JP3202279B2 - ポリアミノ酸ウレタン繊維からなる人工毛髪 - Google Patents

ポリアミノ酸ウレタン繊維からなる人工毛髪

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JP3202279B2 JP29444191A JP29444191A JP3202279B2 JP 3202279 B2 JP3202279 B2 JP 3202279B2 JP 29444191 A JP29444191 A JP 29444191A JP 29444191 A JP29444191 A JP 29444191A JP 3202279 B2 JP3202279 B2 JP 3202279B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマー側鎖にアミノ
基及びメルカプト基もしくはジスルフィド基を担持した
ポリアミノ酸ウレタン繊維からなる人工毛髪に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ−α−アミノ酸は、合成高分子であ
りながら化学構造上蛋白質に近似し、生体高分子モデル
として古くより研究が行われている。そして、天然皮
革、絹といった汎用の天然蛋白の代替に加え、人工皮
膚、酵素固定化担体、圧電素子、化粧品等への用途研究
も行われている(“ポリアミノ酸−応用と展望−”、講
談社(1974))。
【0003】又、ポリ酸性アミノ酸ω−エステルの側鎖
のエステル基をエステル交換反応やアミド化反応により
変換し種々の機能を出すといった研究も行われている(J
ournal of Polymer Science: Part C: Polymer Letter
s, 27, 339 (1989)) 。そして、その応用例しては、側
鎖にメルカプト基又はジスルフィド基を担持したポリ−
α−アミノ酸を素材とし、人毛のようにパーマのかかる
人工毛髪が提案されている(特開昭 63-191829)。
【0004】ポリ−α−アミノ酸を素材とした合成繊維
は、その側鎖にメルカプト基もしくはジスルフィド基及
び/又はアミノ基を担持させることによりパーマ処理及
び/又は染色処理が可能となり、腰が強く耐熱性もあり
色艶も自然で、例えば人工毛髪素材として優れた素材で
ある。しかし、各種天然蛋白繊維は蛋白質よりなり、各
種アミノ酸より構成される点に於いてはポリ−α−アミ
ノ酸と同じであるものの、天然蛋白繊維は多くの種類の
アミノ酸より構成より、極めて複雑な微細構造を有して
いる。それゆえ、単純にポリ−α−アミノ酸のみを素材
とする合成繊維では天然蛋白繊維の持つ風合い、しなや
かさをだすことはなお十分とは云い難い。すなわち、ポ
リ−α−アミノ酸繊維はその風合いが天然蛋白繊維に比
べて硬くごわごわしており、例えば人工毛髪として使用
した際さわったときの感触が人毛と異なり不自然な感じ
を与えてしまい、又櫛通し性も悪いという問題点があ
る。それゆえ、ポリ−α−アミノ酸を主成分とし、より
自然でしなやかな風合いを有し櫛通し性等も優れた合成
繊維が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した、自然でしなやかな風合いを有し、触感、櫛通し性
等のより優れたポリ−α−アミノ酸を主成分とする合成
繊維からなる人工毛髪を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる実状
に鑑み、合成高分子でありながら構造上天然蛋白繊維に
近似して染色可能で形状の保持性を有し、かつ極めて自
然な風合いを有し、触感、櫛通し性等も優れたポリアミ
ノ酸ウレタン繊維を開発し、これに基いて本発明を完成
したものである。
【0007】本発明の人工毛髪とすべきポリアミノ酸ウ
レタン繊維の材料となるポリアミノ酸ウレタン樹脂は、
繊維状に紡糸できること、またはフィルム状に製膜し、
これを裁断して繊維状とすることができるに十分な強度
と耐久性とが必要である。
【0008】本発明の人工毛髪の材料であるポリアミノ
酸ウレタン繊維は、次のようにして作成される。すなわ
ち、(a)ポリウレタンとアミノ酸N−炭酸無水物とを
共重合させ、得られた共重合体を下記一般式(1)
【0009】
【化4】
【0010】(式中のnは1〜4の整数を、そして
