JP3220839B2 - 酵母プロトプラストによる細胞表層物質の生産方法 - Google Patents

酵母プロトプラストによる細胞表層物質の生産方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酵母の細胞壁を除去して
得られたプロトプラストを必要に応じゲル包括法により
固定化した後、又は酵母をゲル包括法で固定化し、固定
化酵母をプロトプラスト化した後、培養溶液中で培養す
ることにより、該培養溶液中に細胞表層物質を連続的に
産出させる効率的な生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微生物による有用物質生産方法におい
て、細胞壁がその生産物の分泌阻害物になるような場
合、細胞壁を取り除いたプロトプラストを利用すること
は、細胞外への効率的な種々の物質生産が期待され個々
の試みがなされている。細胞培養法を応用し特定の物質
生産能を有する微生物菌体又はプロトプラストを固定化
して、連続的且つ効率的な生産方法が知らされている。
例えばグルタミン酸生産能を有する微生物ブレビバクテ
リウム・フラブスの生細胞をプロトプラスト化した後、
アセチルセルロース及び寒天を用いて固定し、該固定化
プロトプラストと反応液を接触させて該グルタミン酸の
生成蓄積せしめ、これを採取するアミノ酸生産方法に関
する研究(特開昭57ー144989公報)、実用化が
行われてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら細胞表層
物質を含む菌体内蓄積物質を恒常的に量産するには、ま
だいくつかの問題点が残されている。すなわち、固定化
酵素あるいは固定化微生物を利用する生産技術の開発を
目的とした研究は非常に多いが、大量製造技術を目的と
する開発は少ない。又プロトプラストは、培養溶液、反
応溶液の浸透圧等の外部環境の変化や攪拌などの物理的
ストレスに弱いため長時間培養し、物質生産を効率的且
つ連続的に行うことが困難であるという問題点があるば
かりか、固定化プロトプラストを用いた細胞壁あるい
は、ペリプラズムに局在するインベルターゼ等を含む高
分子物質の簡便且つ連続生産は皆無である。
【0004】本発明はこれらの問題点を改良し、固定化
プロトプラストの高密度、大量培養且つ長時間培養によ
る酵素蛋白等の大量製造を可能とする細胞表層物質の生
産技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題
点を解決することを目的とするものであり、細胞表層物
質生産技術の工業的に有利な方法を開発すべく種々検討
の結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわ
ち、本発明は酵母の細胞壁を除去して得られたスフェロ
プラスト細胞を含むプロトプラスト細胞(以降プロトプ
ラストと称す。)を必要に応じて包括法により固定化
し、又はその逆の手順により酵母を固定化した後プロト
プラスト化する。この様にして、得られたプロトプラス
トを細胞壁合成阻害剤を添加した培養溶液中で培養し、
その培養溶液中に細胞表層物質を生産蓄積せしめること
を特徴とするプロトプラストによる細胞表層物質の生産
方法に関する。
【0006】酵母の細胞壁を除去して得られたプロトプ
ラストは、極短期間において細胞表層である細胞壁ある
いは、ペリプラズム(細胞膜と細胞壁の間)に本来局在
している酵素蛋白、脂質及び多糖類を培養溶液中に生産
されることは知られている。すなわちプロトプラストを
