JP6741265B1 - 車両規制装置および車両規制装置の設置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、道路工事の現場においては、不注意運転、居眠り運転などによって当該現場へ侵入してくる不注意な車両から作業関係者の安全を確保することが求められている。
特許文献1に開示された装置は、仕切り構造体であり、防護柵と水平部材とで略L字形又は逆T字形となるコンクリート等の充実部材を用いている。防護柵は、通行車両と対面する厚みのある垂直部を備え、この垂直部の前面側は下方から上方へかけて後退する傾斜面を形成している。水平部材は、前記の垂直部の下方部から水平方向の背面側へ延設している。また、垂直部にはその上方に防護壁を形成するための支柱を備えている。
正常な方向へ走行する車両に対して進入可能とする進入OK標識を表示した主プレートと、逆走する車両の進入を阻止するSTOP標識を表示した副プレートと、で構成される。前記の主プレートと副プレートはヒンジ部を介して連結し、主プレートと副プレートを昇降伸縮部によって立ち上がった状態で待機させておく。
逆走する車両は、STOP標識によって警告となり、副プレートが車両のタイヤを受け止めて逆走を防止する。一方、正常な方向から進入する車両は、進入OKの表示によって通常走行が可能であり、主プレートと副プレートが車両の重量によって下がりほぼ平行となるので、車両の通過を円滑にする。
第一の発明は、車両(10)を進入させたくない車両進入禁止エリア(F)と車両(10)が通行可能な走行可能エリア(H)とを仕切る壁形成体(22,52)を路面(E)に対して移動可能に設置できる車両規制装置(20,50等)に係る。
この車両規制装置(20,50等)は、 前記の壁形成体(22,52)に対して回動可能であるとともに前記の壁形成体(22,52)を路面(E)へ設置するための路面接触体(24,25,54,55)を備える。
前記の路面接触体(24,25,54,55)は、前記の壁形成体(22,52)に対して車両進入禁止エリア(F)側へ回動させることで路面(E)へ接触する接地面(24A,54A,)を備える禁止エリア路面接触体(24,54)と、
前記の壁形成体(22,52)に対して走行可能エリア(H)側へ回動させることで路面(E)へ接触する接地面(25A,55A)を備える車止めエリア路面接触体(25,55)と、を備える。
前記の車止めエリア路面接触体(25,55)は、車両(10)が前記の壁形成体(22,52)に衝突した場合に、当該車両(10)の少なくとも前輪(11)を載せることが可能な大きさとする。
「車両(10)」とは、普通乗用車のみならず、トラックなどの大型車両も含む。路面(E)から壁形成体(22,52)の上端までの高さは、停止させたい車両の種類によって異ならせることとしてもよい。
なお、「前輪(11)」は、車両(10)としての前輪ではなく、壁形成体(22,52)へ車両(10)が衝突した場合において壁形成体(22,52)に近い側を指す。つまり、車両(10)が後退してきて壁形成体(22,52)へ衝突した場合であれば、当該車両(10)の後輪が、ここにいう「前輪(11)」となる。
車止めエリア路面接触体(25,55)は、当該車両(10)の前輪(11)を載せることが可能な大きさであるため、その前輪(11)が車両(10)の推進力を産み出す場合、車両(10)が壁形成体(22,52)に衝突した場合には路面(E)と前輪とは接触していないため、衝突後の推進力を奪う(図21(c)参照)。
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の壁形成体(22,52)を支えるベース体(21,51)と、
前記のベース体(21,51)に対して前記の壁形成体(22,52)とは反対側へ位置するとともに、路面(E)に接することで車両規制装置(20,50等)を転がり移動させることを可能とするコロ(26,56)と、
を備える。
前記の接地面(24A,25A,54A,55A)が路面(E)に接触している場合には、前記のコロ(26,56)は、路面(E)とは接触しない位置へ移動するように形成する(図1、図5、図6、図7参照)。
車両規制装置(20,50等)の路面接触体(24,25,54,55)を路面(E)側へ回動させることで、路面接触体(24,25,54,55)の接地面(24A,25A,54A,55A)を路面(E)に対して接触させる。すると、接地面(24A,25A,54A,55A)は路面(E)との摩擦によって、車両(10)を進入させたくない車両進入禁止エリア(F)と車両(10)が通行可能な走行可能エリア(H)とを仕切る壁形成体(22,52)を立設させることとなる。このとき、コロ(26,56)は、前記の路面(E)とは接触しない位置へ移動しているので、接地面(24A,25A,54A,55A)および路面(E)間の摩擦を減ずることはない(図1(b)、図7(b)参照)。
