JP3192119B2 - ポリヘテロアセン化合物とその製造法 - Google Patents

ポリヘテロアセン化合物とその製造法

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JP3192119B2 JP12150198A JP12150198A JP3192119B2 JP 3192119 B2 JP3192119 B2 JP 3192119B2 JP 12150198 A JP12150198 A JP 12150198A JP 12150198 A JP12150198 A JP 12150198A JP 3192119 B2 JP3192119 B2 JP 3192119B2
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ポリヘテ
ロアセン化合物とその製造法に関するものである。さら
に詳しくは、この出願の発明は、耐熱性、化学安定性に
優れ、高い電子伝導性を示す高分子量のポリヘテロアセ
ン化合物と、ポリスルホキシド化合物、ないしはポリス
ルフィド化合物を前躯体とするポリヘテロアセン化合物
の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】ポリアセン化合物は耐熱性、
酸化学薬品性、耐酸化性、機械強度に極めて優れた芳香
環を梯子型に連結したπ共役系の高分子である。特にp
型、n型ドープが可能でドーピングによる構造変化が小
さく安定に高導電性を示すことから、近年オールポリマ
ー電池の電極としても注目を集めてきている。さらに、
孤立電子対に由来するσバンドの効果による金属的導電
性を期待して、窒素原子などのヘテロ原子を含むポリヘ
テロアセン化合物(ポリピリジノピリジン、ポリシアノ
ジェン、ポリアレンメタイドなど)も開発されている。
【0003】従来、ポリアセン化合物はポリブタジイン
(Synthetic Metals,1987,18,485)、ペリレンテトラカ
ルボン酸二無水物(Applied Physics Letters,1980,36,
867)、フェノール樹脂(U.S. Patent,4601849,1986) な
どの熱処理による製造法が報告されているが、1)300
・1000℃の高温下での反応である、2)部分的な構造欠
陥が避けられない、3)得られるポリアセン化合物が不
溶不融のため構造解析、成型加工が困難である、などの
問題点が指摘されている。
【0004】これまでのところ、安定なイオン性官能基
であるスルホニオ基を含むポリヘテロアセン化合物が合
成された例はなく、従来のスルホニウム塩化合物合成法
によっては困難であると考えられていた。したがって、
ポリヘテロアセン化合物が常温常圧下の反応で製造さ
れ、構造欠陥がなく、溶媒可溶性であるため成型加工が
容易であり、かつ、耐熱性材料、導電性材料として優れ
た特性を有することは現在まで全く知られていないのが
実情である。
【0005】この出願の発明は前記事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、スルホニオ基を官能基とす
る新規なポリヘテロアセン化合物とその製造法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は前記の
課題を解決するものとして、第1の発明では、一般式
[1]
【0007】
【化5】
【0008】(R1 、R2 およびR3 の各々は、同一ま
たは別異に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、あるいはアリールオキシ基を示し、アルキ
ル基、アルコキシ基、並びにアリールオキシ基の各々
は、ヘテロ原子を含むものであってもよい。Xは、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、あ
るいはイミノ結合(−NH−、または−N=)、もしく
はメチレン基(−CH2 −)を示す。Y- はアニオンで
ある。nは、2以上の整数で重合度を示す。)で表され
ることを特徴とするポリヘテロアセン化合物を提供す
る。
【0009】また、前記第1の発明の化合物の製造法と
して、第2の発明では、一般式[2]
【0010】
【化6】
【0011】(R1 、R2 およびR3 の各々は、同一ま
たは別異に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、あるいはアリールオキシ基を示し、アルキ
ル基、アルコキシ基、並びにアリールオキシ基の各々
は、ヘテロ原子を含むものであってもよい。Xは、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、あ
るいはイミノ結合(−NH−、または−N=)、もしく
はメチレン基(−CH2 −)を示す。nは、2以上の整
数で重合度を示す。)で表されるポリスルホキシド化合
物をスルホニオ化することを特徴とするポリヘテロアセ
ン化合物の製造法を、第3の発明では、一般式[3]
【0012】
【化7】
【0013】(R1 、R2 およびR3 の各々は、同一ま
