JP3192914B2 - アルミニウムの表面窒化処理方法、窒化処理用助剤および表面窒化アルミニウム材 - Google Patents
アルミニウムの表面窒化処理方法、窒化処理用助剤および表面窒化アルミニウム材Info
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処理方法、窒化に使用される窒化処理用助剤および表面
窒化アルミニウム材に関する。
比べて硬さが低く、鋼などと摺動した場合、非常に焼付
き易く、摩耗しやすい材料である。このためアルミニウ
ム材には、メッキ、溶射、陽極酸化を利用した各種表面
処理が検討、使用されている。これらはアルミニウム材
の表面に酸化物層を形成するものが殆どで、窒化処理の
試みはあるが、表面に形成される窒化層が薄く表面処理
アルミニウム基材として満足すべきものは得られていな
い。また上記の窒化処理方法には、高真空などの高価な
装置を必要とするなどの理由により、実用化された例は
ほとんどない。最近では窒化処理の前に窒素または酸素
ガスを若干含むアルゴンガスによりプレスパッタリング
を行い、窒素ガス雰囲気でグロー放電をおこなうイオン
窒化法処理によりアルミニウム材料の表面に窒化層を形
成する方法が報告されている(特開昭60−21106
1号公報)。また、特開昭63−290255号公報に
は、窒素イオンの注入によるアルミニウム材の表面処理
方法の開示がある。さらに、アルミニウム材と窒素ガス
による直接窒化法は、特開昭62−153107号公
報、特開昭62−278202号公報に粉末状のアルミ
ニウムを窒化した例が開示されているが表面処理法とし
ての記載はない。
650℃であり、鋼の融点(約1600℃)の約1/3
と低いため、融点以下での表面処理法は、酸化アルミニ
ウム層の形成であれ、窒化アルミニウム層の形成であ
れ、その成膜速度が非常に遅いのは、やむを得ないこと
と考えられていた。また、アルミニウム材料は非常に活
性で酸化し易い金属であるため、表面には常に若干の自
然酸化層があり、これが窒化層の形成を阻害する。ま
た、この自然酸化層はプレスパッタリングなどで処理前
に取り除いても、通常市販されている10-5Torr台
の真空度では酸化が優先するので非常に窒化しがたい材
料といわれていた。
ので、上記のようなプレスパッタリング処理なしで、か
つ高真空の真空装置を使用することなく普通の窒化炉
で、表面に深くかつ硬度の高い窒化層を形成できるアル
ミニウム材の窒化処理方法、窒化に使用される窒化処理
用助剤および表面窒化アルミニウム材を提供することを
目的とする。
ニウム材の表面をアルミニウム粉末で被覆した状態で窒
素ガス雰囲気下で熱処理することによりアルミニウム材
表面部に比較的厚い窒化層が形成されることに基づく発
明を出願した(特願平5−274878号)。この方法
によりアルミニウム材は表面から深く窒化処理できる
が、使用にあたっては使用した窒化処理用助剤を除去し
なければならいという不具合が判明した。
アルミニウム粉末に代わる金属粉末につき多くの試行錯
誤の後、本発明を完成したものである。本発明のアルミ
ニウム材の窒化処理方法は、アルミニウム材の少なくと
も一部表面にチタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニ
ッケル、バナジウム、タンタル、マグネシウム、硼素お
よびジルコニウムの少なくとも一種を主成分とする金属
粉末からなる窒化処理用助剤を接触させ、その状態で該
アルミニウム材の融点以下の温度に実質的に窒素ガスか
らなる雰囲気ガスによりアルミニウム材の表面を窒化さ
せることを特徴とする。
用助剤は、アルミニウム材の表面を覆って該アルミニウ
ム材の表面に窒化層の形成を促進する窒化処理用助剤で
あって、チタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニッケ
ル、バナジウム、タンタル、マグネシウム、硼素および
ジルコニウムの少なくとも一種を主成分とする比表面積
が0.4m2 /g以上の金属粉末であることを特徴とす
る。
は、表面から窒素ガスにより形成された窒化層を有する
アルミニウム材であって、該窒化層の深さが少なくとも
5μm以上で、該窒化層の表面部分にチタン、クロム、
珪素、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、タンタ
ル、マグネシウム、硼素およびジルコニウムの少なくと
も一種を含み、かつ該窒化層の硬さはマイクロビッカー
ス硬度(mHv)で150〜3000の範囲にあること
を特徴とする。
原理は未だ不明確である。窒素ガスを流しながら窒化を
実施すると、窒化処理用助剤として使用される金属粉末
を被覆した部分だけではなくその部分のわずか下流側の
範囲にも窒化層が形成される場合もあることから、発生
期の窒素が窒化に寄与しているものもあると推測してい
