JP3201124B2 - 結晶質酸化アルミニウム薄膜体の製造方法 - Google Patents

結晶質酸化アルミニウム薄膜体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐薬品性に優れた結晶
質酸化アルミニウム薄膜体の製造方法に関する。近年、
多孔質の酸化アルミニウムが有する吸着活性の活用が種
々分野で図られるようになってきている。その一例が、
酵素、酵素阻害剤、抗原、抗体、ホルモンなどの生理活
性物質を固定化する担体としての利用である。現在、バ
イオリアクタ−、酵素センサ−などとしての応用に大き
な期待が寄せられている。あるいはまた、無期触媒の担
持体としての利用とか各種物質の分離膜としての利用な
ども図られている。本発明で得られるものは、例えば、
このような分野において有効に利用される。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】陽極酸化
処理によって多孔質の酸化アルミニウム皮膜を容易に得
ることができる。例えば、アルミニウムやその合金を、
硫酸、クロム酸、リン酸などの鉱酸、シュウ酸、マロン
酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族カルボン酸、
スルホサリチル酸、スルホフタル酸、スルホマレイン
酸、スルホイタコン酸、スルホコハク酸などのスルホン
酸に少量の硫酸を添加した混酸の電解液中で陽極酸化す
ることにより、多孔質の酸化皮膜が得られる。そして、
薄膜体もまた、このような酸化皮膜から容易に得られ
る。例えば、必要に応じて徐々に電圧降下させてバリヤ
−層を薄くするようにして得た陽極酸化処理物を、陽極
酸化処理に用いた電解液中で陰極として電気分解を行
い、残存する基材と酸化皮膜との間に水素ガスを発生さ
せて剥離する方法(特公昭53−31883号公報、ヨ
−ロッパ特許出願公開第178831号明細書など参
照)とか、得た陽極酸化処理物に残存する基材を選択的
に溶出して酸化皮膜だけを残す方法などがある。また、
陽極酸化処理に箔を用い、基材が残らないように箔全体
を陽極酸化させるような方法(特公昭47−44418
号公報、特公昭47−45854号公報、特公平2−2
54192号公報など参照)もある。
【0003】このようにして得られる酸化アルミニウム
薄膜体は、陽極酸化処理時に酸化皮膜に形成される多数
の孔に基づく多数の貫通孔を有している。通常は、薄膜
体の一方の面から他方の面へと垂直に直線的に延びる孔
である。また、処理条件によっては、例えば、枝分れし
た孔となっている場合もある。いずれにしても、薄膜体
がこのような多数の貫通孔を有することから、前述した
吸着活性の活用に対する期待も生まれてくる。
【0004】ただ、上述の酸化アルミニウム薄膜体は耐
薬品性に少し劣るところがある。例えば、用いるpH緩
衝剤の種類にもよるが、強酸や強アルカリ水溶液によっ
て溶解することもある。また、pH7付近の中性水溶液
中で水を吸着し、この吸着水による体積増加によって孔
の径が狭くなり、例えば、反応物質との接触が低下して
反応速度が遅くなるといったこともある。
【0005】この点、耐薬品性を改良する好適手段と考
えられるのが、結晶化の熱処理を施すことである。耐薬
品性に劣るのは、酸化アルミニウム薄膜体が水分及び陽
極酸化処理に利用したアニオンを孔壁に向かう濃度勾配
で物理的吸着状態に含有している非晶質のものであるた
めと考えられる。特に、水分の存在が大きく原因してい
ると考えられ、例えば、上述した溶解は、水分が酸やア
ルカリを皮膜中に吸収する、将に「呼び水」となり、結
合力の弱い非晶質ではこれに耐えられず溶解するものと
考えられ、体積増加も、どんどん吸着される水分によっ
て酸化アルミニウムの一部が水和化されるためと考えら
