JP3202975B2 - 環状イミノエーテル基含有重合体およびその製造方法 - Google Patents

環状イミノエーテル基含有重合体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状イミノエーテ
ル基含有重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系、スチレン−アクリロニトリ
系等の重合体の側鎖の一部にオキサゾリン基等の環状
イミノエーテル基を導入した環状イミノエーテル基含有
重合体は、環状イミノエーテル基の高い反応性を利用し
て、高分子架橋剤、高分子相溶化剤等として実用化され
ている。
【0003】環状イミノエーテル基含有重合体は、主に
環状イミノエーテル基含有単量体と他の単量体とをラジ
カル重合する方法によって製造されている。溶液重合で
は溶解状態で、懸濁重合では分散状態でそれぞれ環状イ
ミノエーテル基含有重合体が得られるため、これらの状
態から溶剤、未反応の単量体、揮発性の副生物等の揮発
性成分を分離除去する必要がある。例えば、重合終了後
の重合体を含む反応液を、揮発性成分は溶解するが重合
体は溶解しない溶剤中に添加し、揮発性成分を抽出除去
する方法(特開昭58−162616号公報)、フラッ
シュ蒸発器を用いて揮発性成分を蒸発させた後、後に残
された重合体を溶融した状態で抜き出しする方法(特開
昭61−276807号公報、特開昭62−12933
4号公報、特開平3−205411号公報)、重合終了
後の重合体を含む反応液を直接に、または予め加熱乾燥
した後にスクリュー式脱揮押出機に供給して揮発性成分
を除去する方法(特開昭59−126411号公報、特
開昭59−58006号公報、特開昭57−13581
4号公報、特開昭50−40687号公報、特開昭50
−40688号公報、特開昭57−49603号公報、
特開昭63−147501号公報、特開平3−4992
5号公報)等が提案されている。
【0004】これらの方法のいくつかは実際に工業上の
プロセスとしても採用されており、従来はそれで揮発性
成分量を実用上問題のない程度にまで十分低減できてい
るものと考えられてきた。それは、揮発性成分量がごく
少量である場合にはそれを定量分析する手段が存在しな
かったことにも起因するし、またそのために揮発性成分
の残存量に対する認識ないし規制が現在よりも緩かった
ことにも起因する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年環
境問題がますます重要視されるようになり、また分析手
段も進歩して従来は「検出限界以下」であった少量の残
存量についても定量が可能となったことから、従来の残
存量では問題となる場合が生じてきた。特に揮発性成分
の中でも毒性の強い環状イミノエーテル基含有単量体に
ついては、残存量をさらに低減させることが要求される
ようになってきた。
【0006】したがって、本発明の課題は、環状イミノ
エーテル基含有単量体の残存量が極めて低減された環状
イミノエーテル基含有重合体およびその製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、以下の構成を提供する。 (1) 環状イミノエーテル基含有単量体、スチレンおよび
必要に応じてその他の単量体(ただし、アクリル酸エス
テルを除く)を含む単量体成分を重合することにより得
られる、下記一般式(a)で表される環状イミノエーテ
ル基含有単量体単位を0.1モル%以上含有し、かつス
チレン単位を含有する環状イミノエーテル基含有重合体
であって、残存する環状イミノエーテル基含有単量体の
量が15ppm以下であることを特徴とする、環状イミ
ノエーテル基含有重合体。
【化2】 [式中、R 1 は水素原子またはアルキル基を表し、Xは
独立して水素原子または炭素数18以下の炭化水素基を
表し、nは1〜5の整数を表す。] (2) 環状イミノエーテル基含有単量体を含む単量体成分
をラジカル重合して環状イミノエーテル基含有重合体を
得た後、加熱減圧処理により揮発性成分を除去する脱揮
工程を行う環状イミノエーテル基含有重合体の製造方法
であって、前記脱揮工程は、ベントタイプスクリュー押
出機を使用し、160〜320℃で加熱減圧処理するこ
とにより行われ、かつ前記脱揮工程中に、環状イミノエ
ーテル基と反応可能な化合物を添加することを特徴とす
る、環状イミノエーテル基含有重合体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、環状イミノエーテル
基含有単量体の残存量を低減させる手段として、最も効
率の良い「加熱減圧処理により揮発性成分を除去する脱
揮」を採用し、これをさらに改良したものである。単量
体の残存量を低減させる手段としては、例えば、無限に
精製を行うという方法も考えるが、コストと時間がかか
る割には効果は高くないため、工業的に優れたプロセス
とは言い難い。すなわち、本発明では、ベントタイプス
クリュー押出機を用いた加熱減圧処理により揮発性成分
を除去する脱揮工程中に、環状イミノエーテル基と反応
可能な化合物を添加するという簡便な手法により、環状
イミノエーテル基含有単量体の残存量を特異的に低減で
きたものである。
【0009】以下、本発明をさらに詳しく説明する。本
発明における環状イミノエーテル基含有単量体とは、環
