JP3205122B2 - 密閉形電動圧縮機 - Google Patents

密閉形電動圧縮機

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JP3205122B2 JP11670793A JP11670793A JP3205122B2 JP 3205122 B2 JP3205122 B2 JP 3205122B2 JP 11670793 A JP11670793 A JP 11670793A JP 11670793 A JP11670793 A JP 11670793A JP 3205122 B2 JP3205122 B2 JP 3205122B2
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光司 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、密閉形電動圧縮機に係
り、圧縮機の効率,信頼性向上に好適な密閉形電動圧縮
機に関し、特に、冷媒ガスとして塩素を含まないHFC
134a等を用いた、冷蔵庫,ルームエアコンなどの冷
凍空調システム等に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来の往復動式の密閉形電動圧縮機は、
例えば、実開平2−132881号公報に記載されてい
るように、弁座板の吐出ポートに入り込んでデッドボリ
ュームを低減するピストン先端に設けられる凸部は、ピ
ストンの中心を凸部中心とした円筒(錐)状もしくは同
心輪状に形成されていた。
【0003】従来の密閉形電動圧縮機について、図8お
よび図9を参照して説明する。図8は、従来の密閉形電
動圧縮機の圧縮機構の要部断面図、図9は、従来の他の
密閉形電動圧縮機の圧縮機構の要部断面図である。図8
において、1はクランク軸、2はピストン、3Aはロッ
ド、4はシリンダ、5は弁座板、6は吐出ポート、7は
吸入ポート、18はカバー体、18aは吸入サイレンサ
通路、18bは吐出室、18cは吐出通路を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図8に示すように、ク
ランク軸1の回転をピストン2の直線往復運動に変換す
る機構がボールジョイント式である場合、ピストン2は
ロッド3Aの長手方向の(シリンダ4の中心)軸に対し
て回転自在であり、ピストン凸部2aおよび弁座板5の
吐出ポート6を偏心させたとしても、同図のピストン凸
部2a´のように吐出ポート6に入り込まず、クランク
軸1が回転できなくなることがある。このため、実際に
ピストン凸部2aを偏心させることは不可能であった。
【0005】また、図9に示す実開平2−132881
号公報記載のもののように、ピストン2Aの中心に凸部
2Cを設けた場合、吸入ポート7Aと吐出ポート6Aの
分離を行うためのシール距離が必要となるため、特に吸
入ポート7Aの通路面積が小さくなり、吸入抵抗が大き
くなるという問題があった。この解決方法としては、図
9に示すように吸入ポート7Aを2個設けることが考え
られるが、吸入経路が複雑となったり、弁座板5Aの強
度確保のため板厚を増すことが必要となるという問題が
あった。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、吸入,吐出通路等の制約を排
除しつつ、ピストン凸部により吐出ポートのデッドボリ
ューム低減を図ることができ、圧縮ガスの再膨張による
損失低減や能力の低下を抑え、圧縮機の効率を向上させ
ることのできる密閉形電動圧縮機を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る密閉形電動圧縮機の構成は、密閉容器
内に、電動機部と該電動機にクランク軸を介して連結す
る圧縮機構部とを配設し、前記圧縮機構部は、シリンダ
と、シリンダ内を往復運動するピストンと、吸入ポート
および吐出ポートが形成された弁座と、該弁座に具備さ
れた吸入弁および吐出弁を介して前記シリンダ内に構成
される圧縮室と、ガスを吸入および吐出する経路を分離
する通路系と、前記クランク軸の回転運動を前記ピスト
ンの直線往復運動に変換する機構部とからなる密閉形電
動圧縮機において、前記ピストンの先端に錐形状であっ
て、かつ、その錐形の勾配を吐出ポートの勾配よりも緩
くした凸部を形成するものとし、当該凸部は、前記弁座
に形成された前記吐出ポート内に入り込むように、当該
凸部をピストン中心より偏心させた位置に形成したもの
