JP3211807B2 - 微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法

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JP3211807B2
JP3211807B2 JP5601999A JP5601999A JP3211807B2 JP 3211807 B2 JP3211807 B2 JP 3211807B2 JP 5601999 A JP5601999 A JP 5601999A JP 5601999 A JP5601999 A JP 5601999A JP 3211807 B2 JP3211807 B2 JP 3211807B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微細空洞含有熱可塑性
樹脂フィルム、詳しくは、熱転写受像紙、感熱記録紙、
昇華転写用受像紙、印刷シート等の基材用途に適した、
微細な空洞を含有する熱可塑性樹脂フィルムに関する。
また、本発明は、このような微細空洞含有熱可塑性樹脂
フィルムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を原料とした紙代替物であ
る合成紙は、天然紙に比べ、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢と鮮明度、機械的強度等の点で
優れ、近年、これらの長所を活かした用途展開が勧めら
れている。
【0003】合成紙の主原料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂が用い
られているが、中でもポリエチレンテレフタレートを代
表とするポリエステルは、耐熱性が高く、腰が強い点で
優れており、広範な用途展開が可能である。
【0004】また、熱可塑性樹脂を主原料とするフィル
ムに、フィルムの特性を保持しつつ良好な印刷性等を付
加する方法も行われている。このような方法としては、
(1)フィルムの製造時に微細な空洞をフィルム内部に
含有させる方法、(2)通常のフィルムの表面を粗面化
する方法が知られており、後者の方法としては、(2−
1)サンドプラスト処理、(2−2)エッチング処理、
(2−3)マット化処理(マット剤をバインダーととも
に積層する方法)等の手段が知られている。これらの方
法の中で、(1)の微細な空洞をフィルム内部に含有さ
せる方法は、得られるフィルムが軽量化され、適度な柔
軟性、良好な筆記性、鮮明な印刷・転写性等を有する利
点がある。
【0005】フィルムの内部に微細な空洞を形成させる
手段としては、主原料の熱可塑性樹脂に、これと相溶し
ない熱可塑性樹脂を溶融混練して微粒子状に分散させた
シートを製造し、このシートを延伸することによって微
粒子の周囲に空洞を発生させる方法が報告されている。
【0006】主原料の熱可塑性樹脂としては一般にポリ
エステルが使用されている。
【0007】空洞形成のために用いられる、主原料の熱
可塑性樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂(空洞発現剤とい
う)としては、ポリエステルを主原料として使用する場
合、ポリオレフィン系樹脂(例えば特開昭49−132
755号公報)、ポリスチレン系樹脂(例えば特公昭4
9−2016号公報、特公昭54−29550号公
報)、ポリアリレート樹脂(例えば特公昭58−280
97号公報)等が提案されている。これらの中では、ポ
リプロピレン及びポリスチレンが、空洞が形成され易い
点、密度が低い点及び安価である点で特に好ましい。
【0008】微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムの延伸
方法としては、樹脂混合物の連続シートを長手(縦)方
向にロール延伸した後に、巾(横)方向にテンター延伸
する2軸延伸法が最も一般的である。より詳細には、ロ
ール延伸(縦延伸)を行なうに当たっては空洞を多数発
現させるために温度を80〜100℃、倍率を2.0〜
5.0とし、その後にテンター延伸(横延伸)を温度8
0〜140℃、倍率2.8〜5.0で行ない、さらに、
延伸後の熱処理を150℃以上で実施することが報告さ
れている。(例えば特開昭63−168441号公報、
同63−193938号公報、特開平2−80247号
公報、同2−284929号公報、同3−114817
号公報、同4−202540号公報)。
【0009】しかしながら、従来方法で得られる微細空
洞含有熱可塑性樹脂フィルムは、感熱記録材料、印刷シ
ート等として用いた場合、熱によるカールの発生、その
他に、熱によるしわの発生等の問題が生じやすいという
欠点を有していた。
【0010】本発明者らは、従来技術で得られる微細空
洞含有熱可塑性樹脂フィルムの空洞は、縦方向よりも横
方向に長くなる傾向があり、これが前記した熱によるカ
ールの発生等の欠点に関連する要因の1つであることを
認識するに至り、空洞の等方性化について種々検討し
た。
【0011】まず、横延伸の温度を140℃以上にする
ことで空洞の横成長は抑えられるが、この場合、空洞の
