JP3227724B2 - 軟磁性膜 - Google Patents
軟磁性膜Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合型磁気ヘッドある
いは薄膜型磁気ヘッドのコア材料等として好適な軟磁性
薄膜に関する。
いは薄膜型磁気ヘッドのコア材料等として好適な軟磁性
薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえばVTR(ビデオテープレコーダ
ー)等の磁気記録再生装置においては、画質等を向上さ
せるために記録信号の高密度化が進められており、これ
に対応して磁性粉にFe,Co,Ni等の強磁性金属の
粉末を用いた,いわゆるメタルテープや強磁性金属材料
を蒸着等の手法により直接ベースフィルム上に被着し
た,いわゆる蒸着テープ等の高保磁力媒体の開発が進め
られている。
ー)等の磁気記録再生装置においては、画質等を向上さ
せるために記録信号の高密度化が進められており、これ
に対応して磁性粉にFe,Co,Ni等の強磁性金属の
粉末を用いた,いわゆるメタルテープや強磁性金属材料
を蒸着等の手法により直接ベースフィルム上に被着し
た,いわゆる蒸着テープ等の高保磁力媒体の開発が進め
られている。
【0003】ところで、このように磁気記録媒体の高保
磁力化が進むにつれ、記録再生に使用する磁気ヘッドと
しても高飽和磁束密度化が要求されるようになってきて
いる。しかしながら、従来より使用されているフェライ
ト材よりなる磁気ヘッドではこのような高飽和磁束密度
化の要求に十分に対応することは難しい。
磁力化が進むにつれ、記録再生に使用する磁気ヘッドと
しても高飽和磁束密度化が要求されるようになってきて
いる。しかしながら、従来より使用されているフェライ
ト材よりなる磁気ヘッドではこのような高飽和磁束密度
化の要求に十分に対応することは難しい。
【0004】そこで、このような状況から、磁気ヘッド
を構成する磁気コアをフェライトやセラミックス等と高
飽和磁束密度を有する軟磁性膜との複合構造とし、軟磁
性膜同志を突合せて磁気ギャップを構成するようにした
複合型磁気ヘッドや、各磁気コアやコイル等を薄膜技術
により形成し、これらを絶縁膜を介して多層構造とした
薄膜磁気ヘッド等が開発されている。
を構成する磁気コアをフェライトやセラミックス等と高
飽和磁束密度を有する軟磁性膜との複合構造とし、軟磁
性膜同志を突合せて磁気ギャップを構成するようにした
複合型磁気ヘッドや、各磁気コアやコイル等を薄膜技術
により形成し、これらを絶縁膜を介して多層構造とした
薄膜磁気ヘッド等が開発されている。
【0005】上記複合型磁気ヘッドや薄膜磁気ヘッドに
使用される軟磁性材料としては、例えばFe−Al−S
i合金,いわゆるセンダスト合金やCo−Nb−Zr等
の非晶質軟磁性膜等が知られている。
使用される軟磁性材料としては、例えばFe−Al−S
i合金,いわゆるセンダスト合金やCo−Nb−Zr等
の非晶質軟磁性膜等が知られている。
【0006】しかしながら、Fe−Al−Si合金にお
いては最も軟磁気特性が得られる組成での飽和磁束密度
は10kガウスであり、高保磁力媒体に使用する磁気ヘ
ッドのコア材料としては十分満足のいくものとは言えな
い。また、非晶質合金では、10kガウス以上の飽和磁
束密度が得られる組成においては結晶化温度が低く、磁
気ヘッドの製造過程で行われるガラス融着において軟磁
気特性が損なわれてしまう。
いては最も軟磁気特性が得られる組成での飽和磁束密度
は10kガウスであり、高保磁力媒体に使用する磁気ヘ
ッドのコア材料としては十分満足のいくものとは言えな
い。また、非晶質合金では、10kガウス以上の飽和磁
束密度が得られる組成においては結晶化温度が低く、磁
気ヘッドの製造過程で行われるガラス融着において軟磁
気特性が損なわれてしまう。
【0007】そこで、高飽和磁束密度,良好な軟磁気特
性,耐熱性を同時に達成する軟磁性薄膜としてCo系の
非晶質膜に、あるいはFe基合金膜に窒素を周期的に添
加した軟磁性薄膜が特開昭63−254708号公報,
特開平1−209707号公報に報告されている。
性,耐熱性を同時に達成する軟磁性薄膜としてCo系の
非晶質膜に、あるいはFe基合金膜に窒素を周期的に添
加した軟磁性薄膜が特開昭63−254708号公報,
特開平1−209707号公報に報告されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
