JP3203320B2 - 加工香辛料の製造方法 - Google Patents
加工香辛料の製造方法Info
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Description
れる加工香辛料の製造方法、特に3−ヒドロキシ−4,
5−ジメチル−2(5H)−フラノン(以下ソトロンと
いう)の含有量が顕著に高められた加工香辛料の製造方
法に関するものである。
いて、そのソトロンの含有量を高めて、熟成感のある香
りを有する製品を得るための種々の試みを行っている。
例えば、カレーパウダーにおいては、粉砕直後のソトロ
ン含有量は1ppm程度であるが、2年程ねかせること
により熟成させてソトロン含有量を20ppm程度にす
ることができる。しかしながら、熟成期間として長い年
月を費やすと、ソトロン含有量は高まるものの、カレー
パウダーの品質が劣化するので望ましくない。また、そ
の熟成方法では、2年もの長い年月を費やしたとして
も、そのソトロン含有量がほんの20ppm程度にしか
達しないのが現状である。従って、従来よりも非常に短
時間で、ソトロン含有量が顕著に高められる香辛料の処
理方法が求められる。
りを付与する物質であることは本発明者らにより近年見
いだされたものであるが、従来から香辛料に何らかの処
理を施して熟成感のある香りを高めることが行われてい
た。例えば、特公昭59−53018号公報には、フェ
ヌグリークシードを粉砕して粉末状とし、これを0.2〜
8.0kg/cm2 の加圧下で湿熱加熱処理した後、冷却する
か、または冷却することなく再び粉末化することを特徴
とするフェヌグリークシードの処理方法が開示されてい
る。具体的には、5〜120分間湿熱加熱処理を行い、
熟成感のある香りを得ることができるが、上記の処理だ
けでソトロン含有量は顕著に高まらない。特に、フェヌ
グリークシード単独では確かに十分な熟成感のある香り
であるが、このように処理したフェヌグリークシードを
他の香辛料と混合すると、混合香辛料としてはソトロン
含量が低くなるため、十分な熟成感のある香りを維持す
るのが困難である。この方法では、湿熱加熱処理を12
0分間以上行っても熟成感のある香りはそれほど向上し
ない。
ークを含有する香辛料のソトロン含量を効率的に増大さ
せることができる方法を提供することを目的とする。
クを含有する香辛料を乾熱加熱し、次いで加湿あるいは
湿熱加熱した後、必要により熟成させる加工方法を採用
し、かつ前記工程の少なくとも1つの工程をアスコルビ
ン酸類の存在下で行うと、上記課題を解決できるとの知
見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明
は、フェヌグリークを含有する香辛料を100℃以上で
乾熱加熱した後、加湿処理及び/又は加湿条件下で10
0℃以上の温度で湿熱加熱し、次いで必要により熟成さ
せて3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−
フラノンの含有量を増大させる方法であって、前記乾熱
加熱、加湿処理、湿熱加熱及び熟成の少なくとも1つの
工程をアスコルビン酸、そのエステル及びその塩から選
ばれる少なくとも一種の存在下で行うことを特徴とする
加工香辛料の製造方法を提供する。
クを含有する香辛料としては、フェヌグリーク単独、又
はこれと他の香辛料、例えば、ターメリック、コリアン
ダー、黒胡椒、桂皮、クローブ、ナットメグ、陳皮等の
一種又は二種以上の混合物があげられる。これらの他の
香辛料としては、ターメリック、コリアンダー、クロー
ブ、ナットメグが好ましい。特に、好ましい配合として
は、フェヌグリーク、クローブ及びナットメグを主体と
するもの、あるいはフェヌグリーク、コリアンダー及び
ターメリックを主体とするものが挙げられ、特にこのよ
うな配合のカレーパウダーが好ましい。尚、フェヌグリ
ークを含有する香辛料中のフェヌグリークの含有割合
は、添加を目的とする最終食品に応じて任意に決定する
ことができるが、香辛料全体の1重量%以上であるのが
好ましく、特に3重量%以上であるのが好ましい。又、
本発明で対象とする香辛料としては、水分含量が0.1〜
15%のものが好ましく、より好ましくは6〜12%の
