JP3199581B2 - 特殊高力ボルト - Google Patents

特殊高力ボルト

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JP3199581B2 JP21910294A JP21910294A JP3199581B2 JP 3199581 B2 JP3199581 B2 JP 3199581B2 JP 21910294 A JP21910294 A JP 21910294A JP 21910294 A JP21910294 A JP 21910294A JP 3199581 B2 JP3199581 B2 JP 3199581B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特殊高力ボルトに関
するものであって、特に、閉鎖断面の柱へ梁の端部を接
合するのに適したものに関する。
【0002】
【従来の技術】近時、鋼構造のボルト接合には高力ボル
トが広く用いられるようになっている。高力ボルトが一
般のボルトと異なる点は、高い引張力に耐えるようボル
ト・ナットが高強度に作られているだけでなく、ナット
を締めたときのトルク係数値が一定となるよう製造管理
されていることである。かかる高力ボルトは、普通タイ
プのものにあっては、一本の頭付きボルトと、一対の座
金と一個のナットからなり、ナットを締めたときのトル
クとボルトに発生する軸力が常に一定の関係にあるよ
う、それら各部材が厳密な管理の下に製造されており、
雨水・塵埃等が付着せず、温度変化の少ない適切な場所
に保管し、現場への運搬や締め付け作業に当たっては丁
寧に取り扱い、ねじ山などを損傷しないようにする、と
いったように保管・取り扱いに十分な注意が必要とされ
ている。また、座金やナットは、摩擦係数などの関係か
ら表裏逆使いするとトルク係数値が変わることになるの
で、禁止されている。
【0003】このような高力ボルトの一つとして、最近
広く使われるようになったものに、トルシア形高力ボル
トと呼ばれるものがある。図9〜図11は、そのような
トルシア形高力ボルトとその締め付け方法を示してい
る。この高力ボルトは、一端に丸い頭部(1)を備え、他
端にブレークネック(2)付のピンテール(3)を備えたボ
ルト本体(4)と、このボルト本体(4)に螺合されるナッ
ト(5)と、一枚のナット座金(6)のセットからなるもの
である。
【0004】締め付けに当たっては、まず図9のよう
に、ナット(5)を螺合する側とは反対側より、互いに当
接した一対の接合材(7)(8)のボルト穴(9)(10)へ、ピ
ンテール(3)を先端として挿入し、図10のように、ナ
ット側から座金(6)を緩く嵌合させた後ナット(5)を螺
合して、スパナなどで手締めを行い、接合材(7)(8)同
士を接触密着させる。
【0005】上記手締めの後、接合材(7)(8)同士の充
分な密着を得るため、1000〜2000kg・cmのトルクを付与
して一次締めを行う。この一次締めの後で、ボルト本体
(4)、ナット(5)、座金(6)から接合材(8)の表面に跨
って、周知のように、白色マーカー等でマーキングを行
う。このマーキングの目的は、一次締めが完了している
ことと、次に行う本締によりナット(5)のみが適量回転
したことを目視により確認するためである。
【0006】上記一次締めの後、本締を行うが、この本
締は、図11のような専用の締め付け機を用いるもの
で、そのインナーソケット(9)をピンテール(3)へ係合
させ、アウターソケット(10)をナット(5)へ係合させ
て、インナーソケット(9)で反力を取りながらアウター
ソケット(10)のみをブレークネック(2)が破断するまで
回転させるものである。そして、この破断した時の締め
付けトルクによってボルト本体(4)に所定の軸力が導入
される。すなわち、トルシア形高力ボルトにあっては、
ブレークネック(2)の破断によって設計通りの軸力が得
られるよう、ボルト本体(4)、ナット(5)及び座金(6)
等が厳密な管理の下で製造されている。
【0007】そして、上記本締の際には、ナット(5)の
