JP3221584U - スライド式包装箱 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンプルで組み立てやすく、よりチャイルドレジスタンス性の高いスライド式包装箱を提供する。【解決手段】外箱12の状態で、第一の外箱側面板22の内面には第二の補助板58が重なり、その重なる部分と重ならない部分との段差によって主係合凹部94が形成され、主係合凹部94の近傍に、ロック解除片90の差し込み口98が設けられる。内箱14の状態で、第一の係合片150は、第一の内箱側面板108の外面に重なって主係合凸部150となる。外箱12に内箱14が収容された状態で、主係合凸部150が主係合凹部94内に係合して内箱がロックされる。外箱12のロック解除片90が差し込み口98に差し込まれると、ロック解除片90が主係合凸部150と主係合凹部94との隙間に入り込み、主係合凸部150が主係合凹部94の外に押し出され、ロックが解除される【選択図】図10
Description
本考案は、外箱の筒状部に内箱が摺動可能に挿入されたスライド式包装箱に関する。
従来から、外箱内に内箱が収容されると内箱が自動的にロックされて引き出せなくなり、特定の操作を行うことによってロックが解除されるという機能を備えたスライド式包装箱が複数提案されている。
例えば、特許文献1に開示されているスライド式カートンのロック機構は、外箱(スリーブ)の底面内側に基材厚み分の深さの係合凹部を設け、内箱(トレー)の底面にフラップを設け、フラップは底面から斜め外向きに屈曲してバネ性を有しており、外箱に内箱を挿入した状態で、フラップの先端部が係合凹部内に入って係合し、内箱がロックされるという構成である。そして、ロック解除機構は、外箱の係合凹部の位置に孔を設け、孔に指を差し込んでフラップを係合凹部から押し出して係合を解除するという構成になっている。
特許文献2に開示されている耐子供包装容器のロック機構は、外箱(スリーブ)の内側上角部に基材の一部を斜めに折り曲げて第一及び第二停止タブを設け、内箱(挿入部)の側面板の上端部に第一及び第二係止縁を設け、外箱に内箱を挿入した状態で、第一及び第二停止タブと第一及び第二係止縁とが係合し、内箱がロックされるという構成である。そして、ロック解除機構は、外箱の第一及び第二停止タブの近傍に、半円弧状の切り込みによって枢軸回転自在フラップを形成し、枢軸回転自在フラップの外面を指で押し込むことによって、内箱の側面板を内側に倒し、第一及び第二停止タブと第一及び第二係止縁との係合を解除するという構成になっている。
特許文献3に開示されている振出しカートンのロック機構は、内箱(中箱)の外面に基材を山型に折り曲げて突出させた曲折部を設け、外箱(筒状体)の一側面板に操作窓を設け、外箱に内箱を挿入した状態で、曲折部の端部が操作窓16の内側縁に係止され、内箱がロックされる構成である。そして、ロック解除機構は、外箱の操作窓から外向きに突出している曲折部の外面を指で押し込むことによって、曲折部を操作窓から押し出して係合を解除するという構成になっている。
薬剤等の包装に使用されるスライド式包装箱は、小児が内部の薬剤を誤使用したりする事故が発生しないように、内箱のロックを簡単に解除できない構造であることが求められ、特に高いチャイルドレジスタンス性が要求される。
しかし、特許文献1に開示されているスライド式カートンの場合、「箱体の外面の特定部位を指で押し込む」という単純な操作によりロックを解除することができるため、小児が箱体を持って遊んでいるうちに不意にロックが解除してしまうおそれがあり、チャイルドレジスタンス性の面で十分とは言えなかった。特許文献2の耐子供包装容器のロック機構と特許文献3の振出しカートンについても同様である。
本考案は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、シンプルで組み立てやすく、よりチャイルドレジスタンス性の高いスライド式包装箱を提供することを目的とする。
本考案は、筒状部を有する外箱と、前記筒状部の内側に摺動可能に挿入される内箱とを備えたスライド式包装箱であって、前記外箱は一枚の外箱形成片により形成され、前記外箱形成片は、互いに平行に連接された複数の外箱側面板と、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第一の補助板と、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第二の補助板と、前記第一の補助板の端部に延設されたロック解除片とを備え、前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記筒状部が前記複数の外箱側面板により形成され、前記複数の外箱側面板の中の一つである第一の外箱側面板の内面には、前記第二の補助板の全部又は一部が重なり、前記第二の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって主係合凹部が形成され、前記主係合凹部の近傍に、前記ロック解除片を差し込み可能な形状の差し込み口が設けられ、前記内箱は一枚の内箱形成片により形成され、前記内箱形成片は、互いに平行に連接された複数の内箱側面板と、前記複数の内箱側面板の中の一つの端部に延設された第一の係合片とを備え、前記内箱形成片を組み立てた状態で、前記筒状部内を摺動可能な本体部が前記複数の内箱側面板により形成され、前記第一の係合片は、前記複数の内箱側面板の一つである第一の内箱側面板の外面の一部に重なって主係合凸部となり、前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第一の外箱側面板と前記第一の内箱側面板とが対面し、前記主係合凸部が前記主係合凹部内に係合することによって前記内箱が摺動できないようにロックされ、前記外箱の前記ロック解除片が前記差し込み口に差し込まれると、前記ロック解除片が前記主係合凸部と前記主係合凹部との隙間に入り込み、前記主係合凸部が前記主係合凹部の外に押し出され、ロックが解除されるスライド式包装箱である。
前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の外箱側面板と前記第二の補助板とが重なる部分が互いに糊付けされていることが好ましい。
また、前記外箱形成片は、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第三の補助板を備え、前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の外箱側面板と対向する位置に、前記複数の外箱側面板の中の一つである第二の外箱側面板が配され、前記第二の外箱側面板の内面には、前記第三の補助板の全部又は一部が重り、前記第三の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって補助係合凹部が形成され、前記第二の外箱側面板の前記補助係合凹部の位置に、舌片状の押圧部が切り込み線により設けられ、前記内箱形成片は、前記複数の内箱側面板の中の一つの端部に延設された第二の係合片を備え、前記内箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の内箱側面板と対向する位置に、前記複数の内箱側面板の中の一つである第二の内箱側面板が配され、前記第二の係合片は、前記第二の内箱側面板の外面の一部に重なって補助係合凸部となり、前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第二の外箱側面板と前記第二の内箱側面板とが対面し、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部内に係合することによって前記内箱が摺動できないようにロックされ、前記外箱の前記押圧部が外側から押し込まれると、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部の外に押し出され、ロックが解除される構成を備えていてもよい。この場合、前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第二の外箱側面板と前記第三の補助板とが重な部分が互いに糊付けされていることが好ましい。
あるいは、前記外箱形成片は、前記複数の外箱側面板の連接方向の端部に糊付け片が設けられ、前記糊付け片に可動部が設けられ、前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記糊付け片が前記第二の外箱側面板の内側に接合されて前記筒状部が形成され、前記第二の外箱側面板の内面を構成する前記糊付け片には、前記第三の補助板の全部又は一部が重なり、前記第三の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって補助係合凹部が形成され、前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第二の外箱側面板と前記第二の内箱側面板とが前記糊付け片を介して対面すると共に、前記押圧部と前記補助係合凸部とが前記可動部を介して対面し、前記外箱の前記押圧部が外側から押し込まれると、その押圧力が前記可動部を介して前記補助係合凸部に伝わり、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部の外に押し出され、ロックが解除される構成を備えていてもよい。この場合、 前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記糊付け片と前記第三の補助板とが重なる部分が互いに糊付けされていることが好ましい。
