JP3203623B2 - 有機電解液電池 - Google Patents

有機電解液電池

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    • H01M50/3425Non-re-sealable arrangements in the form of rupturable membranes or weakened parts, e.g. pierced with the aid of a sharp member
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、内部安全スイッチを
備え、過大な電流や温度から電池の封口構造が保護され
るようにした有機電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高エネルギ−密度の電池として、
負極活物質に金属リチウムあるいはリチウムをドープ・
脱ドープできるコークス等の炭素質材料を使用し、電解
液に有機溶媒を使用した有機電解液電池が使用されてい
る。このような有機電解液電池は、大電流で強制的に放
電させたり外部回路がショートしたりして過大な電流が
流れると電池内部温度が200℃以上に上昇する場合が
ある。そして電池内部がこのような高温になると、有機
溶媒からなる電解液が蒸発したり分解したりして電池の
破損や破裂が引き起こされる。
【0003】そこで、有機電解液電池を過大な電流や温
度から保護するための内部安全スイッチが種々提案され
ている。
【0004】例えば、電池の内部温度が上昇したときに
電池の電流を遮断する方法として、電池内の端子導線に
形状記憶合金を使用する方法がある(特開昭59−19
1273号公報)。また、2種の金属板を電池カバーと
ケーシングとの間に設け、熱と圧力に応答するスイッチ
として機能させる方法がある(米国特許第403555
2号明細書)。さらに、温度が一定のしきい値に達する
と抵抗が急激に増大して電流を阻止する樹脂製正温度係
数抵抗体(positive temperature coefficient、以下P
TCと称する)を過電流の制御、阻止手段として使用す
る方法もある。
【0005】これらの方法の中でPTCを使用する方法
としては、電池ケース封口部の電極と端子キャップとの
導通路にPTCを組み込む方法が知られている(実開昭
59−3476号公報)。図3は、このようなPTCを
使用した有機電解液電池の断面図である。同図の電池
は、リチウム化合物を正極活物質とする帯状正極1と炭
素質材料を負極活物質とする帯状負極2とをセパレータ
3を介して巻回して巻回電極体を形成し、それを電解液
と共に電池缶4に収容した円筒型有機電解液二次電池で
ある。この正極1はリード5により封口体6と接続して
いる。封口体6上にはPTC7を介して空気孔付き電池
蓋8が配設されており、この電池蓋8が正極端子となっ
ている。一方、負極2は電池缶4と接続している。電池
缶4の封口部においては、電池缶4の端部で絶縁体ガス
ケット9を介して封口体6、PTC7および電池蓋8が
かしめられ、封口されている。
【0006】このような電池においては、電池内部の温
度が一定のしきい値に達するとPTC7の抵抗が急激に
増大して電池内の電流が抑制されるので、大電流による
電池の過度の加熱あるいはそのために引き起こされる圧
力の増加を防止でき、電池の破裂や漏れを防ぐことが可
能となる。そして電池の温度がしきい値より下がるとP
TC7の抵抗も低くなり、電池は通常の使用状態に復帰
する。なお、電池内部の温度が異常に上昇したときには
このようなPTC7による電流の制御・阻止機構だけで
は電池の安全性を確保できない場合があるので、電池の
安全性を確実にするために、電池内部の温度が異常に上
昇したときには封口体6の安全弁が内圧変化に伴って開
裂し、リード5と断線するようになっている。また、電
池内部に発生したガスが電池蓋8の空気孔から外部に放
出されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PTC
を大電流の制御、阻止手段として使用した従来の有機電
解液電池においては、図3に示したように電池缶4の封
口部においてPTC7をかしめるが、PTCは機械的強
