JP3204301U7 - 煙突 - Google Patents
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Description
本考案は煙突に係り、建物内に設置される非常用発電機を駆動するガスタービンエンジンやディーゼルエンジンの排ガス、ボイラーの排ガス或いは産業廃棄物焼却炉の排ガスを建物外に導いて放散させるに好適な煙突に関する。
従来、建物内に設置される非常用発電機を駆動するガスタービンエンジンやディーゼルエンジンの排ガス、ボイラーの排ガス或いは産業廃棄物焼却炉の排ガスを建物外に導いて放散させる煙突として、例えば特許文献1に記載のものが提供されている。
前記特許文献1に記載の煙突は、投影平面形状が四角形閉断面の四角筒形耐熱壁を備える四角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層することで構築されており、四角筒形耐熱壁は、4つのケイ酸カルシウム板の幅方向両端部どうしを、互いに係合して突き合わせる係合・突き合わせ構造により直角に組み合わせて四角筒形に構成されている。
この種の煙突の四角筒形耐熱壁は、高剛性と高断熱性とを有した構成とする必要がある。ところが、従来の四角筒形耐熱壁は、剛性は高いものの断熱性が低いケイ酸カルシウム板からなる硬質断熱材の単一構造体により構成され、この単一構造体が排ガスによる250℃~650℃による高い負荷熱を負担することとなる。このため、四角筒形耐熱壁の表面温度が過剰に上昇し、これに伴って四角筒形煙突ユニットおよび煙突の表面温度が過剰に上昇して表面ロス(放射熱損失)が増大する。その結果、煙突内で排ガス温度が低下して煙突の排ガス吸い上げ能力を低下させたり、四角筒形煙突ユニットの表面に接する室内の温度が上昇して室内の温度管理に支障をきたしたり、さらには、誤って煙突の表面に触れると火傷するおそれを有する。
そこで、従来は、ケイ酸カルシウム板の厚みを厚くして断熱性能を高める手立てにより、四角筒形煙突ユニットの表面温度の過剰な上昇による放射熱損失や、煙突の排ガス吸い上げ能力の低下および室内温度の上昇などを抑えるようにしている。
ところで、前記煙突において、ケイ酸カルシウム板が排ガスに晒されると、この板は熱膨張により内向き(煙突の中心向き)に撓曲し、逆に、排ガス発生源の稼働停止時には、熱収縮により外向き(煙突の反中心向き)に撓曲する。ところが、撓曲に抗する力は厚みが厚くなるにつれ大きくなるので、熱膨張および熱収縮に伴う撓曲が妨げられる。その結果、ストレスが大きくなって亀甲状ヘアクラックが生じ、その経時進行により破壊する。このため、ケイ酸カルシウム板の厚みの増大に依存して断熱性能を高めている四角筒形耐熱壁は、亀甲状ヘアクラックによる破壊が顕著となり、これに追従して四角筒形煙突ユニットおよび煙突が破壊するおそれを有する。
一方、四角筒形耐熱壁に流入した雨水の一部や、冬季の寒冷地における煙突の運休時に四角筒形耐熱壁の内面に発生した結露水などの水分の一部は、ケイ酸カルシウム板に含まれる。水分を含んでいるケイ酸カルシウム板が排ガスに晒されると、水分が沸騰して蒸気圧が上昇する。ここで、ケイ酸カルシウム板の厚みが厚いと、水分の含み量が多くなって多量の水が沸騰する。しかも、厚みが増すにつれて蒸気の噴出抵抗が大きくなる。よって、蒸気圧は爆裂基準値を超えるレベルまで急激に上昇して水蒸気爆裂する。このため、ケイ酸カルシウム板の厚みの増大に依存して断熱性能を高めている四角筒形耐熱壁は、水蒸気爆裂が顕著となり、これに追従して四角筒形煙突ユニットおよび煙突が水蒸気爆裂するおそれを有する。
他方、ケイ酸カルシウム板の厚みが厚くなると、四角筒形耐熱壁および四角筒形煙突ユニットの重量が重くなるので、煙突構築施工の作業性が悪くなり、煙突構築コストが高くなる。また、四角筒形耐熱壁および各四角筒形煙突ユニットの重量増大に相当して、建物内の躯体への負荷荷重が高くなって躯体に悪影響をおよぼす欠点もある。さらには、前述の係合・突き合わせ構造により4つのケイ酸カルシウム板が直角に組み合わされた構成の四角筒形耐熱壁では、係合・突き合わせ構造の合せ面に形成される小さな隙間から排ガスが漏出して、室内環境に悪影響をおよぼすおそれもある。
本考案は、上記の実情に鑑みてなされたもので、角筒形耐熱壁の断熱効果を高めて、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などを抑制するとともに、亀甲状ヘアクラックによる破壊或いは水蒸気爆裂が防止できるように構成した煙突の提供を目的とするものである。
前記目的を達成するために、本考案に係る煙突は、
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は軟質断熱材と、この 軟質断熱材の厚み方向の片面である内面に互いに隣接して配置した硬質断熱材と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して設置されて軟質断熱材を取り囲む鋼板との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなることを特徴とするものである。
