JP3222477U - 吸収性物品用の繊維シート - Google Patents
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Abstract
【課題】一度吸収された液が表面に戻りにくく、使用感が向上する吸収性物品用の繊維シートを提供する。【解決手段】本考案の吸収性物品用の繊維シートは、高凸部1bと低凸部1sとを有する。高凸部1b及び低凸部1sは、内部が第1繊維層11を構成する繊維で満たされている。高凸部1bを厚み方向Zに断面視した際、頂部1bt側の高凸部頂部1buと、頂部1btと反対側の高凸部底部1bdとを有する。低凸部1sを厚み方向に断面視した際、頂部1st側の低凸部頂部1suと、頂部1stと反対側の低凸部底部1sdとを有する。高凸部頂部1buの親水度が、高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも低い。【選択図】図6
Description
本考案は、吸収性物品用の繊維シートに関する。
本出願人は、先に、第1繊維層とこれに積層された第2繊維層とを有し、該第1繊維層側に向けて突出した複数の凸部を備えた吸収性物品用の表面シートであって、該凸部をその厚み方向に仮想的に断面視した際に、第1繊維層の上側と第1繊維層の下側とで親水度が異なり、第2繊維層の親水度が第1繊維層の親水度よりも高い表面シートを提案した(特許文献1)。
これとは別に、本出願人は、先に、複数のエンボス部によって囲まれた大多角形領域及び小多角形領域を有し、該エンボス部が該大多角形領域及び該小多角形領域の頂部をなしている吸収性物品用の表面シートであって、各該大多角形領域内に高凸部が配され、各該小多角形領域内に低凸部が配されている表面シートを提案した(特許文献2)。
特許文献1に記載の表面シートによれば、表面に液が残りにくく、一度吸収された液が表面に戻りにくいので使用感が向上する。しかし、着用者の肌との接触面積をさらに低減しつつ、一度吸収された液が表面に戻りにくい表面シートのニーズがあった。また、特許文献1には、2種類の凸部を備えることに関して、何ら記載されていない。また、2種類の凸部に着目した際のそれぞれの親水度の関係に関して、何ら記載も示唆もされていない。
また、特許文献2に記載の表面シートによれば、着用者の肌との接触面積をさらに低減すると共に、べたつき感やムレをさらに低減することができ使用感が向上する。しかし、特許文献2には、表面の液残り性に関して何ら記載されていない。また、特許文献2には、また、2種類の凸部に着目した際のそれぞれの親水度の関係に関して、何ら記載も示唆もされていない。
したがって本考案は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品用の表面シートを提供することにある。
本考案は、厚み方向に突出した複数の高凸部と、該高凸部よりも高さの低い複数の低凸部とを有する吸収性物品用の表面シートであって、前記高凸部及び前記低凸部は、その内部が第1繊維層を構成する繊維で満たされており、前記高凸部をその頂部を通るように厚み方向に断面視した際に、該頂部側の高凸部頂部と、該頂部と反対側の高凸部底部とを有し、前記低凸部をその頂部を通るように厚み方向に断面視した際に、該頂部側の低凸部頂部と、該頂部と反対側の低凸部底部とを有し、前記高凸部頂部の親水度が、前記高凸部底部の親水度及び前記低凸部底部の親水度よりも低い、吸収性物品用の繊維シートを提供するものである。
本考案によれば、一度吸収された液が表面に戻りにくく、使用感が向上する。
以下に、本考案の吸収性物品用の繊維シートについて、その好ましい実施形態の表面シート1(以下、表面シート1とも言う)に基づき、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の表面シート1は、図1〜図3に示すように、厚み方向Zに突出した複数の高凸部1bと、該高凸部1bよりも高さの低い複数の低凸部1sとを有する吸収性物品用の不織布である。表面シート1は、本実施形態では、第1繊維層11とこれに積層された第2繊維層12とを有する多層構造の積層不織布である。図中のX方向は、第2方向であり、機械方向(MD方向)及びナプキン10の縦方向と同じ方向である。また、図中のY方向は、第2方向に直交する第1方向であり、機械方向(MD方向)に直交する方向(CD方向)及びナプキン10の横方向と同じ方向である。また、図中のZ方向は、厚み方向である。
本実施形態の表面シート1は、図1〜図3に示すように、厚み方向Zに突出した複数の高凸部1bと、該高凸部1bよりも高さの低い複数の低凸部1sとを有する吸収性物品用の不織布である。表面シート1は、本実施形態では、第1繊維層11とこれに積層された第2繊維層12とを有する多層構造の積層不織布である。図中のX方向は、第2方向であり、機械方向(MD方向)及びナプキン10の縦方向と同じ方向である。また、図中のY方向は、第2方向に直交する第1方向であり、機械方向(MD方向)に直交する方向(CD方向)及びナプキン10の横方向と同じ方向である。また、図中のZ方向は、厚み方向である。
図1,図2には、表面シート1を用いた生理用ナプキン10が示されている。生理用ナプキン10(以下、ナプキン10とも言う)は、肌当接面側に配された表面シート1、非肌当接面側に配された裏面シート2、これら両シート1,2間に配された縦方向Xに長い吸収体3を備えている。また、ナプキン10は、縦方向Xに沿う両側部10s,10sに、一対のサイドシート4,4が配されており、横方向Y外方に延出する一対のウイング部5,5が形成されている。ナプキン10は、図1に示すように、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。
尚、本明細書において、「肌当接面」とは、ナプキン10を構成する表面シート1などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌当接面」とは、表面シート1などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
ナプキン10について、詳述すると、ナプキン10は、図1に示すように、ウイング部5,5の位置する領域である中央部A、生理用ナプキン10の着用時に中央部Aより着用者の腹側に配される前方部B、及びナプキン10の着用時に中央部Aよりも着用者の背中側に配される後方部Cに区分される。ナプキン10の着用時には、通常、中央部Aが、着用者の排泄部(膣口等)に対向配置される。言い換えれば、ウイング部5は、ナプキン10の排泄対向領域(着用者の排泄部に対向する領域)に形成されている。
表面シート1及び裏面シート2それぞれは、図2に示すように、吸収体3の肌当接面側の全面及び非肌当接面側の全面を覆っており、吸収体3の周縁から延出する延出部分を有している。表面シート1は、図2に示すように、横方向Yの長さが裏面シート2の横方向Yの長さよりも短くなっている。一対のサイドシート4,4それぞれは、図1、図2に示すように、表面シート1の肌当接面側であって、表面シート1の縦方向Xに沿う側部全域に亘って配設固定されており、表面シート1の側部から横方向Yの外方に延出する延出部分を有している。ナプキン10においては、裏面シート2の横方向Y外方の延出部分とサイドシート4の横方向Y外方の延出部分とが、接着、融着等により固定されており、前方部B及び後方部Cよりも中央部Aにおいて大きく横方向Y外方に延出し、ウイング部5が形成されている。ナプキン10の裏面シート2の横方向Y中央部及びウイング部5の裏面シート2の延在部の非肌対向面上には、それぞれ粘着剤が塗布されて、ナプキン10をショーツ等の下着に固定するための固定部5aが形成されている。尚、各サイドシート4は、その横方向Y内方側(中心線CL側)の端部近傍に、縦方向Xに伸長状態の弾性部材を配設固定して、着用時に、その弾性部材の収縮力により、前記端部から所定幅の部分が表面シート1から離間する防漏カフを形成するようにしてもよい。
また、ナプキン10には、表面シート1及び吸収体3をエンボス加工して一体的に圧縮してなるラウンド状の圧縮溝(不図示)が、縦方向Xに延びて、前方部Bから後方部Cまでに亘って延在していてもよい。例えば、圧縮溝(不図示)は、ナプキン10の前方部B、両側部10s,10s及び後方部Cに繋がる一条のラウンド状に形成されていることが好ましい。圧縮溝(不図示)は、表面シート1及び吸収体3を、熱を伴うか又は伴わずに肌当接面側から圧縮することによって形成されている。
上述したナプキン10を構成する裏面シート2、吸収体3及びサイドシート4としては、それぞれ、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート2としては、合成樹脂製の液不透過性フィルムや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができる。吸収体3としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成された吸収コアをティッシュペーパーによって被覆されているものを用いることができる。サイドシート4としては、耐水圧が高い撥水性の不織布、例えば、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等を用いることができる。
表面シート1、裏面シート2、吸収体3及びサイドシート4の固定には、通常、生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。
上述したナプキン10を構成する一実施形態の表面シート1は、エアスルー不織布以外の不織布とすることもできるが、後述する熱収縮工程とウエブを熱融着させて不織布に形成する工程とを同時に行うことができるため、エアスルー不織布が好ましい。
「エアスルー不織布」とは、50℃以上の流体、例えば気体や水蒸気を、ウエブ又は不織布に吹き付ける工程を経て製造された不織布を言い、本工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に本工程を付加して製造した不織布あるいは本工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布をも含む意味である。また、本考案の積層不織布は、エアスルー不織布のみならず、エアスルー不織布と、他の不織布等の繊維シートやフィルム材とを複合化したものも包含する。
積層不織布である表面シート1としては、特開2015−186543号公報に記載された、高凸部と低凸部とを備えたものが好適な例として挙げられる。ナプキン10では、表面シート1は、第1繊維層11を肌対向面側に配し、第2繊維層12を非肌対向面側に配して使用されている。したがって、表面シート1は、後述する高凸部頂部が着用者の肌側に向くように配されている。
当該公報に開示された代表的な表面シート1は、図3に示すように、第1繊維層11は、第2繊維層12側から第1繊維層11側に向けて突出した厚み方向Z複数の高凸部1bと、高凸部1bよりも高さの低い複数の低凸部1sとを有している。好適には、表面シート1は、図4に示すように、複数の高凸部1bと、複数の低凸部1sと、高凸部1b及び低凸部1sに亘って連続して延びる連結凸部1cとを有している。連結凸部1cは、第1繊維層11が、第2繊維層12側から第1繊維層11側に向けて低凸部1sよりも低く隆起して形成されている。言い換えれば、高凸部1b及び低凸部1sは、その内部が第1繊維層11を構成する繊維で満たされている。そして、連結凸部1cも、内部が第1繊維層11を構成する繊維で満たされている。
当該公報に開示された代表的な表面シート1は、図3に示すように、第1繊維層11は、第2繊維層12側から第1繊維層11側に向けて突出した厚み方向Z複数の高凸部1bと、高凸部1bよりも高さの低い複数の低凸部1sとを有している。好適には、表面シート1は、図4に示すように、複数の高凸部1bと、複数の低凸部1sと、高凸部1b及び低凸部1sに亘って連続して延びる連結凸部1cとを有している。連結凸部1cは、第1繊維層11が、第2繊維層12側から第1繊維層11側に向けて低凸部1sよりも低く隆起して形成されている。言い換えれば、高凸部1b及び低凸部1sは、その内部が第1繊維層11を構成する繊維で満たされている。そして、連結凸部1cも、内部が第1繊維層11を構成する繊維で満たされている。
表面シート1では、第2繊維層12は、熱収縮した熱収縮性繊維を含む熱収縮繊維層である。一方、表面シート1では、第1繊維層11は、第2繊維層12に積層されており、非熱収縮性繊維を含む非熱収縮繊維層である。表面シート1は、第1繊維層11と第2繊維層12とが融着接合された融着接合部6を複数備えている。好適には、表面シート1は、図3,図4に示すように、第1繊維層11と第2繊維層12とが、規則的に配された複数の融着接合部6により部分的に接合されて貼り合わされており、非肌対向面側の第2繊維層12の熱収縮性繊維を熱収縮して形成されている。表面シート1には、第1繊維層11の肌対向面側からエンボス加工を施した融着接合部6により凹陥した複数の凹部と、エンボス加工を施していない非エンボス加工部分に複数の凸部とが形成されている。融着接合部6により凹部となった部分の繊維密度は、融着接合されていない凸部の部分よりも高くなっており、表面シート1の中で最も高くなっている。
融着接合部6は、例えば熱エンボス、超音波エンボスなどの各種融着手段によって形成される。
表面シート1は、複数の融着接合部6によって囲まれた大多角形領域BTを複数有し、複数の大多角形領域BTの頂点をなす融着接合部6によって囲まれた、大多角形領域BTよりも面積が小さい小多角形領域STを複数有している。このように、表面シート1は、複数の融着接合部6によって囲まれた多角形領域(大多角形領域BT,小多角形領域ST)が形成されており、該多角形領域(大多角形領域BT,小多角形領域ST)内が非エンボス加工部となっている。大多角形領域BTとこれに隣接する小多角形領域STとは、融着接合部6を共通の頂点としている。なお、本明細書において、「融着接合部6を頂点として」いる、或いは、「融着接合部6が頂点をなす」、とは、融着接合部6全体を頂点としている、という限定的な意味ではなく、融着接合部6の一部を頂点としている場合も含む意味である。本実施形態の表面シート1では、融着接合部6の一部が各多角形領域の頂点となっており、融着接合部6の頂点を除く残部が各多角形領域の外形をなす辺の一部となっている。また、「融着接合部6によって囲まれた」という表現は、融着接合部6の内側で構成される領域を意味するのではなく、融着接合部6を含んで構成される領域を意味する。
表面シート1では、図4,図5に示すように、複数の大多角形領域BTが第1方向(Y方向)に沿って互いに隣接して配されて構成された大多角形領域列BTLが形成されている。また、表面シート1では、複数の小多角形領域STが第1方向(Y方向)に沿って互いに隣接して配されて構成された小多角形領域列STLが形成されている。そして、大多角形領域列BTLと小多角形領域列STLとが、第1方向と直交する第2方向に交互に配されている。即ち、第2方向に沿って、大多角形領域列BTL,小多角形領域列STL,大多角形領域列BTL,・・・と交互に配置されている。なお、本実施形態の表面シート1では、大多角形領域BTをなす六角形は、第1方向よりも第2方向に長い形状となっている。このため、第1方向に隣り合う大多角形領域BT間の中心間距離が、第2方向に隣り合う大多角形領域BT間の中心間距離よりも短い。すなわち、大多角形領域列BTLは、隣り合う大多角形領域BT間の中心間距離が相対的に小さい方の第1方向に沿う列である。また、小多角形領域ST間の中心間距離についても同様に、第2方向に隣り合う小多角形領域ST間の中心間距離よりも、第1方向に隣り合う小多角形領域ST間の中心間距離が短くなっており、小多角形領域列STLも第1方向に沿う列となっている。
