JP3224268B2 - 傾斜材料およびその製造方法 - Google Patents

傾斜材料およびその製造方法

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は傾斜材料およびその製造
方法に関し、より詳しくは、材料の物性ないし特性が材
料内部であらかじめ設計された勾配で(例えば連続的
に)変化し得る傾斜材料およびその製造方法に関する。
【0002】本発明の傾斜材料はレンズ、光ファイバー
などの光学材料、光、温度などに感応性を有する各種の
センサー材料、ソフトコンタクトレンズ、薬剤徐放性シ
ステムなどの生医学材料、および構造材料など広く適用
可能である。
【0003】
【従来の技術】近年、ますます多様化した高分子材料へ
のニーズに応えるべく、新規な機能を有した複合材料の
開発が盛んに行われている。このような複合材料の中で
も、最近、特に傾斜材料が大きな注目を集めつつある。
例えば、ある材料が過酷な熱環境、すなわち急激な温度
勾配中に置かれた場合、該材料が大きな熱応力を受けて
変形あるいは破損する場合がある。このような場合、熱
伝導率、熱膨張率あるいは耐熱性などといった熱特性に
関し、上記熱環境に合った勾配を材料に持たせることに
よって、この変形ないし破損の問題を解決することが可
能である。
【0004】また、透明性の良い材料に屈折率の勾配を
与えることができれば、平面形状の材料にレンズ効果を
持たせることも可能となる。更に、生体のように柔らか
い組織、器官に接する材料には、機械的柔軟性に勾配を
有する傾斜材料が生体との適合性に優れていると考えら
れる。また接着性を要求される材料には、接着性、例え
ば親水性に勾配をもたせた傾斜材料が効果的と考えられ
る。
【0005】上述したように、その材料が使用される環
境に合った特性あるいは物性の勾配をもった傾斜材料が
設計できれば、該傾斜材料の機能は、従来の均一な材料
と比較して飛躍的に向上することが期待される。
【0006】しかしながら、今日まで、あらかじめ設計
された物性あるいは特性の勾配を有する材料の作製は困
難とされており、このような材料の作製方法として決定
的なものは未だ報告されていない。
【0007】例えば、従来の傾斜材料の作製方法として
は、特に光ファイバーの製造工程に利用される方法とし
て、
【0008】1)ファイバー状のマトリックス材料を、
屈折率が変化するような重合性モノマー溶液に浸漬し、
該モノマーをマトリックス材料内部に拡散させて濃度勾
配を形成させ、更に該モノマーをマトリックス材料にグ
ラフト重合することによって傾斜性を付与する方法;
【0009】2)モノマー反応性が異なる2種類のモノ
マーを遠心力場の存在下で共重合させ、生成ポリマーを
混合モノマー溶液から析出させて遠心力によって移動さ
せ、重合時間と共に変化する共重合組成比を利用して傾
斜性を付与する方法;
【0010】3)屈折率などが異なる2種類の材料をブ
レンドしてファイバー状に成型した後、一方の材料が溶
解するような溶剤に浸漬し、該材料を抽出することによ
って傾斜性を付与する方法;
【0011】4)材料と重合性モノマーの混合物をファ
イバー状などに成型した後、ファイバー表面から該モノ
マーを揮発させ、更にモノマーを重合することによって
傾斜性を付与する方法;などが開発されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)の方法においては、高分子マトリックス中にモノ
マーを拡散させるために該マトリックス高分子と該モノ
マーが適度な親和性を有することが必要であり、実際に
使用可能な系が限定される;更には拡散過程に長い時間
が必要であり、連続工程には不利であるという欠点があ
る。更に、この方法においては、上記マトリックス材料
にモノマーをグラフト重合させるために必要な官能基
を、該マトリックス材料にあらかじめ導入する必要があ
り、極めて煩雑且つ複雑な系となる。
【0013】上記(2)の方法においては、モノマーの
種類が著しく限定される、遠心力印加など製造装置が複
雑化する、更には傾斜性の制御が著しく困難となるな
ど、多くの問題点がある。
【0014】上記(3)の方法においては、溶媒による
ポリマー成分の抽出工程は制御が困難であるのみなら
