JP3223475B2 - 防水ファスナー及びその製造方法 - Google Patents

防水ファスナー及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、防水ファスナー及びかかるファスナーの製
造方法に関するものである。
ファスナーのテープ部分に取り付けられた係合歯から
なる2本の係合歯列、および係合歯を係合させたり分離
させたりするためのスライダを有するファスナーであっ
て、個々の係合歯の間に防水材料を充填し、閉じた状態
で防水効果を得る方法は、欧州特許EP 0 210 632で開示
されている。しかし、この特許の方法では、防水材料の
弾力性、防水性、スライダを動かす場合の操作性の改良
が図られない。
また、真空制御装置を用いて、防水材料を歯列の間に
押し込む方法を採る、米国特許4,112,150、熱処理方法
により防水加工を施すドイツ特許DE−B−1930446があ
るが、これらの方法により製造されたファスナーは大変
高価なものであり、防水高価の面でも満足のいくもので
はない。
さらに、ドイツ特許DE 37 15 068は、テープを係合歯
の周囲に巡らせて、ファスナーを閉じると両側のテープ
が密着する防水ファスナーを開示している。しかし、こ
の特許発明にある防水材料を用いる場合、その独自の製
造方法を採用する必要があるため、安価で一般的なタイ
プのファスナー(例えば、プラスチック製の係合歯を有
するファスナー)には応用できない。さらに上記特許
は、製造コストが高いことからも不都合である。
よって、本発明の課題は、かかる従来技術の難点を克
服した防水ファスナーを提供することである。
また、本発明の課題は、より安価で、従来のファスナ
ーの構造をそのまま活かした防水ファスナーを提供し、
その製造方法を開示することでもある。
さらに、本発明の課題は、防水材料の弾力性、防水
性、スライダを動かす場合の操作性が改良された防水フ
ァスナーの製造方法を提供することでもある。
かかる課題は、請求項1記載の防水ファスナーの特徴
を説明した部分及び請求項6、7および15記載のかかる
防水ファスナーの製造方法により解決される。本発明を
実施する過程及び特殊な実施態様については、その他の
請求項で明らかにしている。
個々の係合歯の間にプラスチック材料や弾性ゴムを充
填し、ファスナーを閉じた場合に、両側の係合歯列にあ
るプラスチック材料や弾性ゴムに力が加わり密着するこ
とによって防水されるという本発明の方法によれば、従
来技術に残されている問題を克服することができる。
本発明では、防水のためにプラスチック材料が用いら
れる。そのプラスチック材料には、熱可塑性を有したエ
ラストマーを用いるのが好ましい。特にポリウレタン
が、高粘着性、高弾力性、耐摩耗性という性質を有する
点から、適当である。
ポリウレタンのような材料は、ファスナーの上に他の
材料をスプレーしたり、後でファスナーの止め金具を取
り付ける作業の支障にならないので好ましい。
かかる方法により製造されたファスナーは、ポリ塩化
ビニル製やポリウレタン製の衣服やカバン、またはポリ
塩化ビニルやポリウレタンでコーティング加工が施され
た衣服やカバンに容易に取り付けることができる。
本発明は、安価に大量に防水ファスナーを製造する場
合に生じる問題を解決する。本発明によれば、一般的に
使用されるファスナー全てに防水加工を施すことができ
る。特に、ポリウレタンや弾力性のある熱可塑性材料を
簡単に接着させる点から、単純な係合歯を有するファス
ナーを用いるのが有利である。ポリウレタンや弾力性の
ある熱可塑性材料の有する本来の弾力性によって良好な
防水効果が得られ、本発明を実施するコストを低く抑え
ることができる。
なお、ファスナーの係合歯もプラスチック材料で作ら
れるが、そのプラスチック材料としてポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)が用いられる。PTFEは、耐熱性、耐
摩耗性を有することから、特に重宝される。また、本発
明では、係合歯には防水材料を付着させないことが特に
重要であるが、PTFEが、本発明の防水材料を弾く性質を
有することは特に有利な点である。
防水ファスナーを製造する本発明の方法の実施例は、
次の工程からなる。
−閉じた状態のファスナーを液体熱可塑性材料に浸漬
してコーティングする。
−ファスナーを冷却する間、ファスナーが開かない程
度の力でファスナーの進む方向と直角となる方向(横方
向)に引張ることによって、互いに係合している係合歯
が圧迫し合い、応力のかかったファスナーの係合歯の間
にある熱可塑性材料が歯先の上に押しのけられるように
し、同時に歯列の上下にある熱可塑性材料を均質に結合
させる。
−ファスナーの進行を一旦停止した後に、ファスナー
を楔形ナイフの上に導き、その楔形ナイフで熱可塑性材
料を切断しつつファスナーを順に開く。
−個々の係合歯の間をさらに熱可塑性材料でコーティ
ングする。
−余分に付着した熱可塑性材料を削り取り、完成した
防水ファスナーを再び閉じる 別の実施例によると、本発明の防水ファスナーの製造
