JP3200097B2 - 被覆粉体及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は被覆粉体及びこれを含有
する化粧料に関し、更に詳しくは、水不溶性無機粉体及
び／又は水不溶性有機粉体を水溶性高分子と共に凍結乾
燥することにより得られる、化粧料に配合した場合に皮
膚上での伸び、付着性が良く、保湿性、化粧効果が長時
間持続する水溶性高分子被覆粉体及びこれを含有する化
粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、化粧料の顔料としては、例えばタ
ルク、カオリン、マイカ、セリサイト、雲母チタン、酸
化チタンなどの無機粉体や、ナイロン粉末、ポリエチレ
ン末、スチレンパウダー、シルクパウダーなどの有機粉
体などの種々の顔料が使用されているが、これらは肌へ
のなじみや密着性が悪い欠点があった。また、これらを
配合した化粧料は、化粧塗布膜に水分保持力がないため
に、乾燥した季節には肌がカサついたり、粉が浮き上が
るという欠点があった。

【０００３】そこで、斯かる顔料の肌への密着性を改良
するために、顔料の表面を金属石鹸により被覆したり、
水溶性コラーゲンなどにより被覆したりすることが従来
行われている。

【０００４】しかしながら、金属石鹸被覆顔料は、プレ
ス製品（例えば、パウダーファンデーション、パウダー
アイシャドウ、ホホ紅など）の場合は、配合し得る油性
バインダーの量が著しく少なくなって、ソフト感の向上
が困難となるほか、ケーキ表面における光沢ムラの発生
等の問題が生じる。また、水使用タイプのパウダーファ
ンデーションに金属石鹸被覆粉体を配合すると撥水性は
向上する反面、水分保持能は低下し、しっとりとした良
好な感触を与えることができない。

【０００５】更に、噴霧乾燥法、減圧乾燥法などにより
製造した水溶性コラーゲン被覆粉体も、皮膚上での伸
び、付着性が良好で、保湿性、化粧効果等の特性を有し
てはいるものの、これらの効果が長時間持続し得ないと
いう欠点があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従って、皮膚上での伸
び、付着性、肌へのなじみ、密着性及び化粧もち等が良
好で、肌にしっとりとして優れた感触を与え、且つこれ
らの効果が長時間持続する化粧料用粉体及びこれを含有
する化粧料の開発が望まれていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】斯かる実情において、本
発明者らは鋭意研究を重ねた結果、水不溶性無機粉体及
び／又は水不溶性有機粉体と水溶性高分子との混合液を
凍結乾燥することにより得られる水溶性高分子被覆粉体
が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成し
た。

【０００８】すなわち、本発明はタルク、カオリン、酸
化チタン及びナイロン粉末から選ばれる水不溶性無機粉
体及び／又は水不溶性有機粉体と、水溶性コラーゲン、
水溶性エラスチン、水溶性ヒアルロン酸、ケルトロー
ル、マルメロ抽出液及びアルゲコロイドから選ばれる水
溶性高分子との混合液を凍結乾燥することにより得られ
る水溶性高分子被覆粉体、並びにこれを含有することを
特徴とする化粧料を提供するものである。

【０００９】本発明で用いられる水不溶性無機粉体及び
水不溶性有機粉体は、タルク、カオリン、酸化チタンな
どの無機粉体、ナイロン粉末などの有機粉体が挙げられ
る。これら粉体は、化粧料などのその使用目的に応じ
て、一種又は二種以上を適宜選択して用いることができ
る。

【００１０】本発明で用いられる水溶性高分子として
は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、ケルトロ
ール、マルメロ抽出液、アルゲコロイドが挙げられる。
これらの水溶性高分子は一種又は二種以上を適宜選択し
て用いることができる。

【００１１】本発明の被覆粉体は、上述の水不溶性無機
粉体及び／又は水不溶性有機粉体と水溶性高分子とを含
有する混合液を、凍結乾燥することによって得ることが
でき、より具体的には例えば以下の如くして製造され
る。すなわちまず、水溶性高分子の水溶液を攪拌しつ
つ、これに水不溶性無機粉体及び／又は水不溶性有機粉
体を徐々に添加して分散させる。ここで分散を良くする
ために、あらかじめ水不溶性無機粉体及び／又は水不溶
性有機粉体の表面を界面活性剤等で親水化処理してお
き、これを水溶性高分子水溶液に添加してもよい。次い
で、凍結温度−５〜−８０℃、好ましくは−３０℃にて
急速に凍結させ、０．１Torr以下の減圧条件にて水を昇
華させることにより凍結乾燥する。

