JP3227133U - 擬似餌 - Google Patents

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Abstract

【課題】水環境に優しく光沢や柔軟性、靱性、加工性にも優れた樹脂製擬似餌を提供する。【解決手段】釣り用の擬似餌であって、魚の餌である小魚、甲殻類、ザリガニ、イカ、タコ、オタマジャクシ、ミミズ、カエル、昆虫などの生物に似た外観形状を呈してなり、疑似餌本体が熱可塑性樹脂組成物により構成され、該熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分を含み、ポリ乳酸樹脂100質量部に対してアイオノマー樹脂を2〜20質量部含み、熱可塑性樹脂組成物に含まれる柔軟成分の含有量がアイオノマー樹脂の含有量よりも少なく、熱可塑性樹脂組成物中には艶消し剤を含まない。【選択図】図1

Description

本考案は、光沢や仕上げ加工性、耐久性に優れた釣り用の樹脂製擬似餌に関するものである。
従来、釣り用擬似餌本体には金属、木材、樹脂など様々な材料が用いられている。コストや加工性の観点で樹脂製が広く用いられる。また、海や河川、湖などの水環境への汚染防止のために一部で生分解性樹脂やバイオマスプラスチックが使用されている。例えば、特許文献1は、ルアー本体に生分解性樹脂を使用することによって、環境に優しいルアーを提案している。特許文献1には、生分解性樹脂のなかでも化学合成樹脂として、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸を例示しているが、ポリブチレンサクシネートは、環境安定性の観点で取扱い性が難しく、塗装することによって分解抑制することを言及しているものの実使用における擦傷箇所などから生分解が進む恐れがある。また、ポリ乳酸樹脂は、比較的に環境安定性に優れた生分解性樹脂であるが、比較的硬くて脆い性質を有することから、耐久性や加工性に課題がある。
近年、3Dプリンターの普及が進み、低価格機種は個人向けで多く出回っている。3Dプリンターを用いて日用品、玩具、レジャー用品を自作する取組みが進んでおり、光硬化型レジンや熱可塑性樹脂を用いるタイプの3Dプリンターでの樹脂製ルアーの製作事例もある。熱可塑性樹脂を用いるタイプの一種に材料押出型3Dプリンターがあり、造形材料としてアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)やポリ乳酸などの線状体やペレットが用いられるが、ABSは環境配慮の観点で問題があり、ポリ乳酸樹脂は靱性や加工性の不足が課題である。市販のポリ乳酸樹脂製線状体では可塑剤等を配合して靱性や加工性を改善したものがあるが、ポリ乳酸樹脂中に異物を混練することから色調が濁って不透明化していることから、このような改良されたポリ乳酸樹脂製線状体をルアー用に適用しようとしても、ルアーに求められる魚などの水生生物の表面感に近い光沢や透明感が不十分である。
特開平10−248440号公報
本考案は、かかる問題に鑑み、水環境に優しく、光沢や柔軟性、靱性、加工性にも優れた樹脂製擬似餌を提供することを目的とする。
本考案者らは、上記課題を解決するために検討した結果、ポリ乳酸樹脂にアイオノマー樹脂と柔軟成分と特定量配合することによって、上記課題が達成されることを見出し、本考案に到達した。
すなわち、本考案の要旨は下記の通りである。
(1)釣り用の擬似餌であって、魚の餌である小魚,甲殻類,ザリガニ,イカ,タコ,オタマジャクシ,ミミズ,カエル,昆虫などの生物に似た外観形状を呈してなり、疑似餌本体が熱可塑性樹脂組成物により構成され、該熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分を含み、ポリ乳酸樹脂100質量部に対してアイオノマー樹脂を2〜20質量部含み、熱可塑性樹脂組成物に含まれる柔軟成分の含有量がアイオノマー樹脂の含有量よりも少なく、熱可塑性樹脂組成物中には艶消し剤を含まないことを特徴とする擬似餌。