である。
【0008】また上記目的を達成するために、本発明に
係る密閉形電動圧縮機の他の発明の構成は、密閉容器内
に、電動機部と該電動機にクランク軸を介して連結する
圧縮機構部とを配設し、前記圧縮機構部は、シリンダ
と、シリンダ内を往復運動するピストンと、吸入ポート
および吐出ポートが形成された弁座と、該弁座に具備さ
れた吸入弁および吐出弁を介して前記シリンダ内に構成
される圧縮室と、ガスを吸入および吐出する経路を分離
する通路系と、前記クランク軸の回転運動を前記ピスト
ンの直線往復運動に変換する機構部とからなる密閉形電
動圧縮機において、回転運動を直線往復運動に変換する
機構部は、前記ピストンと一体に設けられたスライド管
と、このスライド管内を往復するスライダが前記クラン
ク軸の偏心部に係合するスコッチヨーク式であり、前記
ピストンの先端に凸部を形成するものとし、当該凸部
は、前記弁座に形成された前記吐出ポート内に入り込む
ように、当該凸部をピストン中心より偏心させた位置に
形成し、前記ピストン先端がシリンダ内径を加圧する加
圧面側に弁座の吸入ポートを位置させ、その反対側に、
ピストン中心より偏心させた前記ピストン凸部を位置さ
せたものである。
【0009】なお付記すれば、上記目的は、ピストン先
端凸部および吐出ポートをピストン中心より偏心させて
形成することによって吸入,吐出通路のシール距離を確
保し、ピストン凸部を設けつつも吸入,吐出ポートの通
路面積を十分確保できる圧縮機構部構造とすることによ
り達成される。
【0010】
【作用】上記技術的手段による働きを、詳細を後述する
図1を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に
係る密閉形電動圧縮機の圧縮機構の要部断面図である。
例えば、図1に示すように、クランク軸1の回転をピス
トン2の直線往復運動に変換する機構がコネクティング
ロッド方式の場合、ピストン2はピン8によってロッド
3の長手方向の(シリンダ4の中心)軸に対して回転が
規制される。これにより、ピン8とロッド3等とのクリ
アランスのがたつき分を考慮して、ピストン先端の凸部
2aおよび吐出ポート6をピストン中心より偏心させて
形成すれば、クランク軸1は回転可能である。したがっ
て、吐出ポート6をピストン中心より偏心させ、吸入,
吐出通路のシール距離を確保するとともに、吸入,吐出
ポートの通路面積を十分取れる構造とすることができ
る。
【0011】上記技術的手段によって、本発明おいて
は、吸入,吐出通路等の制約を排除しつつ、ピストン凸
部を形成する本来の目的である吐出ポート部のデッドボ
リューム低減を図ることができ、圧縮ガスの再膨張によ
る損失低減や能力の低下を抑え、圧縮機の効率を向上さ
せることができる。
【0012】
〔実施例 1〕
図2は、本発明の一実施例に係る密閉形電動圧縮機の縦
断面図、図3は、図2の圧縮機の圧力・容積線図であ
る。また、図1は、図2の圧縮機構の要部断面図であ
り、図中、先の図8と同一符号のものは、従来技術と同
等部を示す。図2に示す密閉形電動圧縮機は、密閉容器
10内に、電動機部11と該電動機にクランク軸1を介
して連結する圧縮機構部12とを収納し、ばね13を介
して密閉容器10に弾性的に支持されている。
【0013】密閉容器10の底部には潤滑油14を貯溜
しており、クランク軸1の回転遠心力によって、縦穴1
cを通ってフレーム軸受部15a,クランク軸偏心部1
a等に給油する一方、クランク軸上部空間に吹き上げて
噴霧状とし、ピストン2外径等に潤滑油を供給するよう
に構成されている。電動機部11は、固定子11a,回
転子11bからなり、固定子11aはフレーム15にボ
ルト(図示せず)にて固定され、回転子11bはクラン
ク軸1に焼き嵌めにより嵌着されている。このクランク
軸1は、フレーム15の軸受部15aによって支持され
ている。
【0014】圧縮機構部12は、図1,2に示すよう
に、シリンダ4と、シリンダ4内を往復運動するピスト
ン2と、吸入ポート7および吐出ポート6が形成された
弁座板5と、該弁座板5に具備された吸入弁16および
吐出弁17を介して前記シリンダ4内に構成される圧縮
室4aと、ガスを吸入および吐出する経路を分離する通
路系と、前記クランク軸の回転運動を前記ピストンの直
線往復運動に変換する機構部とからなる。
【0015】すなわち、クランク軸1の偏心部1aに嵌
合されたコネクティングロッド3(以下単にロッドとい
う)と、ピストン2とを締結するピン8により、ピスト
ン2は、クランク軸1の回転にともなってシリンダ4内
