるSiOx 透明膜3について、実施例
1と同じ条件によるS2 2 を用いたエッチング、ある
いは実施例2と同じ条件によるS2 2 /H2 混合ガス
を用いたエッチングを行ったところ、いずれの場合も良
好な高選択・異方性加工を行うことができた。
【0055】以上、本発明を7例の実施例にもとづいて
説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではない。たとえば、フッ化イオウとしてはS2
2 を例として説明したが、本発明で限定される他のフッ
化イオウを用いても、基本的には同様の結果が得られ
る。窒素系化合物としては、上述のN2 の他、NF3
NOx 等も使用することができる。
【0056】フッ素ラジカル消費性化合物としてはH2
を例として説明したが、本発明で限定される他のH2
やシラン系化合物を用いても、同様の結果が得られる。
2Sは、自身がSの供給源でもあるため、エッチング
反応系のS/F比の上昇効果が大きい。また、シラン系
化合物は、H* に加えてSi* もF* の捕捉に寄与する
ので、やはりS/F比の上昇効果が大きい。
【0057】また、上述の各実施例では空間周波数変調
の原理にもとづくレベンソン型マスクの作製について述
べたが、本発明が適用可能な他のタイプの位相シフト・
マスクとしては、Cr遮光膜を持たず空間周波数変調の
原理にもとづく透過型位相シフト・マスク、エッジ強調
の原理にもとづく補助パターン付きマスク、同じく自己
整合型マスク等がある。
【0058】さらに、SiOx 透明膜の成膜条件、膜
厚、露光波長、エッチング条件等が適宜変更可能である
ことは、言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用すれば、従来は主としてウェット・エッチング
により行われていた位相シフタのエッチングを、ドライ
・エッチングにより行うことが可能となる。したがっ
て、今後の半導体装置のデザイン・ルールの縮小に対応
して、透明基板やCr遮光膜に対して高選択性を維持し
ながら、微細なパターンを有する位相シフタを異方的に
加工することができ、信頼性の高い位相シフト・マスク
を製造することが可能となる。
【0060】本発明は、i線リソグラフィの延命策とし
て極めて有望であり、これにより0.35〜0.4μm
が主なパターン・ルールとなる64MビットDRAMも
しくは16MビットSRAM等の半導体装置を高い信頼
性をもって製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をレベンソン型位相シフト・マスクの作
製に適用したプロセス例をその工程順にしたがって示す
概略断面図であり、(a)はSiOx 透明膜上にレジス
ト・マスクが形成された状態、(b)はSiOx 透明膜
のエッチングが途中まで進行した状態、(c)はエッチ
ングが終了してCr遮光膜とガラス基板の一部が露出し
た状態、(d)はアッシングによりレジスト・マスク、
側壁保護膜等が除去された状態をそれぞれ表す。
【符号の説明】
1・・・ガラス基板 2・・・Cr遮光膜 3・・・SiOx 透明膜 4・・・レジスト・マスク 5・・・側壁保護膜 6・・・表面保護領域

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に積層されたSiO 系材
    料からなる透明膜をエッチングして、露光光の位相をシ
    フトさせるための位相シフタを所望のパターンに形成す
    る位相シフト・マスクの製造方法において、 前記エッチングは、放電解離条件下でプラズマ中に遊離
    のイオウを放出し得るイオウ系化合物を含むエッチング
    ・ガスを用い、このイオウを、少なくともパターン側壁
    面に堆積させながら行うことを特徴とする位相シフト・
    マスクの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記イオウ系化合物がS ,SF
    ,SF ,S10から選ばれる少なくとも1種
    類のフッ化イオウであることを特徴とする請求項1記載
    の位相シフト・マスクの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記イオウ系化合物が、分子中にチオカ
    ルボニル基とフッ素原子とを有することを特徴とする請
    求項1記載の位相シフト・マスクの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記エッチング・ガスが窒素系化合物を
    含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ
    か1項に記載の位相シフト・マスクの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記エッチング・ガスが、H ,H
    S,シラン系化合物から選ばれる少なくとも1種類のフ
    ッ素ラジカル消費性化合物を含むことを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の位相シフト
    ・マスクの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記透明基板と前記透明膜は共に酸化シ
    リコン系材料より構成され、該透明膜の酸素含有量が該
    透明基板のそれよりも大とされていることを特徴とする
    請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の位相シ
    フト・マスクの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記透明膜の酸素含有量は、気相成長雰
    囲気中の酸素量の制御もしくは酸素のイオン注入により
    所望の値に制御されることを特徴とする請求項1ないし
    請求項6のいずれか1項に記載の位相シフト・マスクの
    製造方法。
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