1 、R2 及びR3 はHまたは炭素原子数1〜4のアル
キル基を表わす)で表される有機ジアミン及び下記一般
式(2)
【0011】
【化5】
【0012】(式中のmは1〜4の整数を、そしてR1
はHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)もし
くは下記一般式(3)
【0013】
【化6】
【0014】(式中のm及びnは1〜4の整数を、そし
てR1 、R2 及びR3 はHまたは炭素原子数1〜4のア
ルキル基を表す)で表されるメルカプト基もしくはジス
ルフィド基を有する有機アミンによりアミド化してなる
ポリアミノ酸ウレタン樹脂を繊維状に成形するか、
(b)ポリウレタンとアミノ酸N−炭酸無水物とを共重
合させ、繊維状に成形した後に前記一般式(1)で表さ
れる有機ジアミン及び前記一般式(2)もしくは前記一
般式(3)で表されるメルカプト基もしくはジスルフィ
ド基を有する有機アミンによりアミド化する。因みに、
このようにして作成されるポリアミノ酸ウレタン繊維は
新規物質よりなるものである。
【0015】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊維
の原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂は、活性水素を有さな
い有機溶媒中で下記一般式(4)
【0016】
【化7】
【0017】(式中のnは1または2を、そしてR4
炭素原子数1〜4のアルキル基またはベンジル基を表
す)で表される酸性アミノ酸ω−アルキルN−炭酸無水
物をポリウレタン及び所望により下記一般式(5)
【0018】
【化8】
【0019】(式中のR5 は炭素原子数3〜7のアルキ
ル基またはベンジル基を表す)で表される中性アミノ酸
N−炭酸無水物と混合したのち重合反応させてなるもの
である。
【0020】ここで、活性水素を持たない有機溶剤とし
ては、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メ
チレン等のハロゲン系溶剤、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド
系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶
剤、ジオキサン、ジグライム等のエーテル系溶剤、ベン
ゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル系溶剤が挙げられ、これらの混合溶剤
を用いてもよい。
【0021】また、酸性アミノ酸ω−アルキルN−炭酸
無水物の代表例としてはγ−メチルグルタメート、γ−
ベンジルグルタメート、β−メチルアスパルテート、β
−ベンジルアスパルテート等のアミノ酸N−炭酸無水物
が挙げられ、これらの酸性アミノ酸ω−アルキルN−炭
酸無水物の混合物であってもよい。
【0022】また、中性アミノ酸N−炭酸無水物の代表
例としては、グリシン、ロイシン、バリン、アラニン等
のアミノ酸N−炭酸無水物が挙げられ、これらの中性ア
ミノ酸N−炭酸無水物の混合物であってもよい。
【0023】ポリウレタンとしては、末端にイソシアネ
ート基を有するポリウレタン又は末端にアミノ基を有す
るポリウレタンを用いることができる。具体的には、末
端にイソシアネート基を有するポリウレタンとしては、
ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカ
ーボネートジオール、ラクトン開環ジオールの単独ある
いは混合物に、必要に応じて低分子量のエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール等のジオールを加え、こ
れに芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネー
ト、脂環式ジイソシアネート等有機ジイソシアネートを
加えて得られた末端にイソシアネート基を有するポリウ
レタンを用いる。また、末端にアミノ基を有するポリウ
レタンとしては、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミンン、
ポリエーテルジアミン等有機ジアミンに、上記末端にイ
ソシアネート基を有するポリウレタンを加えて得られた