また、前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記外箱の前記筒状部の端部を閉鎖する蓋部が形成され、開封前、前記第一の補助板は、前記筒状部の外面に重なった状態で開封用破断線を介して前記蓋部に連続し、前記開封用破断線を破断して開封することによって前記第一の補助板が移動可能になり、前記ロック解除片を前記差し込み口に差し込み可能になる構成にしてもよい。
また、前記第一の補助板は、折罫線により第一の部分と第二の部分とに区切られ、前記第一の部分と前記第二の部分が前記折罫線を介して互いに折り重なり、その重なった部分が互いに糊付けされており、前記ロック解除片は、前記第二の部分の内側の、前記第一の部分に糊付けされていない部分に、前記折罫線と破断線とで囲まれて設けられている構成にしてもよい。この場合、前記ロック解除片を囲む前記破断線の途中部分に、指掛け用の透孔が設けられている構成にすることが好ましい。
本考案のスライド式包装箱は、簡単な構造で組み立てやすく、包装の作業性もよいものである。また、外箱内に内箱を収容すると内箱が自動的にロックされ、内箱を引き出すときは、ロック解除片を差し込み口に差し込んでロックを解除する操作を行う構成になっており、ロック解除の操作は大人にとって容易であるが、小児にとっては簡単ではない。したがって、大人には使いやすく、しかもチャイルドレジスタンス性の高いスライド式包装箱を得ることができる。
以下、本考案のスライド式包装箱の第一の実施形態について、図1〜図10に基づいて説明する。図1は、第一の実施形態のスライド式包装箱10の組み立て状態を示したもので、筒状部96を有する外箱12と、筒状部96の内側に摺動可能に挿入されたトレイ状の内箱14とで構成されている。
外箱12は、一枚の外箱形成片16を組み立てることによって形成されている。外箱形成片12は、図2に示すように、互いに平行に連接された4つの外箱側面板18,20,22,24を有している。外箱側面板18,20,22,24は、連接している幅方向の長さは同じであり、連接方向の長さは外箱側面板18,22が短くて互いにほぼ等しく、外箱側面板20,24が長くて互いにほぼ等しい。さらに、外箱側面板24の連接方向の端部には、外箱12を組み立てた状態で、外箱側面板18の端部の裏面に糊付けされる糊付け片26が設けられている。4つの外箱側面板18,20,22,24及び糊付け片26は、各々折罫線28,30,32,34で区切られている。以下、外箱側面板22を第一の外箱側面板22と称する。
外箱側面板18の連接方向の端部には、外箱側面板24の約2倍の大きさの第一の補助板36が折罫線38で区切られて設けられている。第一の補助板36は、折罫線38と平行な折罫線40で第一及び第二の部分36(1),36(2)に区切られており、外箱側面板18側の第一の部分36(1)の大きさは外箱側面板24とほぼ同じであり、反対側の第二の部分36(2)は、第一の部分36(1)よりも僅かに小さい。
外箱側面板18の連接方向に対して直角な一端部には、台形状の抜け止め片42が折罫線44で区切られて設けられ、反対側の端部には、抜け止め片42とほぼ同形のフラップ46が折罫線48で区切られて設けられている。
外箱側面板20の、抜け止め片42側の一端部には、台形状の折り返し板50が折罫線52で区切られて設けられ、フラップ46側の端部には、台形状のフラップ54が折罫線56で区切られて設けられている。折り返し板50の長さは、外箱側面板20の幅(折罫線52と折罫線56との間隔)の約2/5で、折罫線52で折り返されたとき、外箱側面板20の内側に重なる大きさである。
第一の外箱側面板22の、折り返し板50側の一端部には、略長方形の第二の補助板58が折罫線60で区切られて設けられ、反対側の端部には、外箱側面板18のフラップ46とほぼ同形のフラップ62が折罫線64で区切られて設けられている。また、第一の外箱側面板22と外箱側面板24との境界部分は、折罫線32の中央部分が省略され、その内側両端を始点とする台形状の切り込み線66が、外箱側面板24に僅かに入る向きに形成されている。上記の第二の補助板58の長さは、第一の外箱側面板22の幅(折罫線60と折罫線64との間隔)の約2/5で、折罫線60から切り込み線66との離間距離とほぼ等しい。
外箱側面板24の、第二の補助板58側の一端部には、外箱側面板20の折り返し板50とほぼ同外形の折り返し板68が折罫線69で区切られて設けられ、フラップ62側の端部には、外箱側面板20のフラップ54より僅かに大きいフラップ70が折罫線72で区切られて設けられている。
第一の補助板36の部分である第一の部分36(1)の、抜け止め片42側の一端部には、矩形の蓋片74が開封用破断線76に区切られて設けられ、反対側の端部にも同様に、矩形の蓋片78が開封用破断線80に区切られて設けられている。蓋片74,76の長さは、外箱側面板18,22の連接方向の長さとほぼ同じである。さらに、第一の部分36(1)の開封用破断線76側の端部のほぼ中央の位置に、上記の透孔54を半割した形状の透孔82が設けられている。
第一の補助板36の部分である第二の部分36(2)の、蓋片74側の一端部には、上記の透孔54を半割した形状の切り欠き84が設けられている。また、第一の部分36(1)と第二の部分36(2)との境界部分は、折罫線32の中央部分が省略され、その内側両端を始点とする台形状の切り込み線84aが第二の部分36(2)に僅かに入る向きに形成され、切り込み線84aの内側に摘み部84が設けられている。さらに、第二の部分36(2)には、切り込み線84aの両端部より外側に位置する折罫線40上の2点から側方に延びる一対の破断線86と、一対の破断線86の先端部同士を結ぶ透孔88とが設けられ、その内側に矩形のロック解除片90が設けられている。ロック解除片90は、幅が上記の切り込み線66の長さよりも僅かに短く、長さが外箱側面板18,22の連接方向の長さ長よりも僅かに短い。
次に、外箱形成片16の組み立て方法の一例を、図2、図3(a)、(b)に基づいて説明する。図2は、外箱形成片16を表面側から見た図であり、以下、外箱形成片16の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
まず、第二の部分36(2)の、ロック解除片90以外の部分の裏面に糊を塗布し、第二の部分36(2)を折罫線40で正折りし、第一の部分36(1)の裏面に糊付けする。この糊付けにより、第一及び第二の部分36(1),36(2)が一体となった第一の補助板36が形成され、摘み部84が第一の補助板36の端部から外向きに突出し、透孔82と切り欠き84とが重なる。また、折り返し板50の裏面に糊を塗布し、折り返し板50を折罫線52で正折りし、外箱側面板20の裏面に糊付けする。同様に、折り返し板68の裏面に糊を塗布し、折り返し板68を折罫線69で正折りし、外箱側面板24の裏面に糊付けする。
さらに、第二の補助板58の裏面に糊を塗布し、第二の補助板58を折罫線60で正折りし、第一の外箱側面板22の裏面に糊付けする。この状態で、第一の外箱側面板22の裏面に、第二の補助板58が重なる部分と重ならない部分との段差により、後述する主係合凹部94(基材の厚み分だけ低くなっている部分)が形成される。
この後、外箱側面板24を折罫線32で正折りし、糊付け片26の表面に糊を塗布した後、折罫線28を正折りすることによって、糊付片26を外箱側面板の裏面に糊付けする。外箱形成片16は、この折り畳まれた状態で出荷される。
次に、薬剤等の収容物を包装する工場等において、折罫線28,30,32,34を各々90度になるように正折りすると図3(a)に示す状態となり、4つの外箱側面板18,20,22,24で成る四角形の筒状部96が形成され、切り込み線66の裏側に、スリット状の差し込み口98が形成される。そして、筒状部96の一方の端部を閉鎖するため、フラップ46,62を各々折罫線48,64で90度に正折りし、フラップ54を折罫線56で正折りし、フラップ70の裏面に糊を塗布して折罫線72で90度に正折し、フラップ70をフラップ54の表面に糊付けして内蓋部100を形成する。さらに、抜け止め片42を折罫線44で正折りし、糊付け片26の裏面に重ねる。これで図3(b)に示す状態となり、外箱12の組み立てが終了する。
内箱14は、一枚の内箱形成片102を組み立てることによって形成されている。内箱形成片102は、図4に示すように、互いに平行に連接された3つの内箱側面板104,106,108を有している。内箱側面板104,106,108は、連接している幅方向の長さは同じであり、連接方向の長さは内箱側面板104,108が短くて互いにほぼ等しく、内箱側面板106が長い。つまり、内箱側面板104,108の外形は、上記の外箱側面板18,22と同形状で僅かに小さく、内箱側面板106の外形は、上記の外箱側面板20と同形状で僅かに小さい。3つの内箱側面板104,106,108は、各々折罫線110,112で区切られている。以下、内箱側面板108を第一の内箱側面板18と称する。
内箱側面板104の連接方向に対して直角な一端部には、台形状のフラップ114が折罫線116で区切られて設けられ、反対側の端部には、フラップ114とほぼ同形のフラップ118が折罫線120で区切られて設けられている。さらに、内箱側面板104の折罫線110と反対側の端部であってフラップ118寄りの位置に、台形状の抜け止め片122が折罫線124で区切られて設けられている。抜け止め片122の長さ(折罫線124から先端縁までの距離)は、内箱側面板104の長さ(折罫線110から先端縁までの長さ)とほぼ同じであり、基端部の幅は、内箱側面板104の幅(折罫線116と折罫線120との間隔)の約1/4である。
