JP3215584U - 制振部材及び制振構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動の減衰性能の低下を抑制すると共に、部材の加工を容易に行うことができる制振部材及び制振構造を提供する。【解決手段】一実施形態に係る制振部材は、柱4及び梁2に取り付けられる制振部材10であって、柱4及び梁2の少なくとも一方に取り付けられる取付部材と、取付部材から延びる棒状部材11と、取付部材及び棒状部材11の間に介在する粘弾性部材14と、を備え、粘弾性部材14は、棒状部材11の長手方向に延びる長方形状とされている。【選択図】図1
Description
本考案は、制振部材及び制振構造に関する。
特許文献1には、在来工法である木造軸組工法及び2×4工法による木造建築物の制振を行う制振構造が記載されている。制振構造は、土台と、土台から上方に延びる一対の柱と、柱の上部に設けられる上梁と、一対の柱の間において水平方向に延びる中桟と、上梁と中桟の間において鉛直方向に延びる第1柱状部材と、土台と中桟の間において鉛直方向に延びる第2柱状部材とを備える。また、制振構造は、上梁から一対の柱のそれぞれに延びる一対の第1筋交いと、土台から一対の柱のそれぞれに延びる一対の第2筋交いとを備える。
この制振構造は、第1筋交いと上梁との間の接合部、及び第2筋交いと土台との間の接合部、のそれぞれに制振ダンパを備える。制振ダンパは、上記の各接合部において、第1筋交い及び第2筋交いのそれぞれと上梁又は土台との間に介在する高減衰ゴムを備える。高減衰ゴムは、第1筋交い及び第2筋交いのそれぞれに平行四辺形状となるように貼り付けられている。各高減衰ゴムは、上梁及び土台のそれぞれに取り付けられる取付金具と、第1筋交い又は第2筋交いとの間に介在する。
前述した制振構造では、地震等によって土台が上梁に対して相対移動すると、上記の高減衰ゴムが剪断力を受けることによって制振が行われる。高減衰ゴムは、筋交いと取付金具との間に介在し、当該相対移動のときに変形する。前述した平行四辺形状の高減衰ゴムは、相対移動の主たる方向(筋交いの長手方向)に対して直交していない辺を有する形状であるため、純剪断になっていない。また、地震等による振動を受けると相対移動がねじれる方向にも発生することがあるが、この場合、当該相対移動に伴って平行四辺形の一部(特に鋭角の角部)が筋交いと取付金具との間からはみ出ることがある。これらの場合、高減衰ゴムによる振動の減衰の性能が低下するということが発生しうる。また、高減衰ゴムが平行四辺形状である場合、この平行四辺形状に合わせて取付金具等を特殊な形状にしなければならないため、取付金具等の部材の加工を容易に行えないことがある。
本考案の一側面に係る制振部材は、柱及び梁に取り付けられる制振部材であって、柱及び梁の少なくとも一方に取り付けられる取付部材と、取付部材から延びる棒状部材と、取付部材及び棒状部材の間に介在する粘弾性部材と、を備え、粘弾性部材は、棒状部材の長手方向に延びる長方形状とされている。
前述した一側面に係る制振部材では、取付部材が建物の柱及び梁の少なくとも一方に取り付けられ、棒状部材は、粘弾性部材を介して取付部材に取り付けられる。従って、地震等によって梁が振動を受けると、取付部材及び棒状部材の間に介在する粘弾性部材が変形する。粘弾性部材が変形して振動のエネルギーを熱エネルギーに変換することによって、地震等の振動を抑えることができる。また、棒状部材と取付部材との間に介在する粘弾性部材は、棒状部材の長手方向に延びる長方形状となるように配置される。従って、粘弾性部材が棒状部材の長手方向に沿うように長方形状に配置されることにより、地震等による振動を受けたときに、棒状部材と取付部材との主たる相対移動の方向(棒状部材の長手方向)に対して純剪断とすることができ、また、ねじれ方向への過度な突出を抑制することができる。従って、粘弾性部材による振動の減衰性能の低下を抑制することができる。また、粘弾性部材が長方形状であることにより、各部材の形状を簡易な形状とすることができる。従って、部材の加工を容易に行うことができると共に、部材にかかるコストの低減に寄与する。
棒状部材の長さは、850mm以上且つ1500mm以下であってもよい。棒状部材の長さが850mm以上且つ1500mm以下であることにより、柱の高さに対して半分程度の位置に制振部材を取り付けることが可能となり、建物の耐震性向上に寄与する。また、棒状部材の材料として角型鋼管を使用することを想定した場合、定尺の角型鋼管から5〜7本を歩留まりよく活用することもできる。
