JP3220315B2 - 被覆部材 - Google Patents

被覆部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面平滑性が要求され
る加工用治具、反射鏡などに適したセラミック膜を被覆
した被覆部材に関する。
【0002】
【従来技術】セラミックは、高強度、耐摩耗性などの優
れた特性から各種の応用が進められているが、その中
で、セラミックスを気相合成法、例えば化学気相成長法
や物理的気相成長法などにより所定の基体に被覆し、表
面特性がセラミック特性を有する被覆部材が知られてい
る。
【0003】例えば、化学気相成長法により形成した炭
化珪素膜は、緻密質でボイドがなく、高い平滑性を有す
る超平滑面が得られる。その表面粗さは表面形状にもよ
るが、非球面、球面、平面の順により平滑な面が得ら
れ、非球面では100Å以下、平面では10Å以下の面
粗さが得られることも報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
先行技術に基づき、各種の実験を行ったところ、配向し
た膜であっても研磨加工により最終的に形成される膜の
表面粗さにばらつきがあり、中には高い表面平滑性が得
られない膜があり、再現性に乏しいことがわかった。こ
れは、膜の配向が必ずしも表面平滑性に寄与していない
ことを意味している。従って、従来の方法では、表面平
滑性に優れた被覆部材を安定して得ることが困難であ
り、製造時の歩留りが低いなどの問題が生じていた。
【0005】よって、本発明は、再現よく安定して製造
できる表面平滑に優れた高品質なセラミック膜を被覆し
た被覆部材を提供することを目的とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点に対して同様な配向性を有しながらも表面粗さが異
なるものについて、膜の組織と面粗さとの関係を調査し
た結果、膜の表面粗さが結晶組織に大きく依存するとい
う新規知見を得、これに基づき最適な結晶組織について
検討を重ねたところ、結晶の組織上、結晶の成長方向が
基体表面に垂直な方向に近似した膜ほど、研磨加工した
時に高い表面平滑性が達成できることを見出し、本発明
に至った。
【0007】即ち、本発明の被覆部材は、所定の基体表
面に窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、硼化チタン
のうちの1種からなるセラミック膜を被覆してなるもの
であり、被覆されたセラミック膜がX線回折に基づき特
定の結晶配向膜からなるとともに、その結晶の成長方向
が基体表面に垂直な方向に対して平行であり、傾きがあ
っても30度以下であることを特徴とするものであり、
特に前記セラミック膜の表面が研磨加工され、その表面
粗さ(Rmax)が100Å以下であることが好まし
い。
【0008】以下、本発明を詳述する。本発明におい
て、基体の表面に形成されるセラミック膜は、まずX線
回折測定において特定の結晶面が観察される、いわゆる
結晶配向膜からなるもので、その検出される結晶面は単
一であっても複数であってもよい。例えば、窒化アルミ
ニウムの場合には(002)、(103)、(100)
等が、酸化アルミニウムの場合には(002)、(10
3)、(100)等が、さらに硼化チタンの場合には
(101)、(100)などが検出される。
【0009】このようなX線回折測定において結晶の配
向が観察される膜においては、配向膜でも基体表面に垂
直な方向に対して大きな傾きを持つことがあり、このよ
うな大きな傾きを有する膜では結果的に高い平滑性を得
ることができない。
【0010】本発明によれば、上記セラミック膜におい
て、その結晶の成長方向が基体表面に垂直な方向に対し
て平行であり、傾きがあっても30度以下であることが
重要である。本発明者らの実験によれば、この傾きが大
きいほど、膜表面を研磨加工した時の表面粗さが大きく
なる傾向にあり、特にその傾きが30度を越えると大き
くなる傾向にあることがわかった。この傾きは20度以
下、特に10度以下であることが望ましい。
【0011】これに基づき、本発明におけるセラミック
膜は、研磨加工により表面粗さ(Rmax)が100Å
以下の優れた表面平滑性を得ることができ、例えば半径
20mmの曲面研磨においても表面粗さ100Å以下、