内箱側面板106の、フラップ114側の一端部には、略四角形の閉鎖板126が折罫線128で区切られて設けられている。閉鎖板126は、折罫線128と平行な2つの折罫線130,132で第一、第二及び第三の部分126(1),126(2),126(3)に区切られている。第一及び第二の部分126(1)、126(2)の大きさは互いに等しく、上記外箱形成片16の蓋片78より僅かに小さい。第三の部分126(3)の大きさは、第一及び第二の部分126(1)、126(2)よりも少し大きい。内箱側面板106の、フラップ118側の一端部にも、略四角形の閉鎖板134が折罫線136で区切られて設けられている。閉鎖板134は、反対側の閉鎖板126と同様の構成であり、折罫線136と平行な2つの折罫線138,140で第一、第二及び第三の部分134(1),134(2),134(3)に区切られている。
第一の内箱側面板108の閉鎖板126側の一端部には、台形状のフラップ142が折罫線144で区切られて設けられ、反対側の端部には、フラップ142とほぼ同形のフラップ146が折罫線148で区切られて設けられている。さらに、内箱側面板108の折罫線112と反対側の端部であってフラップ148寄りの位置に、第一の係合片150が折罫線152で区切られて設けられている。第一の係合片150は略長方形で、長さ(折罫線152から先端縁までの距離)は、第一の内箱側面板108の長さ(折罫線112から先端縁までの長さ)とほぼ同じで、折罫線144側の側端縁から折罫線148までの距離は、第一の内箱側面板108の幅(折罫線114と折罫線148との間隔)の約3/5で、第一の内箱側面板108の幅から外箱形成片16の第二の補助板58の長さを差し引いた程度の寸法に設定されている。
次に、内箱形成片102の組み立て方法の一例を、図4、図5(a)、(b)に基づいて説明する。図4は、内箱形成片102を表面側から見た図であり、以下、内箱形成片102の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
内箱形成片102は、薬剤等の収容物を包装する工場等で組み立てられる。まず、折罫線110を90度になるように正折りして内箱側面板104及びフラップ114,118を内箱側面板106に対して起立させ、さらに、折罫線116を90度になるように正折りしてフラップ114を折罫線128の位置に配し、折罫線120を90度になるように正折りしてフラップ118を折罫線136の位置に配する。同様に、折罫線112を90度になるように正折りして第一の内箱側面板108及びフラップ142,146を内箱側面板106に対して起立させ、さらに、折罫線144を90度になるように正折りしてフラップ142を折罫線128の位置に配し、折罫線148を90度になるように正折りしてフラップ146を折罫線136の位置に配する。
この後、折罫線128を90度になるように正折りして閉鎖板126を内箱側面板106に対して起立させ、第一の部分126(1)の裏面をフラップ114,142の表面に当接させる。さらに、折罫線132を90度になるように逆折りして第三の部分126(3)を外向きに倒し、第二及び第三の部分126(2),126(3)の裏面に糊を塗布した後、折罫線132を正折りし、第二の部分126(2)をフラップ114,142の裏面に糊付けするとともに、第三の部分126(3)を内箱側面板106の裏面に糊付けする。同様に、折罫線136を90度になるように正折りして閉鎖板134を内箱側面板106に対して起立させ、第一の部分134(1)の裏面をフラップ118,146の表面に当接させる。さらに、折罫線140を90度になるように逆折りして第三の部分134(3)を外向きに倒し、第二及び第三の部分134(2),134(3)の裏面に糊を塗布した後、折罫線138を正折りし、第二の部分134(2)をフラップ118,146の裏面に糊付けするとともに、第三の部分134(3)を内箱側面板106の裏面に糊付けする。これで、図5(a)に示す状態となり、3つの内箱側面板104,106,108がコの字状に折り曲げられた両端部を2つの閉鎖板126,134で閉鎖して成る本体部154が形成される。
そして、本体部154の上端部に起立している抜け止め片112を折罫線124で逆折りして内箱側面板104の表面に重ね、第一の係合片150を折罫線152で逆折りして第一の内箱側面板108の表面に重ねる。第一の係合片150は、第一の内箱側面板108の表面から外側に突出し、後述する主係合凸部150となる。これで図5(b)に示す状態となり、内箱14の組み立てが終了する。
次に、組み立てられた外箱12及び内箱14を用いて、収容物を包装する作業を行う。収容物は、例えばPTPシートに入った薬剤等である。まず、図示しない収容物を内箱14の本体部154の内側に入れた後、図6(a)に示すように、外箱14の筒状部96の開口端に、内箱12の閉鎖板134側の端部を挿入し、内箱12の本体部154を筒状部96の内側を摺動させながら奥まで差し込む。すると、図6(b)に示すように、内箱12全体が外箱12の中に収容される。
その後、蓋片74,78の裏面に糊を塗布した後、図6(c)に示すように、第一の補助板36を倒して外箱側面板24の表面に当接させる。そして、開封用破断線76を90度になるように正折りし、蓋片74を内箱14の閉鎖板126に糊付けするとともに、蓋片78を外箱12の内蓋部100に糊付けする。この糊付けにより、筒状部96の一端が、蓋片74及び閉鎖板126が一体になった蓋部により閉鎖され、他端が、蓋片78及び内蓋部100が一体になった蓋部により閉鎖される。また、第一の補助板36は、外箱側面板24に当接した状態で、開封用破断線76,80を介して各蓋部に連続する。これで図1に示す状態となり、収容物を包装する作業(スライド式包装箱10の組み立て作業)が終了する。
組み立て状態のスライド式包装箱10は、図7(a)、(b)に示すように、内箱14の外面にある主係合凸部150(第一の係合片150の全部又は先端側の部分)が、外箱12の内面に形成された主係合凹部94内に入って係合し、内箱14が摺動できないようにロックされる。
次に、スライド式包装箱10を開封し、収容物を取り出す操作を説明する。開封するときは、筒状部96の角部から側方に突出している摘み部84を指で摘まみ、図8に示すように、第一の補助板36を外箱側面板24から引き上げるようにして開封用破断線76,80を破断させる。第一の補助板36は、第一及び第二の部分36(1),36(2)の2枚分の強度があるので、引き上げるときに変形しにくい。また、蓋片74,78は、第一の補助板36から切り離されるが、糊付けされて蓋部の一部になっているので、分離してゴミになることはない。
図8に示す状態では、内箱14の端部(蓋片74側の端部)を摘まんで外箱12から引き出そうとしても、内箱14が摺動できないようにロックされているため引き出すことができない。そこで、次にロックを解除する操作を行う。
まず、引き上げた第一の補助板36の透孔88の内側に指を掛けてロック解除片90の先端部を摘まみ、図9(a)に示すように、ロック解除片90を第一の補助板36から引き上げるようにして破断線86を破断させる。そして、図9(b)に示すように、ロック解除片90を差し込み口98に差し込みながら、第一の補助板36を倒して外箱側面板24の表面に当接させる。差し込み口98にロック解除片90が差し込まれると、図10(a)、(b)に示すように、ロック解除片90が主係合凸部150と主係合凹部94との隙間に入り込み、主係合凸部150が主係合凹部94の外に押し出され、ロックが解除される。
その後、内箱14の端部を摘まんで引っ張る。このとき、内箱14の端部は、蓋片74側の開封用破断線76側の部分が透孔82や切り欠き84から露出しているので、容易に摘まむことができる。そして、内箱14の端部を引っ張ると、内箱12が筒状部96内を摺動して外箱12の外に引き出され、本体部154内の収容物を取り出すことができる。
内箱14の引き出し可能な限度位置は、抜け止め片42及び抜け止め片122により規定される。図10(b)に示すように、外箱12の内面に抜け止め片42が配置され、内箱14の外面に抜け止め片122が配置されているので、内箱14を大きく引き出すと、抜け止め片122が抜け止め片42に係合し、内箱14がそれ以上移動できなくなる。この構造により、内箱14が外箱12から脱落するのが防止される。
その後、収容物(未使用の薬剤等)を内箱14に戻し、内箱14を押し込んで外箱12の中に収容し、第一の補助板36を外箱側面板24から引き上げてロック解除片90を差し込み口98から引き抜き、内箱14が摺動できないようにロックされた状態(図9(a)に示す状態)で保管する。
なお、スライド式包装箱10は、上記のように、主係合凹部94を形成するため、第二の補助板58を第一の外箱側面板22に重ね、さらに糊付けを行って相互に固定されている。糊付けを行っているのは、ロック解除片90によるロック解除動作がより円滑に行われるようにするためである。ロック解除片90によるロック解除動作は、主係合凹部の深さをα、ロック解除片90の厚みをβとすると、「深さα≒厚みβ」又は「深さα<厚みβ」であることが好ましいところ、第二の補助板58を糊付けしなかった場合、折罫線60の折り曲げに対する反発力で第二の補助板58が第一の側面板22から斜めに浮き上がり、深さαが厚みβを大きく超えてしまうおそれがあるので、それを防止するためである。ただし、箱体の素材、厚み、折罫線の形態、折り曲げ時に加える圧力等を適切に設定することによって第二の補助板58の浮き上がりを小さくできる場合は、糊付けを省略することができる。
