JP3204447B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP3204447B2
JP3204447B2 JP11083597A JP11083597A JP3204447B2 JP 3204447 B2 JP3204447 B2 JP 3204447B2 JP 11083597 A JP11083597 A JP 11083597A JP 11083597 A JP11083597 A JP 11083597A JP 3204447 B2 JP3204447 B2 JP 3204447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像や文字情報の
表示を行う液晶表示装置、特に偏光を用いた表示を行う
液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は薄型軽量の特長により、
携帯端末・パーソナルコンピュータ・薄型テレビなどの
表示ディスプレイとして広く用いられている。液晶表示
には多くの表示モードがあるが、現在広く用いられてい
るものは、ツイステッド・ネマティック型(TN型)、
及びスーパー・ツイステッド・ネマティック型(STN
型)の2方式であり、いずれも2枚の偏光板の間に配置
された液晶層の偏光変調作用により表示を行う偏光表示
モードである。これらの液晶表示装置をバックライトに
より照明した場合、偏光板により照明光の多くが吸収さ
れ、表示輝度はもとの照明光の輝度に比べて大幅に低下
してしまう。特に、バックライト側の偏光板は、光が液
晶層に入射する前に照明光の半分以上を吸収するので、
バックライト側の偏光板で吸収される偏光をこれを通過
する偏光に変換して光の利用効率を上げ、低電力で明る
い表示を得ようとする試みがなされている。
【0003】特開平7−35925号公報には、コレス
テリック液晶と1/4波長板を用いた偏光素子により、
バックライト側の偏光入射効率を向上させる技術が開示
されている。図19はその構成を示すものである。これ
はコレステリック液晶の選択反射特性に基づく円偏光の
分離を利用したもので、液晶表示装置51は、バックラ
イト53と反射板52よりなる光源部分と液晶パネル5
6の間に、コレステリック液晶層54と1/4波長板5
5よりなる後方の偏光素子を配置した構成を持ってい
る。例えばコレステリック液晶層54が右ねじれ構造で
ある場合には、バックライト53から発せられた光のう
ち、左回り円偏光成分はこの層を通過し、右回り円偏光
成分はこの層で反射される。通過した左回り円偏光は1
/4波長板55により所定の直線偏光とされて液晶パネ
ル56に入射する。
【0004】一方、コレステリック液晶層54で反射さ
れた右回り円偏光は反射板52に到達し、ここで反射さ
れて、一部が左回り円偏光となって再びコレステリック
液晶層54に入射する。この入射光のうち、左回り円偏
光成分は上記と同様にこの層を通過し1/4波長板55
により所定の直線偏光とされて液晶パネル56に入射す
る。残りの右回り円偏光は、コレステリック液晶層54
により再反射され、反射板52に再び入射する。この光
は上記と同様に、一部が左回り円偏光となってコレステ
リック液晶層54に向かう。このように、コレステリッ
ク液晶層54と反射板52の間で反射を行っているうち
に、右回り円偏光が徐々に左回り円偏光となり、コレス
テリック液晶層54を通過して液晶パネル56への入射
光となる。各層における光の吸収はほとんどないので、
光源からの出射光を効率よく液晶パネル56に入射させ
ることができる。液晶パネル56の前方には直線偏光板
57が配置されて偏光表示を行っている。58は観察者
である。更に、この特開平7−35925号公報には、
コレステリック液晶層54の選択反射の生じる波長は次
の条件 λ0 =n×p×cosθ (1) を満たすλ0 付近の限られた範囲であるため、λ0 の異
なる複数枚のコレステリック液晶層54を積層すること
によりバンド幅を広げ、可視光全体をカバーする技術が
開示されている。なお、上式において、nは液晶材料の
屈折率、pはコレステリック液晶のらせんのピッチ、θ
は法線方向から測った層内伝播光の角度である。
【0005】また、アイ・ディー・ダブリュー96(I
DW96)予稿集の309〜312ページには、上記の
特開平7−35925号公報の構成に加えて、1/4波
長板と液晶パネルの間に直線偏光板を配置する構成が開
示されている。すべての波長の光に対してリターデーシ
ョンが1/4波長となる位相板を作製することは困難で
あるので、特開平7−35925号公報の構成では液晶
層に入射する光に所望の直線偏光以外の成分が生じて表
示のコントラストが低下する。しかし、この予稿集に開
示の構成は、液晶パネルに入射する光を完全な直線偏光
とすることにより、コントラストの向上が図られてい
る。また、コレステリック液晶のらせんピッチを層の厚
み方向に徐々に変化させることにより、広帯域の波長に
対応した反射特性を得る技術も開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の液晶表示装置においては、斜め方向に進む光
に対しては、コレステリック液晶層の見かけ上のピッチ
が変わるため(1)式に示すように反射波長が正面と異
なったものになる。また、1/4波長板のリターデーシ
ョンには視野角依存性が存在するので、ここからの出射
光の偏光状態の波長依存性が正面の設計値からずれる。
例えば、1軸延伸フィルムよりなる位相板のリターデー
ションは光の伝搬方向が傾くと、後述する実施の形態の
項で詳述するように、延伸方向ではcosθの割合で減
少し、それと直交する方向では1/cosθの割合で増
加する。このため、液晶表示装置を斜め方向から見た場
合は正面方向に比べて、表示の色相が大きく変わってし
まうという課題を有していた。
【0007】さらに、1/4波長板の視野角依存により
次のような課題も発生する。1/4波長板は円偏光を直
線偏光に変換する作用を持つが、リターデーションが1
/4波長からずれるにしたがって、出射光も直線偏光か
らずれてくる。このため、1/4波長板と液晶パネルの
間に直線偏光板がない場合には、液晶パネルの液晶層に
楕円偏光が入射するため、斜め方向のコントラストが低
下する。一方、1/4波長板と液晶パネルの間に直線偏
光板がある場合には、この直線偏光板でカットされる偏
光成分が増加するので斜め方向の輝度が低下する。この
ように従来の液晶表示装置はバックライトから斜め方向
に出射された光を十分には活用していないので、実質的
なバックライト光の利用効率が十分には高くないという
課題を有していた。
【0008】本発明は、上記従来の課題を考慮したもの
であって、バックライトから斜め方向に出射された光を
十分に活用し、実質的なバックライト光の利用効率を向
上するようにした液晶表示装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のうちで請求項1記載の発明は、バックラ
イトと円偏光分離層との間に、入射光の入射角度が法線
に対して予め定められた拡散開始角度θp1未満のとき
には、入射光をその入射角度を維持したまま出射させ、
入射光の入射角度が前記拡散開始角度θp1以上のとき
には、入射光を拡散して出射させる光拡散素子が配置さ
れていることを特徴とする。
【0010】上記の如く構成したことにより、バックラ
イト光のうちの入射角度が拡散開始角度θp1以上の斜
め方向の光が、光拡散素子により拡散され、この拡散さ
れた成分のうちの法線方向成分の光量分だけ、円偏光分
離層への法線方向の入射光量が増加する。したがって、
円偏光分離層において、有効に偏光変換される光量が増
え、バックライト光の利用効率が増加する。これによ
り、少ない消費電力で明るい表示が可能となる。
【0011】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明のうち、拡散開始角度θp1が15度以上35度
以下であることを特徴とする。上記の如く構成した理由
は、拡散開始角度θp1が小さすぎると、法線方向から
若干傾いた入射光までが拡散されるため、法線方向及び
その周辺方向に進む光の光量が減少する。そのため、所
望する明るさで見える角度範囲が狭すぎるという問題が
生じる。一方、拡散開始角度θp1が大きすぎると、バ
ックライト光の利用効率の向上が不十分で、表示輝度が
あまり増加しないという問題が生じる。かかる観点を考
慮して、拡散開始角度θp1が15度以上35度以下と
することにより、実用上支障のない程度の角度範囲及び
表示輝度が得られる。
【0012】また請求項3記載の発明は、請求項1記載
の発明のうち、拡散開始角度θp1が20度以上30度
以下であることを特徴とする。このように構成したこと
