JP3226134U - 病理検体用トレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】医師が患者から病理組織を切り出す間、検査技師が医師のそばで待機する必要がなく、また切り出された病理組織の数を確認した後でカセットの印字を行うことができ、印字作業の無駄やカセットの無駄を無くする病理検体用トレイを提供する。【解決手段】切り出された病理組織で構成される病理検体を包埋カセットに収容する前に、予め収容するための病理検体用トレイ1であって、板状部材2の表面に複数の検体収容凹部3が設けられている。検体収容凹部の形状が包埋カセットの検体収容部の形状と略同じであり、検体収容凹部の近傍に識別記号5が記載されている。また、検体収容凹部の近傍に情報記入欄6が設けられている。【選択図】図1
Description
本考案は、病理組織等の検体を観察・検査するための顕微鏡標本を作成する際に、患者から切り出した病理組織等の検体を収容するためのトレイに係り、特に、患者から病理組織を切り出す医師と、切り出された病理組織等の検体から顕微鏡標本を作成する検査技師がスムーズに連携できるようにし、検査技師の作業効率を高め、また包埋カセットを無駄なく使用できるようにする病理検体用トレイに関する。
外科的手段により採取した病理組織等の検体を検査する場合、まず、医者が患部から病理組織を取り出し、これを所定のサイズに裁断する。裁断された病理組織(検体S)は一片づつ検査技師に手渡され、特許文献1や図5に示されるような包埋カセットC(以下、単にカセットと称することがある)に収容される(図6参照)。その後、脱水及びパラフィンとの親和性を付与するための薬液処理が施された検体Sをパラフィンに包埋し、これをカセットの裏面に付着させてパラフィンブロックB(図7参照)を作成し、このパラフィンブロックBをミクロトームによりスライスし、得られた薄片に染色等の所定の処理を施して病理組織の観察・検査用の顕微鏡標本を得るのである。
上記のような病理組織等検体の観察・検査用の顕微鏡標本を作成するには、患者の体から病理組織を切り出す医師と、取り出された病理組織に様々な処理を施して顕微鏡標本にする検査技師の協力が不可欠である。
しかしながら、従来の方法では医師が患者から病理組織を切り出す間、検査技師はカセットを持って医師のそばに待機し病理組織を受け取る必要があるので、検査技師の作業効率が悪い。また、使用するカセットには内部に検体を収容する前に予め被験者名や検体番号等を印字しておく必要があるが、切り出される検体の数は患部のサイズ等により左右され事前にはわからないため、検体を入れるためのカセットを多目に用意しておくのが常である。このため検体番号等を印字したにも関わらず使用しないカセットが残ることになり、印字作業やカセットの無駄が避けられない。
本考案は上記の問題を解消し、医師と検査技師との連携を改善し、医師が患者から病理組織を切り出す間、検査技師が医師のそばで待機する必要がなく、また切り出された病理組織の数を確認した後で必要な数だけのカセットに印字を行うことができるので、作業性が良好で、印字作業やカセットの無駄を無くすことのできる病理検体用トレイを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本考案の特徴は、切り出された病理組織で構成される病理検体を包埋カセットに収容する前に、予め収容するための病理検体用トレイであって、板状部材の表面に複数の検体収容凹部が設けられている病理検体用トレイを内容とする。
本考案の別の特徴は、検体収容凹部の上部に乾燥防止槽が設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、検体収容凹部の形状が包埋カセットの検体収容部の形状と略同じである上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、検体収容凹部の近傍に識別記号が記載されている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、識別記号が連続した数字である上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、検体収容凹部の近傍に情報記入欄が設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、検体の患者記入欄が設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、把持部が設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、積み重ね用手段が設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案の更に別の特徴は、カバーが設けられている上記の病理検体用トレイを内容とする。
本考案による病理検体用トレイは、複数の検体収容凹部が設けられているので、医師が患者から切り出した病理組織等の検体はトレイの検体収容凹部に収容される。従って、医者が患者から病理組織等を切り出すまでの間、包埋カセットを持った検査技師が待機している必要がないので、検査技師は他の作業に従事することができ、医師から病理組織等の検体の収容されたトレイを受け取り、都合のよいタイミングで病理組織等の検体をカセットに投入する作業をすればよい。従って、検査技師の作業効率が向上する。