ものである。本発明で用いるアスコルビン酸、そのエス
テル及びその塩から選ばれる少なくとも一種(以下、ア
スコルビン酸類という)としては、L−アスコルビン
酸、そのパルミチン酸やステアリン酸などの脂肪酸エス
テル、ナトリウムやカリウムなどとの塩があげられ、こ
れらは一種又は二種以上の混合物として用いることがで
きる。アスコルビン酸類の使用量は、香辛料100重量
部当たり0.05〜10重量部程度が好ましく、より好ま
しくは0.5〜3重量部である。
する香辛料を乾熱加熱する。ここで、香辛料としては、
粉末香辛料ホール、粗砕物などのいずれの形態のものを
用いてもよい。乾熱加熱は、香辛料中の水分を蒸発させ
ることができる加熱方法であればいずれでもよく、例え
ば、オーブンでの加熱、平釜での加熱、恒温乾燥器を用
いる加熱や熱風乾燥などがあげられる。パドル式加熱装
置やクッカーなどのたき上げ用機器を用いてもよい。加
熱温度は、100℃以上であるのが好ましく、特に10
5℃〜香辛料が焦げたり、変質しない温度、例えば25
0℃であるのが好ましく、より好ましくは、105〜2
20℃である。又、加熱時間は、加熱温度との相関で、
香辛料中の水分が50%以上減少する時間であるのが好
ましく、具体的には、30秒間以上、好ましくは、1分
〜30時間である。具体的には、オーブン加熱のように
急速に水分が揮散する場合には、110〜250℃、好
ましくは150〜220℃で1〜30分間、好ましくは
2〜10分間、クッカーなどの炊上げ用機器では、11
0〜250℃、好ましくは130〜200℃で20分間
〜5時間、好ましくは30分間〜3時間、また、恒温乾
燥機を用いて静置状態で加熱処理を行う場合には、11
0〜130℃、好ましくは105〜120℃で1〜30
時間、好ましくは2〜20時間夫々処理するのが望まし
い。本発明では、乾熱加熱の際、香辛料を常法により攪
拌するのが好ましい。本発明では、次いで香辛料を湿熱
加熱する。本発明において、湿熱加熱とは、前工程の水
分の蒸発を積極的に行う乾熱加熱とは異なり、香辛料中
の水分を維持しながら、又は水分を加えながら行う加熱
を意味する。具体的には、1つの態様として蒸気の存在
下で100℃以上の温度で加熱する方法があげられる。
この際、水蒸気自体で加熱してもよい。好ましい湿熱加
熱である蒸煮は、例えば、平釜に香辛料を入れ、攪拌し
かつ水蒸気を吹きかけながら、加熱する方法、蒸し器に
香辛料を入れて蒸す方法、圧力釜に所定量の水とともに
香辛料を入れて加熱する方法などにより行うことができ
る。他に、レトルト内部に積重ねた各原料棚に粉末など
の香辛料を薄い層状に収納し、レトルト内部に蒸気を導
入する方法により行なうことができる。
飛ばない密閉系での加熱があげられる。具体的には、対
象とする香辛料をレトルト容器、例えばアルミパウチな
どのレトルトパウチに密封収容してレトルト処理する方
法やエクストルーダーに通して加熱する方法などがあげ
られる。本発明では、特に、平釜に水蒸気を併用する方
法、蒸し器を用いる方法、圧力釜に所定量の水を組み合
わせる方法のいずれか1つの湿熱加熱に続けて、密封し
てレトルト処理をするのが特に好ましい。本発明におい
て、湿熱加熱は、30秒間以上、100℃以上の温度、
好ましくは105℃以上で、香辛料が焦げたり、変質し
ないような温度で行うのが好ましい。特に105〜12
5℃で行うのが好ましい。又、1分間を越える時間行う
のが好ましく、特に5分以上行うのが好ましく、より好
ましくは5分〜3時間である。
るいはその前後に加湿処理を行うことができる。ここ
で、加湿処理とは、香辛料に水分をスプレーしたり、香
辛料を高湿度の雰囲気に放置することなどにより、香辛
料の水分を高めるための処理をいう。前記の乾熱加熱で
香辛料の水分が過度に失われる場合があるが、これらの
場合に、加湿処理により香辛料の水分を少なくとも2重
量%以上、好ましくは6%以上とすれば、続く湿熱加熱
や熟成工程でソトロン含量を一層増大させることができ
るので好ましい。本発明で湿熱加熱及び加湿処理の後、
必要に応じて、熟成工程を採用することができる。つま
り、湿熱加熱及び加湿処理に続いて香辛料を熟成させる
と、ソトロンの含有量を一層増大させることができるの
が好ましい。熟成は、室温〜70℃、特に40〜70℃