な窒素を含有する軟磁性薄膜においては、良好な軟磁気
特性を得るために窒素が100nm以下の周期で周期的
に含有されているが、このように窒素が周期的に添加さ
れた軟磁性薄膜を作成するには、反応性スパッタリング
法を用いて、スパッタ雰囲気中の窒素分圧を周期的に変
化させるといった煩雑な操作が必要となる。このため、
製造に時間や手間を要し、磁気ヘッドコア材として十分
な量産性が得られないといった問題がある。
な窒素を含有する軟磁性薄膜においては、良好な軟磁気
特性を得るために窒素が100nm以下の周期で周期的
に含有されているが、このように窒素が周期的に添加さ
れた軟磁性薄膜を作成するには、反応性スパッタリング
法を用いて、スパッタ雰囲気中の窒素分圧を周期的に変
化させるといった煩雑な操作が必要となる。このため、
製造に時間や手間を要し、磁気ヘッドコア材として十分
な量産性が得られないといった問題がある。
【0009】そこで、本発明はかかる従来の実情に鑑み
て提案されたものであって、高飽和磁束密度を有し且つ
軟磁気特性,耐熱性に優れるとともに十分な量産性が得
られる軟磁性膜を提供することを目的とする。
て提案されたものであって、高飽和磁束密度を有し且つ
軟磁気特性,耐熱性に優れるとともに十分な量産性が得
られる軟磁性膜を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】Co系非晶質膜,Fe基
合金膜等についてX線回折測定を行うと、散乱角度が小
さい範囲の散乱強度が膜によって大きく異なることが見
いだされている。すなわち、このことは、散乱角度が小
さい範囲の散乱強度が膜の特性を判断する一つの指標と
なることを示唆している。このような観点から、本発明
者らが膜の磁気特性について検討を重ねた結果、特定の
元素により構成された磁性薄膜のうち、X線回折測定を
行った場合に散乱角度が2度から6度の小角散乱領域に
散乱回折が観測されるものに良好な軟磁気特性,優れた
耐熱性が得られることを見いだすに至った。
合金膜等についてX線回折測定を行うと、散乱角度が小
さい範囲の散乱強度が膜によって大きく異なることが見
いだされている。すなわち、このことは、散乱角度が小
さい範囲の散乱強度が膜の特性を判断する一つの指標と
なることを示唆している。このような観点から、本発明
者らが膜の磁気特性について検討を重ねた結果、特定の
元素により構成された磁性薄膜のうち、X線回折測定を
行った場合に散乱角度が2度から6度の小角散乱領域に
散乱回折が観測されるものに良好な軟磁気特性,優れた
耐熱性が得られることを見いだすに至った。
【0011】かかる知見に基づいて、本発明の軟磁性膜
は、Co系非晶質膜又はFe基合金膜からなり、CoK
α放射線を使用したX線回折測定において、散乱角度が
2度から6度の範囲に散乱回折が観測され、散乱格子面
間隔が1.7nmから5nmである構造を含むことを特
徴とするものである。なお、ここでCo系非晶質膜ある
いはFe基合金膜は、Co、Feから選ばれる少なくと
も1種とZr、Hf、Ta、Nb、Y、W、Mo、T
i、Cr、V、Cu、La、Nd、Sm、Ce、Pr、
Gd、Dy、Al、Si、Ge、Ga、Pd、Ru、R
e、Sn、から選ばれる少なくとも1種とN、C、O、
B、Pから選ばれる少なくとも1種よりなる。
は、Co系非晶質膜又はFe基合金膜からなり、CoK
α放射線を使用したX線回折測定において、散乱角度が
2度から6度の範囲に散乱回折が観測され、散乱格子面
間隔が1.7nmから5nmである構造を含むことを特
徴とするものである。なお、ここでCo系非晶質膜ある
いはFe基合金膜は、Co、Feから選ばれる少なくと
も1種とZr、Hf、Ta、Nb、Y、W、Mo、T
i、Cr、V、Cu、La、Nd、Sm、Ce、Pr、
Gd、Dy、Al、Si、Ge、Ga、Pd、Ru、R
e、Sn、から選ばれる少なくとも1種とN、C、O、
B、Pから選ばれる少なくとも1種よりなる。
【0012】本発明において、良好な軟磁気特性,耐熱
性を得るためには所定元素により構成され、且つCoK
α放射線を使用するX線回折測定において、散乱角度が
2度から6度の範囲に散乱回折が観測されることが重要
である。すなわち、X線回折測定で観測される散乱角度
2θから、式1を使用して散乱格子面間隔dが求められ
る。
性を得るためには所定元素により構成され、且つCoK
