JP3228776B2 - 有機酸チタン化合物及びその製造方法 - Google Patents
有機酸チタン化合物及びその製造方法Info
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合物及びその製造方法に関し、更に詳しくは一般式(I)
または組成式Ti4O4(RCOO)8で表される環状有機
酸チタン化合物及びその製造方法に関するものである。
いては、アルコキシ基を含んだ環状またはラダー状チタ
ノキサン(特開昭64−52786号公報、特開平1−129032号
公報など)、二量体有機酸チタン[Z. Anorg. Chem., 29
0、第87〜95頁(1957);J.Indian Chem. Soc., 38、第50
9頁(1961)]などが報告されている。これらはいずれも
チタンテトラアルコキシドからの置換反応により得られ
る。しかしながら、組成式Ti4O4(RCOO)8で表さ
れる環状有機酸チタン化合物については報告されていな
い。
ジルコン酸鉛などのペロブスカイト型強誘電体は、コン
デンサーや圧電素子に広く応用されている。最近、電子
材料の高性能化、小型化、低化学化というニーズに対し
て上記セラミックスの薄膜化、微細化が重要な課題とな
っている。従来、チタン酸ジルコン酸鉛はそれぞれの成
分金属の酸化物をボールミルなどにより粉砕し、その粉
末を所定比に混合した後に800〜1300℃という高
温での固相反応により製造されている。しかしながら、
原料酸化物の粉砕時及び混合時における不純物の混入が
避けられないこと、及び機械的粉砕では1μm以下の微
粒子が得られないことなどから、高品質なチタン酸ジル
コン酸鉛を得ることができないという問題点がある。
200℃以上という高い焼成温度では酸化鉛が気化する
ことから、組成の均一性に欠けるという問題点がある。
そこで、最近では組成が均一で、かつ低温焼成できるチ
タン酸ジルコン酸鉛の製造方法が要望されている。上記
セラミックスの低温合成に関しては、金属アルコキシド
[例えば日本セラミックス協会誌、98、第754頁(199
0)、特開昭62−108729号公報など]、酢酸鉛と金属アル
コキシド[J. Appl. Phys., 64、第2717頁(1991)]の加
水分解を利用したゾル−ゲル法によるチタン酸ジルコン
酸鉛の低温焼結性粉末の合成法あるいはチタン酸ジルコ
ン酸鉛薄膜の作製法が知られている。
金属アルコキシドを原料として用いるゾルーゲル法によ
るチタン酸ジルコン酸鉛の製造方法では、使用する金属
アルコキシドが本質的にわずかの水分の存在下でも加水
分解され易いため、所定の混合比に試料を調製すること
が難しく、更に混合試料溶液の保存安定性が悪いという
問題点がある。また、鉛、チタン、ジルコニウムそれぞ
れの金属アルコキシドの加水分解速度の違いがあるた
め、加水分解によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体ゾル
及びゲルを調製するゾル−ゲル法では組成、形態などが
均一なチタン酸ジルコン酸鉛を得ることが難しいという
問題点もある。これらのことに加えて、ゾル−ゲル法に
よるチタン酸ジルコン酸鉛前駆体を調製する際には上記
問題点を解決するために多種の添加剤の使用を含めた複
雑な処理を必要とし、更に、ゲル化に多大な時間を要す
るなどのプロセス上の問題点もある。
に均一なチタン酸ジルコン酸鉛、その他酸化チタンを含
む複合酸化物あるいは酸化チタンを低温焼成により製造
する際のチタン成分の原料として、空気中で安定な化合
物並びにその製造方法を提供することにある。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、チタンテトラ
アルコキシドと1価の有機酸から有機酸チタン化合物を
容易に合成する方法及び該方法により得られる有機酸チ
タン化合物群が、アルコキシ基を含まない空気中で安定
な新規な化合物群であること、並びにこれらの有機酸チ
タン化合物がP(L)ZT強誘電体等の複合酸化物セラミ
ックス、あるいは酸化チタンの膜を低温焼成により得る
塗布熱分解法の材料として極めて有効であることを見出
し、本発明を完成した。
は、次の一般式(I)で示されることを特徴とする:
ステル基、アミノ基及び水酸基からなる群から選択され
る置換基;鎖中に酸素、窒素及び硫黄からなる群から選
択される異節原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜1
7のアルキル基を表す)
タン化合物は、テトラアルコキシチタンと炭素原子数2
〜18の1価の有機酸を、還流処理することを特徴とし
て製造することができる。
式(I)あるいは組成式Ti4O4(RCOO)8で表さ
れる環状有機酸チタン化合物である。式中のRは同一で
も異なっていてもよい不飽和結合、枝分かれ、ハロゲン
原子、エステル原子、アミノ基、水酸基等の置換基、鎖
中の酸素、窒素、硫黄等の異節原子を含んでいてもよい
炭素原子数1〜17のアルキル基である。
トラアルコキシドと炭素原子数2〜18の1価の有機酸
を、還流処理することにより容易に得られる。
ンとしては、一般式(II):Ti(OR1) 4 (ここ
に、R1は炭素原子数1〜6の低級アルキル基である)
で示されるチタン化合物が挙げられる。
方法の概略を述べる。テトラアルコキシチタンを、必要
な場合は、式R1OH[ここに、R1は一般式(II)と同意
義である]で表されるアルコール、またはトルエンなど
の有機溶媒に溶解し、テトラアルコキシチタンに対し、
4当量の一般式(III):RCOOH[ここに、Rは一般
式(I)と同意義である]で表される有機酸を添加し、還
流した後、生成したアルコール、エステル、溶媒のアル