場合によっては50Å以下が達成でき、平面研磨におい
て10Å以下、特に5Å以下が達成できる。
【0012】なお、本発明において形成されるセラミッ
ク膜は、AlN、Al23、TiB2が原料も取扱が容
易で、成膜速度も速く、また得られた膜の特性も硬度が
高く、ヤング率が高く、100Å以下の超平滑面を得る
ためには重要である。
【0013】一方、基体としては形成するセラミック膜
種により適宜選択することができ、熱膨張の点で近似す
るものがよく、セラミック膜と同種の焼結体やそれと熱
膨張特性が近似する他のセラミック材料や金属などが採
用できる。
【0014】本発明の被覆部材を製造する方法として
は、イオンプレーテングなどのPVD法でも、プラズマ
CVD、光CVD、熱CVD、MO(Metal−Or
ganic )CVDなどのCVD法でもよい。ただ
し、本発明によれば、形成するセラミック膜が特定の配
向膜であるとともに結晶の成長方法が基体に対して垂直
であることが必要である。配向膜は一般的な製法におい
て、膜の成長速度を比較的遅くし非晶質化しないレベル
で成膜すればよいことから、原料ガスの濃度などにより
適宜調整することが可能である。
【0015】また、気相成長法によるセラミック膜の形
成においては、セラミックの結晶は基体表面から空間に
向かって成長していくが、成膜初期の核密度が少ないと
3次元的に成長が起こり、結晶の一部は基体表面に垂直
な方向に対して大きな傾きをもって成長することとな
る。一方、核密度が高いと結晶は基体表面に垂直な方向
に成長し、成長方向がそろったものとなる。従って、結
晶の成長方向は、成膜過程での一次結晶粒子の成長方向
を制御すればよい。具体的には、成膜初期において、気
相反応の反応種となる原子を含んだガスを多く導入しさ
らに高い温度で活性化することにより核発生密度を高め
ることができる。
【0016】また、本発明によれば、上記のようにして
成膜した膜に対して研磨加工し、超平滑面を再現性良く
安定して製造することができる。具体的な研磨方法とし
ては、ダイヤモンド等の砥粒を使用して定盤で研磨を行
えばよい。
【0017】上記のようにして得られる超平滑面を有す
る被覆部材は、超平滑面が要求される反射鏡、成形用金
型、摺動部材、スライダーヘッドなど各種の用途に適用
される。
【0018】
【作用】気相成長法により形成されたセラミック膜に対
して、X線回折による膜の結晶配向と結晶の成長方向を
調べた結果、後述する実施例から明らかなように直接的
な関連はなく、X線回折測定で高配向膜であっても得ら
れる表面粗さが小さくなるとは言い切れない。つまり、
成膜過程において、初期の段階で一次結晶粒子の成長方
向がそろっていないと二次粒子の中心部と周囲部とでは
成長方向に大きな差が出る。これを研磨すると中心部と
周囲部での研磨される結晶面が異なり、面の方向によっ
て硬度が異なるために中央部が周囲部に比べて研磨され
やすい、または研磨されにくいという現象が起こって最
終的に面粗さが悪くなってしまうのである。
【0019】本発明によれば、膜の成長方向を全体的に
基体表面に対して垂直な方向に制御することにより、研
磨特性を均一化できることから、最終的に超平滑面を得
ることができるのである。特に、成長時の傾きが最大で
30度を越えると面粗さが急激に大きくなるので、成長
方向が最大で30度以下に設定した。
【0020】これに基づき、本発明の被覆部材は、セラ
ミック膜の研磨加工により100Å以下の表面粗さを有
する優れた表面平滑性を得ることができる。
【0021】
【実施例】実施例1 窒化アルミニウム焼結体を用いて、プラズマCVD法に
より窒化アルミニウムを形成した。反応ガスには塩化ア
ルミニウムと窒素およびアンモニアを使用し、塩化アル
ミニウム:窒素:アンモニアを1:80:8の比率で総
ガス流量5SLMにて基体温度850℃で100tor
rの減圧下で成膜を行った。なお、成膜初期において、
塩化アルミニウムを上記比率で1〜3まで変化させて1
0分間成膜し結晶成長の最大傾きの異なる厚み約0.3
mmの数種の膜を作製した。なお、研磨加工は平面研磨
のみ行った。
【0022】得られた膜に対して、結晶膜の最大傾き
は、膜の破断面から顕微鏡写真により観察される組織
中、傾きが最も大きいものを示した。また、結晶の配向
性についてはX線回折測定を行うとともに、膜に対して