含有量が不足し、フィルムの厚みむらも大きくなるた
め、工業生産には実質的に適さなかった。また、縦延伸
倍率を大きくして縦に長い空洞を形成し、その後の横延
伸で結果的に空洞の等方性を達成する方法も試みたが、
この場合、製膜性が低下するため、やはり工業生産には
適さない。さらに、横延伸倍率を小さくする方法も考え
られたが、この場合もフィルムの厚みむらが大きくなる
という問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来法によ
る微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムの欠点を解決する
ことを目的とするものである。すなわち、空洞の等方性
に優れ、熱によるカールの発生等が少なく、かつ厚みむ
らの少ない微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムを提供す
ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の微細空洞含有熱
可塑性樹脂フィルムは、フィルムの縦方向の断面におけ
る空洞の長さの平均(L1)と、その直角方向すなわち
横方向の断面における空洞の長さの平均(L2)の比
(L1/L2)が、2/3〜3/2であり、フィルムの
厚みむらが5%以下であることによって特徴づけられ
る。なお、微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムとは、一
般に空洞含有率が5〜50体積%であるものを意味す
る。
【0014】また、本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂
フィルムを製造するには、主原料の熱可塑性樹脂と、こ
れに非相溶性の熱可塑性樹脂との重合体混合物から形成
されるシートを2軸延伸することによって製造される。
その際、横方向の延伸を2段階で、すなわち、初めに延
伸温度100〜140℃で2.0〜2.8倍に延伸し、
ついで延伸温度140〜230℃で、最初の延伸倍率と
掛け合わせた合計延伸倍率が3.0倍以上になるように
延伸することを特徴とする。
【0015】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムの主原料熱可塑性樹脂としては、ポリエステルを使用
する。しかしながら、本発明には含まれないが、他にポ
リプロピレン等も使用可能である。本発明で使用される
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又
はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポ
リエステルがある。これらのポリエステルは芳香族ジカ
ルボン酸とグリコールとを直接反応させるか、芳香族ジ
カルボン酸のアルキルエステルとグレコールとをエステ
ル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジ
カルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の
方法によって製造される。このようなポリエステルの代
表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等が挙げられる。使用するポリエステルは
ホモポリマーであってもよく、また、別のポリエステル
又は第3成分との共重合物であってもよい。好ましいポ
リエステルは、エチレンテレフタレート単位、ブチレン
テレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタ
レート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以
上、さらに好ましくは90%以上であるポリエステルで
ある。
【0016】本発明で使用される、主原料の熱可塑性樹
脂と非相溶性の熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂と非
相溶性の樹脂である。具体的には、ポリスチレン系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系
樹脂等があげられる。とくにポリスチレン系樹脂、ポリ
メチルペンテン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系
樹脂が好ましい。
【0017】主原料の熱可塑性樹脂と、これに非相溶性
の熱可塑性樹脂との重合体混合物は、例えば、各樹脂の
チップを混合し、押出機内で溶融混練した後押し出して
固化させる方法、あらかじめ混練機によって混練した両
樹脂をさらに押出機より溶融押出して個化させる方法、
主原料熱可塑性樹脂の重合工程においてこれに非相溶性
の熱可塑性樹脂を添加し、かくはん分散して得たチップ
を溶融押出して個化させる方法等によって得られる。固
化して得られた重合体混合物(未延伸シート)は、通常
無配向もしくは弱い配向状態のものである。また、主原
料の熱可塑性樹脂に非相溶性の熱可塑性樹脂は、主原料