で行うのが好ましい。又、10時間〜90日間行うのが
好ましい。特に、55〜65℃で24時間〜20日間行
うのが好ましい。具体的には、加熱処理した香辛料をト
レイなどの容器に入れて、室温〜70℃の温度条件下で
所定時間保持することにより行うことができる。本発明
では、上記乾熱加熱、湿熱加熱、加湿処理及び熟成工程
の少なくとも1つの工程をアスコルビン酸類の存在下、
特に粉末アスコルビン酸類の存在下で行うことを必須と
する。具体的には、上記工程に付される香辛料とアスコ
ルビン酸類を混合した後、該工程に付すのが好ましい。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下
線を付した工程が、アスコルビン酸類の存在下で行われ
る工程である。 (1)乾熱加熱−湿熱加熱 (2)乾熱加熱−湿熱加熱 (3)乾熱加熱−湿熱加熱−熟成 (4)乾熱加熱−湿熱加熱−熟成 (5)乾熱加熱−湿熱加熱−熟成 (6)乾熱加熱−加湿処理−熟成 (7)乾熱加熱−加湿処理−熟成 上記方法のうち、特に(2)及び(4)が好ましい。本
発明の方法によりフェヌグリーク単独を処理すると、ソ
トロン含有量を広範囲で増大することが可能となり、1
00ppm以上、好ましくは100〜800ppmまで
増大することが可能となる。熟成条件にもよるが、24
時間〜30日間程度で上記のソトロン含有量を達成する
ことが可能となる。従って、フェヌグリークを含有する
香辛料を本発明の方法によって処理すると、香辛料中の
ソトロン含量が高められているので、熟成感のある香り
を有した高品質のものとなり、カレー、ハヤシライス、
シチューなどの香辛料として用いると、これらの高品質
のルウを提供することができる。本発明の方法で処理し
た香辛料を用いてカレー(ルウを含む)を製造する場
合、その添加量は、0.1〜5部、好ましくは1〜2部と
するのがよい。特に、本発明の香辛料は、カレールウな
どに、上記香りを効率的に付与するのに有効である。ま
た、本発明の香辛料は、焙煎玉葱をコロイドミルで処理
して粘性を調整したペーストカレーに用いた場合に特に
優れたペーストカレーを得ることができる。そのように
して製造されたペーストカレーは、良好な風味・十分な
粘性をもつ上に更に、熟成感のある香りを有した高品質
のものとなる。
する香辛料中のソトロンの含有量を効率的に増大させる
ことができ、熟成感のある香りを有し、苦味の除去され
た高品質の香辛料を得ることが可能となる。かかる香辛
料は、例えば、高品質のカレールウの製造等に用いるこ
とができる。次に実施例により本発明を説明する。
い200℃で5分間乾熱加熱した後、スタンプミルで粉
砕し、篩別して平均粒度300μmのものを調製した。
次いで、得られた粉状フェヌグリーク100重量部当た
り粉状アスコルビン酸2重量部を混合し、これをレトル
ト内部の原料棚に薄い層状に収納し、レトルト内に蒸気
を導入しながら105〜110℃で6分間湿熱加熱し、
その後フェヌグリークをトレイにあけ、60℃で3日間
熟成させた。このようにして処理したフェヌグリーク中
のソトロンの含量を、GC−MS(ガス・クロマトグラ
フ質量分析計)あるいはHPLC(高速液体クロマトグ
ラフ)で測定したところソトロンを379ppm含んで
おり、豊かな熟成香を有するものであった。尚、湿熱加
熱後のフェヌグリーク中のソトロン含量は80ppmで
あった。また、天日乾燥した生のフェヌグリークシード
のソトロン含量は5ppmであった。
れをアルミパウチに密封収容し、レトルトで122℃で
15分間レトルト処理した。このようにレトルト処理し
て得られたフェヌグリーク中のソトロンの含量を、実施
例1と同様にして測定したところ、ソトロンを222p
pm含んでいた。このフェヌグリークを実施例1と同じ
条件で熟成させたところ、ソトロン含量が423ppm
に増大した。
えない以外は実施例1と同様にして湿熱加熱し、その後
得られたフェヌグリーク100重量部当たり粉状アスコ
ルビン酸2重量部を混合した。これをアルミパウチに密
封収容し、レトルトで122℃で15分間レトルト処理
した。このように処理して得られたフェヌグリーク中の
ソトロンの含量を、実施例1と同様にして測定したとこ
ろ、ソトロンを200ppm含んでいた。このフェヌグ