みが回転していることが必要であり、座金(6)の共廻
り、及びボルト本体(4)の軸廻りが前記マーキングの目
視で発見された場合には、新たなボルトのセットと交換
してやり直さなければならないこととされている。ここ
で、共廻りとは、ボルト本体(4)又は座金(6)がナット
(5)と同方向に回転することを言い、軸廻りとは、ボル
ト本体(4)が反力によってナット(5)とは反対方向へ回
転することを言う。このとき、ボルト本体(4)の頭部
(1)は、ボルト本体(4)の軸廻り及び共廻りに対する重
要な機能を持っており、接合材(7)の面に接触する頭部
(1)裏面の摩擦係数が、そのような軸廻り及び共廻りを
防止するよう製造時に管理されている。すなわち、締め
付け時の軸力によって、この頭部裏面には抵抗力として
の摩擦力αがこの接触面に発生することで軸廻りを防止
するようになっている。また、座金(6)の裏面、また、
ナット(5)と座金(6)表面、更に、ボルト本体(4)とナ
ット(5)のネジ面の摩擦係数も、ボルト本体(4)及び座
金(6)の共廻りを防止するようにそれらの面の摩擦係数
を管理して製造されており、これらによって常に一定の
トルク係数が得られるものである。このことをより詳し
く説明すると、次のようになる。
【0008】上記ナット(5)の回転の際には、ボルト頭
部(1)の裏面の摩擦力αの他に、接合材(8)と座金(6)
との間に摩擦力βが、座金(6)とナット(5)との間に摩
擦力γが、ナット(5)とボルト本体(4)のネジ部間に摩
擦力εがそれぞれ生ずる。ここで、ナット(5)とボルト
本体(4)のネジの間のみで摩擦力εが生じたとすると、
即ちα=β=γ=0として実験すると、むしろナット
(5)は回転せずボルト本体(4)が逆転し、このとき、ボ
ルト(1)を2〜5kg・cm程度の支持力で押さえておくこ
とによって、ナット(5)の正回転のみでボルト本体(4)
の逆回転すなわち軸廻りは生じないことが確かめられて
いる。
【0009】他方、座金(6)とナット(5)との間に摩擦
力γが生じたとすると、アウターソケット(10)の締め付
け力は摩擦力ε+γに等しく、インナーソケット(9)の
締め付け反力も摩擦力ε+γとなる。しかるに、摩擦力
γ分がボルト本体(4)の逆回転力となって、軸廻りを生
じることになる。トルシア形高力ボルトでは、頭部(1)
と接合材(7)との間に摩擦力αがα>γの関係で存在す
るので、ボルト本体(4)の逆回転はなくナット(5)のみ
が正回転してねじ込まれることになるのである。勿論、
接合材(8)と座金(6)との間の摩擦力βと座金(6)とナ
ット(5)との間の摩擦力γとの間に、β>γの関係に製
品が製造管理されているので、座金(6)の共廻りは生じ
ないことになる。この場合、ネジ部などに切粉・塵埃等
の付着や錆の発生又はボルト本体(4)のネジ部に打痕が
つくと、トルク係数値が変化し共廻り等が生じる原因と
なり規定の軸力が導入され得ない結果となる。
【0010】以上のようにトルシア形高力ボルトでは、
ボルト本体(4)の頭部、座金(6)、ナット(5)及び各ネ
ジ部が予め摩擦係数管理されて製造されていることによ
って、本締の際にブレークネック(2)が破断したときと
締め付けトルクが常に一定の関係にあるため、精度の高
い軸力を導入できるが、ボルト本体(4)をナット(5)と
は反対側から挿入しなければならないため、閉鎖断面型
柱の外側面へ梁のエンドプレートを直接接合するような
場合には、ボルト本体(4)を挿入できず、かかるトルシ
ア形高力ボルトは使用できない欠点がある。そこで、こ
のような不都合を解消するため、従来種々の特殊高力ボ
ルトが考えられている。
【0011】図12は、頭部(12)の頂面にブレークネッ
ク(13)付のピンテール(14)を形成した特殊高力ボルトの
例であり、ボルトの挿入側とは反対側の接合材(7)に予
めタップネジ(15)が切られており、ボルト先端の雄ねじ
をこのタップネジ(15)へねじ込んで、ピンテール(14)を
掴んで締め付けることで、ブレークネック(13)の破断に
よって所定のトルクが得られるようにしたものである。
