JP3203301B2 - 流量制御装置 - Google Patents

流量制御装置

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JP3203301B2
JP3203301B2 JP25009895A JP25009895A JP3203301B2 JP 3203301 B2 JP3203301 B2 JP 3203301B2 JP 25009895 A JP25009895 A JP 25009895A JP 25009895 A JP25009895 A JP 25009895A JP 3203301 B2 JP3203301 B2 JP 3203301B2
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由紀雄 内田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】この発明は自動車のパワー
ステアリング装置等に使用され、パワーソースからこの
パワーステアリング装置のアクチュエータに供給する圧
力作動流体の流量を、所定流量に制御する流量制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】流体を作動媒体として、手動操舵トルク
を助勢するパワーステアリング装置にあっては、このパ
ワーステアリング装置に作動流体を供給するパワーソー
スとして、車両に搭載した内燃機関によって駆動される
ポンプを施用することが多い。しかし、一般にパワース
テアリング装置は車両の低速走行時または停車時、換言
すれば内燃機関の低回転駆動時に十分な操舵助勢力が獲
得できることが望まれ、低速走行中よりも接地抵抗の小
さい、つまり高回転駆動時には操舵安定性の見地から、
然程操舵助勢力を必要としない。したがって、ポンプ出
力が内燃機関の回転速度に比例して増加するパワーソー
スは、そのままでは適用できない。
【0003】そこで、通常、パワーステアリング装置に
は、このパワーステアリング装置に供給される作動流体
(作動油)の流量を、内燃機関のアイドリング乃至は低
回転域では十分なパワーステアリング操作が可能なよう
にポンプ吐出油の全量とする一方、内燃機関の回転速度
がある程度高くなった場合にはオリフィスによって限局
された流量に制御し、余剰油を貯油タンクに還流させる
ようにした流量制御装置が施用される。
【0004】また、近年、操舵助勢力を必要としないス
テアリング操作の中立位置で、余剰油流量を増加させ、
パワーステアリング装置への供給油量を減じることによ
ってポンプでの仕事量を減じ、省エネルギを実現させる
流量制御装置が提案されている。
【0005】この種の流量制御装置として、例えば特開
平6−8840号公報には、スプール弁収容穴内にスプ
ール弁を摺動自在に収容して、該スプール弁収容穴内を
第1圧力室と第2圧力室に画成し、第1圧力室内には、
制御オリフィスを介して吐出通路と連通する導入通路及
び低圧側へ連通するドレン通路を開口し、第2圧力室内
には、吐出通路の圧力を導くと共に前記スプール弁を第
1圧力室側に偏倚する制御スプリングを収装して、前記
導入通路から制御オリフィスを介して吐出通路に作動油
の必要流量を導く一方、該必要流量に対する余剰油を前
記スプール弁の移動によって開閉制御されるドレン通路
に還流させる流量制御装置であって、吐出通路の圧力に
応動するバイパス弁を設けて、このバイパス弁によって
ステアリング操作の中立位置(パワーステアリング装置
の非作動状態)で吐出通路側の圧力が低下したとき、前
記第2圧力室内を低圧側と連通して、前記スプール弁に
よるドレン通路の開口面積を増大させ、パワーステアリ
ング装置への供給油量を減じるようにした流量制御装置
が開示してある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】斯かる従来例にあって
は、バイパス弁によって第2圧力室内を低圧側と連通し
て、これによって流量制御を司るスプール弁を移動さ
せ、吐出通路の油量を低下させるようにしてある。
【0007】ところで、前記第2圧力室内には前述のご
とく吐出通路の圧力を導いている。つまり、制御オリフ
ィスを通過した後の圧力を導いているから、第2圧力室
を低圧側と連通した場合には、制御オリフィスを通過し
た後の作動油が低圧側にドレンされることになる。した
がって、パワーステアリング装置(アクチュエータ)が
非作動状態にあっても作動油の一部が流通抵抗を有する
制御オリフィスを通過することになる。このために、ポ
