JP3203351B2 - 抗血栓性材料およびその製造方法 - Google Patents

抗血栓性材料およびその製造方法

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JP3203351B2 JP05569998A JP5569998A JP3203351B2 JP 3203351 B2 JP3203351 B2 JP 3203351B2 JP 05569998 A JP05569998 A JP 05569998A JP 5569998 A JP5569998 A JP 5569998A JP 3203351 B2 JP3203351 B2 JP 3203351B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間の抗血栓性
を有する医用高分子材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明の解消すべき課題】生体組織以
外の人工材料に血液が接触すると、その材料の表面に血
漿タンパク、血小板の粘着、これに続いて血液凝固が起
こり血栓が生じる。この血栓の問題は、血液に接触する
人工心臓、人工肺、人工血管、血管カテーテル、血液回
路等の医療器具の開発において大きな障害になってお
り、優れた抗血栓性材料が所望されている。これまで、
種々の表面構造を有する材料や、種々の表面処理法が提
案されてきているが、現在ではヘパリン化材料が最も優
れた抗血栓性を示すと考えられている。
【0003】ヘパリンは、生体由来の抗血栓性物質であ
り、多くのアニオン性残基を有するムコ多糖類であり
る。従来研究されてきた材料のヘパリン化法を大別する
と、次の3つに分類される。
【0004】(1)単純ブレンド法:材料中に単純にヘ
パリンを混入させる方法である。例えば、ポリウレタ
ン、シリコーン樹脂中にヘパリンを混入させた材料は良
好な抗血栓性を示すと言われているが、ポリマーマトリ
ックスとヘパリンとの間に結合がないため、この方法に
よって調製された材料は、血液中でヘパリンが容易に脱
落し、長期間の抗血栓性が持続できないという欠点を有
する。
【0005】(2)共有結合法:ヘパリンの反応性残基
を利用して共有結合によりヘパリンを材料表面に化学的
に固定化する方法である。しかしながら、かかる方法で
は固定化されるヘパリン量が最高でも0.1μg/cm
2 程度にとどまり、また化学反応によってヘパリンが変
性したり又は材料から遊離しないなどの原因によりその
抗血栓性が十分に得られないため、現在のところこの方
法によって満足な抗血栓性を示す材料は得られていな
い。
【0006】(3)イオン結合法:ヘパリンのアニオン
性残基を利用して、カチオン性残基を有する材料の表面
に静電的にヘパリンを固定化する方法であり、現在のと
ころ最も優れた抗血栓性が得られる方法であると言われ
ている。
【0007】このイオン結合法の具体例として、Scienc
e 142, 1297 (1963)に材料をグラファイトーベンザルコ
ニウムクロライド−ヘパリンで処理する方法が記載され
ており、又Trans. Am. Soc. Artif. Organs, 15, 1 (19
69) にトリ・ドデシルメチルアンモニウムクロライドを
高分子材料の表面に吸着させ、ヘパリンをイオン的に結
合させる方法が記載されている。しかしながら、いずれ
においても、ヘパリンはベンザルコニウムクロライドの
ような低分子アンモニウム塩とイオン結合により結合体
を形成しているため、やはり短期間でヘパリンが血液中
に溶出してしまい、又ヘパリンではなくアンモニウム塩
化合物も同時に溶出してしまうことから、溶血現象が生
じるという重大な問題がある。この点を克服するため
に、四級化アンモニウム塩が導入された高分子材料をヘ
パリン水溶液に接触させることにより、イオン結合を介
してヘパリンを高分子材料に導入する方法が提案されて
いる。例えば、特公昭63−43109号公報にはポリ
塩化ビニルに三級アミノ基を有するモノマーを、他のモ
ノマー等とグラフト共重合したのち、最終的に三級アミ
ノ基を四級化し、次いでヘパリンを吸着させる方法が記
載されており、特公昭55−13729号公報にはポリ
エチレンオキサイド基、四級化アンモニウム塩及び架橋
性エポキシ基を含むメタクリル酸エステル共重合体とポ
リエーテル型ポリウレタンの混合物を加熱処理により架