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、接地面(25A,54A,55A)を路面(E)に接触させた場合の走行可能エリア(H)側に位置する前記の路面接触体(車両止めエリア路面接触体25,路面接触体54,路面接触板体55)における走行可能エリア(H)側には、前記の路面接触体とは別に路面(E)を更に覆う路面延長体(27,57)を、着脱自在に備えるのである(図2(a),図8(b)、図19)。
「路面延長体(27,57)」に要求される機能について説明する。すなわち、たとえば接地面(25A,54A,55A)を路面(E)に接触させた場合の路面接触体(25,54,55)が規制対象となる車両(10)の前輪(11)しか載せられない大きさである場合、規制対象となる車両(10)の後輪(12)までを乗せることで、後輪(12)と路面(E)とを直接接触させないようにするための部体が路面延長体(27,57)の機能である。路面延長体(27,57)は、車両(10)を載せても破損しにくい材質、たとえば合成ゴム製の板体とする。
路面延長体(27,57)を装着した場合、路面延長体(27,57)およびそれを装着した路面接触体(25,54,55)の上方空間が車止めエリア(G)となる(図8(a)参照)。
車両進入禁止エリア(F)へ向かって走行していた車両(10)の運動エネルギは、まず壁形成体(22,52)への衝撃となり、路面接触体(24,25,54,55)と路面(E)との摩擦を引き起こし、車両(10)を停止させるように働く。
車両進入禁止エリア(F)に対して規制対象として想定される車両(10)の、その全長に合わせた大きさの車両規制装置を組立てて形成する作業も容易となる。
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、隣り合う複数の車両規制装置(たとえば、コンパクト規制体20,20)それぞれの前記の壁形成体(22,22)が連続した面となるように互いを連結可能であるように形成するのである(図12参照)。
連結の手段としては、たとえば鎖(連結鎖30)、ワイヤなどである。
「連続した面」とは、完全に連続していたり、面一となっていたりすることを意味するものではないが、規制対象となる車両(10)のタイヤの幅より狭い間隔で連結されることが望ましい。隣り合う車両規制装置の隙間に規制対象となる車両(10)のタイヤがはまり込めないことが望ましいからである。
車両進入禁止エリア(F)と走行可能エリア(H)との境界へ、複数の車両規制装置(20,20)を連結して設置する。一つ一つの車両規制装置を大きなものとする必要がなく、運搬、設置、撤去などの作業負担を軽減できる。
道路における部分的な閉鎖、たとえば、複数車線の道路にて、一部の路線のみを閉鎖する、といった使い方においても、柔軟に対応できる。
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の壁形成体(22)における車両進入禁止エリア側には、前記の路面接触体(24,25)の接地面(24A,25A)が路面へ接触している場合に前記の壁形成体(22)を支持する壁支持体(23,23C)を備え、
その壁支持体(23,23C)は、前記の路面接触体(24,25)を前記の壁形成体(22)に近づける方向へ回動させた場合に、路面接触体(24,25)と壁形成体(22)との間に位置することが可能であるように形成するのである(図7、図14参照)。
「壁支持体(23,23C)」について、「路面接触体(24,25)と壁形成体(22)との間に位置することが可能であるように形成する」とは、たとえば、折り畳み可能なリンク状(上リンク23A,下リンク23B)に形成する場合である(図7参照)。また、路面接触体(24,25)および壁形成体(22)に対して着脱自在に形成し(支持パイプ23C)、路面接触体(24,25)および壁形成体(22)から外した壁支持体(23C)を路面接触体(24,25)および壁形成体(22)が形成する空間へ収納する場合も含む(図14参照)。
壁支持体(23,23C)は、路面接触体(24,25)の接地面(24A,25A)が路面へ接触している場合に壁形成体(22)を支持する。