(2)上記(1)の擬似餌において、柔軟成分が、エステル系、スチレン系、アクリル系の少なくともいずれか1種からなることを特徴とする請求項1に記載の擬似餌。
(3)上記(1)または(2)の擬似餌において、擬似餌本体が材料押出型3Dプリンターによる造形物であることを特徴とする擬似餌。
(4)請求項1〜3の擬似餌を得るための3Dプリンター用造形材料であって、該材料は、直径0.5〜5mmの線状体であって、該線状体は熱可塑性樹脂組成物により構成され、該熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分を含み、ポリ乳酸樹脂100質量部に対してアイオノマー樹脂を2〜20質量部含み、熱可塑性樹脂組成物に含まれる柔軟成分の含有量がアイオノマー樹脂の含有量よりも小さく、熱可塑性樹脂組成物中には艶消し剤を含まないことを特徴とする擬似餌を得るための造形材料。
本考案によれば、ポリ乳酸樹脂にアイオノマー樹脂および柔軟成分を特定量配合したものであるため、光沢、靱性および加工性に優れ、かつ環境に配慮した擬似餌を提供することが可能となる。
本考案は、釣り用の擬似餌である。擬似餌は、魚類の釣りに用い、所望の魚を釣るためのものであって、その外観は、魚の餌である小魚,甲殻類,ザリガニ,イカ,タコ,オタマジャクシ,ミミズ,カエル,昆虫などの生物に似た形状、色合いを呈している。そして、疑似餌は、上記した魚の餌に似た外観を有する本体と、その本体に釣糸を係止するための止め輪や釣り針を装着するためのリングを有する。
本考案においては、擬似餌本体が熱可塑性樹脂組成物により構成され、樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分とを含む。
ポリ乳酸樹脂としては、例えば、ポリ(L−乳酸)樹脂、ポリ(D−乳酸)樹脂、これらの混合物、および2種以上の共重合成分を含む共重合体樹脂を挙げられ、中でも、成形性の観点から、ポリ(L−乳酸)樹脂を主体とするポリ乳酸樹脂が好ましい。ポリ(L−乳酸)樹脂を主体とするポリ乳酸樹脂は、D−乳酸の含有量が10モル%以下であることが好ましく、6モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂は、成形性の観点から、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.3〜40g/10分であることが好ましく、成形方法が材料押出法3Dプリンターである場合は1〜15g/10分であることがより好ましく、2〜12g/10分であることがさらに好ましい。
このようなポリ乳酸樹脂としては、市場では、NatureWorks社製のポリ乳酸樹脂「4032D」(MFR:3g/10分)、「3001D」(MFR:10g/10分)、「4060D」(MFR:3.5g/10分)、「6201D」(MFR:10g/10分)、「6202D」(MFR:10g/10分)、「6400D」(MFR:3g/10分)、「6251D」(MFR:30g/10分)、「6100D」(MFR:11g/10分)が挙げられる。上記した種々のMFR等の異なるポリ乳酸樹脂を適宜混合して用いてもよい。
本考案における樹脂組成物には、アイオノマー樹脂を含有する。ポリ乳酸樹脂にアイオノマー樹脂を配合することにより、柔軟性が向上し、研磨性と成形加工性が向上する。アイオノマー樹脂とは、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体の分子間を、金属イオンで分子間結合した樹脂である。α−オレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が挙げられ、金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオンが挙げられる。アイオノマー樹脂の中でも、ポリ乳酸樹脂との相溶性が良好で、造形性が非常に高く、3Dプリンター用の造形材料として線状体を得る場合の製糸性が良好であることから、金属イオンがナトリウムイオンであるアイオノマー樹脂が好ましい。