を往復運動する。シリンダ4の端面には吸入弁16,弁
座板5,吐出弁17が弁部を構成し、前記吐出弁17の
外に、吸入サイレンサ通路18aに通じる吸入経路と吐
出通路18cに通じる吐出室18bを区分するカバー体
18が設けられている。
【0016】本実施例のピストン2は、図1に示すよう
に、ピストン2の先端にピストン凸部2aを形成してお
り、当該ピストン凸部2aは、弁座板5に形成された吐
出ポート6内に入り込むように、当該ピストン凸部2a
をピストン中心より偏心させた位置に形成している。換
言すれば、ピストン凸部2aおよび吐出ポート6をピス
トン中心より偏心させて形成し、クランク軸1を回転可
能とするとともに、吐出ポート6をピストン中心より偏
心させることによって、吸入,吐出通路のシール距離を
確保し、吸入,吐出ポートの通路面積を十分取れる構造
としている。
【0017】このような圧縮機構部の作用を説明する。
ピストン2の下降運動に従いシリンダ4内が負圧となっ
て吸入弁16が開く。圧縮を行うガスは吸入パイプ10
aより密閉容器10内に入り、吸入サイレンサ通路18
a等を通り、吸入ポート7,吸入弁16を経て圧縮室4
a内に吸い込まれる。次に、ピストン2が下死点から上
昇運動に変わると吸入弁16が閉じ、圧縮室4aの容積
が減少しガスの圧力が上昇する。ガスの圧力が吐出圧力
に達すると、吐出弁17が開き、ピストン2が上死点に
達するまで、ガスを吐出ポート6を経てカバー体18の
吐出室18bに吐き出す。吐き出されたガスは吐出通路
18cを通って、密閉容器10外へ導かれる。以上のよ
うな吸入・圧縮・吐出の行程をクランク軸1の回転によ
り繰り返す。
【0018】このサイクルをP(圧力)−V(容積)線
図で表わすと、図3のようになる。図3において、ピス
トンが上死点位置に達しても、圧縮室容積は零とはなら
ず、吐出ポート部容積等の押し除けられないデッドボリ
ューム(隙間容積)が存在する。この容積に残留した吐
出圧力Pdのガスは、次の吸入行程時に吸入圧力Psま
で断熱膨張して、吸入ポートから吸い込む新しいガスは
図3のVcの位置からとなり、実吸入容積を減少させ
る。これは圧縮機を冷蔵庫等の冷凍装置に用いた場合は
冷却能力について、真空ポンプとして用いた場合は到達
可能な真空度について問題となる。
【0019】また、膨張時にガスの行う仕事(前の圧縮
行程時にピストンが行なった仕事。その大きさは図3の
斜線ハッチング部面積)はピストンを押し下げる仕事と
して一部回収されるが、回収されない所謂再膨張損失が
発生する。このように、デッドボリュームが存在するこ
とにより、容積効率が低下して圧縮機の能力(風量)が
低下するのみならず、効率についても重要な影響を及ぼ
すので、デッドボリュームは極力小さいことが望まし
い。
【0020】さらに、運転圧力比(図はPd)が高いほ
ど、図3の破線のようにVcおよび再膨張仕事が大きく
なり、圧縮機の能力,効率に大きく影響する。したがっ
て、冷蔵庫,ルームエアコンなど運転圧力比の高い機器
(システム)に組み込まれて使われる圧縮機の場合に特
に重要な要素となる。
【0021】ここで、冷蔵庫用圧縮機のような場合、行
程容積が5ml程度と小さいため、シリンダ4の内径は
φ20程度である。またルームエアコン用の行程容積は
冷蔵庫用の3〜4倍であるが、効率,振動等を考慮して
シリンダを2つ設けるのが一般的であり、シリンダの内
径はφ25程度である。この円内に吐出ポート6(φ3
〜φ4程度)および吸入ポート7(φ7〜φ8程度)を
設け、さらに両ポートをカバー体18にて分離(シール
長さ3〜4mm)し、また吸入弁16,吐出弁17のリ
フト角度を信頼性の問題から小さく抑える必要から、吐
出ポート6をピストン中心2より偏心させる必要があっ
た。
【0022】本実施例では、ピン8とロッド3,ロッド
3とクランク軸1,クランク軸1とフレーム15,およ
びピストン2とシリンダ4等のクリアランスのがたつき
分を考慮して、偏心した吐出ポート6に入り込むように
ピストン2の先端に設ける凸部2aも同様に偏心させ、
デッドボリュームの主要なものの1つである吐出ポート
部の容積を低減したものである。これにより再膨張を抑
え、能力,効率の高い密閉形圧縮機を提供できる。
【0023】本実施例によれば、ピストン2先端の凸部
2aおよび吐出ポート6をピストン中心より偏心させて
形成して吸入,吐出通路のシール距離を確保し、ピスト
ン凸部2aを設けつつも吸入,吐出ポート7,6の通路
面積を十分取れる密閉形圧縮機構造とすることにより、
