JP4884200B2 - 既設柱の耐震補強構造及び該耐震補強構造の施工方法 - Google Patents

既設柱の耐震補強構造及び該耐震補強構造の施工方法 Download PDF

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本発明は、長方形断面の既設柱の耐震補強構造及び該耐震補強構造の施工方法に関する。
従来より、鉄筋コンクリート製の既設柱を耐震補強する構造及び方法として、主に鋼板巻き立て工法やRC巻き立て工法が提案されているが、いずれの工法も重機等を用いた大ががりな補強工事を必要とし、施工コストも高くなることから、これらの工法に代えて、簡便且つ安価に施工できると共に、補強後の既設柱に従来の工法と同等以上の耐震性能を付与できる耐震補強工法の開発が望まれている。
このようなことから、本願出願人は、上述の課題を解決できるようにした外部スパイラル鋼線巻立て補強工法を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。この外部スパイラル鋼線巻立て補強工法は、外周面に円弧形状部分を有するプレキャストコンクリートブロック(PCブロック)を、例えば略正方形の断面形状を有する、鉄道・道路高架橋の橋脚、地下鉄の高軸力中柱、建築構造物の柱等の既設柱の4方の側面に沿って上下に積み重ねた状態で取り付け、しかる後に予めスパイラル状に加工した鋼より線を、これらの外側から巻き付けることによって既設柱を簡便且つ安価に耐震補強するものであり、この工法によれば、既設柱の曲げ耐力を増加させることなく、鋼板巻立て工法等の従来の耐震補強工法と同等以上に曲げじん性やせん断耐力を向上させて、優れた耐震性能を発揮させることが可能になる。
また、外部スパイラル鋼線巻立て補強工法では、主要部材としてPCブロック、亜鉛メッキ鋼より線等の既成2次製品を用いるため、品質管理が容易で耐久性に優れた耐震補強構造を得ることができ、既設柱の角部を直接目視できるため、地震が起こった後の柱の損傷判定を容易かつ迅速に行うことができ、維持・管理に必要な経年劣化等の日常点検も可能であるといった利点が得られることになる。さらに、外部スパイラル鋼線巻立て補強工法では、地震後の補修が必要となった場合、補強部材の撤去、復旧が容易で、鋼より線等の主要部材の再利用が可能であるため、構造物の早期復旧が可能であり、既設柱の側面とPCブロック間に接着材としてモルタル等を用いれば、これが空気を遮断するため既設柱の中性化を抑制する効果があり、重量物の運搬・移動のための重機を必要とせず、人力施工が可能で施工性に優れており、省力化と工期短縮が可能であるといった利点も得られることになる。
特開2003−328567号公報
上記外部スパイラル鋼線巻立て補強工法では、上述のような種々の利点が得られる一方で、補強するべき既設柱が、正方形或いは正方形に近似する断面形状以外の、例えば長辺が短辺の2倍以上の長さを有する長方形断面の既設柱の場合には、長辺部分の側面に配置されるPCブロックが大きなものになると共に、予めスパイラル状に加工した鋼より線等の鋼線部材を外側から巻きつける作業が困難になることから、かえって施工コストの増大や、工事の大規模化を招くことになる。
本発明は、上述のPCブロックと鋼線部材とを主要部材として用いる補強工法による利点を活かしながら、長方形断面の既設柱に対して簡便且つ安価に施工できると共に、補強後の既設柱に従来の工法と同等の優れた耐震性能を付与することのできる既設柱の耐震補強構造及び該耐震補強構造の施工方法を提供することを目的とする。
本発明は、長方形断面の既設柱の耐震補強構造であって、前記長方形断面の一対の短辺部分の側面に各々配置された、外周面に円弧形状部分を有する短辺側円弧状コンクリートブロックと、前記長方形断面の一対の長辺部分の側面に各短辺部分との角部に近接して各々一対配置された、外周面に円弧形状部分を有する長辺側円弧状コンクリートブロックと、前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックの外周面に沿って巻回され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に緊結状態でリング状に巻き付けられた複数の鋼線部材と、前記長辺部分の側面において前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に複数埋設設置された押えボルト部材と、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接して、前記鋼線部材の外側からこれと交差する上下方向に延設配置された帯状押え金具とからなり、前記長辺部分の側面に各々配置された各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間に位置する前記鋼線部材を、前記押えボルト部材によって前記帯状押え金具を前記長辺部分の側面側に引き寄せることにより当該側面側に移動させて、前記鋼線部材による拘束力を得るようにした既設柱の耐震補強構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明の既設柱の耐震補強構造は、前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックが、前記長方形断面の短辺部分及び長辺部分の側面に沿って上下方向に積み重ねて配置されることが好ましい。
