JP3207708U - 棟構造の固定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工現場での施工性と加工性に優れているとともに、耐震性・耐久性にも優れた棟構造の固定装置を提供する。【解決手段】棟構造の固定装置1は、屋根基材に固定する固定具10と、固定具10に固定されて上方に延在する鉄筋支持部材20と、を具え、鉄筋支持部材20が、所定の長さを有するボルト21と、当該ボルト21に螺合するナット22と、棟構造の延在方向に延びる鉄筋40a、40bを挟持する鉄筋把持要素30a、30bと、を有することを特徴とする。棟構造のモルタルの中に汎用の鉄筋を延在させる固定装置1を提供することにより、現場での施工性と加工性が大幅に改善される。また、棟構造の高さに応じて複数の鉄筋を用いることにより、より耐久性、耐震性に優れる。【選択図】図2a

Description

本考案は、棟構造の固定装置に関するものであり、特に、瓦屋根の大棟、隅棟または降り棟を固定するのに好適に用いられる棟構造の固定装置に関するものである。
従来、瓦屋根における、大棟、降り棟、隅棟のような棟構造を施工する際には、頂部に配置される丸瓦と、その下に複数段に配置される左右対の熨斗瓦とは、主に、土台部分となるモルタルや棟土と、左右の熨斗瓦同士を緊結したワイヤとによって固定されていた。このような構造は、モルタルや棟土の経年劣化に伴い地震や強風によって落下の危険性が増す問題があった。
このような問題を解決するために、本出願人による特開平10−68196では、モルタル内の補強材として棟方向に延在する棟桟木を有する固定装置を設置することにより、耐久性、耐震性および施工性に優れた棟構造の固定装置が提案されている。図1はこの固定装置を示す。この固定装置は、野路板(屋根構造)の上に固定される固定具と、固定具に固定された棟桟木支持部材と、棟方向に延在する棟桟木とから構成される。施工においては、この棟桟木に熨斗瓦を緊結するワイヤを巻きつけることで、作業性が増すとともに、この棟桟木をモルタル内に設置することで、棟構造の耐久性や耐震性が格段に増すこととなる。
さらに、本出願人による特開平11−247364では、熨斗瓦の間に延在する中間部材と熨斗瓦とを係止ピンで連結することによって、モルタルや棟土を用いずに棟構造を施工する工法が提案されている。
特開平10−68196号公報 特開平11−247364号公報
しかしながら、各施工現場において棟構造の寸法は異なるため、特開平10−68196における桟木や、特開平11−247364における中間体は、各現場の寸法に合わせて製造するか現場でカットする必要があった。特に、寺院などの規模の大きな屋根においては屋根の湾曲に応じて降り棟も湾曲しているため、直線状の棟桟木が使用できないか、または棟桟木を設置する際にはこの湾曲に応じて木製やアルミ製の桟木を短くカットする必要があり、施工作業に手間がかかるとともに、棟桟木が寸断されることにより強度が低下するおそれがあった。このようなことから、現場での加工性が高く、さらに施工性のよい棟構造の固定装置が望まれていた。
また、桟木に木材を使用した場合は、時間の経過により木材が腐食してしまい、専用のアルミ桟木を使用した場合はコストがかかるという問題もあった。
さらに近年の地震の増加等により、屋根の補強や修理の需要も増加している。したがって、補強・修理工事における施工性とともに、さらに耐久性、耐震性の高い棟構造の固定装置が必要とされていた。
したがって、本考案の目的は、各現場の形状・寸法に対応するための現場での加工性・施工性のよい棟構造の固定装置を提供するとともに、さらに耐久性・耐震性にすぐれた固定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本考案の棟構造の固定装置は、屋根基材に固定する固定具と、固定具に固定されて上方に延在する鉄筋支持部材と、を具えており、鉄筋支持部材が、所定の長さを有するボルトと、当該ボルトに螺合するナットと、棟構造の延在方向に延びる鉄筋を挟持する鉄筋把持要素とを有することを特徴とする。