により、請求項2記載の発明に比べて、より望ましい角
度範囲及び表示輝度が得られる。
【0013】また請求項4記載の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに記載の発明のうち、位相板と液晶
パネルの間に、第2の直線偏光板が配置されていること
を特徴とする。上記の如く構成したことにより、液晶パ
ネルに入射する光の直線偏光性が向上するので、表示の
コントラストが高くなるという作用を有する。
【0014】また請求項5記載の発明は、請求項1乃至
請求項4のいずれかに記載の発明のうち、液晶パネルの
前面側か、又は位相板と液晶パネル間のいずれか一方
に、第2の光拡散素子が配置され、この第2の光拡散素
子は、入射光の入射角度が法線に対して予め定められた
拡散終了角度θp3以未満のときには、入射光を拡散し
て出射させ、入射光の入射角度が前記拡散終了角度θp
3以上のときには、入射光をその入射角度を維持したま
ま出射させることを特徴とする。
【0015】上記の如く構成したことにより、入射角度
が拡散終了角度θp3以未満である法線方向およびその
周辺方向に進む光は拡散し、入射角度が拡散終了角度θ
p3以上である斜め方向の光は透過する。したがって、
液晶パネルの前面側に第2の光拡散素子を配置した構成
の場合では、液晶パネルを通過した光のうち、法線方向
及びその周辺方向に進む光が、拡散され、液晶表示装置
の視野角特性が大きく向上するという作用を有する。こ
れにより、請求項1記載の発明では、光拡散素子により
正面方向は明るくなるが、斜め方向への光量は少なくな
っているのに対して、本発明では、第2の光拡散素子を
設けることにより、正面方向の光を斜め方向に拡散する
ことができ、明るさの視野角依存性が少なくなり、より
よい視野角特性の表示が得られる。
【0016】液晶パネルの後面側に第2の光拡散素子を
配置した構成では、第2の光拡散素子による液晶表示装
置の視野角特性が向上するという作用に加えて、外光に
よるコントラスト低下をさらに少なくすることができ
る。即ち、液晶パネルの後面側に第2の光拡散素子を配
置した場合、外光が液晶パネルを通過する際に光量が吸
収され、外光が第2の光拡散素子に到達しにくい。さら
に、液晶パネルを通過した外光は第2の光拡散素子によ
り反射され、この反射光は再び液晶パネルを通過して、
光量が吸収される。したがって、液晶パネルの前面側に
第2の光拡散素子を配置した構成に比べて、外光による
コントラスト低下が少ないという作用がある。
【0017】また請求項6記載の発明は、請求項5記載
の発明のうち、拡散終了角度θp3と拡散開始角度θp
1とが、θp3≧θp1−5とされていることを特徴と
する。上記の如く構成した理由は、拡散開始角度θp1
が拡散終了角度θp3より大きすぎる場合、即ち、光拡
散素子の拡散領域が第2の光拡散素子の非拡散領域に比
べて狭すぎる場合、集光された光がそのまま表示される
領域が存在することになり、正面から徐々に視野角を増
加させた場合、図7に示すような表示輝度が一旦上昇し
てから低下する凸状部分が生じ、表示が不自然なものに
なるという問題が生じる。θp3≧θp1−5とするこ
とにより、前記凸状部分が実用上ほとんど支障のない程
度となるという作用がある。
【0018】また請求項7記載の発明は、請求項5記載
の発明のうち、拡散終了角度θp3と拡散開始角度θp
1とが、θp3≧θp1とされていることを特徴とす
る。上記の如く構成したことにより、前記凸状部分がな
くなり、表示特性が向上する。
【0019】また請求項8記載の発明は、請求項1乃至
請求項7のいずれかに記載の発明のうち、円偏光分離層
はコレステリック液晶層であることを特徴とする。上記
の如く構成したことにより、円偏光分離層として、例え
ば、らせん軸がねじれ構造となっている特別な偏光体な
どを使用する必要がなく、通常使用されているコレステ
リック液晶層を使用すればよいのでコストの低減が図れ
る。
【0020】また請求項9記載の発明は、らせん軸方向
が選択反射波長の角度依存性を平均化するように面内で
所定の分布を持つコレステリック液晶層を用いたことを
特徴とする。上記の如く構成したことにより、コレステ
リック液晶の選択反射波長の角度依存性が平均化され、
斜め方向から液晶表示装置を見た場合の表示の着色が解
消あるいは緩和される。従って、良好な表示が行える視
野角範囲が増大する。また、視野角拡大効果により有効
な出射光量が増大する結果、バックライト光の利用効率
が増加する。
【0021】また請求項10記載の発明は、請求項9記
載の発明のうち、位相板と液晶パネルの間に、第2の直
線偏光板が配置されていることを特徴とする。上記の如
く構成したことにより、請求項9記載の発明の作用に加
えて、液晶パネルに入射する光の直線偏光性が向上し、
表示のコントラストが高くなるという作用を有する。
【0022】また請求項11記載の発明は、第1及び第
2の位相板は1軸異方性を有し、かつ、第1の位相板の
屈折率異方性と前記第2の位相板の屈折率異方性が逆符
号とされ、各第1及び第2の位相板の常屈折率と異常屈
折率の平均値を各第1及び第2の位相板の屈折率とした
場合において、第1の位相板と第2の位相板のうちのリ
ターデーションの絶対値が大きい方の位相板の屈折率
が、他方の位相板の屈折率より大とされていることを特
徴とする。
【0023】上記の如く構成としたことにより、一方の
位相板のリターデーションの視野角変化が、他方の位相
板のリターデーションの視野角変化により補償されるた
め、合成リターデーションの視野角変化が少なくなる。
換言すれば、2枚の位相板を使用した本発明は、1枚の
位相板を使用したものに比べて、リターデーションの視
野角変化が少なくなったことを意味する。この結果、本
発明では、1枚の位相板を使用するものに比べて、円偏
光から直線偏光への変換特性の視野角特性が良好にな
り、斜め方向から液晶表示装置を見た場合の表示の着色
が解消あるいは緩和され、良好な表示が行える視野角範
囲が増大する。また、視野角拡大効果により有効な出射
光量が増大する結果、バックライト光の利用効率が増加
する。
【0024】また請求項12記載の発明は、請求項11
記載の発明のうち、第1の位相板と第2の位相板の主軸
がほぼ平行であるであることを特徴とする。上記の如く
構成したことにより、第1の位相板と第2の位相板の配
置状態がリターデーションの視野角補償効果を最大とす
る方向に配置されたことになり、第1の位相板と第2の
位相板の主軸が平行でない配置状態に比べて、良好な視
野角特性を得るという作用を有する。
【0025】また請求項13記載の発明は、請求項11
又は請求項12に記載の発明のうち、円偏光分離層がコ
レステリック液晶層であることを特徴とする。上記の如
く構成したことにより、請求項11又は12に記載の発
明の作用に加えて、円偏光分離層として、例えば、らせ
ん軸がねじれ構造となっている特別な偏光体などを使用
する必要がなく、コストの低減が図れる。
【0026】また請求項14記載の発明は、請求項13
記載の発明のうち、コレステリック液晶層が、らせん軸
方向が選択反射波長の角度依存性を平均化するように面
内で所定の分布を持つことを特徴とする。上記の如く構
成したことにより、2枚の位相板によるリターデーショ
ンの視野角補償効果と、らせん軸方向が所定の分布を持
つコレステリック液晶層による円偏光分離特性の視野角
特性の向上とが相まって、より良好な視野角特性が得ら
れる。
【0027】また請求項15記載の発明は、第1の位相
板と第2の位相板のうちのリターデーションの絶対値が
小さい方の位相板に関するリターデーションの視野角依
存性が、他方の位相板に関するリターデーションの視野
角依存性より大きくなるように、2軸異方性を有する位
相板の法線方向の主屈折率と面内の主屈折率との大小関
係が定められていることを特徴とする。
【0028】上記の如く構成したことにより、位相板の
視野角補償効果による視野角特性の向上が得られる。こ
れにより、円偏光から直線偏光への変換特性の視野角特
性が良好になり、そのため、斜め方向から液晶表示装置
を見た場合の表示の着色が解消あるいは緩和され、良好
な表示が行える視野角範囲が増大する。また、視野角拡
大効果により有効な出射光量が増大する結果、バックラ
イト光の利用効率が増加することになる。なお、参考ま
でに述べると、上記の1軸異方性を有する2枚の位相板
を用いる構成では、屈折率にある程度の差が必要となる
ので、位相板の材料選定に制約が生じる。しかし、本請
求項15記載の発明の構成であれば、2枚の位相板の屈
折率がほぼ等しい程度のものであってもよく、位相板の
材料選定に制約がないという効果も生じる。
【0029】また請求項16記載の発明は、請求項15
に記載の発明のうち、円偏光分離層がコレステリック液