表面シート1では、図5,図6に示すように、各大多角形領域BT内には相対的に高さの高い高凸部1bが形成されており、これが第1方向に沿って複数配されて高凸部列1bLを構成している。一方、各小多角形領域ST内には、高凸部1bよりも高さの低い低凸部1sが形成されており、これが第1方向に沿って複数配されて低凸部列1sLを構成している。そして、高凸部列1bLと低凸部列1sLとが、第1方向と直交する第2方向に交互に配されている。そして、高凸部列1bLの高凸部1bと低凸部列1sLの低凸部1sとは、表面シート1上で千鳥状に配置されている。このような構成の表面シート1を吸収性物品の1例であるナプキン10に使用すれば、高凸部1bよりも低い低凸部1sの頂部1stは使用中に着用者の肌に接触し難く、着用者の肌との接触面積を低減することができる。そして、使用中に排泄された液は、着用者の肌に接触している高凸部1bの頂部1btへと移行し易く、表面に液が残り難くなっており、使用感が向上する。
表面シート1では、図4,図5に示すように、融着接合部6は、第2方向に関して最も近い位置にある2つの高凸部1b,1bどうしの間で、且つ、第1方向に関して最も近い位置にある2つの低凸部1s,1sどうしの間に中間接合部61を有している。表面シート1においては、複数の融着接合部6は、2種類の形状の接合部からなり、1つ目が中間接合部61であり、2つ目が中間接合部61を除く残りの他接合部62である。なお、本明細書において、「1個の接合部」とは、外形的に1つと見做せるエンボス加工部の形状のことをいい、該エンボス加工部の形状が複数のドットや破線で構成されていても「1個の接合部」という。
表面シート1では、図4,図5に示すように、各中間接合部61は、第1方向に隣り合う四角形の小多角形領域ST,STにて、各小多角形領域STを構成する4つの融着接合部6の内の1つの融着接合部6として共有され、第2方向に隣り合う六角形の大多角形領域BT,BTにて、各多角形領域BTを構成する6つの融着接合部6の内の1つの融着接合部6として共有されている。従って、各中間接合部61は、第1方向に関して最も近い2つの低凸部1s,1sどうしの中間位置に配されており、第2方向に関して最も近い2つの高凸部1b,1bどうしの中間位置に配されている。
表面シート1では、図7に示すように、各中間接合部61は六角形の大多角形領域BTの外形を形成している辺に沿って延びる、4方向延出形状に、即ちX字形状に形成されている。X字形状の中間接合部61は、平面視して、大多角形領域BTの頂点から4本の突出部61eが延出した形状である。該4本の突出部61eは各々同じ長さであり、X字形状の中間接合部61は、その中心点を通る第1方向に平行な線及びその中心点を通る第2方向に平行な線各々に対して、線対称の形状となっている。
表面シート1では、図7に示すように、X字形状の中間接合部61は、第2方向における突出部61e同士の交差角度θ1が、表面シート1における肌との接触面積を低減させ、良好な肌触りを保ち、且つ、見た目の印象を良好にする観点から、好ましくは50°以上、特に好ましくは70°以上、そして、好ましくは170°以下、特に好ましく130°以下、より具体的には、50°以上170°以下であることが好ましく、70°以上130°以下であることが更に好ましい。尚、表面シート1においては、交差角度θ1は90°である。
表面シート1では、図7に示すように、X字形状の中間接合部61は、第2方向における突出部61e同士の交差角度θ1が、表面シート1における肌との接触面積を低減させ、良好な肌触りを保ち、且つ、見た目の印象を良好にする観点から、好ましくは50°以上、特に好ましくは70°以上、そして、好ましくは170°以下、特に好ましく130°以下、より具体的には、50°以上170°以下であることが好ましく、70°以上130°以下であることが更に好ましい。尚、表面シート1においては、交差角度θ1は90°である。
表面シート1では、図7に示すように、各他接合部62は、1つの頂点を共有する小多角形領域ST及び第1方向に隣り合う2つの大多角形領域BT,BTにおいて、頂点から四角形の小多角形領域STの外形の一部を形成していると共に一方の六角形の大多角形領域BTの外形の一部を形成している辺に沿って延び、且つ該頂部の中心点である頂点から四角形の小多角形領域STの外形の一部を形成していると共に他方の六角形の大多角形領域BTの外形の一部を形成している辺に沿って延び、且つ一方の六角形の大多角形領域BTの外形の一部を形成していると共に他方の六角形の大多角形領域BTの外形の一部を形成している辺に沿って延びる3方向延出形状に、即ちY字形状に形成されている。Y字形状の他接合部62は、平面視して、頂部の中心点である頂点から3本の突出部62eが延出した形状である。該3本の突出部62eは各々同じ長さであり、Y字形状の他接合部62は、その中心点を通る第2方向に平行な線に対して、線対称の形状となっている。
表面シート1では、図7に示すように、Y字形状の他接合部62は、突出部62e同士の交差角度θ2が、表面シート1における肌との接触面積を低減および良好な肌触りを保ち、且つ、見た目の印象を良好にする観点から、好ましくは50°以上、特に好ましくは70°以上、そして、好ましくは170°以下、特に好ましく130°以下、より具体的には、50°以上170°以下であることが好ましく、70°以上130°以下であることが更に好ましい。尚、表面シート1においては、交差角度θ2は130°である。
表面シート1では、図7に示すように、各融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)は、良好な肌触りを維持しながら、表面シート1における液の引き込み性および拡散性を高める観点から、1個の融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62の平均)の面積が、好ましくは1mm2以上、更に好ましくは1.5mm2以上、そして、好ましくは15mm2以下、更に好ましくは12mm2以下、より具体的には、1mm2以上15mm2以下であることが好ましく、1.5mm2以上12mm2以下であることが更に好ましい。
表面シート1では、図5に示すように、各融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)は、第1方向及び第2方向に、規則的に、それぞれ間隔を空けて別個独立して設けられている。各融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)は、表面シート1における液の引き込み性および拡散性を高め且つ良好な肌触りを保つ観点から、その密度が、好ましくは1個/cm2以上、更に好ましくは2個/cm2以上、そして、好ましくは32個/cm2以下、更に好ましくは16個/cm2以下、より具体的には、1個/cm2以上32個/cm2以下であることが好ましく、2個/cm2以上16個/cm2以下であることが更に好ましい。
表面シート1では、図5に示すように、第1方向に関して、最も近い位置にある融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)どうしの間隔は、表面シート1における液の引き込み性及び拡散性を高め、且つ見た目の印象と肌触りを良好に保つ観点から、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは1.0mm以上、そして、好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは4.0mm以下、より具体的には、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上4.0mm以下であることが更に好ましい。
表面シート1では、図7に示すように、1個の六角形の大多角形領域BTは、2個の中間接合部61と、4個の他接合部62とから形成されている。2個の中間接合部61は、平面視して、大多角形領域BTの重心を通る第2方向に平行に延びる仮想二等分線Ly1上に配されており、大多角形領域BTの重心を通る第1方向に平行に延びる仮想二等分線Lx1に対して対称となるように配されている。4個の他接合部62は、2個の中間接合部61が配された頂部以外の、大多角形領域BTの頂部に配されている。第1方向に関して最も近い2つの他接合部62,62どうしは、平面視して、第2方向に平行に延びる仮想二等分線Ly1に対して対称となるように配されている。そして、第2方向に関して最も近い2つの他接合部62,62どうしは、平面視して、第1方向に平行に延びる仮想二等分線Lx1に対して対称となるように配されている。このように、1個の六角形の大多角形領域BTを構成する第2方向に関して最も近い2つの他接合部62,62どうしは、仮想二等分線Lx1に対して、互いに逆向きになるよう配置されている。
表面シート1では、図8に示すように、1個の四角形の小多角形領域STは、2個の中間接合部61と、2個の他接合部62とから形成されている。2個の中間接合部61は、平面視して、小多角形領域STの重心を通る第1方向に平行に延びる仮想二等分線Lx2上に配されており、小多角形領域STの重心を通る第2方向に平行に延びる仮想二等分線Ly2に対して対称となるように配されている。2個の他接合部62は、平面視して、第2方向に平行に延びる仮想二等分線Ly2上に配されており、第1方向に平行に延びる仮想二等分線Lx2に対して対称となるように配されている。このように、1個の四角形の小多角形領域STを構成するX方向に関して最も近い2つの他接合部62,62どうしは、仮想二等分線Lx2に対して、互いに逆向きになるようにY字形状と逆Y字形状に配されている。
上述したように、表面シート1においては、図4,図5に示すように、四角形の各小多角形領域STの頂部は、全て、該小多角形領域STに隣接する六角形の大多角形領域BTの頂部と共有している。そのため、第2方向に関して、Y字形状の他接合部62が第1方向に等間隔で配されたY字形状の他接合部62の列と、逆Y字形状の他接合部62が第1方向に等間隔で配された逆Y字形状の他接合部62の列との間に、X字形状の中間接合部61が第1方向に等間隔で配された中間接合部61の列が配されている。このような3本の接合部列からなる配列が、第2方向に等間隔で配されている。そして、第1方向に関しては、第1方向に関して最も近い2つのY字形状の他接合部62,62どうしの中間に対応する位置にX字形状の中間接合部61が配されている。第2方向に関しては、第2方向に隣り合うY字形状の他接合部62と逆Y字形状の他接合部62とが、第2方向に平行に延びる仮想線上に配されている。
表面シート1では、図3に示すように、融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)は、表面シート1の構成繊維が圧密化されており、エンボス加工されていない部分に比べて、表面シート1の高さ(厚み)が最も低く(薄く)なっている。即ち、融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)による凹部の繊維密度は、エンボス加工されていない部分よりも高くなっており、表面シート1の中で最も高くなっている。また、エンボス加工の条件によっては、構成繊維が溶融固化してフィルム様になっている場合もある。このことから、融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)は表面シート1の硬さや排泄液の引込み性に影響を与える。この観点から、表面シート全面積に対する融着接合部6の面積の比率、即ちエンボス化率は5%以上、30%以下であることが好ましく、特に、7%以上20%以下であることが好ましい。表面シート1におけるエンボスパターンによれば、このような低いエンボス化率としても、着用者の肌との接触面積を低くすることができる。
以上のように形成された表面シート1では、図5に示すように、六角形の大多角形領域BT内に形成される高凸部1bは、平面形状が楕円の凸部であり、四角形の各小多角形領域ST内に形成される低凸部1sは、平面形状が円形の凸部となっている。また、大多角形領域BT内に形成される高凸部1bと、大多角形領域BTに隣接する四個の小多角形領域ST内に形成される低凸部1sそれぞれとの間に連結凸部1cが形成されている。
表面シート1では、上述したように、図4に示すように、1個の四角形の小多角形領域STが、それぞれ、4個の六角形の大多角形領域BTによって囲まれている。1つの四角形状の小多角形領域ST内の低凸部1sに着目した際、4つの六角形状の大多角形領域BT内の高凸部1bが隣接している。そして、図5に示すように、互いに隣接する1の小多角形領域ST内の低凸部1sと4つの大多角形領域BT内の高凸部1bとは、多角形領域の頂部をなす融着接合部6,6どうしの間に配された、具体的には、中間接合部61と他接合部62との間に配された連結凸部1cで繋がっている。そして、連結凸部1cは、その内部が、高凸部1bから低凸部1sに向かって液が移動する通液路Rとなっている。このような構成の表面シート1を吸収性物品の1例であるナプキン10に使用すれば、高凸部1b内部に引き込んだ液が多量であったとしても、通液路Rである連結凸部1cを介して低凸部1s内に引き込む作用が働き易く、一度吸収された液が表面に戻り難くなっており、使用感が向上する。
表面シート1では、高凸部1bは、図6に示すように、高凸部1bをその頂部1btを通るように厚み方向Zに断面視した際、第1繊維層11で内部が満たされた、頂部1bt側の高凸部頂部1buと、頂部1btと反対側である第2繊維層12側の高凸部底部1bdとを有し、更に、第2繊維層12を有している。ここで、高凸部頂部1bu及び高凸部底部1bdの区別は、高凸部1bをその頂部1btを通るように厚み方向Zに仮想的に二等分した際、第1繊維層11を二等分した2つの部位のうち、頂部1bt側の部位を高凸部頂部1buとし、第2繊維層12側の部位を高凸部底部1bdとする。また、低凸部1sは、低凸部1sをその頂部1stを通るように厚み方向Zに断面視した際、第1繊維層11で内部が満たされた、頂部1st側の低凸部頂部1suと、頂部1stと反対側である第2繊維層12側の低凸部底部1sdとを有し、更に、第2繊維層12を有している。ここで、低凸部頂部1su及び低凸部底部1sdの区別は、低凸部1sをその頂部1stを通るように厚み方向Zに仮想的に二等分した際、第1繊維層11を二等分した2つの部位のうち、頂部1st側の部位を低凸部頂部1suとし、第2繊維層12側の部位を低凸部底部1sdとする。
尚、高凸部1bを厚み方向Zに仮想的に二等分する際の厚みとは、実質的に無荷重の状態での厚みを言う。実質的に無荷重とは、繊維の集合体である不織布の性質上、値のばらつきを抑えるために、0.049kPa荷重であることを言う。
また、低凸部1sを厚み方向Zに仮想的に二等分する際の厚みとは、上述した高凸部1bを厚み方向Zに仮想的に二等分する際の厚みと同様に、実質的に無荷重の状態での厚みを言う。実質的に無荷重とは、繊維の集合体である不織布の性質上、値のばらつきを抑えるために、0.049kPa荷重であることを言う。
また、低凸部1sを厚み方向Zに仮想的に二等分する際の厚みとは、上述した高凸部1bを厚み方向Zに仮想的に二等分する際の厚みと同様に、実質的に無荷重の状態での厚みを言う。実質的に無荷重とは、繊維の集合体である不織布の性質上、値のばらつきを抑えるために、0.049kPa荷重であることを言う。