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は軟質断熱材と、この 軟質断熱材の厚み方向の片面である内面に互いに隣接して配置した硬質断熱材と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して設置されて軟質断熱材を取り囲む鋼板との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなることを特徴とするものである。
前記構成の角筒形耐熱壁は、硬質断熱材と鋼板との協働により高い剛性が得られるとともに、繊維質断熱材からなる軟質断熱材により高い断熱効果が得られる。これにより、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるとともに、硬質断熱材の厚みを薄く設定することが許容される。また、 この構成の角筒形耐熱壁では、小口径煙突の構築に好適である。さらには、4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成されていることで、合せ面に小さな隙間が形成されるものの、この隙間は、軟質断熱材である繊維質断熱材の繊維質成分の侵入により塞がれる。
硬質断熱材は、その厚みが薄くなると熱膨張および熱収縮に伴う撓曲に抗する力が小さくなって、熱膨張および熱収縮に伴って撓曲し易くなりストレスは大幅に削減される。その結果、角筒形耐熱壁の亀甲状ヘアクラックによる破壊が防止され、角筒形煙突ユニットおよび煙突の破壊も防止される。
一方、厚みの薄い硬質断熱材は水分の含み量が少ないので、少量の水が沸騰することとなる上、厚みが薄くなると蒸気の噴出抵抗が小さくなる。このため、蒸気圧は爆裂基準値またはその付近のレベルまで上昇しなくなる。その結果、角筒形耐熱壁の水蒸気爆裂が防止され、角筒形煙突ユニットおよび煙突の水蒸気爆裂も防止される。
他方、硬質断熱材の厚みの削減に相当して角筒形耐熱壁および角筒形煙突ユニットの重量が軽減されるので、取り扱いが容易となり、煙突構築施工の作業性がよくなって、煙突の構築コストを削減できる。また、角筒形耐熱壁および角筒形煙突ユニットの重量軽減に相当して、建物内の躯体への負荷荷重が低くなり、建物の躯体におよぶ悪影響が緩和される。
また、本考案に係る煙突は、
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向の片面である内周に互いに隣接して配置した鋼板と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して設置されて軟質断熱材を取り囲む硬質断熱材との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、
前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなることを特徴とするものであり、この考案によっても、上記考案と同様の作用効果を奏することができる。
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向の片面である内周に互いに隣接して配置した鋼板と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して設置されて軟質断熱材を取り囲む硬質断熱材との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、
前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなることを特徴とするものであり、この考案によっても、上記考案と同様の作用効果を奏することができる。
また、本考案に係る煙突は、
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は、硬質断熱材と軟質断熱材とを、厚み方向で互いに隣接して配置した複合構造体により構成され、且つ、
前記角筒形耐熱壁は、前記軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向両面に互いに隣接して配置した一対の前記硬質断熱材との複合構造体により構成されているものである。
投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は、硬質断熱材と軟質断熱材とを、厚み方向で互いに隣接して配置した複合構造体により構成され、且つ、
前記角筒形耐熱壁は、前記軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向両面に互いに隣接して配置した一対の前記硬質断熱材との複合構造体により構成されているものである。