【0012】図13は、ボルト本体(17)と座金(18)及び
ナット(19)によって構成するようにしたもので、ボルト
本体(17)には、長手方向中間の胴部(20)の両側に共に同
方向の雄ねじが形成され、一方の雄ねじ先端側に頭部(2
1)が設けられている。そして、頭部(21)とは反対側の先
端を接合材(7)のタップネジ(15)へねじ込んで手締め及
び一次締めを行った後マーキングし、頭部(21)を保持し
た状態でその頭部(21)側に螺合したナット(19)を、前記
マーキング位置から所定角度だけ回転させて、必要な軸
力を導入するようにしたものである。
【0013】図14は、前記図12の頭部(21)に代えて
ブレークネック(23)付のピンテール(24)を設けると共
に、タップネジ(15)へのねじ込み側の雄ねじ(25)のピッ
チをナット(27)の螺合側の雄ねじ(26)のピッチよりも小
さくしたものである。
【0014】図15は、図14と同様のものにおいて、
タップネジ(15)へのねじ込み側の雄ねじ(25)を逆ネジと
したもので、逆ネジの効果によって、トルシア形高力ボ
ルトと同様の専用締め付機での本締の際に、ボルト本体
(17)の逆回転すなわち軸廻りを生じないように工夫した
ものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記タ
ップネジ(15)へねじ込むようにした従来のものでは、ま
ず、図12においては、タップネジ(15)とボルト本体の
雄ねじとの間の摩擦係数が一定せずトルク係数値が不安
定となる欠点がある。すなわち、ボルトとナットのネジ
部の間では、これらボルト・ナットは共に同一工場で厳
密に管理されながら製造されるため、常に一定の摩擦力
が得られるが、タップネジ(15)はボルトメーカーとは異
なる工場で加工されることになり、その加工方法や使用
工具、及びネジ穴の誤差の度合いによって、発生する摩
擦力が異なり、しかも軸力の分力がボルトを回転させる
方向に作用することもあって、その都度トルク係数が異
なる欠点がある。
【0016】他方、図13のものにおいては、ボルトと
ナットによる締め付けであるため、このような欠点がな
い利点があるが、トルクレンチでの本締めの際にボルト
本体(17)側に確実な反力をとる手段がなく、この本締め
の時の反力でボルト本体(17)が逆回転してタップネジ(1
5)から抜けるような方向に移動してしまい、所定の締め
付けトルクが得られない不都合がある。
【0017】図14は、そのような本締めの際のボルト
本体(17)の逆回転を出来るだけ少なくするようにピッチ
を変えたものであるが、それでも逆回転を充分防止でき
ない。更に、この例では、トルシア形と同様の締め付け
機で締め付けるようにしているが、前記のものと同様
に、タップネジ(15)とそれにねじ込んだボルト本体(17)
の雄ねじとの間の摩擦係数管理がなされていないため、
ボルト本体の軸廻りを生じるなど正確なトルク係数値が
得られない欠点がある。
【0018】更に、図15のものにおいては、一次締め
の際にナット(19)の回転方向とタップネジ(15)に螺合し
た雄ねじ(25)部分の抜けだし方向が同じであるため、ト
ルクレンチでの一次締めの際にボルト本体(17)が共廻り
を生じて、やはり所定の一次締めトルクが得られないこ
とになる。
【0019】この発明は、このような従来の欠点を解消
して、閉鎖断面型柱などの外側面に梁などを直接ボルト
接合する場合などにおいて、外側からのみボルトの締め
付け作業を行うことが出来、なおかつ、正確なトルク係
数値が得られるようにした高力ボルトを提供することを
目的としてなされたものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明では、一方の端部側に接合材へねじ込む雄
ねじを備え、他端側にナットを螺合する雄ねじとブレー
クネック付のピンテールを備えるとともに、それら雄ね
じと雄ねじとの間の胴部外周に係合用の凸部若しくは凹
部を形成したボルト本体と、上記胴部へ軸方向へ移動可
能に外嵌されるとともに、前記の凸部若しくは凹部へそ
の胴部の円周方向へ回転不能に係合する凹部若しくは凸