アイオノマー樹脂は、製糸性の観点から、温度190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが、8g/10分以下であることが好ましく、4g/10分以下であることがより好ましく、2g/10分以下であることがさらに好ましい。
本考案において、ポリ乳酸樹脂のMFR値は、アイオノマー樹脂のMFR値よりも大きいことが望ましい。ポリ乳酸樹脂のMFR値がアイオノマー樹脂のMFR値よりも小さい場合、溶融混練された際の流動性が悪化し、成形性が低下する。例えば、3Dプリンター用造形材料としての線状体を製糸する際の均一性が低下し、線状体の長手方向で線径の斑が大きくなり、3Dプリンターを用いて造形時に供給量(吐出量)が変動し、正確な寸法で造形物である疑似餌が得られなくなることがあるので好ましくない。
アイオノマー樹脂は、具体的に、市場で入手できるものとしては、例えば、三井・デュポンポリケミカル社製 商品名「ハイミラン1706」(ナトリウムイオン中和エチレンメタクリル酸共重合樹脂、MFR:0.9g/10分)、「ハイミラン1855」(MFR:ナトリウムイオン中和エチレンメタクリル酸共重合樹脂、MFR:1.0g/10分)が挙げられる。
アイオノマー樹脂の配合量は、ポリ乳酸樹脂を100質量部に対して2〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜15質量部である。2質量部より少ないと、柔軟性や加工性の改善効果が低くなるため好ましくなく、20質量部超えると光沢や透明性が不十分となるため不適である。
本考案における樹脂組成物は、柔軟性や加工性をより改善するために柔軟成分を含有することが必要である。柔軟成分は、ポリ乳酸樹脂との相溶性が良好で、透明性にも優れるものであって、エステル系、スチレン系、アクリル系から選定することが望ましく、一種または複数種を併用してもよい。なかでもエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂を好ましく用いることができる。これらの柔軟成分を含有させることにより、柔軟性と加工性が改善するうえに、その詳細は不明であるが、光沢感と艶感を具備させることができ、生きの良いイメージを有する擬似餌を得られることができる。
柔軟成分として、より具体的には、BASF社製 商品名「エコフレックス」(ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフターレート共重合体)、クラレ社製 商品名「クラリティ」(アクリル系ブロック共重合体)、三菱ケミカル社製 商品名「テファブロック」(スチレン系熱可塑性エラストマーまたはエステル系熱可塑性エラストマー)、大八化学社製 商品名「ダイファティー101」(混基二塩基酸エステル)などが挙げられる。
樹脂組成物中における柔軟成分の含有量は、アイオノマー樹脂の含有量よりも小さいことが必要である。柔軟成分の含有量が、アイオノマー樹脂の含有量を上回ってしまうと、光沢と柔軟性を併せ持たせることが困難になり、本考案の目的が達成できなくなる。また、柔軟成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂を100質量部に対して0.5〜4.5質量部であることが好ましい。0.5質量部より少ないと、柔軟性や加工性の改善効果が十分に発揮できず、4.5質量部を超えると光沢や透明性が不十分となる。
本考案における樹脂組成物は、光沢や透明性を高めるため、酸化チタンやタルクなどの艶消し剤を含まないことも重要である。
また、本考案における樹脂組成物には、本考案の目的を損なわない範囲で、染料、顔料等の着色剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、紫外線防止剤、光安定剤、防曇剤、防霧剤、可塑剤、難燃剤、着色防止剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、防湿剤、酸素バリア剤、結晶核剤、相溶化剤等の添加剤を含有させてもよい。これらの添加剤は、上記のうち1つを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。添加剤の粒径は、特に材料押出型3Dプリンターでの成形を行う場合はプリンターのノズル径によって許容範囲が異なるが、3Dプリンター用ノズルの閉塞防止や、線状体の製糸性、樹脂組成物の光沢維持のために10μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。