表面シート1では、図6に示すように、低凸部頂部1suの繊維密度は、高凸部頂部1buの繊維密度よりも高くなっている。好適には、立体ドーム構造の低凸部1sは、その繊維密度が、その厚み方向(Z方向)の頂部1stの頂点(高さhsの基準点)において、低凸部1sの中で最も高くなっている。同様に、立体ドーム構造の高凸部1bは、その繊維密度が、その厚み方向の頂部1btの頂点(高さhsの基準点)において、高凸部1bの中で最も高くなっている。そして、低凸部1sの低凸部頂部1suの繊維密度は、高凸部1bの高凸部頂部1buの繊維密度よりも高くなっている。また、第2繊維層12の繊維密度は、低凸部1s及び高凸部1bの繊維密度よりも高くなっている。即ち、第2繊維層12の繊維密度は、低凸部1sの頂部1stの頂点(高さhsの基準点)での繊維密度、及び高凸部1bの頂部1btの頂点(高さhsの基準点)での繊維密度よりも高くなっている。このような構成の表面シート1を吸収性物品の1例であるナプキン10に使用すれば、使用中に排泄された液は、着用者の肌に接触している高凸部1bの頂部1btへと移行し易く、高凸部1b内部に引き込まれ易く、表面に液が残り難くなっている。そして、高凸部1b内部に引き込んだ液は、第2繊維層12に移行し易く、一度吸収された液が表面に戻り難くなっている。また、高凸部1b内部に引き込んだ液が多量であったとしても、繊維密度の高い低凸部1s内に引き込む作用が働き易く、一度吸収された液が表面に戻り難くなっており、使用感が向上する。この「液が表面に戻り難い」という効果は、ナプキン10の表面シート1として用いた場合に、吸収体3に一旦吸収された液が、着用者の耐圧を受けても逆戻りしづらくなるという点で有利である。
高凸部1bの厚み方向の頂点(高さhbの基準点)における繊維密度dbに対する、低凸部1sの厚み方向の頂点(高さhsの基準点)における繊維密度dsの比率(ds/db)は、排泄された体液の引き込み性を強化する観点から、好ましくは1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上、そして、好ましくは3.0倍以下、更に好ましくは2.5倍以下、より具体的には、1.2倍以上3.0倍以下であることが好ましく、1.5倍以上2.5倍以下であることが更に好ましい。
表面シート1の繊維密度の比率は、以下に記載する2つの方法(1)及び(2)のいずれかを使用して計測することができる。
(1)表面シート1の坪量が略均一(一様)である場合(あるいは略均一と判断できる場合)には、表面シート1の切断面の高さ(厚み)を計測する。
(2)表面シート1の坪量が不均一である場合(あるいは不均一と判断きる場合)には、表面シート1の切断面における繊維間の平均距離を計測する。
(1)表面シート1の坪量が略均一(一様)である場合(あるいは略均一と判断できる場合)には、表面シート1の切断面の高さ(厚み)を計測する。
(2)表面シート1の坪量が不均一である場合(あるいは不均一と判断きる場合)には、表面シート1の切断面における繊維間の平均距離を計測する。
ここで、表面シート1の坪量が略均一であるか否かの判断は、次の通り行う。
表面シート1から、X方向10cmY方向10cmのサイズのカットサンプルを10個以上の取り出し、各々の坪量を計測した際に、標準偏差σの3倍値(3σ)が平均μの10%以内であり、外観上繊維ムラが見られなければ、略均一と判断する。ただし、微小領域で組成が異なっている等、様々な要因を考慮し、総合的に判断することが好ましい。
表面シート1から、X方向10cmY方向10cmのサイズのカットサンプルを10個以上の取り出し、各々の坪量を計測した際に、標準偏差σの3倍値(3σ)が平均μの10%以内であり、外観上繊維ムラが見られなければ、略均一と判断する。ただし、微小領域で組成が異なっている等、様々な要因を考慮し、総合的に判断することが好ましい。
まず、(1)の方法について説明する。
平面視における表面シート1から、高凸部1bの重心(Z方向の頂点)と両端の2個の融着接合部6(中間接合部61)とを通る直線で切断して高凸部1b測定用サンプルを作成する。同様に、低凸部1sの重心(Z方向の頂点)と両端の2個の融着接合部6(2個の中間接合部61或いは2個の他接合部62)とを通る直線で切断して低凸部1s測定用サンプルを作成する。この際、切断により各測定用サンプルの高さの減少等をなるべく起こさないように留意する。
平面視における表面シート1から、高凸部1bの重心(Z方向の頂点)と両端の2個の融着接合部6(中間接合部61)とを通る直線で切断して高凸部1b測定用サンプルを作成する。同様に、低凸部1sの重心(Z方向の頂点)と両端の2個の融着接合部6(2個の中間接合部61或いは2個の他接合部62)とを通る直線で切断して低凸部1s測定用サンプルを作成する。この際、切断により各測定用サンプルの高さの減少等をなるべく起こさないように留意する。
得られた各測定用サンプルの断面の計測は、日本電子株式会社製の電子顕微鏡 JCM−5100を使用し、スパッター時間30秒(Pt)、加速電圧10KVの条件で行うが、測定用サンプルの両端の融着接合部6の少なくとも一方が撮影されるか、あるいは複数枚の画像を組み合わせて前記融着接合部6がわかる状況とし、撮影画像から各測定用サンプルの高さ(厚み)を計測する。尚、画像の計測は、印刷物あるいはPC画面上のどちらを使用して行ってもよい。
(1)の方法においては、低凸部1s測定用サンプルの中央部の高さhs(厚み)を、高凸部1b測定用サンプルの中央部の高さhb(厚み)で除して密度の比率(ds/db)とする。
(1)の方法においては、低凸部1s測定用サンプルの中央部の高さhs(厚み)を、高凸部1b測定用サンプルの中央部の高さhb(厚み)で除して密度の比率(ds/db)とする。
次に、(2)の方法について説明する。
(1)の方法と同様に断面を計測するが、(1)の方法で行う測定に加えて、各測定用サンプルの断面を拡大倍率500〜1000倍で撮影する。拡大撮影画像各々の対象測定部位(各測定用サンプルの中央部)で且つ幅方向(平面方向)に繊維本数が3〜7本の領域において、画像解析装置(NEXUS製NEWQUBE ver.4.20)を使用して、繊維の最近接重心間距離を求める。
上記計測においては、高さ(厚み)方向に略全体的に計測し、且つ最近接重心間距離の重複が生じないようにする。また、断面については、少なくとも3箇所、好ましくは5箇所、より好ましくは10箇所計測し、その平均値を用いる。
(2)の方法においては、低凸部1s測定用サンプルの中央部の最近接重心間距離を、高凸部1b測定用サンプルの中央部の最近接重心間距離で除して密度の比率(ds/db)とする。
(1)の方法と同様に断面を計測するが、(1)の方法で行う測定に加えて、各測定用サンプルの断面を拡大倍率500〜1000倍で撮影する。拡大撮影画像各々の対象測定部位(各測定用サンプルの中央部)で且つ幅方向(平面方向)に繊維本数が3〜7本の領域において、画像解析装置(NEXUS製NEWQUBE ver.4.20)を使用して、繊維の最近接重心間距離を求める。
上記計測においては、高さ(厚み)方向に略全体的に計測し、且つ最近接重心間距離の重複が生じないようにする。また、断面については、少なくとも3箇所、好ましくは5箇所、より好ましくは10箇所計測し、その平均値を用いる。
(2)の方法においては、低凸部1s測定用サンプルの中央部の最近接重心間距離を、高凸部1b測定用サンプルの中央部の最近接重心間距離で除して密度の比率(ds/db)とする。
表面シート1では、図6に示すように、各高凸部1b、各低凸部1s及び各連結凸部1cは、第1繊維層11を構成する繊維で満たされた中実構造となっており、また、融着接合部6(中間接合部61及び他接合部62)どうし間における第1繊維層11と第2繊維層12との界面は、接合はされていないが全域に亘って密着した状態となっている。このように、第1繊維層11と第2繊維層12との間に空隙は生じていない。
表面シート1では、第1繊維層11を構成する繊維は、繊維の交点においてエアスルー方式で融着している。高凸部頂部1bu及び低凸部頂部1suを構成する繊維と、高凸部底部1bd及び低凸部底部1sdを構成する繊維とは同一である。
表面シート1では、第1繊維層11を構成する繊維として、熱融着性繊維、特に熱可塑性ポリマー材料からなる繊維が第2繊維層12との熱融着性の観点から好適に用いられる。熱融着性繊維の例としては、熱融着性芯鞘型複合繊維、熱伸長性繊維、非熱伸長性繊維、熱収縮繊維、非熱収縮性繊維、立体捲縮繊維、潜在捲縮性繊維、中空繊維等を挙げることができ、表面シート1では、非熱収縮性繊維が好ましく用いられる。
熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。第1繊維層11を構成する繊維としては、特に、これらの熱可塑性ポリマー材料の組み合わせからなる芯鞘型複合繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンを芯成分とし、ポリエチレンを鞘成分とするもの等)を好ましく用いることができる。芯鞘型の複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異型形でも良く、同心の芯鞘型であることが好ましい。
芯鞘型複合繊維の中でも、熱融着性繊維は、少なくとも表面がポリオレフィン系樹脂で形成されていることが好ましい。表面シート1の構成繊維である熱融着性繊維の表面がポリオレフィン系樹脂で形成されていると、熱処理により繊維表面が溶融し、繊維処理剤の繊維中への浸透が生じやすくなることで、所望の部分の親水度を効率的に低下できるという効果が奏される。熱融着性繊維の表面を形成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
第1繊維層11は、前記熱融着性繊維として、後述する第2繊維層12中に含有させる潜在捲縮性繊維の収縮開始温度では収縮しない繊維を、60質量%以上、特に80質量%以上、そして、100質量%以下含有することが好ましい。第1繊維層11にも、第2繊維層12に含有させる潜在捲縮性繊維を含有させても良いが、第1繊維層11と第2繊維層12との間に、第1繊維層11を粗、第2繊維層12を密とする粗密勾配を生じさせる観点から、第1繊維層11中の潜在捲縮性繊維の含有率は、80質量%以下であることが好ましい。
第1繊維層11を構成する熱融着性繊維が非複合繊維(単繊維)である場合の結晶化度は、熱風回復性の観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上、そして、風合いの観点から、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下である。
第1繊維層11を構成する熱融着性繊維が複数種の樹脂を有する複合繊維である場合には、比較的融点が高い高融点樹脂及び比較的融点が低い低融点樹脂のそれぞれが、下記の結晶化度を有することが好ましい。高融点樹脂(熱融着性繊維が芯鞘型複合繊維の場合の芯成分)が、ポリプロピレン樹脂(PP)の場合には、風合いの観点から、結晶化度は好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下であり、そして、熱風回復性の観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上である。高融点樹脂(熱融着性繊維が芯鞘型複合繊維の場合の芯成分)がポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、風合いの観点から、結晶化度は好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下であり、そして、熱風回復性の観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。樹脂の結晶化度は、以下の方法により求められる。
<樹脂の結晶化度の測定方法>
樹脂の結晶化度χは、下記式(1)によって求められる。
χ=(1−(ρc−ρ)/(ρc−ρa))×100 (1)
前記式(1)中の「ρc」は樹脂の結晶の密度であり、樹脂がPPの場合は0.936[g/cm3]、PETの場合は1.457[g/cm3](下記参考文献3参照)である。
また、前記式(1)中の「ρa」は樹脂の非晶の密度であり、樹脂がPPの場合は0.850[g/cm3]、PETの場合は1.335[g/cm3](下記参考文献3参照)である。
また、前記式(1)中の「ρ」は下記式(2)によって求められる。
ρ=ρc−(ρc−ρa)×(Lorentz密度B−Lorentz密度A)/(Lorentz密度B−Lorentz密度C) (2)
樹脂の結晶化度χは、下記式(1)によって求められる。
χ=(1−(ρc−ρ)/(ρc−ρa))×100 (1)
前記式(1)中の「ρc」は樹脂の結晶の密度であり、樹脂がPPの場合は0.936[g/cm3]、PETの場合は1.457[g/cm3](下記参考文献3参照)である。
また、前記式(1)中の「ρa」は樹脂の非晶の密度であり、樹脂がPPの場合は0.850[g/cm3]、PETの場合は1.335[g/cm3](下記参考文献3参照)である。
また、前記式(1)中の「ρ」は下記式(2)によって求められる。
ρ=ρc−(ρc−ρa)×(Lorentz密度B−Lorentz密度A)/(Lorentz密度B−Lorentz密度C) (2)
前記式(2)中の「Lorentz密度A」は下記式(3)によって求められる。また、下記式(3)中の「n」は、平均屈折率であり、前記測定値の平行方向の屈折率「np」と垂直方向の屈折率「nv」とを用いて、下記式(4)から求められる。
Lorentz密度A=(n2−1)/(n2+1) (3)
n2=(np2+2nv2)/3 (4)
Lorentz密度A=(n2−1)/(n2+1) (3)
n2=(np2+2nv2)/3 (4)
また、前記式(2)中の「Lorentz密度B」は、それぞれの樹脂種の結晶の屈折率をnとして前記式(3)に代入して求められ、PPの場合はn=1.52、PETの場合はn=1.64(それぞれ下記参考文献2、参考文献1参照)を使用した。
また、前記式(2)中の「Lorentz密度C」は、それぞれの樹脂種の非晶の屈折率をnとして前記式(3)に代入して求められ、PPの場合はn=1.47、PETの場合はn=1.58(それぞれ下記参考文献2、参考文献1参照)を使用した。
また、前記式(2)中の「Lorentz密度C」は、それぞれの樹脂種の非晶の屈折率をnとして前記式(3)に代入して求められ、PPの場合はn=1.47、PETの場合はn=1.58(それぞれ下記参考文献2、参考文献1参照)を使用した。
・参考文献1:「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(発行所:日刊工業新聞社、初版、1989年)
・参考文献2:「POLYMER HANDBOOK」(A WILEY−INTER
SCIENCE PUBLICATION、1999年)
・参考文献3:「プラスチック成形品の高次構造解析入門」(編者(社)プラスチック成形加工学会、初版、2006年)
・参考文献2:「POLYMER HANDBOOK」(A WILEY−INTER
SCIENCE PUBLICATION、1999年)
・参考文献3:「プラスチック成形品の高次構造解析入門」(編者(社)プラスチック成形加工学会、初版、2006年)
尚、結晶化度は、その測定方法や条件により、結晶とみなされる構造が異なるため、異なる測定方法、条件間での絶対値の議論はできないことが一般的である。
熱融着性繊維を構成する各樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。また、樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に該樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、その樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、軟化点を融点の代わりに用いる。