このように、本考案の固定装置はモルタル内の補強材に汎用の鉄筋を使用することで、鉄筋を現場の寸法に合わせて容易にカットすることができ、施工現場での施工性・加工性が大幅に改善されることになる。さらに、降り棟が湾曲している場合には、鉄筋をカットせずに湾曲に合わせて設置できるため、作業性と耐久性が格段に向上することになる。また、木材の桟木を使用した場合に比べて耐久性が向上するとともに、アルミ製の桟木を使用した場合に比べて大幅にコストが削減される。
ここで本明細書において、「鉄筋」とは、コンクリートやモルタルの補強材として用いられる鉄筋コンクリート用の棒鋼の他、鉄製、ステンレス製、またはその他の合金や金属からなる任意の断面形状の様々な棒材を意味する。
本考案の固定装置においては、違う高さで複数の鉄筋を支持することもできる。とくに、熨斗瓦の数が多く高さのある大棟においては、1つの固定装置について上下に2つ以上の鉄筋を設けることにより、より耐久性・耐震性が向上することになる。この場合、鉄筋支持部材が、ボルトの頂部に固定される第1の鉄筋把持要素と、ボルトの中間部の任意の位置に固定される1以上の第2の鉄筋把持要素とを有し、各鉄筋把持要素が、それぞれ違う高さで別の鉄筋を支持するように構成されていることを特徴とする。
熨斗瓦の数が多く、2本の鉄筋を設ける場合、上側に設置する左右対の熨斗瓦を上部に設置した鉄筋にワイヤで緊結することができ、下側に設置する熨斗瓦は下部に設置した鉄筋にワイヤで緊結することができる。これにより、作業性が向上するとともに、施工時に熨斗瓦が上下左右にずれにくくなる。
本考案の鉄筋把持要素は、一実施形態において、対向する2つの把持部材から構成され、各把持部材がボルト貫通口を有してボルトが当該ボルト貫通口を貫通しており、2つの把持部材の間に鉄筋を挟んだ状態で2つの把持部材の上下からナットで圧迫させることにより、鉄筋および鉄筋把持要素を鉄筋支持部材に固定するように構成されていることを特徴とする。すなわち、2つの鉄筋把持部材をナットで挟んで固定するとともに、鉄筋を挟んで固定することになる。この構成により、施工時における鉄筋の仮止めと固定が非常に容易なものとなる。
この2つの把持部材から構成される鉄筋把持要素は、ボルトの両側に鉄筋を挟持することができる。したがって、より補強性を増すために、一つの鉄筋把持要素が2本の鉄筋を支持するように構成してもよい。また、この形態の鉄筋把持要素は、鉄筋の継手として機能することが可能であり、複数の鉄筋を継ぎ足していく場合に非常に有益である。
他の形態の鉄筋把持要素は、一の折り曲げ片から構成されており、当該折り曲げ片が、ボルト貫通口と、両端部を重ねてとめる固定手段とを有しており、鉄筋を挟んで折り曲げ辺を折り曲げて両端部を重ねて固定することにより、鉄筋を鉄筋把持要素に固定するように構成されていることを特徴とする。
本考案の固定装置は、大棟用・隅棟用の固定装置と、降り棟用の固定装置で固定具の形状が異なる。大棟用・隅棟用の固定装置は、固定具が屋根の頂部の両側に延在する羽根部を有しており、当該両羽根部の中央から上方に鉄筋支持部材が延在していることを特徴とする。
降り棟用の固定装置は、固定具が、屋根基材に固定する固定端と、固定端を固定した位置の下側に敷設した桟瓦の表側に延在させる自由端とを有し、これらの固定端と自由端の中間部に桟瓦の上端部の形状に沿うように段差を設けた板状部材から構成されており、鉄筋支持部材を板状部材の自由端側から上方に延在するように固定具に固定するように構成されている。
降り棟用の固定具の変形例として、屋根基材に固定する固定端が立ち上げ部を有して、固定端の上から桟木を釘打ちして固定できるように構成されている。
本考案の固定装置を具える棟構造は、ボルトの頂部の上に設置された丸瓦と、ボルトの両側に対称的に1以上の段で設置された熨斗瓦とを有しており、同じ段の対の熨斗瓦がワイヤで鉄筋に緊結され、固定装置と、前記丸瓦と、前記熨斗瓦とがモルタルまたは棟土で固定されていることを特徴とする。この棟構造において、丸瓦は、ワイヤその他の連結手段によって、鉄筋または固定装置の一部と連結することができる。
本考案の固定装置を具える棟構造は、この固定装置が所定の間隔で複数設置されている。
上述のように、本考案に係る棟構造の固定装置は、汎用の鉄筋を使用することで施工性と現場での加工性が大幅に向上する。また、熨斗瓦の数や棟構造の高さに応じて複数の鉄筋を使用することにより、従来よりも耐久性と耐震性に優れた棟構造を提供する。さらに、汎用の鉄筋を使用することで、本考案の棟構造は、木材の桟木を用いる場合よりも耐久性に優れ、アルミ製の桟木を用いる場合よりもコスト効率に優れている。