用いるため、細胞壁構成成分である多糖類、脂質は合成
されるが細胞表層へのアセンブリーが阻害されるため培
養溶液中に分泌、濾洩される。又細胞表層に局在してい
る酵素蛋白としてインベルターゼ、酸性ホスファター
ゼ、L−アスパラギナーゼ、グルカナーゼ、α−ガラク
トシダーゼ、アミノペプチダーゼ、アリル−β−グルコ
シダーゼ、プロテインジスルフィドリダクターゼ、エン
ドキチナーゼ等が知られている。これら酵素蛋白のう
ち、ペリプラズムに局在しているとされているインベル
ターゼ、酸性ホスファターゼは、8量体を形成し、さら
には酵母特有の高分子量の糖鎖が付加されるため本来の
蛋白質部分の16倍以上の分子量を持つことから、細胞
壁を通過できずペリプラズムに蓄積され一部が培養溶液
中に濾洩するが、この濾洩酵素蛋白は小分子化された2
量体のみであるとされている。通常の増殖酵母を用いて
の、これらペリプラズム局在酵素蛋白生産方法では、高
分子物質の菌体外への濾洩は細胞壁が障壁となるため培
養溶液中には極微量でしかなく、又ペリプラズムの細胞
当りの容積が限られているため局在する酵素蛋白の総量
が限られる。又上記酵素蛋白中インベルターゼ、酸性ホ
スファターゼ以外は、細胞壁に局在しているとされ、こ
れらのうちいくつかは細胞壁に非常に強固に結合してい
るため、一般的に自己消化、ザイモリエース等の溶菌酵
素による細胞壁の分解、強アルカリ処理等によってしか
通常の増殖細胞の細胞壁より分離することができない。
これらの処理は通常の蛋白の分離方法とは異なり過激な
方法であり、分離過程での酵素活性の維持が困難であ
る。しかし、プロトプラストを用いる本方法により、上
記酵素蛋白の大量生産、分離操作過程中の酵素蛋白活性
維持が可能となる。すなわち分泌の障壁となり、蓄積を
限定する細胞壁の除去によりペリプラズム局在物質の蓄
積場所を制限のない細胞外培養溶液とし、大量生産を可
能にせしめ、さらには細胞壁局在物質の局在場所である
細胞壁を除去しているため、該細胞表層物質は培養溶液
中に濾洩するため、特殊な分離方法を用いずに容易にし
かも活性を維持したまま分離することが可能となる。
【0007】本発明に係る細胞表層物質を生産する酵母
については、Saccaharomyces属であり、
パン用酵母、ワイン用酵母、ビール酵母、酒用酵母等が
任意に用いられる。
【0008】本発明に係る細胞表層物質とは細胞壁にあ
るいは、細胞壁と細胞膜の間に存在するいわゆるペリプ
ラズム部分に存在する物質である。この細胞表層には例
えばインベルターゼ、酸性ホスファターゼ、L−アスパ
ラギナーゼ、グルカナーゼ、アミノペプチダーゼ、アリ
ル−β−グルコシダーゼ、プロテインジスルフィドリダ
クターゼ、エンドキチナーゼ、グルカナーゼ、α−ガラ
クトシダーゼ等の有用な酵素蛋白群が、多糖類としてグ
ルカン、マンナン等が、他にキチン質、脂質類等が局在
しており、これを効率的に産出することが望まれる。例
えば酵素蛋白群の一つであるインベルターゼは一般に食
品分野、化学分野で主に使用され、スクロース及びその
他のβ−D−フルクトフラノシドを加水分解して、スク
ロースをα−D−グルコースとβ−D−フルクトース
に、β−D−フルクトフラノシドを遊離β−D−フルク
トースに変換する。また酵母、糸状菌、細菌、植物等の
細胞中に広く存在ている。
【0009】本発明に係る酵母の細胞壁を除去してプロ
トプラスト化する方法は公知の情報に従えばよく、例を
挙げるなら酵母を高張力の希釈液に懸濁した後、溶菌酵
素であるグルスラーゼ又はザイモリエース等を添加して
反応させ、プロトプラスト化の進行を顕微鏡で確認す
る。
【0010】このようにして得られたプロトプラスト