晶層であることを特徴とする。上記の如く構成したこと
により、請求項15記載の発明の作用に加えて、円偏光
分離層として、例えば、らせん軸がねじれ構造となって
いる特別な偏光体などを使用する必要がなく、コストの
低減が図れる。
【0030】また請求項17記載の発明は、請求項16
記載の発明のうち、コレステリック液晶層が、らせん軸
方向が選択反射波長の角度依存性を平均化するように面
内で所定の分布を持つことを特徴とする。上記の如く構
成したことにより、請求項15記載の発明に比べて、よ
り良好な視野角特性が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1から図18を用いて説明する。 (実施形態1)図1は本発明の第1の実施形態の液晶表
示装置の構成を示す断面図である。図において、2は液
晶パネルであり、液晶層4が2枚の基板3・5で挟持さ
れている。表示モードはTN型あるいはSTN型であ
り、1は偏光表示を行うための直線偏光板であり、6は
偏光表示を行うための第2の直線偏光板である。図示し
ていないが、基板3・5の内面には液晶層に電圧を印加
するための電極が形成されている。また、いずれかの基
板上に薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を形成
すれば、コントラストが高く良好な表示を行うことがで
きる。
【0032】8は円偏光を分離するためのコレステリッ
ク液晶層、7は円偏光を直線偏光に変換するための位相
板である。コレステリック液晶層は、(1)式でθを0
としたときの反射波長(正面方向での反射波長)λ0 が
400〜650nmをカバーするように、そのらせんピ
ッチが連続的に変化している。バックライトのスペクト
ルに応じて反射波長の帯域を調整すれば、なお良好な特
性が得られる。らせんピッチを連続的に変化させる代わ
りに、らせんピッチの異なる数枚のコレステリック液晶
層を積層しても同様の効果を得ることができる。位相板
7としては、例えば、ポリビニルアルコールやポリカー
ボネートなどのプラスチックフィルムが延伸されたもの
で、nを整数(0、1、2……)として、(2n+1)
/4波長のリターデーションを持つものを用いればよ
い。特に、リターデーションが1/4波長であるもの
は、特性の波長依存や視野角依存が他のものに比べて優
れている点で望ましい。
【0033】また、10はバックライトであり、9はバ
ックライト光を所望の方向に向けるための光拡散素子で
ある。この光拡散素子9は、入射光の入射角度が法線に
対して予め定められた拡散開始角度θp1未満のとき
は、入射光をその入射角度を維持したまま出射させ、入
射光の入射角度が前記拡散開始角度θp1以上のとき
は、入射光を拡散して出射させる機能を有する。したが
って、バックライト10から発せられた光が光拡散素子
9に入射すると、図2に示すように、入射角度が拡散開
始角度θp1未満である法線方向およびその周辺方向に
進む光101は、そのまま透過し、入射角度が拡散開始
角度θp1以上の斜め方向の光102は、拡散される。
【0034】図3は、上記光拡散素子9の効果を示すた
めのもので、バックライト10から光拡散素子9への入
射光と、光拡散素子9からの出射光の角度分布を示して
いる。なお、光拡散素子9としては、住友化学製のルミ
スティ・フィルムを用いた。このフィルムはある特定の
角度範囲(θp1 〜θp2 )の光を散乱させる特性を持
っている。したがって、光拡散素子9は、上記の図2に
示す基本的機能に加えて、入射角度が角度θp2以上の
ときに、入射光をその入射角度を維持したまま透過させ
る機能をも有する。以下、図3を参照して、光拡散素子
9の作用を説明する。図3において、一点鎖線L1は光
拡散素子9への入射光強度を示し、実線L2は光拡散素
子9からの出射光強度を示している。バックライト10
から発せられた光のうち、斜め方向の拡散領域Bに入射
した光は拡散されて、透明領域Aに入射した光に加えら
れるので、透明領域Aの光量が増加している。この結
果、特に、θの小さい透明領域Aでコレステリック液晶
層8に入射する光量が増大し、コレステリック液晶層8
と位相板7の視野角依存性の影響を受けずに液晶パネル
2に入射する光が増加する。
【0035】一方、光拡散素子9として住友化学製のル
ミスティ・フィルムを用いているので、θが大きい部分
に透明領域Cが存在し、この部分の出射光量も増加して
いる。透明領域Cはバックライト光の利用効率向上とは
関係がなく、むしろ広すぎる場合には拡散領域Bが減少
して悪影響を及ぼすので、ないほうが望ましい。入射角
度θの大きい部分はバックライト光量も少なく、大きく
拡散されたもののみが正面方向の光量増加に寄与するの
で、実用的には、θp2 が60度以上であればほとんど
影響はなく、θp2 が75度以上であればなお好ましい
結果が得られる。
【0036】コレステリック液晶層8と1/4波長板7
よりなる部分は、上記したように、選択反射により左右
の円偏光を分離し、透過光を1/4波長板7により直線
偏光として液晶パネル2に入射させ、バックライト側に
戻った光は再利用することにより照明光の有効利用を図
っている。第2の直線偏光板6は液晶パネル2に入射す
る光の直線偏光度を向上させて、表示素子のコントラス
ト特性を向上させるために設けられているが、高コント
ラストが要求されない場合にはこれを省略することもで
き、ここでの光吸収がなくなる分、表示輝度が10%程
度増大する。
【0037】コレステリック液晶層8と1/4波長板7
よりなる部分の特性は、上記に説明したように視野角依
存性を有するが、本実施形態の液晶表示装置において
は、コレステリック液晶層8への入射光に関して、入射
角度θが小さく法線に近い方向から入射する光の光量が
多く、入射角度θが大きい方向から入射する光の光量が
少なくなっている。したがって、従来例に比べて、コレ
ステリック液晶層8と1/4波長板7よりなる部分での
視野角依存性の影響を受ける光量が少なくてすむ。
【0038】また、コレステリック液晶層8で反射され
た光は光拡散素子9に上方から入射するが、光拡散素子
9は光をほとんど吸収しないので、拡散領域Bの角度で
入射したものの一部がここで反射されて再びコレステリ
ック液晶層8に向かい、ほかの光はバックライト10に
達する。この光はバックライト面で反射されて、再び光
拡散素子9に下側から入射する。従って、コレステリッ
ク液晶層8で反射された光はほとんどロスなく再利用さ
れる。
【0039】拡散開始角度θp1 は、小さすぎると液晶
表示装置が明るく見える角度が狭すぎ、大きすぎると光
利用効率の向上が不十分で表示輝度があまり増加しな
い。表1は拡散開始角度θp1 と表示状態の関係を示し
たものであり、拡散開始角度θp1 を20〜30度の間
に設定するのが最も良好な結果を示し、15〜35度の
間で実用上十分な表示特性が得られた。
【表1】
【0040】従って、本実施形態の液晶表示装置におい
ては、バックライト光の利用効率を向上させて、少ない
消費電力で明るい表示を行うことができる。本実施形態
の液晶表示装置は、パーソナル機器用のディスプレイな
ど、視野角特性より、正面方向の明るさや低消費電力化
が要求される用途に、特に適している。
【0041】(実施形態2)図4は本発明の第2の実施
形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。図にお
いて、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ番号をつ
けて、説明を省略する。第1の実施形態との違いは、液
晶パネル2と出射側の直線偏光板1の間に第2の光拡散
素子11を設けたことにある。この第2の光拡散素子1
1は、光拡散素子9とは逆の特性を有する。即ち、第2
の光拡散素子11は、入射光の入射角度が法線に対して
予め定められた拡散終了角度θp3以未満のときは、入
射光を拡散して出射させ、入射光の入射角度が前記拡散
終了角度θp3以上のときは、入射光をその入射角度を
維持したまま出射させる機能を有する。したがって、液
晶パネル2からの光が第2の光拡散素子11に入射する
と、図5に示すように、入射角度が拡散終了角度θp3
以未満である法線方向およびその周辺方向に進む光10
1は拡散し、入射角度が前記拡散終了角度θp3以上の
斜め方向の光102は透過する。
【0042】図6は白表示における輝度と視野角の関係
を示したものである。図中の1点鎖線L3は第2の光拡
散素子11を用いない場合、実線L4は第2の光拡散素
子11を用いた場合の特性を示している。第1の実施形
態で説明した液晶表示装置は、光拡散素子9を使用して
いるので正面方向は明るくなるが、斜め方向への光量は
少なくなっている。一方、本実施形態の液晶表示装置に
おいては、光拡散素子11により正面方向の光を斜め方