図1は、桟木を支持している従来の棟構造の固定装置の斜視図である。 図2a−2bは、本考案に係る大棟用または隅棟用の固定装置の斜視図である。 図3は、丸瓦および熨斗瓦と固定された固定装置の断面図である。 図4a−4bは、2つの把持部材から構成される鉄筋把持要素の斜視図と、鉄筋を挟持している鉄筋把持要素の概要とを示す。 図5a−5bは、一の折り曲げ片から構成される鉄筋把持要素の斜視図と、鉄筋を挟持している鉄筋把持要素の概要とを示す。 図6は、本考案に係る降り棟用の固定装置の斜視図である。 図7は、図6に示す固定装置の断面図である。 図8は、降り棟用固定装置の固定具の変形例の斜視図である。
本考案にかかる固定装置の第1の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。図2aと2bは、本考案における大棟用または隅棟用の固定装置1の斜視図である。図2aを参照すると、固定装置1は、固定具10によって屋根の頂部の野路板(屋根基材)5に固定されている。固定具10からほぼ垂直に上方に鉄筋支持部材20が延在している。鉄筋支持部材20は、所定の長さのボルト21と、ボルト21に螺合する1以上のナット22と、鉄筋把持要素30a、30bとから構成され、この鉄筋把持要素30a、30bが棟構造に沿って延在する鉄筋40a、40bを挟持して支持している。鉄筋把持要素30a、30bは、ナット22を用いてボルト21に固定されている。ナット22とナットが固定する部材との間には、図示する例では座金(ワッシャー)が設置されている。また、鉄筋40は、鉄製、ステンレス製、またはその他の合金・金属からなる任意の断面形状(例えば円形や多角形)の棒鋼を用いることができる。
図2bにおいては、1つの鉄筋把持要素30bが、2本の鉄筋をボルトの両脇に把持している。鉄筋把持要素30bが把持する鉄筋は、図2aに示すように1本でもよいし、図2bに示すように2本でもよい。また、鉄筋把持要素30bはボルトの高さに合わせて任意の数で複数設置することができる。この場合においても、1つの鉄筋把持要素30bが把持する鉄筋の数は1本でも2本でもよい。
図3は、固定装置1に、丸瓦51と熨斗瓦61と桟瓦71とが固定されている棟構造の断面図である。固定具10の上に桟瓦71が左右対称に敷設されている。桟瓦71の上方には、左右対の熨斗瓦61がこの実施形態では三段敷設されている。熨斗瓦61の固定装置側の端部にはワイヤ貫通口が設けてあり、同じ段の左右の熨斗瓦は、ワイヤ90によって互いに鉄筋40aまたは40bに緊結されている。図3の実施例では、鉄筋把持要素30bは2本の鉄筋を支持している。ここでは、左側の中段と下段の熨斗瓦61は、ワイヤ90で左側の鉄筋に緊結されており、右側の中断と下段の熨斗瓦61は、ワイヤ90で右側の鉄筋に緊結されている。ボルト21の頂部の上方には、丸瓦51が設置されている。丸瓦51は、鉄筋40aまたは鉄筋把持要素30aにわたしたワイヤを丸瓦51の穴から上に出し、そこでワイヤ自身を複数回巻くか丸めて穴の径より大きくすることにより棟に固定される。丸瓦51と鉄筋40aまたは鉄筋把持要素30aは、ワイヤ以外の適切な連結手段によっても連結することができる。固定装置1と、丸瓦51と熨斗瓦61と桟瓦71とは、モルタル80または南蛮漆喰と呼ばれる屋根用の漆喰で固定されている。
本実施形態において、固定部材10は、頂部の両側の野路板5に当接するように構成された羽根部11を有している。この固定部材10は、屋根頂部の野路板5にまたがって配置され、それぞれ棟の両側の野路板5に当接する羽根部11をビスや釘などで野路板5に留め付けて、屋根頂部に固定されている。羽根部11には釘用の貫通口を設けることができる。固定部材10の中央部は上方に突出するように折り曲げられ、ボルト貫通口を有している。ボルト21をこの貫通口に通して、固定部材10の突出部分の上下からナット22で挟むことにより、またはボルトヘッドを有するボルトを下側から貫通口に通して固定部材10の上からナットで固定することにより、鉄筋支持部材20のボルト21が固定部材10に固定される。固定部材10の羽根部11の上から瓦桟木15が野路板5に固定されており、この瓦桟木15に桟瓦71を引っかけて瓦屋根を敷設している。