部を備えた頭部部材と、その頭部部材より外側において
前記ナット螺合用の雄ねじへ螺合されるナットとからな
ることを特徴とする特殊高力ボルト。
【0021】上記において、ボルト本体両端の雄ねじは
共に同方向とすることが望ましく、また、凸部若しくは
凹部をスプライン、又は、円周方向に間隔をおいて形成
された突起又は溝で形成することが考えられる。
【0022】
【作用】上記頭部部材は、ボルト本体へ回転方向に対し
て一体に係合されていることによって、トルシア形高力
ボルトの頭部と同様の機能を有するもので、座金とは異
なり、その接合材との接触面の摩擦係数管理を行うこと
により、一次締め及び本締の際のボルト本体の共廻り及
び軸廻りを防止するものである。
【0023】
【実施例】図1及び図2において、(30)はボルト本体で
あって、その外周には、長手方向中間の胴部(31)を挟ん
だ両端部に、それぞれ雄ねじ(32)(33)が形成されてい
る。更に、その一方の雄ねじ(33)の先端には、破断用の
ブレークネック(34)を介して断面菊花状のピンテール(3
5)を一体に形成している。胴部(31)は雄ねじ(32)(33)よ
りも大径の円形であるが、その前記ピンテール(35)側の
半部に、この発明の凸部若しくは凹部となるスプライン
(36)が形成されている。(37)は、所定の厚みを備えた環
状の頭部部材であって、その内径部には、前記スプライ
ン(36)に係合するスプライン(38)が形成してある。(39)
は、この頭部部材(37)の外側へ前記ピンテール(35)側か
らボルト本体(30)へ外嵌される座金、(40)は、更にその
外側においてピンテール(35)側の雄ねじ(33)へ螺合され
るナットを示している。
【0024】次に、上記の構成からなる高力ボルトを用
いた接合方法を説明すると、まず、図3のように、互い
に接合される一方の接合材(42)の一方には、予めタップ
ネジ(43)が形成されており、他方の接合部材(41)のボル
ト穴(45)がこのタップネジ(43)へ合致するようにして、
当接させる。しかる後、前記ボルト本体(40)を、ピンテ
ール(35)とは反対側の雄ねじ(32)先端から上記ボルト穴
(45)へ挿入するとともに、その雄ねじ(32)をタップネジ
ジ(43)へねじ込んで取付ける。
【0025】上記のようにしてボルト本体(40)を取り付
けた後、図4のように、ピンテール(35)側から前記頭部
部材(37)を外嵌して、そのスプライン(38)を胴部(31)の
スプライン(36)へ係合させると共に、頭部部材(37)の裏
面を表面側の接合材(44)の表面へ当接させる。更に、そ
の外側に座金(39)を外嵌すると共にナット(40)を螺合し
て手締めを行った後、トルクレンチなどにより締め付け
トルク1500kg・cm程度のトルクを付与して一次締めを行
って、接合材(42)(44)を密着させる。
【0026】一次締めの後、図5のようにトルシア形高
力ボルトに用いられる締め付け機と同じ締め付け機を用
い、そのインナーソケット(46)をピンテール(35)に係合
させ、アウターソケット(47)をナット(40)へ係合させ
て、インナーソケット(46)側で反力を取りながら、ブレ
ークネック(34)が破断するまでナット(40)を回転させな
がら締め付けて、所定の締め付けトルクを得るものであ
る。
【0027】 上記締め付けの際、アウターソケット
(47)側に働く摩擦力は、ナット(40)のネジ部と
ボルト本体(30)の雄ねじ(33)との間に生ずる摩
擦力εと、ナット(40)と座金(39)との接触面の
摩擦力βとの和ε+βとなり、これより大きい力で回転
させれば良いことになり、これと同じ反力Rがインナー
ソケット(46)側に働く。他方、インナーソケット
(46)がこの反力Rによって軸廻りを生じないために
は、そのインナーソケット(46)側に働く摩擦力の
和、即ち、頭部部材(37)と接合材(44)との接触
面における摩擦力αと、座金(39)と頭部部材(3
7)との接触面における摩擦力γと、ボルト本体(3
0)の雄ねじ(32)とタップネジ(43)との間に生
ずる摩擦力ζと、前記摩擦力εに対する反作用としての