向に拡散しているので、第1の実施形態の液晶表示装置
に比べて、明るさの視野角依存性が少なくなり、よりよ
い視野角特性の表示が得られている。
【0043】第2の光拡散素子11には、光拡散素子9
と同様に、住友化学製のルミスティ・フィルムを用いる
ことができるが、正面方向を含む角度範囲に拡散領域を
持つように設計されたものを用いる必要がある。第2の
光拡散素子11の拡散領域が光拡散素子4の非拡散領域
に比べて狭すぎる場合には、集光された光がそのまま表
示される領域が存在するので、輝度−視野角特性に図7
に示すように凸状の部分が生じる。このため正面から徐
々に視野角を増加させた場合、表示輝度が一旦上昇して
から低下することになり、表示が不自然なものになるの
で望ましくない。
【0044】第2の光拡散素子11の拡散領域を−θp
3 〜+θp3 、光拡散素子4の拡散領域を図3に示すよ
うに、正負ともにθp1 〜θp2 とすると、 θp3 ≧θp1 (度) であれば、この凸状の部分がなくなり見やすい表示が得
られるが、 θp3 ≧θp1 −5 (度) の関係が満たされていれば、凸状の部分の存在は実用上
ほとんど感じられなくなる。第2の光拡散素子の拡散領
域は全角度範囲としてもかまわないが、θp3 が大きす
ぎる場合には光が広い角度範囲に拡散されすぎるので、
θp3 は60度以下に設定するのが望ましい。
【0045】本実施形態の液晶表示装置は、液晶層4中
は、特性の良好な法線方向に光を主に伝播させ、液晶層
を出た後に斜め方向に拡散しているので、液晶層4の特
性に視野角依存がある場合にはそれを緩和するという働
きもある。第2の光拡散素子11に偏光解消作用のない
場合には、図4のように第2の光拡散素子11を、直線
偏光板1と液晶パネル2の間に配置するのが望ましい。
このような構成であれば、第2の光拡散素子11に入射
しここで反射されて再出射する外光が直線偏光板1で吸
収されるため、外光下でのコントラスト特性が良好であ
るという特長がある。第2の光拡散素子11の偏光解消
作用が大きい場合には、上記の構成をとると、直線偏光
板1による偏光表示が完了する前に偏光解消が起こるの
で、表示のオンオフ特性が劣化する。この場合は、偏光
表示を行った後に光を拡散させるため、第2の光拡散素
子11を直線偏光板1の観察者の側に配置するのが望ま
しい。
【0046】(実施形態3)図8は本発明の第3の実施
形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。図にお
いて、第1・第2の実施形態と同じ構成要素には同じ番
号をつけて、説明を省略する。第2の実施形態との違い
は、第2の光拡散素子11を位相板7と第2の直線偏光
板6の間に配置したことにある。本実施形態においても
第2の実施形態と同様に、第2の光拡散素子11は、法
線方向およびその周辺方向に進む光は拡散させ、斜め方
向の光を透過する性質を持っている。これにより、正面
方向の光を斜め方向に拡散して液晶表示装置の明るさの
視野角依存性が少なくなるという利点があり、第2の実
施形態と同様に、輝度変化の少ない視野角特性を得るこ
とができる。
【0047】第2の光拡散素子11としては、第2の実
施形態と同様に、正面方向を含む角度範囲に拡散領域を
持つように設計された住友化学製のルミスティ・フィル
ムを用いることができる。本実施形態の液晶表示装置に
おいても、コレステリック液晶層8と位相板7を法線方
向に通過する光が多いので、バックライト光の利用効率
は従来のものに比べて向上している。第2の実施形態に
比べると、第2の光拡散素子11が液晶パネル2の下側
にあるため、外光によるコントラスト低下がさらに少な
くなるという利点がある。第2の光拡散素子11は、第
2の直線偏光板6と液晶パネル2の間に配置してもかま
わないが、第2の直線偏光板6の背後に配置する方が、
拡散された光が第2の直線偏光板6によって完全な直線
偏光とされて液晶パネル2に入射し、表示コントラスト
が非常に高いものとなるという利点があるので望まし
い。
【0048】上記に説明したように、光源側から、光拡
散素子9、コレステリック液晶層8、位相板7、第2の
光拡散素子11の順に積層された光学積層体は、広い出
射角にわたって直線偏光を効率よくバックライトから取
り出すことができる。また、第2の光拡散素子11の後
に第2の直線偏光板6を配置すれば、容易に出射光の直
線偏光度を向上させることもできる。この光学積層体を
用いれば、液晶表示装置の背面光源部のほか各種の偏光
照明において、効率向上や広角度化を図ることができ
る。
【0049】(実施形態4)本実施形態の液晶表示装置
は、図1の第1の実施形態では液晶層4はTN型あるい
はSTN型としたが、本実施形態の液晶表示装置では液
晶層4にポリマー分散型などの散乱型の液晶を用いてい
る。散乱型の液晶は、電圧のオンオフにより散乱状態と
透明状態を切り替えるもので、通常は、電圧が印加され
ていない場合には液晶がランダム状態で散乱状態、十分
高い電圧が印加された場合には液晶分子の長軸が電界方
向と平行に並ぶので透明状態となる。2枚の偏光板をそ
の偏光軸が直交配置し、その間に散乱型の液晶を配置す
ると、液晶が透明状態にある場合には光が液晶を通過す
る際に偏光状態が変化しないので黒表示が、液晶が散乱
状態にある場合には液晶の散乱によって偏光の解消が起
きるので白表示が行われる。
【0050】図1に示す液晶表示装置に上記の散乱型の
液晶を用いた場合には、白表示を行う際に散乱現象によ
り光の進路も拡げられるので、第2・第3の実施形態に
示すような第2の光拡散素子11を用いることなく、輝
度の視野角特性を向上させることができる。また、2枚
の直線偏光板を偏光軸が直交するように配置した場合、
これを斜め方向から見た場合には光漏れが生じるが、こ
の構成では黒表示では主として垂直方向に光が進むた
め、斜め光の割合が少なく、表示に黒浮きが発生しにく
いという利点もある。
【0051】(実施形態5)図9は本発明の第5の実施
形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。図にお
いて、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ番号をつ
けて、説明を省略する。本実施形態は、らせん軸方向に
分布を持ったコレステリック液晶層12を用いている点
と、光拡散素子9を用いていない点が第1の実施形態と
異なっている。液晶の表示モードは、TN型やSTN型
でも構わないし、散乱型を用いることもできる。本実施
形態で用いているコレステリック液晶層12は、図10
に断面の模式図を示すように、らせん軸12が面内で分
布をもって配列している。図中の曲線は液晶のらせん構
造を便宜的に示したもので、矢印はらせん軸の方向を示
している。らせんピッチは、層の厚みの方向に連続的に
変化して可視光のほぼ全域をカバーしている。これは、
らせん軸方向が分布しており、ピッチの異なるコレステ
リック液晶層を数層重ねた構成でもかまわない。
【0052】コレステリック液晶層の選択反射波長は、
上記した発明が解決しようとする課題の項で説明したよ
うに光の入射角によって変化するが、本実施形態ではら
せん軸に分布を持たせた構成により選択反射波長の角度
依存性を平均化し、液晶パネル2への入射光の角度によ
る色度変化を緩和または解消している。これにより、光
利用効率が高く明るく低消費電力であるとともに、視野
角特性の優れた見やすい液晶表示を得ることができる。
【0053】らせん軸の方位に関しては、その傾き角θ
が大きすぎるものはかえって正面方向の特性を悪化させ
るし、小さいものばかりでは上記の特性改善効果がな
い。表2はらせん軸傾き角の分布をほぼ正規分布とした
場合について、その標準偏差σと液晶表示装置の特性の
関係を示したものである。
【表2】 標準偏差σが10度から25度の間にあるものが、斜め
方向の着色が少なく正面輝度の改善効果が大きいので、
良好な表示特性を示す。さらに、標準偏差σを15度か
ら20度の間に設定すれば最も良好な特性を得ることが
できる。
【0054】本実施形態で用いたコレステリック液晶層
12は、エンボス加工などにより数ミクロンから数十ミ
クロンのピッチで表面に凹凸がつけられたフィルム基板
の上に、コレステリック液晶層を成長させることにより
作製することができる。コレステリック液晶の成長は、
特開平6−281814号公報に示されるように、紫外
光等の照射によって行うことができる。
【0055】また、らせん軸方向の分布につき、上記の
例では、正規分布としたけれども、らせん軸のうち2/
3が、頂角が正負15〜20度の円錐内にある分布構成
としてもよい。なお、頂角は垂直方向から片側に測った
ものとしている。このような分布を得る方法としては、
正規分布の場合と同様にフィルム基板の上に、凹凸をつ