ず、かなりの時間を必要とするという問題点がある。
【0015】更に、(4)の方法におけるモノマーを揮
発させる工程は、上記(3)の場合と同様に制御が困難
であるのみならず、かなりの時間を必要とするという問
題点がある。
【0016】上述したように、従来の傾斜材料の製造方
法には数多くの実用上重大な欠点があり、このような傾
斜材料の作製方法として決定的なものは未だ報告されて
いない。
【0017】したがって本発明の目的は、上記従来技術
の問題点を解決し、簡便な手段により所望の物性ないし
特性の勾配コントロールが可能な傾斜材料およびその製
造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明者は鋭意研究の結
果、重合性モノマーの存在下に、アイソタクチックポリ
メチルメタクリレート(以下、「Iso−PMMA」と
いう)とシンジオタクチックポリメチルメタクリレート
(以下、「Syn−PMMA」という)とからなる特殊
なゲルであるステレオコンプレックスゲル中に、他の第
三成分(浸透成分ないし拡散成分)を拡散させること
が、傾斜材料の製法として簡便であるのみならず、極め
て好適な傾斜性コントロールを可能とすることを見出し
た。
【0019】本発明の傾斜材料はこのような知見に基く
ものであり、より詳しくは、少くともアイソタクチック
ポリメチルメタクリレート(Iso−PMMA)とシン
ジオタクチックポリメチルメタクリレート(Syn−P
MMA)とを含み、且つその内部に浸透成分の拡散に基
づく物性の勾配を有していることを特徴とするものであ
る。
【0020】更に、本発明によれば、上記したような傾
斜材料を好適に製造する方法として、重合性モノマーの
存在下、アイソタクチックポリメチルメタクリレート
(Iso−PMMA)とシンジオタクチックポリメチル
メタクリレート(Syn−PMMA)とからなるステレ
オコンプレックスゲル内部に、浸透成分を拡散させる工
程と、上記重合性モノマーを重合させる工程とを有する
ことを特徴とする傾斜材料の製造方法が提供される。
【0021】本発明においては、上述したように、Is
o−PMMAとSyn−PMMAとが重合性モノマー中
で形成するステレオコンプレックスゲルを利用し、該ゲ
ル中に物性あるいは特性の傾斜性を与える成分(浸透成
分)を拡散現象によりゲル内部に浸透させた後、上記重
合性モノマーを重合させて、その傾斜性を固定化してい
る。したがって、本発明においては、上記ステレオコン
プレックスゲル中における重合性モノマーと浸透成分と
の特殊な挙動の組合せに基づき、従来法では得られなか
ったような、よりミクロなオーダーでの傾斜材料を簡便
な方法によって得ることができる。
【0022】本発明の典型的な一態様においては、重合
性モノマー溶液中で形成されたステレオコンプレックス
ゲル中に、ゲルの表面からゲル内部に浸透成分(第3成
分)を拡散ないし浸透させることにより、材料内部に該
浸透成分の濃度勾配を形成した後、上記重合性モノマー
を重合させて該濃度勾配を固定化し、傾斜材料を作製す
ることが好ましい。
【0023】上述したような本発明の傾斜材料は、特殊
なゲル構造を与える上記ステレオコンプレックスを含ん
でいるため、該傾斜材料は、常温(25℃)でクロロホ
ルム(CHCl3)には溶けるが、THF(テトラヒド
ロフラン)を用いた場合には、上記傾斜材料中のステレ
オコンプレックスに対応する部分はほとんど溶けないと
いう特性を有している。
【0024】これに対して、単なるPMMAの混合物
(Iso−PMMA構造とSyn−PMMA構造とを含
む)は、一般に、25℃で上記クロロホルム及びTHF
の双方に溶け、またPMMA部分を含む単なる(化学
的)架橋ポリマーは、一般に、25℃で上記クロロホル
ム及びTHFのいずれにも溶けないことで、容易に区別
が可能である。
【0025】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本
発明を詳細に説明する。
【0026】(ステレオコンプレックス)本発明に用い
るステレオコンプレックスは、Iso−PMMAとSy
n−PMMAとからなる。本発明におけるIso−PM
MA、Syn−PMMAの構造は、例えばPMMA鎖の
