JP3192762B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミドフィルムの製造方法

Info

Publication number
JP3192762B2
JP3192762B2 JP18994692A JP18994692A JP3192762B2 JP 3192762 B2 JP3192762 B2 JP 3192762B2 JP 18994692 A JP18994692 A JP 18994692A JP 18994692 A JP18994692 A JP 18994692A JP 3192762 B2 JP3192762 B2 JP 3192762B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyamic acid
solvent
equivalent
polyimide film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP18994692A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH069801A (ja
Inventor
許志 石倉
充代 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP18994692A priority Critical patent/JP3192762B2/ja
Publication of JPH069801A publication Critical patent/JPH069801A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3192762B2 publication Critical patent/JP3192762B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性及び機械的特性
に優れ、エレクトロニクス、輸送機器、航空・宇宙分野
や、膜分離などの分離・精製分野などの広い分野で使用
できるポリイミドフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドフィルムは、その優れた特性
を利用して、電線、ケーブル、ワイヤなどの被覆材、ト
ランス、プリント配線基板などの絶縁材料、分離膜材料
などとして広い用途に使用されている。
【0003】一方、ポリイミドは、通常、テトラカルボ
ン酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で重縮合
させて得られる前駆体としてのポリアミック酸(ポリア
ミド酸とも称される)を、加熱脱水又は脱水剤による化
学的脱水方法により脱水し環化することにより得られ
る。そのため、押出し成形法などの従来の方法によりポ
リイミドフィルムを製造することは困難である。
【0004】そこで、このポリイミドフィルムは、通
常、ポリアミック酸の有機極性溶媒溶液を基材(支持
体)上に流延した後、加熱処理し、ポリアミック酸を脱
水・環化させることにより製造している。
【0005】しかし、この方法において、高いイミド化
率のフィルムを得るためには、ポリイミドのガラス転移
温度以上の高温で加熱する必要がある。その場合、高温
処理により、ポリイミドフィルムが熱や酸化により劣化
したり、ゲル状物などが生成する。そのため、フィルム
の特性が低下するとともに、着色度が大きくなる。
【0006】また、ポリアミック酸のフィルムを、脱水
剤を用いて低温で処理する方法も知られている。しか
し、この方法では、通常、フィルムの形状を維持しつ
つ、高いイミド化率のフィルムを得ることが困難であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低温で効率よくイミド化率を高めることができる、
ポリイミドフィルムの製造方法を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、ポリアミック酸のフ
ィルムの形状を維持しながら、高いイミド化率のポリイ
ミドフィルムを製造できる方法を提供することにある。
【0009】本発明のさらに他の目的は、ポリイミドの
有する優れた耐熱性及び耐薬品性を損なうことなく、機
械的特性に優れたポリイミドフィルムを製造できる方法
を提供することにある。
【0010】
【発明の構成】本発明者らは、前記目的を達成するため
鋭意検討の結果、特定量の良溶媒を含むポリアミック酸
のフィルムを、酸無水物及びアミン系触媒を含む有機溶
媒に浸漬してイミド化させる際、(a)特定の有機溶媒
を用いたり、(b)浸漬した後、特定の温度で熱処理す
ると、低温でも高いイミド化率のポリイミドフィルムが
得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、7〜30重量%の良
溶媒を含むポリアミック酸のフィルムを、酸無水物と
ミン系触媒と溶媒を含む浸漬液に浸漬してイミド化
し、ポリイミドフィルムを得る方法であって、前記酸無
水物の含有量がポリアミック酸のカルボキシル基1当量
に対して1当量以上で、前記アミン系触媒の含有量がポ
リアミック酸のカルボキシル基1当量に対して0.01
当量以上であり、かつ前記溶媒として、エーテル類及び
/又はケトン類を用いるポリイミドフィルムの製造方法
を提供する。
【0012】また、本発明は、7〜30重量%の良溶媒
を含むポリアミック酸のフィルムを、酸無水物とアミン
系触媒と溶媒を含む浸漬液に浸漬してイミド化し、ポ
リイミドフィルムを得る方法であって、前記酸無水物の
含有量がポリアミック酸のカルボキシル基1当量に対し
