JP3208370U - 緩衝構造ユニット、及び、緩衝フェンス - Google Patents

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Abstract

【課題】被衝突物に対する衝突緩和をさせて、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が図られた緩衝構造ユニットを提供する。【解決手段】緩衝構造ユニット1は、前記垂直壁の表面から離れる方向に複数の緩衝板材10,20を積層した積層構造を有する緩衝部材層100を備えており、該緩衝部材層100の全体を表面シート200で覆った構成を有している。緩衝部材層100は、2枚の緩衝板材10,20によって構成されており、緩衝構造ユニット1の表面側に配されている第1の緩衝板材10とこの第1の緩衝板材10に背面側で接する第2の緩衝板材20とを有している。【選択図】図1

Description

本考案は、被衝突物に対する衝突緩和をさせるべく用いられる緩衝ユニット、及び、このような緩衝ユニットを備えた緩衝フェンスに関し、より詳しくは、樹脂発泡体からなる複数の緩衝板材を前記被衝突物から離れる方向に積層した緩衝部材層を有する緩衝構造ユニット、及び、このような緩衝ユニットを備えた緩衝フェンスに関する。
従来、野球場や陸上競技場等のスポーツ競技場の周囲にはフェンスが立設されてボールやその他の用具が競技場外に飛び出すことが防止されている。
該フェンスとしては、フェンス本体に緩衝構造ユニットを装着させて競技者が勢い余って衝突したときに負傷することを防止するための緩衝フェンスが広く用いられている(特許文献1)。
該緩衝フェンスとしては、樹脂発泡体からなる緩衝板材を防水性の表面シートで覆った緩衝構造ユニットをフェンス本体に装着させたものが広く用いられている。
この種の緩衝構造ユニットは、競技者が衝突する外側部分をフェンス本体に近い内側部分よりも低弾性とし、衝突した競技者に対する負荷をより軽減させるように工夫されたものが知られている。
しかしながら、この種の緩衝構造ユニットは、従来、十分な緩衝性を発揮させるために総じて厚みが過大なものとなっており、例えば、特許文献1の実施例によれば、緩衝ユニットの厚みが約140mm(半硬質発泡樹脂層20mm、軟質発泡樹脂層110mm、表面シートに積層したウレタンフォームシート10mm)となることが示されている。
このように緩衝構造ユニットは、嵩高く、質量が大きなものになると、例えば、緩衝フェンスを形成させる際にフェンス本体への取り付けを厳重なものにする必要が生じて施工に多大な手間を生じさせるおそれを有する。
また、緩衝構造ユニットをコンパクト化及び軽量化することは、緩衝構造ユニットや緩衝フェンスの製造コストの低減を図る上においても有利になると考えられる。
そのようなことから、従来、緩衝構造ユニットにおいては、下記特許文献2にも示されているように十分な緩衝性を保持しつつ厚みを薄くして、その製造コストや施工コストを低減させることが要望されている。
しかしながら、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が十分に図られた緩衝構造ユニットはこれまで見出されておらず、上記のような要望は満足されるに至っていない。
なお、優れた緩衝性を発揮させつつ厚みを低減させることが緩衝構造ユニットに求められているのは、緩衝構造ユニットが野球場や陸上競技場の緩衝フェンスに利用される場合に限られたものではなく、モーターサーキットやスケートリンクの側壁、幼稚園・保育園の教室の壁や柱、スキー場リフトの支柱、体育館の床、壁などをはじめとして各種の被衝突物に対する衝突緩和を目的として利用される場合に広く共通するものである。
特開平10−165557号公報 特開2012−31931号公報
本考案は、前記のような要望を満足させることを課題としており、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が図られた緩衝構造ユニットを提供し、ひいては施工容易な緩衝フェンスを提供することを課題としている。
本考案は、上記課題を解決すべく被衝突物に対する衝突緩和をさせるべく用いられ、樹脂発泡体からなる複数の緩衝板材を有し且つ該緩衝板材を前記被衝突物から離れる方向に積層した積層構造を有する緩衝部材層を備えた緩衝構造ユニットであって、前記緩衝部材層の総厚みをT(mm)、平均見掛け密度をD(kg/m)とした際に下記式(1)を満足するものであり、前記緩衝部材層は、前記緩衝板材として連続気泡発泡体からなる連続気泡緩衝板材を2以上備え、前記総厚みの80%以上が前記連続気泡緩衝板材からなり、少なくとも2つの前記連続気泡緩衝板材が前記積層方向に隣接していることを特徴とする緩衝構造ユニットを提供する。

