JP3214665U - 車両停止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が簡易で、制動距離が比較的短く、しかも、車両の接触位置と角度の制限が少ない車両停止装置を提供する。【解決手段】車両停止装置1は、矩形の鋼板で形成され、一辺に車両の乗り上げ部2aが形成された乗り上げ板2と、乗り上げ板2の乗り上げ部2aと対向する辺の近傍に接合された衝突板3と、衝突板3の乗り上げ部2aの側を向く面である衝突面に設置された緩衝部材4と、衝突板3の衝突面と反対側に取り付けられた補強部材5を備える。緩衝部材4は、Al−Mg系合金で形成されたハニカム構造体を含み、このハニカム構造体は、六角形断面の筒の軸が、乗り上げ板2の表面と平行を成すように配置されている。車両が車両停止装置1に接近すると、前輪が乗り上げ板2に乗り上げ、緩衝部材4が車両に接触されて破損し、車両が衝突板3に衝突して破損し、乗り上げ板2が道路の表面と摩擦を生じながら移動し、これらにより車両を制動する。【選択図】図1

Description

本考案は、道路の規制区域等へ誤進入する車両を停止させる車両停止装置に関する。
道路等の車両が通行する領域で、事故の処理や工事等を行う場合、車両の通行を規制する規制区域を設置している。規制区域は、走行車線の一部を遮るように設置される場合が多く、道路を走行する車両の注意を喚起するために、規制区域の上流に標識等が設置される。しかしながら、車両の運転者が標識を見落として、車両が規制区域に誤って進入する事故が多発している。このような事故に対応するため、規制区域の周辺に設置され、誤進入する車両を停止させるための車両停止装置が提案されている。
従来の車両停止装置としては、図3の側面図に示すようなものがある。この車両停止装置101は、道路の表面に接地する土台部102と、土台部102に揺動軸103で枢着された支持部104と、支持部104の前部から前方に延びる脚部106と、支持部104の後部から概ね上方に延びる柱部108を有する。土台部102は、道路の表面に接触する板状体で形成された底部と、この底部の両側に、支持部104の両側を挟むように立設された板状部材を有する。支持部104は、図4の正面図に示すように、鉛直方向に延在する2枚の板で脚部106を挟むように形成され、幅方向の両側に夫々配置されている。支持部104には、揺動軸103回りに揺動する際に緩衝を行う図示しない緩衝器が連結されている。脚部106は型材で形成され、幅方向の両側の支持部104に設けられた揺動軸105によって、支持部104の前部に枢着されている。脚部106には、揺動軸105回りに揺動する際に緩衝を行う図示しない緩衝器が連結されている。左右両側の脚部106の先端は、板状の接地部107によって連結されている。柱部108は板状材で形成され、幅方向の両側の支持部104に固定されており、左右両側の柱部108の上部が、板部材109によって連結されている。土台部102は、幅方向の両側に立設された板状部材の間が、管状の第1連結部材110で接続されている。また、幅方向両側の支持部104が、管状の第2連結部材111で接続されている。この車両停止装置101は、幅方向に2つ配列されており、これらの2つの車両停止装置101は、第1連結部材110と第2連結部材111が共有されて一組に連結されている。
上記従来の車両停止装置101は、誤進入する車両を、次のようにして停止させる。まず、車両が車両停止装置101に接近すると、車両停止装置101の脚部106の上に、車両の前側部分が覆い被さる。脚部106は先端から支持部104に向かうにつれて上向きに傾斜しているので、車両が進むにつれて車両の底面が脚部106に乗り上げ、車両が持ち上げられる。脚部106は、車両に乗り上げられるに伴って揺動軸105回りに揺動し、緩衝器を介して土台部102に荷重が作用する。車両が脚部106に乗り上げて更に進行すると、車両の前側部分の下部が板部材109に衝突し、板部材109に連結された柱部108と支持部104が揺動軸103回りに揺動する。この支持部104の揺動により、緩衝器を介して土台部102に荷重が作用する。車両が板部材109に衝突すると、車両停止装置101が車両の進行方向に移動すると共に、土台部102の底面に道路の表面から摩擦力が作用する。この摩擦力により、車両を停止させるように形成されている。