粘弾性部材の長手方向の長さは、棒状部材の長手方向の長さの10%以上且つ30%以下であってもよい。これにより、粘弾性部材の減衰性能を確保しつつ軽量化等にも寄与する。
粘弾性部材の幅は、30mm以上且つ75mm以下であってもよい。
取付部材は、柱に取り付けられる第1取付部材と、梁に取り付けられる第2取付部材と、を含んでおり、粘弾性部材は、第2取付部材と棒状部材との間に介在し、第1取付部材は、棒状部材に固定されていてもよい。これにより、相対移動が粘弾性部材に対する棒状部材長手方向への純剪断として作用しやすい。
本考案の一側面に係る制振構造は、柱と、梁と、前述した制振部材と、を備えた制振構造であって、梁は、柱の上側に位置する上梁と、柱の下側に位置する下梁と、を含んでおり、取付部材及び粘弾性部材を介して一端が上梁に取り付けられると共に、取付部材を介して他端が柱に取り付けられる第1の制振部材と、取付部材及び粘弾性部材を介して一端が下梁に取り付けられると共に、取付部材を介して他端が柱に取り付けられる第2の制振部材と、を備えてもよい。
本考案によれば、振動の減衰性能の低下を抑制すると共に、部材の加工を容易に行うことができる。
以下では、図面を参照しながら本考案に係る制振部材及び制振構造の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る制振構造1を示す正面図である。図1に示されるように、制振構造1は、建物の制振を行うために設けられ、地震等の振動を減衰させる機能を有する。制振構造1は、上梁2A、下梁2B、2本の柱4、及び2本の柱4の間において上下方向に延びる柱状部材5を備える。上梁2A、下梁2B、2本の柱4及び柱状部材5は、例えば、木製であり、制振構造1が設けられる建物は木造である。上梁2Aは、下梁2Bの上方に設けられており、下梁2Bから上梁2Aに向かって一対の柱4が設けられる。制振構造1は、建物に対して複数設けられてもよい。以下の説明では、上梁2Aと下梁2Bとをまとめて単に「梁2」と称することがある。
図1は、第1実施形態に係る制振構造1を示す正面図である。図1に示されるように、制振構造1は、建物の制振を行うために設けられ、地震等の振動を減衰させる機能を有する。制振構造1は、上梁2A、下梁2B、2本の柱4、及び2本の柱4の間において上下方向に延びる柱状部材5を備える。上梁2A、下梁2B、2本の柱4及び柱状部材5は、例えば、木製であり、制振構造1が設けられる建物は木造である。上梁2Aは、下梁2Bの上方に設けられており、下梁2Bから上梁2Aに向かって一対の柱4が設けられる。制振構造1は、建物に対して複数設けられてもよい。以下の説明では、上梁2Aと下梁2Bとをまとめて単に「梁2」と称することがある。
制振構造1が設けられる建物は、例えば、2×4工法(木造枠組壁構法)によって構築される。各柱4は、複数の木製の角材4aによって構成されており、各角材4aは上梁2Aと下梁2Bとの間に挟まれている。上梁2A、下梁2B及び柱4の面外方向(図1の紙面に直交する方向)から壁パネルが取り付けられて、当該壁パネル及び各角材4aに複数の釘が打ち込まれることにより、建物の壁が構築される。
制振構造1は、建物に加わる振動を減衰させる複数の制振部材10を備える。各制振部材10は、一定方向に長く延びる形状とされている。制振部材10の本数は例えば4本である。この場合、制振部材10は、上梁2Aから一方の柱4に向かって斜めに延びる制振部材10A(第1の制振部材)と、一方の柱4から下梁2Bに向かって斜めに延びる制振部材10B(第2の制振部材)と、上梁2Aから他方の柱4に向かって斜めに延びる制振部材10C(第1の制振部材)と、他方の柱4から下梁2Bに向かって斜めに延びる制振部材10D(第2の制振部材)とを含んでいる。
制振部材10Aは、上梁2A、一方の柱4、下梁2B及び柱状部材5によって画成された空間S1において、上梁2A及び柱状部材5の交差部分から柱4に向かって斜め下方に延びている。制振部材10Bは、空間S1において、下梁2B及び柱状部材5の交差部分から柱4に向かって斜め上方に延びている。制振部材10A及び柱4の接続部分は、制振部材10B及び柱4の接続部分の上方に設けられる。