リークを実施例1と同じ条件で熟成させたところ、ソト
ロン含量が401ppmに増大した。
Claims (9)
- 【請求項1】 フェヌグリークを含有する香辛料を10
0℃以上で乾熱加熱した後、加湿処理及び/又は加湿条
件下で100℃以上の温度で湿熱加熱し、次いで必要に
より熟成させて3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2
(5H)−フラノンの含有量を増大させる方法であっ
て、前記乾熱加熱、加湿処理、湿熱加熱及び熟成の少な
くとも1つの工程をアスコルビン酸、そのエステル及び
その塩から選ばれる少なくとも一種の存在下で行うこと
を特徴とする加工香辛料の製造方法。 - 【請求項2】 フェヌグリークを含有する粉末香辛料と
アスコルビン酸、そのエステル及びその塩から選ばれる
少なくとも一種の粉末状物を混合し、次いで乾熱加熱す
る請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 乾熱加熱後、フェヌグリークを含有する
粉末香辛料とアスコルビン酸、そのエステル及びその塩
から選ばれる少なくとも一種の粉末状物を混合し、次い
で加湿処理及び/又は湿熱加熱する請求項1記載の製造
方法。 - 【請求項4】 加湿処理及び/又は湿熱加熱後に熟成を
行う請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項5】 湿熱加熱を蒸煮又はレトルト処理によっ
て行う請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項6】 乾熱加熱を30秒間以上行う請求項1〜
5のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項7】 湿熱加熱を30秒間以上行う請求項1〜
6のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項8】 熟成を室温〜70℃で行う請求項1〜7
のいずれか1項記載の製造方法。 - 【請求項9】 熟成を10時間〜90日間行う請求項1
〜8のいずれか1項記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21935398A JP3203320B2 (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 加工香辛料の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000041617A JP2000041617A (ja) | 2000-02-15 |
JP3203320B2 true JP3203320B2 (ja) | 2001-08-27 |
Family
ID=16734119
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21935398A Expired - Lifetime JP3203320B2 (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | 加工香辛料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3203320B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003079336A (ja) * | 2001-09-10 | 2003-03-18 | Ajinomoto Co Inc | 風味原料素材、及びそれを含有する飲食品 |
JP4545772B2 (ja) * | 2006-08-11 | 2010-09-15 | ハウス食品株式会社 | 加工フェヌグリークシードの製造方法 |
-
1998
- 1998-08-03 JP JP21935398A patent/JP3203320B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000041617A (ja) | 2000-02-15 |
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