を、一旦遠心分離等によって集めた後、緩衝液に懸濁し
必用に応じ固定化する。該固定化方法は本発明の特徴で
ある細胞表層物質中でインベルターゼ等の高分子物質の
生産に適した固定化用ゲルの検索・研究の結果、L−グ
ルロン酸ブロックの割合の高いアルギン酸ゲルを低濃度
で用いることにより高分子物質のゲル内透過及び培地へ
の生産が可能となった。又、インベルターゼ等の高分子
物質ではな〈、比較的低分子の物質の生産を目的とする
場合には、常法により活性のあるプロトプラストをPV
C片、多孔性ガラスビーズ等を用いる担体結合法、又は
アルギン酸カルシウム、k−カラギーナン等を用いる操
作の包括法等により保持固定化する。すなわち連続的に
細胞表層物質を生産する工程担う操作で工業的に耐え
得れば良く任意に用いることが可能である。
【0011】又上記方法の酵母を溶菌酵素を用いてプロ
トプラスト化した後、ゲル包括法等により固定化して細
胞表層物質の生産も可能であるが、固定化への操作中に
おいてプロトプラストへの浸透圧、温度による外部環境
からのストレスにより細胞の破壊、生理活性の失活の恐
れがある。それらストレス、ダメージの問題なく安定に
固定化プロトプラストの作成を行う必要性がある。そこ
で、本発明では懸濁酵母をアルギン酸ナトリウム又はk
−カラギーナンにより先ず固定化した後、プロトプラス
ト化する方法が望ましい。
【0012】次に、本発明では上記方法で得られたプロ
トプラストを、浸透圧調整物質として例えばマンニトー
ル、ソルビトール又は塩化カリウムを最終溶液濃度0.
6〜1.2Mの量で又、細胞壁合成阻害剤として抗生物
質が挙げられるが、細胞壁合成を阻害し、細胞表層物質
のアセンブリー又は局在化を妨げるのみで他の生合成系
を阻害しない物質であれば良く、例えばaculeac
inA、papulacandinB、echinoe
andinBが挙げられ任意の物質を添加した培養溶液
にて培養して細胞表層蛋白を生産しこれを採取する。培
養方法は静置にて行うことも可能であるが、本発明の特
徴である固定化プロトプラストを用いることにより、特
にプロトプラストで困難であった通気攪拌培養を行うこ
とで静置培養に比べ酸素の供給量及び培地からの栄養物
質の取り込み量が上昇し細胞表層物質の生産が活性化す
る。又通常の培養操作において培養溶液中に、簡便に効
率的に且つ連続的にインベルターゼを含む細胞表層物質
を生産、蓄積せしめ得る。
【0013】培地中に蓄積せしめた細胞表層物質の分離
精製方法は、常法により例えばカラム精製方法に従えば
良く、酵素蛋白の分子種が少数なので簡便に使用でき
る。
【0014】以下、本発明の実施例を示すが、それによ
って本発明が限定されるものではない。
【0015】
【実施例1】(1)菌体の調整 酒用酵母Saccharomyces cerevis
iae IFO 0309株を、YPD培地(イースト
エキス1.0%、ポリペプトン2.0%、グルコース
2.0%)を用いて以下の培養条件で培養した。
【0016】(培養条件) i)三角フラスコ(500ml容)に培地200mlで
培養 ii)培養温度:27〜32℃ 好適温度30℃ iii)攪拌速度:回転振盪機で80〜130回転/分、
好適値120回転/分 iv)培養時間:17時間
【0017】(2)プロトプラスト作成条件 培養終了後、培養溶液を7000gで10分間遠心分離
して集菌した。その菌体を、0.9Mマンニトールを含
む0.067Mリン酸緩衝液(pH7.5)で2回洗浄
した。0.9Mマンニトールを含む0.067Mリン酸
緩衝液(pH7.5)でO.D.(660nm)が0.
