JP3215623B2 - 金車通過型短尺引留クランプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ジャンパ端子を外
して金車を通過可能とする金車通過型の引留クランプに
関する。

【０００２】

【従来の技術】図６〜９は従来の金車通過型引留クラン
プの典型例を示すもので、鋼クランプ１′（図８）、ア
ルミクランプ２′（図９，図１０）及びジャンパ端子
３′を、図６，図７のように組み立てて構成されるもの
で、架空送電線（ＡＣＳＲ等）の鋼線部分は、鋼クラン
プ１′の圧縮部１ａ′に挿入し該圧縮部の圧縮により把
持され、アルミ線部分は、アルミクランプ圧縮部２ａ′
に挿入され該アルミクランプ圧縮部の圧縮により把持さ
れ、これらは鋼クランプ波部１ｂ′の位置でアルミクラ
ンプ２′と圧縮一体化されて電線の機能（機械的、電気
的）を鉄塔に引き留めるようになっている。

【０００３】また、引き留められた電線からの分岐は、
ジャンパ端子３′を用いてアルミクランプ２′の電接部
２ｂ′に重ねられボルト４′締めされている。このジャ
ンパ線分岐部は、アルミクランプ２′と鋼クランプ１′
とジャンパ端子３′が貫通ボルト４′により締め付けら
れている。

【０００４】上記の金車通過型引留クランプは、概ね８
００〜１０００mm程度の亘長になっており、電線を延線
する場合には、鋼クランプ１′上にアルミクランプ２′
を圧縮して電線端部に把持させた状態で延線するが、延
線時に通過する吊り金車で曲げられないようにプロテク
タと呼ばれる保護具に収納されて延線されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】近年、延線工事の省力
化が検討されている。その中で、引留クランプの曲がり
防止のためプロテクタを装着する作業が厄介で長い時間
を費やしており、このプロテクタが省略できれば多大な
省力化が可能である。しかしながら、従来の引留クラン
プ；図６〜９では、全長が８００〜１０００mmと長いた
め、吊り金車を通過する時に大きな曲げ力が発生して引
留クランプが変形するため、どうしてもプロテクタの装
着が不可欠となっていた。

【０００６】そこで、本発明の解決すべき課題（目的）
は、吊り金車を通過しながら延線させる引留クランプに
おいて延線時にプロテクタ装着を不要にできる、金車通
過型短尺引留クランプを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明により提供する金
車通過型短尺引留クランプは、鋼クランプとアルミクラ
ンプとジャンパ端子とよりなり、ジャンパ端子をアルミ
クランプの電気的接触面設定部（以下、電接部とい
う。）にボルト締め圧接する構造の金車通過型の引留ク
ランプにおいて、当該アルミクランプの電接部を鋼クラ
ンプの圧縮部の上部に位置させると共に、鋼クランプの
電線側寄りの端部にのみ波部が設けられ該波部上にアル
ミクランプの圧縮部が被さるように位置させて全長を短
くしてなるものである。

【０００８】上記の金車通過型短尺引留クランプによれ
ば、アルミクランプの電接部が鋼クランプの圧縮部の長
さ分で良いため、当該アルミクランプの全長を短くして
電接部を形成できるようになる。

【０００９】前記の締め付けボルトは、アルミクランプ
の電接部に直交して且つ非貫通状態で通過させてなるこ
とにより、電接部しろを十分に確保することができる。
尚、電接部とは、ジャンパ端子と電気的に導通させるた
めに機械加工された面をいい、該面は一般に平坦にして
提供される。

【００１０】また、前記の鋼クランプは、圧縮部の電線
挿入側の端部においてアルミクランプを圧縮係止する波
部を設けてなることにより、クランプのより短尺化を可
能にする。尚、波部は、アルミクランプを圧縮締結させ
て引留クランプとして適用電線の全張力を受け持つ機械
的な結合部である。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１〜５は、本発明に係る金車通
過型短尺引留クランプの好ましい実施例を示すもので、
短尺鋼クランプ１（図３）と短尺アルミクランプ２（図
４，５）とジャンパ端子３とを組み合わせ（図１，２）
からなる。

【００１２】しかして、短尺鋼クランプ１は、図３に示
したように、鉄塔側の取り付け部となるアイ部（図面上
左端側）に連ねて圧縮部１ａを筒状にして伸長させ、こ
の圧縮部１ａの伸長端つまり鋼線挿入側（図面上右端
側）に筒状の波部１ｂを設けてなるものである。

【００１３】また、アルミクランプ２は、図４及び図５
に示したように、全体をスリーブ状にして、圧縮部２ａ
を主体にしてその電線挿入側と反対の側（図面上左側）
に電接部２ｂを設け、この電接部に直交してボルト通し
用の切り欠き２ｃを両面（図面上では上下の面）に形成
し、電接部２ｂに対してボルト非貫通としてなるもので
ある。