連続する3つのモノマー単位(トリアッド)の構造を、
高分解能核磁気共鳴スペクトル(NMR)等の手段で測
定することにより、容易に解析が可能である。連続する
3つのモノマー単位としては、アイソタクチック構造
(I)、シンジオタクチック構造(S)、ヘテロタクチ
ック構造(H)の3者があるが、Iso−PMMAとは
このモノマー単位がI>Sで且つI>H/2のものをい
い、Syn−PMMAとはS>Iで且つ、S>H/2の
ものをいう。
【0027】Iso−PMMAとSyn−PMMAのあ
る種の溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DM
F))の溶液を混合すると、ステレオコンプレックスと
呼ばれるゲルを形成する。このゲルはゲル化温度を有
し、該ゲル化温度より高い温度ではゲルは溶解し、ゲル
化温度以下にすると再びゲル化するが、このようなゲル
化現象は熱的に可逆である(W. H. Watanabeら,J. Phy
s, Chem., 65,896,1961)。
【0028】上記ゲル化温度は、Iso−PMMAおよ
びSyn−PMMAの立体規則性(タクチシチー)、分
子量、溶液濃度、混合比、溶媒種などに依存する。Is
o−PMMAとSyn−PMMAによるステレオコンプ
レックッスはDMF以外の有機溶媒および重合性モノマ
ー溶液中でも形成される(例えば、“ポリマーアロイ:
基礎と応用”高分子学会編、P348、東京化学同人、
1981)。なお、重合性ビニルモノマー溶液中でのス
テレオコンプレックス形成現象を利用した積層安全ガラ
スは既に特許出願されている(特願昭45−8965
4)。
【0029】本発明に用いるIso−PMMAとSyn
−PMMAは、PMMAホモポリマーであってもよく、
また、少くとも両者のモノマー溶液の混合物がステレオ
コンプレックスを形成することが可能である限り、MM
A(メチルメタクリレート)と他のモノマーとの共重合
体であっても良い。
【0030】Iso−PMMAとSyn−PMMAの混
合比は、立体規則性、溶液濃度、分子量、モノマーの種
類などによって異なるが、通常1:20〜10:1程
度、好ましくは1:5〜1:1程度である。
【0031】(重合性モノマー) 本発明に用いられる第1の重合性モノマーとしては各種
のビニル系モノマーが好ましく用いられるが、ステレオ
コンプレックス形成能を有していれば特に限定されな
い。
【0032】本発明に好ましく用いられる重合性モノマ
ーとしては、例えばアクリル酸のアルキルエステル、メ
タクリル酸のアルキルエステル、スチレン、アルキル置
換スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル
メタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート
等のビニルモノマーが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。
【0033】(傾斜材料)以下に本発明の傾斜材料の作
製手順の好ましい一態様を説明する。上記した重合性モ
ノマー液に、ゲル化温度より高い温度で、Iso−PM
MAおよびSyn−PMMAをともに溶解させ、あるい
は各々のポリマーの溶液を混合して、ゲル化温度以下に
温度を下げることによって、ステレオコンプレックスを
形成させる。該ステレオコンプレックス形成時には、重
合開始剤を同時に添加することが好ましい。重合開始剤
の種類、濃度は、熱、光、放射線、電子線重合法などの
重合条件によって適宜決めることが可能である。
【0034】一方、該ゲルの形状はシート状、フィルム
状、ファイバー状、ロッド状、粒子状など使用目的によ
って適宜決められる。例えばシート状あるいはフィルム
状に成型する場合は、ゲル化より高い温度で平面上に該
混合溶液を流した後、ゲル化温度以下に温度を下げるこ
とによって容易に成形が可能である。
【0035】またファイバー状あるいはロッド状に成型
する場合には、例えば適当な口金を用いて該溶液を押し
出し、ゲル化点以下に温度を下げることによって成型が
可能である。また粒子状に成型する場合には、上記混合
溶液をマイクロディスペンサー等を用いて、ゲル化点以
