JP6485079B2 - 煙道の外装体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、高温の排ガスを送る煙道の外装体構造に関する。
例えば、発電所のボイラーで発生して脱硝された排ガスは、煙道によって煙突まで導かれる。すなわち、図6に示すように、発電所の各発電ユニットで脱硝された排ガスは、煙道110を通って、電気集じん装置101と排煙脱硫装置102を経て煙突103に導かれる。また、電気集じん装置101と排煙脱硫装置102との間を連結する煙道110には、排ガスの誘引通風機121が設置され、排煙脱硫装置102と煙突103との間を連結する煙道110には、排ガスの脱硫通風機122が設置されている。
このような煙道110は、二重構造となっている。すなわち、図7に示すように、煙道110は、高温の排ガスが流通する煙道ケーシング111と、この煙道ケーシング111を囲むように配設されている外装体112と、断熱体113とを備えている。この断熱体113は、煙道ケーシング111と外装体112との間の空間に設けられた断熱材・保温材であり、高温の排ガスが流通する煙道ケーシング111を断熱するものである(例えば、特許文献1参照。)。
また、外装体112は、平板状の外装平板が複数接続されて構成され、煙道110が曲がる角部には、外装コーナー板が配設されている。すなわち、図8に示すように、外装コーナー板131は、断面がL字状で、煙道ケーシング111の角部111aに対向する(沿うように)配置され、その両端部に外装平板132が配置されている。そして、外装コーナー板131の端部と外装平板132の端部とが、ビス133で煙道ケーシング111に接続・固定(共締め)されている。
特開2009−210095号公報
ところで、煙道110は、ボイラーの起動および停止に伴う温度変化が激しく、温度変化によって煙道ケーシング111が頻繁に熱伸縮する。そして、例えば、煙道ケーシング111が伸びると、図9に示すように、ビス133に横方向の異常な外力(せん断応力)が作用し、このような外力が繰り返し作用することで、ビス133が損傷・破損する場合がある。さらには、ビス133の損傷・破損によって、外装コーナー板131が脱落したり外装平板132が損傷したりする場合があった。
そして、このような脱落や損傷などが発生すると、外装コーナー板131や外装平板132などを修理しなければならず、費用と労力を要するばかりでなく、外装コーナー板131の脱落などによって災害が発生するおそれがある。さらには、損傷個所などから雨水が侵入することで、断熱体113の劣化や煙道ケーシング111の腐食などが発生する場合がある。
そこでこの発明は、脱落や損傷を防止可能な煙道の外装体構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ボイラーからの排ガスが流通する煙道ケーシングの外周に断熱体が配設され、該断熱体を覆うように外装体が配設された、煙道の外装体構造であって、前記外装体は、外装コーナー板と外装平板とを備え、前記排ガスの流路が曲がる前記煙道ケーシングの角部に、前記煙道ケーシングが熱伸縮する方向に変形自在な外装コーナー板が、前記角部に対向して配置され、該外装コーナー板の両端側に前記煙道ケーシングの直線部に沿った外装平板が配置され、前記外装コーナー板の端部と前記外装平板の端部とが前記煙道ケーシングに接続されている、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の煙道の外装体構造において、前記外装コーナー板は、断面形状が円弧状に形成されていることで変形自在となっている、ことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、煙道ケーシングの角部に、煙道ケーシングが熱伸縮する方向に変形自在な外装コーナー板が配設されている。このため、ボイラーの起動、停止に伴う温度変化によって煙道ケーシングが熱伸縮しても、この熱伸縮に追従して外装コーナー板が変形するため、外装コーナー板の端部と煙道ケーシングとの接続部(ビスやボルト等)に異常な外力・応力が作用しない。この結果、接続部の損傷・破損による外装コーナー板の脱落や外装平板の損傷などを防止することが可能となる。しかも、煙道ケーシングの角部に変形自在な外装コーナー板を配設するだけでよいため、簡易かつ安価に構成することが可能となる。