【００１４】上記のような短尺アルミクランプ２は、図
１に示すように、短尺鋼クランプ１上において、この短
尺鋼クランプ波部１ｂ上に短尺アルミクランプ圧縮部２
ａの一端（左端）側が被るようにして短尺アルミクラン
プ圧縮部２ａを圧縮することにより、短尺アルミクラン
プ２を短尺鋼クランプ１に圧縮係止させるとともに、短
尺アルミクランプ電接部２ｂが短尺鋼クランプ圧縮部１
ａ上に位置させてなるものである。このようにすること
によって、従来の金車通過型引留クランプよりも十分に
短尺の金車通過型引留クランプを実現することができ、
延いては、延線時にプロテクタを装着することなく金車
を通過して延線に供することが可能となったものであ
る。

【００１５】ジャンパ端子３は、そのクレビス状部分を
短尺アルミクランプ電接部２ｂを挟み込むようにセット
し、電接部２ｂの上下において当該クレビス状部分にボ
ルト４を通し（ボルト４は短尺アルミクランプ電接部上
下に直交する切り欠き２ｃに通過し）、このボルトの締
め付けにより短尺アルミクランプ２に電気的且つ機械的
に取り付けられるのである。

【００１６】尚、短尺鋼クランプの圧縮部上での短尺ア
ルミクランプは、圧縮部とならないので、当該短尺鋼ク
ランプの波部は圧縮部の先端つまり電線挿入端側にのみ
設けるものである。

【００１７】尚また、短尺鋼クランプ圧縮部への鋼線挿
入・圧縮及び、短尺アルミクランプ圧縮部へのアルミ線
挿入・圧縮は、これまでの引留クランプと同様の手順で
行われる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したような本発明の金車通過型
短尺引留クランプによれば、アルミクランプの電接部を
鋼クランプの圧縮部上に位置させることにより短尺化し
たことから、従来の金車通過型引留クランプでは必要不
可欠であった保護具；プロテクタの装着を不要にできる
まで短尺化され、延いては、延線工事の省力化及びコス
ト低減の効果を大ならしめるものである。従って、吊り
金車を通過しながら延線させる引留クランプにおいて延
線時にプロテクタ装着を不要にできる、金車通過型短尺
引留クランプを提供するという所期の課題（目的）を達
成することができる。

【００１９】さらに、本発明の金車通過型短尺引留クラ
ンプによれば、将来の工事作業者の減少に対応するため
に進められている、工場で電線の両端に引留クランプを
取り付けて出荷する、いわゆる完全プレハブ電線への進
展にも寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例にして、金車通過型引留クラン
プの正面図。

【図２】本発明の実施例にして、金車通過型引留クラン
プの左側面図。

【図３】本発明の実施例にして、金車通過型引留クラン
プにおける鋼クランプの正面図。

【図４】本発明の実施例にして、金車通過型引留クラン
プにおけるアルミクランプの正面図。

【図５】本発明の実施例にして、同上（図４）のアルミ
クランプの左側面図。

【図６】従来例にして、金車通過型引留クランプの正面
図。

【図７】従来例にして、金車通過型引留クランプの左側
面図。

【図８】従来例にして、金車通過型引留クランプにおけ
る鋼クランプの正面図。

【図９】従来例にして、金車通過型引留クランプにおけ
るアルミクランプの正面図。

【図１０】従来例にして、同上（図９）のアルミクラン
プにおける電接部側の側面図。

【符号の説明】

１ 短尺鋼クランプ １ａ 短尺鋼クランプ圧縮部 １ｂ 短尺鋼クランプ波部 ２ 短尺アルミクランプ ２ａ 短尺アルミクランプ圧縮部 ２ｂ 短尺アルミクランプ電接部 ３ ジャンパ端子 ４ 取り付けボルト

フロントページの続き (72)発明者 大高 和良 茨城県日立市川尻町４丁目10番１号 日 立電線株式会社 豊浦工場内 (56)参考文献 特開 昭54−91663（ＪＰ，Ａ) 実開 昭52−13495（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−92528（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−128092（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−30523（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02G 7/02 H02G 1/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼クランプとアルミクランプとジャンパ端
   子とよりなり、ジャンパ端子をアルミクランプの電気的
   接触面設定部（以下、電接部という。）にボルト締め圧
   接する構造の金車通過型の引留クランプにおいて、当該
   アルミクランプの電接部を鋼クランプの圧縮部の上部に
   位置させると共に、鋼クランプの電線側寄りの端部にの
   み波部が設けられ該波部上にアルミクランプの圧縮部が
   被さるように位置させて全長を短くしてなる、金車通過
   型短尺引留クランプ。