本考案の固定装置1は、例えば90cmごとの任意の間隔で複数設置されるが、固定装置1の設置間隔は本例に限るものではなく、30cm、45cm、60cm、1m、1.8mなど所望の間隔とすることができる。棟構造の端部から端部までこの固定装置を所望の間隔で設置した後で、鉄筋40をこの固定装置1の鉄筋把持要素30a、30bに所望の高さで固定して棟構造を構築する。
図2aに示す例においては、鉄筋支持部材20は、ボルト21の頂部に固定された第1の鉄筋把持要素30aと、ボルト21の任意の中間部に固定された第2の鉄筋把持要素30bとを有しており、2本の鉄筋40a、40bを支持している。鉄筋把持要素30a、30bの詳細な構造については後述する。
本考案の固定装置1を所定の間隔で屋根の頂部に固定するとともに、鉄筋40a、40bをそれぞれ固定装置1の鉄筋把持要素30a、30bに固定し、桟瓦71を固定具10の上部に敷設してから、次いで1以上の段の熨斗瓦61を敷設していくことになる。熨斗瓦61の土台および基礎として、モルタルまたは屋根用漆喰80を、固定部材10および桟瓦71の上方と、ボルト21の周囲に配置する。モルタル80の基礎部分の上に同じ高さで、固定装置1を中心として左右対称に対の熨斗瓦61を設置する。ここで、同じ段の熨斗瓦61が、左右対称に同じ高さとなるように、左右対の熨斗瓦61を、ワイヤ貫通口を通してワイヤ90で鉄筋40に緊結する。これにより、施工時にさらにモルタルを盛っていく際に左右の熨斗瓦が外側にずれたり、同じ高さからずれることを防止することになる。図3の実施例は三段積みの棟構造であり、三段の熨斗瓦61がモルタル80の上に設置されている。ここでは下段と中段の熨斗瓦は、鉄筋支持部材20の中間部に支持された左右の鉄筋40bにそれぞれワイヤで緊結してあり、上段の熨斗瓦は、鉄筋支持部材20の頂部に支持された鉄筋40aにワイヤで緊結されている。ただしこの例に限らず、複数段の熨斗瓦を単一または複数の鉄筋に連結することができる。
熨斗瓦61を上段まで設置した後に、さらにモルタルまたは屋根用漆喰80を盛って頂部に丸瓦51を設置する。ここで、丸瓦51は、ワイヤ90またはその他の連結手段によって、鉄筋40aまたは鉄筋把持要素30aと連結することができる。モルタルまたは屋根用漆喰80が乾燥することにより、丸瓦51と熨斗瓦61と桟瓦71とが、鉄筋40および固定装置1と連結した状態で屋根の頂部に固定される。
図4aと4bは、図2に示す鉄筋把持要素30bの詳細を示す図である。この実施例では、鉄筋把持要素30bは、同一形状の2つの把持部材31から構成される。図4aに示すように、把持部材31は、金属板の両端をほぼ垂直に折り曲げた形状である。この実施例においては、一方の端部32の垂直方向の高さh1が、他方の端部33の垂直方向の高さh2よりも大きく設計されている。両方の端部の垂直方向の高さは同じでもよい。この垂直方向の高さh1、h2は、鉄筋40の直径よりも小さく設計されており、これにより、図4bに示すように2つの把持部材31で鉄筋40を挟んで固定することができる。ボルト貫通口は、把持部材31の中央から端部32の側に少しずれた位置に設けられており、この貫通口の直径はボルト21の直径に対応している。この貫通口の位置が中心からずれていることにより、図4bに示すように、上側の把持要素の端部33aの内壁と下側の把持要素の端部32bの外壁が当接するように2つの把持要素を重ねたときに、貫通口の位置が同軸上に一致するように構成されている。すなわち、同じ構成の把持要素の両端部が互い違いとなるように重ねたときに、ボルト貫通口の位置が一致してボルトを通すことができるようになっている。
図4bは、鉄筋支持部材20のボルト21に固定された2つの把持部材31aと31bを示す。本実施形態では、上側の把持部材31aの端部33aの内壁が下側の把持部材31bの端部32bの外壁と当接し、把持部材31aの端部32aの外壁が把持部材31bの端部33bの内壁と当接するように、2つの把持部材31aと31bが重なって互いに向き合っている。把持部材31aと31bは鉄筋40を挟んだ状態で、上下からナット22により強く圧迫されて固定されている。これにより、把持部材31a、31bと鉄筋40とが、鉄筋支持部材20のボルト21に固定される。図示するように、把持要素31aと32bが挟持する鉄筋40で変形するくらいまでナットを強く締めることができる。これにより、鉄筋が垂直方向だけでなく水平方向にずれることも確実に防ぐことができる。