例えば、制振部材10A及び制振部材10Bと、制振部材10C及び制振部材10Dとは、柱状部材5に対して互いに対称となる位置に配置されている。一例として、制振部材10A及び制振部材10Bの右側に制振部材10C及び制振部材10Dが設けられ、制振部材10A及び制振部材10Cの下方に制振部材10B及び制振部材10Dが設けられる。制振部材10Cは、上梁2A、他方の柱4、下梁2B及び柱状部材5によって画成された空間S2において、上梁2A及び柱状部材5の交差部分から柱4に向かって斜め下方に延びている。
制振部材10Dは、空間S2において、下梁2B及び柱状部材5の交差部分から柱4に向かって斜め上方に延びている。制振部材10C及び柱4の接続部分は、制振部材10D及び柱4の接続部分の上方に設けられる。一例として、上梁2Aに対する制振部材10Aの傾斜角度、上梁2Aに対する制振部材10Cの傾斜角度、下梁2Bに対する制振部材10Bの傾斜角度、及び下梁2Bに対する制振部材10Dの傾斜角度は、45°以上且つ80°以下であるが、適宜変更可能である。
各制振部材10は、梁2から柱4に向かって延びる棒状部材11と、棒状部材11を柱4に取り付ける第1取付部材12(取付部材)と、棒状部材11を梁2に取り付ける第2取付部材13(取付部材)と、棒状部材11及び第2取付部材13の間に介在する粘弾性部材14とを備える。
図2は、第1取付部材12を示す斜視図である。図2に示されるように、第1取付部材12は、棒状部材11の端部11aを柱4に取り付ける部材である。第1取付部材12は、柱4に固定される一対の固定部材12aを備える。各固定部材12aは、空間S1,S2側を向く角材4aの内側面4bに固定される。
固定部材12aは、角材4aに固定される固定部12bと、固定部12bから突出する延在部12cとを有する。固定部12bは、例えば、柱4に沿って長く延びると共に角部が丸められた矩形板状とされている。固定部12bは、例えば、柱4に面接触した状態で柱4に固定される。固定部12bは、ビスが打ち込まれる貫通孔12dを有し、例えば、固定部12bの長手方向に沿って複数の貫通孔12dが配置されている。
延在部12cは、固定部12bに交差(例えば直交)する方向に延びている。延在部12cは、例えば、角部が丸められた五角形状とされている。一例として、延在部12cは、固定部12bの面外方向に延びる第1辺12eと、第1辺12eに対して鈍角を成す第2辺12fと、第2辺12fの第1辺12eとの反対側の端部から固定部12bに向かって延びる第3辺12gと、第3辺12gに対して鈍角を成す第4辺12hと、第4辺12hから固定部12bに沿って延びる第5辺12jとを有する。
第1辺12eは、例えば、固定部12bに対して直角を成しており、第2辺12fは第1辺12eの固定部12bとの反対側の端部から斜めに延びている。第2辺12fは、棒状部材11に沿って延びる辺である。第3辺12gは、例えば、第2辺12fに対して直交しており、棒状部材11の幅方向に沿って延びる辺である。また、第4辺12hは、第1辺12eに対して平行に延びていてもよい。
固定部材12aは、棒状部材11に対して一対に設けられており、棒状部材11は一対の固定部材12aに挟み込まれた状態で柱4に固定される。棒状部材11及び各固定部材12aは、例えば、溶接によって固定されており、棒状部材11に固定された各固定部材12aがビスによって柱4に固定される。
図1、図3及び図4に示されるように、第2取付部材13は、棒状部材11の端部11aとの反対側の端部11bを梁2に取り付ける部材である。第2取付部材13は、梁2に固定される一対の固定部材13aを備える。各固定部材13aは、上梁2Aの下面2a、又は下梁2Bの上面2bに固定される。
固定部材13aは、梁2に固定される長方形状の固定部13bと、固定部13bの長手方向の端部から突出する一対の第1延在部13cと、固定部13bの幅方向の端部から突出する第2延在部13dとを有する。固定部13bは、例えば、梁2に沿って長く延びる矩形板状とされており、梁2に面接触した状態で梁2に固定される。固定部13bは、固定部12bと同様、ビスが打ち込まれる貫通孔13eを有し、例えば、固定部13bの長手方向に沿って複数の貫通孔13eが配置されている。各第1延在部13cは、固定部13bから固定部13bに交差(例えば直交)する方向に延びており、例えば、角部が丸められた長方形状とされている。
