JP3212912B2 - 酸素吸収剤及びその製法 - Google Patents

酸素吸収剤及びその製法

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JP3212912B2 JP19030997A JP19030997A JP3212912B2 JP 3212912 B2 JP3212912 B2 JP 3212912B2 JP 19030997 A JP19030997 A JP 19030997A JP 19030997 A JP19030997 A JP 19030997A JP 3212912 B2 JP3212912 B2 JP 3212912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素吸収剤、特に
樹脂配合用に適した酸素吸収剤及びその製法に関するも
ので、より詳細には、樹脂中に配合された状態での酸素
吸収速度が大きく、しかも樹脂への分散の均一性及び一
様性に優れていると共に、還元性鉄粉に対する酸化促進
剤の固着の程度が極めて高く、酸素吸収効率の高い酸素
吸収剤、すなわち樹脂配合用に適した酸素吸収剤及びそ
の製法に関すうものであり、化学品製造技術、食品包装
技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】食品容器等内に残留する酸素を捕捉し或
いは容器壁を透過する酸素を捕捉するために、容器壁等
を構成する樹脂中に酸素吸収剤(脱酸素剤とも呼称され
る)を配合することは従来から知られており、例えば、
特開昭57−194959号公報には、容器蓋殻体と該
殻体の密封部に設けられた密封用ガスケットからなる容
器蓋において、該密封用ガスケット中に固体の酸素吸収
剤を含有せしめたことを特徴とする容器蓋が記載されて
いる。また、特開平1−27829号公報には、20℃
・0%RHでの酸素透過係数が10-12 cc・cm/c
-2・sec・cmHg以下で且つ20℃・100%R
Hでの水分吸着量が0.5重量%以上であるガスバリヤ
ー性樹脂に脱酸素剤及び吸水剤を配合した組成物からな
る樹脂層を備えていることを特徴とするプラスチック多
層容器が記載されている。
【0003】一方、鉄粉の表面に酸化促進剤等を被覆し
たものを酸素吸収剤として使用することも既に知られて
おり、特開昭53−14185号公報には、金属粉10
0部に対し0.001〜5部のハロゲン化金属を被覆
し、且つ水分含有量を1重量%以下にしたハロゲン化金
属で被覆された金属粉からなる酸素吸収剤が記載されて
いる。これら酸化促進剤を被覆した鉄粉からなる酸素吸
収剤を樹脂に配合することも、前述した特開昭57−1
94959号公報に記載されている。また、特開平2−
72851号公報には、脱酸素剤がフィルム中に分散さ
れてなる熱可塑性樹脂フィルムを延伸してなる脱酸素剤
含有微多孔フィルムが記載され、脱酸素剤として、鉄粉
の表面を八ロゲン化金属塩で被覆したものを使用するこ
とが記載されている。更に、特開平6−170940号
公報には、一次粒子径が0.01〜204μmであり、
凝集粒子径が5〜2001μmである鉄粉30〜85重
量部と電解質水溶液とを混合したものと、熱可塑性樹脂
15〜70重量部とを混練し、シート加工した後、少な
くとも一軸方向に1.5〜9倍の倍率で延伸することを
特徴とする酸素吸収性シートの製造方法が記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】樹脂中に配合された酸
素吸収剤は、ハロゲン化金属塩等の酸化促進剤が有する
水分を吸着する作用と、水分の存在下に鉄粉等が酸化作
用により酸素を吸収する作用の結果として、当該酸素吸
収剤の配合された樹脂で作られた容器内の酸素或いは当
該樹脂で作られた器壁を通過する酸素を吸収するという
ものであるが、公知の酸素吸収剤配合樹脂は、容器内の
酸素を吸収するのに長時間を要するなど、酸素吸収速度
が未だ十分に高いものとはいえず、内容物保存性の点で
も未だ十分に満足しうるものではない。この理由の一つ
として、公知の酸素吸収剤は、樹脂中に配合されたと
き、鉄粉等の酸素吸収剤本体と被覆された酸化促進剤が
分離する傾向が非常に大きく、そのため、還元性鉄粉の
すぐそばに酸化促進剤が存在しないことによることが推
定される。さらに、樹脂成型品に凹凸を発生(膨れ)さ
せ、容器の外観や性能を低下させるという問題の原因も
樹脂中に独立して存在するようになった酸化促進剤の吸
水にあるものと思われる。
【0005】酸素吸収剤本体と被覆された酸化促進剤と
の樹脂中での分離は、酸素吸収剤本体と酸化促進剤との
問の密着力が小さく、両者の混練に際して互いに分離す
るとごいう結果を生ずるのであるが、それは酸素吸収剤
粒子と酸化促進剤との問の密着力が小さいという問題だ
けに帰属するのではなく、それと同時に樹脂に酸素吸収
剤を配合する際の混練時における剪断力が極めて大きい
ことにも起因している。
【0006】本発明は、これら従来の樹脂配合用酸素吸