は、次の工程からなる。
−閉じた状態のファスナーを押し出し機に導き、押し
出し機にある開閉器によってファスナーを開き、押し出
し機により押し出される液体熱可塑性材料に浸漬してコ
ーティングし、再びファスナーを閉じる。
−ファスナーを冷却する間、ファスナーが開かない程
度の力でファスナーの進む方向と直角となる方向(横方
向)に引張ることによって、互いに係合している係合歯
が圧迫し合い、応力のかかったファスナーの係合歯の間
にある熱可塑性材料が歯先の上に押しのけられるように
し、同時に歯列の上下にある熱可塑性材料を均質に結合
させる。
−ファスナーの進行を一旦停止した後に、ファスナー
を楔形ナイフの上に導き、その楔形ナイフで熱可塑性材
料を切断しつつファスナーを順に開く。
−個々の係合歯の間をさらに熱可塑性材料でコーティ
ングする。
−余分に付着した熱可塑性材料を削り取り、完成した
防水ファスナーを再び閉じる。
さらに別の実施形態によると、防水ファスナーを製造
する本発明の方法は、次の工程からなる。
−閉じた状態のファスナーを生ゴムで前処理する。
−ファスナーの生ゴムを加硫する間、ファスナーが開
かない程度の力でファスナーの進む方向と直角となる方
向(横方向)に引張ることによって、互いに係合してい
る係合歯が圧迫し合い、応力のかかったファスナーの係
合歯の間にある加硫により生成される弾性ゴムが歯先の
上に押しのけられるようにし、同時に歯列の上下にある
弾性ゴムを均質に結合させる。
−ファスナーの進行を一旦停止した後に、ファスナー
を楔形ナイフの上に導き、その楔形ナイフで弾性ゴムを
切断しつつファスナーを順に開く。
−余分に付着した弾性ゴムを削り取り、完成した防水
ファスナーを再び閉じる。
本発明の実施例を図1に基づいて説明する。
防水ファスナーの製造についての初めの実施例では、
実線囲みの工程を踏む。他の実施例では、基本的に実線
囲みの工程を踏み、同じ名前のある工程では破線囲みの
方を選択する。
前処理(1)として、係合歯が取り付けられたファス
ナーのテープ部分には、熱可塑性材料のための接着増強
剤を塗布し、係合歯には、接着防止剤を塗布する。次
に、接着増強剤や接着防止剤が塗布されて普通のロール
に巻かれているファスナーの巻きを解く(2)。
この場合、別の実施例では、ファスナーの巻きを解い
た後に前処理(3)を行うため、(1)の工程は除かれ
ることになる。
さらに別の実施例では、前処理(1)で、係合歯に接
着防止剤を塗布してからファスナーのテープ部分に取り
付け、そのファスナーをロールに巻いておく。
前処理が施され、巻きが解かれたファスナーを、防水
材料を押し出す(6)工程に導き、第1の液体熱可塑性
材料に浸漬してコーティングする。かかる液体熱可塑性
材料には、ポリウレタンを用いるのが望ましい。
このとき、両歯列の係合歯が互いに係合するのに十分
であって、ファスナーが開かない程度の力で、ファスナ
ーの進む方向と直角になる方向(横方向)にテープ部分
を引張る(7)。これにより、余分な熱可塑性材料は、
個々の係合歯の間からそれぞれの歯先に上に押しのけら
れる。
このあと、ファスナーを、例えばウォーターバス(水
浴槽)などで冷却する(8)。
別の実施例では、ファスナーの進む方向と直角になる
方向(横方向)に引張る(7)工程を、防水材料を押し
出す(6)工程の前に置く(4)。
ファスナーを横方向に引張る(4または7)工程で
は、ある簡便な方法が用いられる。本実施例では、両側
の回転軸を包むように取り付ける輪状の針付きベルトを
2本用いる。2本の針付きベルトは互いに平行に、かつ
ファスナーの進む方向に少し開いて設置される。かかる
針付きベルトの針が、閉じた状態のファスナーのテープ
部分を引掛け、ファスナーがそのまま前に進むと、ベル
トの針によって、ファスナーの進む方向と直角になる方
向(横方向)に力が及ぼされる。この針付きベルトは、
発明の趣旨から外れない程度に作動の調節が可能であ
る。
熱可塑性材料が冷却されて(8)凝固すると、(4)
または(7)の工程で付着した熱可塑性材料が固形状の
樹脂となって、2本のプラスチック製係合歯列に固着す
る。ファスナーの冷却(8)が終わって、針付きベルト
がファスナーから離れる時でも、2本の歯列の係合歯
は、互いに応力を及ぼし合い続けている。
ファスナーを冷却(8)した後、ファスナーの進行を
一旦停止させる(9)。次のファスナーを開けてカット
する(10)工程では、ファスナーに対して縦方向に引張
る力を及ぼす。
ファスナーを開けてカットする(10)工程では、ファ
スナーを開けるための楔形ナイフが設置されており、係
合歯に付着している熱可塑性材料を切断しながら、例え
ば1個ないし8個の決められた数ごとにファスナーを開
けていく。
そして、同工程(10)では、個々別々のファスナーを
作るためにファスナーの開いている位置で任意にカット
を施すことができる。そのカットには、例えばファスナ
ーの開いている位置で切取り可能なカットナイフなどを
用いればよい。ファスナーの開いている位置でカットす