18≦(D×T/50)≦30 ・・・ (1)
また、本考案は、スポーツ競技場の周囲に立設されたフェンス本体とフェンス本体の少なくとも前記スポーツ競技場側に装着されている緩衝構造ユニットとを備え、該緩衝構造ユニットが前記のような緩衝構造ユニットである緩衝フェンスを提供する。
本考案によれば、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が図られた緩衝構造ユニットが提供され得るとともに施工容易な緩衝フェンスが提供され得る。
一実施形態に係る緩衝構造ユニットの一例を示した概略斜視図。 他実施形態に係る緩衝構造ユニットの一例を示した概略斜視図。 緩衝板材の一例(凹凸材)を示した概略斜視図。 一凹凸材の凹凸パターンを示した概略断面図。 他凹凸材を示した概略斜視図。 実施例で評価に用いた頭部モデルの概略構成図。 頭部モデル衝突試験で得た加速度−時間の波形図の一例。 緩衝性の評価結果を示すグラフ。
以下に、本考案の第1の実施の形態について、土木・建築物の垂直壁を被衝突物とし、この垂直壁に対して衝突緩和を行うべく用いられる緩衝構造ユニットについて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1は本実施形態の緩衝構造ユニットの概略斜視図であり、一部に断面構造を表した図である。
この図を参照しつつ本考案の第1実施形態に係る緩衝構造ユニットについて以下に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の緩衝構造ユニット1は、扁平な矩形板形状を有し、土木・建築物の垂直壁の表面に一方の板面1bを面接触させて前記垂直壁に対する衝突緩和をさせるべく用いられるものである。
即ち、第1実施形態の緩衝構造ユニット1は、縦置き型で用いられるものである。
なお、以下においては、この矩形板形状を有する緩衝構造ユニット1の厚み方向の内、前記垂直壁の表面に面接触される側に向かう方向(図1の矢印B方向)について「背面側」、「後方側」又は「内側」と称することがある。
また、以下においては、これとは逆に垂直壁から遠ざかる方向(図1の矢印S方向)について「表面側」、「前方側」又は「外側」と称することがある。
さらに、以下においては、この矩形板形状を有する前記緩衝構造ユニット1の平面方向の内、図1の矢印U方向を「上側」と称し、矢印D方向を「下側」と称することがある。
また、以下においては、図1の矢印RLに係る方向について「幅方向」と称し、矢印R方向を「右側」、矢印L方向を「左側」と称することがある。
図1に示されているように、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、前記垂直壁の表面から離れる方向に複数の緩衝板材10,20を積層した積層構造を有する緩衝部材層100を備えており、該緩衝部材層100の全体を表面シート200で覆った構成を有している。
前記緩衝部材層100は、図に示されているように、2枚の緩衝板材10,20によって構成されており、緩衝構造ユニット1の表面側に配されている第1の緩衝板材10とこの第1の緩衝板材10に背面側で接する第2の緩衝板材20とを有している。
前記緩衝構造ユニット1の緩衝部材層100は、当該緩衝構造ユニット1の利用目的などによっても異なるが、通常、総厚みが70mm以下程度とされ、60mm以下の厚みとされることが好ましく、50mm以下の厚みとされることがより好ましい。
また、緩衝部材層100の厚みの下限としては、当該緩衝構造ユニット1の利用目的などによっても異なるが、30mm以上とすることが好ましく、40mm以上とすることがより好ましい。
また、上記表面シート200は、通常、0.3mm以上3mm以下程度の厚みとされ、0.5mm以上2mm以下の厚みとされることが好ましい。
さらに、2枚の緩衝板材10,20は、各々10〜30mm程度の厚みとされることが好ましい。
また、後述するように緩衝板材として少なくとも片面に凹凸形成面を備えたものを採用する場合には、その厚みは15〜30mmとすることが好ましい。
前記垂直壁がスポーツ競技場の周囲に立設されたフェンス本体を構成している垂直壁で、前記緩衝構造ユニット1が前記フェンス本体の少なくとも前記スポーツ競技場側に装着されて前記フェンス本体とともに緩衝フェンスを構成するものである場合、競技者の通常の移動速度を2m/s程度と想定すると、緩衝部材層100の厚みは30mm以上とすることが好ましく、競技における移動速度を4m/s程度と想定した場合には、この厚みを40mm以上とすることが特に好ましい。
前記緩衝部材層100を構成する2枚の緩衝板材10,20は、いずれも樹脂発泡体からなり、より詳しくは、連続気泡発泡体からなる板状体(以下、「連続気泡緩衝板材」ともいう)である。
なお、この緩衝板材10,20を構成する連続気泡発泡体は、例えば、東京サイエンス社製、空気比較式比重計(型名「1000型」)などによって測定されるASTM D2856(1−1/2−1気圧法)に規定の独立気泡率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることが特に好ましい。
なお、緩衝板材10,20を形成させるためのに採用可能な連続気泡発泡体の独立気泡率の下限値は、通常、3%である。
連続気泡発泡体からなる前記第1の緩衝板材10(以下、「第1連続気泡緩衝板材10」ともいう)が、矩形板状に形成されて両面が平坦な平坦材となっている一方で、前記第2の緩衝板材20(以下、「第2連続気泡緩衝板材20」ともいう)は、矩形板状である点においては前記第1連続気泡緩衝板材10と共通しているものの片面側に凹凸形成がされた凹凸材となっている点において前記第1連続気泡緩衝板材10と相違している。
該第2連続気泡緩衝板材20の凹凸形成面は、より詳しくは、図3、図4に示しているように隆起部21と窪み部22とが交互に繰り返した波形面となっている。
また、この隆起部21と窪み部22とは、第2連続気泡緩衝板材20の板面に平行する仮想直線Xに沿って交互に設けられている。
さらに、第2連続気泡緩衝板材20の凹凸形成面には、前記仮想直線Xに沿って一列に並んだ隆起部21と窪み部22とは、別に、前記仮想直線Xに平行する第2の仮想直線Yに沿って一列に並ぶ形で隆起部21と窪み部22とが交互に形成されている。
そして、第2連続気泡緩衝板材20は、一つの列における隆起部間のピッチP1と窪み部間のピッチP2とを共通させており、且つ、これらのピッチP1,P2が隆起部21と窪み部22とが交互に並んだ一つの列からこの列に最も近い別の列までの距離Dの略2倍となっている。
また、第2連続気泡緩衝板材20における窪み部22の底部22bは、該窪み部22の両側に位置する隆起部21の先端部21aの中間に位置する。
即ち、列に沿って交互に並ぶ前記先端部21aと前記底部22bとは、一定のピッチP3で配置されており、当該ピッチP3は、前記列間距離Dに略等しくなっている。
また、この列に沿って第2連続気泡緩衝板材20を切断した際の凹凸形成面の稜線形状は、正弦波を描く形状となっている。
即ち、第2連続気泡緩衝板材20は、隆起部21から窪み部22にかけての高さの変化が直線的なものになっておらず、且つ、全ての隆起部21が高さを略共通させているとともに全ての窪み部22が深さを略共通させている。
本実施形態の緩衝部材層100には、凹凸形成面が前面側となるように第2連続気泡緩衝板材20が備えられており、該第2連続気泡緩衝板材20は、前記隆起部21の先端部21aを第1連続気泡緩衝板材10の背面に当接させる形で緩衝部材層100に備えられている。
なお、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立を図る上において、前記緩衝部材層100の総厚みをT(mm)、平均見掛け密度をD(kg/m)とした際に前記総厚み(T)の80%以上が前記のような連続気泡緩衝板材によって構成されていることが重要であり、且つ、下記式(1)を満足していることが重要である。

18≦(D×T/50)≦30 ・・・ (1)

また、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、前記のように2枚の連続気泡緩衝板材が厚み方向において隣接していることが重要である。
なお、ここで緩衝部材層100の総厚みとは、当該緩衝部材層100の最も背面側に配されている緩衝板材の背面から最も表面側に配されている緩衝板材の表面までの厚みを意味する。
また、緩衝板材の厚みとは、例えば、前記第2連続気泡緩衝板材20のような凹凸材については、平坦な背面から前面側の隆起部21の先端21aまでの距離を意味する。
さらに、凹凸材が両面に隆起部を有するものである場合、緩衝板材の厚みとは、一面側の隆起部の先端から他面側の隆起部の先端までの距離を意味する。
即ち、緩衝板材の厚みとは、互いに平行する2枚の平板を当該緩衝板材の厚み方向両側から接近させた場合に、両平板と緩衝板材とが接する状態となる位置における平板間距離を意味する。
また、前記平均見掛け密度(D:kg/m)とは、緩衝部材層100を構成している部材の密度を体積換算で平均化した値を意味する。
即ち、図1に例示の緩衝部材層100においては、第1連続気泡緩衝板材10の見掛け密度をD1(kg/m)、第2連続気泡緩衝板材20の見掛け密度をD2(kg/m)、単位面積当たりの第1連続気泡緩衝板材10の体積をV1(m)、第2連続気泡緩衝板材20の体積をV2(m)とした際に、前記平均見掛け密度(D:kg/m)は、下記式(2)によって求められる値を意味する。