以上説明したように、スライド式包装箱10は、簡単な構造で組み立てやすく、包装の作業性もよいものである。また、外箱12内に内箱14を収容すると内箱14が自動的にロックされ、内箱14を引き出すときは、ロック解除片90を差し込み口98に差し込んでロックを解除する操作を行う構成になっており、ロック解除の操作は、大人であれば容易であるが、小児にとっては簡単ではない。したがって、スライド式包装箱10は、大人には使いやすく、しかもチャイルドレジスタンス性が高いものである。
また、スライド式包装箱10を開封するときは、開封用破断線76,80を破断し、第一の補助板36を蓋部の蓋片74,78から切り離さなければならないので、市場に流通する過程で第一の補助板36がコンパクトに保持され、しかも、一度開封されると容易に識別できるため、不正な改ざんを防止する効果も得られる。
外箱12の折り返し板50,68は、筒状部96を補強する働きをする。また、内箱14が外箱12内に挿入されると、内箱14の底板である内箱側面板106と折り返し板50の表面同士が摺接する構造であり、紙基材の場合、表面がコーティング処理等により滑らかであるケースが多いので、内箱14の摺動がより円滑にできるという利点もある。また、内箱14の摺動が円滑であれば、組み立てるとき、折り返し板50と外箱側面板20の間の糊付けを省略してもよい。
第一の補助板36は、ロック解除片90を支持するための部材であるが、情報表示板としても利用できる。つまり、外箱側面板18,20,22,24に商品名、会社名、取り扱い説明等の情報が表示しきれない場合、第一及び第二の部分36(1),36(2)を情報表示板として利用すれば、表示面積を容易に広くすることができる。
次に、本考案のスライド式包装箱の第二の実施形態について、図11〜図17に基づいて説明する。ここで、第一の実施形態のスライド式包装箱10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
上記のスライド式包装箱10は、内箱をロックするためのロック機構及びこれを解除する機構を1組有しているが、第二の実施形態のスライド式包装箱156の場合、同様の構成の1組に加え、さらに形態が異なる別の1組を備えているという特徴がある。
図11は、スライド式包装箱156の組み立て状態を示したもので、筒状部96を有する外箱158と、筒状部96の開口端から摺動可能に挿入されたトレイ状の内箱160とで構成されている。
外箱158は、一枚の外箱形成片162を組み立てることによって形成されている。外箱形成片162は、上記の外箱形成片16と共通する部分が多いので、構成が異なる部分について、図12に基づいて説明する。
外箱形成片162の、外箱側面板20と折り返し板50との境界部分は、折罫線52の中央部分が省略され、外箱側面板20及び折り返し板50に跨る透孔164が設けられている。透孔164は、折罫線52に対して線対称に近い形状になっている。
外箱側面板24の、第二の補助板58側の一端部には、上記の折り返し板68に代えて、第三の補助板166が折罫線168で区切られて設けられている。第三の補助板166は、外箱側面板24と連続する第一の部分166(1)と、折罫線170によって第一の部分166(1)と区切られた第二の部分166(2)とで構成されている。第一の部分166(1)は略長方形であり、折罫線168から先端縁までの長さは、切り込み線66の折罫線72側の端部から折罫線168までの距離とほぼ等しい。第二の部分166(2)は略長方形で、第一の部分166(1)の糊付け片26側の側端部に設けられ、折罫線170から先端縁までの長さは、糊付け片26の長さ(折罫線34から先端縁までの長さ)より僅かに短い。第二の部分166(2)の糊付け片26側の端部は、組み立てた状態で抜け止め片42と重ならない程度に切り欠かれている。
外箱側面板18には、円弧状の切り込み線172により、抜け止め片42の方向に膨出する舌片状の押圧部174が設けられている。折罫線48から押圧部174までの距離は、折罫線64から切り込み線66までの離間距離よりも僅かに近い。以下、この実施形態において、外箱側面板18を第二の外箱側面板18と称する。
糊付け片26には、所定間隔を空けて互いに平行な2つの切り込み線176が設けられ、各切り込み線176は、それぞれ折罫線34から糊付け片26の先端縁の少し内側の位置まで達する長さで、2つの切り込み線176の間が可動部178になっている。折罫線72から可動部178までの距離は、折罫線48から押圧部174までの距離とほぼ等しい。以下、糊付け片26の、可動部178を挟んで第三の補助板166側の部分を糊付け片26(1)、反対側の部分を糊付け片26(2)と称する。
外箱形成片162の新規な構成は以上であり、その他の構成は上記の外箱形成片16と同様である。
次に、外箱形成片162の組み立て方法の一例を、図12、図13(a)、(b)に基づいて説明する。図12は、外箱形成片162を表面側から見た図であり、以下、外箱形成片162の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
まず、第二の部分36(2)の、ロック解除片90以外の部分の裏面に糊を塗布し、第二の部分36(2)を折罫線40で正折りし、第一の部分36(1)の裏面に糊付けする。この糊付けにより、第一及び第二の部分36(1),36(2)が一体となった第一の補助板36が形成され、摘み部84が第一の補助板36の端部から外向きに突出するとともに、透孔82と切り欠き84とが重なる。
また、折り返し板50の裏面に糊を塗布し、折り返し板50を折罫線52で正折りし、外箱側面板20の裏面に糊付けする。この糊付けにより、折罫線52の中央部分に、透孔164が半割された形状の切り欠き179が形成される。
また、第二の補助板58の裏面に糊を塗布し、第二の補助板58を折罫線60で正折りし、第一の外箱側面板22の裏面に糊付けする。この状態で、第二の補助板58が重なる部分と重ならない部分との段差により、主係合凹部94(基材の厚み分だけ低くなっている部分)が形成される。
さらに、第三の補助板166の第一の部分166(1)の裏面に糊を塗布し、第三の補助板166を折罫線168で正折りし、第一の部分166(1)を外箱側面板24の裏面に糊付けする。この状態で、糊付け片26(1),26(2)の裏面に、第二の部分166(2)が重る部分と重ならない部分との段差により、後述する補助係合凹部180(基材の厚み分だけ低くなっている部分)が形成される。
この後、外箱側面板24を折罫線32で正折りし、糊付け片26(1),26(2)の表面(可動部178の表面は除く)に糊を塗布した後、折罫線28を正折りすることによって、糊付け片26(1),26(2)を外箱側面板の裏面に糊付けする。外箱形成片162は、この折り畳まれた状態で出荷される。
次に、薬剤等の収容物を包装する工場等において、折罫線28,30,32,34を各々90度になるように正折りすると図13(a)に示す状態となり、4つの外箱側面板18,20,22,24で成る四角形の筒状部96が形成され、切り込み線66の裏側に、スリット状の差し込み口98が形成される。そして、筒状部96の一方の端部を閉鎖するため、フラップ46,62を各々折罫線48,64で90度に正折りし、フラップ54を折罫線56で正折りし、フラップ70の裏面に糊を塗布して折罫線72で90度に正折し、フラップ70をフラップ54の表面に糊付けして内蓋部100を形成する。さらに、抜け止め片42を折罫線44で正折りし、糊付け片26の裏面に重ねる。これで図13(b)に示す状態となり、外箱158の組み立てが終了する。
内箱160は、一枚の内箱形成片182を組み立てることによって形成されている。内箱形成片182は、上記の内箱形成片102と共通する部分が多いので、構成が異なる部分について、図14に基づいて説明する。
上記の内箱形成片102は、内箱側面板104の端部に、台形状の抜け止め片122が設けられているが、内箱形成片182の場合、抜け止め片122とほぼ同じ位置に、台形状の第二の係合片184が折罫線186に区切られて設けられている。第二の係合片184の長さ(折罫線186から先端縁までの距離)は、内箱側面板104の長さ(折罫線110から先端縁までの距離)とほぼ同じで、基端部の幅は、内箱側面板104の幅(折罫線116と折罫線120との間隔)の約1/3で、内箱側面板104の幅から外箱形成片162の第三の補助板166の長さを差し引いた程度の寸法に設定されている。以下、内箱側面板104を第二の内箱側面板104と称する。
内箱形成片182の新規な構成は以上であり、その他の構成は上記の内箱形成片102と同様である。内箱形成片102の組み立て方法も内箱形成片102の場合と同様であり、内箱160は、図15(b)に示す組み立て状態で、第一の係合片150が第一の内箱側面板108の表面に重なって外側に突出し、後述する主係合凸部150となり、第二の係合片184が第二の内箱側面板104の表面に重なって外側に突出し、後述する補助係合凸部184となる。
次に、組み立てられた外箱158及び内箱160を用いて、収容物を包装する作業を行う。まず、図示しない収容物を内箱160の本体部154の内側に入れた後、外箱158の筒状部96の開口端に、内箱160の閉鎖板134側の端部を挿入し、内箱160の本体部154を筒状部96の内側を摺動させながら奥まで差し込み、内箱160全体を外箱158の中に収容する。
