JP2009229556A - 光拡散防眩フィルム、光拡散性防眩光学素子及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材層と、単孔構造の中空樹脂微粒子がマトリックス樹脂中に分散された防眩層とを有する光拡散防眩フィルムであって、前記防眩層は、算術平均表面粗さRaが40nm以下であり、前記中空樹脂微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μm、かつ、空隙率が20〜80体積%である光拡散防眩フィルム。
【選択図】なし
Description
しかしながら、シリカ微粒子を用いて防眩効果を得る方法では、多量のシリカ微粒子を用いる必要があり、その結果、画像表示装置の明所での表示コントラストが悪くなり、透明性が低下して画像表示装置の表面が白っぽくボケて見える現象(以下、白ボケという)が発生していた。
また、防眩性を維持しつつ、明所での表示コントラストを向上するために、防眩性ハードコート層の上に反射防止層(低屈折率層)を設けた防眩性ハードコートフィルムが開発され、実用化されている。しかしながら、このような方法を用いた場合であっても、高精細なLCDに適用した場合、LCD表面におけるギラツキ(輝度の強弱の部分)現象が発生し、明所での表示コントラストが不充分で白ボケを防止できないといった問題があった。
しかしながら、このような防眩性ハードコートフィルムは、フィルムの表面粗さが大きいために、高精細なLCDに適用した場合、明所での表示コントラストが悪いものとなっていた。
しかしながら、このような防眩性ハードコートフィルムでは、依然としてギラツキ現象の防止及び明所での表示コントラストの向上(白ボケ防止)の双方を同時に実現することは困難であった。
しかしながら、このような光拡散性防眩フィルムは、特許文献4の実施例にも記載されているように、多孔構造の中空樹脂微粒子を用いているため、特許文献4に記載の製造方法にて、光拡散性防眩フィルムを製造した場合、トルエン等の有機溶剤が微粒子中に侵入して、防眩層を形成した場合に中空構造を保てないことから、光拡散性が低下して、防眩性に劣るものとなっていた。
以下に本発明を詳述する。
上記透明基材層は、可視光の光線透過率が高く、透明性に優れる材料であれば、特に限定されないが、光学的に複屈折の少ないものが好ましい。
上記透明基材層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロ
ース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等が挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等も用いてもよい。更に、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー等を用いてもよい。上記の樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記単孔構造を有することにより、上記中空樹脂微粒子のシェル内に形成された空隙は密閉性に優れたものとなり、上記防眩層を形成する際に、空隙内に有機溶剤やマトリックス樹脂のモノマー成分が侵入して、上記中空樹脂微粒子の空隙率を低下するといった不具合を防止することができる。
なお、本明細書において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。
具体的には、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアニン樹脂、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂等からなる架橋重合体、これらを構成するモノマーの共重合体等を用いることができる。これらは、例えば懸濁重合法、乳化重合法等の一般的な方法により製造することができる。
なお、上記中空樹脂微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体は、上記中空樹脂微粒子の空隙の一部に内包されていてもよく、空隙の全部に内包されていてもよい。
上記グリコールエーテル類としては、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシプロピル−2−アセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
また、各種天然オイル、シリコンオイル、グリセリン、ポリマー水溶液、ポリマー有機溶剤溶液等を用いてもよい。
なお、本明細書において、空隙率とは、中空樹脂微粒子の全体積に占める、空隙部分の体積比のことをいい、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した写真をもとに、平均粒子径(外径)及び平均内孔径を測定し、空隙部分の体積と中空樹脂微粒子の体積との比を算出することにより測定することができる。
このような中空樹脂微粒子を使用することで、有機溶剤による中空樹脂微粒子の膨張・収縮を抑制して、防眩性の低下や白ボケの発生を防止することができる。
なお、上記有機溶剤としては、トルエンが使用される。
また、上記有機溶剤に60分間浸漬した後の体積変化率は、粒子径測定を行い、有機溶剤に浸漬前と浸漬後の体積変化を求めることで算出される。
上記紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種の樹脂を用いることができる。具体的には例えば、紫外線重合性の官能基を2個以上有するアクリル系紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。