図5に示されるように、第2延在部13dは、その一部が棒状部材11を覆う形状とされており、具体的には、棒状部材11を覆う長方形状の被覆部13fと、固定部13b及び第1延在部13cから被覆部13fまで延びる延在部13gとを有する。被覆部13fは、棒状部材11に沿う矩形状とされている。被覆部13fは、棒状部材11の長手方向に延びる一対の第1辺13hと、一対の第1辺13hの端部間において棒状部材11の幅方向に延びる第2辺13jとによって画成される。一対の第1辺13hのうちの一方は、第2辺13jから棒状部材11の端部11b(第1延在部13c)まで延びており、一対の第1辺13hのうちの他方は、第2辺13jから棒状部材11の途中部分11cまで延びている。延在部13gは、例えば、棒状部材11の途中部分11cから第1延在部13cに向かって湾曲して延びている。
図4及び図5に示されるように、固定部材13aは、棒状部材11に対して一対に設けられており、棒状部材11は一対の固定部材13aに挟み込まれた状態で梁2に取り付けられる。棒状部材11と各固定部材13aとの間には、粘弾性部材14が介在する。粘弾性部材14は、例えば、アクリル系や天然ゴム系等の粘弾性体(VEM:Visco Elastic Material)であり、変形することによって振動を吸収する。粘弾性部材14は、制振構造1に加わった振動の振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。粘弾性部材14は、例えば、シート状とされており、棒状部材11及び第2取付部材13に貼り付けられている。
粘弾性部材14は棒状部材11に対して一対に設けられている。一対の粘弾性部材14の一方は、棒状部材11と一対の固定部材13aの一方との間に介在し、一対の粘弾性部材14の他方は、棒状部材11と一対の固定部材13aの他方との間に介在する。棒状部材11は、例えば、一対の粘弾性部材14と一対の固定部材13aとを介して梁2に取り付けられており、梁2に対して移動可能に取り付けられる。棒状部材11の一方の端部11aには第1取付部材12が溶接固定されており、棒状部材11の他方の端部11bには粘弾性部材14を介して第2取付部材13が取り付けられる。
棒状部材11は、直線状に延びる筋交いである。棒状部材11の長手方向に直交する平面で棒状部材11を切断したときの断面は、例えば、角部が丸められた矩形枠状又はH状とされている。棒状部材11は、中空とされた角型鋼管であってもよい。棒状部材11の長さAは、例えば、850mm以上且つ1500mm以下である。本実施形態では、長さAは、一例として、985mmであり、棒状部材11の幅Bは60mmである。
一例として、第1取付部材12の固定部12bの長さCは140mm、第1取付部材12の第1辺12eの長さDは48.6mm、第1取付部材12の第2辺12fの長さEは128.6mm、第1取付部材12の第3辺12gの長さFは61mm、第4辺12hの長さGは25.4mm、である。第1取付部材12と棒状部材11とが重なる領域Hは、第2辺12f及び第3辺12gを含む長方形状とされている。また、一例として、第2取付部材13の固定部13bの長さJは96.6mmであり、固定部13bから被覆部13fの下端までの高さKは13.4mmであり、被覆部13fの長さLは254mmであり、被覆部13fの幅Mは60mmである。
なお、前述した棒状部材11、第1取付部材12及び第2取付部材13の各部の寸法は、一例であり、適宜変更可能である。粘弾性部材14は、長方形状とされており、一対の長辺14a、及び一対の短辺14bを有する。本明細書において、「長方形状」は、完全な長方形の他に、複数の角部の少なくともいずれかが丸められた長方形、少なくとも一部の辺が曲がっているものの全体として略長方形であるものを含んでいる。粘弾性部材の形状としては、棒状部材の長手方向に直交する方向(短手方向)に平行な2辺を有することが重要であり、その2辺を含み、棒状部材の長手方向に長く延びると共に直角に近い(例えば80°以上且つ100°以下の)角を有する台形は略長方形といえる。逆に、短手方向に平行な2辺を有さない平行四辺形は略長方形とはいわない。