第1繊維層11を構成する繊維集合体の形態としては、例えばカード法によって形成されたウエブ、熱融着法によって形成された不織布、水流交絡法によって形成された不織布、ニードルパンチ法によって形成された不織布、溶剤接着法によって形成された不織布、スパンボンド法によって形成された不織布、メルトブローン法によって形成された不織布、又は編地などが挙げられる。カード法によって形成されたウエブとは、不織布化される前の状態の繊維集合体のことである。つまり、不織布を製造する際に用いられるカードウエブに加えられる後処理、例えばエアスルー法やカレンダー法による加熱融着処理が施されていない状態にある、繊維同士が極めて緩く絡んでいる状態の繊維集合体のことである。カード法によって形成されたウエブを第1繊維層11に用いる場合には、第1繊維層11と第2繊維層12とを接合させると同時に、または接合させた後、第1繊維層11中の繊維同士を、熱融着若しくは溶剤により接着し、又は機械的に交絡させる。
第2繊維層12も、繊維集合体から構成されている。第2繊維層12は、螺旋状に捲縮した捲縮繊維として、螺旋状に捲縮した潜在捲縮性繊維である熱収縮性繊維を含んでいる。潜在捲縮性繊維とは、加熱される前は、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ収縮温度での加熱によって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。
本実施形態の表面シート1は、潜在捲縮性繊維100%からなる第2繊維層12と、前述した熱融着性繊維100%からなる第1繊維層11とを積層し両者を部分的に接合させた後、第2繊維層12中の潜在捲縮性繊維を熱収縮させ第2繊維層12を熱収縮させることによって、第1繊維層11における融着接合部6以外の部分を凸状に隆起させて得られたものである。第2繊維層12の構成繊維として潜在捲縮性繊維を用いることで、第2繊維層12の熱収縮性と熱収縮後の第2繊維層12延いては表面シート1のエラストマー的挙動の両者を同時に発現させることができる。
潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書等に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンとの組み合わせが挙げられる。
収縮温度は、潜在捲縮性繊維ないし捲縮繊維が有する複数種の熱可塑性ポリマーのうち、相対的に軟化点が低い成分と相対的に軟化点が高い成分の、両軟化点間の温度を意味する。また、収縮開始温度は、相対的に軟化点が低い成分の軟化点を意味する。潜在捲縮性繊維は、両軟化点間の温度に加熱されたときに、低い軟化点を有する成分のみが収縮を開始する。その結果として、繊維全体が螺旋状に収縮して捲縮が発現され、捲縮繊維を形成する。後述する熱収縮工程における熱処理の温度は、潜在捲縮性繊維を構成する樹脂の軟化点に応じて、即ち収縮温度に応じて、適宜調整することができる。
第2繊維層12を構成する繊維集合体の形態としては、潜在捲縮性繊維を含み且つカード法によって形成されたウエブ、熱融着法によって形成された不織布、水流交絡法によって形成された不織布、ニードルパンチ法によって形成された不織布、溶剤接着法によって形成された不織布、スパンボンド法によって形成された不織布、メルトブローン法によって形成された不織布が挙げられるが、カード法によって形成されたウエブであることが好ましい。
第2繊維層12を構成する繊維集合体は、第1繊維層11と融着接合部6にて接合されていない部分における構成繊維同士間が互いに熱融着されていないことが繊維の自由度を高めて粘性物の透過性を向上させる観点から好ましい。
第1繊維層11及び第2繊維層12には、前記以外の繊維、例えばレーヨン、コットン、親水化アクリル系繊維などの吸水性繊維を混綿することもできる。
例えば、第2繊維層12には、第1繊維層11に配合した熱融着性繊維等、潜在捲縮性繊維以外の繊維を混ぜても良い。熱融着性繊維は、例えば、形状を安定させ、ヨレ・シワ防止性を高める目的で配合される。
表面シート1において、第2繊維層12は、潜在捲縮性繊維を60質量%以上、特に80質量%以上、そして、100質量%以下含有することが好ましい。ここでいう熱収縮性繊維の含有率は、螺旋状の捲縮を発現したものと、螺旋状の捲縮を発現していないものとの両者を含めた含有率である。潜在捲縮性繊維の含有率が80質量%以上とすることにより、第1繊維層11の融着接合部6以外の部分を充分に凸状に変形させ、嵩高な表面シート1を得ることができる。
表面シート1において、第1繊維層11の厚みは、肌からの圧力がかかった際に圧縮変形できる部分が特に充分となり、ソフト感を向上させる観点から、0.5mm以上、特に1.0mm以上、そして、3.0mm以下、特に2.0mmであることが好ましい。第2繊維層12は、第1繊維層11と第2繊維層12との間の粗密勾配による優れた液の引き込み性を安定して発現させる観点から、第1繊維層11よりも、密度が高く、厚みが薄いことが好ましい。また、繊維ムラを防止する観点から、第2繊維層12の厚みは0.5mm以上、そして、2.0mm以下、特に1.0mmであることが好ましい。
表面シート1は、吸収性物品に用いられた際の嵩高感や柔らかさの観点から、その坪量が20g/m2以上、特に50g/m2以上、そして200g/m2以下、特に100g/m2以下であることが好ましい。表面シート1においては、第2繊維層12に潜在捲縮性
繊維を使用しているため、後述する熱収縮工程を経ることにより、ウエブ状態の時よりも不織布状態における坪量が大きくなる。よって、潜在捲縮性繊維を使用しない場合と異なり、複数枚のウエブを積層するなどの手段を採らずに、容易に大きな坪量を有する表面シート1を得ることができる。このように大きな坪量を有することによって、クッション感向上による風合いの心地よさ、排泄液が表面シート上で広がらずに吸収されることによる肌への液付着量低減、特に経血を吸収した後の見た目の白さにより安心感と清潔感の向上が可能となる。坪量は、表面シート1を50mm×50mm以上の大きさに裁断して測定片を採取し、この測定片の重量を最小表示1mgの電子天秤を用いて測定し坪量に換算することで求める。
繊維を使用しているため、後述する熱収縮工程を経ることにより、ウエブ状態の時よりも不織布状態における坪量が大きくなる。よって、潜在捲縮性繊維を使用しない場合と異なり、複数枚のウエブを積層するなどの手段を採らずに、容易に大きな坪量を有する表面シート1を得ることができる。このように大きな坪量を有することによって、クッション感向上による風合いの心地よさ、排泄液が表面シート上で広がらずに吸収されることによる肌への液付着量低減、特に経血を吸収した後の見た目の白さにより安心感と清潔感の向上が可能となる。坪量は、表面シート1を50mm×50mm以上の大きさに裁断して測定片を採取し、この測定片の重量を最小表示1mgの電子天秤を用いて測定し坪量に換算することで求める。
表面シート1では、図6に示すように、高凸部1bをその頂部1btを通るように厚み方向Zに断面視し、低凸部1sをその頂部1stを通るように厚み方向Zに断面視した際、第1繊維層11における頂部1bt側の高凸部頂部1buの親水度が、第1繊維層11における第2繊維層12側の高凸部底部1bdの親水度よりも低く、第1繊維層11における第2繊維層12側の低凸部底部1sdの親水度よりも低く形成されている。好適には、高凸部頂部1buと、高凸部底部1bdと、低凸部底部1sdとの親水度の大小関係が、高凸部頂部1buの親水度<高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度となっている。このような構成の表面シート1を吸収性物品の1例であるナプキン10に使用すれば、使用中に排泄された液が、着用者の肌に接触している高凸部1bの頂部1btから高凸部底部1bdへと移行し易く、一度吸収された液が表面に戻りにくく、使用感が向上する。また、表面シートでは、第2繊維層12の親水度が、高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも高く、高凸部1b及び低凸部1sの中で最も高く形成されている。その為、高凸部1b内部に引き込まれた液が第2繊維層12に移行し易く、一度吸収された液が表面に更に戻り難くなっており、使用感が向上する。
また、表面シート1では、図6に示すように、高凸部頂部1buと、低凸部頂部1suとの親水度の関係が、高凸部頂部1buの親水度<低凸部頂部1suの親水度となっている。このような構成の表面シート1を吸収性物品の1例であるナプキン10に使用すれば、高凸部1b内部に引き込んだ液が多量であったとしても、親水度の高い低凸部1s内に引き込む作用が働き易く、一度吸収された液が表面に戻り難くなっており、使用感が向上する。
上述した高凸部1b及び低凸部1sに関し、高凸部頂部1buの親水度とは、第1繊維層11における高凸部1bの頂部1btでの親水度のことであり、低凸部頂部1suの親水度とは、第1繊維層11における低凸部1sの頂部1stでの親水度のことである。また、高凸部底部1bdの親水度とは、第1繊維層11における高凸部1bの最下部(高凸部1bの頂部1btとは反対側の部位)の親水度のことであり、低凸部底部1sdの親水度とは、第1繊維層11における低凸部1sの最下部(低凸部1sの頂部1stとは反対側の部位)の親水度のことである。また、第2繊維層12の親水度とは、第2繊維層12を厚み方向Zに沿って親水度を測定したとき、最も高い親水度を示す部位での当該親水度のことであり、高凸部1bの第2繊維層12の親水度と低凸部1sの第2繊維層12の親水度とは同じである。また、本考案に言う「親水度」は、以下に述べる方法で測定された繊維の接触角に基づきその程度が判断される。具体的には、親水度が低いことは接触角が大きいことと同義であり、親水度が高いことは接触角が小さいことと同義である。
<接触角の測定方法>
測定対象の表面シート1のうち、高凸部1bの頂部1bt及び低凸部1sの頂部1stを横断する箇所を、剃刀の刃で垂直に切断する。その切断面を光学顕微鏡で観察し、厚み方向Zの所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。そして、滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、表面シート1から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。測定対象の表面シート1から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
測定対象の表面シート1のうち、高凸部1bの頂部1bt及び低凸部1sの頂部1stを横断する箇所を、剃刀の刃で垂直に切断する。その切断面を光学顕微鏡で観察し、厚み方向Zの所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。そして、滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、表面シート1から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。測定対象の表面シート1から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
表面シート1では、上述したように、第1繊維層11において、高凸部頂部1buの親水度が高凸部底部1bdの親水度よりも低く、低凸部頂部1suの親水度が低凸部底部1sdの親水度よりも低く、高凸部頂部1buの親水度が低凸部底部1sdの親水度よりも低くなっている。このような親水度の勾配を第1繊維層11に設けるためには、後述する繊維処理剤が付着した熱融着性繊維が、第1繊維層11に含まれていることが好ましい。この場合、第1繊維層11においては、高凸部頂部1buから高凸部底部1bdに向けて、或いは低凸部頂部1suから低凸部底部1sdに向けて、親水度が漸次高くなっていてもよく、親水度が段階的に高くなっていてもよい。特に、高凸部頂部1buから高凸部底部1bdに向けて親水度が漸次高く変化していることが好ましく、低凸部頂部1suから低凸部底部1sdに向けて親水度が漸次高く変化していることが好ましい。このように変化していると、高凸部頂部1buと高凸部底部1bdとの間、或いは低凸部頂部1suと低凸部底部1sdとの間で親水度が大きく変化する境界面が存在せず、該境界面に液が滞留する現象が生じない為、使用感が向上する。ここで、親水度が「漸次」高くなっているとは、親水度がグラデーションを有し、親水度が、高凸部頂部1buから高凸部底部1bdに向けて、或いは低凸部頂部1suから低凸部底部1sdに向けて徐々に高くなっている状態を意味する。
第1繊維層11において、高凸部頂部1buから高凸部底部1bdに向けて、或いは低凸部頂部1suから低凸部底部1sdに向けて親水度が漸次高く変化していることは、下記の手段で測定することができる。第1繊維層11のうち、例えば高凸部1bを厚み方向Zに仮想的に三等分する。そして、高凸部1bを三等分する2本の仮想線それぞれ上の1点、並びに高凸部1bの頂部1bt及び高凸部1bの最下部の、計4点の親水度を測定する。このとき、第1繊維層11の頂部1btから最下部に向けて、接触角が順に低くなっている場合を「親水度が漸次高くなっている」と言う。低凸部1sの場合も同様である。
親水度が漸次高くなっているか、それとも段階的に高くなっているかを問わず、第1繊維層11においては、高凸部頂部1buに含まれる繊維に対する水の接触角は、第1繊維層11が必要以上に液を保持しない観点から、好ましくは75°以上であり、より好ましくは80°以上であり、そして、第1繊維層11の表面を液が流れずに吸収される観点から、好ましくは95°以下、より好ましくは90°以下である。一方、第1繊維層11においては、高凸部底部1bdに含まれる繊維に対する水の接触角は、第2繊維層12からの液戻りを抑制する観点から、好ましくは65°以上であり、より好ましくは70°以上であり、そして、吸液時に液を速やかに第2繊維層12へ移行する観点から、好ましくは85°以下、より好ましくは75°以下である。
また、親水度が漸次高くなっているか、それとも段階的に高くなっているかを問わず、第1繊維層11においては、低凸部頂部1suに含まれる繊維に対する水の接触角は、高凸部底部1bd内の液が低凸部1sに移行し易い観点から、好ましくは75°以上であり、より好ましくは80°以上であり、そして、第1繊維層11の表面を液が流れずに吸収される観点から、好ましくは90°以下、より好ましくは88°以下である。一方、第1繊維層11においては、低凸部底部1sdに含まれる繊維に対する水の接触角は、第2繊維層12からの液戻りを抑制する観点から、好ましくは65°以上であり、より好ましくは70°以上であり、そして、吸液時に液を速やかに第2繊維層12へ移行する観点から、好ましくは85°以下、より好ましくは75°以下である。
高凸部底部1bdにおける接触角と高凸部頂部1buにおける接触角との差は、液戻りを防ぐ観点から、好ましくは5°以上であり、より好ましくは7°以上であり、そして、吸液時に液を速やかに第2繊維層12へ移行する観点から、好ましくは20°以下、より好ましくは18°以下である。
同様の観点から、高凸部底部1bdにおける接触角と高凸部頂部1buにおける接触角との比は、高凸部底部1bdにおける接触角の値を分母とし、高凸部頂部1buにおける接触角の値を分子としたときに、好ましくは105%以上であり、より好ましくは110%以上であり、そして、好ましくは135%以下、より好ましくは130%以下である。
低凸部底部1sdにおける接触角と低凸部頂部1suにおける接触角との差は、液戻りを防ぐ観点から、好ましくは1°以上であり、より好ましくは5°以上であり、そして、吸液時に液を速やかに第2繊維層12へ移行する観点から、好ましくは20°以下、より好ましくは18°以下である。
同様の観点から、低凸部底部1sdにおける接触角と低凸部頂部1suにおける接触角との比は、低凸部底部1sdにおける接触角の値を分母とし、低凸部頂部1suにおける接触角の値を分子としたときに、好ましくは102%以上であり、より好ましくは105%以上であり、そして、好ましくは135%以下、より好ましくは130%以下である。