橋させたのち、ヘパリンを導入する方法が記載されてい
る。
【0008】しかしながら、前記特公昭和63−431
09号の記載の材料は確かに長期間にわたって優れた抗
血栓性を示しているが、この方法を用いるとグラフト共
重合体の製造工程、四級化工程が必要である等多大の工
数を必要としている。また、前記特公昭55−1372
9号の記載の材料の製造工数は比較的少ないが、血液中
でメタクリル酸エステル共重合体の溶出を防ぐために、
ポリウレタンマトリックスの中にこの水溶性共重合体を
十分に取り込む必要がある。しかしながら、エポキシ基
の反応性が低いために、高温熱処理が必要であり、その
ため、材料の劣化にもつながり、医療材料、特に血液に
接触させる材料には重大な問題である。
【0009】従って本発明の目的は上記のような従来の
ヘパリン化材料の製造方法、特にイオン結合方法におけ
る問題点を解決し、静電的に十分なヘパリン量が固定化
され、血液と接触することによって、ヘパリンを長期間
にわたって放出可能な抗血栓性材料の簡便に製造し得る
方法およびそれによって得られる抗血栓性材料を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヘパリン
を簡便に固定化でき、かつ長期間の抗血栓性を有する材
料を得ることを目的として、従来知られている三級アミ
ン化合物にハロゲン化合物、特にハロゲン化メチル基を
有する芳香族化合物が室温の付近でも容易に付加反応し
て四級化アンモニウム塩化合物が生成すること(化1)
に着目し、種々検討した結果、三級アミノ基を有するポ
リウレタンと、ハロゲン化メチルスチレン及び四級化ア
ンモニウム塩モノマーを含有するビニル共重合体の間に
も付加反応が容易に起こり、十分なヘパリン量を固定化
できる四級化アンモニウム塩含有高分子付加体が形成さ
れること(化2)を見出した。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】すなわち、本発明は、三級アミノ基を有す
るポリウレタンとハロゲン化メチル芳香族モノマを含有
するビニル共重合体とを付加反応させ、生成された高分
子付加体の四級化部分にヘパリンを結合させることを特
徴とする抗血栓性材料の製造方法を提供する。
【0014】また本発明は三級アミノ基を有するポリウ
レタンとハロゲン化メチル芳香族基を有し、かつ四級化
アンモニウム塩モノマーを含有するビニル共重合体との
高分子付加反応体からなり、前記高分子付加反応体の四
級化アンモニウム基に結合されたヘパリンを含有する抗
血栓性材料を提供する。
【0015】
【発明の実施態様】本発明の三級アミノ基を有するポリ
ウレタンは、ジイソシアネート、イソシアネート基と付
加反応する水酸基を有する高分子量ジオール、三級アミ
ノ基を有するジオール鎖延長剤及び必要に応じて低分子
量ジオール鎖延長剤を反応させて得られる。
【0016】ジイソシアネートとしては、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、2,4(又は2,
6)−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアネート等が挙げられる。特に好ましくは、4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0017】高分子ジオールとしては、数平均分子量5
00〜10000のソフトなセグメントを有するポリエ
ーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリカー
ボネート系ジオール、ポリシロキサン系ジオール等が挙
げられる。中でも好ましいものはポリエーテル系ジオー
ルである、数平均分子量1000〜3000のポリテト
ラメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
【0018】三級アミノ基を有するジオール鎖延長剤と
しては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジ
エタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N
−エチルジイソプロパノールアミン等が挙げられる。特
に好ましくは、N−メチルジエタノールアミンである。
【0019】三級アミノ基を有するジオールの含有量は
全ジオールに対して5〜85モル%、好ましくは10〜