たは別異に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルコキシ基、あるいはアリールオキシ基を示し、アルキ
ル基、アルコキシ基、並びにアリールオキシ基の各々
は、ヘテロ原子を含むものであってもよい。Xは、エー
テル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、あ
るいはイミノ結合(−NH−、または−N=)、もしく
はメチレン基(−CH2 −)を示す。nは、2以上の整
数で重合度を示す。)で表されるポリスルフィド化合物
をスルホニオ化することを特徴とするポリヘテロアセン
化合物の製造法を提供する。
【0014】さらに、第4の発明では、前記第1の発明
のポリヘテロ化合物を還元剤、求核性試剤、もしくは電
解還元することを特徴とする一般式[4]
【0015】
【化8】
【0016】(R2 およびR3 の各々は、同一または別
異に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキ
シ基、あるいはアリールオキシ基を示し、アルキル基、
アルコキシ基、並びにアリールオキシ基の各々は、ヘテ
ロ原子を含むものであってもよい。Xは、エーテル結合
(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、あるいはイ
ミノ結合(−NH−、または−N=)、もしくはメチレ
ン基(−CH2 −)を示す。nは、2以上の整数で重合
度を示す。)で表されるポリヘテロアセン化合物の製造
法を提供する。
【0017】以上のとおりの特徴を有するこの出願の発
明は、発明者らによる鋭意研究の結果、スルホニオ基と
芳香族基からなるポリヘテロアセン化合物が、ポリスル
ホキシド化合物、あるいはポリスルフィド化合物のスル
ホニオ化によって製造できること、そして、ポリヘテロ
アセン化合物が優れた耐熱性、溶解性、導電性を示すこ
とを見出し完成されたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この出願の発明の実施の形
態について詳しく説明する。まず、前記一般式[1]で
表される化合物に関しては、式中のR1 、R2 およびR
3 の各々は、前記のとおり、水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシ基、あるいはアリールオキシ基
を示し、ヘテロ原子を含んでいてもよく、互いに同じで
あっても異なった種類であってもよいものである。すな
わち、前記R1 、R2 およびR 3 の具体的を例示する
と、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ
素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シ
クロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル
基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシ
ル基、シクロドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブト
キシ基、sec-ブトキシ基、tert- ブトキシ基、ペンチル
オキシ基、ヘキシルオキシ基、フェニル基、トルイル
基、キシリル基、メシチル基、アニシル基、ナフチル
基、ベンジル基、フェニルオキシ基、トルイルオキシ
基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、アニシルオ
キシ基、ナフチルオキシ基、ベンジルオキシ基、等を挙
げることができる。これらの中でも、当該化合物の安定
性、合成収率の点で、メチル基、エチル基、プロピル
基、フェニル基、トルイル基などが好ましい。
【0019】前記一般式[1]におけるXは、前記のと
おりのエーテル結合、チオエーテル結合、イミノ結合、
あるいはメチレン基を示し、−NR′−、−CR2 3
−等として、脂肪族、脂環族、もしくはヘテロ原子を含
む有機基などの、R1 、R2およびR3 等の置換基を有
していてもよい。前記一般式[1]中のY- はアニオン
であるが、具体的を例示すると、例えば、フッ素アニオ
ン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、な
どのハロゲンアニオン;酢酸アニオン、トリフルオロ酢
酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、メタン
スルホン酸アニオン、トリフルオロメタン硫酸アニオ
ン、過塩素酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオ
ン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、ヘキサクロ
ロアンチモネートアニオン、ヘキサフルオロアンチモネ
ートアニオン、などを挙げることができる。これらの中
でも、当該化合物の合成収率および安定性の点から、ト
リフルオロメタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン
酸アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、テトラ
フルオロボレートアニオン、過塩素酸アニオン、ヘキサ
フルオロアンチモネートアニオン、およびヘキサンフル
オロホスフェートアニオン等が好ましい。
【0020】以上のような一般式[1]で表されるポリ
ヘテロアセン化合物の合成は、いくつかの方法により可
能である。例えば、前記の一般式[2]で表されるポリ
スルホキシド化合物の酸を用いた縮合反応、あるいは、
前記の一般式[3]で表されるポリスルフィド化合物の
酸化反応によりスルホニオ化することにより合成するこ
とができる。
【0021】反応は、公知の酸化合物共存下で実施する
ことが可能である。反応活性種であるスルホニウムカチ
オンの失活を抑制するためのものであり、公知の有機
酸、無機酸、ルイス酸またはそれらの混合物もしくは複
合体である。具体的には、例えば、塩酸、臭化水素酸、
青酸、硫酸、リン酸、塩素酸、臭素酸、過塩素酸、硝
酸、炭酸、硼酸、モリブデン酸、インポリ酸、ヘテロポ
リ酸、モノメチル硫酸、トリフルオロメタン硫酸、酢
酸、プロピオン酸、ブタン酸、コハク酸、安息香酸、フ
タル酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢
酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ
酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパン
スルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタン
スルホン酸、ベンゼンジススルホン酸、五塩化アンチモ
ン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化チタ
ン、四塩化スズ、塩化亜鉛、塩化銅、塩化鉄、などを挙
げることが出来る。これらの中でも、安定性の高い強酸
性のプロトン酸が好ましく、特にトリフルオロメタンス
ルホン酸、硫酸、メタンスルホン酸、過塩素酸、テトラ
フルオロほう酸等が好ましく用いられる。
【0022】また、無水トリフルオロメタン硫酸、無水
トリフルオロ酢酸、無水酢酸、無水硫酸、五酸化リン、
などの酸無水物を添加するとスルホニオ化反応の効率が
高く、特に無水トリフルオロメタン硫酸、五酸化リンな
どが好ましい。酸化剤としては、前記ポリスルフィド化
合物を酸化することの出来る能力を有し、かつ、スルホ
ニオ化反応の進行を妨害しないものであれば特に制限は
ない。
【0023】この反応に適用可能な酸化剤の具体例とし
ては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベン
ゾキノン、クロラニル、ブロマニル、1,4−ジフェノ
キノン、テトラメチルジフェノキノン、テトラシアノキ
ノジメタン、テトラシアノエチレン、塩化チオニル、等
の有機酸化剤、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、過
酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、四酢酸鉛、三酢酸タ
リウム、セリウム(IV)、アセチルアセトナト、五酸
化バナジウム等を挙げることが出来る。これらの中で
も、特に、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−
ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、五酸化バナジ
ウムが好ましい。
【0024】なお、これらの酸化剤は1種単独で用いて
もよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。上記の
酸化剤量を[A](モル)とすると、その量は、使用す
る反応原料、溶媒の種類、酸化剤の種類等により異なる
ので一様に規定することはできないが、通常、前記ポリ
スルフィド化合物の添加量を[B](モル)としたと
き、[A]/[B](モル比)が0.1〜50となる
量、好ましくは0.5〜5となる量である。[B]のモ
ル数は、前記ポリスルフィド化合物における同一構造を
有する繰り返し単位のモル数として計算できる。
【0025】この値が0.5未満であると、反応速度が
遅くなり、スルホニオ化率の低下も見られる。一方、5
0を超えるとそれに見合った効果が見られなくなる。前
記ポリスルフィド化合物は、酸存在下、酸素酸化触媒を
添加して撹拌することで、酸素酸化反応により前記ポリ
ヘテロアセン化合物を生成する。酸化触媒としては、前
記ポリスルフィド化合物を酸化することの出来る能力を
有し、かつ、スルホニオ化反応の進行を阻害しないもの
であれば特に制限はない。配位子、対イオンに制限はな
く、なかでも、アンモニウム、アセチルアセトン、ポル
フィリンなどの金属錯体が好ましい。
【0026】これら金属錯体化合物を例示すると、例え