ダイヤモンド砥粒により研磨処理を行い、平面研磨と曲
率半径20mmの曲面研磨を行った。そして、研磨後の
膜表面を表面粗さRmaxを測定した。結果を表1に示
した。また、表中、試料No.3(本発明品)と、試料
No.4(本発明範囲外)につき、顕微鏡写真による結
晶組織の模写図を示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1の結果によると、X線回折による配向
性を調べたところ、試料No.1、2は(002)のみ
の回折線が得られ、試料No.3、4は(002)、
(103)の回折線が得られた。さらに、試料No.5
は(100)、(101)、(102)、(002)、
(110)、(103)、(112)の回折線が得られ
た。また、塩化アルミニウムの比率を2〜3まで高めた
場合に最大傾きが30度以下となる傾向にあった。
【0025】実施例2 酸化アルミニウム焼結体を基体とし、イオンプレーティ
ング法によって蒸発源として金属アルミニウムを用い、
反応炉内にアンモニアおよび窒素の混合ガスを導入し、
酸化アルミニウムを形成した。なお、成膜初期におい
て、蒸発源の加熱温度を変化させて成膜角度を変え、膜
厚約0.1mmの膜を得、実施例1と同様な方法で評価
を行い、結果を表2に示した。成膜初期において蒸発源
の加熱温度を高く設定するほど最大傾きが小さくなる傾
向にあった。
【0026】
【表2】
【0027】実施例3 硼化チタン焼結体を基体とし、CVD法によって硼化チ
タン膜を形成した。反応ガスには塩化チタンと塩化硼素
と水素を使用し、これらを1:1:20の比率で、総ガ
ス量10SLMの流量で、基体温度1300〜1500
℃で10〜300torrの減圧下で約0.15mmの
膜を作製した。なお、成膜初期において、塩化チタンと
塩化硼素を水素20に対して2〜5で変化させて結晶の
成長の傾きが異なる数種の膜を得た。得られた被覆部材
に対して実施例1と同様な方法で評価を行い、結果を表
3に示した。成膜初期において、塩化チタンと塩化硼素
量を4〜5に設定した膜はいずれも最大傾きが30度以
下であった。
【0028】
【表3】
【0029】表2、3から明らかなように、いずれの膜
種においても結晶成長の最大傾きが30度を越える試料
No.9、14については、最終的な膜表面の面粗さが
大きいものであったが、これら以外の本発明品について
はいずれも超平滑面が得られた。
【0030】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のセラミッ
ク被覆部材は、従来の被覆部材に比べて超平滑面が再現
性良く安定して製造することができ、実用性に富む被覆
部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1中、試料No.3(本発明品)の顕微
鏡写真による結晶組織の模写図である。
【図2】実施例1中、試料No.4(比較品)の顕微鏡
写真による結晶組織の模写図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 16/40 C23C 16/40 C30B 25/02 C30B 25/02 Z (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C23C 14/00 - 14/58 C30B 23/00 - 25/22 C04B 35/00 - 35/84 INSPEC(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の基体表面に窒化アルミニウム、酸化
    アルミニウム、硼化チタンのうちの1種からなるセラミ
    ック膜を被覆してなる被覆部材において、前記セラミッ
    ク膜がX線回折に基づく結晶配向膜からなるとともに、
    該結晶の成長方向の前記基体表面に垂直な方向に対する
    最大傾きが30度以下であることを特徴とする被覆部
    材。
  2. 【請求項2】前記セラミック膜の表面が研磨加工され、
    その表面粗さ(Rmax)が100Å以下であることを
    特徴とする請求項1記載の被覆部材。
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