下の媒体中に滴下することによって成形が可能である。
しかしながら、本発明において、ゲルに形状を付与する
方法は上記の方法に限定されるものではない。
【0036】(浸透成分)次に、本発明の材料の物性な
いし特性に傾斜性を付与するために、該ゲル中に浸透さ
せるべき浸透成分(第三成分ないし拡散成分)について
述べる。該浸透成分の種類、量はそれぞれ使用目的によ
って適宜、選択することが可能である。
【0037】上記浸透成分としては、ゲルマトリックス
を形成する第1の重合性モノマーと混合可能なビニル系
モノマー(第2の重合性モノマー)を用いることが特に
好ましい。また2種類以上のビニル系モノマーの混合
系、あるいはビニル系モノマーと該ビニル系モノマーに
溶解する物質との混合系を浸透成分として使用すること
も可能である。
【0038】該成分の選択基準としての物性、特性は特
に制限されないが、例えば、屈折率、光透過性、熱伝導
率、熱膨張率、比熱、耐熱性、柔軟性、親水性(含水
率)、比重、荷電、電気伝導率、誘電率、圧電性、焦電
性、染色性、色調、耐溶剤性などが挙げられる。これら
の物性ないし特性は、傾斜材料の使用目的によって決定
される。
【0039】例えば、屈折率の傾斜材料としては、良好
な透明性および屈折率の差異が大きいことが要求され、
ステレオコンプレックスゲルを構成する重合性モノマー
としてメチルメタクリレート(MMA)、浸透成分とし
てスチレンモノマー、クロロスチレンモノマーなどが特
に好ましく用いられる。
【0040】また機械的柔軟性の傾斜材料を得る際に
は、ステレオコンプレックスゲルを構成する第1の重合
性モノマーと、浸透成分としてのモノマー(第2の重合
性モノマー)からそれぞれ得られる重合体のガラス転移
点が大きく異なっていることが好ましい。
【0041】同様に親水性の傾斜材料を得る場合には、
親水性の異なるモノマーの組合せ、荷電の傾斜材料を得
る場合には、荷電の異なるモノマーの組合せ等を用いる
ことが好ましい。
【0042】(浸透成分の拡散)上記ステレオコンプレ
ックスゲル中への浸透成分の注入ないし拡散は、該ゲル
を、ゲル化点以下の温度で、上記浸透成分を含有する媒
体(例えば、該浸透成分そのもの、ないし浸透成分の溶
液)中に浸漬することによって好適に実施される。浸透
成分は拡散現象により、ゲル表面から内部に浸透し、該
ゲル内部に上記浸透成分の濃度勾配が形成される。ここ
で濃度勾配のコントロールは、ゲルマトリックスの重合
性モノマーと浸透成分の相容性、濃度などによっても異
なるものの、通常はゲルの上記浸透成分を含有する媒体
中への浸漬時間によってコントロールすることが可能で
ある。
【0043】上記ステレオコンプレックスゲル中への浸
透成分の注入ないし拡散の後、浸透成分が浸透したステ
レオコンプレックスゲルを上記浸透成分含有媒体から引
き上げ、ゲル化点以下の温度で、熱、光、放射線あるい
は電子線によって重合性モノマーを重合させることによ
って、所望の傾斜材料が容易に得られる。
【0044】以下、実施例により、本発明を更に具体的
に説明する。実施例1 Iso−PMMA([η]=0.62、I=90%)1
部とSyn−PMMA([η]=0.51、S=49
%)2部および0.1%のアゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)を、それぞれゲル化温度より高い温度でメ
チルメタクリレート(MMA)モノマーに溶解し、PM
MA濃度として20%の混合溶液を作製した。
【0045】上記溶液のゲル化温度の測定は、該溶液を
ガラス製試験管中に入れ、充分低温でステレオコンプレ
ックスを作製した後、温度を徐々に上げつつ、該試験管
を上下に回転させ、ゲルが溶解し流動性を示した点を肉
眼で観察することによって行った。上記混合溶液のゲル
化温度は約62℃であった。
【0046】上記混合溶液を80℃で口径約1cmの薄
いポリプロピレンフィルム製のチューブ中に注入した
後、室温にまで温度を下げてステレオコンプレックスゲ
ルを該チューブ中に形成させた。ついで上記ポリプロピ
レンチューブをハサミで切りさき、中のゲルを取り出し
た。このゲルはロッド状の形状を保持し、室温で、充分
取り扱える程度の強度を示した。
【0047】次に上記ロッド状のゲルを、室温で、0.