この角筒形耐熱壁は、一対の硬質断熱材により高い剛性が得られるとともに、軟質断熱材により高い断熱効果が得られる。よって、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるとともに、硬質断熱材の厚みを薄く設定することが許容されて、亀甲状ヘアクラックによる破壊や水蒸気爆裂が有効に防止される。また、この構成の角筒形耐熱壁では、大口径煙突の構築に好適である。そして、この考案では、前記一対の硬質断熱材はケイ酸カルシウム板からなると共に、前記一対の硬質断熱材の一方は、第1硬質断熱材として4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記一対の硬質断熱材の他方は、第2硬質断熱材として4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなる、としても良く、この場合、繊維質断熱材からなる軟質断熱材により高い断熱効果が得られる。このため、
放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるばかりか、ケイ酸カルシウム板からなる硬質断熱材の厚みを薄く設定することが許容される。また、第1硬質断熱材および第2硬質断熱材がそれぞれ4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成されていることで、合せ面に小さな隙間が形成されるものの、この隙間は、軟質断熱材である繊維質断熱材の繊維質成分の侵入により塞がれる。
上記各考案において、前記硬質断熱材の厚みは、30mm~50mmの範囲、好ましくは35mmに設定されている。これによると、亀甲状ヘアクラックによる破壊や水蒸気爆裂を防止できる。なお、厚みが30mm未満であると、硬質断熱材の剛性が不足して、高剛性煙突の構築が妨げられ、厚みが50mmを超えると、亀甲状ヘアクラックおよび水蒸気爆裂の誘発率が飛躍的に高くなる。
本考案に係る煙突によれば、角筒形耐熱壁が硬質断熱材と軟質断熱材との複合構造体により構成されているので、軟質断熱材により高い断熱効果が得られる。これにより、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるとともに、硬質断熱材の厚みを薄く設定することが許容されて、亀甲状ヘアクラックによる破壊或いは水蒸気爆裂を防止することが可能となる。
以下、本考案に係る煙突の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。図1(A)は本考案に係る煙突の第1実施形態の一部を示す正面図、図1(B)は本考案に係る煙突の第2および第3実施形態の一部を示す正面図、図2は本考案に係る煙突に適用される角筒形耐熱壁の第1実施形態を拡大して示す横断平面図、図3は本考案に係る煙突に適用される角筒形耐熱壁の第2実施形態を拡大して示す横断平面図、図4は本考案に係る煙突に適用される角筒形耐熱壁の第3実施形態を拡大して示す横断平面図である。
図1(A)および図2において、煙突1は、投影平面形状が長方形閉断面の長方形筒形耐熱壁(以下の説明では、角筒形耐熱壁という)2を備える長方形筒形煙突ユニット(以下の説明では、角筒形煙突ユニットという)の複数1A,1B,1Cを、突き合わせ構造により、所定の高さまで上下に積層するとともに、直上と直下で互いに対向する角筒形煙突ユニット1Aと1Bおよび1Bと1Cを接続手段4により接続して構築される。煙突1は、図示を省略した建物の躯体内に設けた吹き抜けに鉛直姿勢で設置され、その上端部分を建物の屋上などに臨出させ、下端部には、建物の内部に設置されている非常用発電機を駆動するガスタービンエンジンやディーゼルエンジン、ボイラーおよび産業廃棄物焼却炉などの排ガス発生源の排気ダクトが接続される。
接続手段4は、各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cにおける下端部外周に巻回して溶接により固着した山形鋼からなる下側フランジ4a(但し、角筒形煙突ユニット1Cの下端部および該下端部外周に巻回固着した下側フランジは図示されていない)と、各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cにおける上端部外周に巻回して溶接により固着した山形鋼からなる上側フランジ4b(但し、角筒形煙突ユニット1Aの上端部および該上端部外周に巻回固着した上側フランジは図示されていない)および周方向等間隔に配置されて下側フランジ4aと上側フランジ4bとを互いに締結するボルト・ナットからなる複数の鉛直締結部材4cを備えている。
角筒形耐熱壁2は、硬質断熱材20と、軟質断熱材21および鋼板22を厚み方向で互いに隣接して配置した複合構造体により構成されている。本第1実施形態では、軟質断熱材21と、この軟質断熱材21の内面に互いに隣接して配置した硬質断熱材20と、軟質断熱材21の外周に互いに隣接して配置されて軟質断熱材21をタイトに取り囲む鋼板22との複合構造体により角筒形耐熱壁2が構成されており、この角筒形耐熱壁2が各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cに備わっている。
