JP3193133U - 半導体モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】ボルトとナットとを締結する際、ナット収容孔の損傷を抑制しながら、ナットとボルトとをより確実に締結可能な半導体モジュールを提供する。【解決手段】半導体モジュールは、半導体チップと、半導体チップを収容するケースと、半導体チップに電気的に接続されると共に、ケースの一壁部から引き出されるバスバーと、を備え、バスバーには、外部接続用端子をバスバーに固定するボルトが通されるボルト挿通孔が形成されており、一壁部の外面には、ボルト挿通孔に通されたボルトを受けるナット52が収容されるナット収容孔58が形成されており、ナット収容孔は、複数の頂部60と、隣接する頂部を繋ぐ複数の内壁面62とを有し、複数の内壁面のうち少なくとも一つはナット収容孔の内側に湾曲している。ボルトをナット52に締結する際に、ナット収容孔58の損傷を抑制しながら、ボルトとナット52をより確実に締結可能となっている。【選択図】図5
Description
本考案は、半導体モジュールに関する。
半導体モジュールの一例として、半導体チップ、配線基板、バスバー、及び、ケースを備えた半導体モジュールが知られている。半導体チップは、配線基板上に搭載されており、配線基板には、配線パターンが形成されている。半導体チップを搭載した配線基板はケース内に収容されており、バスバーは、ケース内部の配線基板又は半導体チップからの引き出し電極として機能する。このような、半導体モジュールとしては、例えば、特許文献1、2に記載されたものが知られている。
引出し電極としてのバスバーを有する半導体モジュールでは、バスバーに外部接続用端子を電気的に接続することによって、ケース内の半導体チップを外部の機器(或いは電気回路)に電気的に接続する。バスバーと外部接続用端子との接続は、通常、バスバーと外部接続用端子とを、ボルト及びナットを利用して固定することによって行われる傾向にある。ボルト及びナットを利用して、外部接続用端子をバスバーに固定する方法として次のような方法が考えられる。バスバー及び外部接続用端子に、ボルトを通すボルト挿通孔を形成すると共に、ケース外面に、図7に示したようなナット収容孔66を形成する。ナット52をナット収容孔66に収容した後、ケースから引き出されたバスバーを、ナット収容孔66側に折り曲げる。そして、外部接続用端子及びバスバーに形成されているボルト挿通孔に通されたボルトをナット52に螺合することによって、ボルトとナット52とを締結する。
しかしながら、ボルトの回転に伴ってナット52が回転すると、図7に示したように、ナット52の角部と、ナット収容孔66の内壁面68とが接触する。この接触部分に、ナット52の回転トルクが付加される。そのため、ナット52の回転に伴って、ナット52の角部がナット収容孔の内壁面68を削り、ナット52が空回りしたり、或いは、ナット収容孔66にクラックが生じる等、ナット収容孔66の損傷(或いは破壊)が生じたりする場合があり、結果として、ボルトとナット52の締結力が低下するという問題がある。
そこで、本考案は、ボルトとナットとを締結する際、ナット収容孔の損傷を抑制しながら、ナットとボルトとをより確実に締結可能な半導体モジュールを提供することを目的とする。
本考案の一側面に係る半導体モジュールは、半導体チップと、半導体チップを収容するケースと、半導体チップに電気的に接続されると共に、ケースの一壁部から引き出されるバスバーと、を備え、バスバーには、外部接続用端子をバスバーに固定するボルトが通されるボルト挿通孔が形成されており、一壁部の外面には、ボルト挿通孔に通されたボルトを受けるナットが収容されるナット収容孔が形成されており、ナット収容孔の壁面の材料は樹脂であり、ナット収容孔は、複数の頂部と、隣接する頂部を繋ぐ複数の内壁面とを有し、複数の内壁面のうち少なくとも一つはナット収容孔の内側に湾曲している。
本考案によれば、ボルトとナットとを締結する際、ナット収容孔の損傷を抑制しながら、ナットとボルトとをより確実に締結可能な半導体モジュールを提供し得る。
[本願考案の実施形態の説明]