吸入,吐出通路等の制約を排除しつつ、吐出ポート6部
のデッドボリュームの低減を図ることができ、圧縮ガス
の再膨張による損失低減や能力の低下を抑え、圧縮機の
効率を向上させることができる。また、吸入ポート7を
ピストン中心に向かって延びる細長形状とすることによ
り、さらに吸入効率を向上させることができる。
【0024】〔実施例 2〕 図4は、本発明の他の実施例に係る圧縮機構要部の縦断
面図である。図中、図1と同一符号のものは先の実施例
と同等機能の部分であるから、その説明を省略する。図
4に示す実施例が、先の図1に示した実施例と相違する
ところは、ピストン2の先端の凸部2Bの形状を錐形状
とし、かつ、その錐形の勾配を吐出ポート6Bの勾配よ
りも緩くしたものである。すなわち、ピストン凸部2B
および吐出ポート6Bをピストン中心より偏心させて形
成し、吐出ポート6Bは、圧縮室4aから吐出室18b
へ穴径が小さくなる向きの勾配が付いており、この吐出
ポート6Bに入り込むピストン凸部2Bの錐形の勾配は
吐出ポート6Bの勾配よりも緩く形成されている。
【0025】一般に、ピストン凸部が吐出ポートに入り
込んで冷媒ガスをシリンダ内から吐出する際は、吐出通
路の断面積が小さくなるため、ガススピードが速くなっ
て吐出抵抗が大きくなり、シリンダ内圧力が上昇する過
圧縮損失が大きくなる。余りにピストン凸部と吐出ポー
トとの隙間を小さくすると、かえってピストン凸部を設
けたことにより圧縮機の効率が低下する場合もある。こ
の理由により、ピストン凸部を偏心させたときに考慮し
なければならないクリアランスは前述のように多岐にわ
たるが、大きな問題とはならない。
【0026】図4に示す実施例では、前述のように、ピ
ストン凸部2Bを円錐状とし、かつ吐出ポート部6Bに
対してテーパを緩くしたものである。本実施例によれ
ば、先の実施例と同様の効果が得られ、特に、吐出通路
を確保して過圧縮損失を小さく抑えることができる。
【0027】〔実施例 3〕 次に、図5は、本発明のさらに他の実施例に係る圧縮機
構要部の縦断面図、図6は、図5の圧縮機構部の吸入・
圧縮・吐出の1サイクルの行程を説明する上面図であ
る。図中、図1と同一符号のものは先の実施例と同等機
能の部分であるから、その説明を省略する。図5に示す
ピストン機構は、ピストン2と一体に設けられたスライ
ド管部2c内をクランク軸1の偏心部1aに嵌合された
円筒形スライダ19が摺動することにより、クランク軸
1の回転運動をピストン2の直線往復運動に変換するス
コッチヨーク形を示している。
【0028】この形式の場合も、ピストン2はシリンダ
4に対して回転は規制されており、ピストン凸部2aを
偏心して設けることが可能である。図6は、このスコッ
チヨーク形の圧縮機構要部を上から見た断面図であり、
ピストン部2bとスライド管部2cが一体に構成される
ため、図6(a)の上死点から(b)を経て(c)の下
死点,(d)を経て(a)の上死点までクランク軸1が
1回転する間に、ピストン2はシリンダ4とのクリアラ
ンス内で傾く。
【0029】このとき、図6に示すように、ピストン2
d側(以下、加圧側と称する)の先端と反対側のシリン
ダ入口部4bは常にシリンダ4と接触する。ところで、
ピストン2への給油は、クランク軸1により密閉容器1
0上部に噴霧された潤滑油を吸入通路18aから直接シ
リンダ4内に入り込んで主にピストン先端を潤滑する分
と、噴霧状の潤滑油がピストン外径に付着して主にシリ
ンダ入口を潤滑する分に分けられる。このうち、圧縮時
の冷媒ガスの温度上昇や作用する荷重の大きさから、圧
縮行程時の加圧側のピストン先端の摺動条件が最も厳し
い。ここで、図6(a)に示すように、シリンダの軸心
とクランク軸とを距離Eだけ偏心させているが、荷重を
零とすることはできない。
【0030】そこで本実施例では、吸入ポート7を加圧
側に偏心させ、吸入行程時に温度の低い冷媒で加圧側ピ
ストン先端の冷却を行う。また、ピストン中心に対して
偏心したピストン凸部2aの角部に表面張力により潤滑
油を貯溜させ、圧縮行程時に潤滑油をピストン先端に分
配することにより、焼き付きを防止して信頼性を高める
ことができる。
【0031】上記各実施例によれば、圧縮機の信頼性が
向上するのであるが、特に、次のような場合に効果があ
る。冷凍空調分野の圧縮機は作動媒体として、従来から
フロンガス系の冷媒を主に使用している。冷蔵庫ではC
FC12、ルームエアコンではHCFC22などが用い
られており、冷媒の一部は潤滑油中に溶解して潤滑油の