度が弱いので強くかしめると破損し、液漏れが生じる。
このため封口部を強くかしめることができず、その結
果、大電流により電池内部が局所的に高温になり、封口
部が熱により変形すると、封口部から液漏れが起こりや
すくなるという問題があった。また、PTCと電池蓋と
の接触部分が腐食されやすく、電池を長期にわたって保
管することが困難になるという問題もあった。
【0008】この発明は、このような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、PTCを電流の制御、阻
止手段として使用する場合に、電池の封口部を十分な強
さでかしめ、それにより液漏れやPTCと電池蓋との接
触部分の腐食を防止し、電池の信頼性を向上させること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、正極および負極を収納した電池缶、
絶縁体ガスケットを介して該電池缶でかしめられ該電池
缶を封口する封口体および該封口体上に配設された空気
孔付き電池蓋からなる有機電解液電池において、樹脂製
正温度係数抵抗体(PTC)が、該電池缶でかしめられ
ないように該封口体と該電池蓋との間の導通路に配設さ
れていることを特徴とする有機電解液電池を提供する。
【0010】このようにこの発明は、PTCを封口体と
電池蓋との間に配して電流の制御、阻止手段として使用
し、封口体をかしめて電池缶を封口する場合に、PTC
を電池缶でかしめないようにすることを特徴としている
が、具体的な封口構造としては、PTCを電池蓋の内面
側周辺部に配設し、このPTCと封口体との間に封口支
持金属板を配設し、この封口支持金属板と封口体とを電
池缶でかしめるようにする。
【0011】また、PTCを電池蓋の内面側中央部に配
設すると共に電池蓋の内面側周辺部に絶縁体を配設し、
その絶縁体とPTC上に封口支持金属板を配設し、電池
缶の端部でこれらの電池蓋、絶縁体、封口支持金属板お
よび封口体をかしめるようにすることができる。このよ
うな構造にすると、PTCを電池に組み込むに際して、
PTCと電池蓋およびPTCと封口支持金属板との接着
面積を広くすることができ、PTCの組み込みによる電
池の内部抵抗を小さくできるので好ましい。
【0012】また、このような有機電解液電池は電池
蓋、PTCおよび封口支持金属板が積層した部分を有す
ることになるが、その製造方法としては、予め電池蓋に
PTCを接着したものを使用することが好ましい。これ
によりPTCの電池への組み込みを正確にかつ容易に行
うことができ、電池の生産性を向上させることが可能と
なる。なお、電池蓋にPTCを接着しておく方法として
は、充放電条件下においてPTCの接着部に十分な導通
性が得られ、かつPTCが剥離あるいは脱落しないよう
にする限り種々の方法をとることができる。たとえば、
半田溶接、電気抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、
電子ビーム溶接、導電性接着剤による接着などの方法を
とることができる。この場合、PTCを熱で損傷しない
ようにすることが必要であり、その点から導電性接着剤
による接着が好ましい。また、半田溶接などにより接着
するときには短時間で溶接することが好ましい。
【0013】この発明の有機電解液電池電池は、封口体
をかしめて電池缶を封口する場合にPTCを電池缶でか
しめないようにする限り、その他の構造については従来
の電池と同様にすることができる。たとえば、電池内部
の温度が異常に上昇したときの安全性を確保するため
に、電池の封口体としては、電池の内圧変化にしたがっ
て開裂する安全弁を有するものを設けることができる。
【0014】
【作用】この発明の有機電解液電池においては、PTC
が封口体と電池蓋との間の導通路に配設されるので、P
TCが電池内部の電流の制御、阻止手段として機能す
る。しかも、このPTCは電池缶でかしめられないよう
に配設されるので、電池缶の封口部を強くかしめて封口
することが可能となる。したがって、電池内部が局所的
に高温になり、封口部が熱により変形を受けた場合でも
液漏れが生じることはなく、またPTCと電池蓋との接
触部分の腐食も防止され、電池の信頼性が向上する。
【0015】
【実施例】以下、この発明を実施例に基づいて具体的に