最初に、本願考案の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本考案の一側面に係る半導体モジュールは、半導体チップと、半導体チップを収容するケースと、半導体チップに電気的に接続されると共に、ケースの一壁部から引き出されるバスバーと、を備え、バスバーには、外部接続用端子をバスバーに固定するボルトが通されるボルト挿通孔が形成されており、一壁部の外面には、ボルト挿通孔に通されたボルトを受けるナットが収容されるナット収容孔が形成されており、ナット収容孔の内壁面の材料は樹脂であり、ナット収容孔は、複数の頂部と、隣接する頂部を繋ぐ複数の内壁面とを有し、複数の内壁面のうち少なくとも一つはナット収容孔の内側に湾曲している。
最初に、本願考案の実施形態の内容を列記して説明する。(1)本考案の一側面に係る半導体モジュールは、半導体チップと、半導体チップを収容するケースと、半導体チップに電気的に接続されると共に、ケースの一壁部から引き出されるバスバーと、を備え、バスバーには、外部接続用端子をバスバーに固定するボルトが通されるボルト挿通孔が形成されており、一壁部の外面には、ボルト挿通孔に通されたボルトを受けるナットが収容されるナット収容孔が形成されており、ナット収容孔の内壁面の材料は樹脂であり、ナット収容孔は、複数の頂部と、隣接する頂部を繋ぐ複数の内壁面とを有し、複数の内壁面のうち少なくとも一つはナット収容孔の内側に湾曲している。
上記構成では、ナット収容孔にナットを収容した状態で、外部接続用端子をバスバーに固定するためのボルトをボルト挿通孔に通し、ナットと螺合することによって、外部接続用端子とバスバーとを固定し得える。バスバーは、ケース内の半導体チップに電気的に接続されているので、バスバーに外部接続用端子を上記のように固定することで、ケース内の半導体チップを外部の機器に接続し得る。ボルトとナットとを締結する際、ボルトの回転に伴ってナットが回転しても、ナット収容孔の少なくも一つの上記内壁面が内側に湾曲していることから、湾曲している内壁面とナットの側面とは面接触する。このような面接触では、ナットに生じている回転トルクが、ナットが接触している内壁面に分散されやすい。そのため、ナットの回転トルクによって内壁面の損傷が生じにくい。また、湾曲している内壁面とナットの側面とが面接触するので、ナットの回転がより確実に止められやすい。その結果、ボルトとナットとがより確実に締結される。
(2)一形態において、複数の上記内壁面が内側に湾曲していてもよい。この場合、ボルトをナットに締結する際、ナットの側面と、ナット収容孔の全ての内壁面とが面接触することになる。そのため、ナットの回転トルクが、ナット収容孔に対して分散され易いと共に、ナットの回転が確実に止められやすい。その結果、ナット収容孔の損傷を抑制しながら、ボルトとナットとがより一層確実に締結される。
(3)一形態において、複数の内壁面の材料は樹脂であってもよい。
内壁面の材料が樹脂である場合、ナットの回転によって内壁面が削られやすい。そのため、内壁面が内側に湾曲しており、ボルトの回転に伴ってナットが回転した場合に、ナット収容孔の内壁面にナットが面接触するようになっている構成は、内壁面の材料が樹脂である形態に対して有効である。
(4)一形態において、複数の頂部を仮想的に繋いで形成される多角形が六角形であってもよい。この場合、ナットとして六角ナットを有効に利用することができる。
[本願考案の実施形態の詳細]
本考案の実施形態に係る半導体モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本考案はこれらの例示に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面を参照して本考案の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
本考案の実施形態に係る半導体モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本考案はこれらの例示に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面を参照して本考案の実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1〜図4を参照して、一形態に係る半導体モジュールについて説明する。図1は、一形態に係る半導体モジュールの斜視図である。図1では、バスバーを屈曲させる前の状態を示している。図2は、図1に示した半導体モジュールが有しており、半導体チップが搭載された配線基板の平面図である。図3は、図1に示した半導体モジュールに、外部接続用端子を接続した状態の一例を示す図面である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図4中の配線基板の断面は、図2のIV―IV線に沿った断面に対応している。