請求項2の発明によれば、外装コーナー板の断面形状が円弧状に形成されているだけの単純な構成で、外装コーナー板が変形自在となっているため、より簡易かつ安価に構成することが可能となる。
この発明の実施の形態に係る煙道の外回りの角部の外装体構造を示す断面図である。 図1の外装体構造において、煙道ケーシングが熱膨張した状態を示す断面図である。 図1の外装体構造が適用される煙道を示す平面図である。 図1の外装体構造を示す側面図である。 この発明の実施の形態に係る煙道の内回りの角部の外装体構造を示す断面図である。 この発明に係る煙道の周辺設備を示す図である。 図6の煙道を示す断面図である。 従来の煙道の外装体構造を示す断面図である。 図8の外装体構造において、煙道ケーシングが熱膨張した状態を示す断面図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1〜図4は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る煙道の外装体構造1を示す水平断面図である。この外装体構造1は、ボイラーからの排ガスが流通する煙道ケーシング2の外周に断熱体3が配設され、該断熱体3を覆うように外装体4が配設された煙道10の外装体構造である。ここで、平面上において煙道10の経路が、図3に示すように、L字状に直角に曲がっている場合について説明し、図1、図2および図4の外装体構造1は、煙道10の外回りの角部(外角)10Aにおける外装体4の構造を示す。また、煙道ケーシング2は、断面が四角い筒状となっている。
この外装体構造1は、外装体4が外装コーナー板5と外装平板6とを備え、排ガスの流路が曲がる煙道ケーシング2の角部(外角)2aに、煙道ケーシング2が熱伸縮する方向D1に変形自在な外装コーナー板5が、角部2aに対向して配置され、該外装コーナー板5の両端側に煙道ケーシング2の直線部2bに沿った外装平板6が配置され、外装コーナー板5の端部と外装平板6の端部とが煙道ケーシング2に接続されており、また、外装コーナー板3は、断面形状が円弧状に形成されていることで変形自在となっている。
具体的には、ボイラーからの高温の排ガスが流通する煙道ケーシング2は、直線状に延びる直線部2bが、ボイラーの起動および停止に伴う温度変化によって、直線部2bが伸びる方向D1に熱伸縮する。この煙道ケーシング2と、煙道ケーシング2を囲むように配設された外装体4と、断熱体3とによって煙道10が構成されている。ここで、断熱体3は、煙道ケーシング2と外装体4との間の空間に設けられた断熱材・保温材であり、高温の排ガスが流通する煙道ケーシング2を断熱・保温するものである。また、外装コーナー板5と煙道ケーシング2との間の断熱体3は、図示を省略している。
外装体4は、外装コーナー板5と外装平板6とを備え、外装平板6は、所定の強度を有する平板材(例えば、鋼板)で構成され、煙道ケーシング2の直線部2bに対向して配設されている。すなわち、所定の大きさ・面積の外装平板6が複数接続・連結されて、煙道ケーシング2の直線部2bを覆うように配設されている。この際、煙道ケーシング2の直線部2bの外面に、所定の間隔で接続部材21が取り付けられ、この接続部材21において隣接する外装平板6の端部同士が重ねられて、ビス22で接続・固定(共締め)されている。このようにして、各外装平板6が煙道ケーシング2に取り付けられている。
外装コーナー板5は、所定の強度を有し、弾性変形自在な板材(例えば、鋼板)で構成され、煙道10の外回りの角部10A、つまり、排ガスの流路が曲がる煙道ケーシング2の角部2aの外周側に、配置されている。すなわち、この外装コーナー板5は、図1、4に示すように、雨樋のような棒状体で、長手方向に垂直な方向での断面形状において、円弧状の円弧部51と、この円弧部51の両端から延びる平板状の接続端部(端部)52と、を有している。
2つの接続端部52は、そのなす角が略90°になるように形成され、円弧部51の開口51aが煙道ケーシング2の角部2aに対向し、円弧部51が外側に突出するように配置されている。そして、該外装コーナー板5の両端側に配置された外装平板6の端部と、接続端部52とが煙道ケーシング2に接続されている。すなわち、煙道ケーシング2の角部2a近傍の接続部材21において、接続端部52と外装平板6の端部とが重ねられて、ビス(接続部)22で接続・固定(共締め)されている。