5になるように酵母懸濁溶液を調製した。次に溶菌酵素
のザイモリエース20T(最終溶液濃度3unit/m
l)と2−メルカプトエタノール(最終溶液濃度100
mM)を加え、30℃で90分間ゆっくりと振盪しなが
ら反応した。次に反応溶液を遠心分離(450g,15
min)して集菌した。プロトプラストを1.0Mマン
ニトール溶液にて2回洗浄後、同溶液に懸濁した。
【0018】(3)滅菌済み培養溶液(イーストエキス
1.0%、ポリペプトン2.0%、グルコース0.1
%、マンニトール0.85M(プロトプラストの培養溶
液のみに添加)、pH5.7)を用いて200mlの入
った500ml容三角フラスコを2個用意し、各々に上
記方法で調整したプロトプラストと未処理の懸濁酵母を
各々5.1×108細胞量植菌した。該懸濁酵母とプロ
トプラストを各々30℃で24時間静置培養した。培養
に当りいずれもインベルターゼ生成抑制のかからない程
度にグルコースを低く維持するよう6時間おきに最終溶
液濃度1g/L以下の量を添加した。
【0019】(4)細胞表層物質の分離 各々培養後の培養溶液中の細胞表層物質の分離は、遠心
分離装置を用いてプロトプラスト、懸濁酵母とを除いた
細胞表層物質を含む培養溶液として分離した。
【0020】細胞表層物質の生産量の指標として、イン
ベルターゼ活性を用いて評価することとした。菌体内イ
ンベルターゼ活性は、懸濁細胞についてはザイモリエー
ス20Tを用いた上記(2)の手順によりプロトプラス
トを作成した。該プロトプラストと、培養に用いたプロ
トプラストとを各々ソニックにて菌体破壊を行った後、
遠心分離し上澄みの溶液を下記インベルターゼ活性測定
方法により測定した。
【0021】(5)インベルターゼ測定方法 測定方法は以後断わらない限り本方法で行った。Gol
dstein,A.,Lampen,J,O.Met
h.Enzymol.42:504−511(197
5)の文献の方法に準じて行った。0.5Mシュークロ
ース溶液25μl、0.2M酢酸ナトリウム緩衝溶液
(pH4.9)50μl、酵素溶液20μl、を30℃
で10分間反応した。0.5Mリン酸緩衝溶液(pH
7.0)を加え、沸騰湯浴中で3分間加熱し酵素反応を
停止した後、室温まで冷却する。測定試薬グルコースC
II−テストワコー(和光純薬製)により遊離したグル
コース量を定量する。
【0022】コントロールとして上記の酵素溶液を蒸留
水と置き換えたものと、シュークロース溶液を蒸留水と
置き換えたものを用いた。
【0023】1unitは上記の反応条件で、シューク
ロースから1分間に1μmolのグルコースを遊離する
酵素の量と定義した。
【0024】第1図(イ)及び(ロ)は、懸濁酵母
(イ)とプロトプラスト(ロ)を各々固定化せず静置培
養し、培養経時変化における細胞量及び培地中のインベ
ルターゼ生成量の差異を示す。
【0025】第1図(イ)及び(ロ)で明確な通り、
(ロ)のプロトプラストは増殖を見せないにも関わらず
培養溶液中のインベルターゼ活性は培養終了24時間目
で約3倍の又培養中も明らかな差異を示した。
【0026】
【表1】
【0027】又、上記第1表は培養終了後における各々
細胞内外のインベルターゼ比活性を示す。培養条件は図
1とほぼ同様であるが、グルコースの添加を4時間毎に
行った。
【0028】第1表によりインベルターゼ比活性は細胞
外量で約50倍、総生産量で約10倍と多い。この事に
より、菌体内蓄積物の細胞表層物質生産方法について、
本発明のプロトプラストの使用が優れていることが確認
された。
【0029】
【実施例2】 (6)固定化 次にプロトプラストをゲル包括法により固定化し培養し
た。実施例1の条件にて調整した1.0Mマンニトール
に懸濁したプロトプラストを1.0Mマンニトールを含
む1%アルギン酸ナトリウム溶液に適量加え、緩やかに
攪拌した。次に該溶液をペリスタポンプにより0.8M
マンニトールを含む0.1M塩化カルシウム溶液に滴下
してゲル化させた後、1時間放置しゲルを硬化した。該
固定化プロトプラストを培養溶液にて1回洗浄した。
【0030】(7)固定化後の培養方法 上記方法にて得られた固定化プロトプラスト(5.1×
108細胞量)を滅菌済み200ml培養溶液(実施例
1(3)の培地組成)の入った500ml容の三角フラ