ンプは作動油が制御オリフィスを通過するために所定の
吐出圧力を維持する必要があるから、その分、無駄な仕
事をすることになり、省エネルギを十分に達成すること
ができない虞がある。
【0008】本発明は斯かる従来の実情に鑑みて案出さ
れたもので、アクチュエータが非作動状態であって必要
とする作動油圧力が低いとき、ポンプの無駄なエネルギ
の消費を抑制して、省エネルギを十分に達成することが
できる流量制御装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、スプー
ル弁収容穴内にスプール弁を摺動自在に収容して、該ス
プール弁収容穴内を第1圧力室と第2圧力室に画成し、
第1圧力室内には、制御オリフィスを介して吐出通路と
連通する導入通路及びドレン通路を開口し、第2圧力室
内には、吐出通路の圧力を導くと共に前記スプール弁を
第1圧力室側に偏倚する制御スプリングを収装して、前
記導入通路から制御オリフィスを介して吐出通路に作動
油の必要流量を導く一方、該必要流量に対する余剰油を
前記スプール弁の移動によって開閉制御されるドレン通
路に還流させる流量制御装置において、前記スプール弁
を、底部に貫通孔を有する有底筒状の外側スプールと、
この外側スプールの円筒部内周に嵌挿される大径部と貫
通孔内に嵌挿される小径部を有する内側スプールとから
構成し、前記外側スプールの底部を第2圧力室に臨ませ
ると共に、この外側スプールの円筒部内周と内側スプー
ルの小径部外周との間に、ダンパオリフィスを介してド
レン通路と連通する低圧室を形成する一方、前記内側ス
プールに前記制御スプリングを作用させ、更に、該内側
スプールと外側スプールとの間に、内側スプールを第1
圧力室側に付勢し、外側スプールを第2圧力室側に付勢
するばね部材を付属させた構成にしてある。
【0010】また、前記ばね部材を前記低圧室内に収装
した構成にしてある。
【0011】斯かる構成にあっては、ポンプから吐出さ
れる作動油が導入通路を介して第1圧力室内に導かれ
る。第1圧力室内に導かれた作動油は、制御オリフィス
を通過する制限流動と、この制御オリフィスの前後差圧
に基づくスプール弁の移動によるドレン通路の解放の際
にのみ生じるのであるが、第1圧力室内からドレン通路
を通ってポンプ吸入室及び貯油タンクに逃げる余剰油流
動とに分流される。これにより、制御オリフィスによる
制限の下に必要な流量の作動油が吐出通路からアクチュ
エータに導かれ、例えば、パワーステアリング装置にあ
っては必要な操舵助勢力を得る。
【0012】ここで、本発明にあっては、スプール弁が
内側スプールと外側スプールとから構成され、これら内
側スプールと外側スプールとの間に、内側スプールを第
1圧力室に付勢し、外側スプールを第2圧力室側に付勢
するばね部材を付属させてあり、制御スプリングは内側
スプールに作用している。したがって、第1圧力室内及
び第2圧力室内の圧力が低いときは、外側スプールがこ
れに付属するばね部材によって付勢され、外側スプール
と内側スプールとの相対関係において外側スプールが第
2圧力室側に最も近い位置に在り、この状態でスプール
弁は制御オリフィスの前後差圧と制御スプリングのばね
力との釣合いによって流量制御を司る。また、第1圧力
室内及び第2圧力室内の圧力が高いときは、外側スプー
ルが第2圧力室内の圧力によって、ダンパオリフィスに
よる減衰作用を受けつつ、ばね部材のばね力に抗して第
1圧力室側に移動して所定の釣合い位置に至り、その位
置でスプール弁は流量制御を司る。
【0013】即ち、第1圧力室内の圧力が低いとき即ち
ポンプ内圧力が低いときは、外側スプールがばね部材に
よって第2圧力室側に付勢された位置に在り、この状態
で内側スプールと一体となってスプール弁を構成してい
る。したがって、スプール弁は制御スプリングのばね力
及び制御オリフィスの前後差圧に基づいて移動し、制御
オリフィスを通過する流量は図5のA−Bで示す流量と
なる。
【0014】次に、第1圧力室内の圧力が上昇すると制
御オリフィスを通過する流量も増加し、吐出通路の圧力
も増加する。したがって、吐出通路内の圧力が導かれる
第2圧力室内の圧力が増加することになる。この第2圧
力室内の圧力が増加してばね部材のばね力に勝ると、こ
のばね部材のばね力が第2圧力室内の圧力に釣り合う位
置まで外側スプールはダンパオリフィスによる減衰作用
を受けつつ第1圧力室側に移動し、ドレン通路の開口面
積を小さくする。ドレン通路の開口面積が小さくなる
と、その分、制御オリフィスの前後差圧が大きくなるか
ら、スプール弁はこの差圧を一定に保つために制御スプ
リングのばね力に抗して第2圧力室側に移動し、制御オ