登録実用新案第3176349号公報
しかしながら、上記従来の車両停止装置101は、車両の荷重を伝達するために、土台部102に支持部104を揺動可能に枢着すると共に、支持部104に脚部106を揺動可能に枢着し、支持部104及び脚部106と土台部102との間に夫々緩衝器を設けている。したがって、構造が複雑で部品点数が多く、部品コストと製造コストが高くなる問題がある。また、上記車両停止装置101は、車両を、実質的に土台部102と道路表面の間の摩擦のみにより停止させているため、車両が停止するまでの制動距離が長くなる問題がある。また、上記車両停止装置101は、車両の幅方向の一方の車輪が脚部106に乗り上げると、車輪が横転するおそれがある。すなわち、車両停止装置101が車両の停止機能を有効に発揮するためには、左右の車輪で2組の脚部106,106を跨いで、脚部106の延在方向と平行に進むように走行する必要があり、車両が接触する位置及び角度の制限が大きいという問題がある。
そこで、本考案の課題は、構造が簡易で、制動距離が比較的短く、しかも、車両が接触する位置及び角度の制限が少ない車両停止装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本考案の車両停止装置は、裏面が道路の表面に接するように配置され、表面に車両の少なくとも前輪が乗り上げる乗り上げ板と、
上記乗り上げ板の車輪が進入する辺と対向する辺の近傍に接合され、この乗り上げ板の表面に対して略直角の衝突面を有する衝突板と、
上記衝突板の衝突面に設けられ、この衝突面に向かって接近する車両が接触することにより破損して緩衝を行う緩衝部材と
を備えることを特徴としている。
上記構成の車両停止装置は、例えば道路の規制区域のように、車両の進入を制限する必要のある区域に配置される。この車両停止装置に車両が接近すると、乗り上げ板の一辺から車輪が表面に乗り上げ、上記乗り上げ板の一辺と対向する辺の近傍に接合された衝突板の衝突面に接近する。車両が衝突面に接近するに伴い、車両の前側部分が緩衝部材に接触し、この緩衝部材が破損して緩衝を行う。車両が更に進んで衝突板の衝突面に衝突すると、車両からの力が衝突板を介して乗り上げ板に伝わり、少なくとも前輪が乗り上げ板に乗り上げた状態で、乗り上げ板の裏面が道路の表面と摩擦力を生じながら移動する。このように、車両停止装置により、車両の速度エネルギーが、緩衝部材の破損に伴うエネルギーと、衝突板に衝突したときの車両の破損に伴うエネルギーと、乗り上げ板と道路の表面との摩擦による熱エネルギーに変換され、車両が停止する。
上記車両停止装置によれば、乗り上げ板に衝突板を接合し、衝突板に緩衝部材を設けて構成されるので、構造が比較的簡易である。したがって、従来よりも少ない部品点数により、容易かつ安価に製造できる。
また、面積の比較的広い乗り上げ板に少なくとも前輪が乗った状態で、乗り上げ板が道路の表面に接触して移動するので、乗り上げ板の裏面と道路の表面との間で、摩擦により比較的大きなエネルギーを消費することができる。また、緩衝部材が車両と接触して破損することにより、エネルギーを消費することができる。また、車両を衝突板に衝突させて破損させることにより、エネルギーを消費することができる。このように、車両の速度によるエネルギーの多くの部分を摩擦以外のエネルギーに変換できるうえ、従来よりも広い乗り上げ板により道路の表面との摩擦力を得るので、車両停止装置に車両が乗り上げて停止するまでの制動距離を、従来よりも小さくできる。