路面接触体(24,25)を前記の壁形成体(22)に近づける方向へ回動させる場合(移動させる場合)には、路面接触体(24,25)と壁形成体(22)との間に壁支持体(23,23C)を位置する(位置させる)。壁支持体(23,23C)が車両規制装置(20,50等)と別のスペースを占めることがなく、省スペースになる。
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の路面接触体(たとえば禁止エリア路面接触体24)の接地面(24A)を路面(E)へ固定するための路面固定体(31)を備え、
その路面固定体(31)には、路面(E)へ打ち付ける杭体(たとえばスパイクピン36)を備えるのである(図13参照)。
「接地面(24A)を路面(E)へ固定する」こととした趣旨は、車両規制装置(20)へ車両(10)が衝突しても、車両進入禁止エリア(F)への侵入距離を小さくするためである。路面(E)が氷や雪である場合、接地面(24A)および路面(E)の摩擦を増大させる役割を果たす。なお、後述する実施形態(図13を用いた説明箇所)では、路面(E)が凍結している場合を想定した路面固定体(31)を説明しているが、本発明が意図する路面固定体(31)は、凍結した面に対応させたものに限られない。
図示を省略するが、路面固定体(31)が杭体(36)そのものである場合には、路面接触体(24)を貫通させたり、部分的に接触させたりした杭体(36)を路面(E)へ打ち込む。
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の走行可能エリア(H)から前記の車両進入禁止エリア(F)へ向かってくる車両を走行可能エリア(F)および車両進入禁止エリア(H)の間に位置する車両止めエリア(G)にてその走行継続困難とするための走行困難化装置を備え、
その走行困難化装置は、前記の車両止めエリア(G)へ車両の一部または全部が侵入した場合に機能することとするのである(図15,図16,図17参照)。
「車両止めエリア(G)」は、車両止めエリア路面接触体(25)や走行可能エリア(H)側に位置することとなる路面接触体(54)の上方空間である。車両止めエリア路面接触体(25)や路面接触体(54)に路面延長体(27,57)が固定される場合には、路面延長体(27,57)の上方空間も車両止めエリア(G)となる。
第一に、車両(10)のフロントガラスに向かってペンキやゲル状物質を噴霧することで車両(10)の運転者の視界を奪う噴霧装置(図15を参照)である。
第二に、車両(10)のシャーシを所定の機構やエアバッグなどで持ち上げて車輪(前輪および/または後輪)を浮かせることで車両(10)の推進力を奪うシャーシリフト装置(図16を参照)である。
第三に、車両(10)のシャーシを所定の機構やエアバッグなどで持ち上げて車両(10)を傾かせることで車両(10)の推進力を奪うとともに運転者の姿勢を崩すシャーシ傾斜装置(図17を参照)である。
第四に、車両(10)のタイヤを切り裂くなどしてバーストさせるパンク装置(図示を省略)である。
後述する実施形態および対応する図面においては、走行困難化装置はそれぞれ一つずつを紹介しているが、本発明においては、前述した走行困難化装置を複数組み合わせた走行困難化装置を提供してもよい。
車両止めエリア(G)へ車両の一部または全部が侵入した場合には、走行困難化装置が機能することによって、車両止めエリア(G)へ進入した車両(10)が車両進入禁止エリア(F)に向かっての走行継続を困難とする。
走行困難化装置は、車両(10)の一部または全部の進入を機能開始の条件としているので、不要な作動はしない。
第二の発明は、第一の発明に係る車両規制装置を設置する方法に係る。
すなわち、車両を進入させたくない車両進入禁止エリア(F)と車両が通行可能な走行可能エリア(H)とを仕切る壁形成体(22)を路面(E)に対して移動可能に設置できる車両規制装置(20,50等)を設置する方法である。
前記の車両規制装置は、前記の壁形成体(22,52)を支えるベース体(21,51)と、
前記の壁形成体(22,52)に対して回動可能であるとともに前記の壁形成体(22,52)を路面(E)へ設置するための路面接触体(24,25,54,55)と、
前記のベース体(21,51)に対して前記の壁形成体(22,52)とは反対側へ位置するとともに、路面(E)に接することで車両規制装置を転がり移動させることを可能とするコロ(26,56)と、
を備え、
前記の路面接触体(24,25,54,55)には、前記の壁形成体(22,52)に対して路面(E)側へ回動させることで路面(E)へ接触する接地面(24A,25A,54A,55A)を備え、