収剤が有している問題点を解消し、樹脂に配合した状態
での酸素吸収速度が大きく、しかも樹脂への分散の均一
性及び一様性や外観特性に優れていると共に、酸素吸収
効率の高い酸素吸収剤及びその製法を提供することを目
的とするものである。本発明は、還元性鉄粉に被覆され
た酸化促進剤の鉄粉への固着の程度が極めて高く、高い
酸素吸収効率を有する酸素吸収剤及びその製法を提供す
ることをも目的にするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、還元性鉄
粉と酸化促進剤の粉末或いはこれらと滑剤を扁平状粒子
とすることにより、従来の問題点が解消され本発明の目
的が達成されることを見出して本発明を完成したのであ
る。すなわち、本発明は、還元性鉄粉及び酸化促進剤又
はこれらと滑剤からなる酸素吸収剤において、圧縮度が
20%以上でアスペクト比0.75以下の扁平状粒子が
全粒子の50重量%以上であることを特徴とする酸素吸
収剤に関する発明と、還元性鉄粉及び酸化促進剤又はこ
れらと滑剤を圧縮力を加えて混合し、圧縮度が20%以
上でアスペクト比0.75以下の扁平状粒子が全粒子の
50重量%以上である酸素吸収剤を得ることを特徴とす
る酸素吸収剤の製法に関する発明からなるものである。
【0008】
【発明の実施形態】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明の酸素吸収剤は還元性鉄粉及び酸化促進剤さ
らには滑剤を成分とするものであり、それぞれは以下の
様なものが用いられる。還元性鉄粉は、例えば、鉄鋼の
製造工程で得られる酸化鉄(例えばミルスケール)をコ
ークスで還元し、できた海綿鉄を粉砕後、水素ガスや分
解アンモニアガス中で仕上げ還元を行ったり、酸洗工程
で得られる塩化鉄水溶液から鉄を電解析出させ、粉砕
後、仕上げ還元をすることによって得られるもの、ある
いは純粋な原料を用いる溶融鉄の非酸化雰囲気中への噴
霧や、純粋な金属鉄の粉砕、或いはカルボニル鉄の水蒸
気熱分解によって製造したもの等が本発明に用いられ
る。還元性鉄粉は、一般的に表面から内部にかけて多数
の微細孔を有する海綿状の多孔質細粒であり、本発明に
おいては0.5m2 /g以上の比表面積及び2.2g/
cc以下の見掛け密度を有するものが好ましく、比表面
積が0.5m2 /gを下回る場合や、見掛け密度が2.
2g/ccを上回る場合、得られる酸素吸収剤の酸素吸
収速度が低下し、それらを用いて製造された容器内の残
留酸素量は前記範囲内のものを用いた場合に比してかな
り増大するだけでなく、容器の酸素バリヤー性が低下す
る恐れがある。また、粒径は、酸化促進剤との分散性を
よくするために、通常、平均粒径として150μm以
下、好ましくは100μm以下のものが用いられるが、
あまり微粉のものは、混合及び充填などの製造工程にお
いて、粉立ちしたり、流動性が悪くなるので、平均粒径
として10μm以上のものが好適である。さらに、適用
された樹脂の劣化を防止し、フレーバー保持性を向上さ
せるという見地から、鉄粉における不純物としての銅の
含有量が150ppm以下、硫黄の含有量が500pp
m以下であるものが好ましい。
【0009】酸化促進剤は、第一に公知の水溶性乃至潮
解性無機電解質を挙げることができる。その具体例とし
て、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、
硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナト
リウム、リン酸三ナトリウム、炭酸カリウム、硝酸ナト
リウム等の無機塩類等が挙げられる。これらの内でも、
アルカリ金属の塩化物、特に多価金属の塩化物、例えば
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化
第二鉄、塩化第二銅、塩化コバルト、塩化すず、塩化亜
鉛等が好ましい。また、これらの酸化促進剤は単独で使
用してもよいが、塩化マンガン(MnCl2 )等のマン
ガン塩等との組合せ使用も、酸化促進による酸素吸収に
有効であり、好ましい方法である。さらに、酸化促進剤
として、水溶性の有機化合物も有効であり、この例とし
て、グルコース、果糖、ショトウ、ゼラチン、変性カゼ
イン、変性デンプン、トラガントゴム、ポリビニールア
ルコール、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギ
ン酸ナトリウム等の有機化合物等が挙げられる。これら
の有機系の酸化促進剤は、還元性鉄粉との組合せで酸素
吸収剤の形で熱可塑性樹脂に配合する以外に、成形され
た酸素吸収剤とは別に樹脂に配合することもできる。本
発明においては、酸化促進剤は還元性鉄粉当たり0.1
乃至10重量%、特に0.2乃至5重量%の量で使用さ
れるのが好ましく、酸化促進剤の量がこの範囲を下回る
場合には、酸素吸収速度が低下する傾向があり、一方上
記範囲を上回る場合には、樹脂に混練された場合、樹脂