る。すなわち、この窒化処理用助剤として使用される金
属粉末が所定温度で窒素ガスと接触すると、金属粉末自
体が窒化され、その際一部の窒素ガスが励起されて発生
期の窒素になるものと思われる。この発生期の窒素がア
ルミニウム材に吸収され、窒化層を形成するものと推定
している。
窒化すべきアルミニウム材の表面に存在する酸化アルミ
ニウムを還元し、アルミニウム材の表面を純アルミニウ
ムとし、窒化を容易にするものとも考えられる。このこ
とを化学式で示すと、被処理アルミニウム表面を覆うア
ルミニウム粉末の被覆層では、 M(金属粉体)+N2 →MN+N の反応が起こり、被処理アルミニウム材の表面に存在す
る酸化アルミニウムが 1/5Al2 O3 +N→2/5AlN+3/5NO として還元され、被処理アルミニウム材の表面が浄化さ
れ、窒化を容易にするものと考えられる。この表面が浄
化された後は、被処理アルミニウム材の表面から窒素が
容易に吸収され、厚い窒化層が形成されると考えられ
る。
ニウム材の内部元素と化合物化し、アルミニウム材表面
の自然酸化膜を元素拡散のかたちで破壊し、窒化を起こ
す作用があるものもあると考えられる。そして一旦、窒
素拡散の経路が作られると、その後、窒素はその経路を
通ってアルミニウム材内部に拡散していくものと考えら
れる。
は、チタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニッケル、
バナジウム、タンタル、マグネシウム、硼素およびジル
コニウムの少なくとも一種を主成分とする金属粉末であ
る。この金属粉末は純金属粉末でも、合金粉末でも、混
合粉末でもよい。これら金属粉末は、急冷凝固された粉
末特に102 ℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固された粉
末が好ましい。さらには、金属粉末は、アトマイズ法で
得られる粉末のみでなく、箔状、粒状または箔と粒との
混合物も使用することができる。すなわち、箔やリボ
ン、切削屑からスタンピングやボールミルなどの粉砕な
どで形成したものでもあってもよい。
は、ボールミルやアトライターミルで得ることができ
る。この場合粉砕助剤として、通常オレイン酸、ステア
リン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸のほか、脂肪族アミ
ン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールなどが使用でき
る。窒化処理用助剤に使用する金属粉末の粒度は、3〜
200μm程度が好ましい。粉末は粒状でも箔状でも、
また両者の混合物でもよく、その表面積が0.1〜15
m2 /g程度、好ましくは0.4〜1.0m2 /g程度
のものが反応性の点から特に好ましい。
どを配合してもよい。この場合は、金属粉末を5〜70
重量%、粘結剤を1〜30重量%として形成するのが好
ましい。さらにこの窒化処理用助剤は、被窒化アルミニ
ウム材の表面に塗布して使用することから、適当な流動
性のある塗料とするために、通常、塗料に使用される溶
剤などの添加剤を配合することができる。溶媒として
は、窒化反応温度以下で分解ないしは蒸発する有機物が
好ましい。また、窒化反応温度で生成する残留物が窒化
処理反応に無害のものであれば使用できる。
〜600℃以下で分解する有機高分子化合物が使用でき
る。たとえば、ポリブテン、ポリビニールブチラール、
ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これら粘結剤は
窒化処理中に分解し、残さ等を残さないものが好まし
い。なお、粘結剤が分解しても通常金属粉末は飛散する
ことなく被処理アルミニウム材表面に保持される。
接触方法は、窒化処理用助剤を構成する金属粉末中にア
ルミニウム材を埋設してもよい。また、アルミニウム材
の表面に金属粉末を被覆してもよい。さらに上記したよ
うにペーストまたは塗料状とした窒化処理用助剤を使用
しこれをアルミニウム材の表面に被覆してもよい。この
塗布は5〜1000μmの厚さの塗膜とするのが好まし
い。塗布方法は刷毛塗り、デッピング、スプレーコー
ト、ローラー塗りなどの方法が適用できる。
ミニウム材でも、アルミニウム合金でもよい。しかしア
ルミニウム材中に存在する他元素により、形成される窒
化層が異なる。アルミニウム材中に存在するマグネシウ
ムは窒化層を厚くする機能をもつ。逆に珪素は窒化層を
厚くする機能はなく、窒化層の厚化を抑制する。アルミ
ニウム材中に通常含まれる他の元素も、窒化層の厚化に
何らかの影響を与えると想像されるが、現状ではその働
きを確認していない。
用される。この窒素ガスは水分とか酸素ガスの含有量の
少ないものがよい。アルゴンガス等の不活性ガスは混入
していても問題にならない。水分は、水蒸気として0.