施工においては、下側の把持部材31bのボルト21における高さをナット22で固定したあとで、上側の把持要素31aの上方のナット22を予定の固定位置よりも上方に仮止めしておくことにより、鉄筋40を容易に把持部材31aと31bの間に設置して仮止めすることができる。この構成により、鉄筋40の設置と固定が容易にできるようになる。図2aに示す実施例では、2つの把持部材31aと31bを、ボルト21の中間の位置に固定された鉄筋把持要素30bに使用しているが、これをボルト21の頂部に固定される鉄筋把持要素として使用することもできるし、棟構造の高さに合わせてこれをボルト中間部に2以上設置して棟をより多くの鉄筋で補強するようにすることもできる。図4bでは1本の鉄筋を把持しているが、図2bに示すように、ボルトの両側に2本の鉄筋を把持してもよい。
図4bでは、中心のボルト21と、下側の把持部材31bの一方の端部33bとの間に鉄筋40を設置しているが、この鉄筋40を設置する位置は、端部33bの側でも他方の端部32bの側でもよい。ボルト21の両側に鉄筋40を設置できることにより、鉄筋把持部材31は、両側に2本の鉄筋を支持することが可能であり、また、鉄筋の継手として利用することもできる。屋根の棟構造の長さに合わせて鉄筋を設置する必要があるが、鉄筋を継ぎ足していく際には、この固定装置1の鉄筋把持部材31を継手として機能させることで施工が容易なものとなる。
図2aと3において頂部に固定された第1の鉄筋把持要素30aの詳細を、図5aと5bに示す。この鉄筋把持要素30aは、鉄筋を挟持するように一枚の金属片を折り曲げて固定することで、鉄筋を固定するように構成されている。図5aに示す鉄筋把持要素30aは、1枚の金属片を複数回屈曲させて構成されている。両端の面34と35は、最終的に重ねて綴じられるものである。この実施例においては、両端の面34と35に、それぞれ対応するねじ穴が設けられている。下側の水平面37は、中央付近にボルト貫通口を有する。水平面37の幅Wは、少なくともナット22の最小外径よりも大きく設計されている。また、この幅Wは、設置するナットが回転しないように、ナット22の最大外径よりも小さく設計することもできる。鉄筋を挟むように折り曲げ辺36を折り曲げることにより、両端の面34と35が重なり、それぞれのねじ穴が重なるようになっている。
図5bは、図2に示す鉄筋把持要素30aの詳細である。ここでは、図5aに示す鉄筋支持要素30aの下側の水平面37の上下をナット22が挟んでいる。図示されていないが、ボルト21は、水平面37の上側に配置したナット22の上面で切断されている。鉄筋把持要素30aをボルト21に固定した後で、鉄筋40を鉄筋把持要素30aの水平面37の上に設置する。現場での施工を容易にするため、棟構造の高さに応じて鉄筋把持要素30aをボルト21に固定した状態で出荷し、各現場に納入することも可能である。本実施形態では、図示されていないが、水平面37の上側のナット22の上に鉄筋40が設置されることになる。鉄筋40を挟むように、鉄筋把持要素30aを折り曲げ辺36に沿って内側に折り曲げることにより、両端の面34と35を重ね合わせる。それぞれの面に設けられたねじ穴が重なるように折り曲げて、ねじ穴にねじを貫通させることにより、鉄筋40を鉄筋把持要素30aに固定することができる。本実施形態では、2つのねじ穴と2本のねじを使用しているが、使用するねじと対応するねじ穴は1以上の任意の数とすることができる。また、鉄筋把持要素30aの両端の面34と35は、クリップやカシメ等の適切な連結手段により連結することも可能である。