また、乗り上げ板に少なくとも前輪が乗り上げた状態で衝突板に車両の一部が衝突すれば、車両を停止させることができるから、従来よりも車両が車両停止装置に接触する位置と角度の制限が少ない。すなわち、従来よりも幅広い範囲及び方向から進入する車両を、効果的に停止させることができる。
一実施形態の車両停止装置は、上記乗り上げ板の裏面に、摩擦抵抗を増大する摩擦抵抗増大部が設けられている。
上記実施形態によれば、乗り上げ板の道路に接する裏面に設けられた摩擦抵抗増大部により、車両の前輪が乗り上げ板に乗り上げて道路の表面を移動するときに、乗り上げ板と道路の表面との間で生じる摩擦エネルギーを増大できる。したがって、車両の速度によるエネルギーを効果的に消費して、車両の制動距離を効果的に縮小できる。ここで、摩擦抵抗増大部は、乗り上げ板の道路に接する面に形成された突起又は溝や、乗り上げ板の道路に接する面に設置されたゴム層又は樹脂層等を含んで構成することができる。
一実施形態の車両停止装置は、上記乗り上げ板は、抗滑動鋼板で形成されている。
上記実施形態によれば、乗り上げ板を抗滑動鋼板で形成することにより、乗り上げ板と道路の表面との間の摩擦力を効果的に増大でき、車両の制動距離を効果的に縮小できる。ここで、抗滑動鋼板とは、表面に形成された凸部及び/又は凹部や、貫通孔等により、接触する対象との間の摩擦力を増大する処理が施された鋼板をいう。例えば、抗滑動鋼板として、複数の線状の突起が縞目模様を成すように形成された縞鋼板や、縁部が凸状に形成された貫通孔が複数個形成されたアンティスリップ(登録商標)鋼板等を挙げることができる。
一実施形態の車両停止装置は、上記緩衝部材は、上記衝突板の衝突面に対して略直角に延在する複数の壁を内蔵する中空構造体を含んで形成されている
上記実施形態によれば、中空構造体を用いることにより、破損に伴うエネルギー吸収の比較的大きな緩衝部材が得られる。ここで、中空構造体とは、衝突板の衝突面に対して略直角の方向に延在する複数の壁を内蔵してなる三次元構造体である。中空構造体としては、例えば、六角形断面の筒を互いに接して配列したハニカム構造体や、波状の板と平坦な板とを交互に配列した波板構造体や、断角形断面の筒を互いに接して配列した三角筒集合体や、矩形断面の筒を互いに接して配列した矩形筒集合体等が挙げられる。
一実施形態の車両停止装置は、上記緩衝部材は、ハニカム構造体を含んで形成されている。
上記実施形態によれば、ハニカム構造体を用いることにより、比較的軽量でありながら、破損に伴うエネルギー吸収の比較的大きな緩衝部材が得られる。
一実施形態の車両停止装置は、上記衝突板の衝突面と反対側の面に、上記乗り上げ板に接合された補強部材が設置されている。
上記実施形態によれば、衝突板を補強部材で補強することにより、車両が衝突板の衝突面に衝突したときに衝突板に作用する力を、確実に乗り上げ板に伝達することができる。また、車両が衝突板の衝突面に衝突したときの反力を十分に確保でき、車両を効果的に破損させることができる。また、車両が緩衝部材に接触したとき、衝突板から緩衝部材に作用する反力を十分に確保できるので、緩衝部材を効果的に破損してエネルギー吸収を行わせることができる。したがって、車両の制動距離を効果的に縮小できる。
本考案の実施形態の車両停止装置を示す斜視図である。 実施形態の車両停止装置に車両が衝突した様子を示す模式図である。 従来の車両停止装置を示す側面図である。 従来の車両停止装置を示す正面図である。
以下、本考案を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本考案の実施形態の車両停止装置を示す斜視図である。この車両停止装置1は、矩形の鋼板で形成され、一辺に車両の乗り上げ部2aが形成された乗り上げ板2と、乗り上げ板2の乗り上げ部2aと対向する辺の近傍に接合された衝突板3と、衝突板3の乗り上げ部2aの側を向く面である衝突面に設置された緩衝部材4と、衝突板3の衝突面と反対側に取り付けられた補強部材5を備える。
