JP3219914B2 - 耐ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉末 - Google Patents

耐ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉末

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JP3219914B2
JP3219914B2 JP23596993A JP23596993A JP3219914B2 JP 3219914 B2 JP3219914 B2 JP 3219914B2 JP 23596993 A JP23596993 A JP 23596993A JP 23596993 A JP23596993 A JP 23596993A JP 3219914 B2 JP3219914 B2 JP 3219914B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉末状のエマルジョンに
関する。該粉末状エマルジョンは耐ブロッキング性が優
れており、再乳化性も良好でセメント等の混和剤として
非常に有用である。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂エマルジョン粉末は、合成樹脂
水性エマルジョンに比べ、現場における調合が容易で取
扱性や作業性に優れていること、正確な調合が可能であ
ること、他の粉末と混合しやすいことなどの理由で、セ
メント系や石膏系組成物の混和剤、塗料あるいは、各種
接着剤の成分などとして用いられている。合成樹脂エマ
ルジョン粉末は、再乳化させ室温で使用するため合成樹
脂のガラス転移点が20℃以下でなければならないが、
このような合成樹脂は軟らかいためエマルジョン粉末が
互いに粘結しやすい性質を有する。そのため合成樹脂エ
マルジョン粉末の製造時あるいは、貯蔵保管中に粉末粒
子同士が粘結しブロッキングしてしまうという問題があ
った。従来ブロッキングを防止する手段として、シリ
カ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウムなどの平均粒子
径0.01〜0.5μmの無機微粉末を合成樹脂エマル
ジョン粉末の製造時に添加することにより形成された合
成樹脂粉末粒子を無機微粉末で被覆する方法が知られて
いる。(特公昭55−50971、特公昭46−129
07)ところが、ブロッキング防止剤として無機微粉末
は、合成樹脂に対して3〜30重量%もの多量を使用し
なければ充分な効果を得られず、多量の混入はセメント
系混和剤において、無機微粉末の吸水に起因する水/セ
メント比が増加し、最終強度がもとの合成樹脂水性エマ
ルジョンに比べ劣るという欠点があった。また、製造
時、具体的には、噴霧乾燥前後に無機微粒子で被覆する
場合、エマルジョン粒子を一次粒子の状態で被覆してい
ないため、特に粘結の著しい、ガラス転移点が−40℃
以下の合成樹脂水性エマルジョンの粉末化は、ブロッキ
ングの問題により困難であった。(特開平4−2557
60) 本発明者は、特開昭62−213839号発明を完成
し、液状でエマルジョン粒子を無機粉末で被覆し無機粉
末とエマルジョンの均一な混合物を得、これにより、均
一な高分子物の分散液を提供した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は必要最少量の
無機粉末で表面を被覆し、ブロッキングを防止するとと
もに再乳化したエマルジョンの性能を元のエマルジョン
とほぼ同様とすることの出来るエマルジョン粉末を提供
するものである。
【0004】
【課題を解決した手段】本発明は、 「1. (A)粒子表面に正または負の電荷を持たせた
合成樹脂水性エマルジョン粒子と(B)エマルジョン粒
子と反対の電荷を持たせたエマルジョン粒子の平均半径
の1/2以下の平均半径を有する、無機微粒子の分散液
を、次の式 (但し、aはエマルジョン粒子の平均半径、bは無機粒
子の平均半径、Rは無機粉末の粒子数/エマルジョン粒
子数である。)を満足する比率で混合し、(C)該混合
物を噴霧乾燥して得た、エマルジョン粉末表面を無機粉
末で被った、耐ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉
末。 2. (A)の電荷を持った合成樹脂エマルジョンが、
カチオン性またはアニオン性単量体、正または負の末端
を与える重合開始剤およびカチオン性またはアニオン性
の重合性乳化剤のいずれかから選んだ1または2以上を
用いて乳化重合して得た、エマルジョンである、1項に
記載された耐ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉
末。 3. カチオン性単量体またはアニオン性単量体を非イ