状イミノエーテル基と重合性ビニル基とを有する化合物
であり、具体的には下記一般式(1)で表される。
【0010】
【化1】
【0011】[式中、R1は水素原子またはアルキル基
を表し、Xは独立して水素原子または炭素数18以下の
炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表す。] 上記一般式(1)の環状イミノエーテル基含有単量体の
中でも、共重合性がよい点でn=2のオキサゾリン基含
有単量体が好ましい。具体的には、2−ビニル−2−オ
キサゾリン、5−メチル−2−ビニル−2−オキサゾリ
ン、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリ
ン、4,4−ジメチル−2−ビニル−5,5−ジヒドロ
−4H−1,3−オキサゾリン、2−イソプロペニル−
2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−イソプロペ
ニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。特に下記式
(2)で示される2−イソプロペニル−2−オキサゾリ
ンや、下記式(3)で示される4,4−ジメチル−2−
イソプロペニル−2−オキサゾリンが入手が容易で、共
重合性が良好であるため好ましい。
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】本発明において単量体成分は必要に応じて
環状イミノエーテル基含有単量体と共重合可能な他の単
量体を含んでいてもよい。そのような他の単量体として
は、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ただ
し、アクリル酸エステルを除く)、芳香族ビニル系単量
体およびシアン化ビニル系単量体を挙げることができ
る。これら他の単量体は単独で用いてもよいし、2種以
上併用してもよい。
【0015】不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量
(ただし、アクリル酸エステルを除く)としては、例
えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、is
o-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-
エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレ
ート、iso-ノニルメタクリレート、ドデシルメタクリレ
ート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これ
らの中でも脂肪族アルキルメタクリレートが好ましく、
メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0016】芳香族ビニル系単量体としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これら
の中でもスチレンが特に好ましい。シアン化ビニル系単
量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等が挙げられる。これらの中でもアクリロニト
リルが特に好ましい。単量体成分中の環状イミノエーテ
ル基含有単量体の使用割合は特に限定されるものではな
いが、重合体中に環状イミノエーテル基含有単量体単位
を0.1モル%以上含有することが好ましいので、単量
体成分中の環状イミノエーテル基含有単量体の使用割合
も0.1モル%以上であることが好ましく、0.1〜5
0モル%であることがより好ましく、1〜30モル%で
あることがさらに好ましい。
【0017】環状イミノエーテル基含有単量体を含む単
量体成分をラジカル重合する方法は特に限定されず、溶
液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合のいずれも可能
である。溶液重合に用いられる溶媒としては、例えば、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
類;iso−ブタノール等の脂肪族アルコール類;エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエー
テル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
これら溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上
を適宜混合して用いてもよい。
【0018】また、単量体成分をラジカル重合させる際
には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤と
しては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾ
イルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等
のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定される
ものではない。上記ラジカル重合により揮発性成分を含