粘度が下がり、摺動部の信頼性を下げる働きをする。前
記冷媒は分子中に塩素を含んでおり、摺動条件が厳しく
なると冷媒分子が分解してできた塩素が摺動部の表面金
属と化合物(例えば塩化鉄など)皮膜を形成する。塩化
鉄皮膜は自己潤滑性をもっており極圧添加剤として働
き、摺動部の焼き付きを防いで信頼性を高める働きを持
っていた。
【0032】しかし、フロンガス中に含まれる塩素がオ
ゾン層を破壊するということから、これら塩素を含むフ
ロンガスは使用が規制されることになっており、近年、
塩素を含まない代替フロンの使用が検討されている。代
替冷媒の候補としてHFC134aなどが検討されてい
るが、運転圧力条件的には吐出と吸入の圧力差が従来よ
り大きくなり、摺動条件が厳しくなる。さらに前述のよ
うな塩素がないため、摺動部の焼き付きが起き易く、信
頼性が低下するという問題が出てきた。これに対し、前
記各実施例の構造を用いれば、ピストン摺動部の信頼性
が向上しているため、塩素を含まない代替冷媒、例えば
HFC134aの使用を可能とするものである。
【0033】上記のように、回転運動を往復運動に変換
する機構がスコッチヨーク式の場合、ピストン先端とシ
リンダ内径の加圧面側に吸入ポートを、反対側にピスト
ン凸部を偏心させることにより、加圧部の油潤滑や冷却
を促進させ焼き付きを防止し、信頼性を高めることがで
きる。これはフロンガス規制にて潤滑性能が低下するガ
スを使用しなければならない場合、例えば、冷蔵庫にて
検討されている冷媒HFC134aを採用し該冷媒を圧
縮する密閉形電動圧縮機に好適である。
【0034】さて、上記各実施例では、圧縮機単体での
効果を述べてきたが、上記の圧縮機をシステムにて使用
した場合に効果的な一実施例を説明する。〔実施例
4〕 図7は、本発明の密閉形電動圧縮機の一応用例を示す冷
凍サイクルの系統図である。すなわち、図7は、冷蔵
庫,ルームエアコン等で用いられる最も単純な冷凍サイ
クルを示す。図7に示す冷凍サイクルは、配管により、
圧縮機20の吐出側は凝縮器21,絞り機構22,蒸発
器23とつながれ、圧縮器20の吸入側に接続される。
【0035】圧縮機20は、サイクル内に封入された冷
媒ガスを圧縮して圧力,温度を高めて循環させる働きを
する。冷媒は凝縮器21で周囲に熱を放出して液体とな
り、絞り機構22で圧力を減じ低圧,低温となり、蒸発
器23で周囲の熱を奪って再びガスとなり圧縮機に戻
り、以下これを繰り返す。このように圧縮機のPd/P
sの圧力比は凝縮,蒸発を行う温度の飽和圧力によって
決まり、冷媒CFC12の冷蔵庫では10〜12,冷媒
HCFC22のエアコンで3〜4と高い。さらにフロン
規制対応の冷媒HFC134aを冷蔵庫用に用いた場合
の圧力比は11〜13と一段と大きくなる。このような
システム機器に本発明の圧縮機を用いた場合に効果が大
きいことは上述したとおりである。
【0036】以上、上記のごとく種々の実施例を述べて
きたが、各実施例はそれぞれ単独に用いても効果を発揮
するが、組合せて用いることにより、さらに効果を増す
ことができることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、吸入,吐出通路等の制約を排除しつつ、ピストン
凸部により吐出ポートのデッドボリューム低減を図るこ
とができ、圧縮ガスの再膨張による損失低減や能力の低
下を抑え、圧縮機の効率を向上させることのできる密閉
形電動圧縮機を提供することができる。以上のようなデ
ッドボリュームを低減して効率を向上させる圧縮機の応
用例としては、到達真空度が問題となる真空ポンプや、
吐出と吸入の圧力差が大きい冷蔵庫,ルームエアコンと
いった冷凍空調システム等に適用することが効果的であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る密閉形電動圧縮機の圧
縮機構の要部断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る密閉形電動圧縮機の縦
断面図である。
【図3】図2の圧縮機の圧力・容積線図である。
【図4】本発明の他の実施例に係る圧縮機構要部の縦断
面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例に係る圧縮機構要部
の縦断面図である。
【図6】図5の圧縮機構部の吸入・圧縮・吐出の1サイ
クルの行程を説明する上面図である。
【図7】本発明の密閉形電動圧縮機の一応用例を示す冷
凍サイクルの系統図である。
【図8】従来の密閉形電動圧縮機の圧縮機構の要部断面
図である。
【図9】従来の他の密閉形電動圧縮機の圧縮機構の要部
断面図である。
【符号の説明】
1 クランク軸 1a 偏心部 2 ピストン 2a,2B 凸部 2c スライド管 2d 加圧側 3 ロッド 4 シリンダ 4b シリンダ入口部 5 弁座板 6,6B 吐出ポート 7 吸入ポート 8 ピン 10 密閉容器 11 電動機部 12 圧縮機構部 15 フレーム 16 吸入弁 17 吐出弁 18 カバー体 19 スライダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 宏政 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業 部冷熱本部内 (72)発明者 山本 光司 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業 部冷熱本部内 (72)発明者 鈴木 一浩 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業 部冷熱本部内 (72)発明者 大和田 弘康 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所リビング機器事業 部冷熱本部内 (56)参考文献 特開 昭57−52691(JP,A) 特開 平5−18358(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 39/00 107 F04B 39/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に、電動機部と該電動機にク
    ランク軸を介して連結する圧縮機構部とを配設し、 前記圧縮機構部は、シリンダと、シリンダ内を往復運動
    するピストンと、吸入ポートおよび吐出ポートが形成さ
    れた弁座と、該弁座に具備された吸入弁および吐出弁を
    介して前記シリンダ内に構成される圧縮室と、ガスを吸
    入および吐出する経路を分離する通路系と、前記クラン
    ク軸の回転運動を前記ピストンの直線往復運動に変換す
    る機構部とからなる密閉形電動圧縮機において、 前記ピストンの先端に錐形状であって、かつ、その錐形
    の勾配を吐出ポートの勾配よりも緩くした凸部を形成す
    るものとし、当該凸部は、前記弁座に形成された前記吐
    出ポート内に入り込むように、当該凸部をピストン中心
    より偏心させた位置に形成したことを特徴とする密閉形
    電動圧縮機。
  2. 【請求項2】 密閉容器内に、電動機部と該電動機にク
    ランク軸を介して連結する圧縮機構部とを配設し、 前記圧縮機構部は、シリンダと、シリンダ内を往復運動
    するピストンと、吸入ポートおよび吐出ポートが形成さ
    れた弁座と、該弁座に具備された吸入弁および吐出弁を
    介して前記シリンダ内に構成される圧縮室と、ガスを吸
    入および吐出する経路を分離する通路系と、前記クラン
    ク軸の回転運動を前記ピストンの直線往復運動に変換す
    る機構部とからなる密閉形電動圧縮機において、 回転運動を直線往復運動に変換する機構部は、前記ピス
    トンと一体に設けられたスライド管と、このスライド管
    内を往復するスライダが前記クランク軸の偏心部に係合
    するスコッチヨーク式であり、前記ピストンの先端に凸
    部を形成するものとし、当該凸部は、前記弁座に形成さ
    れた前記吐出ポート内に入り込むように、当該凸部をピ
    ストン中心より偏心させた位置に形成し、前記ピストン
    先端がシリンダ内径を加圧する加圧面側に弁座の吸入ポ
    ートを位置させ、その反対側に、ピストン中心より偏心
    させた前記ピストン凸部を位置させたことを特徴とする
    密閉形電動圧縮機
  3. 【請求項3】 ピストンの先端の凸部形状は錐形状と
    し、かつ、その錐形の勾配を吐出ポートの勾配よりも緩
    くしたことを特徴とする請求項2記載の密閉形電動圧縮
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3記載のいずれかの密閉
    形電動圧縮機を用い、冷媒ガスとして塩素を含まないH
    FC134a等を用いたことを特徴とする冷凍空調シス
    テム。
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