その接地面(24A,25A,54A,55A)が路面(E)に接触している場合には、前記のコロ(26,56)は、路面(E)とは接触しない位置へ移動するように形成している。
前記のような車両規制装置を設置する方法として、
前記のコロ(26,56)を路面(E)へ設置させて車両進入禁止エリア(F)へ移動させる移動行程と、
前記の壁形成体(22,52)が車両進入禁止エリア(F)または車両進入禁止エリア(F)よりも走行可能エリア(H)側となるように位置させる位置決め行程と、
前記の路面接触体(24,25,54,55)の接地面が路面へ接するようにする設置行程と、
を含む。
なお、設置行程とは反対の手順で、撤去行程がなされるのが一般的である。
第二の発明は、 接地面を路面に接触させた場合の走行可能エリア側に位置する前記の路面接触体における走行可能エリア側に、路面を覆う路面延長体を装着する延長行程を含むこととしてもよい。
第二発明によれば、設置または撤去の作業が比較的容易であり、関係車両の通行時には部分的に開閉することも可能であり、進入しようとする車両の阻止に寄与する車両規制装置を設置する方法を提供することができた。
車両進入禁止エリアFと走行可能エリアHとの間は、規制対象となる車両10を位置させる車両止めエリアGとする(図2(b)、図8(a)参照)。
図1に示すように、第一の実施形態は、車両(図1では省略)を進入させたくない車両進入禁止エリアFと車両が通行可能な走行可能エリアHとを仕切る板状の壁形成体52を移動可能に設置できる車両規制装置たるシンプル規制体50である。
すなわち、路面Eに対して壁形成体52を支えるベース体51と、壁形成体52に対して蝶番54B,54Bを介して回動可能であるとともに前記の壁形成体52を路面Eへ設置するための路面接触体54,54と、前記のベース体51に対して前記の壁形成体52とは反対側へ位置するとともに、路面Eに接することで車両規制装置を転がり移動させることを可能とするコロ56と、を備えている(図1(a))。
図2(a)には、シンプル規制体50を所望する場所へ設置する場合に用いる板状の路面延長体57を示している。
シンプル規制体50の大きさは、図2(b)に示すように、車両10の大きさに対して壁形成体52へ接触するか否かという状態の際に、車両10の前輪11が路面接触体54を乗せることができる程度となっている。したがって、走ってくる車両10の推進力を断つために車両10の後輪12までを路面との接触を断つための部体として路面延長体57,57を備える。路面延長体57を形成する材質は、合成ゴム製、金属製、あるいはそれらの組み合わせなどの選択があり得る。
図示は省略するが、路面延長体57を蝶番などで予め連結して用意しておくことは、着脱作業を素早く実行することに寄与する。
その車両10が後輪駆動または四輪駆動であっても、その推進力を奪うことができる。接地面54Aと路面Eとの摩擦力で車両10の運動エネルギを奪いきれば、車両10を止めることができる。なお、コロ56は、路面Eに接していないので、接地面54Aと路面Eとの摩擦力を減ずることはない。
車両規制する装置全体(50および57)として、規制対象となる車両の全長に合わせた大きさとすることも容易である。たとえば、図2で示した車両10よりも大きな車両に対応させるためには、3枚目、4枚目というように、路面延長体57を更に連結すれば良い。
図3に示す第二の実施形態について、第一の実施形態との相違点を説明する。
すなわち、図3に示すシンプル規制体50Aでは、第一の実施形態において採用していた収納体59(図1参照)に代わり、路面延長兼用蓋58を、走行可能エリアH側へ位置する路面接触体54に、蝶番58Bを介して備えることとしている。そして、走行可能エリアH側へ位置する路面接触体54における蝶番58Bと反対側端部は、他方の路面接触体54の端部へ引っ掛けるための引っ掛け片58Aを備えている。
路面延長兼用蓋58は、コロ56が機能する状態(図3(a))においては、シンプル規制体50Aを折り畳んだ状態に維持するための機能をなし、シンプル規制体50Aを車両規制装置として機能させる際(図3(b))には、第一の実施形態において採用していた路面延長体57の機能をなす。
図4に示す第三の実施形態について、第二の実施形態との相違点を説明する。
まず、このシンプル規制体50Bでは、第一および第二の実施形態において採用していた路面接触体54の一方、すなわち、走行可能エリアH側へ位置する路面接触体54に代えて、路面接触板体55を採用している。
また、車両10が載っていない状態においては、路面接触板体55は、路面Eからやや浮いている。
図5に示す第四の実施形態について、第一の実施形態との相違点を説明する。