む環状イミノエーテル基含有重合体が得られる。揮発性
成分とは、原料に含まれる揮発性成分および反応中に副
生する揮発性成分であり、溶剤、未反応の単量体、揮発
性の副生物等が挙げられる。揮発性成分の量は通常、環
状イミノエーテル基含有重合体と揮発性成分の合計量の
10〜80重量%程度であり、さらには20〜60重量
%程度である。
【0019】本発明では、該重合体を得た後、加熱減圧
処理により揮発性成分を除去する脱揮工程の際に、環状
イミノエーテル基と反応可能な化合物を添加することが
重要である。これにより、揮発性成分の中で特異的に環
状イミノエーテル基含有単量体の残存量を低減させるこ
とができる。該化合物が脱揮温度において揮発性である
場合は、製品中に残存したり剰余の反応を生じたりする
ことが少なく、さらに好ましい。
【0020】環状イミノエーテル基と反応可能な化合物
としては、水;カルボン酸基含有化合物(酢酸、プロピ
オン酸、吉草酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸等の芳
香族カルボン酸);フェノール性水酸基含有化合物(フ
ェノール、クレゾール、ナフトール等);チオール基含
有化合物(エチルメルカプタン、ベンゼンチオール等)
が挙げられる。これらの化合物は、脱揮温度において揮
発性であり好ましいものであるが、これらのうちでも最
も好ましくは水である。水は、本発明の脱揮条件下等で
は、環状イミノエーテル基を持つ単量体の環状イミノエ
ーテル基部分と選択的に反応し、系内に存在する環状イ
ミノエーテル基を持つ重合体の環状イミノエーテル基と
は、反応しにくい。つまり、水は、系内に存在する環状
イミノエーテル基を持つ重合体の環状イミノエーテル基
とは実質的に反応しない化合物であるので、水の添加
は、本発明の製造方法の実施においては好ましい実施形
態である。
【0021】これら環状イミノエーテル基と反応可能な
化合物は、減圧操作により揮発性成分を分離する工程の
前段で重合体に添加混合された後、減圧分離されるよう
に添加されればよく、これらの操作はバッチ的または連
続的に行うことができる。中でも押出機を用いてこれら
の操作を連続的に行うと効率がよい。この場合、環状イ
ミノエーテル基と反応可能な化合物は、脱揮工程中の添
加、すなわち、押出機の原料入口と製品出口との間に設
けた注入口を介して添加するようにすれば、添加した該
化合物やその反応物は、ベントを通じて揮発除去される
ため、回収再使用する溶剤や未反応単量体に混入するこ
とがなく、操作が容易となり、特に好ましい。
【0022】環状イミノエーテル基と反応可能な化合物
は、液体の場合はそのまま添加すればよく、固体の場合
は液体に溶解または分散させて添加することが好まし
い。このとき用いる液体としては前記固体と反応しない
ものであれば特に制限はなく、環状イミノエーテル基と
反応しうるものであっても、反応しないものであっても
よい。
【0023】環状イミノエーテル基と反応可能な化合物
の添加量としては、重合体に対し0.01〜10重量%
の範囲が好ましく、0.1〜2重量%の範囲がより好ま
しい。0.01重量%未満では添加効果が少なく、10
重量%を越えると発泡が激しくなり、安定して脱揮操作
を行うことが困難になる。また、反応を促進するため
に、上記環状イミノエーテル基と反応可能な化合物とと
もに触媒を添加してもよい。例えば、水による加水分解
を促進するために、水に強酸性の化合物を溶解して添加
する等してもよい。強酸性化合物としては、硫酸、硝
酸、塩酸、トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸等が
挙げられる。
【0024】本発明で脱揮機として、脱揮能力が高
ントタイプスクリュー押出機を使用する。本発明で好
適に用いられるベントタイプスクリュー押出機の概略図
を図1に示す。ベントタイプスクリュー押出機は1軸ま
たはそれ以上の軸を有する。効率及び入手のし易さから
2軸が好ましい。
【0025】ベントタイプスクリュー押出機1はシリン
ダー10を有している。シリンダー10は、通常、複数
の部分(バレル)から構成されており、シリンダー10
の側面にはベント口が設けられている。ベント口は、原
材料の供給部2より後方にリアベント3を、前方に複数
個、例えば2〜5個のフォアベント(この図では3個の
フォアベント5a、5b、5c)をそれぞれ設けてお
く。フォアベントの数が1個では揮発性成分の除去効率
が低下するおそれがあり、6個以上用いても除去効率は
変わらない場合が多い。原材料からの脱揮が進むととも
に排気圧力を徐々に低下させていくと脱揮率が大幅に改
善されるので好ましい。リアベント3の圧力は300〜
760mmHgが好ましく、重合体出口4付近のベント
口5cでの圧力は600mmHg以下が好ましく、40
0mmHg以下がより好ましい。各ベント部の圧力は真
空ポンプを用いて所定の圧力となるように排気すればよ
い。図1中、6はスクリュー駆動部、7は原材料貯留槽
である。
【0026】本発明において環状イミノエーテル基と反
応しうる化合物の添加方法は、特に限定されないが、前
述したことから、フォアベントを設けた領域に設けられ
た注入口9…を介して注入する方法が好ましい。各注入
口9は圧力調整弁としての背圧弁11を介してそれぞれ
供給源12に結合されていることが好ましい。押出機の
シリンダー温度は、160〜320℃であり、より好ま