の耐水性や他の物性を低下させるので好ましくない。
【0010】滑剤は、酸素吸収剤樹脂中への分散性向上
及び酸素吸収反応のコントロールのために用いられるも
のであって、酸素吸収剤の粉体としての流動性の向上と
酸素吸収剤の樹脂中への分散性の向上のために、酸化促
進剤との組み合わせで使用される。具体的に使用される
ものとしては公知のものが任意に、単独或いは組み合わ
せて用いられる。使用し得る滑剤の具体例としては、次
の様なものが挙げられる。流動パラフィン・工業用白色
鉱油・合成パラフィン・石油系ワックス・ペトロラタム
・無臭軽質炭化水素等の脂肪族炭化水素系化合物、オル
ガノポリシロキサン等のシリコーン、高級脂肪酸・炭素
数が8〜22の動物または植物油脂から得られた脂肪酸
及びそれらの脂肪酸の水素添加物・ヒドロキシステアリ
ン酸・直鎖脂肪族一価アルコール・トリデシルアルコー
ル等の脂肪酸、脂肪族アルコール、分子量200〜95
00のポリエチレングリコール・分子量1000以上の
ポリプロピレングリコール・分子量1900〜9000
のポリオキシプロピレンーポリオキシエチレンーブロッ
ク重合体等のポリグリコール、高級脂肪酸アマイド・オ
レイルパルミトアマイド・ステアリルアマイド・2ステ
アロミドエチルステアレート・エチレンビス脂肪酸アマ
イド・NN’−オレオイルステアリルエチレンジアミン
・NN’−ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C1
2一C18)アマイド・NN’−ビス(ヒドロキシエチ
ル)ラウロアマイド・N−アルキル(C16〜C18)
トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸・脂肪酸ジ
エタノールアミン・ジ(ヒドロキシエチル)ジエチレン
トリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステル等
の・アマイド、アミン、ステアリン酸n−プチル・水添
ロジンメチルエステル・セバチン酸ジブチル・セバチン
酸ジオクチルく2エチルヘキシル>・グリセリン脂肪酸
エステル・グリセリンラクトステアリル・ペンタエリス
リトールのステアリン酸エステル・ペンタエリスリトー
ルテトラステアレートソルビタン脂肪酸エステル・ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル・ポリエチレングリ
コールモノステアレート・ポリエチレングリコールジラ
ウレート・ポリエチレングリコールモノオレエート・ポ
リエチレングリコールジオレエート・ポりエチレングリ
コールヤシ脂肪酸エステル・ポリエチレングリコールト
ール油脂肪酸エステル・エタンジオールモンタン酸エス
テル・1,3−ブタンジオールモンタン酸エステル・ジ
エチレングリコールステアリン酸エステル・プロピレン
グリコール脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、綿実油
及びその他の食用油・アマニ油・パーム油・12−ヒド
ロオキシステアリン酸のグリセリンエステル・水添魚油
・牛脂・スパームアセチワックス・モンタンワックス・
カルナバワックス・密蝋・木蝋等のトリグリセライド、
ワックス、高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金
属、亜鉛及びアルミニウムの塩(金属石鹸)、低分子量
ポリエチレン・低分子量ポリプロピレン・酸化ポリエチ
レン等の低分子量オレフィン樹脂、ポリ4フツ化エチレ
ン・4フッ化エチレン/6フッ化プロピレン共重合体・
ポリ塩化3フツ化エチレン・ポリフッ化ビニル等のフッ
素系樹脂、プロピレングリコールアルギネート、ジアル
キルケトンアクリルコポリマー(例えばモンサント社製
モダフロー等)である。これらの中で特に好適な滑剤
は、高級脂肪酸乃至その誘導体、或いは炭化水素系化合
物、特に樹脂である。滑剤は、還元性鉄粉当たり0.0
1乃至5.0重量%、特に0.1乃至3.0重量%の量
で用いるのがよく、上記範囲を下回ると、分散性の向上
や反応のコントロール作用が十分に発揮されず、上記範
囲を上回っても格別の利点はなく、滑性過多や酸素吸収
速度の低下などの不利を招きやすい。
【0011】本発明の酸素吸収剤は扁平状粒子を主成分
とすることを特徴とするものであり、それらは後述する
製法で製造されるが、特にそれで製造されたものに限定
されるものではない。特に本発明にとり好ましいもの
は、圧縮度が20%以上、特に25%以上で、アスペク
ト比(短軸寸法/長軸寸法)0.75以下を満たす扁平
状粒子が全粒子の50重量%以上、特に60重量%以上
であることを特徴とする酸素吸収剤である。すなわち、
本発明の酸素吸収剤の粒子の構造を図1に模式的に示す
と、粒子10は、還元性鉄粉のコア粒子20の表面に酸
化促進剤又は酸化促進剤と滑剤30とが固着した扁平
の粒子形状をとっており、この粒子の長軸寸法aとこの
長軸と直交する短軸寸法Bとの比が前記範囲に入るもの
が本発明にとり好ましい粒子などである。それらのアス