高凸部底部1bdにおける接触角と低凸部頂部1suにおける接触角との差は、高凸部底部1bd内の液が低凸部1sに移行し易い観点から、好ましくは1°以上であり、より好ましくは5°以上であり、そして、吸液時に液を速やかに第2繊維層12へ移行する観点から、好ましくは20°以下、より好ましくは18°以下である。
同様の観点から、高凸部底部1bdにおける接触角と低凸部頂部1suにおける接触角との比は、高凸部底部1bdにおける接触角の値を分母とし、低凸部頂部1suにおける接触角の値を分子としたときに、好ましくは102%以上であり、より好ましくは105%以上であり、そして、好ましくは135%以下、より好ましくは130%以下である。
親水度に勾配を有する第1繊維層11とは対照的に、表面シート1では、第2繊維層12はその親水度が、該第2繊維層12のいずれの部位においても同じになっている。第2繊維層12に含まれる繊維に対する水の接触角は、高凸部頂部1bu及び低凸部頂部1suに含まれる繊維に対する水の接触角よりも小さいことを条件として、第2繊維層12で液を保持し続けない観点から、好ましくは50°以上であり、より好ましくは55°以上、更に好ましくは57°以上であり、そして、第1繊維層11から液を引き抜く観点から、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下、更に好ましくは60°以下である。
高凸部頂部1bu及び低凸部頂部1suのうち接触角が小さい方の部位における接触角と第2繊維層12における接触角との比は、第2繊維層12における接触角の値を分子としたときに、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上であり、そして、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは85%以下である。
また、高凸部頂部1bu及び低凸部頂部1suのうち接触角が大きい方の部位における接触角と第2繊維層12における接触角との比は、第2繊維層12における接触角の値を分子としたときに、好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上であり、そして、好ましくは85°以下、より好ましくは80°以下、更に好ましくは75°以下である。
以上のとおりの接触角(親水度の関係〕を有する各層・各部位からなる表面シート1を製造する好ましい製造方法としては、例えば、後述する繊維処理剤を用い、かつ後述するエアスルー法における熱風の吹き付け条件、すなわち熱風の温度や風量を適切に制御すればよい。
次に、表面シート1を製造する際に用いられる繊維処理剤について説明する。繊維処理剤は、表面シート1の構成繊維の表面に付着しており、該構成繊維の表面の親水度を、該繊維処理剤の付着前に比して高め得る剤であってもよい。表面シート1においては、前述したように、第1繊維層11と第2繊維層12とで親水度が異なっているところ、これは主として、第1繊維層11と第2繊維層12とで含有する繊維処理剤の種類が異なっていることに起因する。以下、繊維層別に繊維処理剤を説明する。
[第1繊維層に含まれる繊維処理剤]
第1繊維層11の有する熱融着性繊維に付着した繊維処理剤の例としては、ポリオルガノシロキサン((A)成分)、アルキルリン酸エステル((B)成分)、及び下記の一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤、又は、ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)を含有している剤が挙げられる。(C)成分としては、下記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤及びポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。尚、(C)成分は、(B)成分であるアルキルリン酸エステルは含まない成分を指す。
第1繊維層11の有する熱融着性繊維に付着した繊維処理剤の例としては、ポリオルガノシロキサン((A)成分)、アルキルリン酸エステル((B)成分)、及び下記の一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤、又は、ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)を含有している剤が挙げられる。(C)成分としては、下記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤及びポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。尚、(C)成分は、(B)成分であるアルキルリン酸エステルは含まない成分を指す。
前記(A)〜(C)の3成分を含む繊維処理剤が付着した繊維は、該繊維表面を構成する樹脂の軟化点以上の温度で熱処理を施すことにより、ポリオルガノシロキサン((A)成分)が、アルキル鎖を有するアニオン界面活性剤((C)成分)の繊維内部への浸透を促進する。そのため、繊維の表面の親水度が熱処理によって低い値へと変化する。この理由は、ポリオルガノシロキサンが、特に2鎖以上のアルキル鎖を有するアニオン界面活性剤の繊維内部への浸透を促進し、繊維表面の親水度が熱処理によって低下しやすいためである。これは、ポリオルガノシロキサンのポリシロキサン鎖と、アニオン界面活性剤の持つアルキル鎖が不相溶なため、繊維が加熱溶融した際に、アニオン界面活性剤がより馴染みやすい繊維内部へ浸透するために起こると推定される。
前記(C)成分のうち、前記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤は、2鎖以上のアルキル鎖を有し、該アルキル基が嵩高で、親水基を包み込むようにして繊維内部へ浸透していくことが可能なため、これを用いた場合には、ポリオルガノシロキサンの存在により繊維内部への浸透が促進されやすい。
また、前記(C)成分のうち、ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、疎水鎖を放射状に配置させやすく、親水基を取り囲みやすい構造になっているために、これを用いた場合には、通常の直線状の炭化水素鎖を有する界面活性剤を用いた場合に比べて、ポリオルガノシロキサンの存在により繊維内部への浸透が促進されやすい。
これにより、例えば後述する表面シート1の製造工程の一工程である、ウエブに熱風を吹き付ける親水度低下工程において、ウエブ中の繊維が受ける熱量は、熱風吹き付け面とその反対側の面(ネット面)とにおいて自ずと異なっていることにより、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とでは、受ける熱量が異なり、熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とではその繊維の接触角の値も変わってくることになる。このことを利用して不織布の一方の面側からこれとは反対側の他方の面側に向けて親水度に勾配を有する不織布を製造することができる。以下、前記(A)〜(C)の3成分について説明する。
〔ポリオルガノシロキサン((A)成分)〕
第1繊維層に含まれる繊維処理剤の1つであるポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状のもの、架橋二次元又は三次元網状構造を有するもの何れも使用できるが、好ましくは実質上直鎖状のものである。
第1繊維層に含まれる繊維処理剤の1つであるポリオルガノシロキサンとしては、直鎖状のもの、架橋二次元又は三次元網状構造を有するもの何れも使用できるが、好ましくは実質上直鎖状のものである。
ポリオルガノシロキサンのうち本考案で好適なものの具体例は、アルキルアルコキシシランやアリールアルコキシシラン、アルキルハロシロキサンの重合物あるいは環状シロキサンであり、アルコキシ基としては、典型的にはメトキシ基である。アルキル基としては炭素数1以上18以下、好ましくは1以上8以下、特に1以上4以下の側鎖を有しても良いアルキル基が適当である。アリール基としては、フェニル基やアルキルフェニル基、アルコキシフェニル基等が例示される。アルキル基やアリール基に代えて、シクロヘキシル基やシクロペンチル基等の環状炭化水素基、ベンジル基のごときアラルキル基であってもよい。また、本考案でいうポリオルガノシロキサンは、加熱により繊維表面の接触角をより高い目的にする観点から、親水性の高いポリオキシエチレン(POE)鎖で変性したポリオルガノシロキサンを含まない概念である。
好ましい最も典型的なポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジプロピルシロキサン等が挙げられ、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
また、ポリオルガノシロキサンの分子量としては、高分子量であることが好ましく、具体的には、重量平均分子量で好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、さらに好ましくは20万以上であり、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、さらに好ましくは60万以下である。また、ポリオルガノシロキサンとして、分子量の異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いても良い。分子量が異なる2種類以上のポリオルガノシロキサンを用いる場合、そのうちの一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上、さらに好ましくは20万以上であり、また、好ましくは100万以下、より好ましくは80万以下、さらに好ましくは60万以下であり、他の一種類は、重量平均分子量が、好ましくは10万未満、より好ましくは5万以下、より好ましくは3万5千以下、さらに好ましくは2万以下であり、また、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上、さらに好ましくは5000以上である。また、重量平均分子量が10万以上のポリオルガノシロキサンと重量平均分子量が10万未満のポリオルガノシロキサンとの好ましい配合比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:10〜4:1、より好ましくは1:5〜2:1である。
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量はGPCを用いて測定される。測定条件は下記の通りである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
ポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、熱処理による親水度の変化を大きくする観点から、繊維処理剤の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、ポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、不織布表面で液を吸収させやすい観点から、繊維処理剤の全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下が更に好ましい。例えばポリオルガノシロキサンの繊維処理剤中の含有量は、繊維処理剤の全質量に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては、市販品を用いることもできる。例えば、信越シリコーン社製の「KF−96H−100万Cs」、東レ・ダウコーニング社製の「SH200
Fluid 1000000Cs」、また2種類のポリオルガノシロキサンを含有するものとしては、信越シリコーン社製の「KM−903」や、東レ・ダウコーニング社製の「BY22−060」を用いることができる。
Fluid 1000000Cs」、また2種類のポリオルガノシロキサンを含有するものとしては、信越シリコーン社製の「KM−903」や、東レ・ダウコーニング社製の「BY22−060」を用いることができる。
〔アルキルリン酸エステル((B)成分)〕
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤の1つであるアルキルリン酸エステルは、原綿のカード機通過性やウエブの均一性等の特性を改良し、これによる不織布の生産性の向上と品質低下の防止とを目的として、繊維処理剤に配合されるもので、アニオン界面活性剤の一種である。アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等の飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等の不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。尚、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類等が挙げられる。アルキルリン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤の1つであるアルキルリン酸エステルは、原綿のカード機通過性やウエブの均一性等の特性を改良し、これによる不織布の生産性の向上と品質低下の防止とを目的として、繊維処理剤に配合されるもので、アニオン界面活性剤の一種である。アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等の飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等の不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。尚、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類等が挙げられる。アルキルリン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アルキルリン酸エステルの繊維処理剤中の含有量は、カード機通過性やウエブの均一性等の観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、熱処理に起因するポリオルガノシロキサンによる繊維の疎水化を妨げないようにする観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
〔前記一般式(1)で表わされるアニオン界面活性剤((C)成分)〕
前記一般式(1)中のXが―SO3M、すなわち親水基がスルホン酸又はその塩である
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホン酸又はそれらの塩を挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の具体例としては、ジオクタデシルスルホコハク酸、ジデシルスルホコハク酸、ジトリデシルスルホコハク酸、ジ2‐エチルヘキシルスルホコハク酸等の、ジアルキルスルホコハク酸、ジアルキルスルホグルタル酸等のジカルボン酸をエステル化し、ジエステルのアルファ位をスルホン化した化合物や、2−スルホテトラデカン酸1−エチルエステル(又はアミド)ナトリウム塩や、2−スルホヘキサデカン酸1−エチルエステル(またはアミド)ナトリウム塩等の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸エステル(又はアミド)のα位をスルホン化したアルファスルホ脂肪酸アルキルエステル(又はアミド)や、炭化水素鎖の内部オレフィンや不飽和脂肪酸の内部オレフィンをスルホン化することで得られるジアルキルアルケンスルホン酸等を挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の2鎖のアルキル基それぞれの炭素数は、4個以上14個以下、特に、6個以上10個以下であることが好ましい。