図6は、本考案に係る降り棟用の固定装置2の斜視図である。固定装置2における鉄筋把持部材20と鉄筋40の構成は、図2に示す固定装置1の構成と同様である。降り棟用の固定装置2の固定具12の形状が、大棟・隅棟用の固定具10の形状と異なっている。図7は、この固定装置の断面図である。降り棟の構造においては、複数の桟瓦71が斜面に沿って野路板(屋根基材)5の上に敷設されており、上端部を瓦桟木15に引っかけて、下段の桟瓦の上端部の上にその一段上の桟瓦の下端部を被せるように配設されている。固定装置2の固定具12は、上段の桟瓦の下方に位置する野路板5に固定する固定端14と、下段の桟瓦の表面側に延在させる自由端13と、下段の桟瓦の上段部の形状に沿うように段部12aが設けられた中間部とを具えている。固定端14には複数の孔が設けられており、固定具12は、この孔を介して野路板5に釘等で直接固定されている。固定具12の自由端13は下段の桟瓦の表面に沿って延在しており、この自由端13の端部近傍に鉄筋支持部材20のボルト21が固定されている。
固定具12の中間部には、段部12aが設けられている。この段部12aは固定端側の段差と自由端側の段差との2段構成になっており、固定端側の段差は下段に配設する桟瓦71の上下のフック部72、73をカバーする高さを有し、一方で自由端側の段差は下段の桟瓦71の上側フック部72をカバーする高さを有する。したがって段部12aは、下段の桟瓦71の上端部の形状に沿った形状を有しており、固定具12は、屋根に取り付けた時に、野路板5と、下段の桟瓦71の上端部と、下段の桟瓦71の表面側に延在する。
図示するように、固定具12の自由端13の近傍は上部に突出しており、この突出部分の上下をナット22で、またはボルトヘッドとナット22で挟むことにより、鉄筋支持部材20のボルト21を固定している。鉄筋支持部材20および鉄筋40の構成は、実施例1に示した固定装置1の場合と同様である。この実施形態においては、鉄筋40は降り棟の構造に沿って配置されることになる。棟構造の方向に沿って、固定具12の長手方向は、鉄筋40とほぼ平行である。
降り棟用の固定装置2に熨斗瓦と丸瓦を固定する施工方法は、前述の大棟・隅棟用の固定装置1の場合と同様である。図6と7においては頂部と中間部に2本の鉄筋を支持しているが、本実施形態においても、棟構造の高さや熨斗瓦の段数に応じて設置する鉄筋把持要素と鉄筋の数を変えることができる。また、図6aでは鉄筋把持要素30bが1本の鉄筋を把持しているが、図2bに示すように1の鉄筋把持要素30bが2本の鉄筋を把持することもできる。
寺院等、屋根が大きく湾曲している施工現場においては、降り棟用の固定装置2の鉄筋40を屋根の湾曲に沿って湾曲させて設置することができる。これにより、従来の固定装置において用いられていた木製やアルミ製の桟木を湾曲に応じて短く切断するという作業を省くことが可能となり、作業性が大いに改善される。
降り棟用固定具2の固定具12の変形例を図8に示す。この例においては、固定具12の固定端の先に、さらに立ち上げ部19を有している。図7に示す野路板と固定端の釘止めがききにくい場合に、立ち上げ部19と段部の間の固定端の凹部の上に桟木を設置し、この桟木の上から釘を打って固定具12を固定することができる。また、立ち上げ部19を屋根上の突起状の他の構造を避けるように設置してもよい。
本考案に係る固定装置は、各現場の棟構造の高さに応じてボルトの高さがカットされ、すべての部材が取り付けられた状態で現場に納入することもできる。または、各部材が取り付けられていない状態で出荷され、現場において各部材を取り付けて加工することもできる。
以上、図面を参照して本考案の棟構造の固定装置を詳細に説明したが、本考案に係る棟構造の固定装置は図示した実施例のみに限定されない。当業者は、実用新案登録請求の範囲に示した本考案の範囲を逸脱せずに、本考案の固定装置に変形を加えることができると理解されるべきである。
1、2 固定装置
5 野路板
10、12 固定具
11 羽根部
12a 段部
13 自由端
14 固定端
15 屋根桟木
19 立ち上げ部
20 鉄筋支持部材
21 ボルト
22 ナット
30a 第1の鉄筋把持要素
30b 第2の鉄筋把持要素
31 把持部材
31a 上側の把持部材
31b 下側の把持部材
32 把持部材の一方の端部
33 把持部材の他方の端部
34、35 第1の鉄筋把持要素の両端の面
36 折り曲げ辺
37 第1の鉄筋把持要素の下側の水平面
40 鉄筋
40a 第1の鉄筋把持要素が固定する鉄筋
40b 第2の鉄筋把持要素が固定する鉄筋
51 丸瓦
61 熨斗瓦