また、本発明の既設柱の耐震補強構造は、前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックが、目地層を介して互いに離間した状態で上下方向に積み重ねて配置されることが好ましい。
さらに、本発明の既設柱の耐震補強構造は、前記押えボルト部材が、前記既設柱を貫通して前記長方形断面の短辺部分と平行に延設して埋設設置された貫通ボルトであることが好ましい。
また、本発明は、前記耐震補強構造の施工方法であって、前記長方形断面の一対の短辺部分の各側面に沿って前記短辺側円弧状コンクリートブロックを各々取り付けると共に、前記長方形断面の一対の長辺部分の各側面に沿って、各角部に近接して各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックを各々取り付ける工程と、取り付けられた前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックの外周面に沿って巻回して、前記複数の鋼線部材を、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に緊結状態でリング状に巻き付ける工程と、前記長辺部分の各側面に各々配置された各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間において、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接して、前記鋼線部材の外側にこれと交差する上下方向に延設して帯状押え金具を配置すると共に、該帯状押え金具を、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に埋設設置された複数の押えボルト部材によって前記長辺部分の側面側に引き寄せることにより、各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間に位置する前記鋼線部材を前記長辺部分の側面側に移動させて、前記鋼線部材による拘束力を得るようにする工程とからなる既設柱の耐震補強構造の施工方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の既設柱の耐震補強構造又は該耐震補強構造の施工方法によれば、長方形断面の既設柱に対して簡便且つ安価に施工できると共に、補強後の既設柱に従来の鋼板巻き立て工法等と同等の優れた耐震性能を付与することができる。
本発明の好ましい一実施形態に係る既設柱の耐震補強構造10は、既設柱として、例えば図1に示すような鉄道・道路高架橋の鉄筋コンクリート製の橋脚11に対して、これの耐震性能を向上させるべく、橋脚11の4方の側面11a,11bを覆って取り付けられる。また、本実施形態では、橋脚11は、図2に示すように、短辺12aと長辺12bからなり、4箇所の角部12cが円弧状に面取りされた横長の長方形断面を有しており、このような長方形断面の既設の橋脚11に対して、プレキャストコンクリートブロック(PCブロック)15,16と鋼線部材14とを用いて、主として人力作業によって簡便且つ安価に施工して効率良く橋脚11の耐震性能を向上させるために採用されたものである。
そして、本実施形態の耐震補強構造10は、図2及び図3に示すように、長方形断面の既設柱である橋脚11に対する補強構造であって、長方形断面の一対の短辺12a部分の側面11aに各々配置された、外周面に円弧形状部分15aを有する短辺側円弧状コンクリートブロック15と、長方形断面の一対の長辺12b部分の側面11bに各短辺12a部分との角部12cに近接して各々一対配置された、外周面に円弧形状部分16aを有する長辺側円弧状コンクリートブロック16と、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に沿って巻回され、上下方向に間隔をおいて橋脚11に緊結状態でリング状に巻き付けられた複数の鋼線部材14と、長辺12b部分の側面11bにおいて各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部12c側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて橋脚11に埋設設置された複数の押えボルト部材17と、各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部12c側の端部とは反対側の端部に近接して、鋼線部材14の外側からこれと交差する上下方向に延設配置された帯状押え金具18とからなり、長辺12b部分の側面11bに各々配置された各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に位置する鋼線部材14を、押えボルト部材17によって帯状押え金具18を長辺12b部分の側面11b側に引き寄せることにより当該側面11b側に移動させて、鋼線部材14による拘束力を得るようになっている。