α放射線を使用するX線回折測定において、散乱角度が
2度から6度の範囲に散乱回折が観測されることが重要
である。すなわち、X線回折測定で観測される散乱角度
2θから、式1を使用して散乱格子面間隔dが求められ
る。
【0013】
【式1】 CoKα放射線の波長λは1.79026Åであるの
で、散乱角度が2度から6度の範囲に散乱回折が観測さ
れる場合、散乱格子面間隔dは式1より1.7nm〜5
nmである。すなわち、所定元素がこのような散乱格子
面間隔の結晶構造をとることにより、良好な軟磁気特
性,耐熱性が達成されることとなる。
で、散乱角度が2度から6度の範囲に散乱回折が観測さ
れる場合、散乱格子面間隔dは式1より1.7nm〜5
nmである。すなわち、所定元素がこのような散乱格子
面間隔の結晶構造をとることにより、良好な軟磁気特
性,耐熱性が達成されることとなる。
【0014】上記軟磁性膜は、スパッタリング等のいわ
ゆる気相メッキ技術等を用いて、スパッタ条件、ターゲ
ット組成を調節することによって得られる。ここで、タ
ーゲットとしては、所望の組成を有する所定元素よりな
る合金ターゲットを用いてもよく、あるいは各所定元素
をそれぞれターゲットとして用い、その面積や印加出力
等を調整して成膜される軟磁性膜の組成をコントロール
するようにしてもよい。特に、合金ターゲットを使用す
れば、軟磁性膜の組成はターゲットの組成によってほぼ
一意に決まるので、スパッタリング毎に組成に誤差が生
ずることがなく、大量生産する上で有利である。また、
窒素、酸素を添加するには、スパッタ雰囲気中に窒素ガ
スまたは酸素ガスを導入し、炭素を添加する場合には、
メタン,アセチレン等の炭化水素ガスをスパッタ雰囲気
中に導入すればよい。
ゆる気相メッキ技術等を用いて、スパッタ条件、ターゲ
ット組成を調節することによって得られる。ここで、タ
ーゲットとしては、所望の組成を有する所定元素よりな
る合金ターゲットを用いてもよく、あるいは各所定元素
をそれぞれターゲットとして用い、その面積や印加出力
等を調整して成膜される軟磁性膜の組成をコントロール
するようにしてもよい。特に、合金ターゲットを使用す
れば、軟磁性膜の組成はターゲットの組成によってほぼ
一意に決まるので、スパッタリング毎に組成に誤差が生
ずることがなく、大量生産する上で有利である。また、
窒素、酸素を添加するには、スパッタ雰囲気中に窒素ガ
スまたは酸素ガスを導入し、炭素を添加する場合には、
メタン,アセチレン等の炭化水素ガスをスパッタ雰囲気
中に導入すればよい。
【0015】
【作用】所定元素から構成され且つCoKα放射(波長
1.79026Å)を用いたX線回折測定で、散乱角度
が2度から6度の範囲に散乱回折が観測される軟磁性膜
は、高飽和磁束密度を有するとともに、軟磁気特性,耐
熱性に優れる。この理由は明らかではないが、CoKα
放射を用いたX線回折測定において、散乱角度が2度か
ら6度の範囲に散乱回折が観測される場合、散乱格子面
間隔dは、1.7nmから5nmであり、所定元素がこ
のような散乱格子面間隔の結晶構造をとることにより、
良好な磁気特性,耐熱性が達成されるものと考えられ
る。
1.79026Å)を用いたX線回折測定で、散乱角度
が2度から6度の範囲に散乱回折が観測される軟磁性膜
は、高飽和磁束密度を有するとともに、軟磁気特性,耐
熱性に優れる。この理由は明らかではないが、CoKα
放射を用いたX線回折測定において、散乱角度が2度か
ら6度の範囲に散乱回折が観測される場合、散乱格子面
間隔dは、1.7nmから5nmであり、所定元素がこ
のような散乱格子面間隔の結晶構造をとることにより、
良好な磁気特性,耐熱性が達成されるものと考えられ
る。
【0016】また、本発明の軟磁性膜では、このように
結晶構造が重要であり、組成については、たとえば窒素
変調膜程には厳密でなくてよい(たとえば所定元素以外
の元素が1原子量%以内含まれていても特性は劣化しな
い。)ので、特性の安定性が高く、コア材料として信頼
性が得られる。さらに、このような散乱格子面間隔を有
する軟磁性膜は、スパッタリング法によって成膜される
が、この場合、はじめにスパッタ条件,ターゲット組成
を調節し、その条件のまま所望の膜厚となるまで続けて
スパッタリングを行えばよく、窒素変調膜のように周期
的にスパッタ雰囲気を変える必要がない。したがって、
成膜に手間や時間を要さず、量産性にも優れる。
結晶構造が重要であり、組成については、たとえば窒素