その後、蓋片74,78の裏面に糊を塗布した後、第一の補助板36を倒して外箱側面板24の表面に当接させる。そして、開封用破断線76を90度になるように正折りし、蓋片74を内箱14の閉鎖板126に糊付けするとともに、蓋片78を外箱12の内蓋部100に糊付けする。この糊付けにより、筒状部96の一端が、蓋片74及び閉鎖板126が一体になった蓋部により閉鎖され、他端が、蓋片78及び内蓋部100が一体になった蓋部により閉鎖される。また、第一の補助板36は、外箱側面板24に当接した状態で、開封用破断線76,80を介して各蓋部に連続する。これで図11に示す状態となり、収容物を包装する作業(スライド式包装箱156の組み立て作業)が終了する。
組み立て状態のスライド式包装箱156は、図16(a)、(b)に示すように、内箱160の外面にある主係合凸部150(第一の係合片150の全部又は先端側の部分)が、外箱158の内面に形成された主係合凹部94内に入って係合し、さらに、内箱160の外面にある補助係合凸部184(第二の係合片184の全部又は先端側の部分)が、外箱12の内面に形成された補助係合凹部180内に入って係合し、内箱160が摺動できないように2箇所でロックされる。また、第二の外箱側面板18の押圧部174と内箱160の補助係合凸部184が、糊付け片26(1),26(2)の間にある可動部178を介して互いに対面する。
次に、スライド式包装箱156を開封し、収容物を取り出す操作を説明する。開封する操作は、上記のスライド式包装箱10と同様であり、筒状部96の角部から側方に突出している第一の補助板36の摘み部84を指で摘まみ、第一の補助板36を外箱側面板24から引き上げるようにして開封用破断線76,80を破断させる。
この状態では、内箱160の端部(蓋片74側の端部)を摘まんで外箱158から引き出そうとしても、内箱160が摺動できないように2箇所でロックされているため、引き出すことができない。そこで、次にロックを解除する操作を行う。
まず、上記のスライド式包装箱10と同様に、引き上げた第一の補助板36の透孔88の内側に指を掛けてロック解除片90の先端部を摘まみ、ロック解除片90を第一の補助板36から引き上げるようにして破断線86を破断させる。そして、ロック解除片90を差し込み口98に差し込みながら、第一の補助板36を倒して外箱側面板24の表面に当接させる。差し込み口98にロック解除片90が差し込まれると、図17(a)、(b)に示すように、ロック解除片90が主係合凸部150と主係合凹部94との隙間に入り込み、主係合凸部150が主係合凹部94の外に押し出され、片方のロックが解除される。
さらに、外箱158の押圧部174の外面を指で押し込む。押圧部174が押し込まれると、図17(b)に示すように、可動部178が押されて内側に移動し、押圧力が可動部178を介して補助係合凸部184に伝わり、補助係合凸部184が補助係合凹部180の外に押し出され、もう一方のロックも解除される。
その後、内箱160の端部を摘まんで引っ張る。このとき、内箱160の端部は、蓋片74側の開封用破断線76側の部分や折罫線128側の部分が、透孔82や切り欠き84,179から露出しているので、容易に摘まむことができる。そして、内箱160の端部(蓋片74側の端部)を摘まんで引っ張ると、内箱160が筒状部96内を摺動して外箱156の外に引き出され、本体部154内の収容物を取り出すことができる。
内箱160の引き出し可能な限度位置は、抜け止め片42及び第二の係合片184により規定される。つまり、図17(b)に示すように、外箱158の内面に抜け止め片42が配置されており、内箱160を大きく引き出すと、第二の係合片184が抜け止め片42に係合し、内箱160がそれ以上移動できなくなる。この構造により、内箱160が外箱158から脱落するのが防止される。
その後、収容物(未使用の薬剤等)を内箱160に戻し、内箱160を押し込んで外箱158の中に収容すると、補助係合凹部180及び補助係合凸部184が係合して再ロックされる。さらに、第一の補助板36を外箱側面板24から引き上げてロック解除片90を差し込み口98から引き抜き、主係合凹部94及び主係合凸部150の部分を再ロックし、内箱160が摺動できないようにロックされた状態で保管する。
外箱158の可動部178は、内箱160のロックを解除する時に押圧部174が強く押し込まれた時、押圧部174が内側に深く折れ曲がる(塑性変形する)のを防止し、引き出した内箱160を外箱158内に押し戻すとき、内箱160の閉鎖板134側の端部が押圧部174に干渉して戻りにくくなるのを防止する働きをする。本実施形態のような可動部178を設ける構成は、外箱形成片162の基材が薄く、押圧部174が塑性変形しやすい場合等に好適である。
なお、スライド式包装箱156は、補助係合凹部180を形成するため、第三の補助板166の第二の部分166(2)を糊付け片26(1)に重ねているが、重ねた部分同士の糊付けは行われていない。これは、糊付けを行わなくても、押圧部174によるロック解除動作が円滑に行われるためである。押圧部174よるロック解除動作は、補助係合凹部180の深さをγとすると、補助係合凸部184と共に第二の内箱側面板104が内側に移動した時、深さγが深くならずに保持されることが好ましいところ、第三の部分166(2)は、折罫線170の折り曲げに対する反発力で糊付け片26(1)に押し当てられているので、第二の内箱側面板104が内側に移動しても、深さγがほとんど変化しないからである。ただし、このロック解除動作の安定性をより高めたい場合は、糊付けすることが好ましい。
以上説明したように、スライド式包装箱156によれば、上記のスライド式包装箱10と同様の作用効果が得られる。また、スライド式包装箱10と同様のロック機構を有し、さらに別のロック機構が補助的に付加され、収容物を保管するときに内箱160が2箇所でロックされる構造になので、より高いチャイルドレジスタンス性を得ることができる。
次に、本考案のスライド式包装箱の第三の実施形態について、図18〜図24に基づいて説明する。第三の実施形態のスライド式包装箱188は、内箱をロックするためのロック機構及びこれを解除する機構を2組有しているという特徴がある。
図18は、スライド式包装箱188の組み立て状態を示したもので、筒状部282を有する外箱190と、筒状部282の開口端から摺動可能に挿入されたトレイ状の内箱192とで構成されている。
外箱190は、一枚の外箱形成片194を組み立てることによって形成されている。外箱形成片194は、図19に示すように、互いに平行に連接された4つの外箱側面板196,198,200,202を有している。外箱側面板196,198,200,202は、連接している幅方向の長さは同じであり、連接方向の長さは外箱側面板196,200が長くて互いにほぼ等しく、外箱側面板198,202が短くて互いにほぼ等しい。さらに、外箱側面板202の連接方向の端部には、外箱190を組み立てた状態で、外箱側面板196の端部の裏面に糊付けされる糊付け片204が設けられている。4つの外箱側面板196,198,200,202及び糊付け片204は、各々折罫線206,208,210,212で区切られている。以下、外箱側面板198を第一の外箱側面板198、外箱側面板202を第二の外箱側面板202と称する。
外箱側面板196の連接方向の端部には、外箱側面板196の約2倍の大きさの第一の補助板214が折罫線184で区切られて設けられている。第一の補助板214は、折罫線216と平行な折罫線214で第一及び第二の部分214(1),214(2)に区切られており、外箱側面板196と連続する第二の部分214(2)の大きさと、反対側の第一の部分214(1)の大きさは、ほぼ同じである。
外箱側面板196の連接方向に対して直角な一端部には、台形状のフラップ220が折罫線222で区切られて設けられている。
第一の外箱側面板198の、フラップ220と反対側の一端部には、略長方形の第二の補助板224が折罫線226で区切られて設けられ、反対側の端部にはフラップ228が折罫線230で区切られて設けられている。また、第一の外箱側面板198と外箱側面板196との境界部分は、折罫線206のフラップ228寄りの部分が省略され、その内側両端を始点とする台形状の切り込み線232が、外箱側面板196に僅かに入る向きに形成されている。上記の第二の補助板224の長さは、第一の外箱側面板198の幅(折罫線226と折罫線230との間隔)の約2/3で、折罫線226から切り込み線232までの離間距離とほぼ等しい。
外箱側面板200の、第二の補助板224側の一端部には、台形状の抜け止め片234が折罫線236で区切られて設けられ、反対側の端部には、外箱側面板196のフラップ220より僅かに小さいフラップ238が折罫線240で区切られて設けられている。
第二の外箱側面板202の、抜け止め片234側の一端部には、第二の補助板224とほぼ同形の第三の補助板242が折罫線244で区切られて設けられ、反対側の端部にはフラップ228とほぼ同形のフラップ246が折罫線248で区切られて設けられている。また、第二の外箱側面板202には、円弧状の切り込み線250により、第三の補助板242の方向に膨出する舌片状の押圧部252が設けられている。折罫線244から押圧部252までの距離は、第三の補助板242の長さ(折罫線244から先端縁までの距離)よりも僅かに長い。
