JP3201607U - 細胞培養システム - Google Patents
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Abstract
Description
再生医療での細胞を使用した治療行為を行う場合、細胞培養加工室CPC(セルプロセッシング)がある施設が義務付けられている。
厳格な施設管理を要求される細胞培養加工室に代わり、CPC施設の無菌操作環境を装置内で実現したアイソレーターが普及している。
アイソレーターに細胞培養CO2インキュベータを接続することで、細胞調製と細胞培養の操作を無菌的に行うことが可能となる。アイソレーターに接続されたCO2インキュベータは、無菌的にアイソレーターから分離することができる。このことで、1台のアイソレーターにて、数種類の異なる細胞検体を扱えることが可能となった。
しかし、細胞種が変わることで、細胞の取り違えやクロスコンタミ(交叉汚染)を防止するため、CO2インキュベータ及びアイソレーター庫内のオーバーチェンジ(過酸化水素による除染)作業が必要となっている。
CO2インキュベータ及びアイソレーター庫内の除染は、過酸化水素による燻蒸作業が一般的である。過酸化水素の残留がないことを確認して次の作業に移る為、数時間の待機時間が必要となる。
さらに、細胞調製後の細胞培養工程では、細胞の取り違え並びにクロスコンタミを防止する目的には、検体数と同じ台数のCO2インキュベータが必要となる。この為、インキュベータの保管場所の確保や高価なインキュベータを複数揃えなければならず、ユーザーにとって大きな負担となっている。
従来のアイソレーターは、除染パスボックスから培養器材等を搬入し、パスボックスでの除染を終えてからアイソレーターの庫内(無菌空間)に培養器材等を移動する。使用後の培養器材等は、再び除染パスボックスを経由して排出される。感染性の危険のある培養器材等は、除染パスボックスで過酸化水素ガスによって除染される。この場合、アイソレーターの中で、搬出を待っている汚染された培養器材と除染が完了し、搬入された新しい培養器材が、パスボックスの前で交叉することになり、新しい培養器材が汚染される危険性がある。加えて、一台の除染パスボックスで培養器材等の搬入の為の除染作業と搬出の為の除染作業を交互に進めなければならず、作業効率の大きな低下の要因となっている。
CO2インキュベータは、細胞を培養する為、フラスコなど培養器材に培養液を入れて培養を行う。その為、培地の乾燥とpHの維持のために、チャンバーに水と炭酸ガス5%を供給する必要がある。
しかし、細胞培養加工室等では、水の持ち込みは制限されており、それに代わる方法として、袋状湿度供給容器が市販されている。袋状湿度供給容器には不織紙(タイベック)が使われており、不織紙の多孔質状の表面から蒸気となって、チャンバー内に充満し、加湿する方法がある(特許文献1)。
アイソレーターに接続された状態であるCO2インキュベータへ、袋状湿度供給容器を入れるには、アイソレーターの中で袋状湿度供給容器の中に水を入れる作業を伴い、煩雑な操作が必要となる。
加えて、新たにCO2インキュベータをアイソレーターに接続する場合、接続した状態で除染(過酸化水素等)を行うのが、一般的である。この為、インキュベータ庫内の過酸化水素等の残留が無いことを確認しなければならず、数時間の待機時間が必要となる。
(ア)細胞培養装置、ここで、該細胞培養装置は、無菌空間を有するアイソレーター、搬入用除染パスボックス及び、搬出用除染パスボックスを有する細胞培養ルームを有している。
アイソレーターは、搬入用除染パスボックス及び細胞培養ルームと連通し、並びに、
細胞培養ルームには、2以上の細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部とガスを排出するための排気部及び、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボットを有する。
(イ)細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器、ここで、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器は、ガス受給口及びガス排気口を有する。
(ウ)加湿供給器具、ここで、加湿供給器具は該細胞培養チャンバー内に設置されている、
ことを特徴とする細胞培養システム。
さらに、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器は、過酸化水素耐性プラスチック樹脂から形成されている。
加えて、本考案の細胞培養システムは、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器と培養容器の取違え防止のための培養容器個別識別管理装置(バーコード、電子タグによる識別)を有する。
