JP3200068B2 - 細繊度セルロースアセテート繊維の製造方法 - Google Patents

細繊度セルロースアセテート繊維の製造方法

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JP3200068B2 JP50665194A JP50665194A JP3200068B2 JP 3200068 B2 JP3200068 B2 JP 3200068B2 JP 50665194 A JP50665194 A JP 50665194A JP 50665194 A JP50665194 A JP 50665194A JP 3200068 B2 JP3200068 B2 JP 3200068B2
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    • D01F2/00Monocomponent artificial filaments or the like of cellulose or cellulose derivatives; Manufacture thereof
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は細繊度セルロースアセテート繊維の製造方法
に関する。本発明は、更に詳しくは、1.4未満のフィラ
メント当りの平均デニール(即ち平均デニール/フィラ
メント)を有する超細繊度セルロースアセテート繊維の
製造方法を伴う。
発明の背景 セルロースアセテート繊維は、織物を製造するための
織編用糸、及びタバコ煙フィルター用のフィルターロッ
ドの製造に使用されるフィルタートウのような多くの製
品の製造に多年にわたり使用されてきた。セルロースア
セテート繊維は、一般に、米国特許第2,829,027号同第
2,838,364号及び同第3,080,611号に開示されたような乾
式紡糸法によって製造される。セルロースアセテート繊
維は、一般に、セルロースアセテート及びアセトンを他
の任意の添加剤、例えば、二酸化チタンと共に含むセル
ロースアセテート紡糸液から乾式紡糸される。セルロー
スアセテートを製造する乾式紡糸法は、一般に、2〜8
(0.22〜0.89TEX)の平均デニール/フィラメントを有
する繊維を製造する。セルロースアセテートの細繊度フ
ィラメントは、柔らかく、すべすべした特殊織物の製造
のために好ましい。更に、タバコ煙フィルターに使用さ
れる場合には、低い範囲の平均デニール/フィラメント
のセルロースアセテート繊維ほど、大きい表面積がフィ
ルターを通過する煙に曝され、それによって濾過効率が
上昇する。細繊度セルロースアセテート繊維から得られ
る望ましい結果に鑑みて、デニール/フィラメントが低
減された繊維を商業的に製造しようとする試みがなされ
てきた。セルロースアセテート繊維の平均デニール/フ
ィラメントを低減しようとする従前の試みは、米国特許
第3,033,698号に開示されているように、固形分を減少
させることによって紡糸液又は紡糸ドープの粘度を減少
させんとするものであった。しかしながら、この低粘度
紡糸液の紡糸は、押出された繊維が紡糸口金の金属面に
粘着する傾向にあるため、これらの繊維をヤーンに引き
揃えるのは困難である。固形分を低下させることによっ
て、比較的低い平均デニール/フィラメントの繊維を製
造しようとする方法は、また、流量制御の問題を提起
し、回収されなければならないアセトンの使用量を増大
させる。セルロースアセテート繊維の平均デニール/フ
ィラメントを減少させる別の方法は、米国特許第3,608,
041号に開示されているように、固形分の低下の他に紡
糸口金の孔の改良を行うものである。
固形分の減少により溶液の粘度を低下させようとする
細繊度セルロースアセテート繊維の他の製造方法は、米
国特許第3,033,698号、同第3,038,780号及び同第3,068,