ば、硝酸セリウムアンモニウムなどのセリウム化合物、
バナジルアセチルアセナト、バナジルテトラフェニルポ
ルフィリン、バナジウムアセチルアセナトなどのバナジ
ウム化合物、酸化モリブデンアセチルアセナト、酸化モ
リブデンなどの酸化モリブデン化合物などである。これ
らの中でも、硝酸セリウムアンモニウム、バナジルアセ
チルアセナト、バナジウムアセチルアセナト、バナジウ
ムテトラフェニルポルフィリンなどが好ましい。
【0027】また、これら酸化触媒は、1種単独で用い
てもよいし、2種以上混合もしくは複合するなどの組み
合わせで用いてもよい。この酸化触媒を使用する場合、
例えば窒素雰囲気下等の酸化の全く存在しない系では進
行せず、酸素の存在が必要である。従って、通常酸素分
圧が高いほど好ましいが、大気下であれば十分であり、
さらに、減圧下であってもある程度酸素が存在すれば反
応は進行する。
【0028】酸化触媒を[C]とすると[C]の量は、
前記[B]との比、[C]/[B](モル比)が0.0
001〜0.1となる量とする。[B]のモル比は前記
のとおりである。この値が0.0001未満であると反
応速度が遅くなる。一方、5を超えると、触媒のコスト
が高くなり経済上不利になる。前記ポリスルフィド化合
物のスルホニオ化は、電解酸化によっても可能である。
支持電解質としては、公知の有機酸、無機酸またはこれ
らの混合物もしくは複合体である。具体例を挙げれば、
例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テト
ラフルオロホウ酸リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモ
ニウム、臭化リチウム、テトラエチルアンモニウムヘキ
サクロロアンチモネート、ヘキサフルオリン酸塩など、
特に過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウ
ム、テトラブチルアンモニウム塩なとが好ましく用いら
れる。
【0029】これらの支持電解質は、1種単独で用いて
もよい、2種以上を混合もしくは複合して組み合わせて
もよい。また、溶媒に可溶で生成する前記ポリヘテロア
セン化合物と反応しないものであればよい。電解方法に
は制限はなく、定電位、定電流のどちらでもよく、前記
ポリスルフィド化合物を酸化できればよい。
【0030】反応に添加する酸としては、前記の酸が使
用でき、例えば、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、リ
ン酸、ヘキサフルオロリン酸、塩酸、硫酸、臭化水素、
ヨウ化水素などが挙げられる。使用する電極については
特に制限はなく、白金、金、銀、炭素などのもので行
い、特に白金が好ましく用いられる。電極の形状につい
ては、棒状、板状、網状など、特に制限はない。電極の
使用形態は特に制限はなく、一枚で用いてもよく、何枚
重ねて用いてもよい。必要に応じて、補強剤を用いても
よい。
【0031】使用する参照電極については特に制限はな
く、使用しなくてもよいが、Ag/AgCl、飽和カロ
メル電極などを使用する場合もある。本反応は、溶媒の
非存在下においても行い得るが、溶媒の存在下でも行う
ことができる。この溶媒としては、例えば、ペンタン、
ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、などの炭化
水素溶媒;ジクロロメタン。クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロ
フルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1、2,2
−トリフルオロエタン、などのハロゲン化炭化水素溶
媒;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニ
トロベンゼン、などの含窒素溶媒が挙げられる。このほ
か一般にフリーデルクラフツ反応やカチオン重合などに
使用される溶媒も適宜に選択して好適に使用できる。
【0032】なお、これらの溶媒は、1種単独で用いて
も2種以上混合して用いてもよい。反応させるモノマー
が液体であれば溶媒無しで直接反応させてもよい。反応
時間は用いる反応原料の種類やその使用割合、反応温
度、溶媒の条件によって著しく異なるが、通常、0.5
〜100時間であり、好ましくは1〜50時間である。
【0033】反応方法としては、特に制限はなく、連続
式、半連続式、回分式の電解層を用いて行う。回分式を
用いる場合には、反応系を撹拌して行うことが望まし
い。本反応系を構成するに当たって、ポリスルホキシド
化合物、ポリスルフィド化合物と、酸、酸化剤、触媒や
溶剤、などの配合の順序、方法については特に制限はな
く、それぞれを同時にあるいは種々の順序、様式で段階
的に配合することも可能である。
【0034】反応の温度は、−50℃〜150℃であ
り、好ましくは0℃〜50℃である。反応圧力は特に制
限はなく、必要に応じて加圧・減圧してもよい。通常、
常圧もしくは反応系の自圧で好適に行うことが出来る。
もっとも、必要により、スルホニオ化反応に支障のない