1体積%以下、酸素は0.08体積%以下であるのが好
ましい。窒化処理温度は、反応性の点からは温度が高い
ことが望ましい。しかしアルミニウム材は実質的に固相
状態で処理する必要がある。また、あまり深い窒化層の
形成を望まない場合とか、熱処理歪みを少なくしたい場
合は、低い温度でおこなうのが好ましい。通常は400
〜600℃程度の温度で2〜10時間の処理が標準であ
る。
から窒素ガスにより形成された窒化層を有するアルミニ
ウム材であって、該窒化層の深さが少なくとも5μm以
上で、該窒化層の表面部分にチタン、クロム、珪素、
鉄、マンガン、ニッケル、バナジウム、タンタル、マグ
ネシウム、硼素およびジルコニウムの少なくとも一種を
含み、かつ該窒化層の硬さはマイクロビッカース硬度
(mHv)で150〜3000の範囲にある。
タン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニッケル、バナジ
ウム、タンタル、マグネシウム、硼素およびジルコニウ
ムの少なくとも一種を含むアルミニウムと窒化アルミニ
ウムの混合相で構成されている。この窒化アルミニウム
は主として5〜50nm径と極めて微細径の針状の形態
をなす。この窒化アルミニウムの割合が多いと高いビッ
カース硬度をもつ窒化層となる。
グネシムを存在させることができる。この酸化マグネシ
ウムは、アルミニウム表面に自然酸化膜として存在して
いたアルミニウム酸化物が窒化処理用助剤に含まれるマ
グネシウムにより還元されてマグネシウム酸化物として
窒化層内に存在する量である。窒化層の最大窒素量を5
〜30重量%とすることができる。この窒化層の最大窒
素量は、窒化率の度合いを規定するもので、5重量%未
満では窒化層の硬さが低く強度も充分でない。アルミニ
ウムから窒化アルミニウムに変化するとき、アルミニウ
ム比で26%の膨張となり、かつ熱膨張係数もアルミニ
ウムの1/4以下と小さいので窒素量が30重量%を超
えた場合、大変脆くなり母材から剥離しやすくなるので
望ましくない。
存在目的は達せられるが、強度および剥離を考慮すると
20μm以上あることがより好ましい。窒化層はアルミ
ニウム材の全表面に形成されていても、一部特定の表面
部分に形成されていてもよい。また、アルミニウム材は
板状、棒状等のアルミニウム基材でも、所定形状に成形
されたものでもよい。
本発明のアルミニウム材の窒化処理方法で作ることがで
きる。この本発明のアルミニウム材の窒化処理方法は、
アルミニウム材の少なくとも一部表面にアルミニウム粉
末からなる窒化処理用助剤を接触させ、その状態で該ア
ルミニウム材の融点以下の温度で実質的に窒素ガスから
なる雰囲気ガスによりアルミニウム材の表面を窒化させ
るものである。
が、窒化されやすい窒化処理用助剤で覆われて固相状態
で窒素雰囲気でおこなわれる。そして窒化処理用助剤の
何らかの作用でアルミニウム材の表面が活性化され、窒
化される。このため、従来困難であった条件下でも容易
にかつ深い窒化層を形成することができる。このため窒
化層の硬度を向上させた表面窒化アルミニウム材が容易
に得られる。
アルミニウム材の表面に塗布または埋設して窒化をおこ
なうとその塗布埋設部分のみを窒化することができ、特
定部位のみ窒化層を形成することもできる。本発明の表
面窒化アルミニウム材は厚さが5μm以上でビッカース
硬度(Hv)で150〜3000の窒化層をもつ。
9.99%以上)を窒化処理用金属粉末として使用し
た。このチタン粉末70重量部に対してポリブテン10
重量部、溶剤としてトルエンを20重量部配合し、ペー
スト状の窒化処理用助剤を調製した。
0mmのJIS:1100の純アルミニウム板を使用
し、この純アルミニウム板の表面に前記窒化処理用助剤