前記一般式(1)中のXが―SO3M、すなわち親水基がスルホン酸又はその塩である
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、ジアルキルスルホン酸又はそれらの塩を挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の具体例としては、ジオクタデシルスルホコハク酸、ジデシルスルホコハク酸、ジトリデシルスルホコハク酸、ジ2‐エチルヘキシルスルホコハク酸等の、ジアルキルスルホコハク酸、ジアルキルスルホグルタル酸等のジカルボン酸をエステル化し、ジエステルのアルファ位をスルホン化した化合物や、2−スルホテトラデカン酸1−エチルエステル(又はアミド)ナトリウム塩や、2−スルホヘキサデカン酸1−エチルエステル(またはアミド)ナトリウム塩等の飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸エステル(又はアミド)のα位をスルホン化したアルファスルホ脂肪酸アルキルエステル(又はアミド)や、炭化水素鎖の内部オレフィンや不飽和脂肪酸の内部オレフィンをスルホン化することで得られるジアルキルアルケンスルホン酸等を挙げることができる。ジアルキルスルホン酸の2鎖のアルキル基それぞれの炭素数は、4個以上14個以下、特に、6個以上10個以下であることが好ましい。
親水基がスルホン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
前記一般式(1)中のXが―OSO3M、すなわち親水基が硫酸又はその塩である前記
アニオン界面活性剤としては、ジアルキル硫酸エステルを挙げることができ、その具体例としては、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム塩や、2−ヘキシルデシル硫酸ナトリウム塩等の分岐鎖を有するアルコールを硫酸化した化合物や、硫酸ポリオキシエチレン2−ヘキシルデシルや硫酸ポリオキシエチレン2−ヘキシルデシル等の分岐鎖を有するアルコールと硫酸基の間にPOE鎖を導入したような化合物や、12−サルフェートステアリン酸1‐メチルエステル(またはアミド)3‐サルフェートへキサン酸1−メチルエステル(またはアミド)等のヒドロキシ脂肪酸エステル(またはアミド)を硫酸化した化合物等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤としては、ジアルキル硫酸エステルを挙げることができ、その具体例としては、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム塩や、2−ヘキシルデシル硫酸ナトリウム塩等の分岐鎖を有するアルコールを硫酸化した化合物や、硫酸ポリオキシエチレン2−ヘキシルデシルや硫酸ポリオキシエチレン2−ヘキシルデシル等の分岐鎖を有するアルコールと硫酸基の間にPOE鎖を導入したような化合物や、12−サルフェートステアリン酸1‐メチルエステル(またはアミド)3‐サルフェートへキサン酸1−メチルエステル(またはアミド)等のヒドロキシ脂肪酸エステル(またはアミド)を硫酸化した化合物等を挙げることができる。
親水基が硫酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
前記一般式(1)中のXが―COOM、すなわち親水基がカルボン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、ジアルキルカルボン酸を挙げることができ、その具体例としては、11‐エトキシヘプタデカンカルボン酸ナトリウム塩や2‐エトキシペンタカルボン酸ナトリウム塩等のヒドロキシ脂肪酸のヒドロキシ部分をアルコキシ化し、脂肪酸部分をナトリウム化した化合物や、サルコシンやグリシン等のアミノ酸のアミノ基にアルコキシ化したヒドロキシ脂肪酸クロリドを反応させ、アミノ酸部のカルボン酸をナトリウム化させた化合物や、アルギニン酸のアミノ基に脂肪酸クロリドを反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
親水基がカルボン酸又はその塩である前記アニオン界面活性剤としては、より具体的には下記のアニオン界面活性剤を挙げることができる。
前記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤((C)成分)の繊維処理剤中の含有量は、熱処理による親水度の変化を大きくする観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、親水度が高くなりすぎると、液を持ちやすくなりドライ性を損なう観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下である。また、前記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤((C)成分)の前記含有量は、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上13質量%以下である。
〔ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)〕
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤の1つであるポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、不織布製造時における熱処理による親水度の低下をより顕著なものにすること、即ち、不織布中の所望の部分の親水性を顕著に低下させることを目的として、繊維処理剤に配合されるもので、ノニオン界面活性剤の一種である。ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、多価アルコールの水酸基を脂肪酸でエステル化した多価アルコール脂肪酸エステルの一種であり、この多価アルコール脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを付加させた変性物である。ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、常法に従って製造することができ、例えば特開2007−91852号公報に従って製造することができる。
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤の1つであるポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、不織布製造時における熱処理による親水度の低下をより顕著なものにすること、即ち、不織布中の所望の部分の親水性を顕著に低下させることを目的として、繊維処理剤に配合されるもので、ノニオン界面活性剤の一種である。ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、多価アルコールの水酸基を脂肪酸でエステル化した多価アルコール脂肪酸エステルの一種であり、この多価アルコール脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを付加させた変性物である。ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルは、常法に従って製造することができ、例えば特開2007−91852号公報に従って製造することができる。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル(あるいは多価アルコール脂肪酸エステル)の原料の1つである多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜11000)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(分子量250〜4000)、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン(重合度2〜30)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール、ソルビタン、ソルバイド、ショ糖、トレハロース、エルロース、ラクトシュクロース、シクロデキストリン、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、パニトール、還元水飴等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイド、ショ糖であり、特に好ましくは、ソルビトール、ソルビタン、ソルバイドである。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル(あるいは多価アルコール脂肪酸エステル)の原料の他の1つである脂肪酸としては、例えば、炭素数6〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸、これらを主成分とする混合脂肪酸、あるいは炭素数8〜36の分岐鎖脂肪酸が挙げられる。脂肪酸は、部分的に水酸基を含んでいても良い。具体的には、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、2−エチルヘキシル酸、イソステアリン酸等が挙げられ、天然由来の混合脂肪酸であるヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸を用いてもよい、好ましくは炭素数8〜18の脂肪酸、特に好ましくは、ドデカン酸、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸である。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルを構成する多価アルコール脂肪酸エステルは、その主成分が、疎水鎖を大きくして疎水性を高めるときに、分子の形状を直線状に大きくするのでなく、3次元的に大きくすることで、繊維中へ取り込まれやすい形状にさせる観点から、3価以上のアルコールのエステル化物で且つアルコール成分のエステル化率が90%以上であるものが好ましい。ここで、主成分は、多価アルコール脂肪酸エステルの中で最も多い成分のことであり、多価アルコール脂肪酸エステルの全質量に対して50質量%以上含まれていることが好ましい。例えば、3価のアルコールとしてはグリセリン、4価のアルコールとしてはエリスリトール、5価のアルコールとしてはキシリトール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルを構成する多価アルコール脂肪酸エステルとして特に好ましいものは、ヒマシ油(硬化ヒマシ油)である。ヒマシ油は、ドウダイグサ科の植物であるヒマの種子を給源とするグリセリン脂肪酸エステルであり、構成脂肪酸の約90%がリシノレイン酸である。つまり、ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルとしては、グリセリンとリシノレイン酸を主体とする脂肪酸とのエステル油が好ましい。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルにおいて、多価アルコール脂肪酸エステルに付加するアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルとして特に好ましいものは、多価アルコール脂肪酸エステルに付加するアルキレンオキシドがエチレンオキシドである、ポリオキシエチレン(POE)変性多価アルコール脂肪酸エステルであり、とりわけ好ましいものは、多価アルコール脂肪酸エステルがヒマシ油(硬化ヒマシ油)である、POE変性ヒマシ油(POE変性硬化ヒマシ油)である。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルにおいて、多価アルコール脂肪酸エステルに対するアルキレンオキシドの付加モル数は、積層不織布(第1繊維層)の液吸収性能の向上(液残り量のや液流れ量の低減等)の観点から、20モル超えることが好ましく、40モル以上が特に好ましい。但し、アルキレンオキシドの付加モル数が多すぎると、積層不織布の親水度が高まり過ぎてしまい、例えば、該積層不織布を吸収性物品において表面シートとして用いた場合に、液残り量の増大に繋がるおそれがあることから、該付加モル数は、好ましくは80モル以下、さらに好ましくは60モル以下である。
ポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステル((C)成分)の繊維処理剤中の含有量は、表面シート1(第1繊維層11)の親水度を高めて、不織布の製造時における熱処理による親水性の低下の効果を顕著に発現させる観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、強親水化による液残り量の増加を抑制する観点から、繊維処理剤の全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
尚、(A)〜(C)成分の如き、繊維処理剤含有成分の含有量の基準となる「繊維処理剤」は、特に説明しない限り、「不織布に付着している繊維処理剤」であり、不織布に付着させる前の繊維処理剤ではない。繊維処理剤を不織布に付着させる場合は通常、繊維処理剤を水等の適当な溶媒で希釈したものを用いるため、繊維処理剤含有成分の含有量、例えば(A)成分の繊維処理剤中の含有量は、この希釈した繊維処理剤の全質量を基準としたものとなり得る。
また、表面シート1の如き、繊維処理剤が付着した不織布において、その付着した繊維処理剤を分析する場合は、次の手順に従って分析することが好ましい。先ず、分析対象の不織布を適切な溶媒で洗浄する。この洗浄用溶媒としては、例えば、エタノールとメタノールとの混合溶媒、エタノールと水との混合溶媒が挙げられる。分析対象の不織布が、生理用品又は子ども用若しくは大人用使い捨ておむつの如き、吸収性物品の表面シートである場合は、吸収性物品において表面シートと他の部材との接合に用いられている接着剤をドライヤー等の加熱手段で加熱することで溶融軟化させた後に、表面シートを剥がし、剥がした表面シートを洗浄用溶媒で洗浄する。次に、分析対象の不織布を洗浄するのに用いた溶媒(繊維処理剤を含む洗浄用溶媒)を乾燥させ、その残渣を定量することで、該不織布に付着していた繊維処理剤の総量が測定できる。また、この残渣を、その構成物に合わせて適切なカラム及び溶媒を選択した上で、それぞれの成分を高速液体クロマトグラフィーで分画し、さらに各画分についてMS測定、NMR測定、元素分析等を行うことで、各画分の構造を同定することが出来る。また、繊維処理剤が高分子化合物を含む場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの手法を併用することで、構成成分の同定を行うことがより容易になる。
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤において、(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分の前記一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:3〜4:1、より好ましくは1:2〜3:1である。
また、第1繊維層11に含まれる繊維処理剤において、(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(C)成分のポリオキシアルキレン変性多価アルコール脂肪酸エステルとの含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:2〜3:1、より好ましくは1:1〜2:1である。