本実施形態の耐震補強構造10では、外周面に円弧形状部分15aを有する短辺側円弧状コンクリートブロック15と、外周面に円弧形状部分16aを有する長辺側円弧状コンクリートブロック16は、いずれも工場等において予め製造されたPCブロックであり、好ましくは同一形状に形成される。コンクリートブロック15,16が同一形状に形成されることにより、当該コンクリートブロック15,16を効率良く製造することが可能になる。またこれらのコンクリートブロック15,16は、工場等において予め製造されることにより、精度良く形成することが可能になる。
本実施形態では、各コンクリートブロック15,16は、橋脚11の側面11a,11bとの接着面となる内側面15b,16bが横長矩形形状に形成されると共に、円弧形状部分15a,16aとなる外周面は、幅方向の略全長にわたって円弧状に湾曲していることにより、外側に凸となった円弧形状部分15a,16aを形成する。これによって、各コンクリートブロック15,16の平行に配置された上下の端面15c,16cは、平坦な弓形形状に形成される。
また、本実施形態では、各コンクリートブロック15,16は、例えば一人又は二人の作業員によって容易に運搬したり持ち上げたりすることが可能な重量を有していると共に、外周面の円弧形状部分15a,16aには、上下方向に所定のピッチで、上下の端面15c,16cと平行に延設する複数の巻付け溝が形成されている。この巻付け溝に沿って鋼線部材14をコンクリートブロック15,16の外周面に巻回することにより、鋼線部材14の上下の位置ずれを効果的に防止できるようになっている。さらに、本実施形態では、各コンクリートブロック15,16の、上下の端面15c,16cと垂直な幅方向の端縁部分には、縁部被覆鋼板19が取り付けられており(図4,図5参照)、厚さが薄く欠けやすい当該端縁部分を防護している。
本実施形態では、工場等から施工現場に搬送されてきた各コンクリートブロック15,16を、例えば人力によって橋脚11のそばまで運搬し、短辺側円弧状コンクリートブロック15を、長方形断面の橋脚11の一対の短辺12a部分の側面11aに沿って取り付けると共に、長辺側円弧状コンクリートブロック16を、長方形断面の橋脚11の一対の長辺12b部分の側面11bに、各短辺12a部分との角部12cに近接して各々一対取り付ける。
ここで、本実施形態では、各コンクリートブロック15,16は、橋脚11の各側面11a,11bに接着材21(図4参照)として例えばポリマーセメント等の防水材料を塗布した後に、平坦な内側面15b,16bを押し付けることにより、接着性の向上や各側面11a,11bの凹凸の吸収を図りつつ、各側面11a,11bに沿って容易に取り付けられる。また橋脚11の側面11a,11bとコンクリートブロック15,16の内側面15b,16bとの間に接着材21が介在することにより、橋脚11を構成するコンクリートの中性化の抑制を図ることも可能になる。
また、本実施形態では、相当の高さを有する橋脚11の短辺12a部分の側面11a及び長辺12b部分の側面11bに沿って、図1及び図3に示すように、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16が、上下方向に複数積み重ねて配設されると共に、例えば貧配合モルタルからなる10mm程度の厚さの目地層20を介して、互いに離間した状態で上下方向に積み重ねて取り付けられる。
本実施形態では、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に沿って巻回される鋼線部材14は、例えば亜鉛メッキされた鋼より線からなり、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16が取り付けられた橋脚11の周囲に巻き付けるのに十分な長さを有している。鋼線部材14は、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に沿って水平方向に巻回されると共に、各々連続することなく独立した状態で、上下方向に所定のピッチで取り付けられる。なお、鋼線部材14は、連続させた状態で、上下方向に所定ピッチで螺旋状に取り付けても良い。
鋼線部材14を取り付ける方法としては、例えば金属より線からなる電線のスリーブ直線接続箇所において、補強用(2重強化)に用いるグリップ部材である直線グリップを用いることができる。例えば各鋼線部材14を橋脚11の周囲に巻回し、両端部分を人力作業によってレバーブロック等で引っ張って所定の緊張力で緊張させ、鋼線部材14を短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に密着させると共に、ラップする両端部分を直線クリップを介して接合することにより、各鋼線部材14を緊張状態のループ(リング)状に形成しつつ容易に設置することができる。なお、各鋼線部材14は、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に形成された上記巻付け溝に沿って配設することにより、位置ずれを防止しつつ所望の位置に精度良く取り付けることができる。