硬質断熱材20は、4つのケイ酸カルシウム板20a,20b,20c,20dからなり、各カルシウム板20a~20dの幅方向両端部どうしを、互いに係合して突き合わせた係合・突き合わせ構造5で直角に組み合わせて角筒形に構成されており、各カルシウム板20a~20dの厚み、つまり、硬質断熱材20の厚みtは、30mm~50mmの範囲、好ましくは35mmに設定されている。
軟質断熱材21は、断熱効果の高いロックウール,ガラス繊維,セラミックファイバーなどの少なくとも1つからなる繊維質断熱材により構成されていて、その厚みt1は、排ガス温度に対応して適正な大きさに設定されている。例えば、排ガス温度が250℃ではt1=25mm、500℃ではt1=50mm、600℃ではt1=75mm、650℃ではt1=100mmに設定される。また、前記鋼板22は、板厚2.6mm~9mmの亜鉛メッキ鋼板からなる。
前記構成の角筒形耐熱壁2は、構造が簡素なものでありながら、硬質断熱材20と鋼板22との協働により高い剛性が得られるとともに、軟質断熱材21により高い断熱効果が得られる。よって、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるばかりか、硬質断熱材20の厚みtを薄く設定することが許容されて、亀甲状ヘアクラックによる破壊或いは水蒸気爆裂を防止することができるので、各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cおよび煙突1の破壊或いは水蒸気爆裂を防止することが可能となる。
硬質断熱材20の厚みtの削減に相当して角筒形耐熱壁2および角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cの重量が軽減されるので、取り扱いが容易となり、煙突構築施工の作業性がよくなって、煙突1の構築コストを削減できる。また、角筒形耐熱壁2および角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cの重量軽減に相当して、建物内の躯体への負荷荷重が低くなり、建物の躯体におよぶ悪影響が緩和される。さらには、係合・突き合わせ構造5により4つのケイ酸カルシウム板20a~20dの幅方向両端部どうしが直角に組み合わされていることで、合せ面に小さな隙間(図示省略)が形成されるものの、この隙間は、軟質断熱材21の繊維質成分の進入により塞がれることと、軟質断熱材21の外周は鋼板22によりタイトに取り囲まれていることとにより、排ガスが漏出して室内環境に悪影響をおよぼすことはない。なお、当該第1実施形態に係る角筒形耐熱壁2が備わる角筒形煙突ユニットの複数1A,1B,1Cを、上下に積層して構築した煙突1は、一辺の長さが500mm未満の小口径煙突の構築に好適である。
つぎに、本考案に係る煙突1に適用される角筒形耐熱壁2の第2実施形態を図3に基づいて説明する。なお、図2の第1実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して、重複する構造の詳しい説明は省略する。
図1(B)および図3において、角筒形耐熱壁2は、硬質断熱材20と、軟質断熱材21および鋼板22を厚み方向で互いに隣接して配置した複合構造体により構成されており、本第2実施形態では、軟質断熱材21と、この軟質断熱材21の内周に互いに隣接して配置した鋼板22と、軟質断熱材21の外周に互いに隣接して配置されて軟質断熱材21を取り囲む硬質断熱材20との複合構造体により角筒形耐熱壁2が構成され、この角筒形耐熱壁2が各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cに備わっている。
図1(B)および図3において、角筒形耐熱壁2は、硬質断熱材20と、軟質断熱材21および鋼板22を厚み方向で互いに隣接して配置した複合構造体により構成されており、本第2実施形態では、軟質断熱材21と、この軟質断熱材21の内周に互いに隣接して配置した鋼板22と、軟質断熱材21の外周に互いに隣接して配置されて軟質断熱材21を取り囲む硬質断熱材20との複合構造体により角筒形耐熱壁2が構成され、この角筒形耐熱壁2が各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cに備わっている。
鋼板22はステンレス鋼板からなり、板厚が0.6mm~1.5mmの4つの基板22a,22b,22c,22dからなり、図3において上下で互いに対向する基板22a,22bそれぞれの幅方向両端部を相手側に向けて直角に折曲して形成した鉛直な合せ代22xの外面に、図3において左右で互いに対向する基板22c,22dそれぞれの幅方向両端部(図3では、上下方向両端部)を重ね合せることにより角筒形に構成されている。
