JP3227171B2 - 量子ビームの波動性と粒子性とを観測するための方法及びそれに用いられる測定装置 - Google Patents

量子ビームの波動性と粒子性とを観測するための方法及びそれに用いられる測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定方法、特に量
子ビームの波動性と粒子性とを観測するための方法、及
びそれに用いられる測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】量子力学の基本概念の一つに、光子、電
子、中性子等の量子に関する波動性と粒子性の2重性が
ある。従来それらの性質を同時に観測する試みが各種な
されてきた。しかしたとえばヤングの干渉実験におい
て、粒子性を観測すべく光子が2つのピンホールのどち
らを通過したかを検知する様な構成に改造して測定を行
なうと今度は干渉縞が得られなくなってしまう。これら
の試みは未だ成功しておらず、不確定性原理に基くと、
これら2重性の同時観測は不可能であるとされてきた
〔D.Bohm,Quantum Theory(Pr
entice Hall,New York,195
1),p.118:D.Hauschildt,Pro
blems in Quantum Physics
II;Gdansk’89,edited by J.
Mizerski et.al.(World Sci
entific Publishing,Singap
ore,1990),p.308.〕。従って、先のヤ
ングの干渉実験において、光子は2つのピンホールを同
時に通過すると解釈されている。プリーゴーとマンデル
は二つのレーザ光源からの個々の光子レベルでの干渉現
象を観測した〔R.L.Pfleegor and
L.Mandel,Phys,Rev.159(196
7),1084.〕が、この場合もおのおのの光子は両
方の光源から同時に発せられたと解釈されている〔長崎
正幸、自然24〔5〕、(1969)、p.73.〕。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様にこれら量子の
干渉実験において、量子が干渉計の2つの通路のどちら
を通ったかという事を観測しつつ干渉縞の形成も観測す
るという粒子性と波動性の同時観測ができず、上述のよ
うな解釈をするしか無かった。
【0004】本発明の目的は、不確定性原理に基づく従
来技術ではいかなる意味でもできなかった量子干渉にお
ける通路の決定と、干渉縞の観測を統計的な意味で同時
に行なえるようにする方法と、このような方法を実現す
る測定装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明は、角度差を以って
伝播する二量子ビームを所定面上に設定された二つの同
形開口領域に、二量子ビームによって形成される干渉縞
の明縞の本数が該開口領域で互いに異なるように調整し
た上で、重ね合わせた状態で入射させ、前記二つの開口
領域それぞれについて出射する二量子ビームをその伝播
方向に応じて異なった位置に収束させて個別の量子ビー
ムに分離する行程と、伝播方向に応じて分離された個別
の量子ビームそれぞれを検出するための一対の検出手段
を各々有する、前記二つの開口領域の各領域に対応した
二系統の検出部を用い、各検出手段で検出されたそれぞ
れの量子ビームの伝播方向に対応する通過経路を判別す
ることにより量子ビームの粒子性を検出するための第一
検出行程と、前記所定面における量子ビームの干渉縞発
生を、前記二系統の検出部それぞれで得られる一対の検
出手段の出力和同士の比較に基づいて、前記二つの開口
領域の各領域に対応した量子ビームの受光量の偏りとし
て検出することにより量子ビームの波動性を検出するた
めの第二検出行程とを有することを特徴とする。
【0006】
【0007】更に本発明は、角度差を以って伝播する二
量子ビームを重ね合わせた際に該二量子ビームによって
形成される干渉縞の明縞の本数が互いに異なるように入
射されるべき、所定面上の二つの同形開口領域を規定す