70モル%である。三級アミノ基を有するジオールの含
有量が5モル%未満では三級アミノ基を有するポリウレ
タンとビニル共重合体の間には付加反応が十分に進まな
いので好ましくない。又、含有量が85モル%を越える
場合には、三級アミノ基を有するポリウレタンの機械的
特性が低下するため好ましくない。
【0020】又、必要に応じて、エチレングリコール、
1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオールの
ような従来低分子量ジオール鎖延長剤を併用しても良
い。
【0021】本発明の三級アミノ基を有するポリウレタ
ンは、公知の製造方法により得ることができる。例え
ば、溶液重合法によりポリウレタンを製造するには、先
ず、高分子量ジオール及びジイソシアネートをイソシア
ネート基に不活性な溶媒に溶解させ、30〜150℃、
好ましくは40〜120℃で0.5〜3時間、好ましく
は1〜2時間にわたり、撹拌しながら反応を行う。これ
に三級アミノ基を有するジオール及び必要に応じて低分
子量ジオールを添加し、30〜150℃、好ましくは4
0〜120℃で1〜24時間、好ましくは3〜10時間
反応させて鎖延長し、高分子量化を行う。ここで使用さ
れる溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ア
セトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びこれらの混
合物等が挙げられる。特に、ジオキサン、N,N−ジメ
チルアセトアミド及びこれらの混合物が好ましい。反応
時には、必要に応じて重合触媒が加えられる。触媒とし
ては、ジラウリル酸ジブチルスズ、エチルヘキサン酸ス
ズ等が挙げられる。
【0022】本発明のビニル共重合体は、ハロゲン化メ
チル芳香族モノマー、好ましくはハロゲン化メチルスチ
レン、四級化アンモニウム塩含有モノマー、又、必要に
応じて他の重合性モノマ−を反応させて得られる。ハロ
ゲン化メチルスチレンとしては、クロロメチルスチレ
ン、ブロモメチルスチレン、ヨードメチルスチレン等が
挙げられる。特にクロロメチルスチレンが安価であり、
しかも入手が容易である点から好ましい。ハロゲン化メ
チルスチレンの含有量はビニル共重合体の全構造単位に
対して1〜15モル%、好ましくは3〜10モル%であ
る。ハロゲン化メチルスチレンの含有量が3モル%未満
では三級アミノ基を有するポリウレタンとビニル共重合
体の間には付加反応が十分に進まないので好ましくな
い。又、含有量が15モル%を越える場合には、四級化
アンモニウム塩含有モノマー及び他の重合性モノマーの
反応が阻害されるため好ましくない。
【0023】四級化アンモニウム塩含有モノマーとして
は、N,N,N−トリメチルアンモニオエチル(メタ)
アクリレートクロライド、N,N,N−トリメチルアン
モニオエチル(メタ)アクリレートブロマイド、N,
N,N−トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリ
レートクロライド、N,N,N−トリメチルアンモニオ
プロピル(メタ)アクリレートブロマイド、N,N−ジ
エチル−N−メチルアンモニオ(メタ)アクリレートク
ロライド、N,N−ジエチル−N−メチルアンモニオ
(メタ)アクリレートブロマイド等が挙げられる。特に
N,N,N−トリメチルアンモニオエチル(メタ)アク
リレートクロライドが安価であり、しかも入手が容易で
ある点から好ましい。
【0024】四級化アンモニウム塩含有モノマーの含有
量はビニル共重合体の全構造単位に対して10〜60モ
ル%、好ましくは20〜50モル%である。四級化アン
モニウム塩含有モノマーの含有量が10モル%未満では
ヘパリンの吸着量が少なくなり、長期間の抗血栓性が達
成されないので好ましくない。又、含有量が60モル%
を越える場合には、三級アミノ基を有するポリウレタン
とビニル共重合体の相溶性が悪いので好ましくない。
【0025】本発明のビニル共重合体は、上記のハロゲ
ンメチルスレチレン及び四級化アンモニウム塩含有モノ
マ−の他に、必要に応じて他の重合性モノマ−、特に水
溶性モノマ−を用いて製造することができる。水溶性モ
ノマ−としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レ−ト、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレ−ト、N,N−ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレ−ト、N−ビニルピロリドン、ポリ
エチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ
る。特にN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ポ
リエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト及びこれら
の混合物が適量含まれるとかかる材料の親水性が向上
し、ヘパリンが材料に取り込まれ易くなり、その結果、
固定化のヘパリン量が増大するので好ましい。
【0026】本発明のビニル共重合体はハロゲンメチル
スチレン、四級化アンモニウム塩含有モノマ−及び必要
に応じて他の重合性モノマ−を溶媒中で重合開始剤の存
在下で、反応させて得られる。溶媒としては、メタノ−
ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド及びこれら
の混合物が挙げられる。特に、四級化アンモニウム塩含
有モノマ−が高い溶解性を示すメタノ−ル、エタノ−ル
及びこれらの溶媒を含有する混合物が好ましい。
【0027】重合開始剤としては、通常のラジカル開始
剤ならばいずれを用いて良く、アゾビスイソブチロニト
リル、アゾビスマレノニトリル等のアゾ化合物、過酸化
ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の有機過酸化物が挙げ
られる。重合開始剤の添加量は全モノマ−に対して0.
1〜5モル%、好ましくは0.2〜2モル%である。
【0028】反応温度は、40〜120℃、好ましくは
50〜100℃である。又、反応時間は、3〜72時
間、好ましくは5〜48時間である。
【0029】このようにして得られた三級アミノ基を有
するポリウレタンとビニル共重合体を溶解して混合す
る。次に、塗布又はデイッピング法等の方法により基材
表面に被膜を形成させる。溶媒としては、メタノ−ル、
エタノ−ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0030】三級アミノ基を有するポリウレタンとビニ
ル共重合体の配合比は任意に変化されることができる
が、十分なヘパリン吸着量と、組成物の良好な機械的特
性を得るために、その重量配合比(3級アミノ基を有す
るポリウレタン/ビニル共重合体)が95/5〜25/
75、好ましくは90/10〜40/60である。
【0031】基材は次いで加熱処理し、溶媒を除去する
と同時に基材表面上の高分子付加体を生成させる。加熱
処理条件は室温〜100℃で1時間〜48時間、好まし
くは50〜80℃で3〜5時間である。
【0032】次に、基材にヘパリンを接触させることに
よりヘパリンを吸着させる(ヘパリン化する)。ヘパリ
ン化はヘパリンを0.1〜10重量%、好ましくは0.
5〜5重量%の割合で含有する水溶液に20〜100
℃、好ましくは40〜80℃で、1時間72時間、好ま
しくは5〜48時間にわたり浸漬することによりヘパリ
ン化が行われる。この場合、ヘパリンの水溶液のpHは
2〜7、好ましくは3〜6である。
【0033】以上のように本発明により得られた抗血栓
性材料は抗血栓性を要求される各種医療器具、例えば、
人工心臓、人工肺、人工血管、血管カテ−テル、ガイド
ワイヤ−、バイパスチュ−ブ、チュ−ブ接続用コネクタ
等に使用できる。
【0034】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載するが本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】参考例1(3級アミノ基を有するポリウレ
タンの製造例) 1000mlの4口セパラブルフラスコに4,4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアネ−ト41.25g(0.16
5モル)とジオキサン95mlを加え、撹拌下に60℃に
加熱した。これにポリテトラメチレンエテ−ルグリコ−
ル(数平均分子量1010)55.55g(0.55モ
ル)をジオキサン110mlに溶解した溶液を加え、更に
触媒として、ジオキサン5mlに溶解したジラウリル酸ジ