D=〔(D1×V1)+(D2×V2)〕/(V1+V2) ・・・(2)
なお、図1においては、第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20とが互いに直接的に接し合う状態で隣接されているが、例えば、軟質で第1連続気泡緩衝板材10や第2連続気泡緩衝板材20に追従して容易に変形する薄手の樹脂フィルムや繊維シートなどを介して第1連続気泡緩衝板材と第2連続気泡緩衝板材とを隣接させているような場合には、平均見掛け密度の計算は、この樹脂フィルムや繊維シートも加味して行うものとする。
また、前記の緩衝部材層の総厚みは、この樹脂フィルムや繊維シートの厚みをも計算に加えることとする。
ここで緩衝構造ユニット1に対して物体が衝突した際において第1連続気泡緩衝板材10や第2連続気泡緩衝板材20の圧縮変形を阻害したり、これらに対して追従性良く変形し難いものを第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20との間や、第1連続気泡緩衝板材10と表面シート200との間などにおいて介装させたのでは、緩衝構造ユニット1が良好なる緩衝性を発揮しなくなるおそれを有する。
従って、その気泡構造が連続気泡構造であるか独立気泡構造であるかに因らず、一定以上の硬さを有するもの、即ち、JIS K 6767(ISO 3386−1)に準じて測定される25%圧縮応力が150kPa以上となるような硬質なものは緩衝構造ユニット1に組み入れないことが好ましい。
なお、上記のような硬質な部材は、緩衝構造ユニット1の厚みを過度に増大させてしまわない限りにおいて、必要に応じて、第2連続気泡緩衝板材20よりも背面側に介装させても良い。
ただし、このような場合、当然ながらこの硬質な部材は、緩衝部材層100を構成するものではないので緩衝部材層100の厚みや平均見掛け密度の算定には加味しない。
前記緩衝部材層100が式(1)を満足することが重要であるのは、「D×T/50」の値(以下、「緩衝密度」ともいう)が18kg/m未満である場合は、緩衝部材層100を構成する緩衝板材10,20などの見掛け密度が低過ぎるか、又は、緩衝部材層100に十分な厚みが確保されていないことを意味し、垂直壁に装着された緩衝構造ユニット1に人が衝突するなどした場合に、その重量や衝突速度によっては底付現象(衝突後半において強い反発力を受ける現象)を生じる可能性が高まるためである。
また、前記緩衝部材層100が式(1)を満足することが重要であるのは、緩衝密度が30kg/mを超えるような高い値となる場合は、緩衝部材層100を構成している緩衝板材10,20などの見掛け密度が大きすぎるか、又は、緩衝部材層100が必要以上の厚みを有していることを意味し、緩衝部材層100の反発性が過度に高くなるおそれがある他に緩衝構造ユニット1を必要以上に嵩高いものとさせてしまうおそれがあるためである。
即ち、前記緩衝部材層100は、緩衝構造ユニット1に厚みの薄さと優れた緩衝性とをバランス良く発揮させる上において式(1)を満足することが重要である。
また、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、前記緩衝部材層100の必須構成として第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20との2つの連続気泡緩衝板材を備えている。
そして、これら以外の構成部材を採用すると緩衝部材層100の厚みを必要以上に厚くさせてしまったり、前記連続気泡緩衝板材10,20の緩衝性が緩衝構造ユニット1の緩衝性として十分に反映されなくなるおそれを有する。
このことから、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、緩衝部材層100の総厚みの80%以上が前記連続気泡緩衝板材10,20からなることを重要な要件としている。
また、本実施形態の緩衝構造ユニット1には、2つの連続気泡緩衝板材10,20が積層方向に隣接する形で備えられているが、これは緩衝構造ユニット1の表面側に何等かの物体が衝突し、第1連続気泡緩衝板材10から第2連続気泡緩衝板材20へ応力が圧縮変形として伝搬する際に、これらの積層界面が間に存在することにより、前記応力が積層界面の面方向に伝搬しやすくなり、垂直壁方向への応力を低減させることができるためである。
即ち、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、2つの連続気泡緩衝板材10,20を積層方向に隣接させていることで、これらが一体化された一つの大きな連続気泡緩衝板材が代わりに存在する場合よりも優れた緩衝性が発揮されるように構成されている。
そして、緩衝構造ユニット1に対してより優れた緩衝性を発揮させる上において、隣接する2つの連続気泡緩衝板材10,20は、背面側の第2連続気泡緩衝板材20の方が前面側の第1連続気泡緩衝板材10よりも見掛け密度が高くなっていることが好ましい。
言い換えれば、物体の衝突から早い段階で圧縮変形する可能性のある前面側の第1連続気泡緩衝板材10は、第2連続気泡緩衝板材20よりも低い見掛け密度である方が緩衝構造ユニット1に優れた緩衝性を発揮させる上において好ましい。
なお、緩衝部材層100を構成する緩衝板材が前記連続気泡緩衝板材10,20のように連続気泡構造を有する場合、物体の衝突時に圧縮変形し、その過程でその衝撃応力を減衰させる(吸収する)特性に優れ、元の形状に戻る復元性にも優れるが、その見掛け密度により衝撃吸収時の挙動は異なる。
一般的に、連続気泡構造を有する緩衝板材は、その見掛け密度が小さいと軽量且つ柔軟で、材料コストも抑制し易いものとなるが、圧縮変形の速度も速く、変形量も大きくなるため、底付現象を防止するためには所定以上の厚みを必要とする。
一方、緩衝板材は、見掛け密度が大きいと半硬質発泡樹脂に近い特性となり圧縮変形量が小さくなり、底付現象は生じにくくなるが、反発弾性が高まり、材料コストも高くなりやすい。
したがって、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、物体の衝撃応力を効率よく吸収するとともに反発弾性を抑えたものとすべく、適度な見掛け密度のものが前記連続気泡緩衝板材10,20として選択されることが好ましい。
これらの好ましい見掛け密度の範囲としては10〜30kg/mである。
そして、前記連続気泡緩衝板材10,20の見掛け密度の差異は、前記のような効果をより確実に発揮させ得る点において5〜10kg/mであることが好ましい。
なお、前記第1連続気泡緩衝板材10は、JIS K6401に準じて測定される40%硬さが35N/314cm以上190N/314cm以下であることが好ましく、前記第2連続気泡緩衝板材20は、前記40%硬さが60N/314cm以上285N/314cm以下であることが好ましい。
そして、前記第2連続気泡緩衝板材20の40%硬さは、前記第1連続気泡緩衝板材10の40%硬さよりも高い値となっていることが好ましく、前記第1連続気泡緩衝板材10の40%硬さとの差が25N/314cm以上200N/314cm以下となっていることがより好ましく、前記差が50N/314cm以上150N/314cm以下となっていることが特に好ましい。
本実施形態の緩衝構造ユニット1は、2つの連続気泡緩衝板材10,20を前記ような関係としておくことで、緩衝構造ユニット1に対して物体が衝突した際に、初期段階では、主として第1連続気泡緩衝板材10の弾性変形による高い衝撃緩和を発揮させることができ、次いで、その弾性変形が第2連続気泡緩衝板材20に伝達される際に、これらの積層界面の面方向に応力を伝搬させやすくなり、垂直壁に向けての応力をより確実に低減することができる。
本実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、背面側ほど見掛け密度が高くなっているので、緩衝部材層100では物体衝突時の弾性変形を相殺する反発力が弾性変形の増大に伴って増加し、大きな反発力を生じることなく、衝突した物体を緩やかに停止状態に導くことができ、底付現象も相対的に発生しにくくなる。
また、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、前記第2連続気泡緩衝板材20の片面が凹凸形成面となっていることで、当該第2連続気泡緩衝板材20に圧縮応力が加わった際に前記隆起部21が早い段階で変形されることになる。
このときに隆起部21の周囲に空間が存在することで、隆起部21が厚み方向だけでなく上下左右にも容易に変形され、応力が平面方向に拡散されやすくなるという効果が発揮される。
このことによって本実施形態の緩衝構造ユニット1は、より優れた緩衝性を発揮することとなる。
なお、上記のような効果を発揮する上においては、図1に例示しているような、第2連続気泡緩衝板材20の前面側のみが凹凸形成面となっている場合のみならず、第2連続気泡緩衝板材20の背面側のみが凹凸形成面となっている場合や、第2連続気泡緩衝板材20の両面が凹凸形成面となっている場合についても同じである。
さらに、第2連続気泡緩衝板材20が平坦材で、第1連続気泡緩衝板材10の前面側や背面側が凹凸形成面となっている場合についても上記効果を期待することができる。
即ち、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、少なくとも片面に凹凸が形成されている連続気泡緩衝板材を備えることで上記効果を期待することができる。
ただし、図4に示した隆起部21の先端部21aから窪み部22の底部22bにかけての領域Z1を空間部分を含めて一つの発泡体として看做した場合、前記先端部21aから前記底部22bに向けて見掛け密度を増加させていることになる。
従って、第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20との見掛け密度の関係と同様に、この凹凸形成面は前面側に設けられていることが好ましい。
また、凹凸形成面を前面側に設けるにしても表面シート200の直下の第1連続気泡緩衝板材10の前面側を凹凸形成面とすると、緩衝構造ユニット1の前面側に物体が衝突した際に当該第1連続気泡緩衝板材10の厚み方向への弾性変形が衝突初期において過大なものとなってしまい易く、平面方向への応力拡散効果が十分に発揮されなくなるおそれを有する。
特に表面シート200がターポリンシートなどのように厚みが薄く、それ単体では剛性を有さないシートを採用する場合にはそのような傾向が顕著となる可能性がある。
従って、本実施形態の緩衝構造ユニット1としては、図1に例示しているように最表面側の緩衝板材が両面ともが平坦な平坦材で、該平坦材よりも内側に前記凹凸材が凹凸形成面を前記平坦材側に向けて配置されていることが好ましい。
この凹凸材は、積層界面に空隙を形成することができるので、緩衝構造ユニットを使用材料の削減された軽量化構造とすることができる。
この凹凸材に複数の隆起またはくぼみを形成する手段としては特に限定されないが、例えば、加工精度に優れた方法として、NC加工機によるパターニング切削加工やトムソン型による打ち抜き加工、プロファイル機によるプロファイル加工が挙げられる。
特に連続気泡構造を有し柔軟性と復元性に優れた軟質樹脂発泡板をプロファイル加工する方法は、片面にプロファイル(凹凸)が形成されたシートを同時に2枚得ることができ、切削加工や打ち抜き加工とは異なり、空隙の形成にかかる材料の加工ロスが発生しない点において好ましく、軽量化構造に伴う材料コストの低減にもつながる点において好ましい。
この凹凸材は、どの部位においても均等に衝撃荷重を受けられるように隆起部及び窪み部が全面に均等に形成されていることが好ましい。
この凹凸材は、その凹凸形状や配列パターンは任意選択できる。
該凹凸材は、凹凸高さ及びピッチは大きすぎると局所的な空隙部が大きくなることによって緩衝性能が低下するおそれがあるので前記凹凸高さが5〜20mmであることが好ましく、該凹凸高さが10〜15mmであることが特に好ましい。
また、前記ピッチは10〜50mmであることが好ましく、該ピッチは20〜40mmであることがより好ましい。
なお、この凹凸材による凹凸形成面と平坦材の平坦面とによる界面が積層構造中に導入されることにより緩衝部材層100の平均密度を低減することができる。
即ち、式(1)における緩衝部材層100の総厚み(T)については、前記のように隆起部の先端までの厚みを考慮するが、平均見掛け密度(D)においては、隆起部21と窪み部22とを相殺して平滑面とした時の看做し厚みが考慮される。
この点についてさらに説明すると、図4に示すように第2連続気泡緩衝板材20が片面を凹凸形成面としているような場合であって、例えば、凹凸形成領域Z1の厚みが10mmで残りの平板状領域Z2の厚みが20mmである場合を想定すると、緩衝部材層100の総厚み(T)には、これらを単純に足し合わせた全厚み(Z1+Z2=10mm+20mm=30mm)が加わることになる。
一方で、平均見掛け密度(D)において、隆起部21と窪み部22とが等しく交互に形成され且つ隆起部21と窪み部22とが凹凸形成面に均一形成されている場合、この凹凸形成領域Z1の看做し厚みは5mm(=Z1/2=10mm/2)となり、第2連続気泡緩衝板材20の看做し厚みは25mm(=Z1+Z2の看做し厚み=20mm+5mm)となる。
ここで第2連続気泡緩衝板材20を構成している連続気泡発泡体の見掛け密度を(Dx)とした場合、第2連続気泡緩衝板材20の平均見掛け密度(D2)は、下記式(3)のように求められる。