図1〜図4に示すように、半導体モジュール10は、一以上の半導体チップ12と、半導体チップ12が搭載される配線基板14と、配線基板14を収容するケース16と、半導体チップ12に電気的に接続されておりケース16から外部に引き出される3本のバスバー18を備えている。一形態において、半導体モジュール10は、例えば、スイッチングデバイスである。一形態において、半導体モジュール10は、例えば、モータ及び電力変換装置などに適用されえるパワー半導体モジュールであり得る。
以下、説明のために、ケース16の深さ方向(厚さ方向)をZ方向と称し、Z方向に直交する2つの方向をX方向及びY方向と称す。X方向及びY方向は互いに直交する。
半導体チップ12の例はトランジスタ及びダイオードを含む。トランジスタの例は、MOS−FET(metal-oxide-semiconductor field-effecttransistor)及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate BipolarTransistor、IGBT)を含む。図2に示すように、一以上の半導体チップ12は、配線基板14上に搭載されている。配線基板14は絶縁基板20を有する。絶縁基板20の材料の例はセラミックスであり、セラミックスの例は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を含む。
絶縁基板20の上面(主面)には、配線パターン22が形成されている。配線パターン22の材料の例は銅である。半導体チップ12は、配線パターン22に導線を介して電気的に接続されている。導線の例は、ワイヤ及びリボンを含むが、以下では導線としてワイヤを例示して説明する。図2では、半導体チップ12及び配線基板14の一例を示していおり、半導体チップ12の例として、複数のMOS−FET 12a及び複数のダイオード12bが示されている。
一形態において、絶縁基板20の上面は、第1の基板領域20a及び第2の基板領域20bを含み得る。第1の基板領域20aには、配線パターン22として、ゲートパターンGP1、ソースパターンSP1、ドレインパターンDP1が設けられている。ドレインパターンDP1上には、裏面ドレイン電極が電気的に接続するように、MOS−FET 12aが搭載されている。MOS−FET 12aのゲート電極は、ワイヤを介して、ゲートパターンGP1に接続されており、ソース電極は、別のワイヤを介して、ソースパターンSP1に接続されている。ドレインパターンDP1上にはダイオード12bが搭載されている。ゲートパターンGP1は、ワイヤを介して別のゲートパターンG1に電気的に接続されており、ソースパターンSP1は、ワイヤを介して、補助エミッタパターンE1に接続されている。ドレインパターンDP1は、配線基板14の一縁部に設けられたドレインパターンD1に、ワイヤを介して接続されている。
第2の基板領域20bにも、配線パターン22として、ゲートパターンGP2、ソースパターンSP2、ドレインパターンDP2が設けられている。ドレインパターンDP2上には、裏面ドレイン電極が電気的に接続するように、MOS−FET 12aが搭載されている。MOS−FET 12aのゲート電極は、ワイヤを介して、ゲートパターンGP2に接続されており、ソース電極は、別のワイヤを介して、ソースパターンSP2に接続されている。ドレインパターンDP1上にはダイオード12bが搭載されている。ゲートパターンGP2は、ワイヤを介して別のゲートパターンG2に電気的に接続されており、ソースパターンSP2は、ワイヤを介して、補助エミッタパターンE2及び配線基板14の一縁部に設けられたソースパターンS2に接続されている。ドレインパターンDP2は、配線基板14の一縁部に設けられたドレインパターンD2に、ワイヤを介して接続されている。
半導体チップ12が搭載された配線基板14はケース16に収容されている。図1及び図4に示すように、ケース16は、枠体24と、枠体24の下部開口(第1開口)を塞ぐベース板26と、枠体24の上部開口(第2開口)を塞ぐ蓋体(一壁部)28とを有する。
ベース板26の上面には、半導体チップ12を搭載した配線基板14が搭載される。一形態において、ベース板26は、放熱板であってもよい。ベース板26の材料の例は、Cuである。