リフィスの前後差圧と、ばね部材及び制御スプリングの
ばね力とが釣り合う位置で流量制御を司る。これによ
り、制御オリフィスを通過する流量は図5のB−Cで示
す流量となる。
【0015】第1圧力室内及び第2圧力室内の圧力が所
定圧力に達すると、外側スプールはばね部材を最も押し
縮めて第1圧力室側に最も近付く。この状態で、スプー
ル弁は制御スプリング及び制御オリフィスの前後差圧に
応動して流量制御を司り、制御オリフィスを通過する流
量は図5においてC−Dで示す流量に制御される。この
流量がアクチュエータに供給される最大流量で、通常こ
の流量に制御されることになる。
【0016】一方、アクチュエータの非作動状態(例え
ば、パワーステアリング装置の中立位置)では、吐出通
路の作動圧力が低下するから第2圧力室の圧力も低下す
る。したがって、スプール弁は制御オリフィスの前後差
圧を一定に保つために第2圧力室内の制御スプリングの
ばね力に抗して第2圧力室側に移動し、ドレン通路の開
口面積を増大させる。これにより、導入通路から第1圧
力室内に導入された作動油の多くがドレン通路に流入す
ることになり、ポンプ内圧力(吐出圧力)が低下し、ポ
ンプの仕事量が減じられる。
【0017】これと同時に、アクチュエータが非作動状
態で吐出通路内の圧力が低下し、第2圧力室内の圧力が
低下すると、この第2圧力室内の圧力を受ける外側スプ
ールは、この外側スプールに付属するばね部材のばね力
によって第2圧力室側に移動する。このとき外側スプー
ルはダンパオリフィスによる減衰作用を受けつつ移動し
て釣合い位置に至り、ドレン通路の開口面積を増大させ
る。
【0018】つまり、内外二重のスプールから構成され
るスプール弁が、制御オリフィスの前後差圧即ち第1圧
力室内の圧力と第2圧力室内の圧力に制御スプリングの
ばね力を加えた力とが釣り合う位置にある場合、外側ス
プールが第2圧力室側に移動した分、スプール弁よって
開口されるドレン通路の開口面積が更に増大することに
なる。
【0019】これによって、第1圧力室に供給された作
動油は、アクチュエータが作動油を必要としない非作動
状態において、開口面積が増大したドレン通路を介して
ポンプ吸入側及び貯油タンク側に還流されることによ
り、導入通路を介して第1圧力室に作動油を吐出するポ
ンプは、その吐出圧力が減じられて仕事量が減じられ、
省エネルギが有利に達成される。
【0020】この場合に、外側スプールは、この外側ス
プールに付属するばね部材と第2圧力室内の圧力との釣
り合いによって移動し、ドレン通路の開口面積を変化さ
せる。したがって、この外側スプールを移動させるため
に、ポンプ吐出油の一部が制御オリフィスを通過するこ
とがないから、ポンプ吐出圧力を所定圧力に維持する必
要がなく、ポンプの無駄なエネルギの消費を抑制して、
省エネルギを達成することができる。
【0021】また、外側スプールが内側スプールに対し
て相対移動する際に、作動油が低圧室内とドレン通路と
の間をダンパオリフィスを介して流通することにより、
外側スプールの移動運動に対して流通抵抗による減衰力
が与えられる。したがって、導入通路や吐出通路に急激
な圧力変動が生じた場合であっても、この圧力変動に伴
ってスプール弁の共振現象が生ずることを有利に防止で
きる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を、
ベーンポンプに一体化したパワーステアリング装置の流
量制御弁に適用した態様として、図面に基づいて詳述す
る。
【0023】図1はこの発明の実施の形態を示す、ベー
ンポンプに一体化した流量制御装置の断面図である。図
において1はポンプボディ、2はポンプカバーである。
これらポンプボディ1とポンプカバー2との間に環状凹
部3が形成され、この環状凹部3内にはポンプユニット
4が収装してある。このポンプユニット4は、複数のベ
ーン5を半径方向に出没自在に取付けたロータ6をカム
リング7内に収装し、このカムリング7の両側をサイド
プレート8,9によって挟持した構造を備えている。そ
して、カムリング7、ロータ6及び隣合うベーン5間に
ポンプ室10が形成される。このポンプ室10はロータ
6の回転によってその容積が変化し、この変化によって
容積増加する部分に吸入区間が形成され、容積が減少す
る部分に吐出区間が形成してある。この吐出区間に面す
るサイドプレート8,9には、半径方向外方に解放する
切欠き通路8a,9aが形成され、ポンプの吐出油をカ
ムリング7外周の環状凹部3の吐出室11内に吐出する
ようにしてある。
【0024】前記ポンプボディ1には、図外のパワース