ペクト比は顕微鏡写真より求めたものであり、圧縮度は
以下の様にして求められるものである。
【0012】〇 圧縮度の算出方法 見掛けの密度と固めの見掛け密度とから、下記式Iによ
り算出される値を圧縮度とする。
【0013】
【式1】
【0014】なお、見掛け密度と固めの見掛け密度は以
下の方法で測定した。 ○ 見掛け密度の測定方法 JIS−K−6721に準じて行なったが、漏斗の流出
ストッパーと受器の間隔を38mmとして行なった。受
器は容量5cm3 の円筒形である。漏斗中に測定試料を
注ぎ、流れ出た試料が受器一杯になってあふれ始めたら
直ちに流入を止め、振動を与えないように受器の上に盛
り上がった粉末をヘラで受器の上端に沿って平にかきと
る。受器の外側に付着した粉末を静かに除去し、コップ
の重量を秤量して求める。 ○ 固めの見掛け密度の測定方法 見掛け密度と同様に受器に粉末を上端一杯まて入れる。
この粉末入りの受器を水平に3cm上げ落下させる。こ
の操作を30回行ない、粉末が圧縮されて出来た受器上
端の空間に更に粉末を注ぐ。同様に30回落下させて粉
末を圧縮させる。更に出来た受器空間に粉末を入れ、落
下させるという操作を計6回繰り返えし、最後に上端を
平にかきとり精秤し、固めの見掛け密度を求める。
【0015】本発明の酸素吸収剤としては、更にレーザ
散乱法で測定されるメヂアン粒子径が10乃至50μm
で、0.5m2 /g以下の比表面積及び2.2g/cc
以下の見掛け密度を有する特性を有する粒子であるもの
が好ましい。メヂアン粒子径が上記範囲内にある酸素吸
収剤は、熱可塑性樹脂中への分敬性に優れていると共
に、酸素吸収性にも優れている。また、アスペクト比が
0.75以下のものが50%を下回る酸素吸収剤や圧縮
度が20%を下回る酸素吸収剤を用いた場合には、酸素
吸収性能に劣るようになる傾向が認められ、これを配合
した樹脂組成物から形成される成形体は外観特性も劣る
ようになる。これは、アスペクト比を小さくし或いは圧
縮度を大きくすること、即ち扁平度を増大させること
が、粒子の表面積の増大による酸素吸収速度の増大をも
たらし、酸素吸収剤粒子の樹脂組成物の溶融流動方向、
即ち層方向への配向をもたらし、これが厚み方向への膨
れやクラックを防止するのに役立っているためと思われ
る。また、これは原料の鉄粉の場合にも述べたことであ
るが、比表面積が0.5m2/gを下回る場合や、見掛け
密度が2.2g/ccを上回る場合、酸素吸収速度が低
下し、容器内の残留酸素量がかなり増大するおそれがあ
るだけでなく、容器の酸素バリヤー性が低下する様にな
る。
【0016】本発明の酸素吸収剤としては、下記の式II
で求められる混練された樹脂中においての固着率が50
%以上、特に60%以上のものが好ましく、その様な固
着率を有する酸素吸収剤は、酸素吸収剤を構成する還元
性鉄粉及び酸化促進剤又はこれらと滑剤を圧縮カを加え
て混合して扁平状粒子とすることにより容易に製造する
ことができる。
【0017】
【式2】
【0018】なお、回収吸収剤中に含まれる酸化促進剤
量は、ポリプロピレンペレット中に混練されている酸素
吸収剤を、ペレットから熱キシレンを用いて回収し、回
収された酸素吸収剤に含まれる量を元素分析で求めたも
のである。
【0019】本発明の酸素吸収剤は扁平状粒子を主成分
とすることを特徴とするものてあり、それらは前述した
様に以下の製法で製造されるが、特にこの方法で製造さ
れたものに限定されるものではない。すなわち、還元性
鉄粉と酸化促進剤の粉末或いはこれらと滑剤とからなる
組成物を乾式固相で圧縮力を伴う混練方法(以下乾式ミ
リングという)により製造され、乾式ミリングの具体的
な方法としては、スチール製、陶製等のボールを使用す
る振動ミル、ボールミル、チユーブミル等による混合方
法を上げることができる。上記ミルを用いて還元性鉄粉
と酸化促進剤の粉末或いはこれらと滑剤とを混合するた
めに必要な時間としては、一般に1.0乃至20.0時
間であり、求める粒子の扁平状態、固着状態及び整粒状
態に応じて適宜設定することができる。本発明の酸素吸
収剤において、還元性鉄粉に酸化促進剤と滑剤を混合す
る際は、両者を同時に混合してもよいが、まず酸化促進
剤を混合し、後に滑剤を混合するという2段階の混合方
法を採用することもできる。乾式ミリング後得られる酸
素吸収剤粒子は、一般に必要でないが、飾い分け、風力
分級等の操作で、遊離の酸化促進剤の微粉末を分離除去
して使用に供することも好ましいことである。
【0020】本発明による酸素吸収剤は、樹脂に配合し
て使用されるのに適したものであり、本発明の酸素吸収
剤を樹脂に配合して用いる場合は、樹脂100重量部当
たり本発明の酸素吸収剤1乃至200重量部、特に好ま
しくは5乃至75重量部の量で配合して用いられる。酸
素吸収剤の配合量が上記範囲よりも少ない場合には、樹
脂組成物としての酸素吸収性が、上記範囲内にある場合
に比して、かなり低下する傾向があり、一方酸素吸収剤
の配合量が上記範囲よりも多い場合には、容器等の成形