【００１２】本発明の被覆粉体に用いられる水不溶性無
機粉体及び／又は水不溶性有機粉体と水溶性高分子の重
量比は特に限定されるものではないが、特に当該粉体１
に対して水溶性高分子０．００１〜０．１が好ましい。
また、水溶性高分子を多量に使用する場合には、前述の
凍結乾燥の前に水溶性高分子を予備凍結することが好ま
しい。

【００１３】かくして得られる本発明の被覆粉体は水不
溶性であり、保湿作用を有する化粧料用粉体として種々
の化粧料に配合することができる。その配合量は、化粧
料全量中に０．１〜８０重量％であることが好ましい。

【００１４】尚、本発明の化粧料には、前記の水溶性高
分子被覆粉体の他に、通常化粧料に用いられる他の成分
を必要に応じて適宜配合することができる。例えば、タ
ルク、セリサイト等の無機粉体、ナイロンパウダー、ポ
リエチレンパウダー等の有機粉体、赤色２０１号、黄色
２０５号等のタール色素、クロロフィル、β−カロチン
等の天然色素、酸化チタン被覆雲母等のパール顔料、ア
ルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、スクワラン、流
動パラフィン等の炭化水素、パルミチン酸、ステアリン
酸等の高級脂肪酸、トリイソステアリン酸グリセリル、
トリヤシ油脂肪酸グリセリル等の油脂類、及び各種シリ
コーン油、エステル油、高級アルコール、ロウ、樹脂、
可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性
剤、保湿剤、香料、増粘剤等が挙げられる。

【００１５】本発明の化粧料は通常の方法により製造す
ることができ、例えばファンデーション、白粉、ホホ
紅、アイシャドウ、口紅、アイライナー、マスカラ等の
メークアップ化粧料などとして適用することができる。

【００１６】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。

【００１７】実施例１ （被覆粉体の製造） タルク１００ｇと水溶性コラーゲン１％水溶液１００ｇ
をらい潰機に投入し、混合した。これを日産エトワーズ
社製凍結乾燥機ＭＦＤ型を用い、−３０℃で凍結させ、
その後０．１Torr以下になるまで減圧し脱水し、凍結乾
燥処理コラーゲン被覆タルクを得た。また、タルクをチ
タン、ナイロン粉末又はカオリンに変え、同様の操作を
行ったところ、凍結乾燥処理コラーゲン被覆チタン、凍
結乾燥処理コラーゲン被覆ナイロン、凍結乾燥処理コラ
ーゲン被覆カオリンを得た。

【００１８】実施例２ （被覆粉体の製造） 実施例１において水溶性コラーゲンに変え、水溶性エラ
スチン、水溶性ヒアルロン酸、ケルトロール、マルメロ
抽出液（香栄興業（株）社製）、アルゲコロイド等の水
溶性高分子を用い同様の方法で行ったところ、凍結乾燥
処理エラスチン、ヒアルロン酸、ケルトロール、マルメ
ロ又はアルゲコロイドに被覆されたタルク、チタン、ナ
イロン又はカオリンが得られた。

【００１９】実施例３ （パウダーファンデーション） （処方） （重量部） （１）凍結乾燥処理エラスチン被覆チタン（実施例２） ５０．０ （２）タルク １５．０ （３）ナイロン粉末 １０．０ （４）黄酸化鉄 ３．０ （５）ベンガラ ３．０ （６）黒酸化鉄 ０．４５ （７）パラオキシ安息香酸メチル ０．１ （８）スクワラン １０．０ （９）香料 ０．１ （製法） Ａ．成分（１）〜（９）を混合して均質にし、その後粉
砕する。 Ｂ．Ａを容器に充填し、プレス成型して製品を得る。

【００２０】比較例１ （パウダーファンデーション） 実施例３の処方中、成分（１）の本発明の凍結乾燥処理
エラスチン被覆チタンの代わりに下記の方法により得ら
れた噴霧乾燥処理エラスチン被覆チタンを用いた以外
は、実施例３と同様にして製品を得た。 （噴霧乾燥処理エラスチン被覆チタンの製造） チタン１００ｇとエラスチン１％水溶液１００ｇをホモ
ミキサーにて６０００ｒ．ｐ．ｍ．で１０分間混合して
均一なスラリー状物とする。これを大川原化工機社製噴
霧乾燥機Ｌ−１２型を用い、ディスク回転数８０００
ｒ．ｐ．ｍ．処理速度８ｋｇ／ｈｒ温度２００℃、サイ
クロン圧力５０ｍｍＨｇの噴霧条件で噴霧乾燥を行い、
噴霧乾燥処理エラスチン被覆チタンを得た。