オン性単量体100重量部に対し0.01重量部以上使
用して乳化重合した、1項に記載された耐ブロッキング
性合成樹脂エマルジョン粉末。 4. 正または負の末端を与える重合開始剤を、重合性
単量体100重量部に対して0.01〜20重量部用い
て乳化重合した、1項に記載された耐ブロッキング性合
成樹脂エマルジョン粉末。 5. (B)の電荷を持った無機粉微粒子が、水性分散
液に酸またはアルカリを加えpHを調整することにより
電荷を調整した無機粉末である、1項ないし4項のいず
れか1項に記載された耐ブロッキング性合成樹脂エマル
ジョン粉末。 6. 合成樹脂エマルジョンがガラス転移点20℃以下
の合成樹脂エマルジョンである、1項ないし5項のいず
れか1項に記載された耐ブロッキング性合成樹脂エマル
ジョン粉末。」に関する。
【0005】
【作用】本発明は、粉末粒子表面に均一に無機微粉末を
被覆した合成樹脂エマルジョン粉末に関するが、このよ
うなエマルジョン粉末に関する本発明にはいくつかの特
徴がある。
【0006】本発明の第1の特徴は、粒子表面に電荷を
持たせた合成樹脂水性エマルジョンと、反対の電荷を持
った無機微粉末の水性分散液を混合して、エマルジョン
粒子表面に無機微粉末を電気的に吸着させて被覆するこ
とである。電気的に吸着させるので、無機粒子の付着し
ていない面に他の無機粒子が付着しエマルジョン粒子表
面に均一に無機粒子が被覆される。
【0007】本発明の第2の特徴は、無機微粉末の粒子
の平均半径はエマルジョン粒子の平均半径の1/2以下
であることである。被覆されるエマルジョン粒子の半径
aが被覆する無機粒子の半径bの2倍より大きいことが
必要である。両粒子の粒子径比a/bが2以内では、個
々のエマルジョン粒子が無機粒子で均一に被覆した複合
体は得られず、大きな凝集体を形成するためである。
【0008】本発明の第3の特徴は、混合するエマルジ
ョン粒子と無機粒子の数の比率を特別の範囲としたこと
である。均一に被覆するための最も大切な要件は、無機
粒子とエマルジョン粒子の粒子数の比、すなわちシェル
形成用粒子の数をコア粒子の数で割った粒子数比(R)
が次式を満足することである。 (R)>N×0.5 N:合成樹脂エマルジョン粒子1ケの表面を最密に被覆
するに要する無機粒子の数
【0009】P:合成樹脂エマルジョン粒子1ケの表面
に、無機粒子が被覆したときの表面積=半径(a+b)
の球面=4π(a+b) このPは、エマルジョン粒子の半径と被覆した無機粒子
の半径を加えた長さを半径とした球面表面積、つまりエ
マルジョン粒子表面に最密充填状態で被覆した無機粒子
の互いの接点を結んだ球面の表面積を表わす。
【0010】Q:無機粒子が合成樹脂エマルジョン粒子
の表面を最密に被覆したときの無機粒 (a=合成樹脂エマルジョン粒子の平均半径、b=無機
粒子の平均半径)}Qは、エマルジョン粒子の表面を最
密充填状態で被覆した無機粒子1ケ当りの粒子間のすき
間を含んで占める表面を表わしている。つまり、エマル
ジョン粒子表面を最密充填状態で被覆した無機粒子の互
いに接触している任意の3ケA、B、Cをとり、夫々の
粒子の中心を通る面で切断した切断面の隣り合う2ケの
粒子A、Bの中心を結ぶ線と、切断面においてこの2ケ
の粒子に接触する他の粒子Cとの接点から、前述の2ケ
の粒子の中心を結ぶ線と、C粒子の中心を通る直線によ
り囲まれる面積のことである。この面積は、A、B粒子
の中心を結ぶ距離b+b=2bと、C粒子と他の粒子 なおC粒子と他の粒子の接点とAまたはB粒子の距離
は、C粒子とA粒子の中心距離が2bでありC粒子の中
心を通る直線との角度が60°であるから2bsin6
0゜となる。
【0011】Nは、無機粒子が最密被覆の際、1ヶ当た
りの方形の面積が、その方形が位置する球面(半径a+
b)の表面にいくつあるかである。本発明に於て、均一
に被覆するということは最密に被覆する必要はなく、偏
りなく、平均的に被覆していることが大切である。その
ためには(R)はNの50%以上、好ましくは70%以
上でなければならない。(R)がNの50%未満では、
露出部分が多くなりそのため大きい凝集体を形成するこ
とになる。すなわち、露出している合成樹脂エマルジョ
ン粒子の負のイオン性により疎らに被覆した正の粒子を
介して他の合成樹脂エマルジョン粒子が密着し、凝集し
て大きい凝集体となる。(R)の上限はとくに制限はな
いが、余分の無機粒子はいたずらに浮游しているだけで
あるから、実用的には150%程度が適当である。
【0012】本発明の第4の特徴は、このように特定の
エマルジョンと無機微粉末の水性分散液の混合物を噴霧
乾燥することである。前述の通り、液状で電荷を有する
合成樹脂エマルジョンと反対電荷を有する無機微粉末分
散液を混合してエマルジョン粒子を被覆することは本発
明が行ったが、単に電荷で結合した粉末は通常乾燥工程
で電荷が失われ、両者が分離するので、噴霧乾燥時にブ