を塗布した。そしてこの窒化処理用助剤を塗布したアル
ミニウム板を管状炉中に挿入し、純度99.9998%
の窒素ガスを1リットル/分の割合で管状炉に流すとと
もに600℃に加熱し、この条件で5時間熱処理した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には金色の粉が
付着していた。この粉は容易にアルミニウム板表面より
脱落し、その後に黒金色をした表面が表れた。この黒金
色をした表面およびその表面に付着していた金色の粉に
X線を照射しX線回折チャートを得た。アルミニウム板
の黒金色をした表面のX線回折チャートを図1に、窒化
処理用助剤の金色の粉のX線回折チャートを図2に示
す。図1より、AlN、Al3 Ti、Alのピークが観
察できる。また、図2より、Ti2 N、TiN、Tiの
ピークが観察できる。
し、黒金色をした表面から内部にかけての断面をEPM
A(エレクトロプルーブマイクロアナライザー)でA
l、TiおよびNの各元素の線分析を実施した。この結
果を図3に示す。図1および図3より、黒金色化したア
ルミニウム板の表面部は、最表面からおよそ5μmの厚
さ部分がAl3 Ti、AlNおよびAlの金属間化合物
の複合層となり、、5μmから160μm程度の部分で
はAlNとAlの複合層となつているのがわかる。な
お、Al3 Ti、AlNおよびAlの金属間化合物の複
合層の硬さはmHv600、AlNとAlの複合層の硬
さはmHv210であり、アルミニウム母材より硬質化
していた。
合物の複合層のTiは窒化処理用助剤のチタン粉末に由
来するものである。 (実施例2)鱗片状の純チタン粉末(平均厚さ1μm、
平均粒径20μm)を金属粉末として使用し、実施例1
と同様にポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の
窒化処理用助剤を調製した。
mmのJIS:5052のアルミニウム板を使用し、こ
のアルミニウム板の表面に前記窒化処理用助剤を塗布し
た。そしてこの窒化処理用助剤を塗布したアルミニウム
板を管状炉中に挿入し、純度99.9998%の窒素ガ
スを2リットル/分の割合で管状炉に流すとともに55
0℃に加熱し、この条件で5時間熱処理した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には銀色の平滑
化した表面をもつアルミニウム板が得られた。この平滑
化した表面をもつ部分は厚さ約200μmであった。こ
のアルミニウム板の銀色平滑表面のX線回折チャートを
図4に、処理されたアルミニウム板を切断した断面の組
織を示す顕微鏡写真図を図5に、銀色平滑表面から内部
にかけての断面をEPMAでAl、TiおよびNの各元
素の線分析をした結果を図6に示す。
面したアルミニウム板の表面部は、最表面からおよそ6
0μmの厚さ部分がTi2 Al5 、Ti、AlNの複合
層となり、60μmから200μm程度の部分ではAl
NとAlの複合層となつているのがわかる。なお、Ti
2 Al5 、Ti、AlNの複合層の硬さはmHv120
0、AlNとAlの複合層の硬さはmHv240であ
り、アルミニウム母材より硬質化していた。
およびTiは窒化処理用助剤のチタン粉末に由来するも
のである。 (実施例3)クロム粉末(平均粒径32μm)(純度9
9.9%以上)を金属粉末として使用し、実施例1と同
様にポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の窒化
処理用助剤を調製した。
mmの純度99.99%以上の高純度のアルミニウム板
を使用し、この純アルミニウム板の表面に前記窒化処理
用助剤を塗布した。そしてこの窒化処理用助剤を塗布し