第一の補助板214の一部である第一の部分214(1)の、第二の補助板224側の一端部には、矩形の蓋片254が折罫線256で区切られて設けられ、反対側の端部にも同様の蓋片258が開封用破断線260に区切られて設けられている。蓋片254,258の長さは、第一の外箱側面板198の長さ(折罫線206と折罫線208との間隔)とほぼ同じである。さらに、第一の部分36(1)の蓋片254側の端部には、折罫線256と重なるように、蓋片254の基端部両端から内向きに一対の開封用破断線262が設けられ、第一の部分214(1)の内側に、一対の開封用破断線262の内側両端を始点として連続するU字状の開封用破断線264が設けられ、折罫線256と開封用破断線264とで囲まれた内側に摘み部266が設けられている。
第一の補助板214の一部である第二の部分214(2)の、蓋片254側の一端部には、摘み部266とほぼ同じ大きさの円弧状の切り欠き268が設けられている。また、第一の部分214(1)と第二の部分214(2)との境界部分は、折罫線218の中央部分が省略され、その内側両端を始点とする台形状の切り込み線270aが第二の部分214(2)に僅かに入る向きに形成され、切り込み線270aの内側に摘み部270が設けられている。さらに、第二の部分214(2)には、切り込み線270aよりも蓋片258側の位置に、折罫線218上の2点から側方に延びる一対の破断線272と、一対の破断線272の先端部同士を結ぶ透孔274とが設けられ、一対の破断線272と透孔274とで囲まれた矩形のロック解除片276が設けられている。ロック解除片276は、幅が上記の切り込み線232の長さよりも僅かに短く、長さが第一及び第二の外箱側面板198,202の連接方向長よりも僅かに短い。
次に、外箱形成片194の組み立て方法の一例を、図19、図20(a)、(b)に基づいて説明する。図19は、外箱形成片194を表面側から見た図であり、以下、外箱形成片194の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
まず、第二の部分214(2)の、ロック解除片90以外の部分の裏面に糊を塗布し、第一の部分214(1)を折罫線218で正折りし、第二の部分214(2)の裏面に糊付けする。この糊付けにより、第一及び第二の部分214(1),214(2)が一体となった第一の補助板214が形成され、摘み部270が第一の補助板214の端部から外向きに突出するとともに、摘み部266と切り欠き268とが重なる。
また、第二の補助板224の裏面に糊を塗布し、第二の補助板224を折罫線226で正折りし、第一の外箱側面板198の裏面に糊付けする。この状態で、第一の外箱側面板198の裏面に、第二の補助板224が重なる部分と重ならない部分との段差により、後述する主係合凹部278(基材の厚み分だけ低くなっている部分)が形成される。
さらに、第三の補助板242の裏面に糊を塗布し、第三の補助板242を折罫線244で正折りし、第二の外箱側面板202の裏面に糊付けする。この状態で、第二の外箱側面板202の裏面に、第三の補助板242が重なる部分と重ならない部分の段差により、後述する補助係合凹部280(基材の厚み分だけ低くなっている部分)が形成される。
この後、糊付け片204を折罫線212で正折りし、糊付け片204の表面に糊を塗布した後、折罫線208を正折りすることによって、糊付け片204を外箱側面板196の裏面に糊付けする。外箱形成片194は、この折り畳まれた状態で出荷される。
次に、薬剤等の収容物を包装する工場等において、折罫線206,208,210,212を各々90度になるように正折りすると図20(a)に示す状態となり、4つの外箱側面板196,198,200,202で成る四角形の筒状部282が形成され、切り込み線232の裏側に、スリット状の差し込み口284が形成される。そして、筒状部282の一方の端部を閉鎖するため、サイドフラップ228,246を各々折罫線230,248で90度に正折りし、フラップ238を折罫線240で正折りし、フラップ220の裏面に糊を塗布して折罫線222で90度に正折し、フラップ220をフラップ238の表面に糊付けして内蓋部286を形成する。さらに、抜け止め片234を折罫線236で正折りし、外箱側面板200の裏面に重ねる。これで図20(b)に示す状態となり、外箱190の組み立てが終了する。
内箱192は、一枚の内箱形成片287を組み立てることによって形成されている。内箱形成片287は、図21に示すように、互いに平行に連接された3つの内箱側面板288,290,292を有している。内箱側面板288,290,292は、連接している幅方向の長さは同じであり、連接方向の長さは内箱側面板288,290が短くて互いにほぼ等しく、内箱側面板290が長い。つまり、内箱側面板288,292の外形は、上記の第一及び第二の外箱側面板198,202と同形状で僅かに小さく、内箱側面板290の外形は、上記の外箱側面板200と同形状で僅かに小さい。3つの内箱側面板288,290,292は、各々折罫線294,296で区切られている。以下、内箱側面板288を第一の内箱側面板288、内箱側面板292を第二の内箱側面板292と称する。
第一の内箱側面板288の折罫線294と反対側の端部には、略長方形の補強板298が折罫線300で区切られて設けられている。補強板298は、折罫線300と平行な折罫線302で第一及び第二の部分298(1),298(2)に区切られており、第一の内箱側面板288側と連続する第一の部分298(1)の外形は、第一の内箱側面板288と同形で僅かに小さく、反対側の第二の部分298(2)は、内箱側面板290と同形で僅かに小さい。
第二の部分298(2)の一側端部には、台形状の閉鎖片304が折罫線306で区切られて設けられている。閉鎖片304の長さ(折罫線306から先端縁までの距離)は、第一の側面板288の長さ(折罫線294と折罫線折罫線300との間隔)の約1.5倍である。さらに、第一の部分298(1)には、閉鎖板304に近い側の端部に、折罫線300上の2点から側方に延びて互いに連続するU字状の切り込み線308が設けられ、切り込み線308の内側に略矩形の第一の係合片310が設けられている。第一の係合片310の先端縁は、折罫線302とほぼ重なっている。
第一の内箱側面板288の、閉鎖板304と反対側の一端部には、台形状のフラップ312が折罫線314で区切られて設けられている。
内箱側面板290の閉鎖板304側の一端部には、台形状の抜け止め片316が折罫線318で区切られて設けられている。抜け止め片318の長さ(折罫線318から先端縁までの距離)は閉鎖板304よりも短く、第一の側面板288の長さ(折罫線294と折罫線300との間隔)の約3/4である。内箱側面板290の抜け止め片318と反対側の端部には、略長方形の閉鎖板320が折罫線322で区切られて設けられている。閉鎖板320は、折罫線322と平行な折罫線324で第一及び第二の部分320(1),320(2)に区切られている。内箱側面板290と連続する第一の部分320(1)の大きさと反対側の第二の部分320(1)の大きさはほぼ等しく、上記外箱形成片194の蓋片254より僅かに小さい。また、第二の部分320(2)は、フラップ312側の側端部にフラップ326が折罫線328で区切られて設けられ、反対側の側端部にフラップ330が折罫線332に区切られて設けられている。
第二の内箱側面板292の折罫線296と反対側の端部には、略長方形の補強板334が折罫線336で区切られて設けられている。補強板334は、折罫線336と平行な折罫線338で第一及び第二の部分334(1),334(2)に区切られており、第二の内箱側面板292側と連続する第一の部分334(1)の外形は、第二の内箱側面板292と同形で僅かに小さく、反対側の第二の部分334(2)の外形は、先端側が少し狭くなっており、第一の部分334(1)よりも小さい。さらに、第一の部分334(1)には、抜け止め片316に近い側の端部に、折罫線336上の2点から側方に延びて互いに連続するU字状の切り込み線340が設けられ、切り込み線340の内側に略矩形の第二の係合片342が設けられている。第二の係合片342の先端縁は、折罫線338とほぼ重なっている。
第二の内箱側面板292のフラップ330側の一端部には、台形状のフラップ344が折罫線346で区切られて設けられている。
次に、内箱形成片287の組み立て方法の一例を、図21、図22(a)、(b)に基づいて説明する。図21は、内箱形成片287を表面側から見た図であり、以下、内箱形成片287の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
内箱形成片287は、薬剤等の収容物を包装する工場等で組み立てられる。まず、折罫線294を90度になるように正折りして第一の内箱側面板288及びフラップ312を内箱側面板290に対して起立させ、さらに、折罫線314を90度になるように正折りしてフラップ312を折罫線322の位置に配する。同様に、折罫線296を90度になるように正折りして第二の内箱側面板292及びフラップ344を内箱側面板290に対して起立させ、さらに、折罫線346を90度になるように正折りしてフラップ344を折罫線128の位置に配する。
この後、折罫線328,332を90度になるように正折りしてフラップ326,330を起こし、折罫線322を90度になるように正折りして閉鎖板320を内箱側面板106に対して起立させ、第一の部分320(1)の裏面をフラップ312,344の表面に当接させる。さらに、折罫線328を正折りし、第二の部分320(2)をフラップ312,344の裏面に当接させ、フラップ326を第一の内箱側面板288の裏面に当接させ、フラップ330を第二の内箱側面板292の裏面に当接させる。これで、フラップ312,344が、閉鎖板320の第一及び第二の部分320(1),320(2)の間に挟まれた状態になる。