063号に開示されているように紡糸液に金属キレートを
添加することによって粘着性の問題を正そうとするもの
である。しかしながら、アセトンの回収は依然として問
題であり、これらの金属キレートの長期毒性は知られて
おらず、従って、これらの製品はタバコ煙フィルターの
場合には許されない。また、最終使用者は、普通でない
添加剤を含む繊維を使用することには気が進まない。
繊維の平均デニール/フィラメントを減少させる別の
方法は延伸比を増加させることであるが、単に延伸比を
増加させることによって細繊度繊維を製造する場合に
は、フィラメントの破壊率が許容され得ないほど高くな
る。
紡糸条件を劇的に変化させずに又は普通でない添加剤
を添加せずに固形分が通常の又は高い紡糸液を用いて超
細繊度フィラメントを製造できるならば非常に望まし
い。
発明の要約 本発明の方法は、 (A)24〜32重量%の、落球粘度が15〜70秒のセルロー
スアセテート、0重量%〜少量のTiO2及び少量の水を含
み且つ残りがアセトンである紡糸液を形成し; (B)該紡糸液を高温において直径36μm未満の多数の
孔を有する紡糸口金を通して紡糸して繊維を形成し; (C)該繊維を温度50〜80℃の気体媒体中で乾燥させ、
延伸比0.9〜1.7で紡糸することによって、平均デニール
/フィラメントが1.4(0.16TEX)未満の繊維を製造する ことを含んでなる方法による、超細繊度のセルロースア
セテート繊維の製造に関する。
発明の詳細な説明 本発明者らは意外にも、普通でない添加剤を添加した
り、固形分を減少させたり、又は紡糸条件を劇的に変化
させたりすることを必要としないで、平均デニール/フ
ィラメントが1.4(0.16TEX)未満の超細繊度繊維の改良
された製造方法を見出した。この超細繊度繊維の製造方
法は、所定の乾燥又は硬化条件において36μm未満の直
径を有する紡糸口金を通して紡糸される、落球粘度が15
〜70秒のセルロースアセテートを含む、固形分が通常乃
至高い紡糸液によって可能である。
本発明に係る超細繊度のセルロースアセテート繊維を
製造する方法においては、24〜32重量%のセルロースア
セテート、0重量%〜少量(minor amount)のTiO2及び
少量(minor amount)の水を含み且つ残りがアセトンで
ある紡糸液を形成し、該セルロースアセテートは落球粘
度が15〜70秒である。この紡糸液は好ましくは室温〜紡
糸液の沸点において、より好ましくは30〜50℃において
形成する。紡糸液を室温よりはるかに低い温度において
混合すると、アセトンとセルロースアセテートとの均質
混合物が十分には形成できず、他方、紡糸液中のアセト
ンの沸点より高い温度が望ましくないのは明白である。
紡糸液の固形分は、一般に、セルロースアセテートが
24〜32重量%及び二酸化チタンが0重量%〜非常に少量
である。セルロースアセテート含量は好ましくは25〜32
重量%であり、より好ましくは約26〜30重量%である。
固形分が大きいほど紡糸液中に存在するアセトンは少な
く、従って、アセトンの回収の必要性は減少する。しか
しながら、固形分が32重量%よりはるかに大きい場合に
は、紡糸液は粘稠すぎて小さな紡糸口金孔を通して押出
することはできない。他方、固形分が25重量%よりはる
かに小さい場合には、紡糸口金を通るドーブの流量は制
御が困難で、回収すべきアセトンの量は多すぎる。更
に、低固形分の紡糸液は、繊維に紡糸する場合に、紡糸
口金の金属面の外面に繊維を粘着させる傾向があるの
で、フィラメントを引き揃えてヤーンにすることは困難
である。
紡糸液に使用するセルロースアセテートは、好ましく
は42秒未満、より好ましくは35秒未満の落球粘度を有す
る。落球粘度は、直径1/8インチ(3.17mm)のステンレ
ス鋼球が、2.25インチ(5.71cm)離れた2組の平行で水