テアリング装置のアクチュエータに連通する吐出通路1
2、前記吸入区間のポンプ室10と図外の貯油タンクと
を連通する低圧通路13及び一端が封止されたスプール
弁収容穴14がそれぞれ形成してある。また、前記サイ
ドプレート9には、吐出室11と吐出通路12とを連通
する制御オリフィス15が形成してある。
【0025】前記一端が封止されたスプール弁収容穴1
4内には、内側スプールと51と外側スプール52とか
らなるスプール弁50が摺動自在に嵌挿されており、こ
のスプール弁50は、スプール弁収容穴14内部を第1
圧力室16と第2圧力室17とに画成すると共に、第2
圧力室17内に収装した制御スプリング18のばね力を
もって常時第1圧力室16側に偏倚され、常態にあって
そのランド部19(詳しくは外側スプール52のランド
部)で図外の貯油タンクに連通するドレン通路20を閉
止している。また、スプール弁50によって画成された
第1圧力室16の開口端は前記吐出室11に臨み、ポン
プ吐出油を導く導入通路21を形成している。
【0026】前記内外二重のスプール弁50の外側スプ
ール52は、全体として有底筒状でその底部52bに貫
通孔53を有し、内側スプール51は、外側スプール5
2の円筒部52a内周に嵌挿される大径部51aと、同
じく貫通孔53内に嵌挿される小径部51bを有してお
り、前記外側スプール52の円筒部52aが第1圧力室
16に臨み、底部52bが第2圧力室17に臨むように
配置してある。
【0027】また、前記外側スプール52には、前記ド
レン通路20に連通する周溝54とこの周溝54の底部
に開口する半径方向のダンパオリフィス55が形成さ
れ、この外側スプール52の円筒部52a内周と前記内
側スプール51の小径部51bの外周との間に、前記ダ
ンパオリフィス55を介してドレン通路20に連通する
低圧室56を形成してある。
【0028】57は前記内側スプール51の外周に取付
けられ、制御スプリング18を支持するばね受け部材で
ある。このばね受け部材57は前記外側スプール52の
第2圧力室17側への最大移動位置を規制する停止部材
を兼ねている。また、58は内側スプール51と外側ス
プール52との間に配置されたばね部材で、このばね部
材58は、前記低圧室56内に収容され、内側スプール
51を第1圧力室16側に付勢し、かつ外側スプール5
2を第2圧力室17側に付勢している。
【0029】また、前記ポンプボディ1には図2に示す
ように、前記吐出通路12に通路22を介して連通し、
図外のパワーステアリング装置即ちアクチュエータに作
動油を導く吐出口23が形成してある。また、前記低圧
通路13にその底部で連通する段付き穴24が形成して
あり、この段付き穴24の開口端はシールリング25に
よる封止の下にプラグ26で閉塞してある。この段付き
穴24の開口端側は、斜孔27及び感圧オリフィス28
を介して前記吐出通路12に連通している。更に、前記
段付き穴24の開口端側と前記第2圧力室17内とを連
通する感圧通路29が形成してあり、段付き穴24の開
口端側を経由して前記吐出通路12内の圧力を前記第2
圧力室17内に導くようにしてある。
【0030】前記段付き穴24内には、球弁30をその
押子31と共にチェックスプリング32で偏倚して段付
き穴24内に挿入した中空尾栓33の弁座に適合させた
リリーフ弁34が設けてある。このリリーフ弁34のリ
リーフ動作で、斜孔27を介して導かれる吐出通路12
における圧力超過を回避する。なお、35は中空尾栓3
3のプラグ26側端部に設けたフィルタである。
【0031】なお、36は前記ロータ6を回転駆動する
駆動軸、37、38は前記駆動軸36を支承する軸受
け、39はシール部材である。
【0032】斯かる構成によれば、前記駆動軸36によ
ってロータ6が回転され、この回転によってその容積が
拡大するポンプ室10内に低圧通路13から作動油が吸
入され、ポンプ作用を受けた後、吐出区間のポンプ室1
0内吐出室11内に吐出される。その後、吐出室11内
から導入通路21を経て第1圧力室16内に導かれたポ
ンプ吐出油が、制御オリフィス15、吐出通路12、通
路22及び吐出口23を介して図外のパワーステアリン
グ装置のアクチュエータに導かれる。
【0033】このとき、図1に示す常態にあっては、前
記内外二重のスプールから構成されるスプール弁50
は、外側スプール52がばね部材61によって付勢され
てその底部52bが停止部材を兼ねるばね受け57に当
接した状態で、制御スプリング17によって前記第1圧
力室16側に付勢され、その胴部のランド部19(詳し
くは外側スプールのランド部)でドレン通路20を閉塞