ロッキングが発生すると考えられていたが、本発明者の
研究により特定の粒径の粒子を特定の数比で結合させか
つ乾燥中の熱により噴霧乾燥しても粒子の分離が発生し
ないことが解明され、本発明が完成された。
【0013】本発明で用いるエマルジョン粒子として
は、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、酢酸ビニルー
エチレンコポリマー、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸
エステルコポリマー、スチレン−(メタ)アクリル酸エ
ステルコポリマー、酢酸ビニル−ベオバ(シェル化学株
式会社製のビニルエステル)コポリマーなどの熱可塑性
樹脂粒子がある。これ等の合成樹脂粒子は、平均粒径
0.01〜50μmのものが適当である。合成樹脂エマ
ルジョンは再乳化させ室温で使用する点から、ガラス転
移点20℃以下のものが好ましい。
【0014】樹脂粒子の分散液は、乳化重合法や懸濁重
合法によって作ることができる。又、ポリマーを後乳化
することによっても作ることができる。このようにして
平均粒子径0.01〜50μmの範囲の樹脂粒子の分散
液が得られる。
【0015】得られる分散液は、組成や製法によって正
または負に荷電させることが出来る。荷電させる方法と
しては、カチオン性又はアニオン性単量体、および正又
は負のポリマー末端を与える重合開始剤、およびカチオ
ン性又はアニオン性の重合性乳化剤のいずれかを選択的
に単独又は併用して、必要により非イオン性単量体や他
の乳化剤とともにラジカル重合する方法が用いられる。
【0016】カチオン性単量体としては、例えばジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
メタクリレートなどがあげられ、アニオン性単量体とし
ては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等があげられ
る。これ等のイオン性単量体はそれぞれ単独で重合して
もよく、又他の非イオン性単量体と組合せて用いてもよ
い。イオン性単量体だけで荷電させるためには、非イオ
ン性単量体100重量部に対して、イオン性単量体0.
01重量部以上、ことに0.2重量部以上の使用が好ま
しい。0.01重量部未満では得られた粒子の帯電量が
不足し、本発明の目的に使用出来ない。
【0017】正のポリマー末端を与える重合開始剤とし
ては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩
酸塩等があげられる。負のポリマー末端を与える重合開
始剤としては、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム等があげられる。これ等の重合
開始剤は、ラジカル重合性単量体100重量部に対して
0.01〜20重量部、ことに0.2〜10重量部の使
用が好ましい。また、正又は負のポリマー末端を与えな
い重合開始剤、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロ
イル等を併用してもよい。
【0018】カチオン性の重合性乳化剤としては、アル
キルジメチルアンモニウムクロライドとアリルエーテル
化合物との合成化合物があり、アニオン性の重合性乳化
剤としては、アルキルアリルスルホサクシネートのアル
カリ塩や、ビニルスルホン酸のアルカリ塩等がある。勿
論他の乳化剤と併用してもよい。しかしながら、重合性
乳化剤を使用するか又は全く乳化剤を使用せずに重合し
た、所謂ソープフリー重合法で得られた乳化重合体は、
とくに均一に被覆された複合体粒子を作るために好適で
ある。
【0019】本発明で用いる無機質粒子としては、シリ
カ、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛などの金
属酸化物、炭酸カルシウム、蓚酸カルシウム、硫酸バリ
ウムなどの塩、水酸化マグネシウム等の水酸化物等が適
当である。しかして、これらの無機質粒子は、平均粒径
0.005〜25μmのものが適当である。無機質粒子
の分散液を作るには、前述の無機質物質を粉砕し、三本
ロール、ペブルミル、超音波分液などの公知の方法で水
又は含水した非水溶剤に分散させるか、又はコロイドゾ
ル合成法により合成すればよい。このようにして、粒子
径0.005〜25μmの範囲の無機質粒子の分散液が
得られる。
【0020】得られた分散液は無機物質の種類によって
正又は負に荷電しているが、pHを変えることによって
ζ電位が変わり、負又は正に変え調整することが出来
る。このような荷電は、水素イオン、水酸イオン、電位
決定イオン、又は高原子価を有する対イオンによっても
たらされる。
【0021】エマルジョン粒子と無機粉末の電荷の強さ