物への成形性や成形物の物性が、上記範囲内にある場合
に比して、かなり低下する恐れがある。用いられる樹脂
としては、例えば低密度ポリエチレン・高密度ポりエチ
レン・ポリプロピレン・ポリ1‐ブテン、ポリ4‐メチ
ルー1‐ペンテンあるいはエチレン・プロピレン・1−
ブテン・4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフイン
同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレ
フィン、エチレン/酢酸ビニル共重合体・エチレン/ビ
ニルアルコール共重合体・エチレン/塩化ビニル共重合
体等のエチレン/ビニル化合物共重合体、ポリスチレン
・アクリロニトリル/スチレン共重合体・ABS樹脂・
α−メチルスチレン/スチレン共重合体等のスチレン系
樹脂、ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン・塩化ビニ
ル/塩化ビニリデン共重合体・ポリアクリル酸メチル・
ポリメタクリル酸メチル等のビニル重合体、ナイロン6
・ナイロン6−6・ナイロン6−10・ナイロン11・
ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ート・ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド
等あるいはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂を挙げるこ
とができる。さらに酸素吸収剤を配合する樹脂として、
熱可塑性樹脂とエラストマーのプレンド物も挙げられ、
熱可塑性のエラストマーとしては、例えばエチレン/プ
ロピレンゴム(EPR)・エチレン/プロピレン/ジエ
ンゴム(EPDM)・スチレン/ブタジエン/スチレン
ブロック共重合体・スチレン/イソプレン/スチレンブ
ロック共重合体・水素化スチレン/ブタジエン/スチレ
ンブロック共重合体・水素化スチレン/イソプレン/ス
チレンブロック共重合体・水素添加ブタジエン/イソプ
レンブロック共重合体・ニトリル/プタジエンゴム(N
BR),スチレン/ブタジエンゴム(SBR)・クロロ
プレンゴム(CR)・ポリブタジエン(BR)・ポリイ
ソプレン(IIB)・ブチルゴム・天然ゴム・熱可塑性
ポリウレタン・シリコーンゴム・アクリルゴム等が挙げ
られる。これらの樹脂の中では、酸素透過性を有する熱
可塑性樹脂、特にオレフィン系樹脂が好ましく、エラス
トマーとしては炭化水素系エラストマー、特にEPRや
EPDMが好ましい。
【0021】酸素吸収剤と樹脂との混合は、所謂ドライ
ブレンドでもメルトブレンドでもよく、また酸素吸収剤
の分散を良好に行うために、酸素吸収剤を高濃度で含有
する樹脂組成物(マスターバッチ)を製造し、このマス
ターバッチを樹脂に配合することもできる。本発明の酸
素吸収剤が配合された樹脂は、包装容器形成用、すなわ
ち酸素吸性包装容器の製造に適したもので、酸素吸収性
包装容器は、酸素吸収剤含有熱可塑性樹脂層を器壁に備
えている限り、任意の層構成をとりうるが、一般に酸素
吸収剤配合樹脂で形成された層の両側に、酸素吸収剤未
配合及び顔料配合の熱可塑性樹脂層を積層したものが、
容器の外観特性や、内容物の衛生的特性の点から望まし
い。酸素吸収性包装容器の多層構造の一例として、耐湿
性熱可塑性樹脂による外層、接着剤樹脂層、ガスバリヤ
ー性樹脂から成る第一の中間層、接着剤樹脂層、酸素吸
収剤配合樹脂から成る第二の中間層及び耐湿性熱可塑性
樹脂の内層からなるものを挙げることができる。酸素吸
収剤配合樹脂層は、容器内に許容される酸素量や容器形
状によっても相違するが、一般に10乃至200μm、
特に20乃至150μmの厚みを有することが望まし
い。一方、上記酸素吸収剤配合樹脂層の両側に設ける耐
湿性樹脂層は、一般に20乃至300μm、特に50乃
至150μmで且つ中間層の厚みの0.1乃至30倍、
特に0.5乃至10倍の厚みを有するのがよい。また、
内層と外層の厚みは、等しくてもよく、内層又は外層の
何れか一方が他方の層よりも厚さの大きい構造となって
いてもよい。また、ガスバリアー性樹脂層の厚みは、一
般に5乃至100μm、特に10乃至50μmの厚みを
有することが好ましい。
【0022】包装容器は、それ自体公知の方法で製造が
可能である。例えば、この容器は多層同時押出で製造す
ることができ、各樹脂層に対応する押出機で樹脂乃至樹
脂組成物を溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダ
イ等の多層多重ダイスを通して所定の形状に押出す。ま
た、各樹脂層に対応する射出機で樹脂乃至樹脂組成物を
溶融混練した後、射出金型中に共射出又は遂次射出し
て、多層容器又は容器用のプリフオームを製造する。更
にドライラミネーション、サンドイッチラミネーショ
ン、押出コート等の積層方式も採用し得る。成形物は、
フイルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン
乃至はパイプ、ボトル乃至チユーブ成形用プリフオーム
等の形をとり得る。パリソン、パイプ或いはプリフオー
ムからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチ
オフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行わ
れる。また、パイプ乃至はプリ7オームを冷却した後、
延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧に
よって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブロー
ボトル等が得られる。また、フイルム乃至シートを、真
空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の
手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装
容器が得られる。更に、多層フイルムにあっては、これ
を袋状に重ね合せ或いは折畳み、周囲をヒートシールし
て袋状容器とすることもできる。
【0023】
【作用】本発明の還元性鉄粉及び酸化促進剤又はこれら
と滑剤からなる扁平状粒子を主成分とする酸素吸収剤
は、樹脂中に配合された状態での酸素吸収速度が大き
く、しかも樹脂への分散の均一性及び一様性に優れてい
ると共に、還元性鉄粉に対する酸化促進剤の固着の程度
が極めて高いものであり、また、この様に優れた酸素吸
収剤は、本発明の製法、すなわち圧縮力を加えて混合す
るという乾式ミリングで容易に得られるのである。この
乾式ミリングでは、酸化促進剤の粉末が粉砕されつつ、
還元性鉄粉粒子の表面にこすりつけられ、固着層とする
作用を有するものであり、この固着層の形成は、従来の
単なる混合や、還元性鉄粉を酸化促進剤の水溶液と混合
して乾燥する方法では、決して達成されないものであ
る。さらに乾式ミリングは還元性鉄粉に酸化促進剤を強
固に固着させるばかりではなく、還元性鉄粉粒子を前述
した粉体特性を満足する紡錘状乃至扁平状粒子に整粒す
るという作用をももたらすのである。すなわち、乾式ミ
リングは、還元性鉄粉を特定の粒度に粒度調整し、しか
も還元性鉄粉粒子の扁平度を特定の範囲に制御するとい
う望ましい作用を行い、酸素吸収剤配合樹脂における酸
素の吸収が、結局のところ酸素吸収剤粒子の表面を通し
て行われるものであるから、比表面積や見掛け密度を特
定の範囲に調整できるということは、粒子表面からの酸
素吸収を有効に制御できるという作用を奏するのであ
る。還元性鉄粉と酸化促進剤を単に混合しただけでは、
熱可塑性樹脂との混練時に、酸化促進剤の粒子が還元性
鉄粉粒子から離脱し、樹脂中では、互いに遊離の還元性
鉄粉粒子と酸化促進剤粒子とに存在する様になり、これ
は、酸化促進剤を水溶液で鉄粉に塗布した場合にも、酸
化促進剤が結晶として析出するために同様に生じるので
ある。樹脂中の酸化促進剤は樹脂を浸透してくる水分を
吸収するが、還元性鉄粉粒子との間に距離があるため、
還元性鉄粉の酸化が速やかには進行せず、酸素吸収速度
が小さくなる。また、酸化促進剤粒子の部分に水分が集
中して、樹脂組成物中に膨れを生じ、容器の外表面に凹
凸が発生し、外観特性を低下させる原因となるのである
が、本発明の酸素吸収剤では、熱可塑性樹脂との溶融混
練後においても、還元性鉄粉粒子の表面に酸化促進剤或
いはこれらと滑剤とが固着した状態で安定に存在するの
で、酸化促進剤によって吸収された水分は直ちに還元性
鉄粉を活性化し、鉄の酸化反応による酸素の吸収が進行
し、酸素吸収速度が高いレベルに保持されるものであ
る。また、酸化促進剤によって吸収される水分も水和酸
化物等の生成に有効に利用され、膨れの発生やクラック
の発生による外観特性の低下も抑制されるのである。さ
らに、滑剤を併用すると、還元性鉄粉の表面に酸化促進
剤が固着した酸素吸収剤では、しぱしば反応性が高くな
りすぎて、樹脂に配合する際、条件によっては、樹脂中
でガスを発生するという問題を解消し、過度の反応性を
抑制し、酸素吸収剤の安定性が向上し、取り扱いが容易
となるという利点が得られる。
【0024】
【実施例】本発明を次の例より更に説明する。尚、以下
の実施例における測定は次の通り行った。
【0025】○ 測定方法 [比表面積] BET 1点法を用いて測定した。測定装置は島津フロ
ーソーブ型を用いた。[粒径]レーザー回折散乱法によ
り求めた。測定装置は島津レーザー回折寸法粒度分布測
定装置SALD1100で、粒子の分散媒体としてエタ
ノールを使用した。50%粒径を平均粒径として用い
た。
【0026】実施例1 適度に整粒された還元鉄粉100重景部に対して塩化ナ
トリウム(NaCl)を2部の割合で計1.5kgを容
量3.0リットルの振動ミルにスチールボールと共に入
れ、3時間振動粉砕を行い、鉄表面にNaClを固着さ
せると共に、比表面積1.8m2 /g、見掛け密度1.