この後、折罫線338を90度になるように逆折りして補強板334の第二の部分334(2)を倒し、折罫線336(第二の係合片342の部分を除く)を正折りし、第一の部分334(1)をフラップ344の表面及び第二の内箱側面板292の裏面に当接させ、第二の部分334(2)を内箱側面板290の裏面に当接させる。これで、フラップ330が、第二の内箱側面板292と第一の部分334(1)との間に挟まれた状態になる。
この後、折罫線302を90度になるように逆折りして補強板298の第二の部分298(2)及び閉鎖板304を倒し、折罫線300(第一の係合片310の部分を除く)を正折りし、第一の部分298(1)をフラップ326の表面及び第一の内箱側面板288の裏面に当接させ、第二の部分298(2)を内箱側面板290の裏面及び補強板334の第二の部分334(2)の表面に当接させる。これで、フラップ328が第一の内箱側面板288と第一の部分298(1)との間に挟まれ、第二の部分334(2)が内箱側面板290と第二の部分298(2)との間に挟まれ、図22(a)に示す状態になる。
図22(a)に示す状態では、3つの内箱側面板288,290,292がコの字状に折り曲げられ、一端部を閉鎖板320で閉鎖して成る本体部348が形成される。補強片298,334は、3つの内箱側面板288,290,292を補強する働きをしている。また、フラップ312,326,330,344や補強板334の第二の部分334(2)が基材の間に挟まれて固定されるため、糊付けをしなくてもしっかりと形状が保持される。
そして、本体部348の上端部に起立している第一の係合片310を折罫線300で逆折りして第一の内箱側面板288の表面に重ね、第二の係合片342を折罫線336で逆折りして第二の内箱側面板292の表面に重ねる。第一の係合片310は、第一の内箱側面板288の表面から外側に突出し、後述する主係合凸部310となり、第二の係合片342は、第二の内箱側面板292の表面から外側に突出し、後述する補助係合凸部342となる。さらに、本体部348の外に突出している閉鎖板304を逆折りして本体部348の内側に入れ、閉鎖板304を斜めに立ち上げることにより、本体部348の一端を閉鎖する。また、抜け止め片316を逆折りして内箱側面板290の表面に重ねる。閉鎖板304は斜めに立ち上がり、本体部348の一端を簡易的に閉鎖する。これで図21(b)に示す状態となり、内箱192の組み立てが終了する。
次に、組み立てられた外箱190及び内箱192を用いて、収容物を包装する作業を行う。まず、図示しない収容物を内箱192の本体部348の内側に入れた後、外箱190の筒状部282の開口端に、内箱192の閉鎖板304側の端部を挿入し、内箱192の本体部348を筒状部282の内側を摺動させながら奥まで差し込んで、内箱192全体を外箱190の中に納める。
その後、蓋片254,258の裏面に糊を塗布した後、第一の補助板214を倒して外箱側面板196の表面に当接させる。そして、折罫線256及び開封用破断線262を90度になるように正折りして蓋片254を内箱192の閉鎖板320に糊付けするとともに、開封用破断線260を正折りして蓋片258を外箱190の内蓋部286に糊付けする。この糊付けにより、筒状部282の一端が、蓋片254及び閉鎖板320が一体になった蓋部により閉鎖され、他端が、蓋片78及び内蓋部100が一体になった蓋部により閉鎖される。また、第一の補助板214は、外箱側面板196に当接した状態で、開封用破断線262,260を介して各蓋部に連続する。これで図18に示す状態となり、収容物を包装する作業(スライド式包装箱188の組み立て作業)が終了する。
組み立て状態のスライド式包装箱188は、図23(a)、(b)に示すように、内箱192の外面にある主係合凸部310(第一の係合片310の全部又は先端側の部分)が、外箱190の内面に形成された主係合凹部278内に入って係合し、さらに、内箱192の外面にある補助係合凸部342(第二の係合片342の全部又は先端側の部分)が、外箱190の内面に形成された補助係合凹部280内に入って係合し、内箱192が摺動できないように2箇所でロックされる。また、第二の外箱側面板202の押圧部252と内箱192の補助係合凸部342とが互いに対面する。
次に、スライド式包装箱188を開封し、収容物を取り出す操作を説明する。開封する操作は、上記のスライド式包装箱10と同様であり、筒状部282の角部から側方に突出している第一の補助板214の摘み部270を指で摘まみ、第一の補助板214を外箱側面板196から引き上げるようにして開封用破断線260,262,264を破断させる。
この状態では、内箱192の端部(蓋片254側の端部)を摘まんで外箱190から引き出そうとしても、内箱192が摺動できないように2箇所でロックされているため、引き出すことができない。そこで、次にロックを解除する操作を行う。
まず、上記のスライド式包装箱10と同様に、引き上げた第一の補助板214の透孔274の内側に指を掛けてロック解除片276の先端部を摘まみ、ロック解除片276を第一の補助板241から引き上げるようにして破断線272を破断させる。そして、ロック解除片276を差し込み口284に差し込みながら、第一の補助板214を倒して外箱側面板196の表面に当接させる。差し込み口284にロック解除片276が差し込まれると、図24(a)、(b)に示すように、ロック解除片276が主係合凸部310と主係合凹部278との隙間に入り込み、主係合凸部310が主係合凹部278の外に押し出され、片方のロックが解除される。
さらに、外箱190の押圧部252の外面を指で押し込む。押圧部252が押し込まれると、その押圧力を受けて補助係合凸部342が補助係合凹部280の外に押し出され、もう一方のロックも解除される。
その後、内箱192の端部(蓋片254側の端部)を摘まんで引っ張る。内箱192の端部には、蓋片254に連続する摘み部266が突出しているので、容易に摘まむことができる。そして、内箱192の端部を引っ張ると、内箱192が筒状部282内を摺動して外箱190の外に引き出され、本体部348内の収容物を取り出すことができる。
内箱192の引き出し可能な限度位置は、外箱190の抜け止め片234及び内箱192の抜け止め片316により規定される。つまり、内箱192を大きく引き出すと、内箱192の抜け止め片316が外箱190の抜け止め片234に係合し、内箱192がそれ以上移動できなくなる。この構造により、内箱192が外箱190から脱落するのが防止される。
その後、収容物(未使用の薬剤等)を内箱192に戻し、内箱192を押し込んで外箱190の中に収容すると、補助係合凹部280及び補助係合凸部342が係合して再ロックされる。さらに、第一の補助板214を外箱側面板196から引き上げてロック解除片276を差し込み口98から引き抜き、主係合凹部94及び主係合凸部150の部分を再ロックし、内箱192が摺動できないようにロックされた状態で保管する。
なお、スライド式包装箱188は、上記のスライド式包装箱156の可動部178に相当する部材、すなわち、押圧部が強く押し込まれたときに深く折れ曲がる(塑性変形する)のを防止する部材を有していない。本実施形態のようなシンプルな構成は、外箱形成片194の基材が厚く、押圧部252が塑性変形しにくい場合等に適している。
以上説明したように、スライド式包装箱188によれば、上記のスライド式包装箱10と同様の作用効果が得られる。また、スライド式包装箱10と同様のロック機構を有し、さらに別のロック機構が補助的に付加され、収容物を保管するときに内箱192が2箇所でロックされる構造になので、より優れたチャイルドレジスタンス性を得ることができる。
なお、本考案のスライド式包装箱は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第一の外箱側面板の内面に主係合凹部を形成するための第二の補助板は、第一の外箱側面板の端部に設けてもよいし、他の外箱側面板に設けてもよい。また、ロック解除動作がより円滑に行われるためには、主係合凹部の深さがロック解除片の厚みと同等以下に維持される必要があるので、上記3つの実施形態のように、第二の補助板と第一の外箱側面板を相互に糊付けすることが好ましいが、第二の補助片の基端部の折り曲げに対する反発力の向き等を考慮して、問題がなければ糊付けを省略することができる。
第二の外箱側面板の内面に補助係合凹部を形成するための第三の補助板は、第二の外箱側面板の端部に設けてもよいし、他の外箱側面板の端部に設けてもよい。また、ロック解除動作がより円滑に行われるためには、押圧部が押し込まれたとき、補助係合凹部の深さが変化しない(深くならない)ことが求められるので、第三の実施形態のように糊付けするのが好ましいが、第二の補助片の基端部の折り曲げに対する反発力の向き等を考慮して、問題がなければ第二の実施形態のように糊付けを省略することができる。
上記3つの実施形態の第一の補助板は、2枚の基材を重ねて糊付けすることにより補強され、しかも外形が外箱側面板と同程度に面積が広いので、特に情報表示板として利用するのに適した構成になっている。この構成は一例であり、例えば、シンプルな単層構造にしてコストダウンしてもよいし、形状や大きさについても、ロック解除片を支持する機能を発揮できる範囲で自由に変更することができる。また、上記実施形態の第一の補助板は、不正な改ざんを防止するため、組み立てた状態で、開封用破断線を介して箱体の蓋部に連続させる構造になっているが、この構造は、必要に応じて省略してもよい。