硬質断熱材20は、4つのケイ酸カルシウム板20a,20b,20c,20dからなり、図3において上下で互いに対向するケイ酸カルシウム板20a,20bそれぞれの幅方向両端面を、図3において左右で互いに対向するケイ酸カルシウム板20c,20dそれぞれの幅方向両端部内面(図3では、上下方向両端部内面)に当接させることにより角筒形に構成されており、この硬質断熱材20の4つの隅角部外面に内接して、山形鋼からなるコーナ材6が鉛直に設置され、コーナ材6の外面には、山形鋼からなる4つの横架材7が上下の間隔を隔てて水平に架け渡して固着されている。また、ステンレス製のボルト・ナットからなる複数の水平な締結部材8(但し、図1(B)には図示されていない)により、左右の横架材7と、基板22c,22dそれぞれの幅方向両端部および当該幅方向両端部の内面に重なる基板22a,22bそれぞれの合せ代22xとを互いに連結・締結して、硬質断熱材20とステンレス鋼板22とで軟質断熱材21をサンドイッチしている。
前記構成の角筒形耐熱壁2は、構造が簡素なものでありながら、硬質断熱材20,鋼板22,コーナ材6および複数の水平な締結部材8の協働により高い剛性が得られるとともに、軟質断熱材21により高い断熱効果が得られる。よって、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるばかりか、硬質断熱材20の厚みtを薄く設定することが許容されて、亀甲状ヘアクラックによる破壊或いは水蒸気爆裂を防止することができるので、各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cおよび煙突1の破壊或いは水蒸気爆裂を防止することが可能となり、さらには、図2で説明した第1実施形態の角筒形耐熱壁2と同様の作用・効果を奏する。なお、当該第2実施形態に係る角筒形耐熱壁2が備わる角筒形煙突ユニットの複数1A,1B,1Cを、上下に積層して構築した煙突1も、一辺の長さが500mm未満の小口径煙突の構築に好適である。
つぎに、本考案に係る煙突1に適用される角筒形耐熱壁2の第3実施形態を図4に基づいて説明する。なお、前記図2,図3の第1,第2実施形態と同一または相当部分には同一符号を付して、重複構造の詳しい説明は省略する。
図1(B)および図4において、角筒形耐熱壁2は、軟質断熱材21と、この軟質断熱材21の厚み方向両面に互いに隣接して配置した第1,第2硬質断熱材20A,20Bとの複合構造体により構成されており、この角筒形耐熱壁2が各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cに備わっている。
図1(B)および図4において、角筒形耐熱壁2は、軟質断熱材21と、この軟質断熱材21の厚み方向両面に互いに隣接して配置した第1,第2硬質断熱材20A,20Bとの複合構造体により構成されており、この角筒形耐熱壁2が各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cに備わっている。
第1硬質断熱材20Aは、4つのケイ酸カルシウム板20a,20b,20c,20dからなり、図4において上下で互いに対向するケイ酸カルシウム板20a,20bそれぞれの幅方向両端部下面に、図4において左右で互いに対向するケイ酸カルシウム板20c,20dそれぞれの幅方向両端面(図4では、上下方向両端面)を当接させることにより角筒形に構成されており、第2硬質断熱材20Bは、4つのケイ酸カルシウム板20a´,20b´,20c´,20d´からなり、図4において上下で互いに対向するケイ酸カルシウム板20a´,20b´それぞれの幅方向両端面を、図4において左右で互いに対向するケイ酸カルシウム板20c´,20d´それぞれの幅方向両端部内面(図4では、上下方向両端部内面)に当接させることによって角筒形に構成されている。
第1硬質断熱材20Aの4つの隅角部内面に外接して小さな山形鋼からなるコーナ材9が鉛直に設置されるとともに、ケイ酸カルシウム板20a,20bの幅方向中央部内面に外接して小さな山形鋼からなる補強材10が鉛直に設置されており、第2硬質断熱材20Bの4つの隅角部外面に内接して、山形鋼からなるコーナ材6Aが鉛直に設置され、コーナ材6Aの外面には、山形鋼からなる4つの横架材7Aが上下の間隔を隔てて水平に架け渡して固着されている。
また、ステンレス製のボルト・ナットからなる複数の水平な締結部材8A(但し、図1(B)には図示されていない)により、左右の横架材7Aとコーナ材9とを互いに連結・締結するとともに、前記複数の水平な締結部材8Aにより、上下の横架材7Aと補強材10とを互いに連結・締結して、第1,第2硬質断熱材20A,20Bにより軟質断熱材21をサンドイッチしている。