上記反射防止層を形成することにより、反射防止効果を付与することができ、防眩層表面の微細凹凸構造で外光が散乱されて表面が白っぽく見える、白ボケ現象を抑制することができる。
また、上記反射防止層の厚みは、特に限定されないが、通常、0.05〜0.3μmが好ましく、0.1〜0.3μmとすることが好ましい。なお、反射率低減の観点から、通常、厚さ(nm)×屈折率の値が140nm以下となるようにするのが好ましい。
他に、単孔構造の中空樹脂微粒子がマトリックス樹脂中に分散された防眩層のみを形成した後、透明基材フィルムと防眩層とを接合する方法を用いてもよい。
例えば、上記光学素子として偏光板を用いた場合、光拡散性防眩偏光板となる。
上記偏光子の厚さは、特に限定されず、5〜80μm程度が好ましい。
上記透明保護フィルムの材質としては、上記透明基材層と同様のものが用いられる。中でも、トリアセチルセルロース等が好ましい。なお、上記偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、表裏で同じ材料からなるものを用いてもよく、異なる材料からなるものを用いてもよい。
上記透明保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、10〜300μm程度が好ましい。
上記スティッキング防止処理は、隣接層との密着防止を目的に施される。なお、これらのハードコート処理層、スティッキング防止処理層は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
なかでも、偏光板に反射板や半透過反射板を積層した反射型偏光板や半透過型偏光板、偏光板に位相差板を積層した楕円偏光板や円偏光板、偏光板に視角補償フィルムを積層した広視野角偏光板、偏光板に輝度向上フィルムを積層した偏光板が好ましい。
上記粘着剤層の形成方法としては、例えば、トルエン、酢酸エチル等の溶剤に、接着樹脂を溶解又は分散させた粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜の展開方式で光学素子上に直接付設する方式や、上記に準じてセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを光学素子上に移着する方式等がある。
具体的には、本発明の画像表示装置である液晶表示装置は、例えば、液晶セル、本発明の光学素子に加えて、必要に応じて照明システム等の構成部品を適宜に組み立て、駆動回路を組み込むこと等により、作製することができる。
なお、本発明の光拡散性防眩光学素子は、液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学素子を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。更に、液晶表示装置の作製に際し、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライト等の部品を適当な位置に1層又は2層以上配置することができる。
上記液晶セルについては、例えば、TN型、STN型、π型等の任意なタイプのものを使用できる。
(中空樹脂微粒子の作製)
親水性モノマーとしてメタクリル酸50重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリオキシエチレンジメタクリレート10重量部(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、内包されるコア剤としてノルマルヘキサン145重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルスラリーを作製することにより、平均粒子径が4μmの単孔構造の中空樹脂微粒子を得た。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製、「ユニデック17806」)100重量部、得られた単孔構造の中空樹脂微粒子30重量部、紫外線重合開始剤(日本チバガイギー社製、「イルガキュア907」)5重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業社製、「メガファックF470N」)0.5重量部をトルエン中に分散させ、固形分濃度が40重量%の防眩層用樹脂組成物を調製した。次いで、調製した防眩層用樹脂組成物を、透明基材フィルムとして厚さが80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.48)の上に、バーコーターで塗布した。その塗膜を90℃で3分間加熱して、乾燥した。その後、紫外線を照射して硬化処理し、厚さが8μm、屈折率が1.52である防眩層を形成することにより、光拡散性防眩フィルムを作製した。
(反射防止層の形成)
テトラアルコキシシラン(コルコート社製、「コルコートN103X」)70重量部、フルオロアルキル構造及びポリシロキサン構造を有するシランカップリング剤(JSR社製、「JTA105」)30重量部を、イソプロピルアルコール/酢酸ブチル/メチルイソブチルケトン(70/18/12(重量比))の混合溶媒中に分散させることにより、固形分濃度が2.0重量%の反射防止層用樹脂組成物を調製した。
次いで、このように調製した反射防止層用樹脂組成物を、実施例1で得られた光拡散防眩フィルムの防眩層の上に、バーコーターで塗布した。その塗膜を120℃で3分間加熱して、乾燥及び硬化し、厚さが0.1μm、屈折率が1.43である反射防止層を形成して、光拡散性防眩フィルムとした。