の熱可塑性樹脂中に球状、楕円球状、糸状等様々な形状
で分散した形態をとって存在する。
【0018】主原料の熱可塑性樹脂に混合される、これ
と非相溶性の熱可塑性樹脂の量は、所望の空洞量、採用
する延伸温度等によって異なるが、一般に重合体混合物
全体に対して3〜40重量%が好ましく、特に6〜35
重量%が好ましい。3重量%未満では、生成する空洞量
に限界があって目的とする柔軟性、軽量性、描画性が得
られない場合があり、逆に40重量%以上では、空洞の
生成量が多すぎて主原料熱可塑性樹脂の持つ特性、すな
わちポリエステルフィルムの有する耐熱性、強度、腰の
強さ等が損われる場合がある。
【0019】重合体混合物には、必要に応じて隠ぺい
性、描画性等を向上させるために、無機粒子を含有させ
ることができる。これに適した無機粒子としては、二酸
化チタン、二酸化圭素、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク、ゼオライト
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
重合体混合物には、必要に応じてさらに、架橋剤、着色
剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤等を添加することも可
能である。
【0020】重合体混合物から本発明の微細空洞含有熱
可塑性樹脂フィルムを製造する好ましい製造方法として
は、例えば以下の方法がある。すなわち、重合体混合物
から形成される未延伸フィルムを従来通りに縦方向に延
伸した後、横延伸を2段階以上の異なる温度で行う。横
延伸は、まず、100〜140℃で延伸倍率2.0〜
2.8倍に延伸し、ついで、140〜230℃、好まし
くは160〜230℃で、初めの倍率と掛け合わせた横
延伸の合計延伸倍率が3.0倍以上となるように延伸す
る。1回目の低温での延伸は、主に縦横にバランスの取
れた空洞の生成に寄与し、2回目の高温での延伸は、主
に厚みむらを低下させるのに寄与する。2回目の延伸で
は空洞の増大はほとんどない。横延伸倍率の合計が縦延
伸倍率を越えても差支えない。
【0021】延伸後のフィルムは、さらに熱処理するの
が好ましい。延伸後の熱処理は、以下の条件で実施する
のが望ましい。すなわち、延伸終了後200℃以上、好
ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上
で熱処理される。また、その際、フィルムを3〜8%緩
和させながら熱固定を行うのが好ましい。200℃未満
の温度又は3%未満の緩和率で熱固定を行った場合に
は、150℃での熱収縮率が2%未満、好ましくは1.
7%未満、さらに好ましくは1.5未満という好ましい
性質を有する微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムは得ら
れない。
【0022】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムは、その表面に塗布層を設けることによって、イン
キ、コーティング剤等の塗れ性及び接着性が改良され
る。塗布層を構成する物質としては、ポリエステル系樹
脂が好ましいが、他にもウレタン樹脂、ポリエステルウ
レタン樹脂、アクリル系樹脂等の、通常ポリエステルフ
ィルムの接着性を向上させるものとして知られている物
質が使用可能である。
【0023】塗布層を設ける方法としては、グラビアコ
ート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコ
ート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方
式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式等
の通常用いられている方法が適用できる。塗布層を設け
る段階としては、延伸・配向処理を行なう前の重合体混
合物(未延伸シート)の表面にあらかじめ塗布する方
法、1軸方向に延伸・配向させた空洞含有熱可塑性樹脂
フィルムの表面に塗布し、それをさらに直角方向に延伸
・配向させる方法、及び延伸・配向処理の終了した空洞
含有熱可塑性樹脂フィルムの表面に塗布する方法のいず
れも使用可能である。
【0024】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムは、表層と中心層を積層したいわゆる複合フィルムに
してもよい。その方法は特に限定されるものではない
が、生産性を考慮すると、表層と中心層を別々の押出機
から押し出し、これらを1つのダイスに導いて未延伸シ
ートを得た後、少なくとも1軸に延伸・配向させる、い
わゆる共押出法による積層が最も好ましい。
【0025】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムの特定にL1/L2を使用したのは、空洞の縦と横の
バランスを数値化するためであり、この値が2/3〜3
/2ではバランスが取れており、2/3未満では空洞が
横長であり、3/2以上では縦長である。バランスが悪
い場合、熱によるカールが発生する。