変調膜程には厳密でなくてよい(たとえば所定元素以外
の元素が1原子量%以内含まれていても特性は劣化しな
い。)ので、特性の安定性が高く、コア材料として信頼
性が得られる。さらに、このような散乱格子面間隔を有
する軟磁性膜は、スパッタリング法によって成膜される
が、この場合、はじめにスパッタ条件,ターゲット組成
を調節し、その条件のまま所望の膜厚となるまで続けて
スパッタリングを行えばよく、窒素変調膜のように周期
的にスパッタ雰囲気を変える必要がない。したがって、
成膜に手間や時間を要さず、量産性にも優れる。
【0017】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
づいて説明する。
【0018】先ず、Co85Zr15,Fe85Al15,Fe
90Si10なる組成を有する合金(直径100mm)をタ
ーゲットとして用い、スパッタ中にArとN2 ガスの混
合ガスを導入しながらRFマグネトロンスパッタ法によ
り成膜を行った。下記にスパッタ条件を示す。 スパッタ条件 到達真空度 2×10-4Pa Arガス圧 0.1Pa 投入電力 300W このとき得られた膜は、厚さが3μm,窒素の組成比が
0.2原子量%から20原子量%であった。
90Si10なる組成を有する合金(直径100mm)をタ
ーゲットとして用い、スパッタ中にArとN2 ガスの混
合ガスを導入しながらRFマグネトロンスパッタ法によ
り成膜を行った。下記にスパッタ条件を示す。 スパッタ条件 到達真空度 2×10-4Pa Arガス圧 0.1Pa 投入電力 300W このとき得られた膜は、厚さが3μm,窒素の組成比が
0.2原子量%から20原子量%であった。
【0019】次に、Fe85Hf15なる組成を有する合金
(直径100mm)をターゲットとして用いて、スパッ
タ中にArとN2 ガスの混合ガスを導入しながらDCマ
グネトロンスパッタ法により成膜を行った。下記にスパ
ッタ条件を示す。 スパッタ条件 到達真空度 2×10-4Pa Arガス圧 0.5Pa 投入電力 300W このとき得られた膜は、厚さが3μm,窒素の組成比が
0.2原子量%から20原子量%であった。
(直径100mm)をターゲットとして用いて、スパッ
タ中にArとN2 ガスの混合ガスを導入しながらDCマ
グネトロンスパッタ法により成膜を行った。下記にスパ
ッタ条件を示す。 スパッタ条件 到達真空度 2×10-4Pa Arガス圧 0.5Pa 投入電力 300W このとき得られた膜は、厚さが3μm,窒素の組成比が
0.2原子量%から20原子量%であった。
【0020】以上のようにして得られたCo90Zr9 N
1 ,Co80Zr8 N12,Fe80Hf10N10,Fe79Al
13N8 ,Fe81Si8 N11の組成を有する膜について、
真空中で500℃、1時間熱処理を行い、X線回折測定
および保磁力,飽和磁束密度の測定を行った。図1に各
膜のX線回折パターンを、また表1に各膜の小角散乱強
度,飽和磁束密度,保磁力を示す。
1 ,Co80Zr8 N12,Fe80Hf10N10,Fe79Al
13N8 ,Fe81Si8 N11の組成を有する膜について、
真空中で500℃、1時間熱処理を行い、X線回折測定
および保磁力,飽和磁束密度の測定を行った。図1に各
膜のX線回折パターンを、また表1に各膜の小角散乱強
度,飽和磁束密度,保磁力を示す。
【0021】なお、X線回折の測定は、波長1.790
26ÅのCoKα放射を用いてθ−2θ法により行っ
た。また、小角散乱強度は散乱角度が2度から6度の間
に観測される散乱ピークの強度をすべて足し合わせるこ
とによって評価した。保磁力Hcは、B−Hループトレ
ーサーによって測定し、飽和磁束密度は試料振動型磁力
計によって測定した。
26ÅのCoKα放射を用いてθ−2θ法により行っ
た。また、小角散乱強度は散乱角度が2度から6度の間
に観測される散乱ピークの強度をすべて足し合わせるこ
とによって評価した。保磁力Hcは、B−Hループトレ
ーサーによって測定し、飽和磁束密度は試料振動型磁力
計によって測定した。
【0022】
【表1】
【0023】図1からわかるように、Co系非晶質膜,
Fe基合金膜においては、散乱角度が30度から80度
の高角散乱領域ではほとんど散乱強度に差はないが散乱
角度が2度から6度の小角散乱領域では膜によって散乱
強度が異なることがわかる。すなわち、このことは小角