希釈ガスなどとの混合ガスを用いて加圧下に行うことも
できる。
【0035】上記スルホニオ化反応に関して通常アニオ
ンY- は反応の完了時点で重合溶媒、あるいは支持電解
質の対アニオンであるが、公知のアニオン交換反応を利
用して、アニオンY- が重合溶媒の対アニオン以外であ
るその他のポリヘテロアセン化合物を合成できる。この
発明の前記一般式[1]のポリヘテロアセン化合物は、
公知の反応を利用してR1 を脱離することにより、前記
一般式[2]のポリヘテロアセン化合物へ変換すること
ができる。すなわち、前記ポリヘテロアセン化合物を還
元剤、あるいは求核性試薬などの脱アルキル化試薬と反
応させることによりR1 が脱離する。
【0036】脱離反応に用いる還元剤の具体例を挙げる
と、例えば、アスコルビン酸、ナトリウム、水素化ナト
リウム、水素化リチウムアルミニウム、亜二チオン酸ナ
トリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。また求核性試
薬としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリ
ウム、などのアルカリ金属塩;塩化アンモニウム、臭化
アンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テ
トラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウ
ム、などのアンモニウム塩;アンモニア、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、アニリン、メチルアニリン、
ジメチルアニリン、ピリジン、メチルピリジン、キノリ
ン、などのアミン化合物が挙げられ、これらの中でもピ
リジン、キノリンが最も好ましく用いられる。また電気
的に還元を行っても良い。
【0037】還元剤、あるいは求核性試薬は脱離させる
1 に対して等モル以上必要である。等モル以下の場合
には、脱離反応は不完全となる。この脱離反応は、溶媒
の非存在下においても行い得るが、溶媒の存在下でも行
うことができる。この溶媒としては、例えば、ジクロロ
メタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、
テトラクロロエタン、トリクロロフルオロメタン、など
のハロゲン化炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロ
ベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレ
ン、などのハロゲン化芳香族溶媒が挙げられる。
【0038】なお、これらの溶媒は、1種単独で用いて
も2種以上混合して用いてもよい。脱離試薬が液体であ
れば溶媒無しで直接反応させてもよい。反応温度は使用
する脱離試薬によって一様ではないが、通常、0〜25
0℃であり、好ましくは100〜200℃である。反応
の圧力および酸素分圧などは特に制限はなく、通常、常
圧もしくは反応系の自圧で好適に行うことができる。
【0039】反応時間は、脱離試薬の種類や濃度、反応
温度、圧力、溶媒等の条件によって著しく異なるが、通
常0.5−100時間であり、好ましくは2−20時間
である。この脱離反応を構成するにあたって、前記ポリ
ヘテロアセン化合物、脱離試薬、溶媒の配合の順序、方
法については特に制限はなく、それぞれを同時にあるい
は種々の順序、様式で段階的に配合することも可能であ
る。
【0040】反応方法としては、特に制限はなく、連続
式、半連続式、回分式の電解層を用いて行う。回分式を
用いる場合には、反応系を撹拌して行うことが望まし
い。以上のような脱離反応によって、溶液中に、あるい
は沈澱物として目的とするポリヘテロアセン化合物を得
ることができる。この場合、生成ポリヘテロアセン化合
物の重合度は、出発物質の前記ポリヘテロアセン化合物
の重合度と同じである。
【0041】以下、この発明を実施例により更に詳しく
説明する。なお、本発明は実施例に限定されないことは
いうまでもないことである。
【0042】
【実施例】(実施例1)ポリヘテロアセン1の合成 10mlのトリフルオロメタンスルホン酸中にポリ(オキ
シ−2メチル−6−メチルスルフィニル−1,4−フェ
ニレン)0.20gを溶解し、室温下で10時間撹拌し
た。反応溶液をジエチルエーテル中に滴下すると、黒色
の沈澱が得られた。精製のため沈澱を濾過後、石油エー
テル、ジエチルエーテルで洗浄し乾燥することにより、
ポリヘテロアセン1を収率100%で得た。反応式と分
析結果を以下に示す。
【0043】
【化9】
【0044】
【表1】
【0045】(実施例2)ポリヘテロアセン2の合成 10mlの70%過塩素酸水溶液にポリ(イミノ−2−メ
チルスルフィニル−1,4−フェニレン)0.20gを
溶解し、室温下で24時間撹拌した。反応溶液をジエチ
ルエーテル中に滴下すると、黒色の沈澱が得られた。精
製のため沈澱を濾過後、石油エーテル、ジエチルエーテ
ルで洗浄し乾燥することにより、ポリヘテロアセン2を
収率100%で得た。分析結果を以下に示す。