末端にアミノ基を有するポリウレタンを用いる。
【0024】上記の酸性アミノ酸ω−アルキルN−炭酸
無水物、末端にイソシアネート基を有するポリウレタン
及び所望により中性アミノ酸N−炭酸無水物を活性水素
を持たない有機溶媒中で混合した後、アミン類を添加し
て共重合反応を行わせると目的とするポリアミノ酸ウレ
タン樹脂を得ることができる。その際用いるアミン類と
しては、芳香族ジアミノ、脂肪族ジアミン、ポリエーテ
ルジアミン等有機ジアミンを用いる。その際必要に応じ
てトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン等の第三級アミンを併用することはなんら差し支え
ない。
【0025】又、上記の酸性アミノ酸ω−アルキルN−
炭酸無水物、末端にアミノ基を有するポリウレタン及び
所望により中性アミノ酸N−炭酸無水物を活性水素を持
たない有機溶媒中で混合して共重合反応を行わせると目
的とするポリアミノ酸ウレタン樹脂を得ることができ
る。その際必要に応じて第三級アミンを併用することは
なんら差し支えない。
【0026】本発明の人工毛髪の材料であるポリアミノ
酸ウレタン繊維は、天然蛋白繊維に近い自然でしなやか
な風合い、触感を有するが、このためには原料がアミノ
酸ウレタン樹脂を重合反応にて調製する際、アミノ酸N
−炭酸無水物及びポリウレタン中に占めるポリウレタン
が5〜50重量%であることが望ましい。ポリウレタンが
5重量%未満である場合、ポリウレタンの効果が低く風
合いが不自然で硬い。ポリウレタンが50重量%より多い
場合、ポリアミノ酸の持つ腰、自然な色艶が損なわれ風
合いもかえって不自然になってしまう。
【0027】又、ポリアミノ酸ウレタン繊維は、ポリマ
ー側鎖のエステル基をアミド化反応することによりアミ
ノ基及びメルカプト基もしくはジスルフィド基を担持さ
せてあり、天然蛋白繊維と同様な酸性染色が可能でかつ
形状の保持性を有しているが、このためには原料ポリア
ミノ酸ウレタン樹脂を重合反応にて調製する際、アミノ
酸N−炭酸無水物及びポリウレタン中に占める酸性アミ
ノ酸ω−アルキルN−炭酸無水物が2重量%以上である
必要があり、特に10重量%以上であることが望ましい。
酸性アミノ酸ω−アルキルN−炭酸無水物が2重量%未
満である場合、アミド化を受けるエステル基が少ないた
め実用的な酸性染色性及び形状保持性を示さない。
【0028】重合反応温度は特には制限がないが、反応
の制御等を考慮すると、10〜60℃、好ましくは20〜40℃
の範囲が良い。また、重合時の樹脂濃度は、あまり高い
と溶液粘度が著しく高くなり扱い難くなるので、3〜40
重量%が適当であり、特に5〜25重量%の範囲のものか
らは極めて扱い易い粘度の原料ポリアミノ酸ウレタン樹
脂溶液が得られる。
【0029】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊維
は、ポリアミノ酸ウレタンのポリマー側鎖にアミノ基及
びメルカプト基もしくはジスルフィド基を担持させてあ
るので、天然蛋白繊維と全く同様に酸性染色が可能でか
つ良好な形状保持性を有する。側鎖にアミノ基及びメル
カプト基もしくはジスルフィド基を担持したポリアミノ
酸ウレタン繊維を調製するには、上記原料ポリアミノ酸
ウレタン樹脂を有機ジアミン及びメルカプト基もしくは
ジスルフィド基を有する有機アミンによりアミド化する
ことにより得られる。有機ジアミンとしては、上記一般
式(1)で表されるジアミン化合物であり、エチレンジ
アミン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,
N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン等が挙げられ
る。また、メルカプト基もしくはジスルフィド基を有す
る有機アミンとしては、上記一般式(2)もしくは
(3)で表されるアミン化合物であり、システアミン、
シスタミン等が挙げられる。
【0030】上記アミド化反応は、原料ポリアミノ酸ウ
レタン樹脂と当該アミン(有機ジアミン及び有機アミ
ン)とを均一系にて直接アミド化反応するか、原料ポリ
アミノ酸ウレタン樹脂を繊維状に成形した後当該アミン
とのアミド化反応を行う方法がある。前者の方法は、通