このようにして取り付けられた状態で、外装コーナー板5は、煙道ケーシング2が熱伸縮する方向D1に変形自在となっている。すなわち、煙道ケーシング2がD1方向に伸縮するのに伴って、図2に示すように、円弧部51が変形するとともに開口51aの幅が狭まったり広くなったりする。そして、煙道ケーシング2の伸縮量に応じて(伸縮に追従できるように)、円弧部51の形状および開口51aの幅が設定されている。
このような構成の外装体構造1によれば、煙道ケーシング2の角部2aに、煙道ケーシング2が熱伸縮する方向に変形自在な外装コーナー5板が配設されている。このため、ボイラーの起動、停止に伴う温度変化によって煙道ケーシング2が熱伸縮しても、この熱伸縮に追従して外装コーナー板5が変形するため、外装コーナー板5の端部と煙道ケーシング2との接続部(ビス22やボルト等)に異常な外力・応力が作用しない。この結果、ビス22などの損傷・破損による外装コーナー板5の脱落や,外装平板6の損傷などを防止することが可能となる。
このようにして、外装コーナー板5の脱落や外装平板6の損傷などを防止できる結果、外装体4の修理などに要する費用を削減することができるとともに、外装コーナー板5の脱落などによる災害を未然に防止することができる。さらには、損傷個所などからの雨水の侵入が削減されるため、断熱体3の劣化や煙道ケーシング2の腐食などを防止・抑制することが可能となる。
また、煙道ケーシング2の角部2aに変形自在な外装コーナー板5を配設するだけでよいため、簡易かつ安価に構成することが可能となる。しかも、外装コーナー板5の断面形状が円弧状に形成されているだけの単純な構成で、外装コーナー板5が変形自在となっているため、より簡易かつ安価に構成することが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、外装コーナー板5の断面形状が円弧状に形成されているが、円弧状に限らず、煙道ケーシング2が熱伸縮する方向に変形自在であればよく、例えば、楕円形や蛇腹状であってもよい。さらに、外装コーナー板5の接続端部52と外装平板6の端部とを煙道ケーシング2に共締めしているが、外装コーナー板5の接続端部52と外装平板6の端部とを、それぞれ別個に煙道ケーシング2に接続してもよい。
また、煙道10の外回りの角部10Aに外装体構造1を適用する場合について説明したが、図3に示す煙道10の内回りの角部(内角)10Bに適用してもよい。すなわち、図5に示すように、角部10Bに対応・相応する煙道ケーシング2の角部(内角)2cにおいて、外装コーナー板5の円弧部51の開口51aが煙道ケーシング2の角部2cに対向し、円弧部51が内側(煙道ケーシング2の内側)に突出するように配置する。そして、煙道ケーシング2の角部2c近傍の接続部材21において、外装コーナー板5の接続端部52と外装平板6の端部とを重ねて、ビス22で接続(共締め)するものである。
ここで、煙道ケーシング2が熱伸縮する方向、部位や長さなどに応じて、外装コーナー板5の脱落や外装平板6の損傷などを防止できるように、煙道10の外回りの角部10Aまたは内回りの角部10Bの一方に外装体構造1を適用してもよいし、双方に適用してもよい。
1 煙道の外装体構造
2 煙道ケーシング
2a 角部(外角)
2b 直線部
2c 角部(内角)
21 接続部材
22 ビス
3 断熱体
4 外装体
5 外装コーナー板
51 円弧部
52 接続端部(端部)
6 外装平板
10 煙道
10A 角部(外角)
10B 角部(内角)

Claims (2)

  1. ボイラーからの排ガスが流通する煙道ケーシングの外周に断熱体が配設され、該断熱体を覆うように外装体が配設された、煙道の外装体構造であって、
    前記外装体は、外装コーナー板と外装平板とを備え、
    前記排ガスの流路が曲がる前記煙道ケーシングの角部に、前記煙道ケーシングが熱伸縮する方向に変形自在な外装コーナー板が、前記角部に対向して配置され、該外装コーナー板の両端側に前記煙道ケーシングの直線部に沿った外装平板が配置され、前記外装コーナー板の端部と前記外装平板の端部とが前記煙道ケーシングに接続されている、
    ことを特徴とする煙道の外装体構造。
  2. 前記外装コーナー板は、断面形状が円弧状に形成されていることで変形自在となっている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の煙道の外装体構造。
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