けてコレステリック液晶を成長させる方法の他に、以下
の方法もある。即ち、一旦らせん軸が法線方向に向いた
フィルムを作製した後、レーザや熱により分子を熱運動
させるか、または、溶媒の再添加により分子配向の規制
力を一時的に緩和することにより、らせん軸をややラン
ダムにする方法が用いられる。なお、いずれの場合も、
冷却や溶媒の蒸発により、分布したらせん軸を固定す
る。
【0056】(実施形態6)図11は本発明の第6の実
施形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。図に
おいて、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ番号を
つけて、説明を省略する。本実施形態は、位相板がバッ
クライト10側から順に第1の位相板14と第2の位相
板13で構成されている点と、光拡散素子9を用いてい
ない点が第1の実施形態と異なっている。液晶の表示モ
ードは、TN型やSTN型でも構わないし、散乱型を用
いることもできる。本実施形態は、円偏光を直線偏光に
変換する位相板の視野角依存性を解消あるいは緩和する
ことにより表示特性が良好な液晶表示装置を得るもので
ある。
【0057】図12は位相板の視野角依存性を説明する
ものである。先ず、図12を参照して、本実施形態の前
提となる位相板の視野角依存性の具体的内容を説明し、
その後に、本実施形態の特徴である2枚の位相板13,
14の具体的な動作原理を説明することにする。位相板
15は1軸異方性を有しており、図では便宜上、棒状分
子16が1方向に配列したものとしてこれを表してい
る。この位相板15の正面からのリターデーションR
は、位相板の屈折率異方性Δnと厚みdの積Δn×dで
表される。図12(a)は、位相板の主軸方向に傾いた
方向から入射した光が伝播する様子を示したものであ
る。空気中からθ0 の方向から入射した光は界面で屈折
し、角度θ1 で位相板15の中を伝播する。この結果、
光が位相板15の中を伝播する距離はd/cosθ1 で
増加する。一方、光の伝播方向が位相板の光軸方向に近
づくので、屈折率異方性はcosθ1 の2乗に比例して
増加する。従って、リターデーションは、 R(θ)=R・cos2 θ1・d/cosθ1 =R・cosθ1 (2) で、傾き角とともに減少する。ここで、Rは正面方向か
らのリターデーションである。
【0058】なお、参考までに、上記した入射光が位相
板15の主軸方向から入射した場合に、屈折率異方性が
cosθ1 の2乗に比例して増加する理由について、以
下に詳述する。図13(a)は屈折率楕円体を示してい
る。位相板15は1軸異方性を有し、xが対称軸であ
る。nx,ny,nzを主屈折率とし、neを異常屈折
率、noを常屈折率とし、ne=nx、no=ny=n
zとする。また、光の伝播方向αはz方向を基準とし、
そこからx軸方向にθ傾いているものとする。α方向に
伝播する光の屈折率は、これに垂直な平面が屈折率楕円
体を切る面に作る楕円で表される。そのときの2つの主
屈折率は式(3),(4)で表される。
【数1】
【数2】 線分OAの長さを計算するために、図13(b)に示す
ように、屈折率楕円体のxz断面を考える。点Aの座標
は(ne・cosθ,no・sinθ)であるから、n
e(θ)は、式(5)で示される。
【数3】 式(5)を変形すると、式(6)となる。
【数4】 液晶物質の場合は、noが1.5付近の値であり、Δn
(=ne−no)が0.07〜0.2程度の値である。
また、延紳フィルムの場合は、noが1.5付近の値で
あり、Δnが0.01程度の値である。したがって、異
常屈折率neと常屈折率noの比は次の式(7)で表さ
れる。 ne/no=1+ε (7) なお、εは0<ε≦1とする。この式(7)を上記式
(6)に代入すると、式(8)〜式(12)と変形され
る。
【数5】 但し、式(9)から式(10)への変形は、式(13)
の関係を使っている。
【数6】 よって、Δn(θ)は式(14)となる。
【数7】 この式(14)より、式(15)が成立する。 Δn(θ)=ne・cos2 θ (15) したがって、屈折率異方性がcosθの2乗に比例して
増加することが理解される。
【0059】次に、図12(b)を参照して、位相板1
5の動作説明に話を戻すことにする。図12(b)は、
位相板15の主軸と直交方向に傾いた方向から入射した
光が伝播する様子を示したものである。空気中からθ0
の方向から入射した光は界面で屈折し、角度θ1 で位相
板15の中を伝播する。この結果、光が位相板15の中
を伝播する距離はd/cosθ1 で増加する。この場合
は、光の伝播方向が変わっても屈折率異方性は変わらな
い。従って、リターデーションは、 R(θ)=R/cosθ1 (16) で、傾き角とともに増加する。
【0060】図14は、本実施形態の液晶表示装置につ
いて、2枚の位相板の動作を説明するものである。第1
の位相板14は正の屈折率異方性を持ち、第2の位相板
13は負の屈折率異方性を持っている。2つの位相板1
3,14の光学的な主軸は、いずれも図の左右方向に向
きほぼ平行に配置されており、第1の位相板14と第2
の位相板13のリターデーションは互いに減じあう関係
にある。なお、このような第1の位相板14と第2の位
相板13の配置状態はリターデーションの視野角補償効
果を最大とする配置状態であるが、本発明は必ずしもこ
れに限定されるものではなく、第1の位相板14と第2
の位相板13の主軸が平行でない配置状態であっても、
十分良好なリターデーションの視野角補償効果が得られ
る。また、図14においては、説明を簡略化するため、
2枚の位相板13,14の上下が空気層であるものとし
ている。2枚の位相板13,14のリターデーションは
互いに逆符号と考えられるので、第1の位相板14のリ
ターデーションを+R1 、第2の位相板13のリターデ
ーションを−R2 とすると、これらは次の式で表され
る。 +R1 =+Δn1 ×d1 (17) −R2 =−Δn2 ×d2 (18) 上式中、Δn1 とΔn2 はそれぞれ位相板14と位相板
13の屈折率異方性であり、d1 とd2 はそれらの厚み
である。2枚の位相板を合わせた正面方向からの合成リ
ターデーションは、この両者から次式で表される。 Rtotal =R1 −R2 (19) 正面方向から入射した円偏光を直線偏光にするため、合
成リターデーションが±(2n+1)/4波長となるよ
うに、R1 とR2 の値は調整されている。特に合成リタ
ーデーションを±1/4波長とすれば、波長による偏光
変換特性の差が小さく、すべての波長にわたって良好な
輝度向上効果が得られる。
【0061】図14には主軸と同方向に傾いた方向から
入射した光の伝播経路が示されている。光は、第1の位
相板14の中では傾き角θ1 で、第2の位相板13の中
では傾き角θ2 で伝播する。これらの位相板のリターデ
ーションは、式(2)と同様に考えて次の式で表され
る。 +R1 (θ)=+R1 ・cosθ1 (20) −R2 (θ)=−R2 ・cosθ2 (21) この両者より、合成リターデーションは次式のようにな
る。 Rtotal (θ)=+R1 (θ)−R2 (θ) =+R1 ・cosθ1 −R2 ・cosθ2 (22)
【0062】以下、R1 がR2 より大きく、合成リター
デーションが正の場合について考える。第1の位相板1
4の屈折率をn1 、第2の位相板13の屈折率をn2 と
すると、屈折の法則より次の(23)式が成り立つ。な
お、複屈折媒体の屈折率は伝播光の偏光面によって異な
ったものとなるが、本実施形態の構成では位相板に入射
する光はほぼ円偏光になっているので、常屈折率noと
異常屈折率neの平均値をとってこれをn1 およびn2
としている。 sinθ1 /sinθ2 =n2 /n1 (23) これらの屈折率の大小と合成位相板の視野角特性を以下
に考察する。n1 =n2 の場合は、θ1 =θ2 であるの
で、R1 (θ)とR2 (θ)は同じ割合で減少してい
く。この結果、合成リターデーションは次式で表され、
位相板を1枚用いた場合と同様の視野角依存である。 Rtotal (θ)=+R1 ・cosθ1 −R2 ・cosθ1 =(R1 −R2 )cosθ1 =Rtotal ・cosθ1 (24)
【0063】次に、n1 >n2 の場合にはθ1 <θ2 と
なる。θ0 の増大とともにR1 (θ)とR2 (θ)はと
もに減少するが、θ1 <θ2 であるのでR2 (θ)の減
少の割合はR1 (θ)のそれを上回る。この結果、R1
からR2 を差し引いた差で表される合成リターデーショ
ンの視野角変化が緩和される。n1 <n2 の場合にはθ
1 >θ2 となるので、視野角変化に対して、R2 (θ)
はR1 (θ)より減少する割合が少なく、合成リターデ
ーションの視野角特性は悪化する。