説明する。 実施例1 図1に示したように、帯状正極1と帯状負極2とをセパ
レータ3を介して巻回して巻回電極体を形成し、それを
電解液と共に電池缶4に収容し、封口した円筒型有機電
解液二次電池(外径20mm、高さ50mm)を作成し
た。
【0016】この場合、帯状正極1としては、LiCo
、グラファイト、結着剤および分散溶媒の混練物を
アルミニウム箔に塗布し、乾燥させ、加圧成型し、所定
の幅と長さに切断したものを用い、帯状負極2として
は、コークスを熱処理した炭素材料、結着剤および分散
溶媒の混練物を銅箔に塗布し、乾燥させ、加圧成型し、
所定の幅と長さに切断したものを用いた。
【0017】封口に際しては、予め空気孔付き電池蓋8
の内面側周辺部にPTC(外径16mm、内径8mm、
商品名ポリスイッチ、レイケム社製)7を半田溶接によ
り積層接着し、さらにその上にアルミニウム製の封口支
持金属板10を積層接着したものを用意した。そして、
これをリード5で正極1と接続している封口体6の上に
被せ、電池缶4の端部で絶縁体ガスケット9を介して封
口体6と封口支持金属板10とをかしめた。
【0018】なお、封口支持金属板10としては、PT
C7と十分な強度で接着し、封口体6と共にかしめるこ
とにより電池の封口状態を維持できる導電体であれば種
々の金属板を使用することができ、たとえばアルミニウ
ム板の他にニッケル、鉄、銅、ステンレスなどの板を使
用することができる。
【0019】また、この電池の封口体6としては、電池
内部の温度が異常に上昇したときの安全性を確保するた
めに、電池の内圧変化にしたがって開裂するセイフティ
カバーを有するものを設けた。
【0020】このようにして作成した電池に対して、室
温で、充電電流500mA、充電終始電圧4.1V、放
電抵抗6Ωで2.5Vまで放電するサイクルを10回行
い、放電容量を測定した。その結果10回目の放電容量
は950mAhであった。次に、11回目のサイクルで
は2.5Aで放電させ、放電容量を測定したところ85
0mAhであった。
【0021】また、得られた電池を60℃の恒温槽中に
入れ、2.5Aで放電させて放電容量を測定したところ
905mAhであった。
【0022】さらに、得られた電池に対して過充電領域
の使用を想定し、4.5Vに充電し、外部回路で短絡す
る試験を行った。その結果、電池の最高温度は108℃
であり、その到達時間は5.5分であり、封口部からの
液漏れやガスの発生は見られず、電池に異常はなかっ
た。
【0023】実施例2 電池蓋8、PTC7および封口支持金属板10の接着に
導電性接着剤を用いた以外は図1に示した実施例1と同
様の有機電解液二次電池を作成した。この場合、PTC
7と電池蓋8および封口支持金属板10との接着強度は
4Kg/cmであり、十分な接着強度を有していた。
【0024】得られた電池に対して実施例1と同様に充
放電試験を行った。その結果、室温で10回目の放電抵
抗6Ωでの放電容量は945mAhであり、2.5Aで
の放電容量は840mAhであった。また、60℃で
2.5Aでの放電容量は900mAhであった。そし
て、導電性接着剤の劣化は見られなかった。
【0025】また、4.5Vに充電し、外部回路で短絡
する、過充電領域の使用を想定した試験では、電池の最
高温度は107℃であり、その到達時間は5.4分であ
った。封口部からの液漏れやガスの発生は見られず、電
池に異常はなかった。
【0026】参考例1 電池の封口を図2に示したようにし、実施例1と同様に
有機電解液二次電池を作成した。この場合、封口方法と
しては、予め空気孔付き電池蓋8の内面側中央部にPT
C7を接着すると共に電池蓋8の内面側周辺部に絶縁体
11を接着し、さらにその上に封口支持金属板10を積
層接着したものを用意した。そして、これをリード5で
正極1と接続している封口体6の上に被せ、電池缶4の
端部で絶縁体ガスケット9を介して封口体6、封口支持
金属板10、絶縁体11および電池蓋8をかしめた。
【0027】得られた電池に対して実施例1と同様に充
放電試験を行った。その結果、室温で10回目の放電抵
抗6Ωでの放電容量は950mAhであり、2.5Aで
の放電容量は940mAhであった。また、60℃で
2.5Aでの放電容量は900mAhであった。4.5
Vに充電し、外部回路で短絡する、過充電領域の使用を
想定した試験では、電池の最高温度は107℃であり、