そして、第1繊維層11に含まれる繊維処理剤において、(A)成分のポリオルガノシロキサンと、(B)成分のアルキルリン酸エステルとの含有比率(前者:後者)は、質量比で、好ましくは1:5〜10:1、より好ましくは1:2〜3:1である。
〔その他の成分〕
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤は、前述した(A)成分ないし(C)成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。(A)成分ないし(C)成分以外に配合する他の成分としては、例えば、変性シリコーン等の膠着防止剤等の処理剤が挙げられる。また、他の成分として、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性の界面活性剤((B)成分及び(C)成分以外の他の界面活性剤)を用いることができる。
第1繊維層11に含まれる繊維処理剤は、前述した(A)成分ないし(C)成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。(A)成分ないし(C)成分以外に配合する他の成分としては、例えば、変性シリコーン等の膠着防止剤等の処理剤が挙げられる。また、他の成分として、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性の界面活性剤((B)成分及び(C)成分以外の他の界面活性剤)を用いることができる。
第1繊維層11に含まれる熱融着性繊維は、例えば、上述した繊維処理剤が付着していることによって、これを付着させる前に比して、繊維の表面の親水度が高められている。繊維処理剤の付着量は、繊維処理剤を除く熱融着性繊維の全質量に対する割合が、繊維の親水度を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、そして、1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
繊維に付着した繊維処理剤の量(繊維処理剤付着率)は、以下の方法で測定することができる。まず、繊維1kgを電子天秤にて、小数点以下第3位まで正確に秤量する(W1)。次に、繊維を室温の水で20分間洗浄し、その後、50℃の水で2分間洗浄する。これらの水による洗浄を3回繰り返した後、エタノールに浸し、40KHzの超音波により洗浄を行う。超音波による洗浄は、30分間行い、これも3回繰り返す。洗浄後、繊維を1日放置乾燥し、重量を測定する(W2)。次式により繊維処理剤付着率を算出する。
繊維処理剤付着率(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
繊維処理剤付着率(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
繊維処理剤を熱融着性繊維の表面に付着させる方法としては、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、繊維処理剤への浸漬等が挙げられる。これらの処理は、ウエブ化する前の繊維に対して行ってもよいし、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよい。ただし、後述する親水度低下工程よりも前に処理を行う必要がある。繊維処理剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、ポリエチレン樹脂の融点より十分に低い温度(例えば110℃以下)で乾燥される。
[第2繊維層12に含まれる繊維処理剤]
前述したように、第2繊維層12は、第1繊維層11のいずれの部位よりも親水度が高くされており、また、第2繊維層12の親水度はいずれの部位においても同じになっている。そのような第2繊維層12に含まれる繊維処理剤としては、繊維に親水性を付与するために従来用いられてきた油剤とも呼ばれる繊維処理剤、例えば、アニオン系、カチオン系、両性系、ノニオン系の界面活性剤の様々な分子量のものを、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、第2繊維層12の構成繊維は、前述の(A)成分ないし(C)成分を含む特定の繊維処理剤によって処理されていないことが好ましい。
前述したように、第2繊維層12は、第1繊維層11のいずれの部位よりも親水度が高くされており、また、第2繊維層12の親水度はいずれの部位においても同じになっている。そのような第2繊維層12に含まれる繊維処理剤としては、繊維に親水性を付与するために従来用いられてきた油剤とも呼ばれる繊維処理剤、例えば、アニオン系、カチオン系、両性系、ノニオン系の界面活性剤の様々な分子量のものを、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、第2繊維層12の構成繊維は、前述の(A)成分ないし(C)成分を含む特定の繊維処理剤によって処理されていないことが好ましい。
アニオン界面活性剤の例としては、アルキルホスフェートナトリウム塩、アルキルエーテルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホネートナトリウム塩、アルキルスルホネートナトリウム塩、アルキルサルフェートナトリウム塩、セカンダリーアルキルサルフェートナトリウム塩等が挙げられる(いずれのアルキルも炭素数6以上22以下、特に8以上22以下が好ましい)。これらは、ナトリウム塩に代えてカリウム塩等の他のアルカリ金属塩を用いることもできる。
カチオン界面活性剤の例としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等が挙げられ、これらの化合物は、炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。前記ハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。
両性界面活性剤の例としては、アルキル(炭素数1〜30)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)アミドアルキル(炭素数1〜4)ジメチルベタイン、アルキル(炭素数1〜30)ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)ベタイン、スルフォベタイン型両性界面活性剤等のベタイン型両性界面活性剤や、アラニン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノプロピオン酸型、アルキル(炭素数1〜30)イミノジプロピオン酸型等]両性界面活性剤、アルキルベタイン等のグリシン型[アルキル(炭素数1〜30)アミノ酢酸型等]両性界面活性剤などのアミノ酸型両性界面活性剤、アルキル(炭素数1〜30)タウリン型などのアミノスルホン酸型両性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ(好ましくはn=2〜10)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル(いずれも好ましくは脂肪酸の炭素数8〜60)、前記多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物(好ましくは付加モル数2〜60モル)、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜60)アルキル(炭素数8〜22)アミド、ポリオキシアルキレン(付加モル数2〜60)アルキル(炭素数8〜22)エーテル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
第2繊維層12に含まれる繊維処理剤として特に好ましいものは、ノニオン界面活性剤である。第2繊維層12にノニオン界面活性剤が多く配合されていると、繊維表面への付着安定性の向上、界面活性剤分子間の擬似結合による機能低下の抑制等の効果が得られる。特に、分子量の高いノニオン界面活性剤は、親水耐久性を得る点からより好ましい。また、繊維処理剤を繊維表面に固定しやすくする手段として、界面活性剤に加えて、固定剤や練りこみなどの手段を用いることも親水耐久性を高める点で好ましい。第2繊維層12に含まれる繊維処理剤には、変性シリコーン等の膠着防止剤等の処理剤を添加してもよい。第2繊維層12において、繊維に対する繊維処理剤の付着量や、付着させる手段は、第1繊維層11に含まれる熱融着性繊維に対する繊維処理剤による処理と同様にすることができる。
[表面シート1の好ましい製造方法]
吸収性物品用の表面シート1は、積層不織布であり、より具体的には、前記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤が付着した熱融着性繊維を有する第1繊維層11と、該第1繊維層11の片面に積層された第2繊維層12とを有する積層不織布である。表面シート1を製造する好ましい製造方法は、第1繊維層11と第2繊維層12とを部分的に接合して積層体を形成する工程と、第1繊維層11の熱融着性繊維の融点以上の温度での熱処理によって第1繊維層11の親水度を低下させる親水度低下工程とを有する。
吸収性物品用の表面シート1は、積層不織布であり、より具体的には、前記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する繊維処理剤が付着した熱融着性繊維を有する第1繊維層11と、該第1繊維層11の片面に積層された第2繊維層12とを有する積層不織布である。表面シート1を製造する好ましい製造方法は、第1繊維層11と第2繊維層12とを部分的に接合して積層体を形成する工程と、第1繊維層11の熱融着性繊維の融点以上の温度での熱処理によって第1繊維層11の親水度を低下させる親水度低下工程とを有する。
図12には、表面シート1を製造するために好適に用いられる製造装置が示されている。同図に示す製造装置100は、第1ウエブ製造部110、第2ウエブ製造部120、第1加熱部130、エンボス部140、及び第2加熱部150を備えている。
第1ウエブ製造部110及び第2ウエブ製造部120はいずれもカード機から構成され、カード工程を行う。第1ウエブ製造部110は、目的とする積層不織布(エアスルー不織布)における第1繊維層11に対応するウエブを製造する部位である。一方、第2ウエブ製造部120は、目的とする表面シート1における第2繊維層12に対応するウエブを製造する部位である。第1ウエブ製造部110及び第2ウエブ製造部120には、目的とする表面シートの具体的な用途に応じて適切な原料繊維が供給され、第1ウエブ111及び第2ウエブ121が製造される。原料繊維には、目的とする積層不織布の具体的な用途に応じて、適切な量の繊維処理剤が付着している。
第1ウエブ製造部110から図中MDで示す方向に繰り出された第1ウエブ111は、第1加熱部130へ搬送され、親水度低下工程に供される。親水度低下工程において第1ウエブ111は、第1加熱部130で熱風の吹き付け処理を施されることによって、第1ウエブ111を構成する繊維同士に熱融着を起こし、第1不織布112となる。
第1加熱部130は密閉されたチャンバ131を有している。チャンバ131内には周回する無端ベルト(図示せず)が配置されている。チャンバ131内の無端ベルトは通気性の材料、例えば金属ワイヤや樹脂から構成されるメッシュベルトからなる。第1ウエブ111は、チャンバ131内の無端ベルト上に載置されて搬送される。ここで、第1ウエブ111のうち、チャンバ131内の無端ベルトとの対向面を第1面1S、該第1面1Sとは反対側に位置する面を第2面2Sと呼ぶ。チャンバ131内には、第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維の融点よりも高温に加熱された空気(以下「熱風」とも言う。)の吹き出し口(図示せず)が設けられている。更にチャンバ131内には、吹き出された熱風の吸引口(図示せず)も設けられている。チャンバ131内に搬送された第1ウエブ111が該チャンバ131内を通過する間に、第1ウエブ111に対して熱風HWがエアスルー方式で吹き付けられる。熱風HWの吹き付けは、第1ウエブ111における第2面2S側から行われる。吹き付けられた熱風HWは、第1ウエブ111における第1面1S側から放出される。この目的のために、前記の吹き出し口(図示せず)は、第1ウエブ111における第2面2Sと対向するように配置されており、かつ前記の吸引口(図示せず)は第1面1Sと対向するように配置されている。
先に述べたとおり、(A)成分ないし(C)成分を含む繊維処理剤が付着している熱融着性繊維においては、該熱融着性繊維が受ける熱量に応じて繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が相違し、該熱量が大きくなるほど、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が大きくなる。そして、繊維処理剤の浸透の程度が大きくなるほど、繊維処理剤を付着させた初期状態に比べて繊維の親水度は低下する。本実施態様の製造方法においては、この現象を利用して、目的とする積層不織布(第1繊維層に相当する第1不織布)に親水度の勾配を生じさせ、第2面側から第1面側に向けて親水度が高くなるように勾配を有する表面シートが得られる。
詳細には、エアスルー法によれば、第1ウエブ111の熱風吹き付け面である第2面2Sに存在する繊維が最も大きな熱量を受け、かつ熱風吹き付け面と反対側、すなわちチャンバ131内の前記無端ベルトとの対向面である第1面1Sに存在する繊維が最も小さな熱量を受けるようになる。したがって本製造方法の第1加熱部130においては、第1ウエブ111の第2面2Sの表面に存在する繊維が最も大きな熱量を受け、第1面1Sの表面に存在する繊維が最も小さな熱量を受ける。その結果、第1ウエブ111に熱風吹き付け処理を施すことによって得られた第1不織布112においては、最も大きな熱量を受けた第2面2S側が繊維処理剤の浸透の程度が最も大きく、最も小さな熱量を受けた第1面1S側が繊維処理剤の浸透の程度が最も小さくなり、第1面1S側から第2面2S側に向けて、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が大きくなる。したがって第1不織布112においては、第1面1S側は相対的に親水度の高い高親水性部HP、第2面2S側は相対的に親水度の低い低親水性部LPとなる。
第1不織布112はさらに、後述するように第2ウエブ121と積層され、エンボス部140にてエンボス工程を経た後、第2加熱部150にて熱収縮工程に供される。第2加熱部150においては、第2ウエブ121の第2面の表面に存在する繊維が最も大きな熱量を受けるように設定されており、第1不織布112においても低親水性部LPに存在する繊維の方が高親水性部HPに存在する繊維よりも大きな熱量を受ける。そのため、熱収縮工程を経たのちの第1不織布112は、親水度低下工程を経た直後の第1不織布112よりも大きな親水度勾配を有している。
親水度低下工程においては、熱処理の温度は、第1ウエブ111ないし第1不織布112内に親水度の勾配を生じさせる観点、及び、第1ウエブ111を構成する熱融着性繊維に融着を起こして第1不織布112の強度を担保する観点から、好ましくは127℃以上、より好ましくは133℃以上、更に好ましくは136℃以上、そして、第1不織布112の風合いの観点から、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは138℃以下である。