たアルミニウム板を管状炉中に挿入し、純度99.99
98%の窒素ガスを2リットル/分の割合で管状炉に流
すとともに620℃に加熱し、この条件で3時間熱処理
した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には黒青色の粉
が付着してした。この粉は容易にアルミニウム板表面よ
り脱落し、その後に黒金色をした表面が表れた。この金
色をした表面をもつ部分は厚さ約300μmであり、最
表面部の硬さはmHv520であった。このアルミニウ
ム板の黒金色をした表面のX線回折チャートを図7に、
黒青色の粉末のX線回折チャートを図8に示す。
図8よりCr2 NおよびCrのピークが観察できる。こ
の結果より、アルミニウム板に形成された硬質層はAl
NおよびAlの複合層であることがわかる。また、図8
のピークより、窒化処理用助剤を形成するクロム粉末が
部分的に窒化されてCr2 Nとなり、その際に発生する
発生期窒素がアルミニウム板を窒化させたものと思われ
る。 (実施例4)ボールミルで粉砕した鱗片状のクロム粉末
(平均厚さ1μm、平均粒径15μm)(純度99.9
9%以上)を金属粉末として使用し、実施例1と同様に
ポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の窒化処理
用助剤を調製した。
mmのJIS:2024のアルミニウム板を使用し、こ
のアルミニウム板の表面に前記窒化処理用助剤を塗布し
た。そしてこの窒化処理用助剤を塗布したアルミニウム
板を管状炉中に挿入し、純度99.9998%の窒素ガ
スを1リットル/分の割合で管状炉に流すとともに52
0℃に加熱し、この条件で10時間熱処理した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には黒銀色の平
滑化した表面をもつアルミニウム板が得られた。この平
滑化した表面をもつ部分は厚さ約50μmであった。こ
のアルミニウム板の銀色平滑表面のX線回折チャートを
図9に示す。図9よりCrとAlNのピークが観察され
る。このことからアルミニウム板の表面にはCrとAl
Nの混合層が形成されているのがわかる。なお、この層
の硬さはHv950であった。 (実施例5)珪素粉末(平均粒径40μm)(純度9
9.9%以上)を金属粉末として使用し、実施例1と同
様にポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の窒化
処理用助剤を調製した。
mmのJIS:5052のアルミニウム板を使用し、こ
のアルミニウム板の表面に前記窒化処理用助剤を塗布し
た。そしてこの窒化処理用助剤を塗布したアルミニウム
板を管状炉中に挿入し、純度99.9998%の窒素ガ
スを1リットル/分の割合で管状炉に流すとともに55
0℃に加熱し、この条件で10時間熱処理した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には黒色の粉末
が付着したアルミニウム板が得られた。この黒色の粉末
はアルミニウム板表面に薄く残ったが、大部分は容易に
脱落した。また、アルミニウム板には表面から20μm
程度まで硬質層が形成されていた。このアルミニウム板
の表面のX線回折チャートを図10に、黒色の粉末のX
線回折チャートを図11に示す。
よびAlのピークが、図11よりSi、Mg2 Siのピ
ークが観察できる。この結果より、アルミニウム板に少
量付着した黒色粉は、部分的にMgと化合物化したSi
であり、処理面にはAl、AlNの混合硬質層であるこ
とがわかる。この硬質層の硬さはmHv380であっ
た。 (実施例6)鉄粉末(平均粒径30μm)(純度99.