摩擦力εの和が、その反力Rより大であることが必要と
なる。このことから、次の不等式が成立する。 R=ε+β<α+γ+ζ+ε…(1) すなわち、 β<α+γ+ζ…(2) 更に、座金(39)が共廻りを生じないためには、 β<γ…(3) が必要であり、更に、頭部部材(37)と接合材(4
4)との摩擦力に対して、 β<α…(4) を満足することが望ましい。上記式から、(3)(4)
を満足すれば、当然に式(2)は成立することが解り、
結局(3)(4)式のみを満足するように摩擦係数管理
をしておけばよいことになる。このことは、摩擦係数管
理の困難な特にタップネジ(43)部分は、座金(3
9)の共廻り、ボルト本体(30)の共廻りとは無関係
となって、締め付け時のトルク管理を正確に行えること
を示している。
【0028】 以上のように、(3)及び(4)式か
ら、締め付けの際、ナット(40)のみが回転し共廻り
及び軸廻りは生じないことになる。仮に、塵埃、錆、ネ
ジ部(33)の打痕等によりトルク係数値が変化した場
合、即ち、(2)の不等式が、β>α+γ+ζとなった
場合、ボルト本体(30)が軸廻りを生じ、タップネジ
(43)から抜け出すことになって締め付けが不可能と
なるから、別のボルトセットと交換するなどして、締め
付けをやり直せばよい。すなわち、締め付けが出来ると
いうことは所定のトルク係数値が発揮されているという
ことになり、軸廻り及び共廻りは生じていないことにな
るから、従来のようなやっかいなマーキングは不要であ
る。
【0029】なお、図2で示すように、スプライン(36)
(38)の係合は、頭部部材(37)の略全幅に亘ってなされて
いるが、座金(39)があることによって、ボルト本体(30)
の延びを考慮した遊びねじ長さLが確保される。
【0030】図6は、この発明の別の実施例であって、
胴部(31)のスプライン(36)に変えて、その外周面に、前
記ピンテール(35)側の端部から所要長さに亘って、複数
の溝(48)(48)を円周方向に間隔をおいて形成し、頭部部
材(37)の内径部に、それらの溝(48)(48)…に係合する突
起(49)(49)…を形成したものである。この突起(49)は、
図のように接合材(44)のボルト穴(45)内へ入り込むよう
頭部部材(37)の厚み方向へ突出しているが、その厚み内
に収まるようなものであっても良い。
【0031】図7は、この発明の高力ボルトを、閉鎖断
面型の角形鋼管柱と梁との接合部に用いた例を示してい
る。柱(51)の梁(52)との接合部には、上下の間隔をおい
て一対の鋳鋼製ダイヤフラム(53)(53)が、その両端部を
柱(51)の切断部の端部へ突合せ溶接して配置されてい
る。そして、このダイヤフラム(53)の膜部(56)に対応す
る外側面にタップネジ(43)(43)が形成してある。梁(52)
の端部には垂直方向のエンドプレート(54)が溶接され、
このエンドプレート(54)の上下両端に形成したボルト穴
(55)(55)をこれらのタップネジ(43)(43)へ合致させると
共に、その外側から差し込んだボルト本体(30)の雄ねじ
(32)をタップネジ(43)(43)へねじ込んで、前記のような
方法で接合されている。
【0032】図8は、上記図7と同じダイヤフラム(53)
を用いたものにおいて、膜部(56)よりも外れた位置にお
いて、裏面側に貫通するようにタップネジ(43)を形成し
たもので、タップネジ(43)のネジ加工の際に切れ粉が良
好に排出できるようにしたものである。
【0033】
【発明の効果】以上のように、この発明の高力ボルトで
は、一方の端部の雄ねじをナットの螺合側と同じ側にお
いて、接合材のタップネジへねじ込んで取り付けること
が出来、裏面側からボルト本体を差し込むことの出来な
い閉鎖断面柱のようなものでも、ボルト接合できる利点
があるのみならず、ボルト本体に係合する頭部部材は、
トルシア形高力ボルトの頭部と同様に接合材との接触面
の摩擦係数を管理して製造可能であるから、ナットの回
転による締め付けの際に、ボルト本体の軸廻りや座金の
共廻りを生ずることがないという効果がある。従って、