7g/cm3 、平均粒径281μmの酸素吸収剤を得
た。当該酸素吸収剤の見掛けのアスペクト比Aを測定す
るとA=0.25〜0.60の粒子が60%以上であ
り、見掛け密度(AD)と固めの見掛け密度(PAD)
より求められた圧縮度C(%)は39であった。 実施例2 塩化ナトリウム(NaCl)の代わりに塩化カルシウム
(CaCl2 )を用いた以外は実施例1と同様にしてく
比表面積1.8m2 /g、見掛け密度1.7g/c
3 、平均粒径26μmの酸素吸収剤を得た。当該酸素
吸収剤の見掛けのアスペクト比Aを測定するとA=0.
25〜0.60の粒子が60%以上であり、見掛け密度
(AD)と固めの見掛け密度(PAD)より求められた
圧縮度C(%)は35であった。
【0027】ペレットによる特性評価 実施例1及び実施例2で得られた酸素吸収剤をMIが
0.6(g/10min、230℃)のポリプロピレン
(PP)に30重量%配合したペレットを作成した(ペ
レット1及びペレット2)。容量85mlのガス不透過
性カップ中に、ペレット0.5g、水1.0mlを入
れ、ガス不透過性の蓋材でで完全にシールした。22℃
で保存し、一定期間毎に容器内部のガス組成をガスクロ
マトグラフにて分析した。比較例として、予め比表面積
1.9m/g、見掛け密度1.7g/cmに調整し
た還元鉄粉に粒径20μmのNaClをV型混合機でブ
レンドして得た酸素吸収剤を使用し、同様のペレットを
作成し、酸素吸収量を測定した(比較例1)。また、粒
径40μmに微粉砕した還元鉄粉に、NaCl水溶液
を、鉄とNaClが100:2になるように噴霧した
後、水分を除去して得た酸素吸収剤を使用し、同様のペ
レットを作成し、酸素吸収量を測定した(比較例2)。
なお、この酸素吸収剤を構成する粒子に扁平状粒子は少
なく、見掛けのアスペクト比Aが0.6以上のものが6
0%を越えていた。また、比表面積3.8m/g、見
掛け密度2.4g/cm、圧縮度18(%)であっ
た。それらの結果を表1に示す。
【0028】容器性能の評価1 上記により得られたペレットから調製された樹脂層を第
1の中間層とし、エチレンービニルアルコール共重合体
(EVOH;エチレン含有量32モル%、ケン化度9
9.6モル%)を第2の中間層とし、MIが0.6(g
/10min、230℃)のPPにチタン白顔料を混合
した白色PPを内外層とし、MIが1.0(g/10m
in、230℃)の無水マレイン酸変性PP(ADH)
を接着剤層とした4種6層シート(全厚み0.8mm、
厚み構成比PP/ADH/EVOH/ADH/PO/P
P=40/1/10/1/20/10)を作成した。得
られたシートを190℃に加熱後、真空成形機にてPO
層がEVOH層より内側になった深さ30mm、容量1
15mlの角型カップを成形した。このカップに1ml
の水を充填し、窒素雰囲気下でガス不透過性の蓋材でヒ
ートシールした。120℃、30分間のレトルト処理の
あと、30℃、80%RHの雰囲気下で保存し、一定期
間後に容器内酸素濃度を測定した。それらの結果を表1
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】容器性能の評価2 実施例1の酸素吸収剤をMIが0.6(g/10mi
n、230℃)のポリプロピレン(PP)に30重量%
配合したペレットを作成した。この酸素吸収剤配合PP
(PO)を中間層とし、MIが0.6のPPに8重量%
のチタン白を配合した白色PPを内外層とした2種3層
(全厚み210μm、厚み比 白色PP:PO:白色P
P=1:1:1)シートを内外層押出機、中間層押出
機、フィードブロック、T−ダイ冷却ロール、シート引
取り装置よりなる成形装置により製造した。同様に、比
較例2の酸素吸収剤を使用して同様の2種3層シートを
作成した。両者とも鉄粉表面にNaClが接触している
為、良い酸素吸収性能を示すものの、実施例の酸素吸収
剤を使用したものの方が、NaCl水溶液を用いて湿式
で作成された酸素吸収剤よりも良い性能を示した。すな
わち、実施例1の酸素吸収剤を使用したものは、シート
1cm2 当り0.11ccの酸素吸収能カを示したが、
比較例2のものは0.07ccであった。
【0031】実施例3及び比較例3 適度に粉砕された鉄鉱石より製造したi還元鉄粉100
部と平均粒径20μmのNaClを2部の割合で振動ミ
ル中に入ギt、振動粉砕すると同時に鉄粉表面にNaC
lを固着させ固着度80%の酸素吸収剤を得た。該酸素
吸収剤の比表面積は1.9m2 /g、見掛け密度1.8
g/cm3 であった。同様に同程度の比表面積、見掛け
密度に調整した鉄粉にNaCl 2部をV型混合機でプ
レンドした固着度0%の酸素吸収剤を作成した(比較例
3)。
【0032】容器性能の評価3 これらの酸素吸収剤をMIが0.6のPPに配合したペ
レット(PO)を中間層とし、MI0.6のPPに8重
量%のチタン白を配合した白色PPを内外層とした実施
例3の2種3層シートを作成した。これらのシートを5
0℃、100%RHの雰囲気下に保存し、シート外面の
変化を観察した。実施例のものは比較例のものに比較し
て外観の変化はなく良好であった。
【0033】実施例4 適度に整粒された還元鉄粉100重量部に対して、塩化
ナトリウム(NaCl)2.0部、ステアリン酸亜鉛
(St−Zn)0.5部の割合で計1.5kgを容量
3.0リットルの振動ミルにスチールボールと共に入