平な線の間の、セルロースアセテート20重量%及びアセ
トン80重量%の25℃の溶液を通過する時間(秒)として
定義される。落球粘度は一般に、セルロースアセテート
の平均分子量を低下させることによって減少する。セル
ロースアセテートの分子量は当業者によるエステル化条
件の適当な選択によって調整することができる。このセ
ルロースアセテートに対する落球粘度は20〜42秒の好ま
しい範囲にあり、25〜40秒の範囲がより好ましい。落球
粘度が42秒より高いセルロースアセテートは、得られる
紡糸液が紡糸口金中の直径が微細な孔を通して充分に押
出できないほど粘稠になるので、落球粘度が20〜42秒の
セルロースアセテートに比べて望ましくない。しかしな
がら、落球粘度が15秒よりもはるかに低いセルロースア
セテートは、紡糸液とする場合には、粘度が低すぎて紡
糸口金の孔の末端からの繊維を形成できない紡糸液を生
成する。紡糸液中のセルロースアセテートのインヘレン
ト粘度は好ましくは1.35〜1.60、より好ましくは1.45〜
1.58、最も好ましくは1.56未満である。
本発明に係る紡糸液には一般に、少量の二酸化チタン
及び少量の水が添加されている。全紡糸液中のTiO2の量
は一般に1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満
であり、0.3重量%未満が最も好ましい。少量のTiO2
添加は得られるフィルタートウの白色度を増加させる
が、比較的多量のTiO2は微細な紡糸口金孔を詰まらせる
傾向がある。
本発明の紡糸液中に存在する水の量は一般に3重量%
未満、より好ましくは1〜2重量%である。3重量%よ
り著しく多い量の水は得られる繊維の乾燥時間を遅らせ
る傾向があるが、アセトンは蒸留によって水から再循環
され且つ周囲空気が湿っているので、1重量%より著し
く少ない水の量は達成が困難である。
紡糸液は本発明に従って高温において36μm未満の直
径を有する紡糸口金中の孔を通して紡糸されて、繊維を
形成する。本発明の方法における紡糸液の紡糸温度は可
能な限り高いのが好ましいが、アセトンの沸点未満の温
度である。紡糸液の高温は加熱されたキャンドルフィル
ターを通過させることによって維持する。キャンドルフ
ィルター温度は、キャンドルフィルターの内部流路に熱
水を通すことによって維持する。紡糸液の実際の温度は
キャンドルフィルターの水温より数度低い。この熱水温
度は好ましくは40〜65℃であり、50〜60℃の温度がより
好ましい。65℃より著しく高いキャンドルフィルター水
温は紡糸液をアセトンの沸点より高温に加熱する可能性
があり、押出繊維の表面に泡を形成する傾向がある。し
かしながら、キャンドルフィルター水温が40℃よりはる
かに低い場合には紡糸液の粘度は高過ぎ、また、紡糸繊
維の硬化又は乾燥時間が長くなる。
本発明の方法に使用される紡糸口金の孔は任意の形状
とすることができる。しかしながら、紡糸口金中に丸い
孔を作るのが容易であるため、これらの孔は丸いのが好
ましい。更に、丸くない孔からの押出によって生成する
繊維は、タバコ煙フィルターに使用した場合には圧力降
下を増大させる傾向がある。この圧力降下の増大は、丸
い紡糸口金孔からの繊維に関する同一単位圧力降下が、
丸くない紡糸口金孔の横断面、例えば、Y横断面からの
繊維のそれよりも高い濾過効率を生じるようなものであ
る。
本発明の方法に使用される紡糸口金の孔の直径は好ま
しくは20〜36μmである。一般に、平均デニール/フィ
ラメントが低い繊維を紡糸しようとするほど小さい孔寸
法が必要である。平均デニール/フィラメントが1.2
(0.13TEX)のセルロースアセテートを製造する場合に
は、紡糸口金中の孔の直径はより好ましくは28〜34μm
であり、30〜32μmが最も好ましい。
本発明の紡糸口金は、好ましくは、孔の背部の円錐部
分が徐々に先細になって紡糸口金の出口において円筒形