【0026】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムは、一般に微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムとして
の性能のために必要な量の空洞を含有していなければな
らない。これを空洞含有率で示すと5〜50体積%であ
る。空洞含有率が50体積%を越えると空洞の含有量が
多すぎるため、強度が不足するなどフィルムとしての機
能を失い、空洞の形状にかかわらずカールが発生する。
また、空洞含有率が5体積%未満では、空洞の含有量が
少なく、もはや空洞含有フィルムとはいえないものであ
り、そのため熱によるカールは発生しないが、描画性、
印刷性、感熱記録性等が大巾に低下する。
【0027】本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
ムは、従来報告されている空洞含有フィルムに比べて空
洞の等方性に優れ、特に熱によるカールが起こりにく
い。本発明の微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムを基材
として用いた場合、ラベル、ポスター、カード、記録用
紙、放送材料、ビデオプリンター受像紙、バーコードラ
ベル、バーコードプリンター受像紙、感熱記録紙、地
図、無塵紙、表示板、白板、電子白板、印画紙、化粧
紙、壁紙、紙幣、離型紙、折り紙、カレンダー、磁気カ
ード、トレーシング紙、伝票、配送伝票、感圧記録紙、
複写用紙、臨床検査紙、パラボラアンテナ反射板、オフ
セット印板、PS板、LBP板、液晶ディスプレイ用反
射板等に用いることができる。
【0028】
【作用】本発明において、微細空洞含有熱可塑性樹脂フ
ィルムの縦方向の断面における空洞の長さの平均(L
1)と、その直角方向すなわち横方向の断面における空
洞の長さの平均(L2)の比(L1/L2)を、2/3
〜3/2にしたのは、熱によるカールの発生等を抑える
ためである。
【0029】本発明において、主原料の熱可塑性樹脂
に、これと非相溶性の熱可塑性樹脂を混合し、重合体混
合物とするのは、主原料の熱可塑性樹脂中にこれと非相
溶性の熱可塑性樹脂の微細な粒子を分散させて、次の延
伸・配向処理によって空洞を発生させることのできる核
を作るためである。この重合体混合物を、少なくとも1
軸方向に延伸・配向させることによって、重合体混合物
に多数の微細な空洞を発生させることができる。空洞を
発生させることによってフィルムは軽量化でき、作業性
が良好となり、面積当たりの価格も安くなる。また、空
洞を含有することによって柔軟性が増し、印刷、転写を
行う際に鮮明な印刷、印字が可能となる。さらに、空洞
を含有することによって光線隠ぺい性及び白さが得られ
る。さらに、フィルムの表面にも該非相溶性の樹脂に由
来する突起が多数形成され、鉛筆、ボールペン等による
筆記が可能になる。
【0030】さらに、主原料の熱可塑性樹脂としてポリ
エステルを使用しているので、耐熱性及び機械的強度に
優れたフィルムが得られる。このようにして得られた微
細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムは、熱によるカール等
の発生及び厚みむらが少なく、筆記性、印刷性が良好
で、耐熱性、機械的強度に優れ、しかも軽量である。
【0031】[ 測定・評価方法] 本発明で使用する測定・評価方法を以下に示す。 1) ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶液に溶解し、30℃で測定
した。
【0032】2) 空洞含有率 フィルムを5.00×5.00cmの正方形に正確に切
り出し、その厚みを50点測定して平均の厚みをtμm
とし、その重さを0.1mgまで測定してwgとし、下
記の数式によって見掛け密度ρ(g/cm を計算し
た。
【0033】
【数1】
【0034】ついで、使用した原料の密度ρ(g/cm
a1、a2、a3…及び原料の混合質量%b1、b
2、b3…より空洞含有率vを下記の数式により計算し
た。
【0035】
【数2】
【0036】3) 空洞の長さの平均値 フィルムの縦及び横の断面を走査型電子顕微鏡で100
0倍に拡大して撮影した後、フィルムの厚み方向に対し
て直角方向に空洞の長さを画像解析装置を用いて測定し
た。 ・ 使用した走査型電子顕微鏡 日立製作所製 S−510型の走査型電子顕微鏡 ・ 使用した画像解析装置 セイコーエプソン(株)製イメージスキャナーGT−8
000、及びパーソナルコンピューター・マッキントッ
シュを用いて、同ソフトウェアー・AdobePhot
oshop TM2.5Jで画像を取り込み、同ソフト
ウェアー・Ultimage TM242.1.1にて
画像処理を行った。
【0037】4) 熱収縮率 フィルムを巾10mm、長さ250mmにとり、200
mm間隔で印を付け、5gの一定張力下で固定し、印の
間隔Ammを測る。続いて無張力下で30分間、150
℃の雰囲気のオーブンに入れた後の印の間隔Bを測定
し、下記の数式により熱収縮率を求めた。
【0038】
【数3】
【0039】5) 光線透過率 JIS−K6174に準じ、ポイック積分球式H.T.