(II)過酸化水素耐性のプラスチック樹脂で形成されている細胞培養チャンバーは、その内部(庫内)に加湿供給用具が配置されており、さらに、必要に応じて、単数又は複数重(二重、三重)に包装(梱包)されている。
細胞培養チャンバーは、ガンマー線又は電子線照射された後に無菌室で包装されているので、庫内(内部)は無菌化されている。これにより、従来のCO2インキュベータのように、庫内を過酸化水素等で除染化する必要はない。
包装された細胞培養チャンバーは、搬入用除染パスボックス内で梱包された状態で除染(過酸化水素処理等)される。該除染後、培養チャンバーは、除染パスボックスからアイソレーターの内部(除菌空間)に移されて、包装を外される。さらに、加湿供給用具に水が供給される。
次に、細胞を播種した培養容器(フラスコ等)を細胞培養チャンバーに設置する。チャンバー搬送・設置ロボットが、該細胞培養チャンバーをインキュベータである細胞培養ルームに搬送する。この一連の操作により、細胞培養チャンバー内部は、すでにガンマー線又は電子線による滅菌がされているので、新たに過酸化水素等による除染の必要がなく、薬剤の残留による細胞毒性などの危険も極めて少ない。
(III)細胞培養ルームは、その内部は、37度に温度管理されているが、CO2ガス及び加湿供給はされていない。細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部(15)、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)を有する。加湿方法は、加湿供給用具から加湿される。
従来のCO2インキュベータでは、加湿による結露がコンタミ等の要因となり、さらに、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボットも耐湿度性が要求されている。一方、本考案の細胞培養システムは、細胞培養ルームの加湿による結露を防止でき、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボットの耐湿度性が不要であり、さらに、細胞培養ルームでは温度のみ制御すれば良いので、コスト、メンテナンスからの面からも極めて有用である。
(IV)再生医療でもっとも危惧されるのは、細胞の取違え、クロスコンタミ、培養細胞への細菌、ウイルス汚染、作業者への感染等である。本考案の細胞培養システムは、細胞培養チャンバーと培養容器等の個別認識による管理装置を有するので、1つの培養チャンバーには1種類の細胞のみ格納できるように管理することができる。これにより、細胞の取り違え、クロスコンタミ、培養細胞への細菌、ウイルス汚染、作業者への感染等を防止することができる。
(V)本考案の細胞培養システムでは、多層培養容器と培養チャンバーの両方を併用することができるので、種細胞を細胞培養チャンバー内の培養容器で培養を行い、細胞の拡大培養には、多層培養容器を利用することが出来る。すなわち、本考案の細胞培養システムでは、無菌空間を有するアイソレーター環境下で種細胞培養から拡大培養までの細胞生産を一貫して行うことができる。
(VI)従来のアイソレーターは、除染パスボックスから培養器材等を搬入し、除染を終えてからアイソレーターの庫内(無菌空間)に搬入する。使用後の培養器材等は、再び除染パスボックスを経由して排出される。
感染性の危険のある培養器材等は、除染パスボックスにて過酸化水素ガスで除染される。この場合、搬出する汚染された培養器材と搬入する新しい培養器材がパスボックスで交叉することになり、新しい培養器材が汚染される危険性がある。
加えて、一台の除染パスボックスで培養器材等の搬入の為の除染作業と搬出の為の除染作業を交互に進めなければならず、作業効率の大きな低下の要因となっている。しかし、本考案の細胞培養システムでは、搬入用除染パスボックス及び搬出用除染パスボックスの両方を有するので、汚染された培養器材等を搬出用除染パスボックスで処理することが可能となり、汚染された培養器材等と新しい培養器材等が交叉することが無くなり交叉汚染を防止できる。
さらに、培養器材等の搬入の為の除染作業と搬出の為の除染作業を並行して行えることで、除染作業の遅延による培養作業の影響を大きく減らすことが出来き、作業効率の大幅な向上ができる。
(VII)上記(I)〜(VI)により、本考案の細胞培養システムでは、従来のアイソレーターと比較して、コンタミのリスクが非常に低い。
(ア)細胞培養装置、ここで、該細胞培養装置は、無菌空間を有するアイソレーター、搬入用除染パスボックス及び細胞培養ルームを有し、アイソレーターは、搬入用除染パスボックス及び細胞培養ルームと連通し、並びに、細胞培養ルームには、2以上の細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部及び、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボットを有する。