て1当量以上で、前記アミン系触媒の含有量がポリアミ
ック酸のカルボキシル基1当量に対して0.01当量以
上であり、かつ浸漬した後、さらにポリイミドのガラス
転移温度よりも低い温度で加熱処理するポリイミドフィ
ルムの製造方法を提供する。
【0013】前記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸
とその二無水物又は低級ジアルキルエステルなどの酸成
分とジアミンとの反応により得ることができる。好まし
いポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と芳香
族ジアミンとの反応により得ることができる。
【0014】テトラカルボン酸二無水物としては、例え
ば、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,
4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、2,2′,6,6′−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水
物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテー
ト)などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;これらに
対応する脂環族テトラカルボン酸二無水物などが例示で
きる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独又は
二種以上混合して使用できる。
【0015】これらの化合物のなかで、耐熱性が高く、
耐薬品性及び機械的特性に優れるポリイミドフィルムを
与える化合物、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)
エーテル二無水物などが繁用される。
【0016】前記ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、
脂環族ジアミンも使用できるが、耐熱性を高めるために
は芳香族ジアミンを使用する場合が多い。
【0017】芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フ
ェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4′
−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフ
ェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィ
ド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′
−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジ
フェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエー
テル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,
4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノ
ン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ベ
ンジジン、3,3′−ジアミノビフェニル、4,4′−
ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、2,
5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,
4′−ビス(4−アミノフェノキシ]ビフェニル、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−
ビス(4−アミノフエノキシ)ベンゼン、2,2−ビス
[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−
ジアミノナフタレン、およびこれらの誘導体が例示され
る。前記誘導体には、種々の置換基、例えば、ハロゲン
原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基などが置換し
た化合物が含まれる。これらの芳香族ジアミンは単独ま
たは二種以上混合して使用できる。
【0018】これらの芳香族ジアミンのなかで、耐熱
性、耐薬品性及び機械的特性に優れるポリイミドフィル
ムを与える化合物、例えば、m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニ
ルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、
4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノベンゾ
フェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパ
ン、4,4′−ジアミノビフェニルなどが繁用される。
【0019】テトラカルボン酸二無水物などの酸成分と
ジアミンとの反応は、通常、反応に不活性であり、かつ
ポリアミック酸が可溶な溶媒、例えば、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−
メチルピロリドンやこれらの混合溶媒中で行なうことが
できる。
【0020】反応条件は、原料の種類に応じて適当に選
択できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物と芳香族
ジアミンとの反応は、通常、70℃以下の温度で行なう
ことが望ましい。
【0021】このようにして得られたポリアミック酸は
有機溶媒溶液として成膜工程に供される。有機溶媒は、
ポリアミック酸の良溶媒であればよく、前記重縮合反応
に用いられる溶媒と同種又は異なる溶媒であってもよ
い。ポリアミック酸の良溶媒としては、例えば、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2
−ピロリドン、N,N−ジメチルメトキシアセトアミ
ド、ヘキサメチルホスホアミド、ピリジン、ジメチルス
ルホン、テトラメチレンスルホン、フェノール、クレゾ
ール、キシレノールなどやこれらの混合溶媒が使用でき
る。
【0022】なお、ポリアミック酸の有機溶媒溶液に
は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、可塑剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、滑剤、着色剤などを
添加してもよい。
【0023】成膜工程に供される溶液中のポリアミック
酸の濃度は、成膜可能な範囲であればよく、例えば、5
〜30重量%程度である。
【0024】ポリアミック酸の成膜は、慣用の方法、例
えば、流延法(キャスティング法)などにより行なうこ
とができる。流延法では、ポリアミック酸のドープ液
を、支持体上に流延してポリアミック酸をフィルム化す
る。前記支持体の種類は特に制限されず、例えば、平坦
面を有する回転ドラム、シート、支持板などであっても
よい。
【0025】ポリアミック酸のフィルムの厚みは、特に
制限されないが、通常、2〜500μm、好ましくは1
0〜100μm程度である。
【0026】第1の発明の特徴は、(a1)ポリアミッ
ク酸のフィルムが特定量の前記良溶媒を含んでいる点、
(a2)ポリアミック酸のフィルムを、酸無水物とアミ
ン系触媒とエーテル類及び/又はケトン類を含む浸漬
液に浸漬してイミド化する点にある。
【0027】前記フィルムの良溶媒の含有量は、7〜3
0重量%、好ましくは8〜25重量%、さらに好ましく
は8〜20重量%程度である。良溶媒の含有量が7重量
%未満では、酸無水物をフィルム中に均一に浸透させ、
高いイミド化率のポリイミドフィルムを得るのが困難と
なる。一方、良溶媒の含有量が30重量%を越えると、
フィルムとしての支持性が低下すると共に、浸漬処理中
にフィルムが拡散し易く、フィルム形状を維持できなく
なる。
【0028】なお、良溶媒の含有量は、成膜時や成膜後
の乾燥条件により容易にコントロールできる。ポリアミ
ック酸のフィルムの乾燥は、良溶媒の種類に応じて、常
圧又は減圧下、室温〜150℃程度で行なうことができ
る。
【0029】浸漬処理液に含まれる酸無水物としては、
化学的に脱水環化反応を生じさせる種々の酸無水物、例
えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂
肪族酸無水物;無水安息香酸、無水フタル酸などの芳香
族酸無水物などが挙げられる。好ましい酸無水物には無
水酢酸が含まれる。これらの酸無水物は単独または二種
以上混合して使用できる。
【0030】酸無水物の含有量は、ポリアミック酸のカ
ルボキシル基1当量に対して、1当量以上、好ましくは
1.2当量以上である。
【0031】前記浸漬処理液は、アミン系触媒を含む
アミン系触媒としては、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ジ
メチルアニリン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン、イソキノリン、ルチジンなどの第3
級アミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ
ン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン
−7などの有機塩基が例示される。触媒の含有量は、ポ
リアミック酸のカルボキシル基1量に対して、0.0
1当量以上、好ましくは0.05当量以上である。
【0032】前記浸漬処理液中の溶媒としては、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの
ケトン類;これらの混合溶媒が例示できる。このような
溶媒を用いると、高いイミド化率のポリイミドフィルム
を簡単に得ることができる。なお、必要に応じて、浸漬
処理液には、前記良溶媒や他の溶媒を添加してもよい。
【0033】浸漬処理によるイミド化は、溶媒の種類な
どに応じて適当に選択でき、通常、室温〜100℃、好
ましくは15〜50℃程度である。また、浸漬時間も所
望するイミド化の程度に応じて選択でき、通常10分〜
48時間、好ましくは30分〜36時間程度である。
【0034】このような方法では、浸漬処理という簡単
な操作で、しかも低温で、ポリイミドフィルムのイミド
化率を高めることができる。そのため、熱劣化や着色が
少なく、耐熱性、耐薬品性及び機械的特性に優れるポリ
イミドフィルムを得ることができる。
【0035】第2の発明の特徴は、(b1)ポリアミッ
ク酸のフィルムが前記良溶媒を含んでいる点、(b2)
酸無水物とアミン系触媒と溶媒を含む浸漬液にフィル
ムを浸漬した後、(b3)ポリアミック酸のフィルム
を、ポリイミドのガラス転移温度よりも低い温度で加熱
処理する点にある。なお、ガラス転移温度は示差熱分析
などにより容易に測定できる。
【0036】前記良溶媒を含むポリアミック酸のフィル