1%のAIBNを溶解したスチレンモノマー中に浸漬し
た。浸漬時間を1分、10分、30分、1時間、および
3時間と変化させ、それぞれの浸漬時間の後に該ゲルを
スチレンモノマー中から引き上げ、アルゴン置換したパ
イレックスガラス製チューブ中に封入し密封した。次い
で、上記ゲルを、800Wの高圧水銀灯を用いて15℃
で3時間光重合反応させたところ、透明な重合物が得ら
れた。
【0048】該ロッド状の重合物を厚さ約3mmの円板
状に切断し、外周から中心に向かっての屈折率の変化を
測定した、この測定結果を図1に示す。図1からわかる
ように円板の中心から外周に向かうにしたがって屈折率
が増加する傾斜材料が得られた。
【0049】実施例2 実施例1で作製したロッド状のステレオコンプレックス
ゲルを、室温で、0.1%AIBNを溶解したエチルア
クリレート(EA)モノマー中に30分間浸漬した後、
実施例1と同様の方法で光重合させたところ、ロッド状
の重合物が得られた。該重合物は完全に透明であった。
【0050】該ロッド状の重合物を厚さ約3mmの円板
状に切断して実施例1と同様に屈折率を測定したとこ
ろ、円板の中心から外周に向かうにつれて柔軟性が変化
する傾斜材料であることが判明した。
【0051】実施例3 実施例1で作製したロッド状のステレオコンプレックス
ゲルを、室温で、0.1%AIBNを溶解したヒドロキ
シエチルメタクリレートモノマー中に30分間浸漬した
後、実施例1と同様の方法で光重合させたところ、ロッ
ド状の重合物が得られた。該重合物は完全に透明であっ
た。
【0052】該ロッド状の重合物を厚さ約3mmの円板
状に切断し外周から中心に向かって各切片を作製し、各
切片の含水率を測定した。この測定結果を図2に示し
た。
【0053】含水率は以下のようにして求めた。
【0054】図2からわかるように、本実施例において
は、外周から中心に向かって含水率が徐々に減少する傾
斜材料が得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明においては、上述した従来法との
比較において、ゲルマトリックスの重合性モノマー種
(第1の重合性モノマー)と、浸透成分(例えば、第2
の重合性モノマーたる重合性モノマー)との種類の選択
の自由度が著しく大きく、非常に広範囲の物性、特性に
傾斜性を付与することが可能であること;ゲル中への浸
透成分の拡散が速く、且つ該浸透成分の濃度勾配の制御
が容易であり連続製造工程に適していること;Iso−
PMMAとSyn−PMMAとから成るステレオコンプ
レックスが分子のオーダーで網目構造を形成することが
可能であるため、浸透成分がゲル内で確実に固定される
のみならず、モノマーを重合して得られる重合体の相分
離が抑制され、分子のオーダーで均一に混合することが
可能であるという特徴がある。
【0056】一般的な重合法においては、異種ポリマー
の混合系は、相分離によって通常、白濁してしまうのに
対して、ステレオコンプレックスを基礎とした本発明に
おいては、上記傾斜材料は、分子レベルに近いレベルで
(ないしは分子状に)均一な組成物とすることが可能で
ある。このような特徴に基づき、本発明の傾斜材料は、
異種ポリマーの混合系であっても透明であるため、その
応用範囲ないし用途は非常に広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた傾斜材料の屈折率変化を示
すグラフである。
【図2】実施例3で得られた傾斜材料の含水率変化を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 265/06 C08J 3/20 C08L 33/12 G02B 1/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少くともアイソタクチックポリメチルメ
    タクリレート(Iso−PMMA)とシンジオタクチッ
    クポリメチルメタクリレート(Syn−PMMA)とか
    らなるステレオコンプレックス由来の構造、および第1
    の重合性モノマーに基づくポリマーを含み、且つその
    造の内部に浸透成分の拡散に基づく物性の勾配を有して
    いることを特徴とする傾斜材料。
  2. 【請求項2】 前記浸透成分が、第2の重合性モノマー
    である請求項1記載の傾斜材料。
  3. 【請求項3】 前記浸透成分が、第2の重合性モノマー
    と該第2の重合性モノマーに溶解可能な物質との混合系
    である請求項1記載の傾斜材料。
  4. 【請求項4】 前記物性の勾配が、前記浸透成分の濃度
    勾配に基づく請求項1〜3のいずれかに記載の傾斜材
    料。
  5. 【請求項5】 前記物性の勾配が、屈折率、光透過性、
    熱伝導率、熱膨張率、比熱、耐熱性、柔軟性、親水性
    (含水率)、比重、荷電、電気伝導率、誘電率、圧電
    性、焦電性、染色性、色調、耐溶剤性から選択される勾
    配である請求項1〜4のいずれかに記載の傾斜材料。
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