(イ)細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器、ここで、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の、ガス受給口及びガス排気口を有する。
(ウ)加湿供給器具、ここで、加湿供給器具は該細胞培養チャンバー内に設置されている。
以下、本考案の細胞培養システム(100)の詳細を説明する。
本考案の細胞培養装置(17)は、少なくとも、アイソレーター(11)、搬入用除染パスボックス(13)及び細胞培養ルーム(12)を有する(参照:図3)。
なお、アイソレーター(11)は、搬入用除染パスボックス(13)及び細胞培養ルーム(12)、さらには搬出用除染パスボックス(23)と連通している。これにより、培養器材(培養容器、培養液、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器等)は、搬入用除染パスボックス(13)、アイソレーター(11)細胞培養ルーム(12)、及び搬出用除染パスボックス(23)内を運搬可能である。
本考案のアイソレーター(11)は、無菌空間を有すれば特に限定されず、自体公知のアイソレーター(無菌空間外よりグローブで操作可能)を利用することができる。
より詳しくは、アイソレーター(11)は、外部空間から遮断されたバイオハザードキャビネットであり、培養操作はグローブから手を通して培地交換等の作業を行う。無菌空間の清浄度は、グレードA(最大許容微粒子数、非作業時・作業時3,520個/m3 以下)が好ましい。無菌空間には、細胞操作の為遠心機、顕微鏡等が備えられていることが好ましい。
異なる種類の細胞等を扱う場合、前回扱った細胞等の一部残留物によるクロスコンタミの可能性があり、チェンジオーバーを行う。チェンジオーバーとは、消毒薬による拭き取り清掃、過酸化水素ガス等を無菌空間に発生させる除染作業である。
本考案の搬入用除染パスボックス(13)は、自体公知の開閉部(22)を有する除染パスボックスを利用することができる。詳しくは、搬入用除染パスボックス(13)は、自体公知の過酸化水素ガス発生装置を有し、外部より持ち込まれた培養器材等を、開閉部(22)を介して、内部に導入して、付着した細菌、ウイルス等を過酸化水素ガスで除菌を行い、次に、該培養器材等をアイソレーター(11)の無菌空間に搬入する。
本考案の搬出用除染パスボックス(23)は、自体公知の外部開閉部(25)を有する除染パスボックスを利用することができる。詳しくは、搬出用除染パスボックス(23)は、自体公知の過酸化水素ガス発生装置を有し、細胞培養ルーム内の培養器材等を、内部開閉部(26)を介して、内部に導入して、付着した細菌、ウイルス等を過酸化水素ガスで除菌を行い、さらに、外部開閉部(25)を介して、本考案の細胞培養システム(100)の外部に搬出する。
なお、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)が、細胞培養ルーム内の培養器材等を、内部開閉部(26)を介して、搬出用除染パスボックス(23)内部に運搬する。
本考案の細胞培養ルーム(12)は、少なくとも、2以上の細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚(10)、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガス(酸素、窒素、二酸化炭素等)を供給するための供給部(15)、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)及び搬出用除染パスボックス(23)を有する。また、細胞培養ルーム(12)は、温度制御機構及び二酸化炭素制御機構も有する。
細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部(15)は、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガス受給口(18)と連結して、細胞培養に必要なガス(酸素、窒素、二酸化炭素等)を細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器内に供給する。
細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)は、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガス排気口(19)と連結して、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器内のガスを排気する。