しており、第1圧力室16内に導入されたポンプ吐出油
はその全量が制御オリフィス15を介して図外のアクチ
ュエータに導かれる。一方、ポンプの回転速度が増加し
てポンプ吐出油量が増加し、第1圧力室16内に導入さ
れるポンプ吐出油量が増加すると、制御オリフィス15
による制限流動の下に第1圧力室16内の作動油が吐出
通路12に導かれる一方で、この制御オリフィス15の
前後差圧に基づいてスプール弁50が図3に示す如く右
方向に移動して制御スプリング17を所定の長さになる
まで押し縮め、ドレン通路20を開き、このドレン通路
20から余剰油を図外の貯油タンクに還流させる。
【0034】ここで、本発明にあっては、スプール弁5
0が内側スプール51と外側スプール52とから構成さ
れ、これら内側スプール51と外側スプール52との間
に、内側スプール51を第1圧力室16側に付勢し、外
側スプール52を第2圧力室17側に付勢するばね部材
58を付属させてあり、制御スプリング18は内側スプ
ール51に作用している。これにより、第1圧力室16
内及び第2圧力室17内の圧力が低いときは、外側スプ
ール52がばね部材58によって第2圧力室17側に付
勢され、その底部52bが停止部材57で停止した位置
に在り、スプール弁50は、制御スプリング18を所定
長さ(L1)まで押し縮めて、この制御スプリング18
のばね力と制御オリフィス15の前後差圧に基づいて移
動し、流量を制御する(図3参照)。一方、第1圧力室
16内及び第2圧力室17内の圧力が高いときは、外側
スプール52が第2圧力室16内の圧力によってばね部
材58のばね力に抗して第1圧力室16側に移動して円
筒部52aの端部が内側スプール51の鍔部59に当接
した位置に至る(図4参照)。したがって、外側スプー
ル52が移動してスプール弁50とドレン通路20との
相対位置が変化することになるから、スプール弁50は
制御スプリング18を更に押し縮めて(寸法L2)、こ
の制御スプリング18のばね力に第2圧力室17内の圧
力による力を加えた力と、第1圧力室16内の圧力によ
る力にばね部材58のばね力を加えた力との釣り合いに
よって移動し、流量制御を司ることになる。
【0035】一方、アクチュエータの非作動状態、つま
りパワーステアリング装置の中立位置では、吐出通路1
2の作動圧力が低下するから、制御オリフィス15の前
後差圧を一定に保つために、スプール弁50は第2圧力
室内17の制御スプリング18のばね力に抗して第2圧
力室17側に移動し、ドレン通路20の開口面積を増大
させる。これにより、導入通路21から第1圧力室16
内に導入された作動油の多くがドレン通路20に流入す
ることになり、ポンプ内圧力が低下し、ポンプの仕事量
が減じられることになる。
【0036】これと同時に、アクチュエータが非作動状
態で吐出通路12内の圧力が低下すると、第2圧力室1
7内の圧力も低下することになる。これにより、第2圧
力室17内の圧力を受ける外側スプール52は、この外
側スプール52に付属するばね部材58のばね力によっ
て第2圧力室17側に移動し、外側スプール52の底部
52aが停止部材を兼ねるばね受け部材57に当接した
位置で停止する。
【0037】したがって、スプール弁50が、制御オリ
フィス15の前後差圧即ち第1圧力室16内の圧力と第
2圧力室17内の圧力に制御スプリング18のばね力を
加えた力と釣り合う位置にある場合、外側スプール52
が第2圧力室17側に移動した分、ドレン通路20の開
口面積が更に増大することになる。
【0038】これによって、第1圧力室16内に供給さ
れた作動油は、アクチュエータが作動油を必要としない
非作動状態において、外側スプール52の移動によって
開口面積が増大したドレン通路20を介して図外のポン
プ吸入側及び貯油タンク側に還流される。したがって、
導入通路21を介して第1圧力室16に作動油を吐出す
るポンプは、その吐出圧力が低下して仕事量が減じら
れ、省エネルギが有利に達成される。
【0039】また、第1圧力室16と第2圧力室17と
の圧力によって外側スプール52が内側スプール51に
対して相対移動する際に、作動油が低圧室56内とドレ
ン通路20との間をダンパオリフィス55を介して流通
することにより、外側スプール52の移動運動に対して
流通抵抗による減衰力が与えられる。したがって、導入
通路21や吐出通路12に急激な圧力変動が生じた場合
であっても、この圧力変動に伴ってスプール弁50の共
振現象が生ずることを有利に防止できる。
【0040】更に、外側スプール52は内側スプール5
1と内外二重構造をもってスプール弁50を構成するこ