前記構成の角筒形耐熱壁2は、構造が簡素なものでありながら、第1,第2硬質断熱材20A,20B,コーナ材6A,コーナ材9,補強材10および複数の水平な締結部材8Aの協働により高い剛性が得られるとともに、軟質断熱材21により高い断熱効果が得られる。よって、放射熱損失の増大や排ガス吸い上げ能力の低下などが抑制されるばかりか、第1,第2硬質断熱材20A,20Bの厚みtを薄く設定することが許容されて、亀甲状ヘアクラックによる破壊或いは水蒸気爆裂を防止することができるので、各角筒形煙突ユニット1A,1B,1Cおよび煙突1の破壊或いは水蒸気爆裂を防止することが可能となり、さらには、図2,図3で説明した第1,第2実施形態の角筒形耐熱壁2と同様の作用・効果を奏する。なお、当該第3実施形態に係る角筒形耐熱壁2が備わる角筒形煙突ユニットの複数1A,1B,1Cを、上下に積層して構築した煙突1は、一辺の長さが500mm以上の大口径煙突の構築に好適である。
大口径煙突の構築に適用される角筒形耐熱壁2において、各辺の水平方向の長さが1000mmを超えた場合、その長さに相当する幅広の1枚のケイ酸カルシウム板20a~20d、20a´~20d´により各辺を構成すると、熱膨張および熱収縮に伴う撓曲が過剰になって、角筒形耐熱壁2の形態が損なわれるので、幅寸法が1000mm以内のケイ酸カルシウム板20a~20d、20a´~20d´の継ぎ足しにより補うことで各辺の水平方向の長さを1000mm超にすることが望ましい。
前記各実施形態では、投影平面形状が長方形閉断面の長方形筒形耐熱壁2について説明しているが、正方形、三角形、台形など様々な角形投影平面形状により角筒形耐熱壁2を構成してもよい。
本考案に係る煙突1は、前記実施形態のみに限定されるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲であれば、構造変形が可能である。
本考案の煙突は、非常用発電機を駆動するガスタービンエンジンやディーゼルエンジンの排ガス,ボイラーの排ガス或いは産業廃棄物焼却炉の排ガスなどを屋外に放散させる煙突として有用である。
Claims (5)
- 投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向の片面である内面に互いに隣接して配置した硬質断熱材と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して配置されて軟質断熱材を取り囲む鋼板との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材から なることを特徴とする煙突。 - 投影平面形状が角形閉断面の角筒形耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は、軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向の片面である内周に互いに隣接して配置した鋼板と、軟質断熱材の厚み方向の残る片面である外周に互いに隣接して配置されて軟質断熱材を取り囲む硬質断熱材との複合構造体により構成され、
前記硬質断熱材は4つのケイ酸カルシウム板からなると共に、前記4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなることを特徴とする煙突。 - 投影平面形状が角形閉断面の角筒型耐熱壁を備える角筒形煙突ユニットの複数を、上下に積層して構築した煙突において、
前記角筒形耐熱壁は、硬質断熱材と、軟質断熱材とを、厚み方向で互いに隣接して設置した複合構造体により構成され、且つ、
前記角筒形断熱壁は、前記軟質断熱材と、この軟質断熱材の厚み方向両面に互いに隣接して配置した一対の前記硬質断熱材との複合構造体により構成されている煙突。 - 請求項3に記載した煙突において、
前記一対の硬質断熱材はケイ酸カルシウム板からなると共に、前記一対の硬質断熱材の一方は、第1硬質断熱材として4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記一対の硬質断熱材の他方は、第2硬質断熱材として4つのケイ酸カルシウム板により角筒形に構成され、前記軟質断熱材は繊維質断熱材からなる煙突。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した煙突において
前記硬質断熱材の厚みは、30mm~50mmの範囲、好ましくは35mmに設定されている煙突。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016001070U JP3204301U7 (ja) | 2016-03-09 | 煙突 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016001070U JP3204301U7 (ja) | 2016-03-09 | 煙突 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3204301U JP3204301U (ja) | 2016-05-26 |
JP3204301U7 true JP3204301U7 (ja) | 2022-02-22 |
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