また、熱処理の時間は、前記の温度下において、同様の観点から、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上、更に好ましくは7秒以上、そして、好ましくは14秒以下、より好ましくは12秒以下、更に好ましくは10秒以下である。
また、熱処理の時間は、前記の温度下において、同様の観点から、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上、更に好ましくは7秒以上、そして、好ましくは14秒以下、より好ましくは12秒以下、更に好ましくは10秒以下である。
第2ウエブ製造部120から図中MDで示す方向に繰り出された第2ウエブ121は、第1不織布112と重ね合わされて、エンボス部140においてエンボス工程に供される。エンボス工程では、第1不織布112と第2ウエブ121とを部分的に接合して積層体101Aを形成する。第2ウエブ121も第1ウエブ111及び第1不織布112と同様に、これらを搬送するベルトに面する第1面1Sと、第1面1Sとは反対側に位置する第2面2Sとを有する。第2ウエブ121の第2面2Sと第1不織布112の高親水性部HPとが対向するように、第2ウエブ121上に第1不織布112が配され重ね合わされる。エンボス部140は、例えば凹凸ロール141とアンビルロール142とから構成することができる。凹凸ロール141の凸部は、上述した中間接合部61及び他接合部62を有する融着接合部6の形状に対応している。エンボス部140におけるエンボス加工の条件は、第1不織布112と第2ウエブ121の構成繊維同士が加熱下に加圧されて、エンボス融着による融着接合部6(図3参照)が形成される条件であればよい。尚、第2ウエブ121は、第1不織布112に重ねあわせる前に、不織布として形成することもできる。つまり、前述の第2ウエブ121に代えて、第1不織布112に第2不織布122を重ねあわせて、エンボス工程に供することができる。
エンボス部140において第1不織布112及び第2ウエブ121が部分的に接合され一体化されて形成された積層体101Aは、第2加熱部150へ搬送され、熱収縮工程に供される。第2加熱部150は、第1加熱部130と同様に、密閉されたチャンバ151、無端ベルト(図示せず)、積層体101Aの第2面2S側に配された熱風HWの吹き出し口(図示せず)と、第1面1S側に配された熱風HWの吸引口(図示せず)を有している。熱収縮工程における熱風HWは、第2ウエブ121を構成する潜在捲縮性繊維の収縮温度に加熱されている。
この第2加熱部150における熱処理によって、前述の通り、第2ウエブ121を構成する潜在捲縮性繊維の螺旋状の捲縮が発現して収縮する。積層体101Aは第1不織布112と第2ウエブ121とが融着接合部6で部分的に接合されているため、第2ウエブ121中の潜在捲縮性繊維を熱収縮させ第2ウエブ121を熱収縮させることによって、第1不織布112における融着接合部6以外の部分を第2面2S側に凸状に隆起させる。これにより、第1不織布112は第2ウエブ121側から第1不織布112側に向けて突出した複数の高凸部1b及び低凸部1sを有するようになる。図4に示すように、高凸部1bは、中間接合部61及び他接合部62によって囲まれた大多角形領域BT内に形成され、低凸部1sは、中間接合部61及び他接合部62によって囲まれた小多角形領域ST内に形成される。ここで、積層体101Aの第2面側に配された吹き出し口(図示せず)からの熱風HWにより、第1不織布112の低親水性部LPを構成する繊維が、高親水性部HPを構成する繊維に比べ、更に大きな熱量を受け、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が更に大きくなり、繊維の親水度が更に低下する。従って、高凸部1bをその頂部1btを通るように厚み方向Zに断面視した際、高凸部頂部1buの親水度が高凸部底部1bdの親水度よりも低く、低凸部1sをその頂部1stを通るように厚み方向Zに断面視した際、低凸部頂部1suの親水度が低凸部底部1sdの親水度よりも低くなる。また、高凸部頂部1buの親水度が高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも低くなる。
また、高凸部1bが大多角形領域BT内に形成され、低凸部1sが小多角形領域ST内に形成されるので、高凸部1bの頂部1btの方が低凸部1sの頂部1stよりも第2面側に隆起し、低凸部1sの頂部1stの繊維密度が、高凸部1bの最下部の繊維密度よりも高く、更に、高凸部1bの頂部1btの繊維密度よりも高くなっている。その為、積層体101Aの第2面側に配された吹き出し口(図示せず)からの熱風HWにより、高凸部1bの頂部1bt側の高親水性部HPを構成する繊維の方が、低凸部1sの頂部1st側の高親水性部HPを構成する繊維に比べ、大きな熱量を受け、繊維処理剤の繊維内部への浸透の程度が大きくなり、繊維の親水度が低下する。従って、高凸部頂部1buの親水度が低凸部頂部1suの親水度よりも低くなる。
第2加熱部150においては、潜在捲縮性繊維が製造装置の流れ方向、即ちMD(Machine Direction)方向に収縮できるようにするために、積層体101Aの搬送速度を変化させることが好ましい。具体的には、熱収縮工程よりも上流側、つまり、カード工程からエンボス工程までにおけるウエブや積層体等の搬送速度を、熱収縮工程における積層体101Aの搬送速度よりも速くすることが好ましい。これらの搬送速度の差を適宜調節することにより、積層体101Aが収縮する程度を制御することができる。また、これと同時に、第2ウエブ121を構成する熱融着性繊維の一部が互いに熱融着することにより、第2ウエブ121が第2不織布122となり、表面シート1が製造される。
また、第2ウエブ121は、第1ウエブ111ではなく、第1不織布112に積層された後、熱収縮工程に供される。これにより、積層体101Aの全体がウエブで構成されている場合に比べ、第1不織布112の互いに融着された繊維が適度な抵抗となり、潜在捲縮性繊維が積層体内で均一に収縮できるようになる。
熱収縮工程においては、熱処理の時間は、潜在捲縮性繊維の捲縮を十分に発現させて収縮させる観点から、好ましくは6秒以上、より好ましくは8秒以上、更に好ましくは10秒以上、そして、第1不織布112及び第2不織布122の風合いの観点から、好ましくは20秒以下、より好ましくは17秒以下、更に好ましくは15秒以下である。
また、熱収縮工程においては、潜在捲縮性繊維がポリエチレンとポリプロピレンから構成されている場合の熱処理の温度は、収縮開始温度の観点から、好ましくは98℃以上、より好ましくは102℃以上、更に好ましくは105℃以上、そして、第1不織布112及び第2不織布122の風合いの観点から、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは138℃以下である。
第2不織布122を構成する繊維は、第2加熱部150における熱風によっては、親水度は変化しない。第1ウエブ111を構成する繊維よりも、第2ウエブ121を構成する繊維の方が、親水度が高くなるように繊維処理剤を付着させているので、第2不織布122が最も親水度が高い状態を維持したまま、第1不織布112の親水度に勾配を持たせた積層不織布102Aを得ることができる。
このように、上述した表面シート1の製造方法は、熱の付与によって、繊維処理剤が付与された熱融着性繊維の親水度を、不織布の厚み方向で部分的に低下させることで、親水度の勾配を発現させている。したがって以上の方法によれば、複数枚の不織布を重ね合わせて親水度に勾配を設ける必要がなく、一枚の単一の不織布の厚み方向に沿って親水度に勾配を設けることができる。
以上のようにして製造された積層不織布102Aは、前述の表面シート1(図3,図4参照)と基本的に同様に構成されており、第1不織布112(第1ウエブ111)が第1繊維層11、第2不織布122(第2ウエブ121)が第2繊維層12に相当する。このように製造された表面シート1は、高凸部頂部1buの親水度が、高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも低く形成されている。このような表面シート1をナプキン10に使用すれば、使用中に排泄された液が、着用者の肌に接触している高凸部1bの頂部1btから高凸部底部1bdへと移行し易く、一度吸収された液が表面に戻りにくく、使用感が向上する。また、第2繊維層12の親水度が高凸部1b及び低凸部1sの中で最も高く形成されているので、高凸部1b内部に引き込まれた液が第2繊維層12に移行し易く、一度吸収された液が表面に更に戻り難くなっており、使用感が向上する。さらに、前述したように低凸部頂部1suの繊維密度が高凸部頂部1buの繊維密度よりも高いため、高凸部頂部1buよりも高い親水度と相まって、第1繊維層11が保持する液を第2繊維層12へ引き込む性能に優れる。よって、表面に液が残りにくく、一度吸収された液が表面に戻りにくく、使用感が向上する
以上、本考案をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本考案は前記実施形態に制限されない。
本考案の繊維シートの一例である表面シート1は、図3及び図4に示すように、図中のX方向をナプキン10の縦方向に一致させ、図中のY方向をナプキン10の横方向に一致させるのに代えて、図中のX方向をナプキン10の横方向に一致させ、図中のY方向をナプキン10の縦方向に一致させてもよい。
本考案の繊維シートの一例である表面シート1は、図3及び図4に示すように、図中のX方向をナプキン10の縦方向に一致させ、図中のY方向をナプキン10の横方向に一致させるのに代えて、図中のX方向をナプキン10の横方向に一致させ、図中のY方向をナプキン10の縦方向に一致させてもよい。
本考案の繊維シートは、図4に示す形態の表面シート1に代えて、特開2014−70298号公報、特開2014−70299号公報や特許5421676号公報記載の高凸部と低凸部を備える表面シートであってもよい。
また、上述した実施形態の表面シート1は、図3に示すように、第1繊維層11とこれに積層された第2繊維層12とを有する多層構造の積層不織布であるが、第2繊維層12を有さずに、第1繊維層11のみからなる単層構造の不織布であってもよい。
また、上述した実施形態の繊維シートは、吸収性物品である生理用ナプキン10の表面シート1として用いられているが、表面シート1と吸収体3との間に配されるセカンドシートに用いられてもよい。セカンドシートは、表面シート1及び吸収体3とは別体の、当該技術分野においてサブレイヤーシートとも呼ばれるシートである。セカンドシートは、一般的に、表面シート1から吸収体3への液の透過性を向上させたり、吸収体3に吸収された液の表面シート1への液戻りを低減させたりする役割を担うシートである。高凸部頂部1buの親水度が高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも低く形成されているセカンドシートを例えばナプキン10に使用すれば、前記効果が更に向上する。
また、上述した実施形態の表面シート1は、繊維処理剤が付着している熱融着性繊維のウエブに熱風を吹き付ける製造工程において、ウエブ中の繊維の受ける熱量が熱風吹き付け面の繊維とその反対側の面の繊維とで異なることを利用して、繊維処理剤の熱融着性繊維への浸透の程度を変化させ、繊維の親水度の勾配を生じさせているが、製造された高凸部及び低凸部を有する不織布に、高凸部頂部1buと低凸部頂部1suとで濃度の異なる疎水性の剤を、転写装置を用いて直接塗工することによって製造してもよい。このように製造された高凸部頂部1buと低凸部頂部1suとを有する繊維シートは、高凸部頂部1buの疎水性が低凸部頂部1suの疎水性よりも高く形成されており、高凸部頂部1bu及び低凸部頂部1suが疎水性となっている。言い換えれば、高凸部頂部1buの親水度が、高凸部底部1bdの親水度及び低凸部底部1sdの親水度よりも低く形成されている。疎水性の油剤としては、具体的にシリコーン系オリゴマー、フッ素系オリゴマー等が挙げられる。シリコーンオリゴマーは鎖状のポリジメチルシリコーンが代表的で、このメチル基の一部をフェニル基やトリフルオロプロピル基にかえたポリメチルフェニルシリコーン、ポリフルオロシリコーン等がある。フッ素系オリゴマーは、撥水撥油剤としてはパーフルオロアルキル基を含むアルコールのアクリル酸エステルのポリマーあるいはリン酸エステル等が用いられている。
本考案の繊維シートの一例である表面シートを用いる吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等の他の吸収性物品であっても良い。吸収性物品に吸収させる体液としては、経血、下り物(おりもの)、軟便、尿、唾液、血液等が挙げられる。
10 吸収性物品(生理用ナプキン)
1 繊維シート(表面シート)
1b 高凸部
1bL 高凸部列
1bu 高凸部頂部
1bd 高凸部底部
1s 低凸部
1sL 低凸部列
1su 低凸部頂部
1sd 低凸部底部
1c 連結凸部
2 裏面シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 ウイング部
6 融着接合部
61 中間接合部
62 他接合部
100 製造装置
110 第1ウエブ製造部
120 第2ウエブ製造部
130 第1加熱部
140 エンボス部
150 第2加熱部
1 繊維シート(表面シート)
1b 高凸部
1bL 高凸部列
1bu 高凸部頂部
1bd 高凸部底部
1s 低凸部
1sL 低凸部列
1su 低凸部頂部
1sd 低凸部底部
1c 連結凸部
2 裏面シート
3 吸収体
4 サイドシート
5 ウイング部
6 融着接合部
61 中間接合部
62 他接合部
100 製造装置
110 第1ウエブ製造部
120 第2ウエブ製造部
130 第1加熱部
140 エンボス部
150 第2加熱部
Claims (7)
- 厚み方向に突出した複数の高凸部と、該高凸部よりも高さの低い複数の低凸部とを有する吸収性物品用の表面シートであって、
前記高凸部及び前記低凸部は、その内部が第1繊維層を構成する繊維で満たされており、
前記高凸部をその頂部を通るように厚み方向に断面視した際に、該頂部側の高凸部頂部と、該頂部と反対側の高凸部底部とを有し、
前記低凸部をその頂部を通るように厚み方向に断面視した際に、該頂部側の低凸部頂部と、該頂部と反対側の低凸部底部とを有し、
前記高凸部頂部の親水度が、前記高凸部底部の親水度及び前記低凸部底部の親水度よりも低い、吸収性物品用の繊維シート。 - 前記高凸部頂部の親水度が、前記低凸部頂部の親水度よりも低い、請求項1に記載の吸収性物品用の繊維シート。
- 前記低凸部頂部の繊維密度が、前記高凸部頂部の繊維密度よりも高い、請求項1又は2に記載の吸収性物品用の繊維シート。
- 前記繊維シートは、前記第1繊維層とこれに積層された第2繊維層とを有する多層構造のシートであり、該第1繊維層と該第2繊維層とが融着接合された融着接合部を複数備え、
前記高凸部及び前記低凸部は、前記第2繊維層側から該第1繊維層側に向けて突出している、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品用の繊維シート。 - 前記第2繊維層は、熱収縮した熱収縮性繊維を含む熱収縮繊維層であり、
前記第2繊維層の親水度が、前記高凸部底部の親水度及び前記低凸部底部の親水度よりも高い、請求項4に記載の吸収性物品用の繊維シート。 - 前記第2繊維層の繊維密度が、前記高凸部の繊維密度及び前記低凸部の繊維密度よりも高い、請求項4又は5に記載の吸収性物品用の繊維シート。
- 前記繊維シートは、吸収性物品の表面シートであり、前記高凸部頂部を着用者の肌側に向けて配されている請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品用の繊維シート。
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