式(3)
また、平均見掛け密度(D)を計算するための第2連続気泡緩衝板材20の単位面積〔A(m)〕当たりの体積〔V2(m)〕は、緩衝部材層100において第2連続気泡緩衝板材20が占有している部分の体積で、第2連続気泡緩衝板材20が空隙部を形成させている場合には当該空隙部をも含む体積を意味し、下記式(4)のようにして求められる。

式(4)
即ち、前記緩衝部材層100は、その構成部材として凹凸材を導入することにより、平均見掛け密度と総厚みとの調整が容易となって前記式(1)を満たす状態とすることが容易となる。
このようにして、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、緩衝部材層100が所定の条件を満たすように形成されていることで、厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が図られたものとなる。
なお、上記のような効果を奏する凹凸材は、図3、4に例示のものばかりでなく、例えば、図5に例示のようなものにおいても共通して発揮されるものである。
この緩衝部材層100を構成する前記連続気泡緩衝板材10,20の材質としては特に制限はないが、連続気泡構造を有し圧縮変形性(柔軟性)および復元性に優れる軟質な樹脂発泡体が好ましい。
連続気泡構造を有する軟質な樹脂発泡体としては、メラミンフォーム、軟質ウレタンフォーム、連続気泡ポリオレフィンフォーム、EVAフォーム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)フォームなどが挙げられる。
さらに、連続気泡構造を有する軟質な樹脂発泡体としては、独立気泡性を有する硬質な発泡体の気泡壁を各種の物理的または化学的処理で破壊することにより、発泡体内に連通孔を形成させたものであってもよい。
この硬質な発泡体としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリ塩化ビニルフォームなどが挙げられる。
また、軟質な樹脂発泡体としては、エラストマー樹脂やゴムチップ材等がブレンドされたものであってもよい。
上記例示のなかでも、柔軟性や復元性、コストなどを勘案すると、軟質ウレタンフォームが好適であり、特に土木・建築物に直接接着する場合などにおいて耐水性に配慮する必要が有る際には連続気泡ポリオレフィンフォームが好適である。
また、軟質ウレタンフォームはその化学構造によりエステル系とエーテル系があり、エーテル系軟質ウレタンフォームは、比較的、耐水性に優れている。
従って、土木・建築物に直接接着する発泡体としては、求められる耐水性の程度にも依るが、前記連続気泡ポリオレフィンフォームに代えてエーテル系軟質ウレタンフォームを選択することもできる。
前記軟質ポリウレタンフォームとしては、市販品を採用しても良い。
該市販品は、通常、汎用品や機能性製品まで幅広いラインナップがあり、見掛け密度についても10〜80kg/m程度の範囲にまでラインナップがなされていることから用途やニーズに合わせて材料を選択することができるので好適である。
該市販品としては、アキレス社より登録商標「アキレスエアロン」として市販されているものの他に東洋クオリティワン社やイノアック社より市販されているものを採用することができる。
前記連続気泡ポリオレフィンフォームとしては、イノアック社より登録商標「P・E−ライト」、三和化工社より登録商標「オプセル」、登録商標「スーパーオプセル」として市販されており、これらによって汎用品から機能性製品まで多彩なラインナップが展開されているものの中から所望のものを採用することができる。
前記緩衝部材層100とともに緩衝構造ユニット1を構成する前記表面シート200は、その材質等が特に限定されるものではないが、防炎性、耐熱性、耐候性、耐水性を有し、強靭性に優れるターポリンシートが好適である。
その他にも、同様の特性を有するフレキシブルフェイスシート、ゴムシートなどのシート類や、例えば特許第3439841号公報に記載された方法によるスプレーラバー等の塗布コーティングシート類が挙げられる。
前記表面シート200は、緩衝部材層100の積層状態を保持するため、緩衝部材層100の外表面に密着していることが好ましい。
この表面シート200を緩衝部材層100に密着させる手段としては、接着剤や両面テープ等により化学的に接着する方法、熱的に接着する方法、直接スプレーコーティングする方法の他、接着は行わず、例えば、特許第3362245号公報に記載された方法により表面シート200を緩衝部材層100の表面に張設して固定する方法を挙げることができる。
前記表面シート200は、緩衝材層の全面を包囲(包装)していてもよいし、固定部との接着面(背面部)を除いた周囲を包囲するものであってもよい。
なお、表面シート200を、例えば、特許第3362245号公報に記載された構成のようにメンテナンス時の部分交換を考慮して、軟質発泡樹脂シートを内張りしたものとする場合は、この軟質発泡樹脂シートの部分は、緩衝部材層100の一部(単層であれば第1層)と看做すものとする。
また、上記においては、主として緩衝部材層100を2枚の連続気泡緩衝板材10,20のみで構成させる場合を例示しているが、例えば、さらに独立発泡性の緩衝板材(以下、「独立気泡緩衝板材」ともいう)を連続気泡緩衝板材10,20の背面側や前面側に配置する場合、この独立気泡緩衝板材も緩衝部材層100の一部として看做されるものである。
(第2実施形態)
このような独立気泡緩衝板材を備えた態様について、図2を参照しつつ以下に本考案の第2の実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態に係る緩衝構造ユニットを示した図2において、これまでと同じ符号を付している部位については、これまでに説明した部位と基本的に共通しているため、以下の説明においては当該部位について繰返して詳述しない場合がある。
第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、図2に示されているように、前記垂直壁300に装着されて用いられる点においては、第1実施形態の緩衝構造ユニットと使用形態を共通させている。
そして、第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、最表面側に表面シート200を有し、該表面シート200に内側から接する矩形平板状の第1連続気泡緩衝板材10を有している点においても第1実施形態の緩衝構造ユニットと共通している。
さらに、この第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、片面に凹凸形成面を有する第2連続気泡緩衝板材20が、その隆起部21を第1連続気泡緩衝板材10に向けて突出させる形で第1連続気泡緩衝板材10の背面側に配されている点においても第1実施形態の緩衝構造ユニットと共通している。
第1実施形態における前記緩衝構造ユニットは、緩衝部材層100がこの第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20との2層構成であった。
一方で第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、図2に示されているように、この第2連続気泡緩衝板材20の背面側にさらに2層の積層構造を有し、緩衝部材層100が合計4層構成となっている点において第1実施形態における前記緩衝構造ユニットと相違している。
即ち、第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、第2連続気泡緩衝板材20の背面側に、第1連続気泡緩衝板材10と同じく連続気泡発泡体からなる矩形板状の第3連続気泡緩衝板材30を備え、該第3連続気泡緩衝板材30の背面側に独立気泡発泡体からなる独立気泡緩衝板材40をさらに備えている。
この第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、緩衝部材層100に独立気泡緩衝板材40をさらに備えている点において厚みが厚くなる傾向にはあるものの前記独立気泡緩衝板材40を備えていることで衝突時における底付感を大きく低減することができる。
また、この第2実施形態に係る緩衝構造ユニット1は、第1連続気泡緩衝板材10と第2連続気泡緩衝板材20との界面のみならず、第2連続気泡緩衝板材20と第3連続気泡緩衝板材30との界面、及び、第3連続気泡緩衝板材30と独立気泡緩衝板材40との界面を存在させていることから、その前面1aに衝突物が衝突した時における応力をこれらの界面を通じて拡散させ易いという効果も有する。
なお、第1実施形態において説明したような理由から、前記第3連続気泡緩衝板材30は、見掛け密度が前記第2連続気泡緩衝板材20よりも高い値を示すことが好ましい。
また、独立気泡緩衝板材40は、前記第3連続気泡緩衝板材30よりも圧縮弾性率が高いことが好ましい。
前記緩衝構造ユニット1は、独立気泡発泡体からなる緩衝板材を第2連続気泡緩衝板材20よりも背面側に設けることで、前記のような底付抑制効果の他に独立気泡発泡体が有する防水性、断熱性などによって第2連続気泡緩衝板材20などの保護層としての機能付加ができるようになる。