また、各鋼線部材14は、緊張状態でループ状に巻回されることにより、一対の長辺12b部分の各側面11bに各々配置された各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間の部分においては、両側の長辺側円弧状コンクリートブロック16の円弧形状部分16aの先端部分を結んだ状態で張設されて、各鋼線部材14と長辺12b部分の各側面11bとの間には間隔が保持されることになる(図2の破線部分参照)。本実施形態では、このような両側の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に張設された部分の鋼線部材14を、押えボルト部材17と帯状押え金具18を用いて長辺12b部分の側面11b側に移動させることにより、鋼線部材14による拘束力が効果的に得られるようにする。
押えボルト部材17としては、例えば両端部分に雄ネジ部が形成された鋼棒からなり、長方形断面の短辺12a部分と平行に延設して一対の長辺12b部分の側面11bにわたって橋脚11に貫通形成されたボルト孔22に、両端部分の雄ネジ部を突出配置した状態で挿入されて遊嵌状態で橋脚11に埋設設置される貫通ボルトを、好ましく用いることができる。また、例えば図6に示すように、長方形断面の橋脚11の長辺12b部分の側面11bにアンカーボルト23を打ち込み、このアンカーボルト23を押えボルト部材17として用いることもできる。
押えボルト部材17は、長方形断面の橋脚11の長辺12b部分の側面11bにおいて、各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部12c側の端部とは反対側の端部に近接した位置に、上下方向に直線状に配置されて所定のピッチで複数設けられる。長辺12b部分の側面11bから突出する押えボルト部材17の雄ネジ部に、ナット部材13を螺合締着し、このナット部材13を締め上げることにより、帯状押え金具18を介して一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に張設された部分の鋼線部材14を、長辺12b部分の側面11b側に移動させることが可能になる。
帯状押え金具18は、上下方向に積み重ねられた2つのコンクリートブロック15,16に沿って配置できる長さを備えている。帯状押え金具18には、これの長さ方向に所定のピッチでボルト締着孔が開口形成されている。これらのボルト締着孔に、押えボルト部材17の長辺12b部分の側面11bから突出する雄ネジ部を挿入しつつ、複数の帯状押え金具18が、各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部12c側の端部とは反対側の端部に近接して、鋼線部材14の外側からこれと交差する上下方向に直線状に並べられた状態で延設配置されることになる。
このような状態から、押えボルト部材17にナット部材13を螺合締着して締め上げ、ナット部材13によって帯状押え金具18を押圧しつつ帯状押え金具18を長辺12b部分の側面11b側に引き寄せることにより、各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に位置する鋼線部材14を、帯状押え金具18を介して当該側面11b側に移動させ、鋼線部材14によって橋脚11を拘束した状態とする。
そして、上述の構成を備える本実施形態の耐震補強構造10は、好ましくは以下の工程に従って、多くの重機を用いることなく、主として人力作業によって、簡便且つ安価に施工することができる。
すなわち、本実施形態の施工方法では、長方形断面の橋脚11の一対の短辺12a部分の各側面11aに沿って短辺側円弧状コンクリートブロック15を各々積み重ねた状態で取り付けると共に、長方形断面の一対の長辺12b部分の各側面11bに沿って、各角部12cに近接して各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16を各々積み重ねた状態で取り付ける。なお、コンクリートブロック15,16は、橋脚11の上端部及び下端部には隙間をおいた状態で取り付けることが好ましい。
次に、取り付けられた短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に沿って巻回して、複数の鋼線部材14を、上下方向に間隔をおいて橋脚11に緊結状態でリング状に巻き付ける。
