JP3187887B2 - シールド工法における発進到達立坑の構造 - Google Patents

シールド工法における発進到達立坑の構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシールド機が発進または
到達する立坑の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シールド工法においては図5に示すよう
にA地点からB地点まで点線に示すようにトンネル(40)
を堀設する場合、A地点にはシールド機(10)を発進させ
る発進立坑(1) を設け、B地点には該シールド機(10)が
到達する到達立坑(21)を設ける。該発進立坑(1) および
該到達立坑(21)は夫々周囲をコンクリート連続壁からな
る地中壁(4,24)によって囲繞されている。
【0003】上記発進到達立坑(1,21)においては、立坑
(1,21)内側からシールド機(10)が発進または到達するた
めの窓口に当たる部分、即ち発進坑口(9) または到達坑
口(29)に当たる部分の鉄筋を切断し地中壁(4,24)を取り
壊して坑口(9,29)を開設し、シールド機(10)の発進到達
に干渉しないようにする鏡切り工が行なわれている。し
かしながら該坑口(9,29)に当たる部分の地中壁(4,24)を
取り壊すと地山側(12,32) から地下水、土砂等が立坑
(1,21)内に流入し、崩壊するのでこれを防ぐために従
来、地山側(12,32) を凍結したり(凍結工)、地盤強化
剤を注入硬化させたり(薬液注入工)して地盤を安定化
させかつ止水手段を施していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記凍結工にあ
っては地山側の地盤の安定化は計れるものの、施工日数
が長くかゝり、凍結のための費用も相当高価なものにな
る。また薬液注入工では地盤の安定化が均一でなく、信
頼性が低く、出水や地盤崩壊の危険性がある。また大口
径のシールド機の発進到達のために大口径大深度の坑口
を開設することは、立坑(1,21)の地中壁(4,24)の全体的
な構造強度にも大きく影響することになる。
【0005】更に上記鏡切り工では狭い立坑内で施工す
るために騒音、作業能率の低下、作業環境の悪化が伴
い、安全施工管理上にも問題点が多く、この様な問題点
は大深度、大口径の坑口になればますます深刻なものと
なっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
を解決するための手段として、シールド工法における発
進到達立坑(1,21)であって、周囲を地中壁(4,24)によっ
て囲繞され、シールド機(10)発進到達坑口(9,29)部分の
地中壁(4,24)は上記地中壁(4,24)の強度よりも低い強度
を有する無筋の間詰コンクリート壁(5,25)とし、該間詰
コンクリート壁(5,25)には脆性補強材(8,28)が建込まれ
ており、かつ該間詰コンクリート壁(5,25)の周囲は鉄筋
で強化されたラーメン構造を有する坑口コンクリート周
壁(7,27)で囲繞したシールド工法における発進到達立坑
(1,21)の構造を提供するものである。
【0007】
【作用】発進到達立坑(1,21)の地中壁(4,24)の発進到達
坑口(9,29)にあたる部分は上記地中壁(4,24)の強度より
も低い強度を有する無筋の間詰コンクリート壁(5,25)と
されているが、脆性補強材(8,28)が建込んであるから、
地山側(12,32) より水圧、土圧により崩壊する危険が解
消されている。またシールド機(10)の発進到達にあたっ
ては坑口(9,29)部分即ち鏡部分の間詰コンクリート壁
(5,25)を取り壊すことなく、シールド機(10)が該間詰
ンクリート壁(5,25)および脆性補強材(8,28)を切削し突
破って発進到達するのであるが、上記したように補強材
(8,28)が脆性であるからシールド機(10)の損傷は確実に
防止される。そして該坑口(9,29)部分をシールド機(10)
が突破った状態でも、該坑口(9,29)の周囲は鉄筋で強化
されたラーメン構造を有する坑口コンクリート周壁(7,2
7)で囲繞されることによって補強されているから、該坑
口(9,29)が崩壊する危険は回避される。
【0008】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。 実施例1(シールド機発進工) 図1〜図3は本発明の第1実施例に関するものである。
本実施例は地中壁に囲まれた発進立坑内からシールド機
を発進させる工法に関するものである。図において
(1) は発進立坑であり、該発進立坑(1) は図2からみる