スコに植菌し、30℃で24時間振盪培養を行った。イ
ンベルターゼ生成抑制のかからない程度にグルコースを
低く維持するよう3時間おきに最終溶液濃度1g/Lを
添加した。培養経時変化を測定するため培養溶液を取り
出して生成したインベルターゼ活性を測定した。
【0031】固定化したプロトプラストによるインベル
ターゼの生産量を第2図に示す。
【0032】プロトプラストの植菌濃度の違いによるイ
ンベルターゼ生産量の差異を第3図に示す。
【0033】
【実施例3】 (8)長時間培養法 上記実施例1及び2の方法にて得られた固定化プロトプ
ラスト(5.5×10 8細胞量)を、実施例1(3)の
培地組成にアクレアシンAを最終溶液濃度0.5μg/
Lになるよう添加した滅菌済み200ml培養溶液の入
った500ml容の三角フラスコに植菌した。インベル
ターゼ生成抑制のかからない程度にグルコースを低く維
持するよう4時間おきに又36時間以降は6時間おきに
最終溶液濃度1g/Lを添加した。更に細胞壁合成阻害
剤(アクレアシンA)を反応開始24時間毎に最終溶液
濃度が0.5μg/Lになるよう添加し、30℃で54
時間振盪培養した。培養経時変化を測定するため培養溶
液を取り出して生成したインベルターゼ活性を測定し
た。
【0034】長時間培養によるインベルターゼ生産量の
傾向を第4図に示す。培養時間経過に伴いインベルター
ゼは直線的に生産され、更に細胞壁合成阻害酵素を添加
することにより長時間培養に堪えうることが確認され
た。
【0035】
【実施例4】上記実施例1方法にて得られたプロトプラ
ストと懸濁酵母(5.0×108細胞量)を滅菌済み2
00ml培養溶液(実施例1(3)の培地組成)の入っ
た500ml容の三角フラスコを2個用意し各々植菌し
た。インベルターゼ生成抑制のかからない程度にグルコ
ースを低く維持するよう4時間おきに最終溶液濃度1g
/Lを添加した。30℃で24時間振盪培養した。培養
終了後、培養溶液を取り出して各酵素蛋白活性を測定し
た。
【0036】(9)酸性フォスファターゼ測定方法 Toh−eらの方法に準じて行った。適当量の酵母培養
溶液を遠心分離(3000rpm,5分間;久保田Mo
del KN−80)して菌体を除き、無菌水で一度洗
浄後、培養溶液を適当量の無菌水に懸濁して酵素溶液と
した。1M酢酸緩衝液(pH4.0)0.05ml、無
菌水0.55ml、p−ニトロフェニルリン酸ナトリウ
ム液(3.2mg/ml)0.2ml、酵素溶液0.2
mlを混合し、35℃で10分間反応させた。10%T
CAを1ml加えて反応を停止させた後、飽和炭酸ナト
リウム(20g/70ml)2ml加えて良く混合し、
遠心分離(3000rpm,5分間)し、上清溶液のA
420値を測定した。1分間に1μmolのp−ニトロフ
ェノールを遊離させる酵素量を1unitとし、p−ニ
トロフェノールのモル吸光係数を1.6×10-2として
計算した。
【0037】
【表2】
【0038】第2表は培養終了後における培養溶液中の
細胞表層物質の一部の酵素蛋白活性を測定した結果を示
す。
【0039】プロトプラストにより酸性フォスファター
ゼの培養溶液中への生産は、懸濁酵母と比較し約14倍
の差異があり、インベルターゼだけでなく本方法を用い
ることにより簡便に培養溶液中への生産が可能であるこ
とが確認された。
【0040】
【実施例5】パン酵母(オリエンタル酵母工業株式会社
製)を用い、実施例1の(2)〜(5)に準じ細胞表層
物質の生産を行ったところ、第5図に示す通り培養溶液
中に多量のインベルターゼの産出が確認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように特定の菌株に限定す
ることなく、固定化プロトプラストを培養することによ
り、本来ストレス、物理的刺激に弱いはずのプロトプラ
ストから、細胞表層物質を培養溶液中へ連続的に且つ効
率的に生産することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図(イ)は懸濁酵母細胞の静置培養におけ
る培養溶液中のインベルターゼ活性と該酵母の増殖関係
を示し、(ロ)はプロトプラストの静置培養における培
養溶液中のインベルターゼ活性と該細胞の増殖関係を示
す。
【図2】固定化プロトプラストの振盪培養による培養溶