枠体24は、ケース16の周壁部を構成しており、配線基板14の周囲を囲む。枠体24は、図1に示すように、4つの側壁30,32,34,36を有する。側壁30,32は対向しており、側壁34,36が対向している。側壁34,36は、側壁30,32を連結する連結部でもある。枠体24の材料の例は熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含む。
図1に示すように、側壁34からは、外部接続用の4本の端子38,38,38,38が引き出されている。4つの端子38は、それぞれゲートパターンG1、補助エミッタパターンE1、補助エミッタパターンE2及びゲートパターンG2に電気的に接続され得る。一形態において、図4に示すように、側壁34には段部40が形成されており、段部40には、各端子38に電気的に接続される電極が設けられている。各端子38に電気的に接続される電極が、対応するゲートパターンG1、補助エミッタパターンE1、補助エミッタパターンE2及びゲートパターンG2にワイヤによって電気的に接続される。これによって、各端子38と、対応するゲートパターンG1、補助エミッタパターンE1、補助エミッタパターンE2及びゲートパターンG2が電気的に接続され得る。図4では、ゲートパターンG1,G2と端子38,38とが電気的に接続され得る電極42を例示している。
図4に示すように、側壁30は段部44を有し、側壁30において段部44より上部開口側の部分には、3本のバスバー18が一体的にインサートされている。バスバー18は、導電性を有する金属プレートであり得る。
バスバー18は、図4に示すように、一部が側壁30に埋設され、バスバー18の両端部が側壁30から露出するように側壁30にインサートされている。バスバー18のケース16内の端部18a側の領域は、段部44近傍でX方向に折り曲げられ、バスバー18の端部18aは、段部44上に露出している。3本のバスバー18の端部18aのそれぞれが、ドレインパターンD1,ソースパターンS2及びドレインパターンD2(図4参照)にワイヤを介して電気的に接続されることによって、バスバー18が半導体チップ12に電気的に接続されることになる。
バスバー18がインサートされた枠体24は、成形技術によって製造され得る。バスバー18が一体的にインサートされた枠体24の成形技術の例は、射出成形である。
枠体24の上部開口は、蓋体28によって閉じられている。蓋体28は、枠体24に対してネジ止めされてもよいし、或いは、接着剤によって接着されてもよい。蓋体28は、ベース板26に対向しており、ベース板26から見て天井部である。蓋体28には、各バスバー18に対応した位置に、各バスバー18を引き出すための引出し孔46が形成されている。蓋体28の材料は樹脂であり、樹脂の例は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を含む。蓋体28は、枠体24と同様に、成形技術によって製造され得る。
蓋体28からケース16の外部に引き出されたバスバー18は、ケース内部の半導体チップ12を、外部接続するための引出し電極として機能する。半導体モジュール10の使用時、すなわち、外部の機器(或いは電気回路)に接続する場合には、図3及び図4に示すように、バスバー18に、導電性を有する外部接続用端子48が、ボルト50及びナット52を利用して固定される。外部接続用端子48は例えば金属プレートである。ナット52の例は、平面視形状が六角形のナット(いわゆる六角ナット)、及び、平面視形状が四角形のナットである。以下の説明では、ナット52は、特に断らない限り、六角ナットである。
ボルト50を利用してバスバー18及び外部接続用端子48を固定するために、バスバー18及び外部接続用端子48のそれぞれには、ボルト挿通孔54,56(図4参照)が形成されている。図1では、バスバー18は、Z方向に延びているが、半導体モジュール10の使用時、すなわち、バスバー18に、外部接続用端子48を固定する際には、図3及び図4に示すように、蓋体28の上面(外面)28a側に折り曲げられる。
蓋体28の上面28aには、図1及び図4に示すように、ナット52が収容されるナット収容孔58が形成されている。ナット収容孔58は、ナット52が落とし込まれる座繰り孔でもある。ナット収容孔58の深さ(Z方向の長さ)は、ナット52の厚さと同じか或いはナット52の厚さより深ければよい。