【0064】今度は、主軸と直角方向に傾いた方向から
入射した光について考える。上記と同様に、光は第1の
位相板14の中では傾き角θ1 で、第2の位相板13の
中では傾き角θ2 で伝播する。これらの位相板のリター
デーションは、式(16)と同様に考えて、次の式で表
される。 +R1 (θ)=+R1 /cosθ1 (25) −R2 (θ)=−R2 /cosθ2 (26) この両者より、合成リターデーションは次式のようにな
る。 Rtotal (θ)=+R1 (θ)−R2 (θ) =+R1 /cosθ1 −R2 /cosθ2 (27) θ0が増加すると、R1 (θ)とR2 (θ)はともに増
加して行く。主軸方向に傾いた場合と同様に考えると、
n1 >n2 であればR2 (θ)の増加の割合がR1
(θ)の増加の割合を上回り、合成リターデーションの
視野角依存性が緩和される。従って、n1 >n2 であれ
ば、いずれの方向においてもリターデーションの視野角
依存が緩和される。
【0065】図15はR1 を412.5nm、R2 を2
75nm、n1 を1.5、n2を1.3として、合成リ
ターデーションの視野角変化をシミュレーションした結
果である。横軸は空気中からの光の入射角θ0 である。
図には、リターデーションが137.5nmで屈折率が
1.5の位相板のシミュレーション結果を、比較のため
に示している。図中の実線141,142は2枚の位相
板を使用した場合、破線143,144は1枚の位相板
を使用した場合のリターデーションであり、実線141
と破線143は主軸に直交する側に入射角θ0を傾けた
場合、実線142と破線144は主軸側に入射角θ0を
傾けた場合の特性である。
【0066】位相板が1枚の場合には、入射角θ0が6
0度の付近でリターデーションが30nm近く変化して
しまう。正面からのリターデーションは137.5nm
なので、これが1/4波長となる波長(主波長)は55
0nmの緑光であるが、60度方向からのリターデーシ
ョンは110nm、あるいは165nm程度となり、主
波長は440nm(青色領域)や、660nm(赤色領
域)となる。この結果、通常の構成では色度特性が視野
角により大幅に変化したり、偏光変換特性が大幅に低下
したりする。一方、本実施例の構成では、θ0が60度
でも合成リターデーションの変化は5nm程度であり、
主波長の変化は20nm程度なので、ほとんど表示特性
への影響はない。
【0067】図16は、2枚の位相板のリターデーショ
ンと屈折率の好ましい範囲を示したものである。図の各
曲線は、傾き角θ0が60度における位相板の主軸方向
のリターデーション変化と、それに直交する方向のリタ
ーデーション変化をシミュレーションし、変化量の絶対
値平均(ΔR)をとったものである。実線の内部はこの
変化量が10nm以下となる領域であり、斜線部は5n
m以下となる領域を示している。R1 =R2 +137.
5nmとし、n1 =1.5の条件で計算を行った。それ
ぞれのR2 の値において、n2 /n1 が1の場合は先に
も説明したようにΔRは1枚位相板と同じ値となるが、
n2 /n1 を1から小さくしていくと補償効果によりΔ
Rが減少する。しかしながら、これが小さくなりすぎる
と補償効果が強すぎて、いわゆる過補償状態になりΔR
が逆に増大する。n2 /n1 の値は、0.85から0.
97付近に設定するのが良好な特性の得られるR2 の領
域が広いので望ましい。図16の各曲線は、ほぼ、(1
−n2 /n1 )の1.25乗に反比例するものとして近
似できる。従って、R2 が式(28)の範囲内にあれ
ば、ΔRが10nm以下になり、良好な視野角特性を得
ることができる。
【数8】 さらに、式(29)の条件を満たせば、ΔRが5nm以
下になり、非常に良好な視野角特性を得ることができ
る。
【数9】
【0068】上記の説明ではR1 がR2 より大きいもの
としたが、これとは逆にR2 がR1より大きい場合に
は、n1 <n2 であれば視野角変化にともなうR1
(θ)の変化がR2 (θ)の変化を緩和し、リターデー
ションの視野角依存が減少する。この場合、n1 とn2
、および、R1 とR2 を入れ替えれば、それぞれのパ
ラメータの値に関しても上記の議論をそのまま適用する
ことができる。また、上記の説明では第1の位相板が正
の屈折率異方性をもち、第2の位相板が負の屈折率異方
性をもつものとしたが、これとは逆に第1の位相板が負
の屈折率異方性を、第2の位相板が正の屈折率異方性を
もつ場合でも、R1 がR2 より大きい場合にはn1 >n
2 、R1 がR2 より小さい場合にはn1 <n2 であれ
ば、上記の説明と同様にリターデーションの視野角依存
性が減少する。要するに、2枚の位相板で屈折率異方性
が逆符号になっており、リターデーションの大きい位相
板の屈折率が、リターデーションの小さい位相板の屈折
率より大きいことがポイントである。
【0069】なお、第1及び第2の位相板の主屈折率の
関係をも考慮すると、n1 <n2 である場合、第1の位
相板の主屈折率のうち大きい方が、第2の位相板の主屈
折率のうち小さい方よりさらに小さい値であるとき、よ
り視野角補償効果が働く。したがって、このような主屈
折率の条件を満たすような第1及び第2の位相板を使用
すれば、一層のリターデーションの視野角依存性が減少
し、視野角特性の向上効果が得られる。同様に、n1 >
n2 である場合には、第1の位相板の主屈折率のうち小
さい方が、第2の位相板の主屈折率のうち大きい方より
さらに大きい値をとれば、こちらもなお望ましい視野角
特性向上効果が得られる。
【0070】本実施形態の構成によれば、上記したよう
に液晶表示装置の視野角特性を良好にするものである
が、これによりバックライトから発せられた光のうち有
効に利用される成分が増えるので、光利用効率が向上す
るという効果もある。本実施形態の構成は、第1から第
5のいずれの実施形態の液晶表示装置と組み合わせても
その表示特性が改善されるが、特に、第5の実施形態に
示したようにコレステリック液晶のらせん軸方向に分布
をもたせて、円偏光分離特性の視野角特性を向上したも
のと組み合わせるのが、両者の良好な視野角特性をお互
いに生かす意味で望ましい結果を与えた。なお、本実施
形態の構成では、2枚の位相板を使用したけれども、本
発明は、これに限定されるものではなく、3枚以上の位
相板を使用する構成であってもよい。
【0071】(実施形態7)図17は本発明の第7の実
施形態の液晶表示装置の構成を示す断面図である。図に
おいて、第6の実施形態と同じ構成要素には同じ番号を
つけて説明を省略する。本実施形態の特徴は、第6の実
施形態では1軸性で複屈折の符号と屈折率が異なる2枚
の位相板13,14を用いたが、本実施形態では2枚の
位相板13A,14Aのうち少なくとも片方を2軸性と
することにより、円偏光を直線偏光に変換する位相板の
視野角依存性を解消あるいは緩和して、表示特性が良好
な液晶表示装置を得るものである。図18は、2枚の位
相板13A,14Aの主屈折率を図示したものである。
矢印の大きさが主屈折率の大きさを示している。第1の
位相板14Aではnx1がny1より大きくなってお
り、正面方向からの複屈折はnx1−ny1で正の値で
ある。第2の位相板13Aではnx1がny1より小さ
くなっており、正面方向からの複屈折はnx2−ny2
で負の値をとる。
【0072】第1の位相板14Aについてx方向に傾い
た方向θx に伝播する光を考えると、そのリターデーシ
ョンR1 (θx )は式(30)に示すものとなる。
【数10】 1軸異方性フィルム(nx1>ny=nz)の場合に
は、式(30)に1軸異方性の条件をいれ、前記式
(5)〜(15)の近似を行うと、式(30)は式(3
1)で近似される。この式(31)より、1軸異方性フ
ィルムの場合、θxが増大するとR1(θx)は減少す
る傾向にある。
【数11】
【0073】以下、nz1をny1より少し変化させた場
合を考える。式(30)においてθx1が増加すると、
平方根の中の第1項(nx12 ・cos2 θx)は減少
し、第2項(nz12 ・sin2 θx)は増加する。し
たがって、nx1が一定の場合、nz1が小さければ第
1項と第2項の和はより速く減少し、nz1が大きけれ
ば第1項と第2項の和は減少しにくくなる。式(30)
に示したように、θx方向にはR1(θx)が減少する
視野角依存性を示すので、nz1をny1より大きくし
て平方根の部分が減少しにくいようにすれば、1軸異方
性の場合に比べて視野角依存性を小さくすることができ
る。これとは逆に、nz1をny1より小さくすれば、
θx関する視野角依存性が大きくなる。なお、正面方向
から見た場合(θx=0)にはsinθx=0であるの
で、式(30)においてnz1の値は正面からリターデ
ーションには影響を及ぼさない。y方向にθyだけ傾い
た方向に伝播する光については、そのリターデーション