れ、3時間振動粉砕を行い、鉄表面にNaClとSt−
Znを固着させ、比表面積1.6m2 /g、見掛け密度
1.7g/cm3 、平均粒径25μmの酸素吸収剤を調
製した。
【0034】容器性能の評価4 この酸素吸収剤をMIが0.6(g/10min、23
0℃)のポリプロピレン(PP)に30重量%配合した
ペレットを作成した。この時の環境は雰囲気温度30
℃、湿度80%RHであった。容量85mlのガス不透
過性カップ中に該ペレット0.5g、水1.0mlを入
れ、ガス不透過性蓋材で完全にシールした。22℃で保
存し、一定期間毎に容器内部のガス組成をガスクロマト
グラフで分析した。又、本ペレットをエポキシ樹脂中に
埋め込み、その表面を研磨し、ペレット断面の観察を行
い、ペレット中の気泡の有無を判定した。更に、本ペレ
ットと低密度ポリエチレンを1:1の割合で混合し、イ
ンフレション製膜を行い、フィルム中の凝集物数を数え
た。同様に実施例1と比較例1の酸素吸収剤を用いて同
様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0035】
【表2】 注:凝集物数は2.5m2 当たりの個数であり、括弧内は0.6mm以上の凝 集物の個数である。
【0036】この結果より明らかなように、本実施例の
酸素吸収剤はブレンド型である比較例より酸素吸収性に
優れているだけでなく、樹脂中での分散性が他のものよ
り優れている。実施例1の本発明品の1つは、酸素吸収
量において優れているが、本実施例のような過酷な製造
条件ではペレット中に気泡が混入していた。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、還元性鉄粉と酸化促進
剤乃至触媒或いは更に滑剤とを、固相乾式でミリングす
ることにより、還元性鉄粉の表面に強固に固着した酸化
促進剤或いは更に滑剤を固着させることができ、この固
着層は樹脂と混練した場合にも、還元性鉄粉から離脱す
る傾向が少なく、樹脂に配合した状態での酸素吸収速度
が大きく、しかも樹脂への分散の均一性及び一様性に優
れていると共に、酸素吸収効率も高いという利点が得ら
れる。また、滑剤を固着層中に共存させることにより、
樹脂中への分散性を向上させ、また酸素吸収剤の安定性
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する酸素吸収剤粒子の構造を模式
的に示す説明図である。
【記号の説明】
10 酸素吸収剤粒子 20 還元性鉄粉のコア粒子 30 酸化促進剤或いはこれらと滑剤との組み合わせの
固着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小暮 正人 神奈川県横浜市西区西戸部町2−206 (72)発明者 小山 正泰 神奈川県逗子市小坪1−2−7 (56)参考文献 特開 昭60−129137(JP,A) 特開 昭64−63039(JP,A) 特開 平5−293365(JP,A) 特開 昭56−106580(JP,A) 特開 平9−253482(JP,A) 特開 平5−177130(JP,A) 特開 平4−90848(JP,A) 特開 昭54−35883(JP,A) 特開 昭56−150433(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/06 A23L 3/3436 B65D 81/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性鉄粉及び酸化促進剤又はこれらと
    滑剤からなる酸素吸収剤において、圧縮度が20%以上
    でアスペクト比0.75以下の扁平状粒子が全粒子の5
    0重量%以上であることを特徴とする酸素吸収剤。
  2. 【請求項2】 酸化促進剤が多価金属塩であることを特
    徴とする請求項1に記載の酸素吸収剤。
  3. 【請求項3】 下記式 回収吸収剤中に含まれる酸化促進剤量 固着率=――――――――――――――――――― × 100 吸収剤製造時に添加した酸化促進剤量 上記式中、回収吸収剤中に含まれる酸化促進剤量は、ポ
    リオレフィンペレ ット中に混練されている酸素吸収剤
    を、ペレットから熱キシレンを用いて 回収し、回収され
    た酸素吸収剤に含まれる量を元素分析にで求めた量を示
    す、 で定義される固着率が50%以上であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の酸素吸収剤。
  4. 【請求項4】 還元性鉄粉が0.5m /g以上の比表
    面積及び2.2g/cc以下の見掛け密度を有するもの
    であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載
    の酸素吸収剤。
  5. 【請求項5】 還元性鉄粉及び酸化促進剤又はこれらと
    滑剤を、圧縮力を加えて混合し、圧縮度が20%以上で
    アスペクト比0.75以下の扁平状粒子が全粒子の50
    重量%以上である酸素吸収剤を得ることを特徴とする酸
    素吸収剤の製法。
  6. 【請求項6】 酸化促進剤が多価金属塩であることを特
    徴とする請求項5に記載の酸素吸収剤の製法。
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