また、病理検体用トレイに収容された検体の数を確認してから必要な数だけの包埋カセットに検体番号等を印字すればよいので、多目にカセットに印字する必要がなく、印字作業とカセットの無駄を無くすことができる。
本考案の病理検体用トレイ1は、図1及び図2に示した如く、板状部材2の表面に複数の検体収容凹部3が設けられていることを特徴とする。
本考案において、板状部材2とは後述の検体収容凹部3を設けるための部材である。その形状は特に限定されないが、検体収容凹部3を規則正しく配置できるようにするため、方形状とするのが好ましい。
この板状部材2は通常の場合そのままの形状で使用されるが、ヒンジ等を設けて折り畳み式としてもよく、或は裏面に脚をつけてテーブル状としてもよい。また、上面を覆うカバーを着脱自在又は開閉自在に取り付けることもできる。カバーを取り付けることにより、検体収容凹部3内に収容した検体Sの乾燥やゴミの付着を防ぐことができ、特にカセットに移す迄の時間が長い場合に有用である。
前記板状部材2には検体収容凹部3が設けられる。検体収容凹部3とは、患者の体内から切り出され、所定の大きさに裁断された病理組織等の検体Sを収容するための凹部である。その形状は特に限定されないが、検体Sをトレイから移す包埋カセットの検体収容部の形状と同じにすれば、検体Sを包埋カセット内に収容するのと同様の感覚で収容することができる。また、検体収容凹部3に収容した検体Sが大きすぎて包埋カセット内に収容できなかったり、あるいは逆に小さすぎたりするトラブルも防止できる。
本考案において、検体収容凹部3の数は特に限定されず、病変部位の大きさや数等に応じて、検査が必要な検体Sの数、医者や検査技師にとって使い勝手の良い数、等を勘案して適宜選択すればよい。
検体収容凹部3の上部には乾燥防止槽4を設けることもできる。図3及び図4に乾燥防止槽4が設けられた本考案の病理検体用トレイ1を示す。このような乾燥防止槽4を設けることにより、特に、検体をカセットに投入するまでの時間が長いような場合には、必要に応じて生理的食塩水やホルマリンを入れたり、これらの液体を含ませたガーゼを被せて、検体の乾燥を防ぐことができるので好ましい態様である。
図3、図4に示した例において、一つの大きな乾燥防止槽4が全ての検体収容凹部3の上部に設けられている。このように構成すればすべての検体を一度に液体に浸したりガーゼを被せたりすることができる。なお、本考案において乾燥防止槽4の態様は図示したものに限られず、適当な数の検体収容凹部毎に設けてもよい。例えば1段目の5個の検体収容凹部3に対して乾燥防止槽4を設けたり、1段目と2段目の10個の検体収容凹部3に対して乾燥防止槽4を設けてもよい。
検体収容凹部3の近傍には識別記号5を設けることができる。この識別記号5は例えば連続する数字とするのが好ましい。連続する数字からなる識別記号5を検体収容凹部3の近傍に設けた場合、医師は患者から切り出した検体を番号順に検体収容凹部3に収容することができるとともに、検体Sが収容された病理検体用トレイ1を受け取った検査技師は医師がどの順番で検体Sを採取したか容易に知ることができ、収容された場所の誤認による検体Sの取り違いを防ぐことができる。また、印字すべきカセットの数を即座に知ることもできるので好都合である。なお、識別記号5は連続する数字に限られず、順番が容易に判別できる文字列(abc順、五十音順、イロハ順等)でも同様の効果を得ることができる。
検体収容凹部3の近傍には情報記入欄6を設けることもできる。情報記入欄6を設ければ、医師が検査技師に対して注意を促す必要がある場合、例えば一つの病理検体用トレイ1に異なる部位、異なる臓器、異なる患者から採取した検体を収容する場合等に、部位、臓器名、患者名等必要な情報を情報記入欄6に記入することができ、これにより情報伝達の不足によるミスを防ぐことができる。
情報記入欄6は、例えば検体収容凹部3の近傍の一部を梨地仕上げとすることにより、容易に形成することができる。
本考案の病理検体用トレイ1には、患者名を記入するための患者記入欄7を設けることができる。この患者記入欄7は、例えば本考案の病理検体用トレイ1の任意の箇所を梨地仕上げとすることにより、容易に形成することができる。
さらに、本考案の病理検体用トレイ1には、把持部8を設けることもできる。把持部8の形状、構造は特に限定されないが、水平状に把持できることが好ましく、図1乃至図4に記載するように、板状部材2の端部付近に指先が通る程度の孔を開けておくのが簡単で、材料の節約にもなる。
本考案の病理検体用トレイは、積み重ね用手段を設けて積み重ね可能とすることが好ましい。この場合、積み重ねられたトレイが滑落しないことが望ましく、このような積み重ね用手段としては、例えば、トレイの表面側の周縁部に凹部又は凸部を設け、トレイの裏面側の周縁部にこれらと嵌合する凸部又は凹部を設けることができる。図3、図4に示した病理検体用トレイの場合には、裏面に、表面の乾燥防止槽4(凹部)に嵌合する凸部9が周設されている。
尚、上記した病理検体用トレイにおいて、裏面の凹部は主として反り防止のために設けられているが、軽量化や樹脂の節減効果もある。もっとも樹脂の種類や構造により、反りが生じない場合には、必ずしも設ける必要はない。