コール等の低沸成分を留去し、更に、系内に残った有機
酸を留去または濾過により除く。
酸、カプリン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、
ネオデカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などが挙げ
られる。
は、還流温度は90〜100℃(バス温度)、還流圧力は
常圧、還流時間は1〜5時間、好ましくは2時間程度と
するのが好ましい。
機酸が固体のときはそれを溶かす有機溶媒を使用する
が、上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコ
ールなどのアルコール類(原料のアルコキシ基と同一の
R1をもつもの)、またはトルエンなどが挙げられる。使
用する場合の使用量は、有機酸に対して10倍量(重量
基準)までが好ましい。
子、焦電素子、電気光学素子などの強誘電体材料に使用
されるチタン酸ジルコン酸鉛を低温焼成により製造する
方法のチタン成分材料、その他複合酸化物セラミック
ス、その膜のチタン成分材料、紫外線カットガラスの酸
化チタン膜のコーティング材料、ガラスのアルカリバリ
ア剤として有用である。
発明の範囲は以下の実施例により何等限定されるもので
はない。 2−エチルヘキサン酸チタンの合成 撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入用コックを備
えた反応フラスコを窒素置換した後、テトライソプロポ
キシチタン507g(1.78モル)を仕込み、2−エチ
ルヘキサン酸1029g(1.78×4モル)を加え、9
0〜100℃で加熱撹拌した。生成したイソプロピルア
ルコールが還流を始めてから2時間加熱撹拌し、その後
イソプロピルアルコールを系外に留去した。反応液をあ
る程度冷却した後、トルエンを500ml加えて撹拌混
合し、5Cの濾紙で微量不純物を濾別した。得られた濾
液を蒸留装置に仕込み、常圧下でトルエンを留去した
後、減圧留去(130℃、3トール)により低沸物を除
き、黄褐色粘性液体620gを得た(収率99%)。得ら
れた物質の分子量は凝固点降下法により測定した結果、
1440(理論値1401)であった。また、この液体の
元素分析結果は下記の通りであった(%は重量比)。 得られた物質のIRチャートを図1に、NMRチャート
を図2に示す。NMRチャートよりこの化合物はイソプ
ロポキシ基を含まないことが確認された。
化チタンの成膜を行う場合、膜剤溶液は、従来報告され
ている酸化チタンの低温合成の原料である金属アルコキ
シド溶液よりもはるかに水分安定性があり、キレート化
合物、アルカノールアミン類などを添加するなどの溶液
調製時の複雑な操作をする必要がない。このことは、チ
タン成分を含む複合酸化物セラミックスの原料として用
いる場合も同様である。
ン酸ジルコン酸鉛(PZT)の製造に採用することによ
り、成分金属の酸化物を原料とする従来法に比して、は
るかに低温でのチタン酸ジルコン酸鉛が製造でき、大幅
なエネルギーの節減につながり、経済的に有利である。
また、固相反応とは異なり、有機酸塩の均一溶液の熱分
解によりチタン酸ジルコン酸鉛が生成するため、微細な
レベルで均一組成のものができる。更に、金属アルコキ
シドなどを用いるゾル−ゲル法では加水分解の制御を行
うために複雑な操作及び工程が必要となるが、本発明の
有機酸チタン化合物は加水分解性が全くないか、非常に
小さいので、取り扱いが容易となり、混合、乾燥などの
操作が簡便になると共に保存安定性も大幅に改善され
る。この場合、好ましくは他の金属成分材料として、2
−エチルヘキサン酸ジルコニル、2−エチルヘキサン酸
鉛を用い、更に、本発明の有機酸成分として2−エチル
ヘキサンを用いるのがよい。また、本発明の有機酸チタ
ン化合物は下記に示す種々のプロセスによるチタン酸ジ
ルコニル酸鉛の製造方法に応用することができる。約4
00〜600℃という低温焼成により均一組成のチタン
酸ジルコン酸鉛が製造できることから、スプレードライ
法などによる均一粒子の微粉末の合成に応用できる。更
に、スクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法、ス
プレー法、ディッピング法、スピンコーティング法など
により均一組成の薄膜の合成にも応用でき、チタン酸ジ
ルコン酸鉛の薄膜化、微細化に十分対応できる。同様に
その他のチタンを含む複合酸化物、酸化チタンについて
も応用できる。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 次の一般式(I)で示される有機酸チタ
ン化合物: 【化1】 (式中、Rは不飽和結合;枝分かれ;ハロゲン原子、エ
ステル基、アミノ基及び水酸基からなる群から選択され
る置換基;鎖中に酸素、窒素及び硫黄からなる群から選
択される異節原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜1
7のアルキル基を表す) - 【請求項2】 テトラアルコキシチタンと炭素原子数2
〜18の1価の有機酸を、還流処理することからなる請
求項1記載の有機酸チタン化合物の製造方法。
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JP03197292A JP3228776B2 (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | 有機酸チタン化合物及びその製造方法 |
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