本考案における樹脂組成物は、上記したポリ乳酸樹脂、アイオノマー樹脂および柔軟成分を混合したものである。これらを混合するには、単軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等の一般的な混練機を使用することができ、中でも、混練状態の向上のため、二軸の押出機を使用することが好ましい。樹脂組成物は、例えば、シリンダー温度160〜230℃、ダイス温度180〜240℃の条件で、これらの樹脂を溶融混練して押出して、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットする方法で作製することが好ましい。
上記した樹脂組成物からなる擬似餌本体の成形方法は特に限定されないが、射出成形、押出成形、プレス成形、真空成形、ブロー成形、材料押出型や粉末床溶融結合型の3Dプリンターなどが例示される。特に材料押出型の3Dプリンターは機器の導入コストが低く、成形法とポリ乳酸系の材料との相性もよいため好ましい。樹脂組成物からなる擬似餌本体、または材料押出型3Dプリンターで成形する場合の中間材料として樹脂組成物からなる線状体(直径0.5〜5mm、好ましくは直径1.75mm〜2.85mm)やペレットなどを成形する際は、前述の通り、所定の配合比率の樹脂組成物を事前に混練して準備する方法が最も好ましいが、ポリ乳酸樹脂に対してアイオノマー樹脂およびまたは柔軟成分を高濃度に配合したマスターバッチを作製し、ポリ乳酸樹脂にマスターバッチを適量添加したもので成形する方法や、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分とを所定比率でドライブレンドしたもので直接成形する方法を用いてもよい。
擬似餌を得るための中間材料として、材料押出型3Dプリンター用の線状体を準備する場合、一般的な溶融押出型の紡糸装置を使用すればよく、未延伸のものでも、延伸したものでも使用できる。例えば、上記した樹脂組成物を、180〜220℃で溶融し、定量供給装置でノズル孔から押出し、これを20〜80℃の液浴中で冷却固化後、紡糸速度1〜50m/分で引き取り、ボビン等に巻き取る方法が挙げられる。なお、線状体の形状にする際、1.0倍を超え5.0倍以下の倍率で延伸を施してもよい。延伸倍率は1.0倍を超え4倍以下であることがより好ましい。延伸することにより、得られる線状体の耐屈曲性を向上させることができる。線状体の延伸は、紡糸したものを一度巻き取ってからおこなってもよく、また、紡糸後に巻き取らず、紡糸に続いて、連続的に延伸してもよい。延伸に際して、適度な加熱延伸、熱処理を施すと、より安定した線状体が形成され、形成された線状体は、強度が増加し、線状体の表面の平滑性が向上する。図2に、線状体の造形材料の概略斜視図を示す。線状体(造形材料)は、連続しておりリールに巻かれている。
本考案の擬似餌は、擬似餌本体は、少なくとも上記した樹脂組成物によって構成されるものであり、他に針、ワイヤー、重錘、金具、コーティング、種々の色付け、装飾品などを附帯させることも可能である。
実施例で造形した擬似餌の概略図である。 本考案の擬似餌を得るための造形材料を示す概略斜視図である。造形材料は、線状体を呈し、連続したものであり、リールに巻かれている。
以下、本考案を実施例によって具体的に説明するが、本考案はこれらによって限定されるものではない。
樹脂組成物および成形品の評価は、以下の方法によりおこなった。
(1)ポリ乳酸樹脂、アイオノマー樹脂のメルトフローレート(MFR)
東洋精機製作所社製メルトインデクサーF−B01を用いて、JIS K 7210に準拠して測定した。試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。
(2)研磨性