Rメーター(日本精密光学製)を用いて、フィルムの全
光線透過率を測定した。この値が小さいほど隠ぺい性が
高い。
【0040】6) 熱によるカールの有無 フィルムの表面に以下の組成からなるアンカー層を設
け、その上に以下の組成からなる受像層を設け、カラー
ハードコピー(セイコー電子工業(株)製 D−SCA
N CH−5504)で実際にコンピューターからの画
像を出力した。このとき出力されたプリント物にカール
が確認されなければ○、確認されれば×とした。 ・ アンカー層 ウレタン系ドライラミ剤(A−130 武田薬品工業(株)製)100重量部 硬化剤(A−3 武田薬品工業(株)製) 30重量部 ・ 受像層 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体($#1000D 電気化学工業(株)製) 100重量部 アミノ変性シリコーン(X−22−343 信越化学工業(株)製)3重量部 エポキシ変性シリコーン(KF−393 信越化学工業(株)製) 3重量部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 500重量部
【0041】7) 象の抜けの有無 6)で出力した画像に抜けが見られなければ○、見られ
れば×
【0042】8) フィルムの厚みむら フィルムを10.00×10.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを100点測定し、平均厚みをT
μm、最大の厚みをTmax μm、最小の厚みをTm
in μmとし、下記の数式によって計算した。
【0043】
【数4】
【0044】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を示す。
【0045】実施例1 固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート樹脂8
0重量%、一般用ポリスチレン(三井東圧化学(株)製
T575−57U)15重量%、及び平均粒径0.3
5μmのアナターゼ型二酸化チタン(富士チタン(株)
製 TA−300)5重量%を原料として2軸スクリュ
ー押出機に投入し、T−ダイスより290℃で溶融押出
し、静電気的に冷却回転ロールに密着固化し、厚さ約9
00μmの重合体混合物の未延伸シートを得た。これを
ロール延伸機により、80℃で縦方向に3.5倍に延伸
した。ついで、テンターにより、125℃で横方向に
2.7倍に延伸した後、引き続いてテンターにより22
0℃で横方向に1.3倍に延伸した。その後、235℃
で4%緩和させながら熱処理し、内部に多数の微細空洞
を含有する厚さ100μmのポリエステルフィルムを得
た。
【0046】実施例2 原料として固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂85重量%、結晶性ポリプロピレン(三井東圧
化学(株)製 FO−50F)10重量%、及び二酸化
チタン(TA−3000)5重量%を用いた点を除いて
は実施例1と同様にして空洞含有ポリエステルフィルム
を得た。
【0047】比較例1及び2 原料として用いるポリエチレンテレフタレート樹脂、一
般用ポリスチレン、及び二酸化チタンの混合比(重量
%)が、それぞれ92/3/5及び55/40/5であ
る点を除いては実施例1と同様にして、微細空洞含有ポ
リエステルフィルムを得た。
【0048】比較例3、4及び5 横延伸を1段のみとし、延伸温度をそれぞれ110℃、
135℃及び180℃にし、延伸倍率をいずれも3.6
倍とした点を除いては実施例1と同様にして、微細空洞
含有ポリエステルフィルムを得た。
【0049】比較例6 横延伸を1段のみとし、延伸温度を180℃、延伸倍率
を3.6倍とした点を除いては実施例2と同様にして、
微細空洞含有ポリエステルフィルムを得た。
【0050】比較例7及び8 横延伸を1段のみとし、延伸温度を125℃、延伸倍率
をそれぞれ2.2倍及び2.6倍とした点を除いては実
施例1と同様にして、微細空洞含有ポリエステルフィル
ムを得た。上記の各例で得られたフィルムの特性を表1
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例1及び2のフィルムは、本発明で特
定する方法にしたがって、横延伸を2段階で、合計延伸
倍率3.5倍(2.7×1.3)に延伸することによっ
て得られたものであって、本発明で特定する空洞の等方
性及び厚みむらの条件を満たし、空洞含有率も適性であ
って、熱によるカール等の欠点もない。これに対して、
比較例3及び4のフィルムは、横延伸を1段のみで3.
6倍に延伸する従来法によって得られたものであるが、
空洞のL1/L2が小さく、したがって空洞は横方向に
長いものであり、熱によりカールが発生した。また、比
較例5及び6のフィルムは、従来の横1段延伸におい
て、横延伸温度を高くして製造したものであるが、横延
伸による空洞の生成が少ないため、空洞は縦長で含有量
が少なく、厚みむらも大きい。なお、空洞の含有量が少
ないことは、柔軟性、軽量性、描画性、印刷性等が不良
であることを意味する。ただ、空洞含有量が少ないた
め、熱によるカールは大きくない。また、比較例7及び
8のフィルムは、従来の横1段延伸において、横延伸倍
率を小さくして製造したものであって、空洞は等方性で
熱によるカールもみられないが、厚みむらが大きい。さ
らに、比較例1及び2のフィルムは、本発明で特定する
横2段延伸法によって製造したものであって、空洞は等
方性である。しかし、前者は、空洞含有量が少ない。こ
れは、柔軟性、軽量性、描画性、印刷性等、フィルムに
微細空洞を含有させたことに基づく機能をもはや十分に
備えていないことを意味する。また、後者は、空洞含有
量が多すぎる。そのため、空洞は等方性であるにもかか
わらず熱によるカールが発生し、また、機械的強度等、
フィルムとしての機能が損なわれたことも明らかであ
る。
【0053】
【発明の効果】本発明の空洞含有熱可塑性樹脂フィルム
は、従来のポリスチレン、ポリオレフィン等を空同発現
剤としして製造される空洞含有ポリエステル系フィルム
と同様に軽量性、柔軟性、隠ぺい性、描画性等を有する
とともに、従来の空洞含有ポリエステル系フィルムに比
べて、熱によるカール等の発生が少ないため、昇華転写
記録用紙、熱転写記録用紙、感熱記録材料、印刷用シー
ト、ラベル、ポスター、記録紙、包装材料、伝票、宅配
便の配送伝票、複写用紙、感圧紙等の用途に特に有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:00 C08L 67:00 (72)発明者 鈴木 利武 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特許3067557(JP,B2) 特許3163930(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 - 9/42 B29C 67/20 B29C 55/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細空洞含有熱可塑性樹脂フィルムにおい
    て、フィルムの縦方向の断面における空洞の長さの平均
    (L1)と、その直角方向すなわち横方向の断面におけ
    る空洞の長さの平均(L2)の比(L1/L2)が、2
    /3〜3/2であり、フィルムの厚みむらが5%以下で
    あり、空洞含有率が5〜50体積%であることを特徴と
    する微細空洞含有二軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】ポリエステル樹脂と、これに非相溶性の熱
    可塑性樹脂との重合体混合物から形成されるシートを2
    軸延伸することにより微細空洞含有熱可塑性樹脂フィル
    ムを製造する方法において、横方向の延伸を2段階で、
    すなわち、まず延伸温度100〜140℃で2.0〜
    2.8倍に延伸し、ついで延伸温度140〜230℃
    で、最初の延伸倍率と掛け合わせた合計延伸倍率が3.
    0倍以上になるように延伸することを特徴とする、フィ
    ルムの縦方向の断面における空洞の長さの平均(L1)
    と、その直角方向すなわち横方向の断面における空洞の
    長さの平均(L2)の比(L1/L2)が、2/3〜3
    /2であり、フィルムの厚みむらが5%以下であり、空
    洞含有率が5〜50体積%である微細空洞含有ポリエス
    テルフィルムの製造方法。
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