る開口手段と、前記二つの開口領域それぞれについて出
射する二量子ビームをその伝播方向に応じて異なった位
置に収束させて個別の量子ビームに分離する分離手段
と、伝播方向に応じて分離された個別の量子ビームそれ
ぞれを検出するための一対の検出手段を各々設けた前記
二つの開口領域の各領域に対応した二系統の検出部と、
各検出手段で検出されたそれぞれの量子ビームの伝播方
向に対応する通過経路を判別することにより量子ビーム
の粒子性を検出するための第一検出行程、及び前記所定
面における量子ビームの干渉縞発生を、前記二系統の検
出部それぞれで得られる一対の検出手段の出力和同士の
比較に基づいて、前記二つの開口領域の各領域に対応し
た量子ビームの受光量の偏りとして検出することにより
量子ビームの波動性を検出するための第二検出行程とを
実行する手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【実施例】本発明の第一の実施例を図1に示す。同図は
量子ビームとしてレーザー光を選んだ場合を示す。また
干渉計としてはマイケルソン干渉計を用いた。1は波長
633nmのHe−Neレーザー、2はレーザービー
ム、3は例えば顕微鏡対物レンズでコリメーターレンズ
4の前側焦点位置に点光源を発生させ、従って、コリメ
ーターレンズ4からは、拡張された平行光束5が出射す
る。6は半透鏡で入射光束を1:1に分割し、反射鏡
7、8に導く。9は半透鏡6を透過後、鏡7、半透鏡6
で夫々反射された平行光束、10は半透鏡6と鏡8で反
射した後、半透鏡6を透過した平行光束で(光束10は
破線で示す)、光束9と10が重なった空間には、干渉
縞が生成する。11は干渉縞の観測面を兼ねるスクリー
ンであり、同観測面上には次式で示す干渉縞が存在す
る。
【0009】 I(x,y)=Im[1+cos(kθx+δ)]/2…(1)
【0010】(1)式において、k=2π/λ,δは一
定の位相項、θ(θ<<1)は、光束9と10がなす角
度(即ちここでは鏡8における光束10の入射方向と反
射方向のなす角度)、Imは干渉縞の最大強度である。
図2にスクリーン11の平面図を示す。図2に示したよ
うにスクリーン11上には幅4a、高さ2bの矩形開口
29を設ける。この開口の直後に、2枚の光学楔12、
13を、薄い方の端部同士接合し、接合面14が前記矩
形開口を2等分するように配置する。本実施例では2a
=15mm,2b=25mm、楔角11.4′である。
図1に戻り、楔12、13の直後に焦点距離f=500
mmのコリメーターレンズ15を置く。従って、スクリ
ーン面11に入射した光束は、矩形開口により回折さ
れ、光学楔により±5.9′偏向され、レンズ15によ
り、焦点面20上の2組の焦点(21、22)、(2
3、24)上に収束する。焦点21、23は光束9によ
る焦点、焦点22、24は光束10による焦点である。
焦点面上に入射した光は、各焦点21〜24のそれぞれ
の周囲にフラウンホーファー回折パターンI(21),
I(22),I(23),I(24)となって分布する
はずである。
【0011】幅2a,高さ2bのフラウンホーファー回
折パターンは、次式
【0012】
【外1】 で与えられる。ここでU(P)は振幅分布、Ioはパタ
ーンの中心強度である。I(21)〜I(24)をそれ
ぞれ焦点21〜24付近の回折強度分布とすると光学楔
により十分偏向された2組の回折強度分布(I(2
1),I(22))と(I(23),I(24))は、
焦点面20上で約1.7mm離れており、相互の干渉は
無視できる。焦点21〜24に集光した夫々の光束は、
(2)式で与えられる強度分布の中心の山の幅(ここで
【0013】
【外2】 に相当するスリット開口をもつディテクター25〜28
で測定する。実際に用いたスリット幅は40μmでこれ
は中心の山の幅の95%に当たる。これらのディテクタ
ー25〜28の出力値をI〔21〕,I[22],I
[23],I[24]とする。この前面に開口29を有
する楔12、13、レンズ15、ティテクター25〜2
8が1組の光束分割分離測光系を形成する。尚開口29
