JP3143891B2 - ポリアミック酸およびポリアミック酸を脱水閉環した重合体の製造方法 - Google Patents

ポリアミック酸およびポリアミック酸を脱水閉環した重合体の製造方法

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JP3143891B2
JP3143891B2 JP06253963A JP25396394A JP3143891B2 JP 3143891 B2 JP3143891 B2 JP 3143891B2 JP 06253963 A JP06253963 A JP 06253963A JP 25396394 A JP25396394 A JP 25396394A JP 3143891 B2 JP3143891 B2 JP 3143891B2
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量のポリアミッ
ク酸およびポリアミック酸を脱水閉環した高分子量の重
合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にポリイミドは、優れた耐熱性を有
しているため、高温下で使用するフィルムあるいは電線
被覆材、接着剤あるいは塗料等の原料として非常に有用
である。ポリイミドフィルムあるいは被膜は、テトラカ
ルボン酸二無水物とジアミンとを極性溶媒中で重合反応
させてポリアミック酸を得、次にこれの溶液を基板に塗
布し、乾燥した後、加熱等の方法により脱水閉環して得
ることができる。
【0003】このような方法で得られるフィルムあるい
は被膜は、クラックの発生および機械的強度に劣るとい
う欠点があり、この欠点は前記ポリアミック酸の分子量
が低いため該ポリアミック酸から誘導されるポリイミド
の分子量が低いことに起因する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量のポリアミック酸およびポリアミック酸を脱水閉環
した、高分子量の重合体を得る製造方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、第1
に、テトラカルボン酸二無水物(以下「化合物A」とい
う)とジアミン(以下「化合物B」という)を、分子内
に1個のカルボキシル基を含有する化合物(以下「化合
物C」という)の存在下に反応せしめることを特徴とす
るポリアミック酸の製造方法が提供され、さらに第2
に、上記の製造方法で製造されたポリアミック酸を脱水
閉環することを特徴とするポリアミック酸の閉環重合体
(以下、「重合体(A)という)の製造方法が提供され
て、本発明の上記目的が達成される。
【0006】以下、本発明を詳述するがそれにより本発
明の目的、構成、効果および利点が明らかとなろう。
【0007】ポリアミック酸の製造方法 ポリアミック酸を製造するにあたって用いられるテトラ
カルボン酸二無水物である化合物Aは、下記式(1)
【0008】
【化1】
【0009】(式(1)中、R1は4価の有機基であ
る)で示される化合物である。
【0010】上記式(1)における4価の有機基R1
して、脂肪族基、芳香族基、脂環族基などを例示するこ
とができる。また、R1の炭素数は4〜14であること
が好ましい。具体的には、下記式(2−1)〜(2−1
1)
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R2〜R5は各々独立に、水素原子
または炭素数1〜4のアルキル基であり、a、bおよび
cは各々独立に0または1の整数である。)
【0013】
【化3】
【0014】(式(2−5)中、R6は炭素数1〜3の
アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子であり、dは0〜4の整数である。)
【0015】
【化4】
【0016】(式(2−6)中、R7は炭素数1〜3の
アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子であり、eは0〜2の整数である。)
【0017】
【化5】
【0018】(式(2−9)中、R8は酸素原子、炭素
数2〜14のアルキレン基、メチレン基、炭素数2〜5
のアルキリデン基、炭素数2〜5のハロゲン化アルキリ
デン基、炭素数2〜5のハロゲン化アルキレン基、硫黄
原子、スルホン基またはケトン基であり、fは0または
1の整数である。)
【0019】
【化6】
【0020】で示される基を挙げることができる。なか
でも式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−
5)、(2−8)および(2−9)で示される4価の基
が好ましい。
【0021】化合物Aの具体例として、例えばブタンテ
トラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペン
タンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボ
キシシクロペンチル酢酸二無水物、テトラシクロ[6,
2,1,1,02,7]デドカ−4,5,9,10−テトラカル
ボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナ
ン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフ
ランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオ
キソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン
−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ
フリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト
−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
などの脂肪族及び脂環族テトラカルボン酸二無水物;
【0022】ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',
4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシ
ランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テト
ラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,
3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスル
フィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロ
パン二無水物、3,3',4,4'−パーフルオロイソプロ
ピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェ
ニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−
ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレ
ン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(ト
リフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエーテル二
無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフ
ェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二
無水物を挙げることができる。
【0023】これらのうちでは、ブタンテトラカルボン
酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチ
ル酢酸二無水物、テトラシクロ[6,2,1,1,02,7
ドデカ−4,5,9,10−テトラカルボン酸二無水物、
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラ
ヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト
[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、ピロメリット
酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホ
ンテトラカルボン酸二無水物、、3,3',4,4'−パー
フルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,
3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物など
が好ましい。
【0024】これら化合物Aは1種単独であるいは2種
以上併用して用いることができる。
【0025】化合物Aと反応せしめられるジアミン、す
なわち化合物Bは、下記式(3)
【0026】
【化7】
【0027】(式(2)中、RBは2価の有機基であ
る)で示される化合物である。
【0028】上記2価の有機基であるRBとして具体的
に下記式(4−1)〜(4−8)
【0029】
【化8】
【0030】(式(4−1)中、R9は炭素数1〜3の
アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子であり、gは0〜4の整数である。)
【0031】
【化9】
【0032】(式(4−2)中、R10は酸素原子、メチ
レン基、炭素数2〜14のアルキレン基、炭素数2〜5
のアルキリデン基、炭素数2〜5のハロゲン化アルキリ
デン基、炭素数2〜5のハロゲン化アルキレン基、硫黄
原子、スルホン基、ケトン基並びに下記式(4−2−
1)、(4−2−2)および(4−2−3)
【0033】
【化10】
【0034】で表わされる2価の基のいずれかであり、
11およびR12は、各々独立に、前記R9と同じであ
り、hおよびiは各々独立に、0〜4の整数である。)
【0035】
【化11】
【0036】(式(4−3)中、R13およびR14は各々
独立に、前記R10と同じであり、R15、R16およびR17
は各々独立に、前記R9と同じであり、j、kおよびl
は各々独立に、0〜4の整数である。)
【0037】
【化12】
【0038】(式(4−5)中、R18およびR19は各々
独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であ
り、mは1〜20の整数である。)
【0039】
【化13】
【0040】(式(4−6)中、R20、R21、R22およ
びR23は各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基であ
り、nおよびpは各々独立に、1〜3の整数であり、0
は1〜20の整数である。)
【0041】
【化14】
【0042】(式(4−7)中、R24は炭素数1〜3の
アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子であり、qは0〜4の整数である。)
【0043】
【化15】
【0044】(式(4−8)中、R25は前記R10と同じ
であり、R26およびR27各々独立に、前記R9と同じで
あり、rおよびsは各々独立に、0〜4の整数であ
る。)で示される基を挙げることができる。なかでも式
(4−1)、(4−2)および(4−3)で示される2
価の基が好ましい。
【0045】化合物Bの具体例として、例えばp−フェ
ニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニル
エタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,
4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,
3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'
−ジアミノベンズアニリド、3,4'−ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'
−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフ
ェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,
2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビ
スアニリン、4,4'−(m−フェニレンジイソプロピリ
デン)ビスアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−
10−ヒドロアントラセン、9,9−ビス(4−アミノ
フェニル)フルオレン、4,4'−メチレン−ビス(2−
クロロアニリン)、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,
4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'
−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−
ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニルなどの芳香族
ジアミン;
【0046】ジアミノテトラフェニルチオフェンなどの
ヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシ
リレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プ
ロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレ
ンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジ
アミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロン
ジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジア
ミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメ
チレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウン
デシレンジメチルジアミン、4,4'−メチレンビス(シ
クロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環族ジアミ
ンを挙げることができる。
【0047】これらのうち、p−フェニレンジアミン、
4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−
アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリ
デン)ビスアニリン、4,4'−(m−フェニレンジイソ
プロピリデン)ビスアニリンなどが好ましい。
【0048】これら化合物Bは単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用できる。
【0049】本発明のポリアミック酸の製造方法におい
ては、化合物Aと化合物Bを反応せしめる際に、化合物
C、すなわち分子内に1個のカルボキシル基を含有する
化合物を存在させる。化合物Cとして、下記式(6)
【0050】
【化16】
【0051】(式(6)中、RCは1価の基である)で
示される化合物を挙げることができる。
【0052】上記式(6)におけるRCとして、水素原
子、炭素数1〜12の炭化水素基、例えば炭素数1〜1
2のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基、炭素数3
〜12の脂環族基などを挙げることができる。
【0053】さらにRCとして、上記炭化水素基の水素
原子がフッ素原子で置換されたフッ素化炭化水素基を挙
げることができる。
【0054】化合物Cの具体例としては、酢酸、プロピ
オン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、n−酪酸、イソ
酪酸、n−カプロン酸、イソカプロン酸、ギ酸、シクロ
プロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロ
ペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アク
リル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。これ
らのうち、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、安
息香酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−カプロン酸、イソカ
プロン酸、ギ酸などが特に好ましい。
【0055】化合物Aと化合物Bを反応せしめてポリア
ミック酸を生成するにあたり、上記化合物Cの使用割合
は、化合物A 100重量部に対して10〜1000重
量部が好ましく、特に好ましくは200〜800重量部
である。化合物Cを上記範囲で使用することにより、化
合物Cを用いることによる効果、すなわち高分子量のポ
リアミック酸を安定して得られる効果が一層優れる。
【0056】化合物Aと化合物Bとの反応は、通常有機
溶媒の存在下、0〜150℃、好ましくは0〜100℃
の反応温度で1〜48時間の反応時間で行われる。
【0057】反応に用いられる有機溶媒としては、化合
物A、化合物B、化合物Cおよび反応で生成するポリア
ミック酸を溶解しうるものであれば特に制限はない。例
えば、γ−ブチロラクトン,N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿
素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン
系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノー
ル、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙
げることができる。有機溶媒は、通常、化合物Aおよび
化合物Bの総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜3
0重量%になるように用いられることが好ましい。
【0058】化合物Aと化合物Bの使用割合は、化合物
B中のアミノ基1等量に対して化合物Aの酸無水物基が
0.2〜2等量であることが好ましく、より好ましくは
0.3〜1.4等量である。
【0059】重合体(A)の製造方法 本発明における重合体(A)は、通常ポリイミドまたは
ポリイソイミドである。重合体(A)は、上述したポリ
アミック酸を、好ましくは3級アミンおよび酸無水物の
存在下に加熱してあるいは加熱せずに脱水閉環すること
により得ることができる。
【0060】加熱のみにより脱水閉環する場合の反応温
度は、好ましくは60〜200℃、より好ましくは10
0〜170℃である。また、3級アミンおよび酸無水物
の存在下で加熱して脱水閉環する場合の反応温度は、好
ましくは0〜180℃、より好ましくは60〜150℃
である。
【0061】上記酸無水物としては、例えば無水酢酸、
無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などを挙げる
ことができる。また、上記3級アミンとしては、例えば
ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなど
を挙げることができる。酸無水物の使用量は、ポリアミ
ック酸の繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モル
とするのが好ましい。また、3級アミンの使用量は使用
する酸無水物1モルに対し、0.5〜10モルとするの
が好ましい。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。なお、重合体の固有粘度は、N−メチル−
2−ピロリドン中、30℃で測定されたものである。ま
た、以下の実施例の記載では、ポリアミック酸を重合体
D、脱水閉環重合体を重合体Eと略記する。
【0063】実施例1 2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
44.8g、p−フェニレンジアミン21.6gおよび酢
酸224.0g(化合物A100重量部に対して500
重量部)をN−メチル−2−ピロリドン988gに溶解
させ、室温で6時間反応させた。 次いで、反応混合物
を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させ