【0046】
【化10】
【0047】
【表2】
【0048】(実施例3)ポリヘテロアセン3の合成 10mlのトリフルオロメタンスルホン酸中に五酸化リン
1.00g、ポリ(チオ−2メチル−6−プロピルスル
フィニル−1,4−フェニレン)0.20gを溶解し、
30℃で40時間撹拌した。反応溶液をジエチルエーテ
ル中に滴下すると、黒色の沈澱が得られた。精製のため
沈澱を濾過後、石油エーテル、ジエチルエーテルで洗浄
し乾燥することにより、ポリヘテロアセン3を収率98
%で得た。分析結果を以下に示す。
【0049】
【化11】
【0050】
【表3】
【0051】(実施例4)ポリヘテロアセン4の合成 実施例2で得られたポリヘテロアセン2、0.15gに
ピリジン20mlを加え、100℃で10時間撹拌した。
反応溶液を5%塩酸酸性メタノール中に滴下すると、黒
色の沈澱が得られた。精製のため沈澱を濾過後、精製
水、メタノールで洗浄し乾燥することにより、ポリヘテ
ロアセン4を収率100%で得た。ポリヘテロアセン4
は、化学的、あるいは電気化学的な酸化反応により可逆
的にポリヘテロアセン5へ変換できる。反応式とポリヘ
テロアセン4の分析結果を以下に示す。
【0052】
【化12】
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】この出願の発明のポリヘテロアセン化合
物は、耐熱性、化学安定性、溶解性に優れ、高い電子伝
導性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[1] 【化1】 (R1 、R2 およびR3 の各々は、同一または別異に、
    水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、
    あるいはアリールオキシ基を示し、アルキル基、アルコ
    キシ基、並びにアリールオキシ基の各々は、ヘテロ原子
    を含むものであってもよい。Xは、エーテル結合(−O
    −)、チオエーテル結合(−S−)、あるいはイミノ結
    合(−NH−、または−N=)、もしくはメチレン基
    (−CH2 −)を示す。Y- はアニオンである。nは、
    2以上の整数で重合度を示す。)で表されることを特徴
    とするポリヘテロアセン化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1の化合物の製造法であって、一
    般式[2] 【化2】 (R1 、R2 およびR3 の各々は、同一または別異に、
    水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、
    あるいはアリールオキシ基を示し、アルキル基、アルコ
    キシ基、並びにアリールオキシ基の各々は、ヘテロ原子
    を含むものであってもよい。Xは、エーテル結合(−O
    −)、チオエーテル結合(−S−)、あるいはイミノ結
    合(−NH−、または−N=)、もしくはメチレン基
    (−CH2 −)を示す。nは、2以上の整数で重合度を
    示す。)で表されるポリスルホキシド化合物をスルホニ
    オ化することを特徴とするポリヘテロアセン化合物の製
    造法。
  3. 【請求項3】 請求項1の化合物の製造法であって、一
    般式[3] 【化3】 (R1 、R2 およびR3 の各々は、同一または別異に、
    水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、
    あるいはアリールオキシ基を示し、アルキル基、アルコ
    キシ基、並びにアリールオキシ基の各々は、ヘテロ原子
    を含むものであってもよい。Xは、エーテル結合(−O
    −)、チオエーテル結合(−S−)、あるいはイミノ結
    合(−NH−、または−N=)、もしくはメチレン基
    (−CH2 −)を示す。nは、2以上の整数で重合度を
    示す。)で表されるポリスルフィド化合物をスルホニオ
    化することを特徴とするポリヘテロアセン化合物の製造
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1の化合物を、還元剤、求核性試
    剤、もしくは電解還元することを特徴とする一般式
    [4] 【化4】 (R2 およびR3 の各々は、同一または別異に、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、あるい
    はアリールオキシ基を示し、アルキル基、アルコキシ
    基、並びにアリールオキシ基の各々は、ヘテロ原子を含
    むものであってもよい。Xは、エーテル結合(−O
    −)、チオエーテル結合(−S−)、あるいはイミノ結
    合(−NH−、または−N=)、もしくはメチレン基
    (−CH2 −)を示す。nは、2以上の整数で重合度を
    示す。)で表されるポリヘテロアセン化合物の製造法。
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