ブチルスズ0.0546gを加え、2時間撹拌を行っ
た。この溶液にジオキサン425mlを追加し、更にN−
メチルジエタノ−ルアミン9.82g(0.085モ
ル)及び1,4−ブタンジオ−ル2.48g(0.02
75モル)をジオキサン95mlに溶解した溶液を約30
分間にわたって滴下した後、60−65℃で4時間反応
を続行した。反応生成物を大量の蒸留水に加え、ポリマ
−を沈澱させ、水とメタノ−ルで洗浄し、60℃の熱風
乾燥機で一夜乾燥することにより3級アミノ基を有する
ポリウレタンを得た。
【0036】参考例2(ビニル共重合体の製造例) 1000mlの4口丸底フラスコにクロロメチルスチレン
3.05g(0.02モル)、N,N,N−トリメチル
アンモニオエチルメタクリレ−トクロライド29.08
g(0.14モル)、メトキシノナエチレングリコ−ル
メタクリレ−ト119.04g(0.24モル)及びエ
タノ−ル420mlを加え、撹拌下に60℃に加熱した。
この溶液にエタノ−ル10mlに溶解したアゾビスイソブ
チロニトリル0.656g(0.004モル)を加え、
窒素気流中60℃で8時間、次いで70℃で16時間反
応を続行した。反応生成物を大量のジエチルエーテル中
に加え、ポリマ−を沈澱させ、ジエチルエ−テルで洗浄
し、60℃の熱風乾燥機で一夜乾燥することによりビニ
ル共重合体を得た。
【0037】実施例1〜4 溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、三級
アミノ基を有するポリウレタンとビニル共重合体の配合
比を下記表1に示すように変えて15重量%のポリマ−
溶液を調製した。このポリマ−溶液を直径70cmのガ
ラス製シャ−レに流し、室温で24時間放置して溶媒を
蒸発させた。その後、シャ−レから剥がしてポリマ−フ
ィルムを得た。このフィルムを二分割し、半分は37℃
のTHFに24時間浸漬し、その溶解性を調べた。又フ
ィルムの残り半分を更に70℃で3時間加熱処理し、次
いで同様の溶解性試験を行った。その結果、いずれの場
合もポリマ−フィルムはTHFに不溶であった。
【0038】この結果から、本発明の三級アミノ基を有
するポリウレタンとビニル共重合体が温和な加熱処理条
件下でも付加反応を起こし、高分子付加体が生成してい
ることがわかる。
【0039】
【表1】
【0040】比較例1〜4 実施例1〜4の三級アミノ基を有するポリウレタンの代
わりに、市販のポリウレタン(商品名:Pellethane 236
3-80AE, Dow Chemical社製) を用いた以外は実施例1〜
4と同様にしてポリマ−フィルムを作製し、前記の溶解
性試験を行い、THFへの溶解性を調べた。第1表に示
したように、いずれの場合もポリマ−フィルムはTHF
に溶解した。この結果から、三級アミノ基を有していな
い従来ポリウレタンと本発明のビニル共重合体の間には
高分子付加体が生成しないことがわかる。
【0041】実施例5 溶媒としてTHFを用い、三級アミノ基を有するポリウ
レタンとビニル共重合体の重量配合比8/2で5重量%
のポリマ−溶液を作製した。このポリマ−溶液に、メタ
ノ−ルで洗浄した市販のポリウレタンシ−ト(大きさ3
x5cm、厚み2mm)を浸漬した。室温で3時間放置
した後、70℃で3時間加熱処理し、次いで60℃の1
重量%ヘパリンナトリウム水溶液(酢酸/酢酸ナトリウ
ム緩衝液、pH4.5)に浸漬して48時間ヘパリン化
を行った。その後蒸留水で十分に洗浄し、50℃で2時
間乾燥させた。得られたヘパリン化のポリウレタンシ−
トを直径8mmの小片(試料片として)に切り、ヘパリ
ン吸着量の測定試験及び血液凝固試験を行った。
【0042】ヘパリンの吸着量の測定試験:ガラス試験
管にリン酸緩衝液(pH7.4)2mlを加えた。これに
試験片を入れ、次いで0.05重量%トルイジンブル−
溶液2mlを加えて60分撹拌した。その後、ヘキサン4
mlを加えて30分間撹拌した後、ヘキサン相を除去し、
残りの水相の631nmの吸光度を測定した。得られた吸
光度を予め作製された検量線を用いて試料1cm2 当たり
のヘパリン吸着量を算出した。その値は0.087mg/
cm2 であった。なお、本測定試験は Smithらによって開
発された方法(Anal. Biochem., 109, 466(1980))を改
良して行った。
【0043】血液凝固試験:シリコ−ン処理したガラス
試験管にウサギのクエン酸加血0.5mlを加え、37℃
で5分間放置した。これに0.1M塩化カルシウム60