図5を利用して、ナット収容孔58について具体的に説明する。図5は、ナット収容孔58の平面図であり、図1の領域Aを拡大した図面である。図1では、ナット52が収容された状態が示されている。ナット収容孔58は、図5に示すように、6個の頂部60を有している。6個の頂部60を仮想線(図5の二点鎖線)で繋いで形成される仮想的な多角形(図5の二点鎖線で形成される多角形)は、六角形である。図5では、正六角形の場合を示している。
隣接する頂部60,60間の内壁面であって、ナット収容孔58を画成する6つの内壁面62は、ナット収容孔58の内側に向けて湾曲している。すなわち、ナット収容孔58は、平面視形状が六角形である有底筒状の孔であって、内壁面が内側に湾曲した孔である。頂部60の観点からみれば、内壁面62が湾曲するように、頂部60が外側に向けて突出している孔でもある。蓋体28の材料が樹脂であるため、内壁面62の材料も樹脂である。湾曲した内壁面62の曲率は、ナット収容孔58に収容されたナット52が、ボルト50の回転に伴って回転した際に、ナット52の側面64が、内壁面62に面接触するような曲率であればよい。ボルト50のサイズが、M3、M5、M6及びM8の場合において、対応するナット52のナット収容孔58の曲率半径の例は、次の通りである。
すなわち、ボルト50のサイズがM3の場合、曲率半径は1.6mm〜5.5mmであり、ボルト50のサイズがM5の場合、曲率半径は2.3mm〜8.0mmであり、ボルト50のサイズがM6の場合、曲率半径は5.9mm〜10.0mmであり、ボルト50のサイズがM8の場合、曲率半径は7.0mm〜12.0mmである。
図6(a)〜図6(d)にボルト50のサイズがM3、M5、M6及びM8の場合において、対応するナット収容孔58の平面図を示す。具体的には、図6(a)は、ボルトサイズがM3の場合を示し、図6(b)は、ボルトサイズがM5の場合を示しており、図6(c)は、ボルトサイズがM6の場合を示しており、図6(d)は、ボルトサイズがM6の場合を示している。図6(a)〜図6(d)では、説明の便宜のために、収容されるナット52の外形を一点鎖線で示している。図6(a)〜図6(d)では、内壁面62の曲率を示すために、便宜的に、内壁面62に接する円弧Acを破線で示している。破線で示した仮想的な円弧Acの半径が曲率半径である。一形態において、内壁面62の曲率は、図6(a)〜図6(d)に示すように、内壁面62のうち最も内側の位置での曲率とし得る。
上述した半導体モジュール10は、例えば、次のようにして製造され得る。3本のバスバー18及び4本の端子38が一体的にインサートされた枠体24を準備する。続いて、半導体チップ12が搭載された配線基板14をベース板26上に搭載する。その後、ベース板26を、枠体24の下部開口を塞ぐように、枠体24に固定する。固定方法は、接着剤を利用しても良いし、或いは、ネジ止めでもよい。続いて、端子38及びバスバー18と配線パターン22とをワイヤによって接続する等の所定の配線接続を行った後、蓋体28を枠体24に取り付けることによって、半導体モジュール10が完成する。
半導体モジュール10を使用する際には、ナット収容孔58にナット52を落とし込んだ後、バスバー18を蓋体28に向けて折り曲げる。その後、外部接続用端子48のボルト挿通孔56及びバスバー18のボルト挿通孔54にボルト50を通して、ボルト50とナット52を締結する。ボルト50をナット52に締結する際、ボルト50の回転に伴ったナット52の回転は、ナット収容孔58の内壁面62にナット52が当接することによって止められる。その結果、ボルト50とナット52が締結されることになる。これにより、外部接続用端子48が、半導体モジュール10に固定されると共に、バスバー18に電気的に接続される。その結果、外部接続用端子48がバスバー18を介して半導体チップ12に電気的に接続され、ケース16内の半導体チップ12を駆動可能である。
半導体モジュール10では、バスバー18を利用していることによって、半導体チップ12に高電圧及び高電流を供給可能である。そのため、半導体モジュール10は、高電力を扱うモータ及び電力変換装置などに有効に利用され得る。
半導体モジュール10では、ナット収容孔58の内壁面62が内側に湾曲していることによって、ボルト50をナット52に締結する際に、ナット収容孔58の損傷を抑制しながら、ボルト50とナット52をより確実に締結可能となっている。この点を、図7に示すナット収容孔66のように、内壁面が内側に湾曲していない場合と比較して説明する。