しくは200〜300℃である。シリンダー温度が16
0℃より低いと揮発性成分を効率良く除去できない。シ
リンダー温度が320℃より高いと重合体の劣化を引き
起こすおそれがある。
【0027】以上説明したような製造方法によって、本
発明の環状イミノエーテル基含有重合体を得ることがで
きる。すなわち、環状イミノエーテル基含有単量体単位
を0.1モル%以上含有し、かつスチレン単位を含有
し、残存する環状イミノエーテル基含有単量体の量が1
5ppm以下、好ましくは10ppm以下、更に好まし
くは5ppm以下であることを特徴とするものである。
【0028】重合体中の環状イミノエーテル基含有単量
体単位は0.1モル%以上であり、0.1〜50モル%
であることが好ましく、1から30モル%であることが
より好ましく、1〜20モル%がさらに好ましく、1〜
10モル%が最も好ましい。環状イミノエーテル基含有
単量体の使用割合が0.1モル%未満の場合には、重合
体に環状イミノエーテル基に起因する特徴を付与できな
い。一方、環状イミノエーテル基含有単量体の使用割合
が50モル%を越える場合には、加工性や成形性が低下
するおそれがある。
【0029】重合体に残存する環状イミノエーテル基含
有単量体の量はガスクロマトグラフィー(GC)により
測定することができる。本発明の環状イミノエーテル基
含有重合体の重量平均分子量としては、1,000〜
1,000,000の範囲にあることが好ましく、5,
000〜500,000の範囲にあることがより好まし
い。
【0030】本発明の環状イミノエーテル基含有重合体
は、上記したように環状イミノエーテル基含有単量体の
残存量が極めて少ないものであるが、もちろん他の揮発
性成分の残存量も少ないことが好ましい。具体的には、
溶剤を含む場合は500ppm以下であることが好まし
く、未反応単量体を含む場合は500ppm以下である
ことが好ましく、また、これら揮発性成分の総量として
1000ppm以下であることが好ましい。
【0031】本発明の環状イミノエーテル基含有重合体
は、環状イミノエーテル基の高い反応性を利用して高分
子架橋剤、高分子相溶剤等として利用することができ
る。
【0032】
【実施例】以下に実施例と比較例によりさらに詳細に本
発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。実施例中で「部」、「%」とは特にことわりがな
い限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものと
する。 (1) 揮発性成分の残存量の測定 ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。
【0033】すなわち、長さ2mのガラスカラム、充填
剤PEG6000+KOH 10+10%(島津製作所
製)を用い、温度条件としては注入部温度150℃、検
出部温度200℃、カラム温度60℃で10分間保持し
た後8℃/分で82℃まで昇温し、同温度で20分間保
持した。検出器はFID、キャリアガスは窒素を流量5
0ml/minで用いた。
【0034】実施例および比較例で得られた重合体ペレ
ットをTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し、約10
倍重量としたものを試料とし、マイクロシリンジを用い
てGC装置に10μl注入し測定した。本方法で測定し
たとき、重合体中の残存環状イミノエーテル基含有単量
体の検出限界は5ppmであった。 (2) 重合体中の環状イミノエーテル基含有単量体単位の
含有量の定量 赤外吸収スペクトル(IR)の吸収強度から検量線を作
成し、重合体が有するオキサゾリン基およびベンゼン環
の量を求めた。オキサゾリン基は2−イソプロペニル−
2−オキサゾリンに由来し、波数1655cm-1に吸収
を持つ。また、ベンゼン環はスチレンに由来し、波数1
600cm-1に吸収を持つ。 <実施例1>スチレン95部、2−イソプロペニル−2
−オキサゾリン5部をトルエン100部を溶剤として、
溶液重合法により常法に従って重合したところ、固形分
42%の重合体溶液が得られた。
【0035】上記重合体溶液を、減圧した図1に示すベ
ントタイプスクリュー2軸押出機に通し、押出機途中に
設置した注入口9よりダイヤフラム式定量ポンプでイオ
ン交換水を注入しながら脱揮した。押出機出口から出て
きた重合体をペレタイザーによりペレット化した。無色
透明な重量平均分子量(Mw)が18万の重合体ペレッ
トが得られた。
【0036】なお、ベントタイプスクリュー2軸押出機
の脱揮条件は次のとおりであった。 バレル温度:220℃ 回転数:120rpm ベント圧力 リアベント3 :670mmHg フォアベント5a:215mmHg フォアベント5b: 20mmHg フォアベント5c: 10mmHg 樹脂処理量:25kg/hr イオン交換水注入量:0.25kg/hr(注入口9
a、9b、9cとも) <実施例2>スチレン95部および2−イソプロペニル
−2−オキサゾリン5部を、スチレン89.4部および
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン10.6部に変
更する以外は、実施例1と同様にして、無色透明な重合
体ペレットを得た。 <実施例3>スチレン95部および2−イソプロペニル