ムとしては、前記の方法と同様のポリアミック酸のフィ
ルム(a1 )が使用できる。
【0037】前記浸漬処理液中の溶媒は、前記第1の発
明と異なり、ポリアミック酸に対して貧溶媒であり、か
つフィルム中の良溶媒と混和性を有する溶媒である限り
特に制限されない。このような溶媒としては、前記エー
テル類及びケトン類の外に、例えば、ヘキサン、オクタ
ンなどの脂肪族炭化水素類:シクロヘキサンなどの脂環
族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素類;クロロホルム、メチレンクロライド、
四塩化炭素、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化
水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル類;これらの混合溶媒が例示できる。好ましい溶媒
には、前記と同様に、エーテル類及び/又はケトン類が
含まれる。なお、必要に応じて、浸漬処理液には、前記
良溶媒や他の溶媒を添加してもよい。
【0038】なお、この方法においては、加熱処理によ
りイミド化率を大きくできる。そのため、浸漬処理(b
2 )における浸漬時間と、浸漬処理によるイミド化率
は、酸無水物がフィルム中に均一に拡散する限り、前記
の方法(a2 )による浸漬時間よりも短くてもよく、浸
漬処理によるイミド化率も小さくてもよい。また、さら
に高いイミド化率を有するポリイミドフィルムを得る場
合には、前記の方法と同様にして、浸漬処理し、加熱処
理前のフィルムのイミド化率を予め大きくしていてもよ
い。そのため、浸漬処理は、通常、室温〜100℃程度
で、10分〜48時間程度行なうことができる。
【0039】前記加熱処理は、最終的に得られるポリイ
ミドのガラス転移温度よりも低い温度で行なうことが重
要である。加熱温度は、ポリイミドを構成する単位、所
望するイミド化率などに応じて選択できる。好ましい加
熱温度は、70℃からポリイミドのガラス転移温度より
も低い温度である。芳香族系ポリイミドのガラス転移温
度は、一般に200〜500℃程度の範囲内に存在する
ものが多いため、ポリイミドの種類に応じて、このよう
なガラス転移温度以下の温度で加熱処理することが望ま
しい。好ましい加熱温度は、100〜350℃程度であ
る。また、加熱時間も所望するイミド化率に応じて選択
でき、例えば、5分〜24時間程度である。
【0040】このような方法では、低温処理により、ポ
リイミドフィルムのイミド化率を高めることができる。
そのため、ポリイミドフィルムは、熱劣化や着色が少な
く、高い耐熱性及び耐薬品性を示すと共に、機械的特性
に優れている。
【0041】本発明の好ましい態様には、前記2つの方
法を組合せた方法、すなわち、(c1)7〜30重量%
の良溶媒を含むポリアミック酸のフィルムを、(c2)
酸無水物とアミン系触媒とエーテル類及び/又はケトン
を含む浸漬液に浸漬してイミド化し、(c3)ポリ
アミック酸のフィルムを、ポリイミドのガラス転移温度
よりも低い温度で加熱処理する方法も含まれる。この方
法では、浸漬処理によりイミド化率を高めることができ
るだけでなく、加熱処理により、イミド化率をさらに高
めることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法では、特定量の良溶媒を含
むポリアミック酸のフィルムを、酸無水物とアミン系触
媒とを含む有機溶媒に浸漬してイミド化させる際、前記
溶媒として特定の有機溶媒を用いたり、浸漬した後、特
定の温度で熱処理するので、低温でポリイミドフィルム
のイミド化率を効率よく高めることができる。また、本
発明の方法によれば、ポリアミック酸のフィルムの形状
を維持しながら、高いイミド化率のポリイミドフィルム
を製造できる。そのため、得られたポリイミドフィルム
は、耐熱性、耐薬品性および機械的特性に優れている。
【0043】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0044】なお、イミド化率の測定は、赤外線吸収ス
ペクトルに基づいて1000cm-1と740cm-1との
ピークの強度比として算出した。また、ポリアミック酸
のフィルムを250℃で熱処理したフィルムのイミド化
率を100%とした。
【0045】参考例1 フラスコ内に4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)
ビフェニル55.2g(0.15モル)を入れ、N,N
−ジメチルアセトアミド261gを添加し、溶解した。
窒素ガス雰囲気下、前記溶液を攪拌しながら、4,4′
−オキシジフタル酸二無水物45.6g(0.147モ
ル)を、温度70℃を越えないように注意しながら徐々
に添加した。4,4′−オキシジフタル酸二無水物の全
量を添加した後、攪拌することにより、均一なポリアミ
ック酸溶液を得た。
【0046】得られたポリアミック酸溶液にN,N−ジ
メチルアセトアミドを添加し、固形分濃度10重量%に
調整し、ガラス板上に流延した。
【0047】流延したポリマー溶液を100℃で2時間
加熱し、膜厚23μmのポリアミック酸のフィルムを作
製した。得られたフィルム中に残存するN,N−ジメチ
ルアセトアミドの量をガスクロマトグラフィーにより測
定したところ、12.2重量%であった。また、フィル
ムのイミド化率は17%であった。
【0048】実施例1 参考例1で得られたポリアミック酸のフィルム(20c
m×20cm)を、ジエチルエーテル360ml、無水
酢酸40ml、ピリジン80mlを含む混合溶媒に、常
温で18時間浸漬し、ポリイミドフィルムを作製した。