乗り上げ板2は、抗滑動鋼板としての縞鋼板で形成され、摩擦抵抗増大部としての縞状の突起が形成された面を、道路の表面に接する側に向けて配置されている。乗り上げ板2の乗り上げ部2aは、この乗り上げ板2が設置される道路の表面から容易に乗り上げることができるように、傾斜面によって形成されている。これにより、乗り上げ板2の裏面と、乗り上げ部2aとの間の角度が鋭角に形成されている。なお、乗り上げ板2は、縞鋼板以外の抗滑動鋼板として、凸状の縁部を有する貫通孔が複数個形成されたアンティスリップ(登録商標)鋼板を用いて形成されてもよい。この場合、貫通孔の縁部が突出する面を、道路の表面に接するように裏側に向けて配置することで、道路の表面と乗り上げ板2との間の摩擦力を増大できる。また、縞鋼板やアンティスリップ鋼板以外に、摩擦力を増大する摩擦力増大手段が設けられた鋼板を、乗り上げ板2に用いてもよい。
衝突板3は、乗り上げ板2と同じ幅を有する矩形の鋼板で形成され、乗り上げ板2の表面に直角に固定されている。これにより、衝突板3の乗り上げ部2aの側を向く衝突面が、乗り上げ板2の表面と直角を成している。衝突板3の衝突面と反対側に取り付けられた補強部材5は、衝突板3と同じ高さを有する直角三角形状の鋼板で形成されている。この補強部材5が、衝突板3の裏面と乗り上げ板2の表面とに直角を成すように、互いに平行に複数枚固定されている。これにより、衝突板3の衝突面が受ける力に抗するように、衝突板3を乗り上げ板2に強固に固定している。なお、乗り上げ板2に対する衝突板3の取り付け角度や、乗り上げ板2に対する衝突板3の衝突面の角度や、補強部材5の衝突板3及び乗り上げ板2への取り付け角度は、厳密に直角でなくてもよく、直角に対して数度の差があってもよい。
緩衝部材4は、Al−Mg系合金で形成されたハニカム構造体を芯材として、Al−Mg系合金の板状の被覆材で覆って形成されている。中空構造体としてのハニカム構造体は、六角形断面の筒を、軸方向視において互いに辺を共有するように配列して形成されている。このハニカム構造体の六角形断面の筒の軸が、乗り上げ板2の表面と平行を成すように、すなわち、衝突板3の衝突面と直角を成すように、緩衝部材4が衝突板3の衝突面に取り付けられている。緩衝部材4は、衝突板3に向かって進む車両が接触すると、ハニカム構造体の六角形断面の筒が座屈するように破損する。このようなハニカム構造体の破損により、車両の速度エネルギーの一部を吸収する。なお、緩衝部材4の芯材としては、ハニカム構造体以外に、中空構造体としての波板構造体、矩形筒集合体及び三角筒集合体等を用いてもよい。ここで、波板構造体とは、波型の断面を有して衝突板3の衝突面と直角方向に延在する波板と、衝突板3の衝突面と直角方向に延在する平坦な板とを交互に積層して形成された構造体である。また、矩形筒集合体は、衝突板3の衝突面と直角方向に延在する矩形断面の筒を、互いに接して配列してなる構造体である。また、三角筒集合体は、衝突板3の衝突面と直角方向に延在する三角形断面の筒を、互いに接して配列してなる構造体である。また、中空構造体は、Al−Mg系合金以外の金属で形成してもよく、また、金属以外の樹脂や炭素繊維等で形成してもよい。また、緩衝部材4の表面には、障害物の存在を示す標識や、進行方向の変更を促す図柄等を記載するのが好ましい。また、ハニカム構造体の筒の軸と衝突板3の衝突面との間の角度や、波板構造体の板と衝突板3の衝突面との間の角度や、三角筒集合体の筒の軸と衝突板3の衝突面との間の角度は、厳密に直角でなくてもよく、直角に対して数度の差があってもよい。