また、この保護層としての機能は、独立気泡構造を有する半硬質な発泡体のみならず気泡を有さない硬質樹脂層や金属等の非樹脂層によっても構成させ得る。
そして、このような硬質樹脂層や金属等の非樹脂層によっても構成される保護層は、緩衝部材層とともに表面シートで包装して緩衝構造ユニット1に備えさせるようにしてもよく、表面シートで包装せず、垂直壁に直接固着して緩衝部材層を支持させるための支持層とすることも可能である。
また、前記のような保護層には、緩衝部材層の緩衝性や復元性、及び、通気性を確保するため、厚み方向に貫通する貫通孔が設けられていてもよい。
前記保護層に貫通孔を設ける場合は、緩衝構造ユニット内外の通気性を保つことができて好適である。
なお、連続気泡緩衝板材10,20,30や独立気泡緩衝板材40による緩衝部材層100の積層数はこの第2実施形態での例示に限らず5層以上とすることも可能であるがこれらの積層数が多すぎると施工が煩雑となるので、緩衝部材層100は、2層以上4層以下の層数であることが好ましく、2層以上3層以下の層数であることがより好ましい。
前記緩衝部材層100を構成する個々の緩衝板材は、緩衝構造ユニットに対する衝突物の衝突位置によって緩衝性が大きく異なってしまうことを防止し、緩衝構造ユニットに対して比較的均一化された緩衝性を発揮させる上において、特異な形状を有するものよりも全体的に均整のとれた形状を有しているものの方が好ましい。
即ち、緩衝部材層100を構成する緩衝板材は、例えば、平板材にあっては、全体的に平板状となっていれば、局所的な窪みや局所的な突起を設けたり、周囲の厚みを中央部に比べて薄くして凸レンズ状としたり、逆に凹レンズ状となるように周囲の厚みを中央部に比べて厚くしたりした形状とすることも可能ではあるが、上述した理由からは、その平面方向における90%以上の領域において厚みを共通させていることが好ましい。
平板材において厚みを共通させている領域については、厚みの相違が誤差範囲程度かどうかで判別することができ、例えば、当該平板材の平均厚みに対する厚みの違いが±5%以内であるかどうかによって判別することができる。
即ち、平板材の平均厚みを「Tave」とした場合、0.95Tave〜1.05Taveの厚みを有する領域については、互いに厚みを共通させていると看做すことができる。
この平均厚み「Tave」とは、平板材に反りやうねりが生じており緩衝部材層100において占める厚みと実物の厚みとに相違がある場合は、後者の実物厚みについての平均厚みを意味する。
即ち、平均厚み「Tave」とは、3次元外形測定機などによって求められる平板材の実際の体積「Vr」を平板材の面積「Sr」で除して求められる厚みを意味する。
なお、平板材の面積「Sr」については、通常、平板材を厚み方向に直交する平面に投影させた際の投影面積によって求めることができる。
緩衝部材層100を構成する緩衝板材は、例えば、凹凸材にあっては、前記の平板状領域Z2が平面方向における90%以上の領域において厚みを共通させていることが好ましく、当該平板状領域Z2は、5mm以上の平均厚みを有していることが好ましい。
さらに、緩衝部材層100を構成する凹凸材は、平面方向における90%以上の領域において看做し厚みを共通させていることが好ましい。
平板状領域の厚みや看做し厚みが共通する領域については、前記の平板材と同様に判断することができ、平均厚みに対する厚みの違いが±5%以内であれば、厚みを共通させていると判断することができる。
看做し厚みが平面方向における90%以上の領域において共通しているか否かについては、凹凸材の一部領域について看做し厚みを求め、この看做し厚みを求める操作を移動平均を求めるような形で凹凸材全体に対して実施し、得られた全てのデータを平均することによって平均値を求め、この平均値に対して±5%以内のデータ数が90%以上か否かにより判断することができる。
より具体的には、隆起部が10〜15個程度内側に収まる領域を設定し、この領域における看做し厚みを求め、次いで測定領域を移動させて当該測定領域に対して再び看做し厚みを測定した後、この「測定領域の移動」及び「看做し厚みの測定」を測定範囲が凹凸材全体に及ぶまで実施し、得られた全ての看做し厚みのデータを算術平均し、この算術平均値に対して±5%以内のデータ数が90%以上か否かにより看做し厚みが90%以上の領域において共通しているか否かを判断することができる。
なお、このときの測定領域の移動距離については、例えば、隣接する隆起部間の距離などとすることができる。
凹凸材は、凹凸形成面を平坦面に当接させるように配置して緩衝構造ユニットの軽量化を図る場合、凹凸形成領域Z1に空隙を多く存在させていることが好ましい。
その一方で、凹凸形成領域Z1に過度に空隙を形成させるべく隆起部を細くさせたり隆起部の数を少なくしたりすると凹凸形成領域Z1が過度に変形容易となって緩衝構造ユニットに優れた緩衝性を発揮させることが難しくなる。
このようなことから凹凸材は、30体積%〜70体積%程度の割合で凹凸形成領域Z1に発泡体を存在させていることが好ましく、凹凸形成領域Z1の40体積%〜60体積%が発泡体によって占有されていることが好ましい。
さらに凹凸材は、凹凸形成領域Z1の厚み方向50%の位置を通る平面(例えば、図4に符号「CL」を付して示した平面)で隆起部などを切断した場合に、その断面積の総和が凹凸材の面積(厚み方向に直交する平面に投影させた際の投影面積)に対して30%以上となるように形成されていることが好ましい。
前記凹凸材の隆起部は、90%以上が、隣接する隆起部との間に所定の間隔を保った状態になっていることが好ましく、例えば、平面視における頂点どうしの間隔が10〜50mmの範囲内となって配置されていることが好ましく前記間隔が20〜40mmの範囲内となっていることがより好ましい。
また、凹凸材は、窪み部についても、全ての窪み部の内の90%以上が隣接する窪み部との間に上記のような間隔を保った状態になっていることが好ましく、窪み部の最深部間の距離が平面視において上記のような範囲内となっていることが好ましい。
凹凸材は、全ての隆起部の内の90%以上が、その頂部から隣接する窪み部の最深部までの距離(凹凸材の厚み方向における距離、図3の“H”)を所定範囲内としていることが好ましい。
この距離Hは、前記のように凹凸材が凹凸形成面を平坦面に当接させて緩衝部材層100の積層構造中に空隙部を形成させるためのものである場合は、5〜20mmであることが好ましく、10〜15mmであることが好ましい。
前記凹凸材は、隆起部の周囲に複数の窪み部が存在し、且つ、一つの窪み部が別の窪み部と深さを異ならせている場合には、複数の窪み部の内の半数以上の窪み部について、その最深部から隆起部頂点までの前記距離が上記の数値範囲内になっていることが好ましく、全ての窪み部の最深部から隆起部頂点までの前記距離が上記の数値範囲内になっていることが特に好ましい。
なお、緩衝部材層100を構成する緩衝板材が凹凸材である場合、該凹凸材は、例えば、凹凸形成面がトタン屋根のような波板状になって隆起部や窪み部が一方向に延在するような形状のものであってもよいが、そのような凹凸材の凹凸形成面を平坦材の背面側に当接させた場合、衝突物が緩衝構造ユニットに衝突した際における平面方向への応力拡散に異方性を生じさせるおそれを有する。
例えば、図1、図2に示すような態様において隆起部が幅方向に長く延在し且つ隆起部が全幅に及ぶ長さを有する凹凸材を平坦材の背面側に配置した場合を考えると、この凹凸材と平坦材との当接部分が、横方向に延在する線状となるため、衝突物の衝突時には隆起部が横方向よりも上下方向に変形し易い状態になる。
従って、緩衝構造ユニットに対して加わった衝撃の平面方向への応力拡散に特定の方向性が生じるおそれがある。
このようなことから緩衝部材層100に備えさせる凹凸材は、例えば、図1、図2に示すような態様においては、上下方向のみならず幅方向にも凹凸の繰り返しパターンを有するものが好適である。
なお、例えば、図5に示したような隆起部が突条となっている凹凸材では、図中に一点鎖線で示した平面視正方形の領域BRを1ブロックとした場合、同じ形状の領域が1ブロックおきに形成されていることになる。
そして、図5に示したような凹凸材を図1、図2に示す第2連続気泡緩衝板材20として採用した場合、上下左右に凹凸形状の繰り返しパターンが形成されることにはなるが、前記の領域BRのみに着目すると、この領域内では3条の線状隆起部を並行させているので、前記の波板状の凹凸形成面を備えた凹凸材のと略同じ状態になっているといえる。
従って、図5に示したような凹凸材は、この領域BRの形成周期(図中“P4”)が過度に大きく当該領域BRが大面積である場合には、前記の波板状の凹凸形成面を有する凹凸材を用いた場合と同種の問題を生じさせるおそれがある。
従って、凹凸形状が上下左右に繰り返される場合でも、その繰り返し周期は、ある程度以下であることが好ましい。
具体的には、凹凸形状の繰り返し周期P4は、500mm以下であることが好ましく、250mm以下であることがより好ましく、150mm以下であることが特に好ましい。