常の有機反応のごとく原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂の
溶液に当該アミンを加えた後、室温〜 100℃にて1時間
〜2日間、望ましくは40〜60℃にて数時間反応させ目的
のポリアミノ酸ウレタン樹脂を得る。この際溶媒として
は、原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂に対して良溶媒であ
りかつアミンと反応しない溶媒が好ましく、具体的に
は、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン等が挙げられる。その後繊維状
に成形することにより本発明に係わるポリアミノ酸ウレ
タン繊維が得られる。又、後者の方法としては、原料ポ
リアミノ酸ウレタン樹脂をまず従来の方法で繊維状に成
形した後、当該アミンを溶解した溶液に室温〜 100℃に
て1時間〜1週間、望ましくは50〜80℃にて5〜72時間
浸漬、反応させる。この際、溶媒としては、繊維状の原
料ポリアミノ酸ウレタン樹脂に対して貧溶媒であり、か
つアミンと反応しない水、メタノール、エタノール、ア
セトニトリル、ジオキサン等が挙げられ、溶液中のアミ
ン濃度は 0.1〜70%、好ましくは1〜50%である。2つ
の方法のうち、特に後者の方法は反応後の精製として
水、メタノール等ですすぐだけで本発明に係わるポリア
ミノ酸ウレタン繊維が得られてくるため、より簡便な手
法である。
【0031】又、上記アミド化反応に於いて、当該有機
ジアミンとメルカプト基もしくはジスルフィド基を有す
る当該有機アミンとを一緒にして一度に反応を行っても
良いし、又二度に別けて別々に反応を行ってもよい。二
度に別けて反応を行う場合、有機ジアミン及び有機アミ
ンの反応の順序は特に問題ではない。
【0032】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊維
を得る場合には、ポリ−α−アミノ酸の場合と同様に特
公昭43-28787の方法にて紡糸することができる。また、
同様に本発明のポリアミノ酸ウレタン樹脂の溶液から一
旦膜又は粉末として取り上げることもできる。
【0033】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊維
は、天然蛋白繊維の代替として人工毛髪として用いた場
合、合成繊維でありながら人毛と化学的にも類似で自然
な腰、色艶を有し、又ポリウレタン成分由来のしなやか
さを有し、櫛通し性にも優れている。又、ポリマー側鎖
にアミノ基を担持しているため人毛と全く同様に酸性染
色が可能であり、ポリマー側鎖にメルカプト基もしくは
ジスルフィド基を担持しているため人毛と全く同様にパ
ーマ処理が可能である。
【0034】
【作用】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊維は人
毛、絹といった天然蛋白質繊維に近似したしなやかな風
合いを有し、また側鎖にアミノ基及びメルカプト基もし
くはジスルフィド基を担持しているために天然蛋白繊維
と全く同様に酸性染料による染色することができ、かつ
酸化還元反応での分子間の架橋の掛け替えによる形状の
保持性を有しているので優れた人工毛髪となるのであ
る。
【0035】
【実施例】更に本発明の特徴をより明らかにすべく、実
施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0036】実施例1 (A)末端イソシアネート基を有するポリウレタンの調
製 平均分子量2000のポリカーボネートジオール 115部を重
合容器に仕込み、イソホロンジイソシアネート26部、
「TN−12」(堺化学社製ジ−n−ブチルチンジラウラ
ート)の10%トルエン溶液0.08部、トルエン 142部を加
えた後、 110℃にて4時間反応させ、末端イソシアネー
ト基を有するポリウレタンを得た。
【0037】このポリウレタン約4gを三角フラスコに
精秤し、10mlのテトラヒドロフランに溶解させ、更に
0.5Nジ−n−ブチルアミン−トルエン溶液を5mlを加
えて10分間攪拌後、メタノール80mlを加え、 0.5
N塩酸にて中和滴定した。ブランクも同様に滴定し、末
端イソシアネート基の定量を行った結果、末端イソシア
ネート基を有するポリウレタンのイソシアネート価は0.