本考案の細胞培養チャンバー(8)は、少なくとも、ガス受給口(18)及びガス排気口(19)を有する(参照:図2)。
本考案の細胞培養チャンバー(8)の材質は、特に限定されないが、滅菌容易性、コスト面及び取扱い容易性を考慮すれば、過酸化水素耐性プラスチック樹脂で形成されていることが好ましい。過酸化水素耐性プラスチック樹脂は、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリプロピレン等を例示できる。
細胞培養チャンバー(8)は、下記の加湿供給器具を内部に配置された状態で、ガンマー線又は電子線による照射を受け、さらに梱包されている。これにより、細胞培養チャンバー(8)は、滅菌化された状態で搬入用除染パスボックス(13)の内部に導入することができる。
細胞培養チャンバー(8)は、細胞培養ルーム(12)の細胞培養チャンバーにガスを供給するための供給部(15)からガス受給口(18)を介して、ガス(例、空気95%、二酸化炭素濃度5%を混合したガス)の供給を受ける。また、細胞培養チャンバーは、ガス排気口(19)を介して、細胞培養チャンバーのガスを排出するための排気部(16)に排気する。
なお、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)は、細胞培養チャンバーにガスを供給するための供給部(15)と細胞培養チャンバー(8)のガス受給口(18)の連結及び細胞培養チャンバーのガスを排出するための排気部(16)と細胞培養チャンバー(8)のガス排気口(19)の連結を行う。
細胞培養チャンバー(8)の内部の温度は、細胞培養ルーム(12)の温度制御機構により、細胞培養ルーム(12)の内部が37度付近に設定されていることにより、細胞培養チャンバー(8)の内部も同様に37度付近に設定される。
本考案の多層培養容器(24)は、少なくとも、ガス受給口(18)及びガス排気口(19)を有する(参照:図3)。
本考案の多層培養容器(24)の材質は、特に限定されないが、滅菌容易性、コスト面及び取扱い容易性を考慮すれば、過酸化水素耐性プラスチック樹脂で形成されていることが好ましい。過酸化水素耐性プラスチック樹脂は、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリプロピレン等を例示できる。加えて、市販の多層培養容器を使用することができ、コーニングセルスタック(コーニング社製品)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製品等を例示することができる。
本考案の多層培養容器(24)は、細胞培養に必要な温度制御及び二酸化炭素濃度制御機構は不要である。また、本考案の多層培養容器(24)は、細胞培養チャンバー(8)とは異なり、加湿は特に不要である。
多層培養容器(24)は、細胞培養ルーム(12)の細胞培養チャンバーにガスを供給するための供給部(15)からガス受給口(18)を介して、ガス(例、空気95%、二酸化炭素濃度5%を混合したガス)の供給を受ける。また、多層培養容器(24)は、ガス排気口(19)を介して、多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)に排気する。
なお、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)は、多層培養容器にガスを供給するための供給部(15)と多層培養容器のガス受給口(18)の連結並びに多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)と多層培養容器のガス排気口(19)の連結を行う。
多層培養容器(24)の内部の温度は、細胞培養ルーム(12)の温度制御機構により、細胞培養ルーム(12)の内部が37度付近に設定されていることにより、細胞培養チャンバー(8)の内部も同様に37度付近に設定される。
本考案の細胞培養システム(100)で使用する加湿供給器具(1)は、自体公知の加湿供給器具である湿度供給部(20)を有する袋状湿度供給容器(参照:特開2005−295825公報及び実用新案登録第3129610号)を利用することができる。
しかし、袋状湿度供給容器では、アイソレーター(11)の中で一度開封し、加湿用の水を加えなければならず、アイソレーター内での操作が煩雑となる。そこで、本考案の細胞培養システム(100)では、本考案の加湿供給器具(1)である以下の2つの構成の加湿供給器具を使用しても良い。
湿度供給部(20)は、薄膜状体になっており、その面積は、湿度が組織培養室内に湿度成分が効率的にすみやかに供給可能なことが必要である。この膜状体としては、高密度エチレン系の不織布が市販されており、これを用いて加工すれば容易に目的は達成可能である。高密度エチレン系の不織布は、例えば0.5〜10ミクロンの口径のポリエチレンの連続性極細繊維に高熱を加えて結合、調製されたものである。