の孔を形成するような丸い孔断面を有する。丸い孔断面
はより好ましくは、双曲線及び多角孔断面から選ばれ
る。紡糸口金孔の表面は極めて平滑であるのが好まし
い。これらの紡糸口金孔はより好ましくは0.05Raμm未
満の表面粗さを有する。Raは、表面の算術粗さ平均を示
す。
本発明の紡糸口金は、好ましくは、2〜8デニール/
フィラメント(0.22〜0.89TEX)の範囲のフィラメント
寸法を有するセルロースアセテートの繊維を製造するこ
とができる紡糸口金の品質に比較して改良された品質の
ものである。この改良された品質は、極めて平滑な表面
仕上げを有する孔の均一で対称の形状において特に表わ
れる。紡糸口金の出口の孔は、直径が30μmで且つ長さ
が孔の直径の0.5〜1.5倍の範囲から選ぶことができる円
筒形を有する。改良された品質の紡糸口金孔は、好まし
くは、表面粗さが、0.005〜0.025Raμmの円筒形部分を
有する。紡糸口金孔の上流部分は皿穴(countersink)
として一般に知られ、皿穴の壁が孔の軸と共に作る角度
を徐々に増加させることによって円筒形の孔部分の直径
に関して徐々に増大する断面を有する。これは、皿穴壁
と断面、例えば、放物線の断面との連続的に増加する角
度を得ることによって達成できる。あるいは、皿穴は、
円錐台(frustoconical)の断面の直径が増すに従って
円錐台部分の頂点角が増す多数の円錐台断面からなるこ
とができる。例えば、2つの円錐台部分に関しては、円
筒部分に隣接した、円錐部分の直ぐ上流の最も小さい円
錐台部分は10〜30度の範囲の頂点角を有し、その長さは
紡糸口金孔の円筒部分の直径の3〜10倍とすることがで
きる。次の更に上流の円錐台部分に関しては、この円錐
台部分の頂点角は40〜70度の範囲とすることができ、そ
の長さは紡糸口金孔の円筒部分の直径の10倍よりも長い
ものとすることができる。品質が改良された紡糸口金孔
の円錐台部分は好ましくは、0.025〜0.050Raμmの範囲
内の表面粗さを有する。品質が改良された紡糸口金の外
面は好ましくは0.005〜0.025Raμmの表面粗さを有す
る。
これに比べて、円錐台部分の単一の皿穴が40〜70度の
頂点角を有することができる場合には、紡糸口金は2〜
8(0.22〜0.89TEX)の範囲のデニール/フィラメント
を有するセルロースアセテート繊維を生成することがで
きる。円筒孔、円錐台部分及びこれらの紡糸口金の外面
の表面仕上げの平滑性は、1.4デニール/フィラメント
(0.16TEX)未満の繊維を生成するのに使用される紡糸
口金の場合ほど重要ではない。
紡糸口金孔を通して紡糸された繊維は気体媒体中で50
〜80℃の温度において乾燥又は硬化される。この乾燥
は、好ましくは、60〜110℃の、比較的低い上部空気温
度及び比較的高い底部空気温度を有する乾燥キャビネッ
ト中で実施する。これらの温度はより好ましくは上部に
関しては60〜70℃、底部に関しては70〜100℃であり、8
0〜90℃の底部キャビネット温度が最も好ましい。
紡糸繊維は、完全な硬化又は乾燥前に、0.9〜1.7、よ
り好ましくは1〜1.6の延伸比(巻き取り速度/押出速
度)で紡糸され、1.2〜1.5の延伸比が最も好ましい。0.
9より著しく小さい延伸比の場合には、収縮している繊
維は低下した巻き取り速度の埋め合わせをしないので、
繊維は一緒に動揺し、粘着する。他方、1.7より著しく
大きい延伸比は、繊維の著しい伸張により、繊維を破壊
させる。デニールの減少を助けるためには延伸比は一般
に1より大きいことが好ましく、上に述べたように、1.
2〜1.5の延伸比が最も好ましい。
本発明に従って提供される超細繊度セルロースアセテ
ート繊維は一般に、1.4未満、より好ましくは1.2(0.13
TEX)未満の平均デニール/フィラメントを有する。本
発明に従って製造される繊維は、一般に、0.6〜1.4(0.