は、ζ電位として測定することができる。具体例とし
て、水酸化マグネシウムの分散液はpH0からpH約1
2で正に帯電しており、コロイドゾル合成法により合成
したコロイダルシリカは、pHが約3以下で正電荷、p
Hが約3以上で負電荷を示す。
【0022】本発明のエマルジョン粉末を製造する例を
示すと、例えば水に分散させた、平均粒子径0.02μ
mのコロイド状シリカ粒子のごとき無機質粒子を被覆す
る粒子として選び、酸を加え撹拌混合してpHを調整
し、負に帯電させる。次に、同一pHで正に帯電してい
る、例えば乳化重合した平均粒子径0.1μmのアクリ
ル系エマルジョンを被覆される粒子として選び、この場
合Nは130なので、この粒子数をエマルジョン粒子に
対して130×0.5=65以上になるように両方の分
散液を調整して混合し、緩やかに10分〜2時間撹拌す
れば合成樹脂エマルジョン粒子に無機粒子が極めて均一
に、かつ強固に付着し、合成樹脂エマルジョン粒子を無
機粒子で均一に被覆した分散液が得られる。両分散液を
混合する場合、硫酸カリウム、塩化マグネシウム、塩化
アルミニウムなどの無機電解質を添加すると、より均一
に、かつ緻密に被覆することが出来る。これは無機電解
質が無機粒子のシャドー効果を減少させるため被覆率の
増加をもたらすものと考えられる。こうして得られた混
合液を熱風中に噴霧して樹脂粉末とする。
【0023】
【実施例】
製造例1 撹拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を備えた容量2
Lの四ツ口フラスコ中に、水1512g、アクリルアミ
ド14g、ジメチルホルムアミド168g、塩化ナトリ
ウム4g、過硫酸カリウム6gを入れ、窒素置換後70
℃まで昇温し1時間重合反応を行った。ついでアクリル
酸ブチル165g、メタクリル酸メチル115gを添加
し70℃で4時間重合反応を行い次にジエチルアミノエ
チルメタクリレートを14g加え、さらに1時間重合反
応を行い平均粒子径1.3μmの合成樹脂エマルジョン
を得た。
【0024】製造例2 製造例1で用いた四ツ口フラスコ中に水1400gアク
リルアミド14gをジメチルホルムアミド168g、塩
化ナトリウム4g、V−50(和光純薬工業株式会社
製、2.2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸
塩)の5%水溶液120gを入れ、窒素置換後70℃ま
で昇温し1時間重合反応を行った。ついでアクリル酸ブ
チル142g、スチレン138gを添加し70℃で4時
間重合反応を行い次にジエチルアミノエチルメタクリレ
ートを14g加え、さらに1時間重合反応を行い平均粒
子径1.6μmの合成樹脂エマルジョンを得た。
【0025】製造例3 製造例1で用いた四ツ口フラスコ中に水1400gアク
リルアミド14gジメチルホルムアミド168g、塩化
ナトリウム4g、V−50(和光純薬工業株式会社製)
の5%水溶液120gを入れ、窒素置換後70℃まで昇
温し1時間重合反応を行った。ついで酢酸ビニル124
g、ベオバ10(シェル化学株式会社製のビニルエステ
ル)170gを添加し70℃で4時間重合反応を行い平
均粒子径1.1μmの合成樹脂エマルジョンを得た。
【0026】製造例4 製造例1で用いた四ツ口フラスコ中に水1300gアク
リルアミド14gをジメチルホルムアミド168g、塩
化ナトリウム4g、ラテムルK−180(花王石鹸株式
会社製のカチオン性重合性乳化剤)10g、V−50
(和光純薬工業株式会社製)の5%水溶液120gを入
れ、窒素置換後70℃まで昇温し1時間重合反応を行っ
た。ついでアクリル酸ブチル142g、スチレン138
gを添加し70℃で4時間重合反応を行い次にジエチル
アミノエチルメタクリレートを14g加え、さらに1時
間重合反応を行い平均粒子径0.4μmの合成樹脂エマ
ルジョンを得た。
【0027】製造例5 製造例1で用いた四ツ口フラスコ中に水1100g、過
硫酸カリウム1.7gを入れ窒素置換後75℃まで昇温
した。次いでメタクリル酸7gアクリル酸ブチル285
g。スチレン195gを添加し75℃で4時間重合反応
を行い平均粒子径0.7μmの合成樹脂エマルジョンを
得た。
【0028】実施例1 製造例1で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に平均粒子径0.015μmのスノーテ
ックスO(日産化学工業株式会社製のシリカゾル)の1
0%分散液をpH5に調整した。このスノーテックス分
散液は負に帯電していた。この分散液10gを前記の希
釈エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌して、
エマルジョン粒子がシリカゾル粒子で均一に被覆された
分散液を得た。このとき粒子数比RはNの約100%に
当る。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョン粒子