樹脂組成物からなる直径1.75mm、長さ80mmの円柱状の試験片を用意し、予め試験片質量(研磨前質量(g))を測定した。試験片を十分な剛性を有する2枚の板材を用意し、一方の板材(ア)は位置を固定し、他方の板材(イ)は板材(ア)と向かい合って設置し、板材(ア)の方向へ押圧しながら水平方向へ速度120rpm、ストローク長45mmで往復運動できるものである。板材(ア)上に試験片を両面テープで固定した。この時、板材(イ)のストローク方向と試験片の長手方向が一致するように固定する。一方、板材(イ)上にサンドペーパー(#30)を幅15mmに切り出したものを両面テープで固定した。この時、サンドペーパーの幅方向と板材(イ)のストローク方向が一致するように固定するとともに、サンドペーパーの長さは、板材(イ)がストローク長45mmで往復運動してもサンドペーパーが試験片に常に接触できるよう十分な長さとする。次に、試験片の側面にサンドペーパーが接触するように板材(ア)と(イ)を接圧1.5kgで押し合わせた状態で、速度120rpm、ストローク長45mmで5回の往復運動を行い、試験片側面をサンドペーパーで擦傷させた。試験片を取り出し、試験片に付着した削れカスをエアダスターと刷毛で軽く取り払い、試験片質量(研磨後質量(g))を測定した。研磨前後での質量差を求め((研磨前質量)−(研磨後質量))、この値を研磨量(g)とし、成形品の加工性のための研磨性の指標とした。
本考案においては、研磨量が、ポリ乳酸のみから構成される比較例1の試験片の研磨量で除した値が1.2以上であるものを合格とした。
(3)柔軟性
実施例1〜3、比較例1,2により得られた線状体を造形材料として、材料押出型3Dプリンター(XYZプリンティング社製「ダヴィンチプロ1.0」)を用いて長さ80mm×幅10mm×高さ4mmの試験片を成形した。成形時のプリンターノズル温度は220℃、ベッド温度は40℃、内部充填率は100%とした。得られた試験片について、曲げスパン64mm、試験速度2mm/秒で曲げ弾性率を測定した。
本考案においては、擬似餌本体を実用する際の取扱い性や耐久性を鑑みて、2.5GPa以下を合格とした。
(4)靱性
本考案においては、擬似餌本体を実用する際の取扱い性や耐久性を鑑みて、柔軟性の測定と同様にして曲げ試験を行い、試験片への伸度が10%に達したときに、試験片が破断したものを×、長さ3mm以上のクラックが入ったものを△、それ以外を○として評価した。
(5)光沢
実施例1〜3、比較例1,2により得られた線状体を造形材料として、材料押出型3Dプリンター(XYZプリンティング社製「ダヴィンチプロ1.0」)を用いて、小魚の外観を呈する長さ約7cmの擬似餌を造形した。得られた擬似餌の外観を観察し、十分な光沢や透明性を有するものを○、光沢や透明性がやや不足しているものを△、光沢や透明性がまったく足りないものを×として評価した。
<原料>
実施例、比較例に用いた原料は、以下の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂〕
(1)3001D(NatureWorks社製、MFR:11g/10分)
(2)6400D(NatureWorks社製、MFR:3g/10分)
〔アイオノマー樹脂〕
(1)ハイミラン1706(三井デュポンポリケミカル社製アイオノマー、ナトリウムイオン中和型エチレンメタクリル酸共重合樹脂、MFR:0.9g/10分)
(2)ハイミラン1855(三井デュポンポリケミカル社製、アイオノマー樹脂、ナトリウムイオン中和エチレンメタクリル酸共重合樹脂、MFR:1.0g/10分)
〔柔軟成分〕
(1)エコフレックスFブレンドC1200(BASF社製 ポリブチレンアジペート-ブチレンテレフターレート共重合体)
(2)クラリティLA2330(クラレ社製 アクリル系ブロック共重合体)
(3)ラバロンSS6320C(三菱化学社製 スチレン系熱可塑性エラストマー)
実施例1
ポリ乳酸樹脂として「3001D」を100質量部に対して、アイオノマー樹脂として「ハイミラン1855」を5質量部と、柔軟成分として「クラリティLA2330」を2質量部とをチップブレンドして、単軸の溶融紡糸機に供給した。温度210℃でノズルから紡出したポリマーを水冷して巻き取り、直径1.75mmで未延伸の線状体を得た。