液中のインベルターゼ活性を示す。
【図3】固定化プロトプラストの振盪培養による培養溶
液中のインベルターゼ生産におよぼす植菌濃度の影響を
示す。
【図4】固定化プロトプラストの長時間培養によるイン
ベルターゼ生産を示す。
【図5】パン酵母プロトプラストの静置培養における培
養溶液中のインベルターゼ活性を示す。 整理番号OYC020
【表1】 第1表 懸濁細胞及びプロトプラストの 静置培養におけるインベルターゼ比活性 ────────────────────────────────── インベルターゼ比活性 (units / cell) ───────────────────────── 所在 懸濁細胞 プロトプラスト ────────────────────────────────── 細胞外 3.37×10-8 1.51×10-6 細胞内 1.30×10-7 7.77×10-8 合計 1.34×10-7 1.59×10-6 ──────────────────────────────────
【表2】 第2表 懸濁細胞及びプロトプラストの 静置培養における酵素蛋白の比活性 ──────────────────────────────────── 酵素蛋白 懸濁細胞 プロトプラスト ──────────────────────────────────── 蛋白濃度(mg/cell) 4.7×10-11 1.3×10-9 インベルターゼ(unit/cell) 2.5×10-10 8.9×10-9 酸性フォスファターゼ(unit/cell) 3.7×10-9 5.2×10-8 ────────────────────────────────────
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/16 (C12N 1/16 C12R 1:85) C12R 1:85) (56)参考文献 特開 昭57−144989(JP,A) 特開 昭61−104781(JP,A) 特開 昭62−181775(JP,A) 特開 平5−68554(JP,A) J.Gen.Microbiol. (1987),Vol.133,pp.2315− 2325 Arch.Microbiol. (1986),Vol.146,No.3,p p.214−220 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 - 15/90 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Saccharomyces属の酵母の細胞壁を除去
    して得られたプロトプラストを、アルギン酸ナトリウム
    を低濃度で用いた包括法により固定化した後、得られた
    固定化プロトプラストを細胞壁合成阻害剤を添加した培
    養溶液中で培養し、培養溶液中に細胞表層物質である酵
    素蛋白を産出することを特徴とする酵母細胞表層物質の
    生産方法。
  2. 【請求項2】 Saccharomyces属の酵母をアルギン酸ナ
    トリウムを低濃度で用いて包括法で固定化した後、該固
    定化酵母の細胞壁を除去して得られた固定化プロトプラ
    ストを、細胞壁合成阻害剤を添加した培養溶液中で培養
    し、培養溶液中に細胞表層物質である酵素蛋白を産出す
    ることを特徴とする酵母細胞表層物質の生産方法。
  3. 【請求項3】 前記細胞壁合成阻害剤がaculeacinA,pa
    pulacandinB,echinoeandinBの1種又は2種以上である
    ことを特徴とする請求項1〜2に記載の酵母細胞表層物
    質の生産方法。
  4. 【請求項4】 前記酵素蛋白がインベルターゼ又は酸性
    フォスファターゼであることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の酵母細胞表層物質の生産方法。
JP26811694A 1994-10-07 1994-10-07 酵母プロトプラストによる細胞表層物質の生産方法 Expired - Fee Related JP3220839B2 (ja)

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