粘弾性部材14は、例えば、第2取付部材13の被覆部13fに沿って長辺14aが長く延びる長方形状とされている。粘弾性部材14は、棒状部材11の端部11bを含む領域を広く覆っている。粘弾性部材14の長辺14a(長手方向)の長さは、例えば棒状部材11の長手方向の長さの10%以上且つ30%以下であり、より好ましくは20%以上且つ30%以下である。粘弾性部材14の短辺14bは、例えば、棒状部材11の幅方向に延びている。短辺14bの長さは、例えば30mm以上且つ75mmである。なお、棒状部材11の幅Bが60mmである本実施形態の場合、短辺14bの長さは、例えば、40mm以上且つ50mm以下であり、一例として48mmである。
次に、実施形態に係る制振部材10及び制振構造1の作用効果について説明する。
制振部材10では、第1取付部材12が柱4に取り付けられ、第2取付部材13が梁2に取り付けられ、棒状部材11は、粘弾性部材14を介して第2取付部材13に取り付けられる。従って、地震等によって梁2が振動を受けると、第2取付部材13及び棒状部材11の間に介在する粘弾性部材14が変形する。粘弾性部材14が変形して振動のエネルギーを熱エネルギーに変換することによって、地震等の振動を抑えることができる。
また、棒状部材11と第2取付部材13との間に介在する粘弾性部材14は、棒状部材11の長手方向に延びる長方形状となるように配置される。従って、粘弾性部材14が棒状部材11の長手方向に沿うように長方形状に配置されることにより、地震等による振動を受けたときに、棒状部材11と第2取付部材13との主たる相対移動の方向(棒状部材11の長手方向)に対して純剪断とすることができ、粘弾性部材14のねじれ方向への過度な突出を抑制することができる。従って、粘弾性部材14による振動の減衰性能の低下を抑制することができる。また、粘弾性部材14が長方形状であることにより、各部材の形状を簡易な形状とすることができる。従って、部材の加工を容易に行うことができると共に、部材にかかるコストの低減に寄与する。
棒状部材11の長さは、例えば、850mm以上且つ1500mm以下である。棒状部材11の長さが850mm以上且つ1500mm以下であることにより、柱4の高さに対して半分程度の位置に制振部材10を取り付けることが可能になり、建物の耐震性向上に寄与する。また、棒状部材11の材料として角型鋼管を用いることを想定した場合、定尺の角型鋼管から5〜7本を歩留まりよく活用することもできる。
粘弾性部材14の長手方向の長さは、例えば、棒状部材11の長手方向の長さの10%以上且つ30%以下である。これにより、粘弾性部材14の減衰性能を確保しつつ軽量化等にも寄与する。粘弾性部材14の長手方向の長さが棒状部材11の長手方向の長さの10%以上であることにより、粘弾性部材14による振動の減衰性能を高めることができる。また、粘弾性部材14の長手方向の長さが棒状部材11の長手方向の長さの30%以下であることにより、第2取付部材13に対する棒状部材11の開きを抑制することができる。
粘弾性部材14の幅は、例えば、30mm以上且つ75mm以下である。これにより、棒状部材11の幅に対する粘弾性部材14の幅を広くすることが可能であるため、粘弾性部材14による振動の減衰性能を高めることができる。
制振部材10の取付部材は、柱4に取り付けられる第1取付部材12と、梁2に取り付けられる第2取付部材13と、を含んでおり、粘弾性部材14は、第2取付部材13と棒状部材11との間に介在し、第1取付部材12は、棒状部材11に固定されている。これにより、相対移動が粘弾性部材14に対する棒状部材11の長手方向への純剪断として作用しやすい。また、梁2に取り付けられた第2取付部材13に粘弾性部材14を介して棒状部材11が取り付けられるため、梁2が受けた振動を粘弾性部材14の変形によって減衰させることができる。従って、梁2から第2取付部材13を介して伝達される振動を粘弾性部材14によって減衰させることができるので、粘弾性部材14による振動減衰性能を高めることができる。
制振構造1は、図1に示されるように、柱4と、梁2と、前述した制振部材10と、を備え、梁2は、柱4の上側に位置する上梁2Aと、柱4の下側に位置する下梁2Bと、を含んでおり、第2取付部材13及び粘弾性部材14を介して一端が上梁2Aに取り付けられると共に、第1取付部材12を介して他端が柱4に取り付けられる制振部材10A,10Cと、第2取付部材13及び粘弾性部材14を介して一端が下梁2Bに取り付けられると共に、第1取付部材12を介して他端が柱4に取り付けられる制振部材10B,10Dと、を備える。
