JP3222244B2 - ポリアセタール樹脂成形品のメッキ法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂成形品のメッキ法

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JP3222244B2 JP3882693A JP3882693A JP3222244B2 JP 3222244 B2 JP3222244 B2 JP 3222244B2 JP 3882693 A JP3882693 A JP 3882693A JP 3882693 A JP3882693 A JP 3882693A JP 3222244 B2 JP3222244 B2 JP 3222244B2
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plating
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  • Chemically Coating (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は樹脂成形品の表面処
理、特にポリアセタール樹脂成形品のメッキ法に関連す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、特公昭60−39151号公報
に示されるように、ポリアセタール樹脂成形品の表面に
メッキ処理する技術は公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリアセタール樹脂成
形品の表面に対するメッキ処理は樹脂成形品の肉厚が薄
くなければ、必要なメッキの密着力が得られない。例え
ば、従来では最大肉厚部の断面積は116.4平方ミリ
メートルであった。
【0004】この発明の目的は肉厚のポリアセタール樹
脂成形品でも十分な密着力でメッキ層を形成できるポリ
アセタール樹脂成形品のメッキ法を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を達成するための手段】この発明によるポリアセ
タール樹脂成形品のメッキ法は、ポリアセタール樹脂を
成形型のキャビティ内に圧入して表面の樹脂結晶が十分
に成長しない状態で成形品を成形型から取り出す工程
と、成形品にメッキを行う工程とからなる。ポリアセタ
ール樹脂を成形型のキャビティ内に圧入する射出速度は
1秒間に1.5メートル以上で2.7メートル以下又は1
00cc以上である
【0006】
【作用】ポリアセタール樹脂を高い圧入速度で成形型の
キャビティ内に圧入すると、不完全な球晶の層が成形品
の表面に形成される。この不完全な球晶の層はエッチン
グ処理の際にエッチング液に比較的侵食されやすく、形
成品の表面にメッキ液が付着しやすい粗荒化面を与え
る。従って、メッキ処理された成形品のメッキ層は大き
な剥離強度を有する。
【0007】
【実施例】以下、自動車用アウトドアハンドルの製造に
適用したこの発明によるポリアセタール樹脂成形品のメ
ッキ法について説明する。
【0008】まず、1秒間に1.7メートルの射出速度
で流動化したポリアセタール樹脂を成形型のゲートから
キャビティ内に圧入する。キャビティに連絡する成形型
に設けられたゲートの直径は約5ミリメートルである。
その後、自動車用ドアハンドルの形成品の表面の樹脂結
晶が十分に成長しない状態で成形品を成形型から取り出
す。
【0009】一般のポリアセタール樹脂成形品の断面を
薄く切って顕微鏡で見ると、ポリアセタール樹脂成形品
の表面には成形型に接触する外面から内側に、球晶の見
えない表面層、不完全な球晶の第1中間層及び小さな球
晶の第2中間層が形成され、第2の中間層の内側から中
心まで大きい球晶の内側層が形成される。即ち、形成品
の内部には比較的大きい球晶が発達しているが、表層に
近くなると球晶のサイズが小さくなり、更に表層に近づ
くと球晶の発達自体が不完全で、まばらになり、成形型
と直接接触する表面付近では、球晶が見られない層があ
る。これらの構造の差は溶融したポリアセタールの冷却
過程によって生ずる。本発明者の実験ではポリアセター
ルの球晶が大きく成長すると、球晶間の結合力が大きく
なり、エッチング液に暴露したとき、耐エッチング性が
大きく、このため、十分な粗荒面が形成されないことが
判明した。これに対して、不完全な球晶の第1中間層は
エッチング処理の際にエッチング液に比較的侵食されや
すく、形成品の表面にメッキ液の付着しやすい粗荒化面