の位置は楔12、13の後側でも良い。
【0014】光の粒子性と波動性の同時測定のために事
前に干渉計を2段階で調整する。その調整とは干渉縞の
観測面上における2つの同形の矩形開口Ae,Ar(図
2で示す)と、(1)式で与えられる干渉縞とのx軸上
における相対的位置関係の調整である。調整の第一段階
は、開口の幅2a内に含まれる干渉縞の本数Nを奇数の
1/2、即ち
【0015】N=2a/l=(2n+1)/2…(3)
【0016】とすることである。ここでn=0,1,2
…とし、l=λ/θは(1)式の干渉縞の1周期の長さ
である。この調節は、たとえばミラー8の傾きを調整す
る事により可能となる。第2の調整は干渉縞のピーク位
置を一方の開口Aeの中心に位置させる事である。この
時他方の開口の中心位置には干渉縞のボトムが位置する
ようになる。この調整は、たとえばミラー8を光束10
方向に前後することにより可能となる。これらミラー8
の傾き、位置調整は周知のアクチュエータ8aで行な
う。図3はこの時の開口29上での光強度I(x)の分
布を示す。図3の場合はn=2,従って一つの開口に含
まれる干渉縞の周期は、2.5周期となっている。図3
で示される様に開口Aeには明縞が3本、開口Arには
2本できる。以上ですべての調整を終る。
【0017】次に粒子性と波動性の測定について説明す
る。測定はI[25]〜I[28]を入力されたプロセ
ッサー100により行なう。後述する他の実施例ではプ
ロセッサーを省略する。
【0018】出力I[25]とI[27]は、光束9に
より形成される強度分布I(25)とI(27)の中心
ピークの光強度の測定値であり、この出力に寄与してい
る光子は、光路9を通ったと結論される。同様に、出力
I[26]とI[28]は光路10を通ったと結論でき
る。従ってI[25]とI[27]、I[26]とI
[28]、それぞれの組の出力別に光子をカウントする
事により光路9、10各々の光子の通過状態がわかり、
光の粒子性が確認される。但しこの測定には若干の誤差
が含まれる。それについて図4を用いて説明する。図4
はI(25)(実線)とI(26)(破線)の回折強度
分布を示す。厳密に云えば図4に示すようにI(25)
とI(26)は強度分布のすそが重なり合っており、相
互に干渉を起す。即ち真の強度分布はI(25)=|U
(25)|2,I(26)=|U(26)|2として、I
act=|U(25)+U(26)|2で与えられる。この
様に、出力I[25]には、光路10を通った光子が数
%まぎれ込む。出力I[25]を、光束9、10の夫々
にどう振り分けるかを考えた時、局所的なエネルギー保
存、あるいはビームレシオの保存の観点からみて夫々の
強度分布が干渉することなく独立に存在するとした図4
の分布に基づいて計算するのが最も合理的である。従っ
て観測点25を中心にスリット巾−0.95π≦X′≦
0.95πの範囲でI(25)を示す式(sinc
X′)2≡(sinX′/X′)2とI(26)を示す式
{sinc(X′−2.5π)}2との定積分を比較す
ると、結局、出力I[25]に寄与する光子として、光
路9を通ったものは、98.1%であることがわかる。
尚、ここでkax′=X′の変換を行なった。他の出力
I[26]〜I[28]についても、主に寄与する光子
の割合は同様に98.1%である。従って本装置におけ
る光子の光路確定の正確度は98.1%となる。ちなみ
に測定では97.3%であった。
【0019】次に波動性の測定について説明する。
【0020】比R2≡(I[25]+I[26])/
(I[27]+I[28])を設定したときこの比は開
口Aeと開口Arを通った光量の比即ちR1≡I[A
e]/I[Ar]に等しいはずである。R1については
図3からわかるように、干渉縞が存在すれば開口Ae、
Arで明縞の数に偏りがあるのでR1=1にはならな
い。具体的にはR1=1.29になる。干渉縞が存在し
なけばR1=1.0になる。実測値I[25]=39.
3μW,I[26]=40.3μW,I[27]=3
0.0μW,I[28]=31.5μWからR2=1.
