JP3208505B2 - 光拡散板及びその製造方法 - Google Patents

光拡散板及びその製造方法

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JP3208505B2
JP3208505B2 JP28074092A JP28074092A JP3208505B2 JP 3208505 B2 JP3208505 B2 JP 3208505B2 JP 28074092 A JP28074092 A JP 28074092A JP 28074092 A JP28074092 A JP 28074092A JP 3208505 B2 JP3208505 B2 JP 3208505B2
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和孝 原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入射光の吸収損失や入
射方向への反射損失が小さくて光の拡散効率や利用効率
に優れる光拡散板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プロジェクションテレビや液晶表
示装置等の種々の光利用装置における光拡散板として
は、スリガラスの如く表面を粗面化したものや、透明基
材中に無機粉末等の反射性粒子を分散させたものが知ら
れていた。これらの光拡散板による光の拡散は、粗面化
表面や反射性粒子によって形成される屈折率のステップ
を介した光のランダムな方向への反射による。
【0003】しかしながら、光が屈折率n1の物質から
2の物質に垂直入射した場合の反射率(ρ)がρ2
(n1−n22/(n1+n22で表される如く、入射光
の吸収損失が大きく、戻り光(入射方向への反射分)も
大きくて入射光の利用効率に乏しい問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、入射光の吸
収損失や戻り光等による反射損失が小さくて光の利用効
率や拡散効率に優れる光拡散板及びその製造方法の開発
を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明は、透明基材
連続多孔部中にその基材とは屈折率が異なる多数の微小
領域が充填形成されてなり、その微小領域と透明基材の
界面に屈折率分布型の反射防止層が介在することを特徴
とする光拡散板、及び連続多孔部を有する透明なポリマ
ー基材に異なる屈折率のポリマーを形成する重合性化合
物を含浸させて重合処理することを特徴とする前記光拡
散板の製造方法を提供するものである。
【0006】
【作用】微小領域と透明基材の界面に屈折率分布型の反
射防止層が介在する上記の構成により、当該界面での光
の反射・散乱が防止されて光の吸収損失や戻り光による
反射損失が大幅に抑制されると共に、微小領域を介した
形状効果と屈折効果に基づいて光が効率よく拡散される
(図2、矢印)。
【0007】
【実施例】 本発明の光拡散板は、透明基材の連続多孔
中にその基材とは屈折率が異なる多数の微小領域が充
填形成されてなり、その微小領域と透明基材の界面に屈
折率分布型の反射防止層が介在するものである。その例
を図1に示した。1が透明基材、2が屈折率分布型の反
射防止層、3が微小領域である。本発明において反射防
止層における屈折率分布は、透明基材と微小領域の屈折
率差を可及的に連続変化で結ぶ分布が好ましい。
【0008】 透明基材は、ガラスやポリマー等の連続
多孔部を形成しうる適宜な透明性の物質で形成すること
ができる。一般には使用の波長光に対して良好な透明性
を示すポリマーで形成される。そのポリマーの例として
は、ポリオレフィン、各種合成ゴム、ポリ塩化ビニル、
ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、セルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリウレタ
ンアクリレート、エポキシアクリレートなどがあげられ
【0009】 透明基材の厚さは、目的とする光拡散板
の厚さ等に応じて適宜に決定してよく、一般には10μ
m〜20mmとされる。
【0010】量産性等の点より光拡散板の好ましい製造
方法は、連続多孔部を有する透明なポリマー基材に異な
る屈折率のポリマーを形成する重合性化合物を含浸させ
て重合処理する方法である。
【0011】前記においては、重合性化合物の含浸でポ
リマー基材の連続多孔部に充填された重合性化合物が孔
部を介しポリマー基材中に浸透して孔部の外縁部を膨潤
ないし溶解させ、これを重合処理することで図2に例示
の如く、当該孔部に重合性化合物の重合体に基づく異屈
折率の微小領域31が形成され、その微小領域31とポ
リマー基材11の界面に重合性化合物が濃度分布を有す
る状態で重合してなる屈折率分布型の反射防止層21が
形成される。
【0012】図3に例示の如き連続多孔部32を有する
透明なポリマー基材11は、例えばポリマー溶液に可溶
性フィラーを混入させて基材形態に成形後その可溶性フ
ィラーを基材より溶解除去する方式、ポリマー溶液に微
細発泡性の添加剤を配合して基材形態に成形しつつ発泡
させてスポンジ状の基材を形成する方式、ポリマー基材
に熱や溶剤等で衝撃ないし負荷を与えて微細な亀裂ない
し節理を成長させる方式などの適宜な方式で形成したも
のであってよい。
【0013】ポリマー基材中に含浸させる重合性化合物
としては、例えばベンジルメタクリレートやスチレンの