μlを加え、次いで試料を血液上にのせ、血液が凝固す
るまでの時間を測定した。その結果、2時間経過後にお
いても血液の凝固は認められなかった。又、これとは別
に試験片を37℃の生理食塩水(pH7.4)10mlに
1日間、7日間、14日間浸漬し、ヘパリンを溶出させ
た。所定期間浸漬の後、試験片を取り出し、蒸留水で洗
浄した。その後、前記の方法に従って血液凝固試験を行
った。その結果、いずれの場合も2時間経過後において
も血液の凝固は全く認められなかった。
【0044】実施例6〜8 3級アミノ基を有するポリウレタンとビニル共重合体の
配合比を変えてヘパリン化試料を作製し、前記の方法に
従ってヘパリン吸着量の測定試験及び血凝固試験を行っ
た。結果は第2表に示した。
【0045】
【表2】
【0046】比較例5〜6 ヘパリン化試料の代わりに、シ−ト状のシリコンゴ−ム
及びガラス板を用いて、同様の血凝固試験を行った。結
果は第2表に示した。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明の抗血栓性材料は
優れた抗血栓性を有し、又その効果が長期間持続する特
徴を有するので、血液接触医療器具の材料として有用で
ある。更に、本発明の抗血栓性材料は製造方法が簡便で
あり、かつ原料が安価で入手できるのでコスト的に極め
て有利なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸 尚典 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南2丁目5 番25号 クリエートメディック株式会社 内 (56)参考文献 特開 昭54−147696(JP,A) 特開 昭50−139173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 33/10

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三級アミノ基を有するポリウレタンとハ
    ロゲン化メチル芳香族基を有するビニル共重合体とを付
    加反応させ、生成された高分子付加体の四級化部分にヘ
    パリンを結合させることを特徴とする抗血栓性材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタンがジイソシアネ−トと
    高分子ジオールと三級アミノ基を有するジオール鎖延長
    剤とからなり、三級アミノ基を有するジオールの含有量
    が全ジオールに対して5〜85モル%である特許請求の
    範囲第1項記載の抗血栓材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ビニル共重合体がハロゲン化メチル
    スチレンの重合単位を含有する特許請求の範囲第1項記
    載の抗血栓材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ビニル共重合体に対するハロゲン化
    メチルスチレンの含有量が1〜15モル%である特許請
    求の範囲第3項記載の抗血栓材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ビニル共重合体が四級化アンモニウ
    ム塩モノマーの重合単位を含有する、特許請求の範囲第
    1項記載の抗血栓材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ビニル共重合体に対する四級化アン
    モニウム塩モノマーの含有量が10〜60モル%である
    特許請求の範囲第5項記載の抗血栓材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 三級アミノ基を有するポリウレタンとハ
    ロゲン化メチル芳香族基を有するビニル共重合体との高
    分子付加反応体からなり、前記高分子付加反応体が四級
    化アンモニウム基に結合されたヘパリンを含有する抗血
    栓性材料。
  8. 【請求項8】 三級アミノ基を有するポリウレタンとビ
    ニル共重合体との配合比が95/5〜25/75(重量
    比)で特許請求の範囲第7項記載の抗血栓性材料。
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