通常、ナット収容孔の大きさは、ナット52の大きさより僅かに大きい状態で形成される。これは、ナット収容孔の大きさがナット52の大きさとちょうど同じであると、製造誤差等によって、ナット収容孔にナット52が収容され得ない場合が生じ、結果として、半導体モジュールの製造効率の低下に繋がるからである。ナット収容孔の大きさがナット52より大きいことから、ボルト50をナット52に締結する際、ボルト50の回転に伴いナット52がナット収容孔の中で回転することになる。
図7に示したナット収容孔66のように、内壁面68が平坦であると、ナット52の角部がナット収容孔66に当接するので、ナット52と内壁面68との接触領域は線状である。この場合、ナット52の回転トルクが、ナット収容孔58の狭い領域に集中し易い。その結果、ナット52の角部がナット収容孔58の内壁面68を削って、ナット52が空回りしたり、或いは、ナット収容孔66を破壊する場合が生じ得る。この場合、ボルト50とナット52とを締結できない或いは適切な締結力が得られないことになる。これは、内壁面68の材料が樹脂である場合に生じ易い。
JIS規格では、ボルトサイズに応じて推奨の締め付けトルクが規定されている。例えば、ボルトサイズがM5の場合、締め付けトルクの例は、約3(N・m)である。従って、ナット収容孔は、ボルトサイズ(換言すれば、ナットサイズ)に応じたJIS規格に対応したトルクに対して耐える得る強度を有するように形成されていればよい。しかしながら、ボルト50の締め付けは、半導体モジュールを外部機器に接続する際に、すなわち、半導体モジュールを使用する際に行われるため、JIS規格に沿った締付けトルク内でボルト50がナット52に締結されない場合も想定しておく必要がある。例えば、JIS規格の締め付けトルクの2倍程度のトルクに耐えるようにナット収容孔を形成する必要もあり得る。このような強度の向上は、例えば、ナット収容孔の深さを深くし、ナット52の角部とナット収容孔の内壁面との接触面積を確保することが考えられる。しかしながら、仮に、ナット収容孔を深くしたとしても、折り曲げたバスバー18と、ケース外面との間に隙間が生じている場合、ナット52がナット収容孔の底面から浮き上がり、結果として、ナット52の角部とナット収容孔の内壁面との接触面積が小さくなり、上述したような問題点が生じ得る。
これに対して、図5に示したように、内壁面62が内側に湾曲しているナット収容孔58では、ボルト50の回転に伴ってナット52が回転した場合、ナット52の各側面64と、対応するナット収容孔58の内壁面62とが接触する。この場合、側面64と内壁面62とは面接触するので、線状に接触する場合より接触面積が大きく、ナット52の回転トルクが内壁面62に対して分散される。その結果、ナット52が回転したとしても、内壁面62が削られることなく、ナット52の回転が内壁面62によって止められ易い。その結果、ボルト50がナット52により確実に締結され得る。また、ナット52の回転トルクが内壁面62に対して分散されることから、ナット52の回転によって、ナット収容孔58にクラック等の損傷(或いは破壊)が発生し難い。よって、ナット収容孔58では、ナット収容孔58の損傷が抑制され、ボルト50とナット52との締結力を確保できる。そして、内壁面62が内側に湾曲しており、側面64と内壁面62とが面接触する構成は、内壁面62の材料も樹脂である場合に、より有効である。
ボルト50をナット52に締結する際、ナット収容孔58の底面からナット52が浮いたとしても、面接触は同様に生じる。その結果、内壁面62が平坦である場合より、ナット52の回転トルクがナット収容孔58に分散されやすい。そのため、ナット52の空回り及びナット収容孔58の損傷なども生じにくい。
ナット収容孔58が、6個の頂部60を仮想線で繋いで形成される仮想的な多角形が六角形であるため、例示したように、ナット52として、六角ナット、特に市販の六角ナットを有効に利用できる。
ナット収容孔58の強度確保のために、ナット収容孔58を必要以上に深く形成しなくてもよく、結果として、ナット収容孔66の場合より、蓋体28の厚みを薄くすることが可能である。そのため、内壁面62が内側に湾曲したナット収容孔58がケース16に形成された半導体モジュール10の構成は、小型化に資する構成でもある。
ナット収容孔58の強度確保のために、ケース16の材料の選択が制限されにくいので、ケース16の材料の選択の自由度も向上する。
更に、ナット収容孔58は、内壁面62が湾曲しており、ナット52の回転時にナット52の側面64と内壁面62とが面接触するように形成されていればよい。そのため、ナット収容孔58の製造誤差の許容範囲が、内壁面62が平坦な場合より大きくなる。その結果、半導体モジュール10の製造効率の向上を図ることが可能である。