84グラム当量であった。
【0038】(B)末端アミノ基を有するポリウレタン
の調製 「ジェファーミンD−2000」(三井テキサコケミカル
製、平均分子量2000)39gをN,N−ジメチルホルムア
ミド 203gに溶解し、25℃にて(A)で得られた50重量
%ポリウレタン溶液86gを徐々に加え30分反応させ、末
端アミノ基を有するポリウレタンを得た。
【0039】上記で得たポリウレタン約10gを三角フラ
スコに精秤し、90mlのN,N−ジメチルホルムアミドに
溶解させ、0.05N塩酸で中和滴定した。ブランクも同様
に滴定し、末端アミノ基の定量を行った結果、末端アミ
ノ基を有するポリウレタンのアミン価は、 0.060グラム
当量であった。
【0040】実施例2 (A)原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂の調製 実施例1(A)で得らたれ50重量%ポリウレタン溶液5
6.8gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
374g及び1,2−ジクロロエタン2280gを加えて10分
間攪拌した後、「ジェファーミンD−2000」 3.2g及び
トリエチルアミン0.9mlを加え、25℃にて5時間攪拌し
て重合し、ポリアミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度
12%)を得た。
【0041】(B)原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂の調
製 実施例1(B)で得られた25重量%ポリウレタン溶液 1
11gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物 3
27g、1,2−ジクロロエタン1940g及びトリエチルア
ミン 2.6mlを加え、25℃にて5時間攪拌して重合し、ポ
リアミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)を得
た。
【0042】実施例3 実施例2(A)の原料ポリアミリ酸ウレタン樹脂溶液を
加圧濾過して不溶物を除去した後、ノズル径 0.4mmφ、
ドープ吐出速度0.86ml/min (6.79m/min )、凝固溶
剤;テトラクロロエチレン:灯油=3:1、凝固浴の長
さ3mの条件下で紡糸した。この繊維を乾燥した後、
1.8倍に延伸してポリアミノ酸ウレタン繊維を得た。こ
のポリアミノ酸ウレタン繊維5gを粋に巻き固定し、メ
タノール50ml、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプ
ロパン 7.5g及びシステアミン 7.5g中に60℃にて24時
間浸漬してアミド化を行った。30mlのメタノールで洗浄
を2回くり返した後乾燥した。
【0043】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は下記
風合い及び櫛通し試験により優れた風合い及び櫛通し性
を有することを確認した。又、下記酸性染色試験により
優れた染色性を示すことを確認した。又、下記パーマネ
ントウェーブ効果試験によりパーマネントウェーブがか
かることを確認した。以上の結果、このポリアミノ酸ウ
レタン繊維は人工毛髪として用いた場合優れた性能を有
することがわかった。
【0044】結果を表1に示した。
【0045】
【表1】
【0046】[風合い及び櫛通し試験]得られたポリア
ミノ酸ウレタン繊維を用い、大きさ、重さ、及び方向を
揃えた長さ11cm、幅4cm、重さ4gのヘアピースを坂本
らの方法[日本香粧品料学会誌8, 330 (1984)]に準じ
て作成し、風合い、櫛通しについて官能評価した。
【0047】評価は3段階評価で行った。すなわち、
○:優れる、△:普通、×:悪い。
【0048】比較のため、特公昭43-28787で得たポリ−
γ−メチル−グルタメート繊維及び人毛のバージンヘヤ
(10才の女の子の毛髪)について、同様の官能評価し
た。
【0049】[酸性染色試験]酸性染料に対して染色性
を示すかどうかについての試験は次のように行った。
【0050】繊維を無張力の状態で90℃の染色液中に1
時間浸漬した。その後繊維を水洗し、自然乾燥した。
【0051】染色性は以下のように評価した。すなわ
ち、●:濃色、○:中色、△:淡色〜汚染、×:不染。
【0052】比較のため、特公昭43-28787で得たポリ−
γ−メチル−グルタメート繊維及び人毛のバージンヘヤ
(10才の女の子の毛髪)について同様に染色評価した。
【0053】なお、染色液組成は、染料:イルガランブ
ラックBGL((株)誠和製)2重量%、助剤:無水硫
酸ナトリウム5重量%であった。
【0054】[パーマネントウェーブ効果試験]パーマ
ネントウェーブがかかるかどうかの試験は次のようにし
て行った。
【0055】繊維をテンション70gでロッドに巻き、パ
ーマネントウェーブ用第1液(チオグリコール酸アンモ
ニウム塩の 6.5%水溶液を調製し、アンモニア水にて p
Hを9.2〜9.6 に調製したもの)中に15分間浸漬した。
次いでパーマネントウェーブ用第2液(臭素酸ナトリウ
ムの5%水溶液)中に15分間浸漬した。繊維をロッドよ
り外し、フリーの状態にて水洗し、自然乾燥した。