実施例2
ポリ乳酸樹脂として「6400D」を100質量部に対して、アイオノマー樹脂として「ハイミラン1706」を8質量部と、柔軟成分として「エコフレックスFブレンドC1200」を4質量部とをチップブレンドして、単軸の溶融紡糸機に供給した。温度210℃でノズルから紡出したポリマーを水冷して引き取り、巻き取ることなく200℃のオーブンヒーター内を導通させながら3.5倍の延伸を行い、直径1.75mmで延伸してなる線状体を得た。
実施例3
二軸押出機(池貝社製、PCM−30、スクリュー径29mm、L/D30、ダイス径3mm、孔数3)を用い、ポリ乳酸樹脂として「3001D」を100質量部と、アイオノマー樹脂として「ハイミラン1706」を10質量部と、柔軟成分として「ラバロンSS6302C」を4質量部とをチップブレンドして、押出機に供給した。温度200℃、スクリュー回転数120rpm、吐出量7kg/hの条件で混練、押出した。引き続き、押出機先端から吐出されたストランドを、冷却バスで冷却後、ペレタイザーにて引き取り、カッティングして樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物のペレットを65℃×48時間の条件で乾燥して、水分率を0.01%とした。
この乾燥させた樹脂組成物ペレットを、単軸の溶融紡糸機に供給し、紡糸温度210℃の条件で、ノズルから紡出したポリマーを水冷して巻き取り、直径1.75mmで未延伸の線状体を得た。
比較例1
実施例1において、「3001D」単独を供給したこと以外は、実施例1と同様にして未延伸の線状体を得た。
比較例2
実施例1において、「3001D」にタルク(平均粒径5μm)を3%加えて樹脂組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして未延伸の線状体を得た。
評価結果を表1に示す。

実施例1〜3は研磨性、柔軟性、靱性、光沢のいずれも好結果であり、実施例1〜3の樹脂組成物により得られた擬似餌本体は、実用上の加工性や耐久性が良好であり、生きた魚に近い光沢感、艶感を有するものであり、活きのよい魚をイメージしうる擬似餌であった。
比較例1は研磨性や柔軟性に難があり、擬似餌としての使用に課題があった。
比較例2は柔軟性、靱性、光沢の結果が優れず、擬似餌としての使用は難しいものであった。

Claims (4)

  1. 釣り用の擬似餌であって、魚の餌である小魚,甲殻類,ザリガニ,イカ,タコ,オタマジャクシ,ミミズ,カエル,昆虫などの生物に似た外観形状を呈してなり、疑似餌本体が熱可塑性樹脂組成物により構成され、該熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分を含み、ポリ乳酸樹脂100質量部に対してアイオノマー樹脂を2〜20質量部含み、熱可塑性樹脂組成物に含まれる柔軟成分の含有量がアイオノマー樹脂の含有量よりも少なく、熱可塑性樹脂組成物中には艶消し剤を含まないことを特徴とする擬似餌。
  2. 柔軟成分が、エステル系、スチレン系、アクリル系の少なくともいずれか1種からなることを特徴とする請求項1に記載の擬似餌。
  3. 擬似餌本体が材料押出型3Dプリンターによる造形物であることを特徴とする請求項1または2記載の擬似餌。
  4. 請求項1〜3の擬似餌を得るための3Dプリンター用造形材料であって、該材料は、直径0.5〜5mmの線状体であり、該線状体は熱可塑性樹脂組成物により構成され、該熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂とアイオノマー樹脂と柔軟成分を含み、ポリ乳酸樹脂100質量部に対してアイオノマー樹脂を2〜20質量部含み、熱可塑性樹脂組成物に含まれる柔軟成分の含有量がアイオノマー樹脂の含有量よりも少なく、熱可塑性樹脂組成物中には艶消し剤を含まないことを特徴とする擬似餌を得るための造形材料。

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