次に、上記構成の車両停止装置1により、道路の規制区域へ誤進入する車両を停止させる場合について説明する。まず、この車両停止装置1を、規制区域を区画する標識や塀の周辺に配置する。車両停止装置1の配置位置は、規制区域が設置された車線の延長上に配置するのが好ましく、規制区域を示す柵や標識に関して上流側及び下流側のいずれに配置してもよい。
車両10の運転者が、規制区域の存在を示す標識や警告灯等を見落として、規制区域に接近すると、車線の延長上に配置された車両停止装置1に車両10が接近する。車両10が車両停止装置1に接近すると、車両10の前輪11が乗り上げ部2aから乗り上げ板2に乗り上げる。車両10が乗り上げ板2の上を進むと、図2に示すように、車両10の前側の下部が緩衝部材4に接触し、緩衝部材4のハニカム構造体の筒が座屈して緩衝部材4が破損する。この緩衝部材4の破損に伴うエネルギー吸収により、緩衝部材4が緩衝を行い、車両10の速度が低減される。
緩衝部材4の緩衝によっても車両10が停止しない場合、車両10が乗り上げ板2の上を更に進み、破損した緩衝部材4を介して車両10が衝突板3の衝突面に衝突する。車両10が衝突板3に衝突すると、車両10の前側の下部が破損すると共に、車両10からの力が衝突板3を介して乗り上げ板2に伝わる。これにより、車両10の前輪11が乗り上げ板2に乗り上げた状態で、乗り上げ板2が道路の表面との間に生じる摩擦力を受けながら、車両10の慣性力によって移動する。ここで、乗り上げ板2は比較的広い面積を有すると共に、道路に接触する裏面に縞状の突起が設けられており、この乗り上げ板2に前輪11の荷重が直接作用する。したがって、乗り上げ板2と道路の表面との間に、比較的大きな摩擦力を生成でき、その結果、車両の速度エネルギーを摩擦による熱エネルギーに効果的に変換できる。
このようにして、上記車両停止装置1に乗り上げたときの車両の運動エネルギーが、緩衝部材4の破損に伴うエネルギーと、車両10の破損に伴うエネルギーと、乗り上げ板2と道路の表面との摩擦による熱エネルギーに変換され、車両が停止する。
上記車両停止装置1に接触する直前の車両10の速度と、車両停止装置1が車両10を停止させるまでの制動距離は、次のような関係を有する。まず、車両10が緩衝部材4と衝突板3に衝突した後、車両10が車両停止装置1と共に移動を開始したとき、エネルギー保存の法則に沿って次の式(1)のように表される。
Figure 0003214665
ここで、Mは車両10の質量、Vは衝突直前の車両10の速度、E1は緩衝部材4の破損により吸収されたエネルギー、E2は車両10の破損により吸収されたエネルギー、mは車両停止装置1の質量、vは衝突直後の車両10と車両停止装置1の速度である。
衝突後に残存する運動エネルギーが、車両停止装置1と道路の表面との摩擦によるエネルギーに変換されるとすると、次の式(2)で示すような関係が成立する。
Figure 0003214665
ここで、Nは乗り上げ板2から道路の表面に作用する接地力、μ’は乗り上げ板2と道路表面の間の動摩擦係数、Lは制動距離である。
上記式(1)及び(2)から分かるように、緩衝部材4の破損により吸収されるエネルギーE1と、車両10の破損により吸収されるエネルギーE2を増大すれば、制動距離Lを縮小することができる。また、乗り上げ板2から道路の表面に作用する接地力Nと、乗り上げ板2と道路表面の間の動摩擦係数μ’を増大すれば、制動距離Lを縮小することができる。
なお、車両10の後輪にブレーキで制動がかかると、衝突後の速度vと制動距離Lとの関係は、次の式(3)のようになる。
Figure 0003214665
ここで、F’は後輪のブレーキによる制動力である。
上記式(3)から分かるように、車両10が乗り上げ板2に乗り上げたときに、運転者がブレーキで制動をかければ、更に制動距離Lの縮小を行うことができる。