得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度は235
℃、引張弾性率1.9×103 kg/cm2 、破断強度
690kg/cm2 、破断伸度8.0%であった。
【0049】実施例2 実施例1の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、テトラ
ヒドフランを用いる以外、実施例1と同様にして、ポ
リイミドフィルムを作製した。
【0050】実施例3 実施例1の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、メチル
エチルケトンを用いる以外、実施例1と同様にして、ポ
リイミドフィルムを作製した。
【0051】比較例1 参考例1で調製したポリアミック酸溶液をガラス板上に
流延し、流延したポリマー溶液を100℃で2日間真空
乾燥し、膜厚20μmのポリアミック酸のフィルムを作
製した。得られたフィルム中に残存するN,N−ジメチ
ルアセトアミドの量をガスクロマトグラフィーにより測
定したところ、5.6重量%であった。また、フィルム
のイミド化率は56%であった。
【0052】比較例2 実施例1の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、トルエ
ンを用いる以外、実施例1と同様にして、ポリイミドフ
ィルムを作製した。
【0053】比較例3 実施例1の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、n−ヘ
キサンを用いる以外、実施例1と同様にして、ポリイミ
ドフィルムを作製した。
【0054】比較例4 実施例1の浸漬液のジエチルエーテルを用いることな
く、実施例1と同様にして、ポリアミック酸のフィルム
を浸漬処理したところ、ポリアミック酸のフィルムは、
フィルム形状を維持できず、粉末状のポリイミドとなっ
た。
【0055】比較例5 比較例1で得られたポリアミック酸のフィルム(20c
m×20cm)を、実施例1で用いた浸漬液に24時間
浸漬し、ポリイミドフィルムを作製した。
【0056】比較例6 比較例5の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、メチル
エチルケトンを用いる以外、比較例5と同様にして、ポ
リイミドフィルムを作製した。
【0057】比較例7 比較例5の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、トルエ
ンを用いる以外、比較例5と同様にして、ポリイミドフ
ィルムを作製した。
【0058】比較例8 参考例1で得られたポリアミック酸のフィルムを250
℃で2時間熱処理し、ポリイミドフィルムを作製した。
得られたポリイミドフィルムのガラス転移温度は240
℃、引張弾性率1.2×103 kg/cm2 、破断強度
890kg/cm2 、破断伸度9.0%であった。
【0059】実施例4 参考例1で得られたポリアミック酸のフィルム(20c
m×20cm)を、ジエチルエーテル360ml、無水
酢酸40ml、ピリジン80mlを含む混合溶媒に、1
8時間浸漬した。その後、フィルムを200℃で6時間
加熱し、ポリイミドフィルムを作製した。得られたポリ
イミドフィルムのガラス転移温度は240℃、引張弾性
率1.9×103 kg/cm2 、破断強度640kg/
cm2 、破断伸度4.0%であった。
【0060】実施例5 実施例4の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、テトラ
ヒドロフランを用いる以外、実施例4と同様にして、ポ
リイミドフィルムを作製した。
【0061】実施例6 実施例4の浸漬液のジエチルエーテルに代えて、メチル
エチルケトンを用いる以外、実施例4と同様にして、ポ
リイミドフィルムを作製した。
【0062】そして、フィルムが得られなかった比較例
4を除き、前記実施例、比較例及び参考例で得られたフ
ィルムの膜厚、外観およびイミド化率を評価したとこ
ろ、表に示す結果を得た。
【0063】
【表1】 表より、酸無水物とアミン系触媒と特定の溶媒を含む
浸漬液にポリアミック酸のフィルムを浸漬するという簡
単な操作で、高温熱処理する場合よりも高いイミド化率
のポリイミドフィルムを得ることができる。また、実施
例4〜6と比較例3との対比から明らかなように、酸無
水物とアミン系触媒と溶媒を含む浸漬液にポリアミッ
ク酸のフィルムを浸漬し、低温で加熱することにより、
高温熱処理する場合よりも高いイミド化率のポリイミド
フィルムを得ることができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 7〜30重量%の良溶媒を含むポリアミ
    ック酸のフィルムを、酸無水物とアミン系触媒と溶媒
    を含む浸漬液に浸漬してイミド化し、ポリイミドフィル
    ムを得る方法であって、前記酸無水物の含有量がポリア
    ミック酸のカルボキシル基1当量に対して1当量以上
    で、前記アミン系触媒の含有量がポリアミック酸のカル
    ボキシル基1当量に対して0.01当量以上であり、か
    前記溶媒として、エーテル類及び/又はケトン類を用
    いるポリイミドフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 7〜30重量%の良溶媒を含むポリアミ
    ック酸のフィルムを、酸無水物とアミン系触媒と溶媒
    を含む浸漬液に浸漬してイミド化し、ポリイミドフィル
    ムを得る方法であって、前記酸無水物の含有量がポリア
    ミック酸のカルボキシル基1当量に対して1当量以上