R1(θy)は式(32)に示すものとなる。
【数12】
【0074】1軸異方性フィルム(nx1>ny1=n
z1)の場合には、上式のかっこの中は定数となり、R
1(θy)は1/cosθy のファクタで増加してい
く。nz1がny1より大きい場合には、θyの増加とと
もに式(32)の平方根の中の数値が増大するが、平方
根の前に負号がついているので、これはR1(θy)の
値を減少させるものとして働く。即ち、nz1>ny1
とすれば1軸異方性の場合に比べてR1(θy)の視野
角依存性を緩和することができる。また、nz1<ny
1とすればR1(θy)の視野角依存性を1軸異方性の
場合より大きくすることができる。
【0075】従って、1軸性の位相板からnz1をny
1より小さくすると、x方向、y方向ともにリターデー
ションの視野角依存が増大し、nz1をny1より大き
くすると、x方向、y方向ともにリターデーションの視
野角依存が減少する。第2の位相板13Aは負の複屈折
を持っているので、上記に説明した正の複屈折の場合と
は逆に、nz2がny2より大きい場合にリターデーシ
ョンの視野角依存が増大し、nz2がny2より小さい
場合にリターデーションの視野角依存が減少する。
【0076】第6の実施形態でも説明したように、2枚
の位相板のうちリターデーションの絶対値が小さい方の
視野角依存が他方の視野角依存より大きければ、合成リ
ターデーションの視野角特性が良好なものになる。従っ
て、本実施形態では上記の検討に基づいて、表3及び表
4に示すように、少なくとも一方の位相板のnz の値を
ny の値とは異なるようにして、良好な視野角特性の液
晶表示装置を得ることができた。
【表3】
【表4】
【0077】上記表3は第1の位相板14Aのリターデ
ーションが第2の位相板13Aより大きい場合の、第1
及び第2の位相板14A,13Aの満たすべき条件を示
している。上記表4は第1の位相板14Aのリターデー
ションが第2の位相板13Aより小さい場合の、第1及
び第2の位相板14A,13Aの満たすべき条件を示し
ている。第1の位相板14Aのリターデーションが第2
の位相板13Aより大きい場合には、表3に示す条件a
〜dのいずれかが満たされていれば、第2の位相板13
Aの相対的な視野角依存が大きくなり、良好な視野角特
性の液晶表示装置を得ることができる。なお、表3の条
件aは、第1の位相板14Aが1軸異方性で、第2の位
相板13Aが2軸異方性の場合の条件を示しており、表
3の条件bは、第1の位相板14Aが2軸異方性で、第
2の位相板13Aが1軸異方性の場合の条件を示してい
る。表3の条件c,dは、第1及び第2の位相板14
A,13Aがともに2軸異方性である場合の条件を示し
ている。なお、nz 1がny1より小さい場合(表3の
条件dの場合)には第1の位相板14Aの視野角依存が
増大するので、第2の位相板13Aの視野角依存がこれ
を上回る必要があり、この場合の第2の位相板13Aの
条件が表3に示されている。
【0078】一方、第1の位相板14Aのリターデーシ
ョンが第2の位相板13Aより小さい場合には、表4に
示す条件a〜dのいずれかが満たされていれば、第1の
位相板14Aの相対的な視野角依存が大きくなり、良好
な視野角特性の液晶表示装置を得ることができる。な
お、表4の条件aは、第1の位相板14Aが2軸異方性
で、第2の位相板13Aが1軸異方性の場合の条件を示
しており、表4の条件bは、第1の位相板14Aが1軸
異方性で、第2の位相板13Aが2軸異方性の場合の条
件を示しており、表4の条件c,dは、第1及び第2の
位相板14A,13Aがともに2軸異方性である場合の
条件を示している。上記の説明では、第1の位相板14
Aが正の複屈折、第2の位相板13Aが負の複屈折を持
つものとしたが、これは逆でもかまわない。
【0079】本実施形態の構成も第6の実施形態の構成
と同様、液晶表示装置の視野角特性を良好にするととも
に、バックライトから発せられた光のうち有効に利用さ
れる成分が増えるので、光利用効率が向上するという効
果もある。また、本実施形態の構成は、第1から第5の
いずれの実施形態の液晶表示装置と組み合わせてもその
表示特性が改善されるが、特に、第5の実施形態に示し
たようにコレステリック液晶のらせん軸方向に分布をも
たせて、円偏光分離特性の視野角特性を向上したものと
組み合わせるのが、両者の良好な視野角特性をお互いに
生かす意味で望ましい結果を与えた。
【0080】さらに、本実施形態は、第6の実施形態と
比べて、2枚の位相板の屈折率を大幅に変える必要がな
いので位相板材料の選定が容易になったり、位相板の法
線方向の屈折率を大幅に増減する必要がないので、その
製造が容易になるという利点がある。なお、上記の第1
から第7の実施形態において、バックライトはいわゆる
エッジライト型のものでもかまわないし、直下型のもの
でもかまわない。また、表面や裏面に光拡散層を備えた
ものであっても、裏面に反射板をを備えたものであって
もかまわない。
【0081】なお、本実施形態の構成では、2枚の位相
板を使用したけれども、本発明は、これに限定されるも
のではなく、3枚以上の位相板を使用する構成であって
もよい。また、第1〜第7の実施形態では、光拡散素
子、コレステリック液晶層、位相板、液晶パネル、直線
偏光板などは、積層体とされていたけれども、本発明は
これに限定されるものではなく、これら光拡散素子、コ
レステリック液晶層などの液晶表示装置の構成要素は、
各々が積層体でなく個別単体として配置されていてもよ
く、また、いずれか複数の構成要素が積層体で、かつ、
残余の構成要素が個別単体として配置されていてもよ
い。また、第1〜第7の実施形態では、円偏光分離層と
してコレステリック液晶層を用いたが、本発明は、これ
に限定されるものではなく、例えば、らせん軸がねじれ
構造を有する構造となっている偏光体などであってもよ
い。
【0082】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、バック
ライトと円偏光分離層との間に光拡散素子を配置するこ
とにより、円偏光分離層に対して法線方向から入射する
光量が増加し、有効に偏光変換される光量が増えるの
で、バックライトの利用効率が増加する。また本発明に
よれば、らせん軸方向が面内で分布を持つコレステリッ
ク液晶層を用いたり、正負の複屈折を持ち屈折率の異な
る2枚の位相板を用いたり、あるいは、正負の面内複屈
折を持ち少なくとも一方の位相板において法線方向の屈
折率と面内の主屈折率との大小関係が視野角依存性を減
少するように定められた2枚の位相板を用いるなどする
ことにより、リターデーションの視野角変化を解消ある
いは大幅に低下させることができる。そのため、液晶表
示装置の視野角特性が良好になり、バックライト光の利
用効率が増加する。この結果、バックライト光の利用効
率が向上して明るい表示の液晶表示装置を得ることがで
き、また、良好な視野角特性の液晶表示装置を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置を示
す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学素子の動作を
示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光学素子の輝度特
性図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置を示
す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る第2の光学素子の
動作を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の輝
度特性図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の好
ましくない特性を示す輝度特性図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置を示
す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置を示
す断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係るコレステリック
液晶層の構造を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る液晶表示装置を
示す断面図である。
【図12】位相板の視野角依存性を説明するための斜視
図である。
【図13】位相板の主軸方向に傾いた方向から入射光し
た場合に屈折率異方性がcosθの2乗に比例して増加
する原理を説明するための図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る位相板の動作を