れる。それゆえ、結晶化の熱処理によってこのような水
分などを除去してしまうとともに構造自体を結合力の強
いものに変えてしまえば耐薬品性も容易に改良できると
考えられる訳である。
【0006】ところが、実際に結晶化の熱処理を施して
みると、確かに耐薬品性は改良できるのであるが、湾曲
の激しい大きく変形したものとなってしまい、また、し
ばしば、割れたものとなってしまう。ある程度の変形
は、熱処理時に治具を用いることによって抑制できる
が、限度があるし、また、割れの発生を抑制するものと
はならない。そして、このような変形や割れにも水分な
どの存在が大きく原因していると考えられる。結晶化の
過程で水分などが放出されるに従い、薄膜体は、内部か
ら孔壁に向って次第に多孔質性の高くなったものにな
り、即ち、前述した貫通孔以外にも隙間を多く有するも
のとなり、結晶化を進めると、これら隙間を無くすよう
に孔壁部分を中心とする収縮が生じ、この収縮の際に発
生する不均一な応力により変形や割れが生じるものと考
えられる。結局のところ、これでは、耐薬品性の改良の
ための手段として一見容易であって好適と考えられる結
晶化の熱処理も、決して実際的手段とは言い難い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、一つの考え方
として、前述した酸やアルカリによる溶解を逆に利用し
たものとも言えるかも知れない。即ち、酸やアルカリ、
要するに溶解液によって、酸化アルミニウム薄膜体は次
第に溶解するが、積極的に溶解させれば、むしろ、これ
ら酸やアルカリ、あるいは、水分などが内部深く吸着し
ていく以上に、もともと吸着含有していた水分などを排
除していくことできるはずである。そして、水分などの
含有量が少なければ、結晶化の熱処理による変形や割れ
もそれだけ抑制できるはずである。このように考えて実
施してみたところ、予想通りに好結果が得られ、本発明
を完成させるに到ったのである。即ち、本発明は、陽極
酸化処理により得た多数の貫通孔を有する酸化アルミニ
ウム薄膜体を溶解液で処理して前記貫通孔の孔壁を溶解
して孔径を大きくし、その後、結晶化の熱処理を施して
なる結晶質酸化アルミニウム薄膜体の製造方法を要旨と
する。
【0008】以下、詳述する。陽極酸化処理によって酸
化アルミニウム薄膜体を得るまでは、前述例示したよう
な従来公知の方法をそのまま使用できる。処理条件によ
って貫通孔の大きさなども様々にできるので、適宜のも
のとすればよい。例えば、0.2μmとか0.4μmと
いったようにサブミクロンの大きさの径の貫通孔を有す
るものとしてもよいし、またあるいは、0.005μm
というように非常に小さな径の貫通孔を有するものとし
てもよい。ただ、やはり適宜の寸法にできるが、薄膜体
としての厚さは1μm〜400μmとするのが好まし
い。1μmより薄いと取扱い強度との関係で特殊用途用
となりかねないし、また、400μmより大きいと、強
度的には大概の使用目的に対して十分である反面、後述
する溶解液による処理など、それだけ長くあるいは慎重
にしなければならなくなる。より好ましくは、3μm〜
200μmである。
【0009】この酸化アルミニウム薄膜体の貫通孔の孔
壁を溶解して孔径を大きくするのに用いる溶解液として
は、例えば、硫酸、リン酸、アミド硫酸、クロム酸など
の鉱酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸などの脂肪族カルボ
ン酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、スルホコハ
ク酸などの脂肪族スルホン酸、スルホサリチル酸、スル
ホフタル酸などの芳香族スルホン酸、あるいは、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピ
ロリン酸カリウムなどを挙げられる。適宜混合して用い
てもよい。
【0010】このような溶解液を用いての処理は、貫通
孔の孔壁をなるべく均一に溶解するように行なうのが好
ましい。焦って行なうと不均一に溶解することになり、
貫通孔の一部を破壊することにもなりかねない。それゆ
え、処理温度には十分に留意するのがよい。溶解液の種
類にもよるが、一般的には、10℃〜50℃が好まし
い。と言っても、これでも前述した使用時の好ましくな
い溶解と比べると、随分と積極的な溶解であり、処理時
間は一般に5分〜150分程度で十分である。ここで、
他の条件が等しければ、処理時間が長いほど孔径は拡大
する。使用目的に応じて適宜行なえばよいが、あまり長
時間処理すると強度低下が甚だしくなるので、目安とし
ては、貫通孔間の壁厚が孔径の5〜60%程度となるよ
うにするとよい。また、ノニオン系、アニオン系など適
宜界面活性剤を併用すると、貫通孔内部への溶解液の侵
入均一性が高まるとともに処理に伴って発生する酸素ガ
スの放出効率も高くなり、溶解の均一性は更に高くな
る。
【0011】尚、溶解液による処理に先立って、予め、
積極的に水分などを酸化アルミニウム薄膜体に吸着させ
ておくこともできる。貫通孔壁面の凹凸化を促進するた
めであるが、例えば、必要に応じて適宜加熱、加圧をし
た水の中に陽極酸化で得た酸化アルミニウム薄膜体を所
定時間浸漬する。また、陽極酸化皮膜の耐食性や電気絶
縁性を高めるための方法として利用されている封孔処理
の技術も利用できる。即ち、硫酸塩、リン酸塩、ニッケ
ル塩、炭酸塩、トリエタノ−ルアミンなどのアミン化合
物などによるpH調整を必要に応じて行なって準備した
適宜pHの水溶液に浸漬したりする。
【0012】結晶化の熱処理は、どこまで結晶化させる
のかに応じて最高温度を決定する。即ち、最も熱的に安
定なのはα−アルミナであるが、最高温度を高くする必
要があり、変形などもそれだけ生じ易くなる。この点、
しばしばγ属アルミナとして総括されるが、η−アルミ
ナ、θ−アルミナ、δ−アルミナ、κ−アルミナ、σ−
アルミナ、χ−アルミナなど、相互に本質的差があるの
か判明しない上にα−アルミナとも混晶状態になったり
する結晶、しかし、α−アルミナとはX線回折によって
も明らかな相違を容易に確認できる結晶もあり、これら
も、陽極酸化で得ただけの非晶質のものと比べて十分に
耐薬品性が向上するので、必ずしも無理してまでα−ア
ルミナにしなくてよい。尚、雰囲気は、大気、酸素雰囲
気、水素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空雰
囲気など適宜でよい。また、変形をより十分に防止する
ために、ジルコニアセラミックス板や黒鉛板などで薄膜
体を挾んで処理しても勿論構わないし、熱処理後、更に
化学的に溶解処理を施すことにより、より滑らかなもの
としても構わない。
【0013】本発明で得られる結晶質酸化アルミニウム
薄膜体は、吸着活性と耐薬品性に極めて優れ、種々の分
野に利用できる。その一例が、前述した生理活性物質の
固定化担体などとすることであるので、ここに触れてお
く。生理活性物質を薄膜体に物理的に吸着、固定化させ
るには、固定化させる生理活性物質をその安定なpH域
にある塩水溶液や緩衝液に溶解させ、この溶液に薄膜体
を浸漬、撹拌させればよい。吸着させる際の温度は、生
理活性物質の安定温度域であればよく、撹拌時間も、生
理活性物質の陽極酸化皮膜への吸着状態を溶液中の活性
量や蛋白量を測定しながら調節すればよい。通常は、温
度5℃〜30℃、2〜24時間の撹拌で固定化は完了す
る。尚、特に、γ属アルミナとしたものの場合である
が、所望の固定をする前に経時的に大気中の水分を不要
に付着し固定の邪魔になることがある。乾燥状態での保