その一方で凹凸形状の繰り返し周期が過度に短周期な凹凸材は、隆起部自体を小さくしなければ凹凸材の製造が困難になるおそれを有し、隆起部が過度に小さい場合には凹凸材を平坦材に当接させることによって発揮される効果が顕著なものにならないおそれが有る。
このようなことから凹凸形状の繰り返し周期P4は、10mm以上であることが好ましく20mm以上であることがより好ましい。
そして、本実施形態の緩衝構造ユニット1は、上記のような均整のとれた形状を有している凹凸材や平板材のみによって緩衝部材層が構成されていることが好ましい。
また、緩衝部材層100は、各層間において特段の接着処理などを施さない方が好ましいものではあるが、必要に応じて接着剤、両面テープ、ヒートシールなどの手法によりこれらを接着してもよい。
本実施形態における緩衝フェンスは、1つのフェンス本体に対して1つの緩衝構造ユニット1のみならず複数の緩衝構造ユニット1を配列して形成させることができる。
また、緩衝構造ユニットは、広範囲に設置する場合は、敷設面方向に複数の緩衝部材層100を配列させた状態とし、この複数の緩衝部材層100を一枚の表面シートにより一括して包囲するようにして形成させても良い。
緩衝構造ユニットの平面形状は、矩形に限らず、目的に応じて円形などにしてもよい。
また、稜部及び角部は面取り加工がなされていてもよい。
緩衝構造ユニットは、衝突が想定される部位に使用されるものであって、衝突が想定されない部位には汎用の緩衝層(例えば単層の軟質発泡樹脂層)を継いで、表面シートにより一括して包囲されていてもよい。
例えば、垂直壁300の上端部及び下端部に関しては、高さ方向中央部分に比べて衝突の可能性が十分に低い場合には、図2に例示しているように、汎用の連続気泡発泡体が用いられてなる上側軟質発泡樹脂層50や下側軟質発泡樹脂層60を緩衝部材層100の上下それぞれに配置するようにしてもよい。
緩衝構造ユニットは、緩衝性を損なわれない限りで装着面の形状に合わせて湾曲させて使用してもよい。
その他、本考案の効果が著しく損なわれない限りにおいて、緩衝構造ユニットは、上記以外の変更を適宜採用可能であることは言うまでもないことである。
本考案の緩衝構造ユニットの適用部位は、特に制限はないが、スポーツ競技場の周囲に立設されたフェンス本体とともに緩衝フェンスを構成するのに好適に用いられうる。
即ち、本考案の緩衝構造ユニットは、前記フェンス本体の少なくとも前記スポーツ競技場側に装着されてフェンス本体とともに緩衝フェンスを構成するのに好適である。
本考案の緩衝構造ユニットは、上記のような緩衝フェンスなどの他にも、体育施設や構造物の壁面や遊具などにも適用可能で、さらに本考案の緩衝構造ユニットは、競技用マット、スポーツ用防具、乗用シート、寝具などとしても利用可能である。
次に実施例を挙げて本考案をさらに詳しく説明するが、本考案はこれらに限定されるものではない。
まず、下記表1に示す物性を有する連続気法発泡体からなる軟質な緩衝板、及び、該緩衝板よりは硬質な独立気法発泡体からなる緩衝板をそれぞれ用意した。
各緩衝板の詳細、並びに、物性値測定方法は以下の通りである。
(連続気法発泡体)
見掛け密度の異なる3種類の軟質ポリウレタンフォームを用意した。
具体的には、東洋クオリティワン株式会社製 軟質ポリウレタンフォーム「16M」、「24M」、「30H」を用意した。
下記表1の略号としては、其々「PU16」,「PU24」、「PU30」と表記した。
(独立気法発泡体)
3種類の独立気泡発泡体を用意した。
具体的には、ポリスチレン/ポリオレフィン複合ビーズ発泡体として、積水化成品工業株式会社製、ピオセラン(登録商標)「LP−60E」、無架橋ポリエチレン発泡ボードとして、積水化成品工業株式会社製 ライトロン(登録商標)ボード「#25」、「#35」を用意した。
表1の略号として其々「PO60」,「PE25」、「PE35」と表記した。
(緩衝板材の主要物性の試験方法・条件)
(見掛け密度)
JIS K 7222:2005見掛け密度の求め方に準じて測定した。
用意した緩衝板材を15cm×15cm×5cmのサイズに切出して見掛け密度を測定した。
(40%硬さ)
JIS K 6401:2006(JIS K 6400−2:2004)硬さ試験に準じて測定した。
314cmの圧縮板を使用し、緩衝板材に対し、70%予備圧縮を3回行った後、40%圧縮を加えて得られる力を測定した。
(75%圧縮残留歪)
JIS K 6401:2006(JIS K 6400−4:2004)圧縮残留ひずみ試験に準じて測定した。
一辺の長さ50mm、厚さ25mmの試験片を緩衝板材から切り出し、該試験片を圧縮治具にセットして厚さ方向に50%圧縮した状態で70±1℃の温度に22時間放置した。
その後、圧縮治具から試験片を取り出し、室温に30分放置して厚みを回復させてから厚みを測定した。
(25%圧縮応力)
JIS K 6767(ISO 3386−1)圧縮応力試験に準じて測定した。
一辺の長さ50mm、厚さ25mmの試験片を緩衝板材から切り出し、該試験片を厚さ方向に10mm/minの速度で25%圧縮し、20秒後の応力を測定した。
(50%圧縮永久歪)
JIS K 6767(ISO 1856)圧縮永久ひずみ試験に準じて測定した。
一辺の長さ50mm、厚さ25mmの試験片を緩衝板材から切り出し、該試験片を圧縮治具にセットして初めの厚さから25%ひずんだ状態に圧縮し、温度23±2℃において22時間放置した。
その後、圧縮治具から試験片を取り出し、室温に24時間放置して厚みを回復させてから当該試験片の厚みを測定した。
以上の測定結果を下記表1に示す。
(表面シート)
上記のような緩衝板とは別に、表面シートとして、ダイニック株式会社製 ターポリンシート「NC4100」、厚み0.52mmを用意した。
(緩衝板の加工)
(平面加工)
用意した緩衝板を一辺の長さ300mm、厚さを規定寸法に切出して緩衝部材層形成用の各構成部材として用いた。
表の構成図において同緩衝層は「(材質略号)−(厚み)」で示している。
なお、厚みの単位はmmである。
(隆起部及び窪み部の形成)
用意した緩衝板材をプロファイル加工機に通紙して、図3、4に示したような片面が凹凸形成面となるように加工した。
即ち、用意した緩衝板材をプロファイル加工機に通紙して、厚み方向にスライスして2枚に分割するとともにこのスライス面に凹凸が形成されるように加工して凹凸材を作製した。
このとき緩衝板材は、隆起部の突出形状と窪み部の凹入形状とを互いに対応する形状とし、スライス後の凹凸材を凹凸形成面を内側にして重ね合わせた際に略隙間無く嵌合するように加工した。
また、凹凸材は、隆起部のピッチ、及び、窪み部のピッチが30mmとなり、一列ごとに位相が15mmずれた状態となるように作製した。
そして、凹凸材は、窪み部の底部から隆起部の先端部までの高さ(プロファイル高さ)を異ならせた3種類のものを作製した。
具体的には、凹凸材は、このプロファイル高さが10mm、15mm、及び、20mmの3種類のものを用意した。
以下において、凹凸材の略称は、先の「(材質略号)−(厚み)」とともにプロファイル高さも併記する。
略称は、アルファベットの「P」とプロファイル高さの「数値」とを合せた略号を前記の「材料略号」にスラッシュ「/」を挟んで記載するものとし、該プロファイル略号の記載位置をもって凹凸形成面の位置を表すものとする。
具体的には、「P16−30」の軟質ウレタンフォームをプロファイル加工機で2枚にスライスして片面にプロファイル高さ10mmの凹凸形成面を形成させた場合、この凹凸材の厚み(平坦面から隆起部の先端部までの高さ)は、約20mmとなる。
そして、この凹凸材を前面側が凹凸形成面となるように配置している場合の略称については、「P10/P16−20」と表記し、背面側が凹凸形成面となるように配置している場合は「P16/P10−20」と表記する。
なお、表2、3に示した構成図において凹凸材が示されている場合、バーの幅が半分になっている側がプロファイル形成面である。
また、表3の例えば比較例12において左側の緩衝板材(PU16−30)と右側の緩衝板材(P10/PU16−20)との境界部に示されているように、バーの幅が半分になって略称の記載のない部分が設けられている場合は、平坦面とプロファイル形成面とが当接されて空隙が形成されていることを表している。
(緩衝フェンスの作製)
表1に示した6種類の材料より作製した平坦材、或いは、凹凸材を使って表2、3に示すように平面視矩形の緩衝部材層を形成させた。
この緩衝部材層よりも一回り大きな固定板を用意し、この固定板の中央部に緩衝部材層を配置した後に表面シートを被せ緩衝部材層を前記表面シートで隙間なく包囲するとともに表面シートで緩衝部材層を固定板に固定し、緩衝フェンスを作製した。
この緩衝フェンスについて、緩衝部材層の総厚みT(mm)、平均見掛け密度D(kg/m)を測定し、緩衝密度[(D×T/50)]の値を計算した。
そして、表2、3には、下記表4に示す条件に合致するか否かにより、「○」、「×」判定を記載した。
なお、下記表4に示す条件の内、条件A,Bは、本考案において条件を満たすことが必要な必須条件であり、条件C〜Eは、任意の条件である。