本考案において、病理検体用トレイ1の材質はある程度の強度を有し耐薬品性を有する硬質部材である限り特に限定されないが、成形性及び軽量性の観点から樹脂製とするのが好ましい。樹脂の例としては、POM樹脂(ポリアセタール樹脂)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン- スチレン共重合樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン樹脂)、AES樹脂(アクリロニトリル/エチレンプロピレンゴム/スチレン樹脂)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン樹脂)、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PVDC樹脂(ポリ塩化ビニリデン樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート/スチレン樹脂)、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)、PE樹脂(ポリエチレン樹脂)、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)およびPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)等が挙げられる。ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリアミド11、ポリヒドロキシ酪酸等の生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックも使用できる。
本考案の病理検体用トレイは、医師が患者から切り出した病理組織等の検体を検体収容凹部に収容する。検査技師は医師から検体の収容されたトレイを受け取り、自己の都合の良いタイミングでトレイ内の検体をカセットの検体収容部に移し替え、パラフィンブロック作成及び顕微鏡標本の作成に供される。
従って、医師が検体を取り出している際に検査技師は医師のそばに居る必要がないので、自己の作業に従事することができ、適当な時機に、医師から受け取った検体を収容したトレイから検体をカセットへ移し替えればよい。
また、トレイを一見するだけで検体数が視認できるので、必要な数のカセットに患者情報等を印字することができる。従って、無駄な印字作業や無駄なカセットを無くすることが可能である。
叙上のとおり、本考案の病理検体用トレイによれば、患者の体から病理組織を切り出す医師と、切り出された病理組織から顕微鏡標本を作成する検査技師との連携作業をスムーズにし、検査技師の作業効率を向上させるとともに、余分のカセットに患者情報などを印字するといった印字作業の無駄やカセットの無駄を無くすことができる。
1 病理検体用トレイ
2 板状部材
3 検体収容凹部
4 乾燥防止槽
5 識別記号
6 情報記入欄
7 患者記入欄
8 把持部
9 積み重ね用手段(凸部)
C 包埋カセット
S 検体
B パラフィンブロック
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S 検体
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Claims (10)
- 切り出された病理組織で構成される病理検体を包埋カセットに収容する前に、予め収容するための病理検体用トレイであって、板状部材の表面に複数の検体収容凹部が設けられていることを特徴とする病理検体用トレイ。
- 検体収容凹部の上部に乾燥防止槽が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の病理検体用トレイ。
- 検体収容凹部の形状が包埋カセットの検体収容部の形状と略同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載の病理検体用トレイ。
- 検体収容凹部の近傍に識別記号が記載されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の病理検体用トレイ。
- 識別記号が連続した数字であることを特徴とする請求項4に記載の病理検体用トレイ。
- 検体収容凹部の近傍に情報記入欄が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の病理検体用トレイ。
- 検体の患者記入欄が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の病理検体用トレイ。
- 把持部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の病理検体用トレイ。
- 積み重ね用手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の病理検体用トレイ。
- カバーが設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の病理検体用トレイ。
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