管に留意することも好ましいが、必要ならば、200℃
程度の加熱処理を前処理として施しておいてもよい。ま
たちなみに、無機物の触媒活性を有する物質などについ
ても、公知の方法を用いて同様に吸着固定することがで
きる。更に、酵素や抗体などのタンパク質の固定化に
は、化学的架橋化によることもできる。例えば、3ーア
ミノプロピルトリエトキシシランやN−(6ーアミノヘ
キシル)ー3ーアミノプロピルトリエトキシシランなど
のシラン化剤で薄膜体を処理し、水やリン酸緩衝液で洗
浄後、グルタルアルデヒドで処理し、安定なpH域にあ
る塩水溶液に固定化担体を浸漬し、撹拌させることによ
り、タンパク質を吸着させ、水素化ホウ素ナトリウムを
含む緩衝液中で還元処理する。
【0014】
【実施例】
<実施例1>陽極酸化アルミニウム薄膜体の作製 20mm×20mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板
(99.99%)を10%水酸化ナトリウム(50℃)
に10秒浸漬した後、30%硝酸に浸漬した。これを、
1.5モル/Lの硫酸水溶液中で、白金をカソ−ドと
し、15℃、20Vの定電圧にて1時間陽極酸化するこ
とによりアルミニウム表面に透明な多孔質の酸化皮膜を
形成した。その後、電圧を2Vづつ低下させ、バリヤ−
層を薄くした。更に、酸化皮膜を形成したアルミニウム
をカソ−ド、白金をアノ−ドとして電気分解をすること
によりアルミニウム基材と酸化皮膜の間に水素を発生さ
せ、厚さ50μmの透明な多孔質の陽極酸化アルミニウ
ム薄膜体を得た。
【0015】溶解液による処理 上で得た薄膜体をリン酸1%、アミド硫酸4%を含む水
溶液に30℃で30分浸漬した。高解像度走査型電子顕
微鏡で断面を観察すると、処理前孔径15nmであった
ものが、孔壁が均一に溶解して20nmに拡大してい
た。
【0016】結晶化の熱処理 孔壁を拡大した薄膜体を、アルミナセラミックス板に軽
く挾み、電気炉で1時間当たり50℃の速度で昇温し、
900℃で1時間熱処理した。得られたものは透明で熱
処理前と同様に平坦な薄膜体であり、割れも発生してい
なかった。尚、高解像度走査型電子顕微鏡で断面を観察
すると孔壁部分は粒状化しており、X線回折によるとγ
属アルミナの結晶構造となっていた。
【0017】<実施例2>陽極酸化アルミニウム薄膜体の作製 20mm×20mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板
(99.8%)を10%水酸化ナトリウム(50℃)に
10秒浸漬した後、30%硝酸に浸漬した。これを、
0.3モル/Lのシュウ酸水溶液中で、白金をカソ−ド
とし、15℃、60Vの定電圧で1時間陽極酸化するこ
とによりアルミニウム表面に薄い黄色に発色した多孔質
の酸化皮膜を形成した。その後、塩化第一鉄と塩酸を含
む10℃の水溶液に浸漬することにより選択的にアルミ
ニウムを溶解させ、厚さ45μmの薄い黄色に発色した
多孔質の酸化アルミニウム薄膜体を得た。
【0018】溶解液による処理 上で得た薄膜体をリン酸1%、スルホフタル酸8%を含
む水溶液に30℃で50分浸漬した。実施例1と同様に
断面を観察すると、処理前孔径50nmであったもの
が、孔壁が均一に溶解して1000nmに拡大してい
た。
【0019】結晶化の熱処理 最高温度を1000℃とした以外、実施例1と同様に処
理した。得られたものは、孔壁部分が粒状化(顕微鏡観
察)したγ属アルミナの結晶構造(X線回折)の、やは
り熱処理前と同様に平坦な薄膜体であり、割れも発生し
ていなかった。
【0020】<実施例3>陽極酸化アルミニウム薄膜体の作製 実施例2と同様に処理した。
【0021】溶解液による処理 上で得た薄膜体を界面活性剤を添加したリン酸3%を含