前述したように、制振構造1は制振部材10を備える。従って、粘弾性部材14による振動の減衰性能の低下を抑制すると共に、部材の加工を容易に行うことができる。また、制振構造1では、上梁2A及び柱4に制振部材10A,10Cが設けられると共に、下梁2B及び柱4に制振部材10B,10Dが設けられ、上梁2A及び下梁2Bのそれぞれに粘弾性部材14が配置される。従って、上梁2A及び下梁2Bのそれぞれに粘弾性部材14が配置されることにより、地震等によって下梁2Bが振動した場合に上梁2Aと下梁2Bとの間で生じる相対移動を効果的に減衰させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る制振構造21について図6を参照しながら説明する。第2実施形態は、制振構造21が設けられる建物が木造軸組工法によって構築される点、及び柱24の構造が第1実施形態と異なっている。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
次に、第2実施形態に係る制振構造21について図6を参照しながら説明する。第2実施形態は、制振構造21が設けられる建物が木造軸組工法によって構築される点、及び柱24の構造が第1実施形態と異なっている。以降の説明では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
制振構造21は、一対の柱24、上梁2A、下梁2B、及び複数の制振部材10を備える。各柱24は、一本の木製の角材であり、例えば、各柱24の端部には梁2に固定される突起(ホゾ)が設けられている。第2実施形態に係る制振構造21は、前述と同様の制振部材10を備える。従って、長方形状とされた粘弾性部材14の一部が棒状部材11及び第2取付部材13からはみ出ることを抑制することができると共に、各部材の形状を簡易な形状とすることができるので、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る制振構造31について図7を参照しながら説明する。制振構造31は、例えば、2×4工法によって構築される。制振構造31は、制振部材10の数が第1実施形態と異なっている。制振構造31は、2本の制振部材10を備える。具体的には、制振構造31は、上梁2Aから一方の柱4に向かって斜めに延びる制振部材10Aと、一方の柱4から下梁2Bに向かって斜めに延びる制振部材10Bとを備える。
続いて、第3実施形態に係る制振構造31について図7を参照しながら説明する。制振構造31は、例えば、2×4工法によって構築される。制振構造31は、制振部材10の数が第1実施形態と異なっている。制振構造31は、2本の制振部材10を備える。具体的には、制振構造31は、上梁2Aから一方の柱4に向かって斜めに延びる制振部材10Aと、一方の柱4から下梁2Bに向かって斜めに延びる制振部材10Bとを備える。
第3実施形態に係る制振構造31は、複数の制振部材10を備え、制振部材10は長方形状とされた粘弾性部材14を備える。よって、粘弾性部材14の一部が棒状部材11及び第2取付部材13からはみ出ることを抑制することができると共に、各部材の形状を簡易な形状とすることができる。従って、前述した各実施形態と同様の作用効果が得られる。
以上、本考案の各実施形態について説明したが、本考案は前述した各実施形態に限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、粘弾性部材14及び第2取付部材13を介して梁2に取り付けられると共に、第1取付部材12を介して柱4に取り付けられる棒状部材11を備えた制振部材10について説明したが、棒状部材、第1取付部材、第2取付部材及び粘弾性部材の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は適宜変更可能である。例えば、第1取付部材12と棒状部材11の間に粘弾性部材14が配置されてもよい。更に、前述した実施形態では、2本又は4本の制振部材10を備える例について説明したが、制振部材10の数及び配置態様は適宜変更可能である。
また、前述の実施形態では、梁2、柱4、柱状部材5及び制振部材10を備える制振構造1について説明したが、梁、柱及び柱状部材の形状、大きさ、数及び配置態様は適宜変更可能である。更に、柱状部材5は省略可能である。