(頭部モデルの作製)
緩衝構造ユニットへの衝突させる物体として、図6に示すような頭部モデルを作製した。
図における符号の意味は以下の通りである。
CP:コア部
アルミ製、上部:直径197mm、下部:直径117mm、高さ70mm
HC:加撃ヘッドカバー
発泡プラスチック製(積水化成品工業株式会社製 ピオセラン(登録商標)「OP−30D」)、見掛け密度:33kg/m、25%圧縮応力:200kPa、50%圧縮永久歪:17%、高さ:60mm、加撃点(HP)における厚み:47mm
AS:コア部加速度計(コア部上部に固定)
SP:コア支持部(ステンレス/合板製)

なお、上記より構成した頭部モデルの総質量は4.0kgであった。
(緩衝性の試験および評価)
前記緩衝フェンスを、緩衝構造ユニットが上向きとなるように配置し、この緩衝フェンスに対して頭部モデルを落下させて緩衝性の評価を行った。
この評価は、温度18℃、湿度50%RHの条件下で、緩衝構造ユニットへの落下速度が4m/sとなるよう表面シート中央部より上方81.4cmの高さより頭部モデルを自由落下させて行った。
また、この評価は、落下試験を10分間隔で4回行い、初回を除く3回の試験結果の平均値を求める形で実施した。
衝突時にコア部加速度計にて計測された加速度−時間の波形図(図7参照)より、以下の3つ基本物理量を計測し、下記式(5)によってこの基本物理量の和を求め、緩衝値Acを求めた。
結果は、表2、3に示す通りであった。