07〜0.16TEX)より好ましくは1.0〜1.4(0.11〜0.16TE
X)の平均デニール/フィラメントを有し、1.0〜1.2
(0.11〜0.13TEX)の平均デニール/フィラメントが最
も好ましい。1.4(0.16TEX)より大きい平均デニール/
フィラメントはフィルター製品の濾過効率を、有益であ
るほど充分には増加させない。他方、1.0(0.11TEX)よ
り著しく低い平均デニール/フィラメントは、フィルタ
ーの通過圧力降下の増大に見合うほど濾過効率が増加し
ない。
以下の例は、本発明を説明するものであるが、その正
当な範囲を制限するためのものでないことはいうまでも
ない。
実施例 例I 35℃の温度において26.4重量%のセルロースアセテー
ト、0.133重量%の二酸化チタン、2重量%未満の水
(残りは溶媒アセトンである)を混合することによって
紡糸液を形成した。セルロースアセテートは落球粘度が
40秒、アセチル含量が39.5重量%であった。この紡糸液
を濾過し、日本ノズル(株)(Nippon Nozzle Ltd.)製
の30〜32μmの丸孔乾燥紡糸口金を通して濾過紡糸し
た。各紡糸口金には450個の孔があり、孔は改良された
表面仕上げを有し、前述のように多円錐テーパーが最終
円筒孔に至っている。466m/m及び453m/mの速度では各
々、515及び520(57及び58TEX)の総デニールが得られ
た。これらの各実験について、紡糸延伸は1.54及び1.35
であり、デニール/フィラメントは1.14及び1.16(0.13
及び0.13TEX)であった。両紡糸実験に関して、キャン
ドルフィルター水温は55℃に、上部空気温度は75℃に、
そして底部空気温度は90℃に設定した。これらの速度に
おいて、紡糸性能は申し分なく、ヤーンの品質も申し分
なかった。これらの紡糸条件において、いくつかのヤー
ンパッケージがうまく紡糸された。孔が直径32μmの紡
糸口金の紡糸性能は孔が直径30μmの紡糸口金の紡糸性
能より優れていた。
例II 例Iに記載したようにして紡糸液を形成した。この紡
糸液を濾過し、例Iに記載された、直径32μmの450個
の丸孔を有する、孔品質の改良された紡糸口金を通して
紡糸した。450本のフィラメントストランドは総デニー
ルが532(59TEX)で、平均が1.20デニール/フィラメン
ト(0.13TEX)であり、計算された紡糸延伸比は1.52で
あった。紡糸速度は525m/mであり、他の紡糸条件は例I
に記載したのと同様であった。繊維のパッケージストラ
ンドが116個巻き取られた。フィルタートウは、56個の
パッケージストランドを合わせて、総デニール30,000の
けん縮されたトウを作ることによって作った。これらの
トウは、小形/PM−2プラグ製造機上でフィルターロッ
ドに加工した。フィルターロッドの圧力降下の発生をFi
ltrona APD 2−V機上で測定した。ロッドから円周23.9
5mm及び長さ31.5mmのフィルターを切り取り、市販の紙
巻きタバコの円柱に付けた。1.20デニール/フィラメン
ト(0.13TEX)のトウのフィルターがついたこれらの紙
巻きタバコを、FTC法によって濾過効率について試験し
た。これらの結果を表1に示す。
この例において示されるように、1.2デニール(0.13T
EX)のレギュラー円形断面フィルタートウの圧力降下の
発生及び濾過効率は、紙巻きタバコフィルターにより普
通に使用される3.0デニール(0.33TEX)のY横断面フィ
ルタートウよりも著しく優れている。
例III 例IIにおいて製造した紡糸液の一部を使用して、直径
32μmの丸孔を有し、表面仕上げが普通であり且つ単一
円錐テーパーが紡糸口金表面の出口の最終円筒孔に至る
紡糸口金を通して繊維を紡糸した。繊維は製造できた
が、切断度数は、400〜600m/mの範囲の巻き取り速度及
び50〜65℃の範囲のキャンドルフィルター水温という数
種の紡糸条件の何れにおいても満足な商業的紡糸は達成
され得なかったことを示す。
例IV 35℃の温度において27.1重量%のセルロースアセテー
ト、0.133重量%の二酸化チタン及び2重量%未満の水
(残りは溶媒、アセトンである)を混合することによっ
て紡糸液を形成した。セルロースアセテートは落球粘度
が37秒、アセチル含量が39.5重量%であった。この紡糸
液を濾過し、32μm丸孔紡糸口金を通して紡糸した。紡