散乱領域の散乱強度が膜の特性を判断する上での指標と
なることを示唆している。
Fe基合金膜においては、散乱角度が30度から80度
の高角散乱領域ではほとんど散乱強度に差はないが散乱
角度が2度から6度の小角散乱領域では膜によって散乱
強度が異なることがわかる。すなわち、このことは小角
散乱領域の散乱強度が膜の特性を判断する上での指標と
なることを示唆している。
【0024】また、表1において、この小角散乱領域に
おける散乱強度を指標として磁気特性を見ると、小角散
乱強度が低い膜では、熱処理後の保磁力が高く、十分な
軟磁気特性が得られないが、小角散乱強度が大きい膜で
は、熱処理後においても高飽和磁束密度,低保磁力を有
している。このことから、所定元素よりなる膜におい
て、CoKα放射を使用して測定される小角散乱強度
は、その磁気特性と密接に関連しており、小角散乱強度
が高い組成の場合に、良好な軟磁気特性,耐熱性を示す
ことがわかった。
おける散乱強度を指標として磁気特性を見ると、小角散
乱強度が低い膜では、熱処理後の保磁力が高く、十分な
軟磁気特性が得られないが、小角散乱強度が大きい膜で
は、熱処理後においても高飽和磁束密度,低保磁力を有
している。このことから、所定元素よりなる膜におい
て、CoKα放射を使用して測定される小角散乱強度
は、その磁気特性と密接に関連しており、小角散乱強度
が高い組成の場合に、良好な軟磁気特性,耐熱性を示す
ことがわかった。
【0025】次に、小角散乱領域における散乱強度と磁
気特性の関係をさらに確かなものとするために、CoZ
rN,CoNbN,CoHfN,CoTaNおよびCo
YNよりなる膜を各種組成で作成し、小角散乱強度およ
び500℃熱処理後の保磁力を測定した。その結果を図
2に示す。
気特性の関係をさらに確かなものとするために、CoZ
rN,CoNbN,CoHfN,CoTaNおよびCo
YNよりなる膜を各種組成で作成し、小角散乱強度およ
び500℃熱処理後の保磁力を測定した。その結果を図
2に示す。
【0026】図2を見て明らかなように、小角散乱領域
におけるピーク強度が小さい膜では保磁力が高く、有効
な軟磁気特性が得られていないが、ピーク強度が大きい
膜では、保磁力が小さく、良好な軟磁気特性が得られ
る。したがって、このことからも、小角散乱強度が軟磁
気特性に優れた膜を得る上での指標となることがわか
り、良好な軟磁気特性を有する膜を得るには所定の元素
よりなる膜のうち、CoKα放射を使用するX線回折測
定において、小角散乱領域のピーク強度が大きいものを
選択すればよいことが示された。
におけるピーク強度が小さい膜では保磁力が高く、有効
な軟磁気特性が得られていないが、ピーク強度が大きい
膜では、保磁力が小さく、良好な軟磁気特性が得られ
る。したがって、このことからも、小角散乱強度が軟磁
気特性に優れた膜を得る上での指標となることがわか
り、良好な軟磁気特性を有する膜を得るには所定の元素
よりなる膜のうち、CoKα放射を使用するX線回折測
定において、小角散乱領域のピーク強度が大きいものを
選択すればよいことが示された。
【0027】また、膜の小角散乱領域におけるピーク強
度は、膜作成時のスパッタ条件,ターゲット組成にほぼ
依存するので、小角散乱領域のピーク強度の大きい膜を
得るには、始めにスパッタ条件,ターゲット組成を調整
しておき、その条件で所望の膜厚となるまで続けてスパ
ッタリングを行えばよい。したがって、成膜条件を途中
で変える等の手間や時間を要さず、また特性の安定性に
も優れ、量産を行う上でも有利である。
度は、膜作成時のスパッタ条件,ターゲット組成にほぼ
依存するので、小角散乱領域のピーク強度の大きい膜を
得るには、始めにスパッタ条件,ターゲット組成を調整
しておき、その条件で所望の膜厚となるまで続けてスパ
ッタリングを行えばよい。したがって、成膜条件を途中
で変える等の手間や時間を要さず、また特性の安定性に
も優れ、量産を行う上でも有利である。
【0028】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の軟磁性膜は、所定元素よりなり、且つCoKα放射
線を使用したX線回折測定において、散乱角度2θが2
度から6度の範囲に散乱回折が観測されるので、高飽和
磁束密度,良好な軟磁気特性,耐熱性を得ることが可能
である。しかも、上記軟磁性膜は、スパッタリング法に
よって成膜するに際し、途中でスパッタ雰囲気等を変化