第一の実施形態に係るシンプル規制隊50は、ベース体51にコロ56を装着していたが、第四の実施形態におけるシンプル規制隊50Cは、路面接触体54,54へ装着している。
蝶番54Bを介して路面接触体54,54の接地面54Aが路面Eから離れるようにし、収納体59を用いて折りたたんだ状態としたら、コロ56は路面Eへ接触し、シンプル規制隊50Cを転がして移動させることができる(図5(a))。
図6に示す第五の実施形態について、第四の実施形態との相違点を説明する。
第四の実施形態に係るシンプル規制隊50Cでは、折りたたんだ状態においてコロ56が路面設置体54,54の下側へ位置するようにしていた(図5(a))。第五の実施形態に係るシンプル規制隊50Dでは、コロ56がベース体51の下側へ位置するように路面設置体54,54へ装着している(図6(a))。
一方、図5(a)の場合、コロ56,56のホイールベース(車軸間の距離)が大きくなるので、シンプル規制隊50Cを移動させる場合に安定感が増すというメリットがある。
図7に示す第六の実施形態(コンパクト規制隊20)について、説明する。
コンパクト規制隊20と、前述してきたシンプル規制隊50,50A,50B,50C,50Dとの大きな相違点は、壁形成体22,52の形状である。
シンプル規制隊50,50A,50B,50C,50Dでは、壁形成体52がベース体51を底辺とする三角形の構造としていたが、コンパクト規制隊20では、壁形成体22を路面Eに垂直となる板状体としている。以下、更に説明する。
コロ26は、コロ軸受け26Aに軸支持されており、そのコロ軸受け26Aはベース体21へ固定されている。
具体的には、路面接触体24および車両止めエリア路面接触体25において、ベース体21に対して蝶番を介して回動可能に固定されており、その蝶番を固定している部位と接地面24A,25A側とを、断面形状が略L字形をなすような形状としている。そのL字形の部位(L字の角度は90度を超えているが)の寸法が、折りたたんだ状態(図7(a))のコロ26を路面Eから離すだけの寸法を有していることによる。
具体的には、壁支持体23は、壁形成体22の車両進入禁止エリアF側へ回動可能に固定された上リンク23Aと、禁止エリア路面接触体24の上面端部へ回動可能に固定された下リンク23Bと、からなる。上リンク23Aおよび下リンク23Bは、回動可能であり、且つ上リンク23Aおよび下リンク23Bの両軸方向が一直線上となった状態で固定可能であるように形成している(図7(b))。
図8(a)には、車両進入禁止エリアFと車止めエリアGとの間に壁形成体22が位置するように、コンパクト規制体20の路面Eの上へ設置した状態を示している。車止めエリアGの車両進入禁止エリアFとは反対側が走行可能エリアHとなる。
規制対象となる車両10の前輪11は、車止めエリア路面接触体25によって路面Eと直接の接触ができなくなり、規制対象となる車両10の後輪12は、路面延長体27によって路面Eと直接の接触ができなくなる。そのため、規制対象となる車両10は、前輪11および後輪12が車止めエリア路面接触体25および路面延長体27へ載った以後には更なる運動エネルギを作り出すことができなくなる。その車両10が後輪駆動または四輪駆動であっても、その推進力を奪うことができる。接地面24A,25Aと路面Eとの摩擦力で車両10の運動エネルギを奪いきれば、車両10を止めることができる。なお、このときのコロ26は、路面Eに接していないので、接地面24A,25Aと路面Eとの摩擦力を減ずることはない。
規制対象となる車両の全長に合わせた大きさとすることも容易である。たとえば、図2で示した車両10よりも大きな(前後方向に長い)車両に対応させるためには、3枚目、4枚目というように、路面延長体27を更に連結すれば良い。
路面延長体27,27を雪面に適した専用品として、別に準備しておくことも有効である。図示を省略するが、雪面用の路面延長体における路面E側の面には、凹凸を設けたり、ピンを突出させたりしておくのである。
なお、専用品とせず、雪面用のピンをオプションで追加できるようにしても良い(図13を用いて後述する)。
図9(a)は、車両止めエリアG側から見たコンパクト規制体20であって、車両を規制する状態の斜視図である。車止めエリア路面接触体25は、単なる板状体ではなく、スリット25Bを備えている。車両10の前輪11がスリット25Bに載ったとしても、前輪11と路面Eとが接触しない程度の厚さ寸法を備えていることを前提として設計することで、コンパクト規制体20の軽量化に寄与する。
禁止エリア路面接触体24もまた、スリット24Bを備えている(図10,11にて図示)。コンパクト規制体20の軽量化に寄与する。