とにより、流量制御弁が格別長大化することがない。
【0041】以上、実施の形態を図面に基づいて説明し
たが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものでは
なく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、ばね部材58を低圧室56内に配置した構造に
ついて述べたが、このばね部材は内側スプール51と外
側スプール52との間に配置され、これら内外スプール
51,52を相互に逆向きに付勢するものであるから、
外側スプール52の円筒部52a端面と内側スプール5
1の鍔部59との間に配置することも可能である。
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、アクチュエータが非作動状態であって、必要とする
作動油圧力が低いとき、ポンプの無駄なエネルギの消費
を抑制することができる。したがって、省エネルギを十
分に達成することができる流量制御装置が得られる。
【0043】また、外側スプールが内側スプールに対し
て相対移動する際に、作動油が低圧室内とドレン通路と
の間をダンパオリフィスを介して流通することにより、
外側スプールの移動運動に対して流通抵抗による減衰力
が与えられる。したがって、導入通路や吐出通路に急激
な圧力変動が生じた場合であっても、この圧力変動に伴
ってスプール弁の共振現象が生ずることを有利に防止で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す、ベーンポンプに一
体化した流量制御装置の断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第1圧力室内の圧力が高く、スプール弁全体が
第2圧力室側に移動した状態を示す断面図である。
【図4】第1圧力室内及び第2圧力室内の圧力が共に高
く、スプール弁全体が第2圧力室側に移動し、且つ外側
スプールが第1圧力室側に移動した状態を示す断面図で
ある。
【図5】流量制御特性を示す線図である。
【符号の説明】
12 吐出通路 14 スプール弁収容穴 15 制御オリフィス 16 第1圧力室 17 第2圧力室 18 制御スプリング 20 ドレン通路 21 導入通路 50 スプール弁 51 内側スプール 51a 大径部 51b 小径部 52 外側スプール 52a 円筒部 52b 底部 53 貫通孔 55 ダンパオリフィス 56 低圧室 58 ばね部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/06 - 5/30 B62D 6/00 - 6/02 F16K 17/18 - 17/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スプール弁収容穴内にスプール弁を摺動
    自在に収容して、該スプール弁収容穴内を第1圧力室と
    第2圧力室に画成し、第1圧力室内には、制御オリフィ
    スを介して吐出通路と連通する導入通路及びドレン通路
    を開口し、第2圧力室内には、吐出通路の圧力を導くと
    共に前記スプール弁を第1圧力室側に偏倚する制御スプ
    リングを収装して、前記導入通路から制御オリフィスを
    介して吐出通路に作動油の必要流量を導く一方、該必要
    流量に対する余剰油を前記スプール弁の移動によって開
    閉制御されるドレン通路に還流させる流量制御装置にお
    いて、前記スプール弁を、底部に貫通孔を有する有底筒
    状の外側スプールと、この外側スプールの円筒部内周に
    嵌挿される大径部と貫通孔内に嵌挿される小径部を有す
    る内側スプールとから構成し、前記外側スプールの底部
    を第2圧力室に臨ませると共に、この外側スプールの円
    筒部内周と内側スプールの小径部外周との間に、ダンパ
    オリフィスを介してドレン通路と連通する低圧室を形成
    する一方、前記内側スプールに前記制御スプリングを作
    用させ、更に、該内側スプールと外側スプールとの間
    に、内側スプールを第1圧力室側に付勢し、外側スプー
    ルを第2圧力室側に付勢するばね部材を付属させたこと
    を特徴とする流量制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ばね部材は前記低圧室内に収装され
    てなる、請求項1記載の流量制御装置。
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