JP3154205B2 - 生理活性物質の固定化体の製造方法 - Google Patents

生理活性物質の固定化体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐薬品性に優れた多孔
質陽極酸化アルミニウム膜を使用した生理活性物質固定
化体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】酵素、酵素阻害剤、抗原、抗
体、ホルモンなどの生理活性物質をイオン交換能を有す
る樹脂や、シリカ、アルミナなどの無機物に固定化した
ものがバイオリアクタ−、酵素センサ−などに応用され
ている。
【0003】ここで、各種材料に生理活性物質を固定化
する方法としては、(1)架橋法、(2)包括法、
(3)担体結合法などがある。しかし、架橋法や包括法
は、比較的激しい条件下で酵素を固定化するため、固定
化した生理活性物質の活性度が低下する問題がある。ま
た、担体結合法も、共有結合法、イオン結合法、物理的
吸着法に分けられ、用いる基材の特性に合わせて選択さ
れるが、特にイオン結合法と物理吸着法は、比較的温和
な条件下で生理活性物質を固定化できるので、活性の高
い固定化体が得られるものの、結合力が弱いため、経時
により生理活性物質が脱離して活性が低下する問題があ
る。
【0004】そこで、本発明者等は、陽極酸化アルミニ
ウム膜の吸着活性とイオン交換能の特性に着目し、多孔
質陽極酸化アルミニウム膜に生理活性物質を固定してな
る生理活性物質の固定化体について先に提案した(特公
平3−73278号など)。多孔質陽極酸化アルミニウ
ム膜は吸着活性が高く、しかも、イオン交換能を有して
いるため、生理活性物質は多孔質陽極酸化膜の孔に吸着
し、かつ、イオン結合し、それゆえ非常に安定であり、
また、固定化は温和に行えるため、活性が高く経時安定
性に優れている。
【0005】本発明は、これら先の提案に続くものであ
る。一般に、生理活性物質の固定化体を用いる水溶液
は、生理活性物質の安定なpH領域で用いられ、そのp
Hは4〜9程度の領域である。これらの領域で生理活性
物質を固定化した多孔質陽極酸化アルミニウム膜を用い
ると、pH緩衝剤の種類などによっては、pH4.5以
下あるいは8.5以上の場合において、経時により多孔
質陽極酸化アルミニウム膜の溶解が発生し、固定された
生理活性物質の脱離が発生し、活性の低下が発生するこ
とがある。また、pH7付近の中性溶液中で、多孔質陽
極酸化アルミニウム膜が水分を吸着し、孔を塞ぐいわゆ
る封孔現象が発生し、生理活性物質の脱離はないもの
の、反応物質との接触が低下し、反応速度を低下させる
こともある。
【0006】一般に、硫酸、燐酸等の鉱酸、シュウ酸、
マロン酸、マレイン酸などの脂肪族カルボン酸、スルホ
サルチル酸、スルホフタル酸に少量の硫酸を添加した混
酸中でアルミニウム及びその合金を陽極酸化することに
より、多孔質の酸化皮膜は形成されている。これらの多
孔質酸化皮膜は非晶質であり、水分と陽極酸化に用いる
酸アニオンとを少量吸着している。この多孔質酸化皮膜
は、強酸、強アルカリ水溶液によって溶解することがあ
る。そのため、用いるpH緩衝剤との組合せ如何によっ
て、pH4.5以下あるいはpH8.5以上で、徐々に
ではあるが溶解することがある。ここで、生理活性物質
の種類によっては、これらのpH領域で安定なものもあ
る。利用価値をより高める上でも耐薬品性の向上が必要
と考えられるところである。尚、pH7付近の中性水溶
液中で、水を吸着し、この吸着水によって陽極酸化皮膜
の体積が増加し、その結果、孔の径が狭まり、反応物質
との接触性が低下し、反応速度の低下が発生する原因に
ついては、物理的に吸着しているH2Oが影響し、この
2Oにより酸アルカリを皮膜中に吸収し、多孔質陽極
酸化アルミニウム膜が溶解し、また、非晶質のため酸化
アルミニウムの結合が低く、吸着されたH2Oにより酸
化アルミニウムの結合が部分的に切れ、体積が増加する
ものと考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、多孔質陽極酸
化アルミニウム膜に含まれている水分とその皮膜の非晶
質に着目し、熱処理により、物理的に吸着しているH2
Oの除去と酸化アルミニウムの化学結合の強化をなし、
もって、耐薬品性を向上し、経時安定性に優れた生理活
性物質の固定化体の製造方法を提供するものであり、そ