図10は、車両止めエリアG側から見たコンパクト規制体20であって、運搬や保管をする状態の斜視図である。
図10(a)では、ベース体21に対して回動可能に軸支持している蝶番を介して車止めエリア路面接触体25を回動させ、車止めエリア路面接触体25側から見た斜視図を示す。
図10(b)では、ベース体21に対して回動可能に軸支持している蝶番を介して禁止エリア路面接触体24を回動させ、禁止エリア路面接触体24側から見た斜視図を示す。
図11は、禁止エリア路面接触体24および車止めエリア路面接触体25をベース体21に対して回動させ、接地面24A,25Aが路面Eへ接触した状態のコンパクト規制体20を上方から見た平面図である。試験的に製作したコンパクト規制体20の寸法については、以下の通りである。
図12(a)は、コンパクト規制体20を進入禁止エリアF側から見た正面図である。コンパクト規制体20,20を二つ並べて連結体30でつないだのが図12(b)であり、連結体30を調整して2つのコンパクト規制体20,20の間隔を詰めてセッティングしたのが図12(c)である。
コンパクト規制体20,20の間隔は、設置現場において、規制対象となる車両10のタイヤ幅よりも狭くすることとなる。
なお、コンパクト規制体20の高さ寸法L5は、750ミリメートルとして試作された。このL5や図11に示したL1〜L4は、設置作業、撤去作業、収納作業などと、車両規制の機能などを勘案した実例に過ぎず、本願発明がこれらの寸法に限られることはない。
図13は、禁止エリア路面接触体24を路面Eに対して強固に固定するためのオプション部品である、路面固定体31を図示したものである。
この路面固定体31は、縦断面がコ字形をなす長尺体32と、その長尺体32の開口とは反対向きの下方へ刃先を向けて固定される複数のスパイクピン36と、長尺体32および禁止エリア路面接触体24を固定する複数のクランプ33と、そのクランプ33による固定および固定解除を操作するクランプハンドル34と、を備える。スパイクピン36は、長尺体32に巻き付いて固定されるピングリップ35と一体に形成されている。
クランプハンドル34の軸方向が路面に対して水平となる位置では、クランプ33は長尺体32を締め付けており、路面固定体31は禁止エリア路面接触体24に固定される。
なお、スパイクピン36の寸法や材質を変更することで、路面Eがアスファルトであっても食い込みやすくする、といったオプションを用意することも可能である。
図14に示すのは、図7などに示していた上リンク23Aおよび下リンク23Bの組み合わせによる壁支持体23とは異なる形態を採用した実施形態である。
すなわち、上リンク23Aおよび下リンク23Bの組み合わせではなく、一本の壁支持パイプ23Cを、壁支持体22および禁止エリア路面接触体24に対して着脱自在とした支持パイプ型規制体20Aである(図14(a)参照)。
また、壁支持体22および禁止エリア路面接触体24から外した壁支持パイプ23Cは、禁止エリア路面接触体24および車止めエリア路面接触体25を折り畳んだ状態において、壁形成材22との間にできる空間へ収納することが可能である。そのため、支持パイプ型規制体20Aは、運搬時や収納時において上リンク23Aおよび下リンク23Bの組み合わせによる構造(コンパクト規制体20)と比較しても、コンパクト性を損うことはない。
図15に示すのは、走行困難化装置40の一種を示す実施形態である。
走行困難化装置40とは、車両止めエリアGへ車両10の一部または全部が侵入したことをトリガーとして作動し、車両10が車両止めエリアGから車両禁止エリアFへ向かって継続的に走行することを困難とするための装置である。
コンパクト規制体20の壁形成材22における車止めエリアG側へ、クッション材(図22)を設置することは有効である。クッション材としては、たとえば、アルミニウム製のハニカム構造、古タイヤ、合成ゴム製などの袋体へ空気を入れたもの(より具体的には、タイヤチューブ)、などがある。
図16に示す走行困難化装置40は、路面延長体27における走行可能エリアH側の端部に備えたシャーシリフト装置44である(図16(a))。
このシャーシリフト装置44は、車両止めエリアGに進入してきた車両10に踏まれた場合にロックされていたコイルスプリング(図示を省略)が解除され、走行可能エリアH側に倒されていたリフト片45が回動して立ち上がる(図16(b))。このリフト片45の高さ寸法は、侵入が想定される車両10の車高寸法よりも大きくしている。