【0056】パーマネントウェーブ効果は次の式により
求めた。
【0057】
【数1】
【0058】比較のため、特公昭43-28787で得たポリ−
γ−メチル−グルタメート繊維及び人毛のバージンヘヤ
(10才の女の子の毛髪)について同様にパーマネントウ
ェーブ効果を評価した。
【0059】実施例4 実施例2(B)の原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂溶液を
加圧濾過して不溶物を除去した後、実施例3におけると
同様にして紡糸、乾燥、延伸、アミド化、洗浄、乾燥し
た。
【0060】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し性共に優れており、濃色の染色性を示し、パ
ーマネントウェーブ効果は 3.8であり、人工毛髪として
用いた場合優れた性能を有することがわかった。
【0061】実施例5 実施例1の(A)で得られた50重量%ポリウレタン溶液
28.4gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
187g及びクロロホルム1140gを加えて10分間攪拌した
後、「ジェファーミンD−2000」 1.6g及びトリエチル
アミン 0.4mlを加え、25℃にて5時間攪拌して重合し、
原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)
を得た。この樹脂溶液 265gにN,N−ジメチル−1,
3−ジアミノプロパン4.09g及びシステアミン3.08gを
加え、60℃にて3時間攪拌してポリアミノ酸ウレタン樹
脂を得た。
【0062】このようにして得たポリアミノ酸ウレタン
樹脂を加圧濾過にて不溶物を除去した後、実施例3にお
けると同様にして紡糸した。得られた繊維を 300mlの水
で3回くり返し洗浄した後乾燥し、 1.7倍に延伸してポ
リアミノ酸ウレタン繊維を得た。
【0063】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し性共に優れており、濃色の染色性を示し、パ
ーマネトンウェーブ効果は 4.2であり、人工毛髪として
用いた場合優れた性能を有することがわっかた。
【0064】実施例6 実施例1の(B)で得られた25重量%ポリウレタン溶液
55.5gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
164g、クロロホルム970 g及びトリエチルアミン 1.3
mlを加え、25℃にて5時間攪拌して重合し、原料ポリア
ミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)を得た。こ
の樹脂溶液 265gにN,N−ジメチル−1,3−ジアミ
ノプロパン4.09g及びシステアミン3.08gを加え、60℃
にて3時間攪拌してポリアミノ酸ウレタン樹脂を得た。
【0065】このようにして得たポリアミノ酸ウレタン
樹脂を加圧濾過にて不溶物を除去した後、実施例5にお
けると同様に処理してポリアミノ酸ウレタン繊維を得
た。
【0066】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し共に優れており、濃色の染色性を示し、パー
マネントウェーブ効果は 4.0であり、人工毛髪として用
いた場合優れた性能を有することがわかった。
【0067】実施例7 実施例1の(B)で得らたれ25重量%ポリウレタン溶液
640gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
314g、1,2−ジクロロエタン2251g 及びトリエチル
アミン 2.5mlを加え、25℃にて5時間攪拌して重合し、
原料ポリアミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)
を得た。この樹脂溶液を実施例3の方法にて紡糸し、
1.8倍に延伸したもの10gを枠に巻き固定し、メタノー
ル50ml、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン
7.5g及びシステアミン 7.5g中に60℃にて30時間浸漬
してアミド化を行った。30mlのメタノールで洗浄を2回
繰り返した後乾燥した。
【0068】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し性共に優れており、濃色の染色性を示し、パ
ーマネントウェーブ効果は 4.4であり、人工毛髪として
用いた場合優れた性能を有することがわかった。
【0069】実施例8 実施例1の(A)で得られた50重量%ポリウレタン溶液
56.8gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
337g、L−ロイシン−N−炭酸無水物39.7g及び1,
2−ジクロロエタン2280gを加えて10分間攪拌した後、
「ジェファーミンD−2000」 3.2g及びトリエチルアミ
ン 0.9mlを加え、25℃にて5時間攪拌して重合し、原料
ポリアミノ酸ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)を得
た。この樹脂溶液を実施例3におけると同様にして紡