させる必要がないので、成膜に手間や時間をそれほど要
さず、量産に適するとともに、特性の安定性にも優れ、
コア材料として高い信頼性が得られる。
明の軟磁性膜は、所定元素よりなり、且つCoKα放射
線を使用したX線回折測定において、散乱角度2θが2
度から6度の範囲に散乱回折が観測されるので、高飽和
磁束密度,良好な軟磁気特性,耐熱性を得ることが可能
である。しかも、上記軟磁性膜は、スパッタリング法に
よって成膜するに際し、途中でスパッタ雰囲気等を変化
させる必要がないので、成膜に手間や時間をそれほど要
さず、量産に適するとともに、特性の安定性にも優れ、
コア材料として高い信頼性が得られる。
【0029】したがって、本発明によれば、メタルイン
ギャップヘッドの如き高保磁力媒体用のヘッドのコア材
料として十分対応でき、しかも生産性,特性の安定性の
上でも実用性の高い軟磁性膜を得ることが可能である。
ギャップヘッドの如き高保磁力媒体用のヘッドのコア材
料として十分対応でき、しかも生産性,特性の安定性の
上でも実用性の高い軟磁性膜を得ることが可能である。
【図1】Co系非晶質膜およびFe基合金膜についてC
oKα放射線を使用してX線回折測定を行った場合の散
乱パターンを示すものである。
oKα放射線を使用してX線回折測定を行った場合の散
乱パターンを示すものである。
【図2】各組成系における小角散乱領域における散乱ピ
ーク強度と熱処理後の保磁力の関係を示す特性図であ
る。
ーク強度と熱処理後の保磁力の関係を示す特性図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】CoXN(Xは、Nb、Ta、Zr、H
f、Yのうち、何れか一種を含む。)からなり、CoK
α放射線を使用したX線回折側定において、散乱角度が
2度から6度の範囲に散乱回折が観測され、散乱格子面
間隔が1.7nmから5nmであることを特徴とする柔
磁性膜。 - 【請求項2】FeXN(Xは、Hf、Al、Siのう
ち、何れか一種を含む。)からなり、CoKα放射線を
使用したX線回析測定において、散乱角度が2度から6
度の範囲に散乱回折が観測され、散乱格子面間隔が1.
7nmから5nmである結晶構造を含むことを特徴とす
る軟磁性膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18160691A JP3227724B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 軟磁性膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18160691A JP3227724B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 軟磁性膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH056822A JPH056822A (ja) | 1993-01-14 |
JP3227724B2 true JP3227724B2 (ja) | 2001-11-12 |
Family
ID=16103752
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP18160691A Expired - Fee Related JP3227724B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 軟磁性膜 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3227724B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08311642A (ja) * | 1995-03-10 | 1996-11-26 | Toshiba Corp | マグネトロンスパッタリング法及びスパッタリングターゲット |
-
1991
- 1991-06-27 JP JP18160691A patent/JP3227724B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH056822A (ja) | 1993-01-14 |
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