表面がシリカ粒子で充分均一に覆われていることが確認
された。この複合化された分散液を、噴霧乾燥雰囲気温
度100℃、堆積樹脂粒子温度60℃の条件で噴霧乾燥
して合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
【0029】実施例2 製造例2で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に平均粒子径0.015μmのスノーテ
ックスO(日産化学工業株式会社製のシリカゾル)の1
0%分散液をpH5に調整した。このスノーテックス分
散液は負に帯電していた。この分散液4.2gを前記の
希釈エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌し
て、エマルジョン粒子がシリカゾル粒子で均一に被覆さ
れた分散液を得た。このとき粒子数比RはNの約52%
に当る。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョン粒
子表面がシリカ粒子で充分均一に覆われていることが確
認された。この複合化された分散液を、噴霧乾燥雰囲気
温度100℃、堆積樹脂粒子温度60℃の条件で噴霧乾
燥して合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
【0030】実施例3 製造例3で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に平均粒子径0.015μmのスノーテ
ックスO(日産化学工業株式会社製のシリカゾル)の1
0%分散液をpH5に調整した。このスノーテックス分
散液は負に帯電していた。この分散液1gを前記の希釈
エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌して、エ
マルジョン粒子がシリカゾル粒子で均一に被覆された分
散液を得た。このとき粒子数比RはNの約83%に当
る。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョン粒子表
面がシリカ粒子で充分均一に覆われていることが確認さ
れた。この複合化された分散液を、噴霧乾燥雰囲気温度
100℃、堆積樹脂粒子温度60℃の条件で噴霧乾燥し
て合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
【0031】実施例4 製造例4で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に平均粒子径0.015μmのスノーテ
ックスO(日産化学工業株式会社製のシリカゾル)の1
0%分散液をpH5に調整した。このスノーテックス分
散液は負に帯電していた。この分散液5gを前記の希釈
エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌して、エ
マルジョン粒子がシリカゾル粒子で均一に被覆された分
散液を得た。このとき粒子数比RはNの約72%に当
る。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョン粒子表
面がシリカ粒子で充分均一に覆われていることが確認さ
れた。この複合化された分散液を、噴霧乾燥雰囲気温度
100℃、堆積樹脂粒子温度60℃の条件で噴霧乾燥し
て合成樹脂エマルジョン粉末を得た。
【0032】実施例5 製造例5で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを4に調整した。この希釈エマルジョンは負に帯
電していた。別に酸化チタンJR(帝国化工株式会社製
の平均粒子径0.3μmのルチル型酸化チタン)をボー
ルミルで水に分散させて5%の水性分散液をpH4に調
整した。このチタン分散液は正に帯電していた。この分
散液266gを前記の希釈エマルジョン100gに添加
し、緩やかに撹拌して、エマルジョン粒子がチタン粒子
で均一に被覆された分散液を得た。このとき粒子数比R
はNの約100%に当る。走査型電子顕微鏡で観察する
とエマルジョン粒子表面がシリカ粒子で充分均一に覆わ
れていることが確認された。この複合化された分散液
を、噴霧乾燥雰囲気温度100℃、堆積樹脂粒子温度6
0℃の条件で噴霧乾燥して合成樹脂エマルジョン粉末を
得た。
【0033】比較例1 製造例1で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に製造例1で用いた四ツ口フラスコ中に
水36.1g、28%アンモニア水280.4g、エタ
ノール793gを加えて撹拌した後、58.3gのオル
トケイ酸エチルを加え30分間撹拌した。ついで46
6.6gのオルト珪酸エチルを添加撹拌後、透析して固