さらに、長辺11b部分の各側面12bに各々配置された各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間において、各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部11c側の端部とは反対側の端部に近接して、鋼線部材14の外側にこれと交差する上下方向に延設して帯状押え金具18を配置する。この帯状押え金具18を、例えば鋼線部材14を巻き付けるの先立って橋脚11に埋設設置した、各長辺側円弧状コンクリートブロック16の角部12c側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて設けられた複数の押えボルト部材17の雄ネジ部にナット部材13を螺合締着して締め上げることによって、長辺12b部分の側面11b側に引き寄せる。これによって、各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に位置する鋼線部材14を長辺12b部分の側面11b側に移動させて、鋼線部材14による拘束力を得るようにする。
このようにして形成された本実施形態の既設柱の耐震補強構造10では、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16の外周面に沿って緊張状態でリング状に巻き付けられた各鋼線部材14を、各一対の長辺側円弧状コンクリートブロック16の間に位置する鋼線部材14を長辺12b部分の側面11b側に移動させることにより、当該鋼線部材14による拘束力が得られるようにしたので、外周面に円弧形状部分を有するPCブロックとスパイラル状に加工した鋼より線を用いて略正方形断面の既設柱に対して行われる外部スパイラル鋼線巻立て補強工法と同様に、長方形断面の橋脚11に対しても、橋脚11の曲げ耐力を増加させることなく、鋼板巻立て工法等の従来の耐震補強工法と同等以上に曲げじん性やせん断耐力を向上させて、優れた耐震性能を発揮させることが可能になる。
すなわち、本実施形態の耐震補強構造10又はこの耐震補強構造10の施工方法によれば、長方形断面の橋脚11に対して簡便且つ安価に施工できると共に、補強後の橋脚11に従来の鋼板巻き立て工法等と同等の優れた耐震性能を付与することができる。
また、本実施形態では、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16は、長方形断面の短辺12a部分及び長辺12b部分の側面11a,11bに沿って上下方向に積み重ねて配置されるので、コンクリートブロック15,16をコンパクトにして、施工性を向上させ、施工コストを低減させることが可能になる。さらに、短辺側円弧状コンクリートブロック15及び長辺側円弧状コンクリートブロック16は、例えば貧配合モルタルからなる目地層20を介して、互いに離間した状態で上下方向に積み重ねて取り付けらるので、地震による曲げ荷重を受けると、離間部における曲がりの内側部分が目地層20の破壊によって閉じ、曲がりの外側部分が開くことにより、橋脚が一層容易に撓むようになる。従って、地震荷重(水平荷重)に対する曲げ剛性の増加を抑えて、地震エネルギを一層効果的に吸収させ、じん性を向上させるので、地震による繰り返し荷重に対して橋脚11をより強固に補強することが可能になる。
さらにまた、本実施形態の耐震補強構造10では、略正方形断面の既設柱に対して行われる外部スパイラル鋼線巻立て補強工法と同様に、以下のような利点も得られる。すなわち、本実施形態では、PCブロック15,16、亜鉛メッキ鋼より線14等の既成2次製品を用いるため、品質管理が容易で耐久性に優れた耐震補強構造10を得ることができ、橋脚11の角部を直接目視できるため、地震が起こった後の橋脚11の損傷判定を容易かつ迅速に行うことができ、維持・管理に必要な経年劣化等の日常点検も可能である。さらに、地震後の補修が必要となった場合、補強部材の撤去、復旧が容易で、鋼より線14等の主要部材の再利用が可能であるため、橋脚11の早期復旧が可能であり、橋脚11の側面11a,11bとPCブロック15,16の間に接着材21としてモルタルやポリマーセメント等を用いれば、これが空気を遮断するため橋脚11を構成するコンクリートの中性化を抑制する効果があり、重量物の運搬・移動のための重機を必要とせず、人力施工が可能で施工性に優れており、省力化と工期短縮が可能である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、耐震補強される既設柱は、鉄道・道路高架橋の橋脚である必要は必ずしも無く、地下鉄の高軸力中柱、建築構造物の柱等の種々の長方形断面を有する既設柱に本発明を適用することができる。また、巻回される鋼線部材は、亜鉛メッキされた鋼より線の他、硬銅より線、硬アルミより線等を用いることもでき、また棒鋼や単なる鋼線であっても良い。
本発明の好ましい一実施形態に係る耐震補強構造が適用された既設柱としての橋脚を、長方形断面の短辺部分側から見た要部側面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係る耐震補強構造が適用された既設柱としての橋脚の横断面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係る耐震補強構造が適用された既設柱としての橋脚を、長方形断面の長辺部分側から見た要部拡大側面図である。 図2のA部拡大図である。 図3のB部拡大図である。 押えボルト部材の他の形態を例示する橋脚の横断面図である。
符号の説明
10 耐震補強構造