29が得られた。この光量の偏りにより開口29部で干
渉縞の発生が確認された事になる。念の為、ビーム9、
10を独立に入射させた時の出力からは、R2=1.0
4±0.01が得られた。この結果は観測面11上に干
渉縞が存在していることを示す事になる。
【0021】以上詳しく説明したように、本装置を用い
れば4つの出力値I[25]〜I[28]だけから、光
子の通過光路の決定、即ち光の粒子性の確認と、干渉縞
の存在確認、即ち光の波動性の確認が同時に行なえるこ
ととなる。
【0022】本実施例では干渉計としてマイケルソン干
渉計を用いたが図1に示したスクリーン11以降の光束
分割分離測光系は、他の平行光束に近い光束同士を干渉
させる干渉計、たとえばマッハツェンダー干渉計等には
そのまま好適に用いることができる。
【0023】また、本実施例で観測する見掛け上の干渉
縞は、実際に観測面に存在する干渉縞の5倍の周期をも
ち、ビジビリティーも1より小さい。そして2つの開口
の幅を合わせた長さは丁度見掛け上の干渉幅の1周期分
に相当する。しかし必要に応じ、一組の光束分割分離測
光系の左右片方ずつを最小単位として、それを一系列以
上追加配置してもよい。
【0024】本発明の第2の実施例について図5を用い
て説明する。図5において用いられる干渉計はマイケル
ソン干渉計であり、図1と異なるのは、光束分割分離測
光系の部分である。本実施例では分割と分離を焦点距離
f′の1組のレンズ30、31が請け負う。この場合の
矩形開口とレンズの位置関係を図6に示す。レンズ3
0、31の接合面32は、図2と同様、矩形開口29を
幅2a、高さ2bの2つの矩形開口Al,Arに2等分
する。再び図5にもどると、本実施例においても、光束
分割分離測光系により、レンズ30、31の焦点面33
上の4つの焦点21′〜24′の夫々にフラウンホーフ
ァー回折パターンが生ずる。焦点21′〜24′に集光
する光束は夫々ディテクタ25〜28で検出される。粒
子性と波動性の同時測定は、図1で説明した内容と全く
同様に可能となる。本実施例においても、光束分割分離
測光系は見掛け上の干渉縞の1周期分しか配されていな
いが、必要に応じ一つのレンズとそれに対応した2つの
ディテクタを含む光束分割分離測光系の左右半分ずつを
最小単位として、それを1系列以上複数追加配列しても
良い。また、本実施例の光束分割分離測光系はマッハツ
ェンダー干渉計等とも組合せ用いることができる。
【0025】本発明の第3の実施例について図7を用い
て説明する。本実施例は異なるレーザー光源同志の干渉
現象を測定している。一方のレーザー光源1と、光束拡
張光学系3、4、及び干渉縞の観測面11以降の光束分
割分離測光系とは、図1と同様である。35は第2のH
e−Neレーザー光源、37、38はその光束拡張光学
系であり、34は半透鏡である。レーザー光源1よりの
平行光束は、半透鏡34に反射され光束9となり、レー
ザー光源35からの平行光束は、半透鏡34を透過した
光束10′となる。それぞれの光束は焦点21″〜2
4″で集光し、ディテクタ25〜28が検出される。2
光束のなす角度はθとする。本装置において観測面11
上の干渉縞と、それを形成する光子がどちらのレーザー
光源から発したかとを同時に検出する方法については図
1の実施例について説明した方法と同様である。しかし
同一光源からの2光束干渉と異なり、光束9と光束10
との間の位相差は時間的に変動する。従って、レーザー
光の強度が強く観測が極く短時間で終了する場合以外
は、観測面11上の干渉縞が横方向に移動する事を考慮
しなければならない。その場合においても、観測面11
上に干渉縞が出来ているか否かはIe(≡I[25]+
I[26])とIr(≡I[27]+I[28])との
間に負の相関があるか否かを検出する事により判定でき
る。負の相関とはIeが大きい時はIrは小さく、Ir
が大きくなればIeは小さくなるという関係である。干
渉縞がなければIe=IrであるからIe≠Irを検出
する事で縞が確認ができる。本実施例においても、一つ
の光学楔とそれに対応したディテクター2つを含む光束
分割分離測光系の左右半分ずつを最小単位としてそれを