本考案の細胞培養チャンバーと培養容器の管理装置は、1つの培養チャンバーには1種類の細胞のみ格納できるように管理することができる。該管理装置は、細胞種の情報が担持したバーコードが付与された培養チャンバーと作業する細胞種(使用者が作業する細胞種を該装置に入力する)が一致しない場合には、アラームにより警告音を出す手段、アイソレーター(11)、搬入用除染パスボックス(13)及び細胞培養ルーム(12)を連通するための扉の開閉を停止する手段、チャンバー搬送・設置ロボットの動作を停止する手段、及び/又は過酸化水素漏えい警報手段を有する。
なお、本考案の細胞培養チャンバーと培養容器の管理装置には、特開2004-215611公報に開示の検体(細胞)取違え防止及び検体(細胞)管理システムを利用しても良い。
また、本考案での培養容器は、細胞等を培養できる容器であれば、形状、材質等は特に限定されないが、シャーレ、フラスコ、プレート、マルチウェルプレート等を例示することができる。
さらに、使用者は、加湿供給器具(1)に水を供給して、さらに、加湿供給器具(1)を細胞培養チャンバー(8)内に設置する。次に、使用者は、A細胞を含む細胞培養容器(14)を細胞培養チャンバー(8)に設置する。細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)は、A細胞を含む細胞培養容器(14)が格納された細胞培養チャンバー(8)を、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚(10)に運搬する。さらに、チャンバー搬送・設置ロボット(9)は、細胞培養チャンバーにガスを供給するための供給部(15)を細胞培養チャンバー(8)のガス受給口(18)に連結させる。これにより、細胞培養に必要なガス(酸素、窒素、二酸化炭素等)が細胞培養チャンバー内に供給される。同時に、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)は、細胞培養チャンバーのガスを排出するための排気部(16)を細胞培養チャンバー(8)のガス排気口(19)に連結させる。これにより、細胞培養チャンバー内のガスを排気させる。これにより、A細胞は、細胞培養ルーム(12)の細胞培養チャンバー(8)内で培養することができる。
なお、A細胞を含む細胞培養容器(14)を細胞培養システム(100)から取り出したい場合には、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)が、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚(10)に設置されたA細胞を含む細胞培養容器(14)を格納した細胞培養チャンバー(8)を、内部開閉部(26)を介して、搬出用除染パスボックス(23)に搬送する。なお、搬出用除染パスボックス(23)には、必要に応じて、除染を行う。さらに、使用者は、A細胞を含む細胞培養容器(14)を、外部開閉部(25)から取り出す。
なお、従来の培養システムでは、B細胞を培養するためのCO2インキュベータを取り換え又は、内部を除染する必要があった。しかし、本考案の培養システム(100)では、細胞培養チャンバーがガンマー線、或は電子線により無菌化されており、除染された培養システム内で培養を含むすべての処理を行うことができるので、改めて細胞培養チャンバーの除染は必要ない。さらに、複数の異なる細胞を細胞培養ルーム(12)で同時に培養することができるので、細胞培養ルームの取り換えが不要である。
加えて、細胞培養ルームでは、細胞培養チャンバーと多層培養容器を併用した培養を行うことが出来る。例えばA細胞の種細胞を培養チャンバー内でフラスコで増殖させ、細胞が増殖した時点で、多層培養容器で拡大培養することで、種細胞培養から拡大培養までの細胞生産を一貫して行うことができる。
本考案の培養システム(100)では、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)は、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚(10)に設置されたB細胞を含む細胞培養容器(14)を格納した細胞培養チャンバー(8)をアイソレーター(11)の無菌空間に搬送する。これにより、使用者は、細胞培養ルーム(12)を変更することなく、B細胞の処理を行うことができる。
1:加湿供給器具
2:シリンジ針
3:キャップ
4:供給口 (ボトルネック状のキャップ雄ネジ形状)
5:袋状湿度供給容器
6:ボトル
7:供給口
8:細胞培養チャンバー