以上、本考案の種々の実施形態について説明したが、本考案は、これまで説明した種々の形態に限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。ケース16の形状及びバスバーの数は、半導体モジュールの使用用途に応じたケース16の形状及びバスバーの数であればよく、図1に示した形状や数に限定されない。
ケース16は、ベース板26、枠体24及び蓋体28を有する形態に限定されない。また、バスバー18もケース16の側壁にインサートされていなくてもよい。これらの変形について、図8を参照して説明する。図8は、半導体モジュールの他の例を示す図面であり、バスバー18に外部接続用端子48が固定された状態を示している。
半導体モジュール70は、ケース16の代わりにケース72を有し、バスバー18が配線基板14に直接接続されている点で、半導体モジュール10と相違する。この相違点を中心に説明する。ケース72は、ベース板26と、ベース板26を覆うカバー74とを有する。カバー74は、ベース板26の周囲を囲う周壁部76と、ベース板26と対向する天井部78とを有しており、例えば、樹脂の射出成型によって形成され得る。天井部78には、バスバー18が引き出されるための引出し孔80及びナット収容孔82が形成されている。ナット収容孔82の構成は、ナット収容孔58と同様であるので、説明を省略する。バスバー18は、配線基板14に直接接続されており、引出し孔80から引き出されている。半導体モジュール70では、端子38も配線基板14に直接接合されていればよい。端子38をケース72の外部に引き出すために、天井部78には、端子38を引き出すための引出し孔も形成され得える。
図1に示した半導体モジュール10の形態においても、バスバー18は、配線基板14に直接接合されていてもよい。
ナット収容孔58が有する全ての内壁面62が内側に湾曲している形態を例示したが、少なくとも一つの内壁面62が内側に湾曲していればよい。この場合でも、内側に湾曲した内壁面62と、ナット52とが面接触するので、図7に示したように、ナット52の角部と、ナット収容孔66の全ての内壁面68とが線状に接触している場合より、ナット52の回転トルクがナット収容孔58に分散されやすくなる。
ナット収容孔58として、6個の頂部60を有し、それらの頂部60を仮想的に接続した多角形が六角形である形状を有する孔を例示した。しかしながら、ナット収容孔58は、使用するナット52の形状に対応しており、その内壁面が、ナット52の回転時にナット52の側面と面接触する様に内側に湾曲した形状であればよい。例えば、ナット収容孔58は、4個の頂部60を有し、それらの頂部60を仮想的に接続した多角形が四角形である形状を有する孔であってもよい。
内壁面62の材料としては樹脂に限定されない。内壁面62の材料がナット52の材料より強度或いは硬さの小さい材料である一形態では、ナット52による損傷が生じ易いので、内壁面62が内側に湾曲したネット収容孔は有効である。
10…半導体モジュール、12…半導体チップ、14…配線基板、16…ケース、18…バスバー、48…外部接続用端子、50…ボルト、52…ナット、54…ボルト挿通孔、58…ナット収容孔、60…頂部、62…内壁面。
Claims (4)
- 半導体チップと、
前記半導体チップを収容するケースと、
前記半導体チップに電気的に接続されると共に、前記ケースの一壁部から引き出されるバスバーと、
を備え、
前記バスバーには、外部接続用端子を前記バスバーに固定するボルトが通されるボルト挿通孔が形成されており、
前記一壁部の外面には、前記ボルト挿通孔に通された前記ボルトを受けるナットが収容されるナット収容孔が形成されており、
前記ナット収容孔は、複数の頂部と、隣接する前記頂部を繋ぐ複数の内壁面とを有し、
複数の前記内壁面のうち少なくとも一つは前記ナット収容孔の内側に湾曲している、
半導体モジュール。 - 複数の前記内壁面が内側に湾曲している、
請求項1に記載の半導体モジュール。 - 複数の前記内壁面の材料は樹脂である、請求項1又は2に記載の半導体モジュール。
- 複数の前記頂部を仮想的に繋いで形成される多角形が六角形である、
請求項1〜3の何れか一項に記載の半導体モジュール。
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