    で、前記アミン系触媒の含有量がポリアミック酸のカル
    ボキシル基1当量に対して0.01当量以上であり、か
    つ浸漬した後、さらにポリイミドのガラス転移温度より
    も低い温度で加熱処理するポリイミドフィルムの製造方
    法。
JP18994692A 1992-06-23 1992-06-23 ポリイミドフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JP3192762B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18994692A JP3192762B2 (ja) 1992-06-23 1992-06-23 ポリイミドフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18994692A JP3192762B2 (ja) 1992-06-23 1992-06-23 ポリイミドフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH069801A JPH069801A (ja) 1994-01-18
JP3192762B2 true JP3192762B2 (ja) 2001-07-30

Family

ID=16249851

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18994692A Expired - Fee Related JP3192762B2 (ja) 1992-06-23 1992-06-23 ポリイミドフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3192762B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100942467B1 (ko) * 2001-02-27 2010-02-12 가부시키가이샤 가네카 폴리이미드 필름 및 그 제조방법
JP2006028417A (ja) * 2004-07-20 2006-02-02 Jsr Corp ポリイミドの製造方法
JP6265989B2 (ja) * 2013-07-03 2018-01-24 ダイキン工業株式会社 絶縁電線及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH069801A (ja) 1994-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102004659B1 (ko) 폴리이미드 필름의 접착성을 향상시키기 위한 폴리이미드 전구체 조성물 및 이로부터 제조되는 폴리이미드 필름
JPH04261466A (ja) ポリイミドフィルム
JPH03121132A (ja) 新規ポリイミド
JP2000202970A (ja) ポリイミド被覆フィルム
KR102004660B1 (ko) 가교성 디안하이드라이드계 화합물 및 산화방지제를 포함하는 폴리이미드 전구체 조성물, 이로부터 제조된 폴리이미드 필름
JP2004531608A5 (ja)
US5308569A (en) Process for the preparation of aromatic polyimide film
JP3192762B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2973516B2 (ja) 芳香族ポリイミドフィルムの製造法
KR102030841B1 (ko) 방향족 카르복실산을 포함하는 폴리이미드 전구체 조성물 및 이를 이용하여 제조되는 폴리이미드 필름
JPH04293936A (ja) 芳香族酸二無水物と塩素化芳香族ジアミンから誘導される芳香族ポリイミド
JP3208988B2 (ja) ポリアミド酸溶液及びポリイミドの製造方法
JP2903704B2 (ja) 芳香族ポリイミドフィルムの製造法
JP2004123857A (ja) ポリアミド酸組成物およびポリアミド酸の製造方法
JP2706236B2 (ja) ポリアミドイミドフイルム
EP0418889B1 (en) Polyamic acid having three-dimensional network molecular structure, polyimide obtained therefrom and process for the preparation thereof
JPS61181833A (ja) ポリイミドの製造方法
JP2004338255A (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2895113B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP3528236B2 (ja) 粗面化ポリイミドフィルム及びその製造方法
JP3143891B2 (ja) ポリアミック酸およびポリアミック酸を脱水閉環した重合体の製造方法
JP2002256073A (ja) ポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP2002283369A (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2850386B2 (ja) ポリイミド系樹脂の製造法
JP2709360B2 (ja) ポリイミド樹脂三次元網目構造を有する成形体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees