JP3210530U - 蛍光x線分析用一体化試料及び試料保持具 - Google Patents
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Abstract
【課題】手で触れることによる試料表面の劣化を防止するとともに、試料が使用時に破損してしまうことを防止する蛍光X線分析用一体化試料を提供する。【解決手段】蛍光X線分析用一体化試料であって、蛍光X線分析の試料として用いられ、測定面を有する板状の試料100と、試料の測定面の裏面と接着された保持面を有する試料保持具104と、を有し、試料保持具は、保持面を有する平板部106と、保持面の裏面に平板部と一体化されたつまみ部108と、を有する。【選択図】図1
Description
本考案は、蛍光X線分析用一体化試料及び試料保持具に関する。
測定対象である試料に含まれる元素を調査する方法として、蛍光X線分析法が知られている。蛍光X線分析法で測定する試料は分析の対象となる未知試料のほか、他の分析法等で値付けられた標準値を持ち、その標準値と蛍光X線分析装置で実測されるX線強度を関係づける検量線の定数を決定するために測定する標準試料や、信頼性の高い分析を行うために、定期的に蛍光X線分析装置を較正するために測定する較正試料がある。蛍光X線分析装置を較正する際、経時変化が少ない較正試料が使用される。例えば、ガラスビード法によって作製されたガラスビードやソーダガラス、ホウケイ酸ガラスなどで形成されたガラス試料が知られている。
試料は、試料収納具が備える受け台に設置されるまで、測定者によって直接手で取り扱われるとすると分析面が汚染されてしまうおそれがある。具体的には、例えば、試料が潮解性のある材料の場合、試料は測定者の指の汗により変質してしまうおそれがある。
そこで、下記特許文献1は、ガラス試料と試料保持具を一体化することで、測定者がガラス試料に直接手で触れる必要がない蛍光X線分析用一体化ガラス試料を開示している。
蛍光X線分析装置の試料を固定するホルダには、円板状の試料が入れられるカップ型の試料ホルダがある。カップ型の試料ホルダに円板状の試料を載置する場合は、測定者は、片方の手で試料ホルダを逆さに持ち、もう一方の手で試料を支え下から上に挿入し、ゆるやかにひっくり返して入れる必要があった。
特許文献1に記載された一体化ガラス試料であっても、試料がひっくり返される際に、衝撃によって試料の一部が破損してしまうおそれがある。また、試料の測定面に触れないように作業する場合、測定者は慎重に作業しなければならないことから、作業に時間を要するという課題があった。
本考案は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、試料に直接触れること無く、ホルダ内に載置できる形状にすることで、試料の表面の劣化を防止することである。また、試料を片手で容易にホルダ内に載置できるようにすることで、試料が使用時に破損してしまうことを防止することである。
請求項1に記載の蛍光X線分析用一体化試料は、蛍光X線分析の試料として用いられ、測定面を有する板状の試料と、前記試料の前記測定面の裏面と接着された保持面を有する試料保持具と、を有し、前記試料保持具は、前記保持面を有する平板部と、前記保持面の裏面に前記平板部と一体化されたつまみ部と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の蛍光X線分析用一体化試料は、前記平板部は円板状であり、前記つまみ部は円筒状であることを特徴とする。
請求項3に記載の蛍光X線分析用一体化試料は、前記つまみ部と前記平板部の直径の差が10mm以上であり、前記つまみ部の高さが3mm乃至60mmであることを特徴とする。
請求項4に記載の蛍光X線分析用一体化試料は、前記試料保持具と前記試料は、両面テープまたはエポキシ系接着剤で接着されることを特徴とする。
請求項5に記載の試料保持具は、蛍光X線分析の試料として用いられる試料の測定面の裏面と接着される保持面を有する平板部と、前記保持面の裏面に前記平板部と一体化されたつまみ部と、を有することを特徴とする。
請求項1乃至5に記載の考案によれば、試料の表面の劣化を防止するとともに、試料が使用時に破損してしまうことを防止することができる。定期的に繰返して測定を行う較正試料に対して特に有効であるが、未知試料や標準試料に対しても必要に応じて適用することができる。
以下、本考案を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1(a)及び図1(b)は、本考案の実施形態に係る蛍光X線分析用一体化試料の概略を示す図である。図1(a)は、蛍光X線分析用一体化試料を側面から見た図であり、図1(b)は、蛍光X線分析用一体化試料を上から見た図である。図1(a)に示すように、蛍光X線分析用一体化試料は、試料100と、接着剤102と、試料保持具104と、を含んで構成されている。
試料100は、ガラス試料のほか、金属、焼結品、加圧成形品等の試料であってもよい。
また、試料100は、板状であって、測定面を有する。具体的には、図1(a)に示すように、試料100は円板状であって、下側に平らな測定面を有する。なお、試料100の平面形状は、後述する試料ホルダ200と干渉しない形状であれば、円形であってもよいし、矩形等であってもよい。
試料100は、試料保持具104と接着される。具体的には、試料100の測定面の裏面は、試料保持具104の保持面と、両面テープまたはエポキシ系接着剤で接着される。
試料保持具104は、保持面を有する平板部106と、保持面の裏面に平板部106と一体化されたつまみ部108と、を有する。具体的には、平板部106は、円板状であって、下側に試料100の測定面の裏面と接着される保持面を有する。つまみ部108は、円筒状であって、保持面の裏面の略中央で平板部106と一体化されている。
つまみ部108は、3mm乃至60mmの高さで形成されることが望ましい。平板部106は、後述する試料ホルダ200に入る大きさで、試料ホルダ200の内径と同じ直径から0.5mm程度小さい直径の範囲で形成されることが望ましい。また、蛍光X線分析用一体化試料が試料ホルダ200に載置された状態で、つまみ部108を測定者がつまみやすいように、つまみ部108と平板部106の直径は10mm以上の差があることが望ましい。
なお、つまみ部108は、測定者が手で持つ領域である。そのため、つまみ部108の形状は、測定者が指先で容易に扱うことができる形状であれば、円筒状以外の形状であってもよい。また、平板部106は、試料ホルダ200が円筒状の場合には円板状に形成されるが、試料ホルダ200が他の形状である場合には、試料ホルダ200の形状に合わせた形状で形成される。
試料保持具104は、測定者が扱いやすい重量の材料で形成される。具体的には、例えば、試料保持具104は、アルミニウム合金、ポリエチレン等のポリオレフィン、またはポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂を用いて形成される。
以上のように、試料100と一体化される試料保持具104がつまみ部108を有することにより、測定者が試料100に直接手で触れずに容易に扱うことが可能となる。これにより、測定者の手が試料100に触れることによる試料100を変質や、試料ホルダ200と試料100が接触することにより試料100に破損が生じることを防止できる。
続いて、試料ホルダ200について説明する。図2は、試料ホルダ200に載置された蛍光X線分析用一体化試料の断面を示す図である。試料ホルダ200は、内部に蛍光X線分析用一体化試料が載置される。また、試料ホルダ200は、内部に蛍光X線分析用一体化試料が載置された状態で、蛍光X線分析装置の内部に載置されるホルダである。
試料ホルダ200は、円筒状の形状であって、底面に開口部202を有する。具体的には、図2に示すように、試料ホルダ200は、底面に蛍光X線分析用一体化試料の測定面を露出させる開口部202を有する。開口部202は、試料ホルダ200の中心に円形状に形成される。蛍光X線分析装置は、開口部202を介して蛍光X線分析用一体化試料に1次X線を照射することにより測定を行う。