れば、ファスナーの係合歯を損傷させずに済む。そのた
め、カットナイフは楔のある位置か、その手前に設置す
る。
この時点では、ファスナーに作用していた横方向の力
はなくなっている。次のコーティング(10a)工程で
は、第2の熱可塑性材料を任意にコーティングする。こ
のとき、固形状の熱可塑性材料が、個々の係合歯の間に
充填される。
コーティング(10a)工程の後、余分に付着した熱可
塑性材料を削り取る(12)工程に移る。
さらに次の、ファスナーを閉じる(13)工程では、フ
ァスナーの係合歯を係合させるためのスライダを取り付
ける。互いに係合した係合歯は、完全な防水性を得るの
に必要な横方向の力を熱可塑性材料部分に加える。
別の実施例では、ファスナーを閉じる(11)工程が、
熱可塑性材料を削り取る(12)工程の前に置かれる。そ
の場合、(13)の工程は省略される。
最後に、完成したファスナーを、再びロールに巻き取
る(14)。
ファスナーの巻き取り工程(14)の前後に止め金具を
取り付ける(15)と、ファスナーの完成品が得られる。
本発明の方法により製造されたファスナーは、個々の
係合歯の間に高弾力性の熱可塑性材料を有しており、そ
のファスナーを閉じると、熱可塑性材料が歯列に面した
方向に圧迫されて防水効果が生じる。さらに、第2の熱
可塑性材料でもコーティングしているので、十分な防水
効果が得られる。この防水ファスナーは、安価で容易に
製造できる製品である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ファスナーのテープ部分に取り付けられた
    係合歯からなる2本の係合歯列を有する防水ファスナー
    を連続的に製造する方法であって、 −閉じた状態のファスナーを液体熱可塑性材料に浸漬し
    てコーティングする工程と、 −該ファスナーを冷却する間、該ファスナーが開かない
    程度の力で該ファスナーの進む方向と直角となる方向に
    引張ることによって、互いに係合している係合歯が圧迫
    し合い、応力のかかった該ファスナーの係合歯の間にあ
    る該熱可塑性材料が歯先の上に押しのけられるように
    し、同時に歯列の上下にある該熱可塑性材料を均質に結
    合させる工程と、 −該ファスナーの進行を一旦停止した後に、該ファスナ
    ーを楔形ナイフの上に導き、該楔形ナイフで該熱可塑性
    材料を切断しつつ該ファスナーを順に開く工程と、 −余分に付着した該熱可塑性材料を削り取り、完成した
    防水ファスナーを再び閉じる工程とからなることを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】ファスナーを熱可塑性材料に浸漬し該熱可
    塑性材料でコーティングする前に、該ファスナーが開か
    ない程度の力で該ファスナーの進む方向と直角となる方
    向に引張ることによって、互いに係合している係合歯が
    圧迫し合うようにすることを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】ファスナーを熱可塑性材料に浸漬し該熱可
    塑性材料でコーティングする前に、該熱可塑性材料のた
    めの接着増強剤を塗布することを特徴とする請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】歯列を形成するプラスチック製係合歯をフ
    ァスナーのテープ部分とともに熱可塑性材料に浸漬する
    前、または該係合歯をファスナーのテープ部分に取り付
    ける前に、該係合歯に接着防止剤を塗布することを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】熱可塑性材料を切断しつつファスナーを順
    に開いた後、さらに個々の係合歯の間を熱可塑性材料で
    コーティングすることを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】防水ファスナーを連続的に製造する方法で
    あって、 −閉じた状態のファスナーを生ゴムで前処理する工程
    と、 −該ファスナーの生ゴムを加硫する間、該ファスナーが
    開かない程度の力で該ファスナーの進む方向と直角とな
    る方向に引張ることによって、互いに係合している係合
    歯が圧迫し合い、応力のかかった該ファスナーの係合歯
    の間にある加硫により生成された弾性ゴムが歯先の上に
    押しのけられるようにし、同時に歯列の上下にある該弾
    性ゴムを均質に結合させる工程と、 −該ファスナーの進行を一旦停止した後に、該ファスナ
    ーを楔形ナイフの上に導き、該楔形ナイフで該弾性ゴム
    を切断しつつ該ファスナーを順に開く工程と、 −余分に付着した該弾性ゴムを削り取り、完成した防水
    ファスナーを再び閉じる工程とからなることを特徴とす
    る方法。
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