た。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15
時間乾燥させて、固有粘度2.64dl/gの重合体D
−1を60.3g得た。
【0064】実施例2 実施例1で得られた重合体D−1 30.0gをγ−ブ
チロラクトン570gに溶解し、ピリジン21.6gと
無水酢酸16.74gを添加し、120℃で3時間脱水
閉環を行った。次いで、反応生成液を実施例1と同様に
処理して生成物を沈澱させ、洗浄、乾燥を行って固有粘
度2.53dl/gの重合体E−1を24.5g得た。
【0065】実施例3 実施例1において、ジアミンを4,4'−ジアミノジフェ
ニルメタン39.6gとした以外は、実施例1と同様に
して重合体D−2を80.2g得、さらにこの重合体D
−2を30.0g用いて実施例2と同様にして脱水閉環
を行い、固有粘度2.36dl/gの重合体E−2を2
2.9g得た。
【0066】実施例4 実施例1において、テトラカルボン酸二無水物をシクロ
ブタンテトラカルボン酸二無水物39.22gとした以
外は実施例1と同様にして、固有粘度2.58dl/g
の重合体D−3を51.5g得た。
【0067】実施例5 実施例1において、テトラカルボン酸二無水物を1,3,
3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−
c]フラン−1,3−ジオン60.0gとした以外は実施
例1と同様にして重合体D−4を77.5g得、さらに
この重合体D−4を30.0g用いて実施例2と同様に
して脱水閉環を行い、固有粘度2.39dl/gの重合
体E−4を23.2g得た。
【0068】実施例6 実施例1において、テトラカルボン酸二無水物をピロメ
リット酸二無水物43.6gとした以外は実施例1と同
様にして、固有粘度2.76dl/gの重合体D−5を
60.7g得た。
【0069】実施例7〜18 実施例1において、表1に示すように化合物Cの種類と
添加量を変え、重合体Dを合成した。得られた重合体D
の固有粘度を測定し、前記実施例1〜6および後記比較
例1の結果と共に表1に示した。
【0070】比較例1 実施例1において、酢酸を添加せず反応を行い、実施例
1と同様な操作を行ったところ、重合体Dの固有粘度は
1.44dl/gと低いものであった。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られるポリア
ミック酸およびその脱水閉環重合体は高分子量であるた
め、塗膜とした場合にクラックの発生が少なく、機械的
強度が優れている。従って、例えば高温用フィルム、接
着剤、塗料等に有用であり、具体的にはプリント配線基
板、半導体集積回路素子の絶縁膜、液晶配向膜、エナメ
ル電線用被覆材、各種積層板、ガスケット等に有用であ
る。
【0073】以上詳述した本発明のポリアミック酸の製
造方法およびポリアミック酸の脱水閉環重合体の製造方
法に関する好ましい態様について以下に付記する。 1. 化合物Cを、化合物A100重量部に対して10〜
1000重量部の割合で存在させるポリアミック酸の製
造方法。 2. 化合物Aが、ブタンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無
水物、テトラシクロ[6,2,1,1,02,7]ドデカ−4,
5,9,10−テトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,
4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,
5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]
−フラン−1,3−ジオン、ピロメリット酸二無水物、
3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカル
ボン酸二無水物、、3,3',4,4'−パーフルオロイソ
プロピリデンジフタル酸二無水物および3,3',4,4'
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より
選ばれた少なくとも1種であるポリアミック酸の製造方
法。 3. 化合物Bが、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニル
エーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフ
ェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,
2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビ
スアニリンおよび4,4'−(m−フェニレンジイソプロ
ピリデン)ビスアニリンからなる群より選ばれた少なく
とも1種であるポリアミック酸の製造方法。 4. 化合物Cが、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢
酸、安息香酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−カプロン酸、
イソカプロン酸およびギ酸からなる群より選ばれた少な
くとも1種であるポリアミック酸の製造方法。 5. 化合物Aと化合物Bの反応を溶媒の存在下に行うポ
リアミック酸の製造方法。 6. 脱水閉環反応を3級アミンおよび酸無水物の存在下
に行うポリイミドの製造方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇田川 忠彦 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (72)発明者 松木 安生 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−76525(JP,A) 特開 昭51−81899(JP,A) 特開 平6−192420(JP,A) 特開 平7−157560(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/10 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラカルボン酸二無水物とジアミン
    を、分子内に1個のカルボキシル基を含有する化合物の
    存在下に反応せしめることを特徴とするポリアミック酸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応温度が0〜100℃である請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 テトラカルボン酸二無水物とジアミン
    を、分子内に1個のカルボキシル基を含有する化合物の
    存在下に反応せしめてポリアミック酸を生成せしめ、次
    いで得られたポリアミック酸を脱水閉環することを特徴
    とするポリアミック酸の閉環重合体の製造方法。
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