しかし、前輪11がリフト片45を踏み越えた後の車両10のシャーシに対し、立ち上がったリフト片45が接触する。リフト片の高さは車両10の車高寸法よりも大きいので、車両10の後輪12を浮かせることとなる。浮いた後輪12は車両10を推進させる力には寄与しないので、その後の車両10の走行を困難とすることに寄与する。
図17に示す走行困難化装置40は、図16にて説明したリフト片45の形状を異ならせたバリエーションとしてのシャーシ傾斜装置46である。
このシャーシ傾斜装置46のリフト片は、路面延長体27の幅方向に対して、高さ寸法を連続的に異ならせており、中央付近で車高寸法を超えるようにしている(図17(a),(b))。
浮いた後輪12は車両10を推進させる力を奪い、且つ車両10の運転者の乗車姿勢を異常な状態にする。そのことで、車両10の走行を困難とすることに寄与する。
図示を省略しているが、シャーシリフト装置44やシャーシ傾斜装置46に用いたリフト片の代わりにエアバッグを採用しても良い。この場合、所定の速度または加速度で車両10が路面延長体27を通過したらエアバッグが膨らむトリガーを併せて備える。エアバッグを取り付ける場所、エアバッグが膨らむタイミングやその大きさ、車両の速度などの条件によっては、車両進入禁止エリアFへ進入しようとする車両を転がすこととなる場合もある。
図18では、車両進入禁止エリアFに対して、車両止めエリアGへコンパクト規制体20を二列配置した状態を示している。
走行可能エリアHに近い側へ配置して固定したコンパクト規制体20に路面延長体27を備える。車両進入禁止エリアFに近い側へ配置して固定したコンパクト規制体20には、路面延長体27を備えない。
図19に示す側板型規制体20Bは、前述してきたリンク体23A,23Bや、壁支持パイプ23Cとは異なり、壁形成体22の両側を板状の壁支え側板23Dにて壁形成体22を支持する車両規制装置である。
なお、図示を省略しているが、2枚の路面延長体27,27蝶番などで連結して用意しておくことは、組立時間を減らすことができ、有効である。
図20(a)では、側板型規制体20Bを折り畳んだ状態で運搬車が運ぶ様子を示している。
禁止エリア路面接触体24の一方の側部にはコロ26を固定しており、反対側の側部には持ち手29Aを固定している。
側板型規制体20Bを折り畳んだ状態で運ぶ場合、運搬者は、この持ち手29Aをつかんで立ち上がる。すると、路面Eにコロ26が接触するので、運びやすい。
図21では、車両規制装置(側板型規制体20B)の壁形成体22へ固定するオプション部材としての跳ね上がり抑制片61を示している。
この跳ね上がり抑制片61は、壁材20の水平方向寸法と同じ長さの三角柱である。
図21(b)に示すように、ボルトおよびナットの組み合わせで壁材20の上端へ固定する。
図22に示すのも、車両規制装置の壁形成体22へ固定して機能するオプション部材である。このオプション部材は、キューブ形状をなすクラッシャー片62である。
クラッシャー片62は、図22(c)に拡大図を示しているが、アルミニウム製でハニカム構造をなす。このクラッシャー片52もまた、ボルトおよびナットの組み合わせで壁形成体22へ固定される。
このクラッシャー片62は、車両10が壁形成体2へ衝突した場合につぶれることによって、その車両10の運動エネルギを吸収する。
F ;車両進入禁止エリア G ;車両止めエリア
H ;走行可能エリア
10 ;車両 11 ;前輪
12 ;後輪
20 ;コンパクト規制体 20A;支持パイプ型規制体
20B:側板型規制体
21 ;ベース体
22 ;壁形成体 22A;壁用柱体
23 ;壁支持体 23A;上リンク
23B;下リンク 23C;壁支持パイプ
23D;壁支え側板
24 ;禁止エリア路面接触体 24A;接地面
24B;スリット
25 ;車両止めエリア路面接触体 25A;接地面
25B;スリット
26 ;コロ 26A;コロ軸受け
26B;コロ軸支持体
27 ;路面延長体 28 ;前輪カバー材
29 ;折り畳み固定体 29A;持ち手
30 ;連結体(鎖)
31 ;路面固定体 32 ;長尺体
33 ;クランプ 34 ;クランプハンドル
35 ;ピングリップ 36 ;スパイクピン
40 ;走行困難化装置
41 ;噴霧スプレー 42 ;噴霧タンク
43 ;ペンキ
44 ;シャーシリフト装置 45 ;リフト片
46 ;シャーシ傾斜装置
50 ;シンプル規制体
50A;シンプル規制体(路面延長兼用蓋)
50B;シンプル規制体(路面接触体が非対称)
50C;シンプル規制体(路面接触体にコロ)
50D;シンプル規制体(路面接触体にコロ)
51 ;ベース体 52 ;壁形成体
54 :路面接触体(断面L字形) 54A;接地面
54B;蝶番
55 ;路面接触板体 55A;接地面
55B;蝶番
56 ;コロ
57 ;路面延長体