の要旨は、多孔質陽極酸化アルミニウム膜を800℃以
上の温度で加熱処理後、該多孔質陽極酸化アルミニウム
膜に生理活性物質を固定してなることを特徴とする生理
活性物質の固定化体の製造方法である。
【0008】固定化担体として使用する多孔質陽極酸化
アルミニウム膜は、公知方法、例えば、硫酸、リン酸、
クロム酸などの鉱酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン
酸、イタコン酸などの脂肪属カルボン酸、スルホサルチ
ル酸、スルホフタル酸、スルホマレイン酸、スルホイタ
コン酸、スルホコハク酸等のスルホン酸に少量の硫酸を
添加した混酸の電解液中においてアルミニウムまたはそ
の合金を陽極酸化するとにより形成できるが、多孔質
陽極酸化アルミニウム膜をアルミニウムまたはその合金
表面より得るためには、特公昭47−444418号公
報、特公昭47−45854号公報、特公平2−254
192号公報等に記載されているようにアルミニウム箔
を陽極酸化させることによりアルミニウム箔全てを酸化
させる方法、特公昭53−31883号公報に記載され
ているようにアルミニウムまたはその合金を陽極酸化
し、次にこの電解液中で陰極として電気分解を行い、ア
ルミニウムと酸化アルミニウムの間に水素ガスを発生さ
せ、多孔質酸化アルミニウム膜を剥離する方法、EPA
178831に記載されているようにアルミニウムまた
はその合金を陽極酸化し、その後電圧を徐々に降下さ
せ、バリヤ−層を薄くしてから、この電解液中で陰極と
して電気分解を行い、アルミニウムと酸化アルミニウム
の間に水素ガスを発生させ、多孔質酸化アルミニウム膜
を剥離する方法、アルミニウムまたはその合金を陽極酸
化後、選択的にアルミニウムまたはその合金を溶質させ
る方法がある。得られた多孔質陽極酸化アルミニウム膜
の厚さは、1〜200μm程度の厚さであればよいもの
である。また、これらの方法で得られた多孔質陽極酸化
アルミニウム膜は、片側に緻密な酸化皮膜(バリヤ−
層)が残っている場合もあり、目的に応じて、酸、アル
カリに浸漬して除去してもよい。
【0009】熱処理は800℃以上の温度で行う。この
温度で処理することにより、非晶質の多孔質陽極酸化ア
ルミニウム膜は、結晶質のものに変化する。真空中、大
気中、酸素中、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中
で行う。尚、熱処理によって多孔質陽極酸化アルミニウ
ム膜が変形することもあるので、アルミナ、ジルコニア
等のセラミクス板でサンドイッチして処理を行ってもよ
い。
【0010】こうして得た多孔質陽極酸化アルミニウム
膜は、物理的強度が高く、また、耐酸、耐アルカリ性も
向上し、経時的な水和化による膜の体積増加に基づく孔
の狭まりもないことから、経時安定性が高く、広範囲の
条件下で使用できる。
【0011】また、生理活性物質を固定化担体である多
孔質陽極酸化アルミニウム膜に物理的に吸着、固定化さ
せるには、固定化させる生理活性物質をその安定なpH
域にある塩水溶液や緩衝液に溶解させ、この溶液に固定
化担体を浸漬、撹拌させればよい。吸着させる際の温度
は、生理活性物質の安定温度域であればよく、また、撹
拌時間は、生理活性物質の陽極酸化皮膜への吸着状態を
溶液中の活性量や蛋白量を測定しながら調節すればよ
い。通常は、温度5℃〜30℃、2〜24時間の撹拌で
固定化は完了する。
【0012】
【実施例】<実施例1> 20mm×20mm、厚さ0.5mmのアルミニウムの
板(99.8%)を10%水酸化ナトリウムに10秒浸
漬し(50℃)、その後30%硝酸に浸漬した(前処
理)。その後0.3mol/Lのシュウ酸水溶液で、白
金をカソ−ドとし、15℃、60Vの定電圧にて1時間
陽極酸化することによりアルミニウム表面に薄い黄色に
発色した多孔質の酸化皮膜を形成し、その後塩化第一鉄
と塩酸を含む10℃の水溶液に浸漬することにより選択
的にアルミニウムを溶解させ、45μmの厚さの薄い黄
色に発色した多孔質陽極酸化アルミニウム膜を得た。
【0013】この多孔質陽極酸化アルミニウム膜をアル
ミナ基盤にサンドイッチし、電気炉で酸素を10ml/
秒で流しながら、50℃/時の速度で昇温し、800℃
で1時間熱処理を行った。得られたものは、透明で、皮
膜はX線回折で分析するとγ−アルミナであることが確
認された。また、pH3およびpH9の水溶液に4時間