1以上複数追加配列してもよい。
【0026】本発明の第4の実施例について図8を用い
て説明する。本装置の干渉計の部分は、ヤングの干渉計
とでも云うべきものである。39はレーザービーム、4
0はスクリーンで小径のピンホール41、42が僅か離
れて並んでいる。ピンホール41からは回折波43が出
射し、ピンホール42からは同じく回折波44(破線)
が出射し、第2のスクリーン45上に干渉縞が生ずる。
スクリーン45上には矩形開口が開いており、その直後
に光束分割分離測光系を形成するレンズ46、47と受
光素子57〜60が配されている。矩形開口と2枚のレ
ンズ46、47との位置関係は、図6とほぼ同様であ
る。第1、第2、第3の実施例と異なり干渉を起こす2
つの光束43、44が発散球面波となっている。従っ
て、ここではレンズ46、47が結像レンズとなってお
り、スクリーン40上の2つのピンホール41、42を
結像面52上に53、54及び55、56として夫々結
像する。第2のスクリーン45上の干渉縞と2つの開口
との位置関係を図3で示したのと同様に設定すれば、第
1実施例での説明と同様に4つのディテクター25〜2
8の出力から、干渉縞の存在と干渉縞を形成する光子が
41、42のピンホールのどちらを通過したかを同時に
検出できる。
【0027】第5実施例は、干渉縞の検出感度を向上で
きる開口形状に関するもので、図9を用いて説明する。
図9上側は干渉光強度分布、下側はその分布に対して示
された開口である。たとえば、本実施例を第1の実施例
に適用する場合、干渉縞強度I(X′)の分布と幅2a
の2つの開口との位置関係は図9の上側に示すようにな
っている。このとき、スクリーン面上での開口形状を図
9の下側に示すAe,Arのように両端の幅2a/5に
関し高さをそれ以外の部分の高さCの2倍の2Cとす
る。このようにすると図1の実施例のように単純な矩形
開口ではR1=I[Ae]/I[Ar]=1.29であ
ったが、本実施例ではR1=(7π+6)/(7π−
6)=1.75となり感度が1.35倍向上しているこ
ととなる。本実施例の開口を用いても、干渉縞ができて
いなければR1=1である。一般的に明るい縞の多い開
口の明るい縞の部分の透過光量が増す様な開口形状にお
いては他方の開口では暗い縞の部分の透過光量が増し、
両開口間の透過光量差が増幅され干渉縞の検出感度を上
げる事ができる。従ってさらに図9の下側において、点
線で示したように夫々の開口の中央部において幅2a/
5にわたり高さを2cにすれば、更に感度を高められ
る。本実施例の開口形状は第2〜第4の実施例にも適用
できる。
【0028】本発明を電子ビームに適用した場合を図1
0により説明する。61は電子ビーム源、62は電子レ
ンズ、63は絞りで、64はより干渉性の高い二次電子
ビーム源、65、66、67は電子線複プリズムで電極
65には電極66、67に対し数Vの正圧をかけてあ
る。これらのプリズム作用により64から出射した電子
ビームは68、69の電子ビーム源から出射したかのよ
うな二本の電子ビームに分割され観測面74に干渉縞を
生成する。観測面74の直後には第2の電子線複プリズ
ム75、76、77が設けられているが、電極75に
は、電極76、77に対し数Vの負圧がかけてある。第
2の電子線複プリズムにより電子ビームは更に分割され
70〜73の4本の電子ビームが生ずるが、プリズムの
直後に設置された第2の電子レンズ78により、夫々、
79〜82に収束する。79〜82に配した4つのディ
テクターの出力から第1実施例と同様にして電子ビーム
の粒子性と波動性の同時検出が可能となる。尚、本実施
例においてはディテクター79〜82が電子ビームを受
ける事を受光と呼ぶものとする。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、こ
れまで観測方法が存在しなかった、光子、電子等の量子
の波動性と粒子性の統計的な意味での同時観測が極めて
容易に行なえるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を光子に適用した装置の概略図である。
【図2】図1の装置における開口と光束分割・偏向手段