【００２１】試験例 実施例３及び比較例１で得られたパウダーファンデーシ
ョンについて、女性パネラー２０名により、肌上での伸
び、肌への付着性、しっとり感及び化粧効果の持続性に
ついての官能テストを実施し、比較、評価を行った。評
価は、各評価項目につき、評点１〜５の５段階を基準と
し、絶対評価で行った。その結果を表１に示す。尚、表
中の数値は平均点で表してあり、評点が高いほど、前記
評価項目の特性を有することを示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１の結果に認められるように、本発明の
凍結乾燥処理被覆粉体を配合した化粧料は、噴霧乾燥処
理被覆粉体を用いた化粧料に比較し、皮膚上に塗布、適
用した場合、肌上で伸びがよく、滑らかであり、また粉
っぽさがなく、しっとりとした感触を有し、そしてまた
肌への付着性が良いと共に、化粧効果の持続性に優れ、
化粧崩れしにくいものであった。

【００２４】実施例４ （口紅） （処方） （重量％） （１）凍結乾燥処理コラーゲン被覆タルク（実施例１） ２ （２）凍結乾燥処理ヒアルロン酸被覆チタン（実施例２） ５ （３）赤色２０２号 ３ （４）赤色２２３号 ０．２ （５）キャンデリラロウ ９ （６）パラフィンワックス ８ （７）ミツロウ ５ （８）ヒマシ油 ５５．６ （９）イソプロピルミリスチン酸エステル １２ （１０）パラオキシ安息香酸メチル ０．１ （１１）香料 ０．１ （製法） Ａ．成分（５）〜（９）を加熱溶解する。 Ｂ．Ａに成分（１）〜（４）、（１０）、（１１）を加
え、ホモミキサーで均一に分散する。 Ｃ．Ｂを容器に充填し、冷却して製品を得る。 得られた口紅は唇上に塗布した場合、伸びがよく、滑ら
かであり、また粉っぽさがなく、しっとりとした感触を
有し、また唇への付着性が良いと共に、化粧効果の持続
性に優れ、化粧崩れしにくいものであった。

【００２５】実施例５ （ホホ紅） （処方） （重量％） （１）凍結乾燥処理コラーゲン被覆タルク（実施例１） ７０．０ （２）凍結乾燥処理マルメロ被覆カオリン（実施例２） ８．０ （３）亜鉛華 ９．８ （４）ステアリン酸亜鉛 ７．０ （５）顔料 ５．０ （６）パラオキシ安息香酸メチル ０．１ （７）香料 ０．１ （製法） Ａ．成分（１）〜（７）を混合して均質にし、その後粉
砕する。 Ｂ．Ａを容器に充填し、プレス成型して製品を得る。 得られたホホ紅は、肌に塗布した場合、伸びがよく、滑
らかであり、また粉っぽさがなく、しっとりとした感触
を有し、また肌への付着性が良いと共に化粧効果の持続
性に優れ、化粧崩れしにくいものであった。

【００２６】

【発明の効果】以上、詳述した如く、本発明の被覆粉体
は、皮膚上での伸びと付着性が良く、保湿性、化粧効果
が長時間持続するという、優れた性質を具備したもので
ある。従って、この被覆粉体を含有する化粧料は、皮膚
上での伸びと付着性が良く、保湿性、化粧効果が長時間
持続し、極めて有用なものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−313707（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−69710（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−153612（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−38510（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−313413（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−205167（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−221306（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−68507（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50 ＣＡ（ＳＴＮ) ＷＰＩ（ＤＩＡＬＯＧ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タルク、カオリン、酸化チタン及びナイ
   ロン粉末から選ばれる水不溶性無機粉体及び／又は水不
   溶性有機粉体と、水溶性コラーゲン、水溶性エラスチ
   ン、水溶性ヒアルロン酸、ケルトロール、マルメロ抽出
   液及びアルゲコロイドから選ばれる水溶性高分子との混
   合液を凍結乾燥することにより得られる水溶性高分子被
   覆粉体。
2. 【請求項２】 請求項１記載の被覆粉体を含有すること
   を特徴とする化粧料。