形分19.2%、平均粒子径1.59μmのシリカコロ
イド水性分散液を得た。この分散液をpH5に調整した
ところ負の電荷であった。この分散液250gを前記の
希釈エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌した
が均一に被覆された分散液は得られず大きな凝集塊が生
成していた。このとき粒子半径比(a/b)は約0.8
で2倍以下であった。
【0034】比較例2 製造例5で得たエマルジョンを水で10%に希釈しアン
モニア水でpHを10に調整した。この希釈エマルジョ
ンは負に帯電していた。別に平均粒子径0.015μm
のスノーテックスO(日産化学工業株式会社製のシリカ
ゾル)の10%分散液をpH10に調整した。このスノ
ーテックス分散液は負に帯電していた。この分散液18
gを前記の希釈エマルジョン100gに添加し、緩やか
に撹拌した。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョ
ン粒子とシリカ粒子は複合化されず個々に分散している
ことが確認された。この混合分散液を、噴霧乾燥雰囲気
温度100℃、堆積樹脂粒子温度60℃の条件で噴霧乾
燥したところ、得られたものはブロック化していた。
【0035】比較例3 製造例1で得たエマルジョンを水で10%に希釈し塩酸
でpHを5に調整した。この希釈エマルジョンは正に帯
電していた。別に平均粒子径0.015μmのスノーテ
ックスO(日産化学工業株式会社製のシリカゾル)の1
0%分散液をpH5に調整した。このスノーテックス分
散液は負に帯電していた。この分散液30gを前記の希
釈エマルジョン100gに添加し、緩やかに撹拌して、
エマルジョン粒子がシリカゾル粒子で均一に被覆された
分散液を得た。このとき粒子数比RはNの約30%に当
る。走査型電子顕微鏡で観察するとエマルジョン粒子と
シリカ粒子とが凝集して大きい凝集塊が生成していた。
実施例と比較例の組成を表1に示し、その結果も併せて
示す。
【0036】
【表1】
【0037】〔註〕 *1 粉末の状態: 均一な粉末
が得られるかを観察した。 *2 耐ブロッキング性: 24時間50℃で200g
/cm負荷で貯蔵した後、容易に解粒するかを確認し
た。 のエマルジョンとなる。
【0038】
【発明の効果】本発明のエマルジョン粉末は良好な粉末
状態であり、耐ブロッキング性が著しく優れている。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)粒子表面に正または負の電荷を持
    たせた合成樹脂水性エマルジョン粒子と(B)エマルジ
    ョン粒子と反対の電荷を持たせたエマルジョン粒子の平
    均半径の1/2以下の平均半径を有する、無機微粒子の
    分散液を、次の式 (但し、aはエマルジョン粒子の平均半径、bは無機粒
    子の平均半径、Rは無機粉末の粒子数/エマルジョン粒
    子数である。)を満足する比率で混合し、(C)該混合
    物を噴霧乾燥して得た、エマルジョン粉末表面を無機粉
    末で被った、耐ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉
    末。
  2. 【請求項2】 (A)の電荷を持った合成樹脂エマルジ
    ョンが、カチオン性またはアニオン性単量体、正または
    負の末端を与える重合開始剤およびカチオン性またはア
    ニオン性の重合性乳化剤のいずれかから選んだ1または
    2以上を用いて乳化重合して得た、エマルジョンであ
    る、請求項1に記截された耐ブロッキング性合成樹脂エ
    マルジョン粉末。
  3. 【請求項3】 カチオン性単量体またはアニオン性単量
    体を非イオン性単量体100重量部に対し0.01重量
    部以上使用して乳化重合した、請求項1に記載された耐
    ブロッキング性合成樹脂エマルジョン粉末。
  4. 【請求項4】 正または負の末端を与える重合開始剤
    を、重合性単量体100重量部に対して0.01〜20
    重量部用いて乳化重合した、請求項1に記載された耐ブ
    ロッキング性合成樹脂エマルジョン粉末。
  5. 【請求項5】 (B)の電荷を持った無機粉微粒子が、
    水性分散液に酸またはアルカリを加えpHを調整するこ
    とにより電荷を調整した無機粉末である、請求項1ない
    し4のいずれか1項に記載された耐ブロッキング性合成
    樹脂エマルジョン粉末。
  6. 【請求項6】 合成樹脂エマルジョンがガラス転移点2
    0℃以下の合成樹脂エマルジョンである、請求項1ない
    し5のいずれか1項に記載された耐ブロッキング性合成
    樹脂エマルジョン粉末。
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