親水性モノマーとしてメタクリル酸50重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリオキシエチレンジメタクリレート10重量部(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、内包されるコア剤としてノルマルヘキサン25重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして中空樹脂微粒子及び光拡散性防眩フィルムを作製した。
親水性モノマーとしてメタクリル酸50重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリオキシエチレンジメタクリレート10重量部(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、内包されるコア剤としてノルマルヘキサン400重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして中空樹脂微粒子及び光拡散性防眩フィルムを作製した。
実施例1の(防眩層の形成)において、単孔構造の中空樹脂微粒子に代えて、多孔構造のPMMA中空樹脂微粒子(積水化成品工業社製、「L−XX−07AA」、平均粒子径4.9μm、PMMAの屈折率1.49)15重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散性防眩フィルムを作製した。
実施例1の(防眩層の形成)において、単孔構造の中空樹脂微粒子に代えて、中空部(空隙)を有しないPMMA粒子(積水化成品工業社製、「XX−18AA」、平均粒子径5.0μm、PMMAの屈折率1.49)15重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散性防眩フィルムを作製した。
実施例1、2及び比較例1、2、3、4で使用した微粒子、及び、得られた光拡散性防眩フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
動的光散乱式粒度分布計(Particle Sizing Systems社製、「NICOMP model 380 ZLS−S」)を用いて、実施例及び比較例で得られた微粒子の体積平均粒子径及びCV値を測定した。
得られた中空樹脂微粒子0.5gをサンプリングし、ポロシメーター2000(アムコ社製)を用いて、空隙率を測定した。なお、測定温度は23℃、封入水銀圧力は2000kg/cm2とした。
実施例及び比較例において得られた光拡散防眩フィルムの防眩層について、JIS B 0601に準拠した方法で表面の算術平均表面粗さRaを測定した。なお、測定には、触針式粗さ計(東京精密社製、サーフコム1400D)を用いた。
得られた光拡散防眩フィルムについて、ヘイズメーター(東京電色社製、「TC−H3PDK」)を用いて、全光線透過率及びヘイズを測定した。
得られた光拡散防眩フィルムの裏面をサンドペーパーでこすり、艶消しの黒色塗料を塗布した後、分光光度計(島津製作所社製、「UV−3101PC」)を用いて、光波長550nmの光の入射角5°での片面の反射率を測定した。
(6−1)得られた光拡散防眩フィルムの防眩層が形成されていない面に、黒色アクリル板(厚み1.0mm、日東樹脂工業社製)を粘着剤で貼り付けて裏面の反射を無くしたサンプルを作製した。
(6−2)一般的なディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、得られたサンプルの光拡散防眩性を目視にて確認し、以下の基準で判定した。
(判定基準)
○:像の写り込みがほとんどない。
△:像の写り込みがあるが、実用上の影響は小さい。
×:像の写り込みがあり、実用上問題がある。
(7−1)得られた光拡散防眩フィルムの防眩層が形成されていない面に、黒色アクリル板(厚み1.0mm、日東樹脂工業社製)を粘着剤で貼り付けて裏面の反射を無くしたサンプルを作製した。
(7−2)一般的なディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、得られたサンプルの白ボケの現象を目視にて確認し、以下の基準で判定した。
(判定基準)
○:白ボケがほとんどない。
△:白ボケがあるが、実用上の影響は小さい。
×:白ボケがあり、実用上問題がある。
Claims (7)
- 透明基材層と、単孔構造の中空樹脂微粒子がマトリックス樹脂中に分散された防眩層とを有する光拡散防眩フィルムであって、
前記防眩層は、算術平均表面粗さRaが40nm以下であり、
前記中空樹脂微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μm、かつ、空隙率が20〜80体積%である
ことを特徴とする光拡散防眩フィルム。 - 単孔構造の中空樹脂微粒子とマトリックス樹脂との屈折率差が、0.08〜0.80であることを特徴とする請求項1記載の光拡散防眩フィルム。
- マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散防眩フィルム。
- 単孔構造の中空樹脂微粒子の空隙に、前記単孔構造の中空樹脂微粒子のシェルとは屈折率が異なる透明な液体が内包されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光拡散防眩フィルム。
- 防眩層上に反射防止層が積層されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の光拡散防眩フィルム。
- 光学素子の片面又は両面に、請求項1、2、3、4又は5記載の光拡散防眩フィルムを有することを特徴とする光拡散性防眩光学素子。
- 請求項1、2、3、4或いは5記載の光拡散防眩フィルム、又は、請求項6記載の光拡散性防眩光学素子を用いてなることを特徴とする画像表示装置。
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