−2−オキサゾリン5部を、スチレン78.9部および
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン21.1部に変
更する以外は、実施例1と同様にして、無色透明な重合
体ペレットを得た。 <実施例4>実施例2において、バレル温度を200℃
と低くした以外は、実施例2と同様にして、無色透明な
重合体ペレットを得た。 <比較例1>イオン交換水の注入をしなかった以外は実
施例1と同様にして、無色透明なペレットを得た。 <比較例2>バレル温度を240℃とした以外は比較例
1と同様にして、無色透明な重合体ペレットを得た。 <比較例3>回転数を160rpmとした以外は比較例
1と同様にして、無色透明な重合体ペレットを得た。
【0037】表1に、実施例1〜4および比較例1〜3
で得られたペレットの揮発性成分(スチレン、トルエ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)の残存量
(ppm)、重合体中の環状イミノエーテル基含有単量
体単位の含有量(モル%)を脱揮条件とともに示す。イ
オン交換水の注入を行わなかった比較例1と比べて、イ
オン交換水の注入を行った実施例1〜4では全ての揮発
性成分の残存量が少なく、特に2−イソプロペニル−2
−オキサゾリンの残存量が少ないことがわかる。
【0038】また、比較例1に対して、比較例2ではバ
レル温度を上げたものであり、比較例3では回転数を上
げたものである。このような脱揮条件の操作によって残
存揮発成分量をいくらか低減することは可能であるが、
本発明の方法以外では、特に残存している環状イミノエ
ーテル基含有単量体を除去するということにおいては全
く不十分なものである。すなわち、比較例1を基準とし
た場合の比較例2、3における2−イソプロペニル−2
−オキサゾリンの残存量の低減の割合は、スチレンやト
ルエンの残存量の低減の割合と同程度にすぎない。これ
に対して、実施例1と比較例1を対比すると、スチレン
やトルエンの残存量の低減の割合が約半分であるのに、
2−イソプロペニル−2−オキサゾリンの残存量は1/
4以下にまで低減されており、本発明の方法が残存する
環状イミノエーテル基含有単量体の除去に特に有効であ
ることがわかる。なお、上記実施例、比較例において、
ガスクロマトグラフィー測定条件では、実施例4と比較
例1〜3で得た重合体の揮発成分中には、2−イソプロ
ペニル−2−オキサゾリンに由来するピークが所定量検
出できた。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明によると、環状イミノエーテル基
含有単量体の残存量が極めて低減された環状イミノエー
テル基含有重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いられるスクリュー押出機の一例
を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ベントタイプスクリュー押出機 2 供給部 3 リアベント 4 重合体出口 5a〜5c フォアベント 6 スクリュー駆動部 7 原材料貯留槽 9a〜9c 注入口 10 シリンダー 11a〜11c 圧力調整弁 12 供給源
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 26/06 C08F 6/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状イミノエーテル基含有単量体、スチ
    レンおよび必要に応じてその他の単量体(ただし、アク
    リル酸エステルを除く)を含む単量体成分を重合するこ
    とにより得られる、下記一般式(a)で表される環状イ
    ミノエーテル基含有単量体単位を0.1モル%以上含有
    し、かつスチレン単位を含有する環状イミノエーテル基
    含有重合体であって、残存する環状イミノエーテル基含
    有単量体の量が15ppm以下であることを特徴とす
    る、環状イミノエーテル基含有重合体。【化1】 [式中、R 1 は水素原子またはアルキル基を表し、Xは
    独立して水素原子または炭素数18以下の炭化水素基を
    表し、nは1〜5の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 環状イミノエーテル基含有単量体を含む
    単量体成分をラジカル重合して環状イミノエーテル基含
    有重合体を得た後、加熱減圧処理により揮発性成分を除
    去する脱揮工程を行う環状イミノエーテル基含有重合体
    の製造方法であって、前記脱揮工程は、ベントタイプス
    クリュー押出機を使用し、160〜320℃で加熱減圧
    処理することにより行われ、かつ前記脱揮工程中に、環
    状イミノエーテル基と反応可能な化合物を添加すること
    を特徴とする、環状イミノエーテル基含有重合体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 環状イミノエーテル基と反応可能な化合
    物が水である、請求項2に記載の環状イミノエーテル基
    含有重合体の製造方法。
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