また、前述の実施形態では、梁2、柱4及び柱状部材5が木製であって、制振構造1が設けられる建物が木造である例について説明した。しかしながら、梁、柱及び柱状部材の材料は木に限られず適宜変更可能である。また、制振構造が設けられる建物は、木造でなくてもよく、鉄骨造、又は木造と鉄骨造の混構造であってもよい。このように、制振構造が設けられる建物の構造も適宜変更可能であり、制振構造及び制振部材は種々の建物に適用させることができる。
(実施例)
次に、制振部材及び制振構造の実施例を説明する。本考案は下記の実施例に限定されるものではない。実施例に係る実験では、制振部材を備える制振構造に対して振動試験を行い、層間変形及び層せん断力を測定した。実施例の制振部材は、図1に示されるように、棒状部材11、第1取付部材12、第2取付部材13、及び長方形状の粘弾性部材14を備える。実施例の制振構造は、2×4工法によって構築される構造であり、一対の柱4、上梁2A、下梁2B、柱状部材5、及び4本の制振部材10を備える。
次に、制振部材及び制振構造の実施例を説明する。本考案は下記の実施例に限定されるものではない。実施例に係る実験では、制振部材を備える制振構造に対して振動試験を行い、層間変形及び層せん断力を測定した。実施例の制振部材は、図1に示されるように、棒状部材11、第1取付部材12、第2取付部材13、及び長方形状の粘弾性部材14を備える。実施例の制振構造は、2×4工法によって構築される構造であり、一対の柱4、上梁2A、下梁2B、柱状部材5、及び4本の制振部材10を備える。
振動試験は、以下の表1に示されるように、No.1〜6のそれぞれの条件に基づいて上梁2Aを下梁2Bに対して相対移動させる振動を発生させることによって行った。No.1〜6の「変形角度」は、発生させる振動に伴って生じる水平方向への変形に対する鉛直方向への変形の割合を示しており、「周波数」は発生させる振動の周波数を示しており、「サイクル数」は振動の繰り返し回数を示している。
表1のNo.1〜6のそれぞれの条件で連続して振動試験を行った結果、実施例に係る制振部材及び制振構造では、粘弾性部材14の変形により、発生させた振動を十分に吸収できていることが分かった。
1,21,31…制振構造、2…梁、2A…上梁、2B…下梁、4,24…柱、10…制振部材、10A…制振部材(第1の制振部材)、10B…制振部材(第2の制振部材)、10C…制振部材(第1の制振部材)、10D…制振部材(第2の制振部材)、11…棒状部材、12…第1取付部材(取付部材)、13…第2取付部材(取付部材)、14…粘弾性部材。
Claims (6)
- 柱及び梁に取り付けられる制振部材であって、
前記柱及び梁の少なくとも一方に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材から延びる棒状部材と、
前記取付部材及び前記棒状部材の間に介在する粘弾性部材と、
を備え、
前記粘弾性部材は、前記棒状部材の長手方向に延びる長方形状とされている、
制振部材。 - 前記棒状部材の長さは、850mm以上且つ1500mm以下である、
請求項1に記載の制振部材。 - 前記粘弾性部材の前記長手方向の長さは、前記棒状部材の前記長手方向の長さの10%以上且つ30%以下である、
請求項1又は2に記載の制振部材。 - 前記粘弾性部材の幅は、30mm以上且つ75mm以下である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振部材。 - 前記取付部材は、前記柱に取り付けられる第1取付部材と、前記梁に取り付けられる第2取付部材と、を含んでおり、
前記粘弾性部材は、前記第2取付部材と前記棒状部材との間に介在し、
前記第1取付部材は、前記棒状部材に固定されている、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振部材。 - 前記柱と、前記梁と、請求項1〜5のいずれか一項に記載の制振部材と、を備えた制振構造であって、
前記梁は、前記柱の上側に位置する上梁と、前記柱の下側に位置する下梁と、を含んでおり、
前記取付部材及び前記粘弾性部材を介して一端が前記上梁に取り付けられると共に、前記取付部材を介して他端が前記柱に取り付けられる第1の前記制振部材と、
前記取付部材及び前記粘弾性部材を介して一端が前記下梁に取り付けられると共に、前記取付部材を介して他端が前記柱に取り付けられる第2の前記制振部材と、
を備える制振構造。
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