む水溶液に30℃で100分浸漬した。実施例1と同様
に断面を観察すると、処理前孔径50nmであったもの
が、孔壁が均一に溶解して140nmに拡大していた。
【0022】結晶化の熱処理 最高温度を1100℃とした以外、実施例1と同様に処
理した。得られたものは、孔壁部分が粒状化(顕微鏡観
察)したγ属アルミナの結晶構造(X線回折)の、やは
り熱処理前と同様に平坦な薄膜体であり、割れも発生し
ていなかった。
【0023】<実施例4>陽極酸化アルミニウム薄膜体の作製 20mm×20mm、厚さ0.5mmのアルミニウム板
(99.8%)を10%水酸化ナトリウム(50℃)に
10秒浸漬した後、30%硝酸に浸漬した。これを、
0.3モル/Lのシュウ酸水溶液中で、白金をカソ−ド
とし、20℃、55Vの定電圧で2時間陽極酸化するこ
とによりアルミニウム表面に多孔質の酸化皮膜を形成し
た。その後、電圧を2Vづつ低下させ、バリヤ−層を薄
くした。更に、酸化皮膜を形成したアルミニウムをカソ
−ド、白金をアノ−ドとして電気分解をすることにより
アルミニウム基材と酸化皮膜の間に水素を発生させ、厚
さ45μmの多孔質の黄色に発色した陽極酸化アルミニ
ウム薄膜体を得た。
【0024】溶解液による処理 上で得た薄膜体をスルホサリチル酸10%、硫酸1%を
含む水溶液に20℃で100分浸漬した。実施例1と同
様に断面を観察すると、処理前孔径45nmであったも
のが、孔壁が均一に溶解して1200nmに拡大してい
た。
【0025】結晶化の熱処理 昇温速度を30℃/時、最高温度を1200℃とした以
外、実施例1と同様に処理した。得られたものは、孔壁
部分が粒状化(顕微鏡観察)したγ属アルミナの結晶構
造(X線回折)の、やはり熱処理前と同様に平坦な薄膜
体であり、割れも発生していなかった。
【0026】<比較例1>実施例1において、溶解液に
よる処理を行なうことなく陽極酸化処理で得た薄膜体に
そのまま結晶化の熱処理を施した。得られたものは、割
れてはいなかったが大きく湾曲していた。また、孔壁部
分は粒状化(顕微鏡観察)していたが、結晶構造(X線
回折)はα−アルミナとγ属アルミナの混晶状態となっ
ていた。
【0027】<比較例2>実施例2において、溶解液に
よる処理を行なうことなく陽極酸化処理で得た薄膜体に
そのまま結晶化の熱処理を施した。得られたものは、大
きく湾曲していた上に割れてもいた。また、孔壁部分は
平滑であり(顕微鏡観察)、結晶構造(X線回折)はα
−アルミナとγ属アルミナの混晶状態となっていた。
【0028】<比較例3>実施例2と同様の陽極酸化処
理で得た薄膜体に、溶解液による処理を行なうことな
く、そのまま実施例3と同様の結晶化の熱処理を施し
た。得られたものは、大きく湾曲していた上に割れても
いた。また、孔壁部分は平滑であるが破断したものとな
っており(顕微鏡観察)、結晶構造(X線回折)はα−
アルミナとなっていた。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、吸着活
性と耐薬品性に優れ、また、結晶質ゆえの強度を有する
結晶質酸化アルミニウム薄膜体を、変形や割れを十分に
抑制しながら容易に製造することができる。また、溶解
液による処理により貫通孔の大きさを変えることもでき
るので、貫通孔の大きさ調整も兼ねることができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化処理により得た多数の貫通孔を
    有する酸化アルミニウム薄膜体を溶解液で処理して前記
    貫通孔の孔壁を溶解して孔径を大きくし、その後、結晶
    化の熱処理を施してなる結晶質酸化アルミニウム薄膜体
    の製造方法。
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