試料ホルダ200は、外側側面に段差204を有する。具体的には、試料ホルダ200は、外側側面の底面から6mmの領域の外径が、他の領域よりの外径よりも小さいことによって、段差204を有するように形成される。試料ホルダ200は、蛍光X線分析装置に当該段差204がひっかかるように載置される。これにより、測定中に試料ホルダ200が移動したり、傾いてしまうことを防止する。
試料ホルダ200は、上部に、上側に向かって内径が徐々に大きくなる領域206を有する。具体的には、試料ホルダ200は、下部に内径が一定の領域を有し、上部に上側に向かって内径が徐々に大きくなる領域206を有する。
測定者は、試料ホルダ200の上側から蛍光X線分析用一体化試料を挿入する。試料ホルダ200上部の内径を大きくすることによって、測定者が蛍光X線分析用一体化試料を試料ホルダ200に載置する作業が容易になる。一方、試料ホルダ200下部の内径を、試料保持具104の平板部106の外径と同じまたは0.5mm程度大きくすることで、測定中に試料ホルダ200内部で蛍光X線分析用一体化試料がずれてしまうことを防止できる。
続いて、蛍光X線分析用一体化試料を収容する試料収納具300について説明する。試料収納具300は、蛍光X線分析用一体化試料を測定に用いない場合に、蛍光X線分析用一体化試料を収容する容器である。図3は、蛍光X線分析用一体化試料を試料収納具300に収容した状態の断面を示す図である。なお、図3には収容する領域を1つしか記載していないが、試料収納具300は、当該領域を複数有する。
試料収納具300は、試料100または試料保持具104の形状に応じた第1の凹部302と、第2の凹部304と、を有する。具体的には、例えば、第1の凹部302は、試料100の厚みと同程度の深さで、試料収納具300の表面に形成される。試料100が円板状である場合には、第1の凹部302は、試料100の厚さと同じ深さで、試料100と同じ円板状に形成される。
第2の凹部304は、第1の凹部302の底面に形成される。具体的には、第2の凹部304は、第1の凹部302の底面の中央部に、試料ホルダ200の開口部202と同じ形状で形成される。凹部304は、試料収納具300を貫通していてもよい。
測定者は、測定が終了した後、試料ホルダ200に載置された蛍光X線分析用一体化試料のつまみ部108を持ち、試料収納具300の第1の凹部302に移動させることで、蛍光X線分析用一体化試料を容易に収容することができる。また、蛍光X線分析用一体化試料は、第1の凹部302と第2の凹部304の段差204部で支えられるため、測定面が試料収納具300と接しない状態で収容される。従って、試料面の汚染や、試料を収容する際に測定面に傷等の損傷が生じることを防止できる。
100 試料、102 接着剤、104 試料保持具、106 平板部、108 つまみ部、200 試料ホルダ、202 開口部、204 段差、206 内径が大きい領域、300 試料収納具、302 第1の凹部、304 第2の凹部。
Claims (5)
- 蛍光X線分析の試料として用いられ、測定面を有する板状の試料と、
前記試料の前記測定面の裏面と接着された保持面を有する試料保持具と、を有し、
前記試料保持具は、前記保持面を有する平板部と、前記保持面の裏面に前記平板部と一体化されたつまみ部と、を有することを特徴とする蛍光X線分析用一体化試料。 - 前記平板部は円板状であり、前記つまみ部は円筒状であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光X線分析用一体化試料。
- 前記つまみ部と前記平板部の直径の差が10mm以上であり、前記つまみ部の高さが3mm乃至60mmであることを特徴とする請求項2に記載の蛍光X線分析用一体化試料。
- 前記試料保持具と前記試料は、両面テープまたはエポキシ系接着剤で接着されることを特徴とする請求項1乃至3のいすれかに記載の蛍光X線分析用一体化試料。
- 蛍光X線分析の試料として用いられる試料の測定面の裏面と接着される保持面を有する平板部と、
前記保持面の裏面に前記平板部と一体化されたつまみ部と、
を有することを特徴とする試料保持具。
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