箱体の大きさ、基材の素材や厚み等は適宜変更可能である。また、箱体全体の形状は、内箱の摺動方向に対して直角な断面の形状は四角形に限定されず、四角形以外の多角形でもよい。また、内箱の形状は、上記3つの実施形態のようなトレイのような形状に限定されず、例えば、六つの面に囲まれた四角い箱体で成り、その側面の一部が開口しているような形状でもよい。
10,156,188 スライド式包装箱
12,158,190 外箱
14,160,192 内箱
16,162,194 外箱形成片
18,20,22,24,196,198,200,202 外箱側面板
26,26(1),26(2),204 糊付け片
36,214 第一の補助板
36(1),214(1) 第一の部分
36(2),214(2) 第二の部分
40,218 折罫線
58,224 第二の補助板
74,78,254,258 蓋片(蓋部)
76,80,260,262,264 開封用破断線
86,272 破断線
88,274 透孔
90,276 ロック解除片
94,278 主係合凹部
96,282 外箱の筒状部
98,284 差し込み口
100,286 内蓋部(蓋部)
102,182,287 内箱形成片
104,106,108,288,290,292 内箱側面板
126,320 閉鎖板(蓋部)
150,310 第一の係合片(主係合凸部)
154,348 内箱の本体部
166,242 第三の補助板
172,176,250 切り込み線
174,252 押圧部
178 可動部
180,280 補助係合凹部
184,342 第二の係合片(補助係合凸部)
12,158,190 外箱
14,160,192 内箱
16,162,194 外箱形成片
18,20,22,24,196,198,200,202 外箱側面板
26,26(1),26(2),204 糊付け片
36,214 第一の補助板
36(1),214(1) 第一の部分
36(2),214(2) 第二の部分
40,218 折罫線
58,224 第二の補助板
74,78,254,258 蓋片(蓋部)
76,80,260,262,264 開封用破断線
86,272 破断線
88,274 透孔
90,276 ロック解除片
94,278 主係合凹部
96,282 外箱の筒状部
98,284 差し込み口
100,286 内蓋部(蓋部)
102,182,287 内箱形成片
104,106,108,288,290,292 内箱側面板
126,320 閉鎖板(蓋部)
150,310 第一の係合片(主係合凸部)
154,348 内箱の本体部
166,242 第三の補助板
172,176,250 切り込み線
174,252 押圧部
178 可動部
180,280 補助係合凹部
184,342 第二の係合片(補助係合凸部)
Claims (9)
- 筒状部を有する外箱と、前記筒状部の内側に摺動可能に挿入される内箱とを備えたスライド式包装箱において、
前記外箱は一枚の外箱形成片により形成され、前記外箱形成片は、互いに平行に連接された複数の外箱側面板と、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第一の補助板と、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第二の補助板と、前記第一の補助板の端部に延設されたロック解除片とを備え、
前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記筒状部が前記複数の外箱側面板により形成され、前記複数の外箱側面板の中の一つである第一の外箱側面板の内面には、前記第二の補助板の全部又は一部が重なり、前記第二の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって主係合凹部が形成され、前記主係合凹部の近傍に、前記ロック解除片を差し込み可能な形状の差し込み口が設けられ、
前記内箱は一枚の内箱形成片により形成され、前記内箱形成片は、互いに平行に連接された複数の内箱側面板と、前記複数の内箱側面板の中の一つの端部に延設された第一の係合片とを備え、
前記内箱形成片を組み立てた状態で、前記筒状部内を摺動可能な本体部が前記複数の内箱側面板により形成され、前記第一の係合片は、前記複数の内箱側面板の一つである第一の内箱側面板の外面の一部に重なって主係合凸部となり、
前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第一の外箱側面板と前記第一の内箱側面板とが対面し、前記主係合凸部が前記主係合凹部内に係合することによって前記内箱が摺動できないようにロックされ、前記外箱の前記ロック解除片が前記差し込み口に差し込まれると、前記ロック解除片が前記主係合凸部と前記主係合凹部との隙間に入り込み、前記主係合凸部が前記主係合凹部の外に押し出され、ロックが解除されることを特徴とするスライド式包装箱。 - 前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の外箱側面板と前記第二の補助板とが重なる部分が互いに糊付けされている請求項1記載のスライド式包装箱。
- 前記外箱形成片は、前記複数の外箱側面板の中の一つの端部に延設された第三の補助板を備え、
前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の外箱側面板と対向する位置に、前記複数の外箱側面板の中の一つである第二の外箱側面板が配され、前記第二の外箱側面板の内面には、前記第三の補助板の全部又は一部が重り、前記第三の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって補助係合凹部が形成され、前記第二の外箱側面板の前記補助係合凹部の位置に、舌片状の押圧部が切り込み線により設けられ、
前記内箱形成片は、前記複数の内箱側面板の中の一つの端部に延設された第二の係合片を備え、
前記内箱形成片を組み立てた状態で、前記第一の内箱側面板と対向する位置に、前記複数の内箱側面板の中の一つである第二の内箱側面板が配され、前記第二の係合片は、前記第二の内箱側面板の外面の一部に重なって補助係合凸部となり、
前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第二の外箱側面板と前記第二の内箱側面板とが対面し、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部内に係合することによって前記内箱が摺動できないようにロックされ、前記外箱の前記押圧部が外側から押し込まれると、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部の外に押し出され、ロックが解除される請求項1又は2記載のスライド式包装箱。 - 前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記第二の外箱側面板と前記第三の補助板とが重なる部分が互いに糊付けされている請求項3記載のスライド式包装箱。
- 前記外箱形成片は、前記複数の外箱側面板の連接方向の端部に糊付け片が設けられ、前記糊付け片に可動部が設けられ、
前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記糊付け片が前記第二の外箱側面板の内側に接合されて前記筒状部が形成され、前記第二の外箱側面板の内面を構成する前記糊付け片には、前記第三の補助板の全部又は一部が重なり、前記第三の補助板が重なる部分と重ならない部分との段差によって補助係合凹部が形成され、
前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記第二の外箱側面板と前記第二の内箱側面板とが前記糊付け片を介して対面すると共に、前記押圧部と前記補助係合凸部とが前記可動部を介して対面し、前記外箱の前記押圧部が外側から押し込まれると、その押圧力が前記可動部を介して前記補助係合凸部に伝わり、前記補助係合凸部が前記補助係合凹部の外に押し出され、ロックが解除される請求項3記載のスライド式包装箱。 - 前記外箱形成片を組み立てた状態で、前記糊付け片と前記第三の補助板とが重なる部分が互いに糊付けされている請求項5記載のスライド式包装箱。
- 前記外箱に前記内箱が収容された状態で、前記外箱の前記筒状部の端部を閉鎖する蓋部が形成され、開封前、前記第一の補助板は、前記筒状部の外面に重なった状態で開封用破断線を介して前記蓋部に連続し、前記開封用破断線を破断して開封することによって前記第一の補助板が移動可能になり、前記ロック解除片を前記差し込み口に差し込み可能になる請求項1乃至6のいずれか記載のスライド式包装箱。
- 前記第一の補助板は、折罫線により第一の部分と第二の部分とに区切られ、前記第一の部分と前記第二の部分が前記折罫線を介して互いに折り重なり、その重なった部分が互いに糊付けされており、
前記ロック解除片は、前記第二の部分の内側の、前記第一の部分に糊付けされていない部分に、前記折罫線と破断線とで囲まれて設けられている請求項1乃至6のいずれか記載のスライド式包装箱。 - 前記ロック解除片を囲む前記破断線の途中部分に、指掛け用の透孔が設けられている請求項8記載のスライド式包装箱。
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