9:細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット
10:細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚
11:アイソレーター
12:細胞培養ルーム
13:搬入用除染パスボックス
14:細胞培養容器
15:細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部
16:細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部
17:細胞培養装置
18:ガス受給口
19:ガス排気口
20:湿度供給部
21:チューブ
22:開閉部
23:搬出用除染パスボックス
24:多層培養容器
25:外部開閉部
26:内部開閉部
Claims (4)
- 以下の細胞培養装置(17)、細胞培養チャンバー(8)若しくは多層培養容器(24)並びに加湿供給器具(1)を含む細胞培養システム(100)であって、
(ア)該細胞培養装置(17)は、無菌空間を有するアイソレーター(11)、搬入用除染パスボックス(13)及び細胞培養ルーム(12)を有し、該アイソレーター(11)は、該搬入用除染パスボックス(13)及び該細胞培養ルーム(12)と連通し、並びに、該細胞培養ルーム(12)には、2以上の細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の収納棚(10)、該細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器にガスを供給するための供給部(15)、該細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器のガスを排出するための排気部(16)、細胞培養チャンバー若しくは多層培養容器の搬送・設置ロボット(9)、及び搬出用除染パスボックス(23)を有し、
(イ)該細胞培養チャンバー(8)若しくは多層培養容器(24)は、ガス受給口(18)及びガス排気口(19)を有し、並びに
(ウ)該加湿供給器具(1)は、該細胞培養チャンバー(8)内に設置されている、
ことを特徴とする細胞培養システム。
- 前記加湿供給器具(1)は、以下のいずれか1である請求項1に記載の細胞培養システム(100):
(エ)湿度供給部(20)を有する湿度供給容器からなる加湿供給器具(1);
(オ)湿度供給部(20)及び供給口(4)を有する湿度供給容器、キャップ(3)、ボトル(6)、及びシリンジ針(2)から構成される加湿供給器具(1)であって、該シリンジ針(2)は該キャップ(3)の内側底部から通して、外れないよう接着されており、該キャップ(3)は供給口(4)に接続されており、該シリンジ針(2)を該ボトル(6)の栓口に差込んでいる、加湿供給器具(1);及び
(カ)湿度供給部(20)及び供給口(7)を有する湿度供給容器、チューブ(21)、ボトル(6)、及びシリンジ針(2)から構成されている加湿供給器具(1)であって、該チューブ(21)の先端は該シリンジ針(2)に接続されており、もう一方の先端は該供給口(7)に接続されており、該シリンジ針(2)を該ボトル(6)の栓口に差込んでいる、加湿供給器具(1)。
- 前記細胞培養チャンバー(8)若しくは前記多層培養容器(24)は、過酸化水素耐性プラスチック樹脂から形成されている請求項1又は2に記載の細胞培養システム(100)。
- さらに、細胞培養チャンバー(8)と細胞培養容器(14)の管理装置を含む請求項1〜3のいずれか1に記載の細胞培養システム(100)。
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JP2017176129A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 三機工業株式会社 | インキュベータ格納装置 |
CN111269797A (zh) * | 2018-12-05 | 2020-06-12 | 上海清强健康科技有限公司 | 恒温培养箱 |
CN111748473A (zh) * | 2020-07-23 | 2020-10-09 | 北京图腾猎技科技有限公司 | 一种医用细胞培养设备及细胞培养方法 |
WO2021220784A1 (ja) * | 2020-04-30 | 2021-11-04 | 株式会社エアレックス | インキュベータ |
-
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- 2015-10-06 JP JP2015005065U patent/JP3201607U/ja active Active
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