11 橋脚(既設柱)
11a 長方形断面の橋脚の短辺部分の側面
11b 長方形断面の橋脚の長辺部分の側面
12a 長方形断面の橋脚の短辺
12b 長方形断面の橋脚の長辺
12c 長方形断面の橋脚の角部
13 ナット部材
14 鋼線部材(亜鉛メッキされた鋼より線)
15 短辺側円弧状コンクリートブロック(PCブロック)
15a 短辺側円弧状コンクリートブロックの円弧形状部分
15b 短辺側円弧状コンクリートブロックの内側面
15c 短辺側円弧状コンクリートブロックの上下の端面
16 長辺側円弧状コンクリートブロック(PCブロック)
16a 長辺側円弧状コンクリートブロックの円弧形状部分
16b 長辺側円弧状コンクリートブロックの内側面
16c 長辺側円弧状コンクリートブロックの上下の端面
17 押えボルト部材
18 帯状押え金具
19 縁部被覆鋼板
20 目地層
21 接着材
22 ボルト孔
23 アンカーボルト

Claims (5)

  1. 長方形断面の既設柱の耐震補強構造であって、
    前記長方形断面の一対の短辺部分の側面に各々配置された、外周面に円弧形状部分を有する短辺側円弧状コンクリートブロックと、前記長方形断面の一対の長辺部分の側面に各短辺部分との角部に近接して各々一対配置された、外周面に円弧形状部分を有する長辺側円弧状コンクリートブロックと、前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックの外周面に沿って巻回され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に緊結状態でリング状に巻き付けられた複数の鋼線部材と、
    前記長辺部分の側面において前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に複数埋設設置された押えボルト部材と、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接して、前記鋼線部材の外側からこれと交差する上下方向に延設配置された帯状押え金具とからなり、
    前記長辺部分の側面に各々配置された各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間に位置する前記鋼線部材を、前記押えボルト部材によって前記帯状押え金具を前記長辺部分の側面側に引き寄せることにより当該側面側に移動させて、前記鋼線部材による拘束力を得るようにした既設柱の耐震補強構造。
  2. 前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックは、前記長方形断面の短辺部分及び長辺部分の側面に沿って上下方向に積み重ねて配置される請求項1に記載の既設柱の耐震補強構造。
  3. 前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックは、目地層を介して互いに離間した状態で上下方向に積み重ねて配置される請求項2に記載の既設柱の耐震補強構造。
  4. 前記押えボルト部材は、前記既設柱を貫通して前記長方形断面の短辺部分と平行に延設して埋設設置された貫通ボルトである請求項1〜3のいずれかに記載の既設柱の耐震補強構造。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の既設柱の耐震補強構造の施工方法であって、
    前記長方形断面の一対の短辺部分の各側面に沿って前記短辺側円弧状コンクリートブロックを各々取り付けると共に、前記長方形断面の一対の長辺部分の各側面に沿って、各角部に近接して各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックを各々取り付ける工程と、
    取り付けられた前記短辺側円弧状コンクリートブロック及び前記長辺側円弧状コンクリートブロックの外周面に沿って巻回して、前記複数の鋼線部材を、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に緊結状態でリング状に巻き付ける工程と、
    前記長辺部分の各側面に各々配置された各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間において、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接して、前記鋼線部材の外側にこれと交差する上下方向に延設して帯状押え金具を配置すると共に、該帯状押え金具を、前記各長辺側円弧状コンクリートブロックの前記角部側の端部とは反対側の端部に近接配置され、上下方向に間隔をおいて前記既設柱に埋設設置された複数の押えボルト部材によって前記長辺部分の側面側に引き寄せることにより、各一対の前記長辺側円弧状コンクリートブロックの間に位置する前記鋼線部材を前記長辺部分の側面側に移動させて、前記鋼線部材による拘束力を得るようにする工程とからなる既設柱の耐震補強構造の施工方法。
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