Ac=Amax+Aave+A’max ・・・(5)

Amax:最大加速度(G)
Aave:平均加速度(G)
A’max:加速度最大変化率(G/ms)
(相対緩衝性の評価)
見掛け密度の異なる3種の連続気泡発泡体(PU16,PU24,PU30)により緩衝部材層を厚みが50mmの単層構成とした緩衝フェンス(比較例1〜3)の評価結果として得られた各々の緩衝値Acを基準として緩衝密度Cに対してプロットし、線形近似を行った。
得られた線形近似直線の傾きは−0.77で、切片は83.76であった。
即ち、基準となるケースでの緩衝密度Cと緩衝値Acとの関係は下記式(6)に示す通りであった。

緩衝値Ac=−0.77×緩衝密度C+83.76 ・・・(6)

そして、実施例、比較例について緩衝値Acを評価した結果をこの線形近似直線とともに図8に示す。
この図にも示されているように、実施例の緩衝フェンスは緩衝性に優れていることがわかる。
また、実施例・比較例の緩衝密度Cを上記近似式に代入して、理論緩衝値(Ac’)を算出した。
即ち、実施例・比較例を緩衝部材層が単層であると看做して理論緩衝値(Ac’)を算出した。
そして、実施例、比較例における緩衝部材層の層構成が単層構成に対する優位性を発揮するものかどうかを確認すべく、実測した緩衝値Acと理論緩衝値Ac’とを比較し、実測値Acが基準緩衝値Ac’に対して−10%以下となっている場合を単層構成に対する優位性が十分に発揮されていると考え「◎」判定とした。
また、実測値Acが基準緩衝値Ac’に対して−5%以下となっているを「○」判定、0%未満を「△」判定、0%以上を「×」判定とした。
この相対評価の結果は、表2、3に示す通りであった。
(緩衝性の絶対評価:参考評価)
比較例2(PU24−50)を、一般的な緩衝フェンスと看做した場合、緩衝性Acは70以下であることが好ましいと考えられる。
そこで、実施例、比較例の各結果について、緩衝性Acが70以下であるものに絶対評価として「○」判定を与え、緩衝性Acが70を超えるものについて「×」判定を与えた。
この絶対評価の結果は、表2、3に示す通りであった。
以上の評価結果から、本考案によれば厚みの薄さと優れた緩衝性との両立が図られた緩衝構造ユニットが得られることがわかる。
1:緩衝構造ユニット、10、20:緩衝板材(連続気泡緩衝板材)、100:緩衝部材層、200:表面シート、300:垂直壁

Claims (6)

  1. 被衝突物に対する衝突緩和をさせるべく用いられ、樹脂発泡体からなる複数の緩衝板材を有し且つ該緩衝板材を前記被衝突物から離れる方向に積層した積層構造を有する緩衝部材層を備えた緩衝構造ユニットであって、
    前記緩衝部材層の総厚みをT(mm)、平均見掛け密度をD(kg/m)とした際に下記式(1)を満足するものであり、前記緩衝部材層は、前記緩衝板材として連続気泡発泡体からなる連続気泡緩衝板材を2以上備え、前記総厚みの80%以上が前記連続気泡緩衝板材からなり、少なくとも2つの前記連続気泡緩衝板材が前記積層方向に隣接していることを特徴とする緩衝構造ユニット。

    18≦(D×T/50)≦30 ・・・ (1)
  2. 前記隣接している連続気泡緩衝板材は、衝突緩和をさせる前記被衝突物に近い側の連続気泡緩衝板材の方が遠い側の連続気泡緩衝板材よりも見掛け密度が高い請求項1記載の緩衝構造ユニット。
  3. 前記連続気泡緩衝板材は、少なくとも片面に凹凸が形成されている請求項1又は2記載の緩衝構造ユニット。
  4. 前記緩衝板材として、少なくとも片面に凹凸が形成されている凹凸材と両面が平坦な平坦材とを備え、衝突緩和をさせる前記被衝突物から最も離れた位置に配されている緩衝板材が前記平坦材で、該平坦材よりも前記被衝突物に近い側に前記凹凸材が配置されており、該凹凸材が前記連続気泡緩衝板材で凹凸形成面を前記平坦材側に向けて配されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の緩衝構造ユニット。
  5. 前記緩衝部材層の厚みが50mm以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載の緩衝構造ユニット。
  6. スポーツ競技場の周囲に立設されたフェンス本体とフェンス本体の少なくとも前記スポーツ競技場側に装着されている緩衝構造ユニットとを備え、該緩衝構造ユニットが請求項1乃至5の何れか1項に記載の緩衝構造ユニットである緩衝フェンス。
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