を与えることも判明した。不完全な球晶の第1中間層の
厚さはポリアセタール樹脂の射出速度に依存する。この
発明の基本原理はこの不完全な球晶の第1中間層を必要
な厚さで形成して、エッチングによりメッキ液の付着し
やすい粗荒面を形成することにある。即ち、ポリアセタ
ール樹脂を成形型のキャビティ内に圧入するポリアセタ
ール樹脂の射出速度は1秒間に1.0メートル以上で2.
8メートル以下である。射出速度が1秒間に1.0メー
トル以下であると、大きい球晶の層が表面まで形成さ
れ、形成されるメッキ層の剥離強度が5ミリメートル当
たり0.7キログラム未満に低下する。他面、射出速度
が2.8メートルを越えると、ゲート付近の製品表面に
流れ模様(フローマーク)及び「ばり」が発生する。従
って、本実施例では、ポリアセタール樹脂の射出速度は
1秒間に1.5メートル以上2.7メートル以下である。
【0010】得られた成形品は公知の方法でメッキ処理
される。即ち、前処理工程として、成形品の表面を水性
アルカリ脱脂液で10分間アルカリ脱脂した後、水洗を
行い、次に、硫酸-リン酸混合液中で摂氏40度10分
間エッチング処理をする。その後、中和、熱水洗を行
い、感性付与及び活性化処理を行う。
【0011】感性付与は、塩化パラジウム180ミリリ
ットル/リットル、塩化第1錫18グラム/リットル、
塩酸200グラム/リットルを含む液に浸漬することに
より行い、活性化処理は、塩酸80ミリリットル/リッ
トル溶液に浸漬するすることにより行う。その後、アル
カリ化学ニッケル液で処理し、化学ニッケルメッキを5
ミクロンの膜厚で付着させる。化学ニッケルメッキ液は
硫酸4.2ミリグラム/リットル、次亜リン酸6グラム
/リットルを含む溶液である。化学ニッケルメッキ後、
電気メッキにより銅メッキを20ミクロンの膜厚で付着
させ、次にニッケルメッキを10ミクロン、その上にク
ロムメッキを0.15ミクロンの膜厚で付着させ、完成
品とした。
【0012】図1はこの発明の実施によって得られた射
出速度(メートル/秒)と剥離強度(キログラム/5ミ
リメートル)の関係を示すグラフである。図中Aは肉薄
のポリアセタール樹脂成形品の剥離強度を示し、Bは肉
厚のポリアセタール樹脂成形品の剥離強度を示す。この
グラフから、ポリアセタール樹脂の射出速度は1秒間に
1.5メートル以上で2.8メートル以下であれば厚肉で
も十分な剥離強度を備えたメッキ層が得られることが理
解されよう。また、図2は剥離強度(グラム/5ミリメ
ートル)と射出速度(cc/秒)の関係を示すグラフで
ある。前記のように、ポリアセタール樹脂を高い圧入速
度で成形型のキャビティ内に圧入することにより、不完
全な球晶の層が成形品の表面に形成されるから、メッキ
処理された成形品のメッキ層は大きな剥離強度を有す
る。
【0013】
【発明の効果】上記のように、本願では肉厚のポリアセ
タール樹脂成形品でも十分な剥離強度を有するメッキ処
理を行うことができ、製品設計上薄肉化を検討する必要
がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施によって得られた射出速度(メ
ートル/秒)と剥離強度(キログラム/5ミリメート
ル)の関係を示すグラフ
【図2】図2は剥離強度(グラム/5ミリメートル)と
射出速度(cc/秒)の関係を示すグラフ
【符号の説明】
A・・肉薄のポリアセタール樹脂成形品、B・・肉厚の
ポリアセタール樹脂成形品、

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアセタール樹脂を成形型のキャビテ
    ィ内に圧入して表面の樹脂結晶が十分に成長しない状態
    で成形品を成形型から取り出す工程と、 成形品にメッキを行う工程とからなるポリアセタール樹
    脂成形品のメッキ法。
  2. 【請求項2】 ポリアセタール樹脂を成形型のキャビテ
    ィ内に圧入する射出速度は1秒間に1.5メートル以上
    で2.7メートル以下である請求項1に記載のポリアセ
    タール樹脂成形品のメッキ法。
  3. 【請求項3】 ポリアセタール樹脂を成形型のキャビテ
    ィ内に圧入する射出速度は1秒間に100cc以上であ
    る請求項1に記載のポリアセタール樹脂成形品のメッキ
    法。
JP3882693A 1993-02-26 1993-02-26 ポリアセタール樹脂成形品のメッキ法 Expired - Fee Related JP3222244B2 (ja)

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