との位置関係を示す図である。
【図3】図1の装置における開口と干渉縞の位置関係を
示す図である。
【図4】図1の装置におけるレンズ焦点面上のフラウン
ホーファー回折パターンを示す図である。
【図5】別の光束分割分離手段を有する本発明の装置の
概略図である。
【図6】図5の装置において、開口と、光束分割分離手
段との位置関係を示す図である。
【図7】異なる光源からの干渉縞に適用した本発明の装
置の概略図である。
【図8】いわゆるヤングの干渉実験に適用した本発明の
装置の概略図である。
【図9】干渉縞の検出感度を高めるための開口形状の一
例を示す図である。
【図10】本発明を電子に適用した装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 レーザー光源 3、4 光束拡張光学系 5 平行光束 6 半透鏡 7、8 鏡 11 干渉縞の観測面 12、13 光学楔 15 レンズ 21〜24 光束収束位置 25〜28 光検出器 29 開口部 30、31 光束分割・分離用レンズ 35 レーザー光源 39 レーザービーム 41、42 ピンホール 46、47 光束分割分離用レンズ 61 電子ビーム源 62 電子レンズ 65〜67 電子線複プリズム 74 電子線干渉縞の観測面 75〜77 電子線複プリズム 78 電子レンズ 79〜82 電子ビーム収束位置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角度差を以って伝播する二量子ビームを
    所定面上に設定された二つの同形開口領域に、二量子ビ
    ームによって形成される干渉縞の明縞の本数が該開口領
    域で互いに異なるように調整した上で、重ね合わせた状
    態で入射させ、前記二つの開口領域それぞれについて
    射する二量子ビームをその伝播方向に応じて異なった位
    置に収束させて個別の量子ビームに分離する行程と、伝
    播方向に応じて分離された個別の量子ビームそれぞれを
    検出するための一対の検出手段を各々有する、前記二つ
    の開口領域の各領域に対応した二系統の検出部を用い、
    各検出手段で検出されたそれぞれの量子ビームの伝播方
    向に対応する通過経路を判別することにより量子ビーム
    の粒子性を検出するための第一検出行程と、前記所定面
    における量子ビームの干渉縞発生を、前記二系統の検出
    部それぞれで得られる一対の検出手段の出力和同士の比
    較に基づいて、前記二つの開口領域の各領域に対応した
    量子ビームの受光量の偏りとして検出することにより量
    子ビームの波動性を検出するための第二検出行程とを有
    することを特徴とする測定方法。
  2. 【請求項2】 角度差を以って伝播する二量子ビームを
    重ね合わせた際に該二量子ビームによって形成される干
    渉縞の明縞の本数が互いに異なるように入射されるべ
    き、所定面上の二つの同形開口領域を規定する開口手段
    と、 前記二つの開口領域それぞれについて出射する二量子ビ
    ームをその伝播方向に応じて異なった位置に収束させて
    個別の量子ビームに分離する分離手段と、 伝播方向に応じて分離された個別の量子ビームそれぞれ
    を検出するための一対の検出手段を各々設けた前記二つ
    の開口領域の各領域に対応した二系統の検出部と、 各検出手段で検出されたそれぞれの量子ビームの伝播方
    向に対応する通過経路を判別することにより量子ビーム
    の粒子性を検出するための第一検出行程、及び前記所定
    面における量子ビームの干渉縞発生を、前記二系統の検
    出部それぞれで得られる一対の検出手段の出力和同士の
    比較に基づいて、前記二つの開口領域の各領域に対応し
    た量子ビームの受光量の偏りとして検出することにより
    量子ビームの波動性を検出するための第二検出行程とを
    実行する手段 とを有することを特徴とする測定装置。
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