9%以上)を金属粉末として使用し、実施例1と同様に
ポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の窒化処理
用助剤を調製した。
mmのAl−5Mg合金板板を使用し、この合金板の表
面に前記窒化処理用助剤を塗布した。そしてこの窒化処
理用助剤を塗布したアルミニウム板を管状炉中に挿入
し、純度99.9998%の窒素ガスを2リットル/分
の割合で管状炉に流すとともに520℃に加熱し、この
条件で6時間熱処理した。
した。窒化処理用助剤が塗布された部分には黒色の粉末
が付着した合金板が得られた。この黒色の粉末は合金板
表面に薄く残ったが、大部分は容易に脱落した。また、
合金板には表面から90μm程度まで硬質層が形成され
ていた。この硬質層の硬さはmHv310であった。
方法は、表面にチタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、
ニッケル、バナジウム、タンタル、マグネシウム、硼素
およびジルコニウムの少なくとも一種を主成分とする金
属粉末からなる窒化処理用助剤と接触した状態で窒素ガ
スを介在して熱処理よりすることにより厚くかつ硬度の
高い表面窒化層が形成される。このため表面窒化された
アルミニウム材は耐摩耗性が要求されたりする摺動部品
などに最適に使用できる。
が処理終了後に容易にアルミニウム材表面から脱落す
る。この点がアルミニウム粉末を窒化処理用助剤とする
方法に比較して有利となる。また、アルミニウム材表面
に金属間化合物とかアルミニウムより高融点の金属が含
まれる場合、形成される層に含まれるAlNに起因する
耐摩耗性に加えて耐熱性、耐腐食性を付与することがで
きる。
ニウム材の表面のX線回折チャートである。
ム材の表面に付着していた粉末のX線回折チャートであ
る。
ニウム材の表面部分断面のEPMAライン分析結果を示
すチャートである。
ニウム材の表面のX線回折チャートである。
ニウム材の表面部分断面の金属組織を示す顕微鏡写真図
である。
ニウム材の表面部分断面のEPMAライン分析結果を示
すチャートである。
ニウム材の表面のX線回折チャートである。
ム材の表面に付着していた粉末のX線回折チャートであ
る。
ニウム材の表面のX線回折チャートである。
ミニウム材の表面部分断面のEPMAライン分析結果を
示すチャートである。
ウム材の表面に付着していた粉末のX線回折チャートで
ある。
Claims (10)
- 【請求項1】 アルミニウム材の少なくとも一部表面に
チタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニッケル、バナ
ジウム、タンタル、マグネシウム、硼素およびジルコニ
ウムの少なくとも一種を主成分とする金属粉末からなる
窒化処理用助剤を接触させ、その状態で該アルミニウム
材の融点以下の温度に実質的に窒素ガスからなる雰囲気
ガスによりアルミニウム材の表面を窒化させることを特
徴とするアルミニウム材の窒化処理方法。 - 【請求項2】 窒化処理用助剤はチタン粉末またはチタ
ン合金粉末である請求項1記載のアルミニウム材の窒化
処理方法。 - 【請求項3】 窒化処理用助剤はクロム粉末またはクロ
ム合金粉末である請求項1記載のアルミニウム材の窒化
処理方法。 - 【請求項4】 窒化処理用助剤は珪素粉末または珪素合
金粉末である請求項1記載のアルミニウム材の窒化処理
方法。 - 【請求項5】 窒化処理用助剤は鉄粉末または鉄合金粉
末である請求項1記載のアルミニウム材の窒化処理方
法。 - 【請求項6】 窒化処理用助剤を粘結剤と溶剤によりペ
ースト状に形成し、被窒化用アルミニウム材の必要表面
に塗布後、窒化処理をおこなう請求項1記載のアルミニ
ウム材の窒化処理方法。 - 【請求項7】 アルミニウム材の表面を覆って該アルミ
ニウム材の表面に窒化層の形成を促進する窒化処理用助
剤であって、チタン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニ
ッケル、バナジウム、タンタル、マグネシウム、硼素お
よびジルコニウムの少なくとも一種を主成分とする比表
面積が0.4m2/g以上の金属粉末であることを特徴
とするアルミニウム材の窒化処理用助剤。 - 【請求項8】 金属粉末5〜70重量%と粘結剤1〜3
0重量%と、残部が溶剤および塗料用添加剤とからなる
ことを特徴とする請求項7記載のアルミニウム材の窒化
処理用助剤。 - 【請求項9】 表面から窒素ガスにより形成された窒化
層を有するアルミニウム材であって、該窒化層の深さが
少なくとも5μm以上で、該窒化層の表面部分にチタ
ン、クロム、珪素、鉄、マンガン、ニッケル、バナジウ
ム、タンタル、マグネシウム、硼素およびジルコニウム
の少なくとも一種を含み、かつ該窒化層の硬さはマイク
ロビッカース硬度(mHv)で150〜3000の範囲
にあることを特徴とする表面窒化アルミニウム材。 - 【請求項10】 窒化層を形成している窒化アルミニウ
ムは5〜50nmの針状体である請求項9記載の表面窒
化アルミニウム材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10018495A JP3192914B2 (ja) | 1995-03-31 | 1995-03-31 | アルミニウムの表面窒化処理方法、窒化処理用助剤および表面窒化アルミニウム材 |
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