71 桟瓦
80 モルタルまたは屋根用漆喰
90 ワイヤ

Claims (12)

  1. 棟構造の固定装置において、
    屋根基材に固定する固定具と、
    前記固定具に固定されて上方に延在する鉄筋支持部材と、を具え、
    前記鉄筋支持部材が、
    所定の長さを有するボルトと、
    当該ボルトに螺合するナットと、
    前記棟構造の延在方向に延びる鉄筋を挟持する鉄筋把持要素と、
    を有することを特徴とする固定装置。
  2. 請求項1に記載の棟構造の固定装置において、前記鉄筋支持部材が、前記ボルトの頂部に固定される第1の鉄筋把持要素と、前記ボルトの中間部の任意の位置に固定される1以上の第2の鉄筋把持要素とを有し、各鉄筋把持要素が、それぞれ違う高さで別の鉄筋を支持するように構成されていることを特徴とする固定装置。
  3. 請求項1または2に記載の棟構造の固定装置において、前記鉄筋把持要素が対向する2つの把持部材から構成され、各把持部材がボルト貫通口を有して前記ボルトが当該ボルト貫通口を貫通しており、前記2つの把持部材の間に前記鉄筋を挟んだ状態で前記2つの把持部材の上下から前記ナットで圧迫させることにより、前記鉄筋および前記鉄筋把持要素を前記鉄筋支持部材に固定するように構成されていることを特徴とする固定装置。
  4. 請求項3に記載の棟構造の固定装置において、前記鉄筋把持要素が、前記ボルトの両側に2本の鉄筋を把持していることを特徴とする固定装置。
  5. 請求項2に記載の棟構造の固定装置において、前記第1の鉄筋把持要素が一の折り曲げ片から構成されており、前記折り曲げ片が、ボルト貫通口と、両端部を重ねてとめる固定手段とを有しており、前記鉄筋を挟んで前記折り曲げ辺を折り曲げて前記両端部を重ねて固定することにより、前記鉄筋を前記鉄筋把持要素に固定するように構成されていることを特徴とする固定装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の棟構造の固定装置において、前記固定具が屋根の頂部の両側に延在する羽根部を有しており、当該両羽根部の中央から上方に前記鉄筋支持部材が延在していることを特徴とする固定装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の棟構造の固定装置において、前記固定具が、屋根基材に固定する固定端と、前記固定端を固定した位置の下側に敷設した桟瓦の表側に延在させる自由端とを有し、これらの固定端と自由端の中間部に前記桟瓦の上端部の形状に沿うように段差を設けた板状部材から構成されており、前記鉄筋支持部材を前記板状部材の自由端側から上方に延在するように前記固定具に固定するように構成されていることを特徴とする固定装置。
  8. 請求項7に記載の棟構造の固定装置において、前記固定端が、他の屋根構造を避けるための立ち上げ部を有することを特徴とする固定装置。
  9. 請求項3に記載の棟構造の固定装置において、前記2つの把持部材が、貫通している前記ボルトの両側に2本の鉄筋を把持することにより、鉄筋の継手として機能することを特徴とする固定装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固定装置を具える棟構造であって、前記ボルトの頂部の上に設置された丸瓦と、前記ボルトの両側に対称的に1以上の段で設置された熨斗瓦とを有しており、同じ段の対の前記熨斗瓦がワイヤで前記鉄筋に緊結され、前記固定装置と、前記丸瓦と、前記熨斗瓦とがモルタルまたは屋根用漆喰で固定されていることを特徴とする棟構造。
  11. 請求項10に記載の棟構造であって、前記丸瓦が、ワイヤによって前記鉄筋に緊結されていることを特徴とする棟構造。
  12. 請求項10または11に記載の棟構造であって、前記固定装置が所定の間隔で複数設置されていることを特徴とする棟構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114941395A (zh) * 2022-06-01 2022-08-26 中国五冶集团有限公司 一种仿古建筑屋面千层脊构筑方法

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