糸口金には450個の孔があり、孔は改良された表面仕上
げを有し、例Iに記載したように多円錐テーパーが最終
円筒孔に至っていた。710m/mの速度において539の総デ
ニールが得られた。計算された紡糸延伸は1.56であり、
平均デニール/フィラメントは1.2(0.13TEX)であっ
た。キャンドルフィルター水温を60℃に、上部空気温度
を70℃に、底部空気温度を90℃に設定した。このように
紡糸液中のセルロースアセテート濃度が比較的高レベル
で且つ紡糸速度が比較的速い場合でさえも、紡糸性能は
申し分なく、それぞれ、3.4ポンドの繊維を有する90個
の繊維のパッケージが紡糸された。56個のパッケージス
トランドの束をクリンパー上でけん縮させてトウにし
た。申し分ないけん縮トウが生成され、これらのトウは
小形/PM−2プラグ製造機上で容易にフィルターロッド
に加工された。フィルターロッドの圧力降下をFiltrona
APD 2−V機械上で測定し、15mmのフィルターの濾過効
率をFTC法によって測定した。紙巻きタバコを吸い口端
から23mmまで喫煙機上で喫煙させて、濾過効率を測定し
た。圧力降下の測定及び濾過効率の結果を表2に示す。
表2に示されるように、従来のフィルター材料に比較
して、圧力降下発生及び濾過効率の有意な増加が認めら
れた。
例V 超細繊度フィラメントを製造するための最適紡糸条件
を追求するために、紡糸試験を行った。デニール/フィ
ラメント、キャンドルフィルター水温、キャビネット上
部の空気温度及び流量、並びにキャビネット底部の空気
温度及び流量の6つの紡糸変数を用いて、分別要因分析
を行った。この要因分析において、26.4重量%のセルロ
ースアセテート、0.113重量%のTiO2、0.2重量%未満の
水を含む(残りは溶媒、アセトンである)一定の紡糸液
を用いた。各紡糸条件において、フィラメントの束が破
壊フィラメントを生じ始めるまで、ゴデットロール速度
を徐々に増すことによって最大紡糸速度を測定した。得
られた最大紡糸速度を以下のように回帰モデルに適合さ
せた: 最大紡糸速度=476.2+102.9×DPF−14.9× 上部空気温度+2.1×キャンドルフィルター温度 −5.4×上部空気温度×キャンドルフィルター温度 相関係数(R2)は0.995であった。この回帰モデル
は、デニール/フィラメントが低いほど紡糸が困難であ
り、デニール/フィラメントが低いセルロースアセテー
ト繊維の紡糸には低い上部空気温度が好ましいことを証
明した。
これらの例中における紡糸実験は、超細繊度アセテー
ト繊維は紡糸液の固形分レベルを減少させることなく、
紡糸できることを示した。超細繊度繊維を紡糸するため
には、セルロースアセテートのI.V.又は落球粘度を、固
形分含量の少ない紡糸液によって得られるレベルより低
い粘度を有する紡糸液を生成するのに十分な低いレベル
まで減少させることが不可欠である。我々の紡糸実験は
1.20デニール/フィラメント(0.13TEX)の繊維に限定
したが、アセテートのI.V.が1.56未満1.35以上に低下さ
せれば、ドープ固形分を変化させることなく、1.2デニ
ール未満を紡糸することも可能である。I.V.が1.35未満
のアセテートでは、ヤーンの引張特性は許容され得ない
ほど低くなる。
以下に、本発明の追加の態様を述べる。
1.(A)24〜32重量%の、落球粘度が15〜70秒のセルロ
ースアセテート、0重量%〜少量のTiO2及び少量の水を
含み且つ残りがアセトンである紡糸液を形成し; (B)該紡糸液を高温において直径36ミクロン未満の多
数の孔を有する紡糸口金を通して紡糸して繊維を形成
し; (C)該繊維を初期温度50〜80℃の気体媒体中で乾燥さ
せ、延伸比0.9〜1.7で紡糸することによって、フィラメ
ント当りの平均デニール1.4未満の繊維を製造する ことを含んでなる、超細繊度のセルロースアセテート繊
維を製造する方法。
2.前記紡糸液が25〜32重量%のセルロースアセテート、
0〜1重量%のTiO2、3重量%以下の水及び64〜76重量
%のアセトンを含み、前記セルロースアセテートが42秒
未満の落球粘度を有する態様1に係る方法。
3.前記セルロースアセテートが35秒以下の落球粘度を有
する態様2に係る方法。
4.前記紡糸液が26〜30重量%のセルロースアセテートを
含む態様1に係る方法。
5.前記紡糸をアセトンの沸点未満の高温において、直径