ここで、本実施形態の車両停止装置1は、面積が比較的広く、裏面に縞状の突起が形成された乗り上げ板2に、前輪11が乗った状態で、乗り上げ板2が道路の表面に接触して移動する。したがって、乗り上げ板2から道路の表面に作用する接地力Nと、乗り上げ板2と道路表面の間の動摩擦係数μ’を効果的に増大でき、制動距離Lを効果的に縮小できる。
また、ハニカム構造体で形成された緩衝部材4が車両10の接触により破損すると共に、乗り上げ板2に強固に固定された衝突板3へ車両10が衝突して破損することにより、エネルギーE1及びE2を比較的大きくすることができる。したがって、制動距離Lを効果的に縮小できる。
このようにして、本実施形態の車両停止装置1によれば、車両10の速度エネルギーを、従来よりも多くの部分を摩擦以外のエネルギーに変換できるうえ、乗り上げ板2と道路表面の摩擦のエネルギーを従来よりも増大できるので、制動距離Lを従来よりも小さくできる。
また、上記車両停止装置1は、乗り上げ板2と、乗り上げ板2に接合された衝突板3と、衝突板に設置された緩衝部材4と、衝突板3を補強する補強部材5で構成されるので、構造が比較的簡易である。したがって、従来よりも少ない部品点数により、容易かつ安価に製造できる。
また、本実施形態の車両停止装置1は、乗り上げ板2に少なくとも前輪11が乗り上げた状態で、衝突板3に車両10の一部が衝突すれば、車両10を停止させることができる。また、乗り上げ部2aに連なる他の辺から前輪11が乗り上げ板2上に乗り上げても、車両10が緩衝部材4に接触して衝突板3に衝突すれば、車両10を停止することができる。したがって、従来よりも幅広い範囲と方向から進入する車両10を、効果的に停止させることができる。すなわち、車両10が接触する位置及び角度の制限が少ない車両停止装置10が得られる。
上記実施形態において、車両停止装置1の乗り上げ板2は、車両10の前輪が乗り上げる大きさに形成されたが、車両10の前輪11と後輪の両方が乗り上げる大きさに形成してもよい。
また、上記実施形態において、乗り上げ板2は、道路に接する裏面に摩擦抵抗増大部としての縞状の突起を有する縞鋼板を用いたが、摩擦抵抗増大部としてゴム層又は樹脂層が裏面に接着された鋼板を用いてもよい。
また、上記実施形態において、車両停止装置1を道路の規制区域に配置したが、車両10を停止させる目的であれば、設置場所は特に限定されない。
1 車両停止装置
2 乗り上げ板
2a 乗り上げ部
3 衝突板
4 緩衝部材
5 補強部材
10 車両
11 前輪

Claims (6)

  1. 裏面が道路の表面に接するように配置され、表面に車両の少なくとも前輪が乗り上げる乗り上げ板と、
    上記乗り上げ板の車輪が進入する辺と対向する辺の近傍に接合され、この乗り上げ板の表面に対して略直角の衝突面を有する衝突板と、
    上記衝突板の衝突面に設けられ、この衝突面に向かって接近する車両が接触することにより破損して緩衝を行う緩衝部材と
    を備えることを特徴とする車両停止装置。
  2. 請求項1に記載の車両停止装置において、
    上記乗り上げ板の裏面に、摩擦抵抗を増大する摩擦抵抗増大部が設けられていることを特徴とする車両停止装置。
  3. 請求項2に記載の車両停止装置において、
    上記乗り上げ板は、抗滑動鋼板で形成されていることを特徴とする車両停止装置。
  4. 請求項1に記載の車両停止装置において、
    上記緩衝部材は、上記衝突板の衝突面に対して略直角に延在する複数の壁を内蔵する中空構造体を含んで形成されていることを特徴とする車両停止装置。
  5. 請求項4に記載の車両停止装置において、
    上記緩衝部材の中空構造体は、ハニカム構造体であることを特徴とする車両停止装置。
  6. 請求項1に記載の車両停止装置において、
    上記衝突板の衝突面と反対側の面に、上記乗り上げ板に接合された補強部材が設置されていることを特徴とする車両停止装置。
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