糸、延伸、アミド化、洗浄、乾燥した。
【0070】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し性共に優れており、濃色の染色性を示し、パ
ーマネントウェーブ効果は 3.9であり、人工毛髪として
用いた場合優れた性能を有することがわかった。
【0071】実施例9 実施例1の(B)で得られた25重量%ポリウレタン溶液
111gにL−グルタミン酸−γ−メチルN−炭酸無水物
294g、L−ロイシン−N−炭酸無水物34.7g、1,2
−ジクロエタン1940g及びトリエチルアミン 2.6mlを加
え、25℃にて5時間攪拌して重合し、原料ポリアミノ酸
ウレタン樹脂の溶液(樹脂濃度12%)を得た。この樹脂
溶液を実施例8におけると同様に処理してポリアミノ酸
ウレタン繊維を得た。
【0072】得られたポリアミノ酸ウレタン繊維は風合
い、櫛通し性共に優れており、濃色の染色性を示し、パ
ーマネントウェーブ効果は 3.9であり、人工毛髪として
用いた場合優れた性能を有することがわかった。
【0073】
【発明の効果】本発明に係わるポリアミノ酸ウレタン繊
維は、ポリ−α−アミノ酸が主成分であるゆえ合成繊維
でありながら天然蛋白繊維と化学的にも類似で自然な
腰、色艶を有し、又ポリウレタン成分由来のしなやかさ
を有し、風合い、触感、櫛通し性等も優れており、アミ
ノ基をポリマー側鎖に担持しているために天然蛋白繊維
と全く同様に酸性染色が可能であり、更にポリマー側鎖
にメルカプト基もしくはジスルフィド基を担持している
ために酸化還元反応による分子間の架橋の掛け替えによ
って形状の保持性を有する。それ故、優れた人工毛髪を
与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D01F 6/78 D01F 6/78 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A41G 3/00 A61L 27/00 C08G 69/10 C08G 69/26 D01F 6/68 - 6/94

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミノ酸ウレタン繊維からなる人工
    毛髪であって、該ポリアミノ酸ウレタン繊維が、 ポリウレタンとアミノ酸N−炭酸無水物とを共重合さ
    せ、得られた重合体を下記一般式(1) 【化1】 (式中のnは1〜4の整数を、そしてR、R及びR
    はHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)で
    表される有機ジアミン及び下記一般式(2) 【化2】 (式中のmは1〜4の整数を、そしてRはHまたは炭
    素原子数1〜4のアルキル基を表す)もしくは下記一般
    式(3) 【化3】 (式中のm及びnは1〜4の整数を、そしてR、R
    及びRはHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基を表
    す)で表されるメルカプト基もしくはジスルフィド基を
    有する有機アミンによりアミド化してなるポリアミノ酸
    ウレタン樹脂を繊維状に成形してなるポリアミノ酸ウレ
    タン繊維である、人工毛髪
  2. 【請求項2】 ポリアミノ酸ウレタン繊維からなる人工
    毛髪であって、該ポ リアミノ酸ウレタン繊維が、 ポリウレタンとアミノ酸N−炭酸無水物とを共重合さ
    せ、得られた共重合体を繊維状に成形した後、下記一般
    式(1) 【化4】 (式中のnは1〜4の整数を、そしてR 、R 及びR
    はHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)で
    表される有機ジアミン及び下記一般式(2) 【化5】 (式中のmは1〜4の整数を、そしてR はHまたは炭
    素原子数1〜4のアルキル基を表す)もしくは下記一般
    式(3) 【化6】 (式中のm及びnは1〜4の整数を、そしてR 、R
    及びR はHまたは炭素原子数1〜4のアルキル基を表
    す)で表されるメルカプト基もしくはジスルフィド基を
    有する有機アミンによりアミド化してなるポリアミノ酸
    ウレタン繊維である、人工毛髪。
  3. 【請求項3】 ポリウレタンが両末端にアミノ基を有す
    るものである、請求項1または2に記載の人工毛髪。
  4. 【請求項4】 ポリウレタンが両末端にイソシアネート
    基を有するものである、請求項1または2に記載の人工
    毛髪。
  5. 【請求項5】 アミノ酸N−炭酸無水物が酸性アミノ酸
    ω−アルキルN−炭酸無水物である、請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の人工毛髪。
  6. 【請求項6】 アミノ酸N−炭酸無水物が酸性アミノ酸
    ω−アルキルN−炭酸無水物及び中性アミノ酸N−炭酸
    無水物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人
    工毛髪。
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