説明するための斜視図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る位相板のリター
デーション変化の視野角特性を示す特性図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る位相板の屈折率
とリターデーションの好ましい範囲を示す特性図であ
る。
【図17】本発明の第7実施形態に係る液晶表示装置を
示す断面図である。
【図18】本発明の第7実施形態に係る位相板の動作を
説明するための斜視図である。
【図19】従来例の液晶表示装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1:直線偏光板 2:液晶パネル 6:第2の直線偏光板 7:位相板 8,12:コレステリック液晶層 9:光拡散素子 10:バックライト 11:第2の光拡散素子 13,13A:第2の位相板 14,14A:第1の位相板

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バックライトと、 入射光の入射角度が法線に対して予め定められた拡散開
    始角度θp1未満のときには、入射光をその入射角度を
    維持したまま出射させ、入射光の入射角度が前記拡散開
    始角度θp1以上のときには、入射光を拡散して出射さ
    せる光拡散素子と、 右回り円偏光と左回り円偏光のうちの一方の円偏光を透
    過させ、他方の円偏光を反射させる円偏光分離層と、 円偏光を直線偏光に変換する位相板と、 液晶パネルと、 偏光表示を行うための直線偏光板と、を備え、バックラ
    イトと光拡散素子と円偏光分離層と位相板とがこの順序
    で液晶パネルの背面側に配置され、直線偏光板が液晶パ
    ネルの前面側に配置されていることを特徴とする液晶表
    示装置。
  2. 【請求項2】 前記拡散開始角度θp1が15度以上3
    5度以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表
    示装置。
  3. 【請求項3】 前記拡散開始角度θp1が20度以上3
    0度以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表
    示装置。
  4. 【請求項4】 前記位相板と前記液晶パネルの間に、第
    2の直線偏光板が配置されていることを特徴とする請求
    項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 前記液晶パネルの前面側か、又は前記位
    相板と前記液晶パネル間のいずれか一方に、第2の光拡
    散素子が配置され、この第2の光拡散素子は、入射光の
    入射角度が法線に対して予め定められた拡散終了角度θ
    p3以未満のときには、入射光を拡散して出射させ、入
    射光の入射角度が前記拡散終了角度θp3以上のときに
    は、入射光をその入射角度を維持したまま出射させるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の液晶表示装置。
  6. 【請求項6】 前記拡散終了角度θp3と前記拡散開始
    角度θp1とが、θp3≧θp1−5とされていること
    を特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 前記拡散終了角度θp3と前記拡散開始
    角度θp1とが、θp3≧θp1とされていることを特
    徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 前記円偏光分離層はコレステリック液晶
    層であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいず
    れかに記載の液晶表示装置。
  9. 【請求項9】 バックライトと、右回り円偏光と左回り
    円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ他方の円偏光を
    反射させるコレステリック液晶層と、円偏光を直線偏光
    に変換する位相板と、液晶パネルと、偏光表示を行うた
    めの直線偏光板とを備え、バックライトとコレステリッ
    ク液晶層と位相板とがこの順序で液晶パネルの背面側に
    配置され、直線偏光板が液晶パネルの前面側に配置さ
    れ、 コレステリック液晶層は、らせん軸方向が選択反射波長
    の角度依存性を平均化するように面内で所定の分布を持
    つことを特徴とする液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 前記位相板と前記液晶パネルの間に、
    第2の直線偏光板が配置されていることを特徴とする請
    求項9記載の液晶表示装置。
  11. 【請求項11】 バックライトと、右回り円偏光と左回
    り円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ他方の円偏光
    を反射させる円偏光分離層と、円偏光を直線偏光に変換
    する第1及び第2の位相板と、液晶パネルと、偏光表示
    を行うための直線偏光板とを備え、バックライトと円偏
    光分離層と第1及び第2の位相板とがこの順序で液晶パ
    ネルの背面側に配置され、直線偏光板が液晶パネルの前
    面側に配置され、 第1及び第2の位相板は1軸異方性を有し、かつ、第1
    の位相板の屈折率異方性と第2の位相板の屈折率異方性
    が逆符号とされ、各第1及び第2の位相板の常屈折率と
    異常屈折率の平均値を各第1及び第2の位相板の屈折率
    とした場合において、第1の位相板と第2の位相板のう
    ちのリターデーションの絶対値が大きい方の位相板の屈
    折率が、他方の位相板の屈折率より大とされていること
    を特徴とする液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 前記第1の位相板と前記第2の位相板
    の主軸がほぼ平行であるであることを特徴とする請求項
    11記載の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 前記円偏光分離層はコレステリック液
    晶層であることを特徴とする請求項11又は請求項12
    に記載の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】 前記コレステリック液晶層は、らせん
    軸方向が選択反射波長の角度依存性を平均化するように
    面内で所定の分布を持つことを特徴とする請求項13記
    載の液晶表示装置。
  15. 【請求項15】 バックライトと、右回り円偏光と左回
    り円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ他方の円偏光
    を反射させる円偏光分離層と、円偏光を直線偏光に変換
    する第1及び第2の位相板と、液晶パネルと、偏光表示
    を行うための直線偏光板とを備え、バックライトと円偏
    光分離層と第1及び第2の位相板とがこの順序で液晶パ
    ネルの背面側に配置され、直線偏光板が液晶パネルの前
    面側に配置され、 第1及び第2の位相板のうちの少なくともいずれか一方
    の位相板は2軸異方性を有し、かつ、第1の位相板の面
    内屈折率異方性と第2の位相板の面内屈折率異方性が逆
    符号とされ、更に、第1の位相板と第2の位相板のうち
    のリターデーションの絶対値が小さい方の位相板に関す
    るリターデーションの視野角依存性が、他方の位相板に
    関するリターデーションの視野角依存性より大きくなる
    ように、前記2軸異方性を有する位相板の法線方向の主
    屈折率と面内の主屈折率との大小関係が定められている
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  16. 【請求項16】 前記円偏光分離層がコレステリック液
    晶層であることを特徴とする請求項15に記載の液晶表
    示装置。
  17. 【請求項17】 前記コレステリック液晶層は、らせん
    軸方向が選択反射波長の角度依存性を平均化するように
    面内で所定の分布を持つことを特徴とする請求項16記
    載の液晶表示装置。
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