この高力ボルトによって締め付けられた接合部は常に一
定の軸力で接合されることになる。また、ボルト本体両
端の雄ねじを共に同方向とすることで、仮に塵埃の付着
や打痕などによってトルク係数値が変わったような場合
には、ボルト本体の軸廻りによってタップネジから抜け
て締め付け不能となるから、トルク係数値が変わってい
ないことを視認するためのマーキングは不要であり、こ
れによって作業工数を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の高力ボルトの分解斜視図である。
【図2】同じくこの発明の高力ボルトによる接合部の断
面図である。
【図3】この発明の高力ボルトのタップネジへの取付け
状態を示す断面図である。
【図4】同じく高力ボルトへ座金及びナットを取り付け
て一次締めした状態を示す断面図である。
【図5】同じく本締の状態を示す断面図である。
【図6】この発明の別の高力ボルトを用いた接合部の断
面図である。
【図7】この発明の高力ボルトを柱と梁との接合部に用
いた例を示す接合部の縦断面図である。
【図8】同じく、この発明の高力ボルトを柱と梁との接
合部に用いた別の実施例の接合部の縦断面図である。
【図9】従来のトルシア形高力ボルトの取付け方法を示
す接合部の断面図である。
【図10】同じく座金ナットの取付け前の状態を示す断
面図である。
【図11】同じく本締の方法を示す接合部の断面図であ
る。
【図12】従来の別の特殊高力ボルトによる締め付け状
況の接合部の断面図である。
【図13】同じく別の従来例を示す特殊高力ボルトによ
る締め付け状態の接合部の断面図である。
【図14】更に別の従来例を示す特殊高力ボルトによる
締め付け状態の接合部の断面図である。
【図15】従来例の他の例を示す特殊高力ボルトによる
締め付け状況の接合部の断面図である。
【符号の説明】
(30) ボルト本体 (31) 胴部 (32) 雄ねじ (33) 雄ねじ (34) ブレークネック (35) ピンテール (36) スプライン (37) 頭部部材 (38) スプライン (39) 座金 (40) ナット (42) 接合材 (43) タップネジ (44) 接合材 (45) ボルト穴 (48) 溝 (49) 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平3−7514(JP,U) 実開 平4−7717(JP,U) 実開 平2−117413(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16B 23/00 - 43/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の端部側に接合材へねじ込む雄ねじ
    を備え、他端側にナットを螺合する雄ねじとブレークネ
    ック付のピンテールを備えるとともに、それら雄ねじと
    雄ねじとの間の胴部外周に係合用の凸部若しくは凹部を
    形成したボルト本体と、上記胴部へ軸方向へ移動可能に
    外嵌されるとともに、前記の凸部若しくは凹部へその胴
    部の円周方向へ回転不能に係合する凹部若しくは凸部を
    備えた頭部部材と、その頭部部材より外側において前記
    ナット螺合用の雄ねじへ螺合されるナットとからなるこ
    とを特徴とする特殊高力ボルト。
  2. 【請求項2】 上記両端の雄ねじが共に同方向である請
    求項1の特殊高力ボルト。
  3. 【請求項3】 前記凸部若しくは凹部がスプラインであ
    る請求項1又は2の特殊高力ボルト。
  4. 【請求項4】 前記胴部の凸部若しくは凹部が、円周方
    向に間隔をおいて形成された溝であり、頭部部材の凹部
    若しくは凸部がその溝に係合する溝である請求項1又は
    2の特殊高力ボルト。
  5. 【請求項5】 頭部部材とナットとの間に介装される座
    金を有する請求項1から4の何れかに記載の特殊高力ボ
    ルト。
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