浸漬しても重量変化はなく、耐薬品性の高いことも確認
された。
【0014】これを純水にて十分水洗後、小麦カルボキ
シペプチターゼW(ぺんてる(株)製、発売元:生化学
工業(株))2mgを10mlの50mM酢酸−酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH3.0)に溶解させた液に20℃
にて3時間浸漬撹拌し、その後、50mlの50mM酢
酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)で2回洗浄
し、カルボキシペプチターゼW固定化酸化アルミニウム
薄膜を得た。
【0015】1mMになるようにベンジルオキシカルボ
ニル−グルタミル−チロシンを50mM酢酸−酢酸ナト
リウム緩衝液(pH3.0)に溶解し、この溶液10m
lにカルボキシペプチターゼW固定化酸化アルミニウム
薄膜を浸漬し、30℃で1時間反応させ、570nmの吸
光度測定にて酵素活性を求めた。1日1回5日間連続操
作して酵素活性を求め、また経時的な残存酵素活性
(%)を求めた結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】また、トリプシン(Sigma社製)1m
gを10mlのトリス(ヒドロキシアミノメタン)緩衝
液(pH9.0)に溶解させ、この溶液に上記の多孔質
酸化アルミニウム薄膜を4℃にて12時間浸漬撹拌し、
次いでこの薄膜を100mlの0.04Mトリス(ヒド
ロキシアミノメタン)緩衝液(pH9.0)で2回洗浄
し、トリプシン固定化薄膜を得た。TAME(p−トル
エンスルフォンアルギニンメチルエステル)を0.04
Mトリス(ヒドロキシアミノメタン)緩衝液(pH9.
0)に溶解し、1mMのTAME溶液(pH9.0)を
調製し、この溶液20mlにトリプシン固定化薄膜を浸
漬し、30℃で10分間反応させ、酵素活性を247n
mの吸光度の増加にて測定した。1日1回5日間連続操
作して酵素活性を求め、また経時的な残存酵素活性
(%)を求めた結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】また、リゾプスニベウス(Rhizopusniveu
s)のグルコースアミラーゼ(生化学工業(株)製)1
mgを50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.
5)20mlに溶解させ、この溶液に上記多孔質酸化ア
ルミニウム薄膜を4℃にて4時間浸漬撹拌し、その後5
0mlの50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH
4.5)で2回洗浄し、グルコースアミラーゼ固定化酸
化アルミニウム薄膜を得た。1%となるようにマルトー
ス(Grade3H:生化学工業(株)製)を50mM酢酸
−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に溶解し、この
溶液20mlにグルコースアミラーゼ固定化酸化アルミ
ニウム薄膜を浸漬し、30℃で30分間反応させた。生
成するグルコースをグルコースオキシターゼペルオキシ
ターゼ−O−ジアニシジン法により定量することにより
酵素活性を測定した。1日1回5日間連続操作して酵素
活性を求め、また経時的な残存酵素活性(%)を求めた
結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】上記各表は、各例のものが5日後でも良
好な残存酵素活性を有し、経時的な活性低下が防止され
ているという結果を示すが、このように、本発明の製造
方法により得られた生理活性物質の固定化体は、生理活
性物質の活性が高く、かつ、経時的な活性低下の少ない
ものとなる。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 11/14 C07K 17/14 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質陽極酸化アルミニウム膜を800
    ℃以上の温度で加熱処理後、該多孔質陽極酸化アルミニ
    ウム膜に生理活性物質を固定してなることを特徴とする
    生理活性物質の固定化体の製造方法。
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