如き熱重合性のモノマーやそのオリゴマー、トリブロモ
フェノキシエチルアクリレートやトリフルオロエチルア
クリレートの如き光重合性のモノマーやそのオリゴマー
など、ポリマー基材とは異なる屈折率のポリマーを形成
し、ポリマー基材への浸透能を有する適宜なものを用い
うる。
【0014】重合性化合物は2種以上を併用してもよ
く、モノマーとオリゴマーの混合物なども用いうる。モ
ノマーとオリゴマーの混合物の使用は、屈折率分布の傾
斜を高めることができ反射防止層の薄肉化に有利であ
る。なお含浸させる重合性化合物には必要に応じラジカ
ル系等の重合開始剤や光増感剤などを配合することがで
きる。
【0015】ポリマー基材の孔部への重合性化合物の充
填は、ポリマー基材に重合性化合物を必要に応じ溶媒を
用いて塗布含浸させる方式、重合性化合物の液中にポリ
マー基材を浸漬する方式などの適宜な方式で行ってよ
い。
【0016】重合性化合物の重合処理は、加熱処理や光
照射等の重合性化合物の特性に応じて適宜に処理するこ
とにより行うことができる。重合処理により上記したよ
うに、重合性化合物がそれ同士やポリマー基材間等で反
応してポリマー基材中に例えば重合度や重合率、硬化度
や架橋度、付加率などの変化(分布)により異なる屈折
率状態を形成して屈折率分布を有する反射防止層と、微
小領域を形成する。
【0017】本発明においては、形成する微小領域の大
きさ、界面ゲル共重合法等による形成反射防止層の屈折
率差などを制御することにより、光の拡散状態を変化さ
せることができ、戻り光等による損失を有効に低減する
ことができる。なお反射防止層における屈折率分布は、
用いる重合性化合物とポリマー基材の組合せにより制御
することができる。得られた光拡散板は、例えばプロジ
ェクションテレビや液晶表示装置のバックライトシステ
ムなどの種々の用途に用いることができる。
【0018】実施例1 ミクロンオーダーの微小な連続発泡構造を有する厚さ2
00μmのポリメチルメタクリレートからなるポリマー
基材を、5重量%の硬化剤を含有するベンジルメタクリ
レート中に浸漬して真空脱気下に含浸処理したのち、7
0℃で6時間加熱硬化させて光拡散板を得た。反射防止
層の厚さは約1μmであった。前記の光拡散板の片面よ
り光を垂直入射させて他面における出射光量を測定して
全光線透過率を調べたところ、90%であり、出射光は
良好な拡散状態を示した。
【0019】実施例2 厚さ1mmのポリメチルメタクリレート板に熱衝撃を繰返
し負荷して表面に数十ミクロンオーダーの微小な亀裂を
多数形成したポリマー基材に、2重量%の硬化剤を含有
するベンジルメタクリレートを塗布して含浸処理したの
ち、70℃で6時間加熱硬化させて光拡散板を得た。反
射防止層の厚さは約1μmであった。前記の光拡散板の
全光線透過率を調べたところ90%であり、出射光は良
好な拡散状態を示した。
【0020】実施例3 厚さ1mmのポリメチルメタクリレート板をアセトン(強
溶媒)に浸漬して表面を溶解させたのち、メタノール
(貧溶媒)に浸漬して表面に数ミクロンオーダーの微小
な節理を多数形成したポリマー基材に、5重量%の硬化
剤を含有するベンジルメタクリレートを塗布して含浸処
理したのち、70℃で6時間加熱硬化させて光拡散板を
得た。反射防止層の厚さは約1μmであった。前記の光
拡散板の全光線透過率を調べたところ90%であり、出
射光は良好な拡散状態を示した。
【0021】実施例4 メチルメタクリレート100重量部、でん粉粉末100
重量部、及び過酸化ベンゾイル0.5部を混合してキャ
スト成形し、真空脱気後80℃で加熱硬化させてそれを
熱湯で洗浄してでん粉粉末を除去して得た、ミクロンオ
ーダーの微小な連続孔を多数形成した厚さ50μmのポ
リマー基材を、ベンジルメタクリレート75重量部とポ
リベンジルメタクリレート25重量部と硬化剤5重量部
の混合溶液中に浸漬して含浸処理し、真空脱気後封止し
て70℃で6時間加熱硬化させて光拡散板を得た。反射
防止層の厚さは約1μmであった。前記の光拡散板の全
光線透過率を調べたところ90%であり、出射光は良好
な拡散状態を示した。
【0022】
【発明の効果】 本発明によれば、透明基材と微小領域
の界面に屈折率分布型の反射防止層を有して吸収損失や
反射損失が小さく、連続多孔部に充填形成した微小領域
の形状効果と屈折効果に基づいて光の拡散効率や利用効
率に優れる光拡散板を得ることができる。また本発明の
製造方法は、かかる光拡散板の量産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断面図。
【図2】微小領域の拡大断面図。
【図3】ポリマー基材の説明図。
【符号の説明】
1:透明基材 11:ポリマー基材 32:連続多孔部 2,21:屈折率分布型の反射防止層 3,31:微小領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基材の連続多孔部中にその基材とは
    屈折率が異なる多数の微小領域が充填形成されてなり、
    その微小領域と透明基材の界面に屈折率分布型の反射防
    止層が介在することを特徴とする光拡散板。
  2. 【請求項2】 連続多孔部を有する透明なポリマー基材
    に異なる屈折率のポリマーを形成する重合性化合物を含
    浸させて重合処理することを特徴とする請求項1に記載
    の光拡散板の製造方法。
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