その到達時間は6.1分であった。封口部からの液漏れ
やガスの発生は見られず、電池に異常はなかった。
【0028】比較例1 電池の封口を図3に示したようにし、実施例1と同様に
して有機電解液二次電池を作成し、充放電試験を行っ
た。
【0029】その結果、室温で10回目の放電抵抗6Ω
での放電容量は960mAhであり、2.5Aでの放電
容量は870mAhであった。また、60℃で2.5A
での放電容量は910mAhであった。4.5Vに充電
し、外部回路で短絡する、過充電領域の使用を想定した
試験では、電池の最高温度は110℃であり、その到達
時間は5.1分であった。そして、封口部からは液漏れ
が生じていた。
【0030】比較例2 電池の封口部にPTCを使用しない以外は比較例1と同
様にして有機電解液二次電池を作成し、充放電試験を行
った。
【0031】その結果、室温で10回目の放電抵抗6Ω
での放電容量は960mAhであり、2.5Aでの放電
容量は875mAhであった。また、60℃で2.5A
での放電容量は920mAhであった。4.5Vに充電
し、外部回路で短絡する、過充電領域の使用を想定した
試験では、短絡後1.5分で電池の最高温度は200℃
を超え、数分後には封口部に液漏れとガスの発生が見ら
れた。
【0032】以上の実施例および比較例から、PTCを
使用しなかった比較例2およびPTCは使用したがPT
Cをかしめて封口した比較例1は、いずれもこの発明の
実施例1〜3と通常の電池の使用条件下での放電容量は
同程度となるが、過充電領域の使用で液漏れやガスの発
生が見られ、電池として好ましくないことが確認でき
た。また、PTCを使用しなかった比較例2とPTCを
使用した実施例1〜3とは、通常の使用条件下での放電
容量が同程度となることから、PTCを使用することに
よる電池の内部抵抗の増加に起因する放電容量の低下は
わずかであることも確認できた。
【0033】以上、有機電解液二次電池の実施例を例と
してこの発明を具体的に説明したが、この発明の電池の
封口構造は、これらの実施例の態様に限られるものでは
ない。たとえば、この発明の有機電解液一次電池の構造
としても有効である。
【0034】
【発明の効果】この発明によれば、PTCを電流の制
御、阻止手段とし、しかも電池の封口部を十分な強さで
かしめることができるので、液漏れやPTCと電池蓋と
の接触部分の腐食を防止し、電池の信頼性を向上させる
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の電池の断面図である。
【図2】この発明の参考例の電池の断面図である。
【図3】従来の電池の断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電池缶 5 リード 6 封口体 7 PTC 8 電池蓋 9 ガスケット 10 封口支持金属板 11 絶縁体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩沼 敬二 福島県郡山市日和田町高倉字下杉下1− 1 株式会社ソニー・エナジー・テック 郡山工場内 (56)参考文献 実開 平2−32660(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/34 H01M 2/04 H01M 10/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極および負極を収納した電池缶、絶縁
    体ガスケットを介して該電池缶でかしめられ該電池缶を
    封口する封口体および該封口体上に配設された空気孔付
    き電池蓋からなる有機電解液電池において、樹脂製正温
    度係数抵抗体が、該電池缶でかしめられないように該電
    池蓋の内面側周辺部に配設され、かつ該樹脂製正温度係
    数抵抗体と該封口体との間に封口支持金属板が配設さ
    れ、該封口支持金属板と該封口体とが電池缶でかしめら
    ていることを特徴とする有機電解液電池。
  2. 【請求項2】 該樹脂製正温度係数抵抗体が該電池蓋の
    内面側に導電性接着剤で接着されている請求項1記載の
    有機電解液電池。
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