20ミクロン以上36ミクロン未満の多数の丸孔を有する紡
糸口金を通して行う態様1に係る方法。
6.前記紡糸口金の孔が28〜34ミクロンの直径を有する態
様5に係る方法。
7.前記紡糸口金が、孔の背部の円錐部分が徐々に先細り
して紡糸口金の出口において円筒の孔を形成するような
丸孔断面を有する態様1に係る方法。
8.前記丸孔断面が、双曲線及び多角孔断面からなる群か
ら選ばれる態様7に係る方法。
9.紡糸口金孔の表面が極めて平滑である態様1に係る方
法。
10.前記紡糸口金孔が0.01〜0.05Raミクロンの表面粗さ
を有する態様9に係る方法。
11.前記気体媒体が空気であり且つ前記繊維を60〜110℃
の比較的低い上部空気温度及び比較的高い底部空気温度
を有するキャビネット中で乾燥させる態様1に係る方
法。
12.前記乾燥を、上部空気温度が60〜70℃及び底部空気
温度が70〜100℃の紡糸キャビネット中で実施する態様1
1に係る方法。
13.前記延伸比が1.2〜1.5である態様1に係る方法。
14.前記繊維が0.6〜1.4のフィラメント当りの平均デニ
ールを有する態様1に係る方法。
15.前記繊維が1.0〜1.3のフィラメント当りの平均デニ
ールを有する態様14に係る方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−96231(JP,A) 特開 平4−65540(JP,A) 特表 平7−507603(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 2/30

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)24〜32重量%の、落球粘度が15〜70
    秒のセルロースアセテート、0重量%〜1重量%のTiO2
    及び少量の水を含み且つ残りがアセトンである紡糸液を
    形成し; (B)該紡糸液を、室温より高いがアセトンの沸点より
    低い高温において直径36μm未満の多数の孔を有する紡
    糸口金を通して紡糸して繊維を形成し; (C)該繊維を初期温度50〜80℃の気体媒体中で乾燥さ
    せ、延伸比0.9〜1.7で紡糸することによって、フィラメ
    ント当りの平均TEXが0.16未満の繊維を製造する ことを含んでなる、超細繊度のセルロースアセテート繊
    維を製造する方法。
  2. 【請求項2】前記紡糸液が25〜32重量%のセルロースア
    セテート、0〜1重量%のTiO2、3重量%以下の水及び
    64〜76重量%のアセトンを含み、前記セルロースアセテ
    ートが42秒未満の落球粘度を有する請求の範囲第1項に
    係る方法。
  3. 【請求項3】前記紡糸をアセトンの沸点未満の高温にお
    いて、直径20μm以上36μm未満の多数の丸孔を有する
    紡糸口金を通して行う請求の範囲第1項に係る方法。
  4. 【請求項4】前記紡糸口金が、孔の背部の円錐部分が徐
    々に先細りして紡糸口金の出口において円筒の孔を形成
    するような丸孔断面を有する請求の範囲第1項に係る方
    法。
  5. 【請求項5】前記丸孔断面が、双曲線及び多角孔断面か
    らなる群から選ばれる請求の範囲第4項に係る方法。
  6. 【請求項6】前記紡糸口金孔が0.01〜0.05Raμmの表面
    粗さを有する請求の範囲第1項に係る方法。
  7. 【請求項7】前記気体媒体が空気であり且つ前記繊維を
    60〜110℃の比較的低い上部空気温度及び比較的高い底
    部空気温度を有するキャビネット中で乾燥させる請求の
    範囲第1項に係る方法。
  8. 【請求項8】前記乾燥を、上部空気温度が60〜70℃及び
    底部空気温度が70〜100℃の紡糸キャビネット中で実施
    する請求の範囲第7項に係る方法。
  9. 【請求項9】前記TEXが0.07〜0.16のフィラメント当り
    の平均デニールを有する請求の範囲第1項に係る方法。
  10. 【請求項10】(b)中の高温の前記紡糸液を、温度40
    〜65℃の熱水によって加熱した加熱キャンドルフィルタ
    ーを通すことによってこの温度に維持する請求の範囲第
    1項に係る方法。
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