58 ;路面延長兼用蓋 58A;引っ掛け片
58B;蝶番
59 ;収納体
60 ;衝撃吸収体 61 ;跳ね上がり抑制片
62 ;クラッシャー片
Claims (9)
- 車両を進入させたくない車両進入禁止エリアと車両が通行可能な走行可能エリアとを仕切る壁形成体を路面に対して移動可能に設置できる車両規制装置であって、
前記の壁形成体に対して回動可能であるとともに前記の壁形成体を路面へ設置するための路面接触体と、を備え、
前記の路面接触体は、前記の壁形成体に対して車両進入禁止エリア側へ回動させることで路面へ接触する接地面を備える禁止エリア路面接触体と、
前記の壁形成体に対して走行可能エリア側へ回動させることで路面へ接触する接地面を備える車止めエリア路面接触体と、を備え、
前記の車止めエリア路面接触体は、車両が前記の壁形成体に衝突した場合に、当該車両の少なくとも前輪を載せることが可能な大きさとした車両規制装置。 - 前記の壁形成体を支えるベース体と、
前記のベース体に対して前記の壁形成体とは反対側へ位置するとともに、路面に接することで車両規制装置を転がり移動させることを可能とするコロと、を備え、
前記の禁止エリア路面接触体および前記の車止めエリア路面接触体は、前記のベース体に対して回動自在に固定されており、
前記の接地面が路面に接触している場合には、前記のコロは、路面とは接触しない位置へ移動するように形成した請求項1に記載の車両規制装置。 - 接地面を路面に接触させた場合の走行可能エリア側に位置する前記の路面接触体における走行可能エリア側には、路面を覆う路面延長体を、着脱自在に備えた
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両規制装置。 - 隣り合う複数の車両規制装置それぞれの前記の壁形成体が連続した面となるように互いを連結可能であるように形成した
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両規制装置。 - 前記の壁形成体における車両進入禁止エリア側には、前記の路面接触体の接地面が路面へ接触している場合に前記の壁形成体を支持する壁支持体を備え、
その壁支持体は、前記の路面接触体を前記の壁形成体に近づける方向へ回動させた場合に、路面接触体と壁形成体との間に位置することが可能であるように形成した
請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両規制装置。 - 前記の路面接触体の接地面を路面へ固定するための路面固定体を備え、
その路面固定体には、路面へ打ち付ける杭体を備えた
請求項1から請求項5のいずれかに記載の車両規制装置。 - 前記の走行可能エリアから前記の車両進入禁止エリアへ向かってくる車両を走行可能エリアおよび車両進入禁止エリアの間に位置する車両止めエリアにてその走行継続困難とするための走行困難化装置を備え、
その走行困難化装置は、前記の車両止めエリアへ車両の一部または全部が侵入した場合に機能することとした
請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両規制装置。 - 車両を進入させたくない車両進入禁止エリアと車両が通行可能な走行可能エリアとを仕切る壁形成体を路面に対して移動可能に設置できる車両規制装置を設置する方法であって、
前記の車両規制装置は、前記の壁形成体を支えるベース体と、
前記の壁形成体に対して回動可能であるとともに前記の壁形成体を路面へ設置するための路面接触体と、
前記のベース体に対して前記の壁形成体とは反対側へ位置するとともに、路面に接することで車両規制装置を転がり移動させることを可能とするコロと、を備え、
前記の路面接触体には、前記の壁形成体に対して路面側へ回動させることで前記の路面へ接触する接地面を備え、
その接地面が路面に接触している場合には、前記のコロは、路面とは接触しない位置へ移動するように形成しており、
前記のコロを路面へ設置させて車両進入禁止エリアへ移動させる移動行程と、
前記の壁形成体が車両進入禁止エリアまたは車両進入禁止エリアよりも走行可能エリア側となるように位置させる位置決め行程と、
前記の路面接触体の接地面が路面へ接するようにする設置行程と、
を含むこととした車両規制装置の設置方法。 - 接地面を路面に接触させた場合の走行可能エリア側に位置する前記の路面接触体における走行可能エリア側に、路面を覆う路面延長体を装着する延長行程を含むこととした
請求項8に記載の車両規制装置の設置方法。
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