ように周囲を鉄筋(2) を建込んだコンクリート連続壁
(3) からなる地中壁(4) によって囲繞されている。該発
進立坑(1) のシールド機(10)発進窓口である発進坑口
(9) 部分即ち鏡部分は図1に示すように上記地中壁(4)
の強度(通常240〜400kg/cm2 )よりも低い強度
(通常70〜100kg/cm2 )を有する無筋の間詰コン
クリート壁(5) とし、この部分の強度を補うために該間
詰コンクリート壁(5) の周囲は鉄筋(6) で強化されたラ
ーメン構造を有する坑口コンクリート周壁(7) で囲繞す
る。該間詰コンクリート壁(5) は発進時シールド機(10)
の前面を損傷しないよう上記したように低強度とされる
が、該間詰コンクリート壁(5) が地山側から及ぼされる
水圧や土圧によって破壊しないように内部に脆性補強材
(8) を建込む。
【0009】該補強材(8) はグラスファイバー、セラミ
ック、金属焼結体、竹、木材、プラスチック等の脆性材
料からなる。
【0010】このようにして間詰コンクリート壁(5) は
該脆性補強材(8) によって補強され、坑口が大深度に位
置しかつ大口径であっても地山側から及ぼされる水圧や
土圧に充分耐える構造となっている。
【0011】このような構成の発進坑口(9) の内側に図
1に示すようにシールド機(10)が配置されるのである
が、坑口コンクリート周壁(7) 内面には短円筒状の坑口
鋼製リング(11)が取付けられる。該鋼製リング(11)の内
面において、図3に示すように外端部側にはエントラン
スパッキング(11A) 、その内側にはエアバッグ(11B) が
取付けられ、該エアバッグ(11B) 内には外側からエアパ
イプ(11C) が連絡している。該鋼製リング(11)およびエ
アパイプ(11C) は坑口コンクリート周壁(7) を施工する
際に同時に型枠内にインサートすることによって該坑口
コンクリート周壁(7) に取付け、また該エアバッグ(11
B) はワッシャー(11E) を介してボルト(11D) によって
鋼製リング(11)に取付けられる。
【0012】該エントランスパッキング(11A) および該
エアバッグ(11B) はスチレン−ブタジエンゴム、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソ
プレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴ
ム、シリコンゴム等の合成ゴムあるいは天然ゴムを材料
とする。
【0013】上記構成において、シールド機(10)を図1
矢印方向、即ち立坑(1) の内側から外側(地山側(12))
へ向かって発進させるのであるが、この際、エアパイプ
(11C) からエアバッグ(11B) 内に空気圧を及ぼし、図3
に示すようにシールド機(10)のスキンプレート(10A) に
圧接させる。このようにしてシールド機(10)発進時の地
山側(12)からの地下水や土砂の流入を防止するのである
が、該エントランスパッキング(11A) も該シールド機(1
0)のスキンプレート(10A) に圧接しエアバッグ(11B) の
密封性を補助する。該エアバッグ(11B) の内圧は地山側
(12)からの水圧、土圧あるいはシールド機(10)のジャッ
キ圧に相当する圧力とし、通常1.5〜10kg/cm2
度とされる。
【0014】更に鋼製リング(11)内のシールド機(10)前
面空間(13)には潤滑液(14)を充填してシールド機(10)が
間詰コンクリート壁(5) および脆性補強材(8) を切削す
る際の減摩剤とすると同時に該空間(13)に該潤滑液(14)
によって内圧を及ぼし、シールド機(10)前端が間詰コン
クリート壁(5) を突破って地山側(12)に貫入する際の地
下水や地山土砂の流入を防ぐ。該潤滑液(14)は例えば粘
土、ベントナイト等を水に分散させた分散液であり、所
望なれば該潤滑液(14)にはポリアクリル酸塩、ポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、アルギン
酸塩等の潤滑性水溶性合成樹脂が添加されてもよい。
【0015】上記のようにしてシールド機(10)は図1矢
印方向に進み、坑口(9) の間詰コンクリート壁(5) を切
削し、突破って発進して地山側(12)に貫入するのである
が、グラスファイバーロープを脆性補強材(8) とした該
間詰コンクリート壁(5) の強度75kg/cm2 のものと9
5kg/cm2 のものにつき壁厚1.2mを対象として試験
を行なった所、シールド機(10)には特別な損傷は見当た
らず、壁厚2mとしても問題ないことが判明している。
【0016】実施例2(シールド機到達工法) 図4は実施例2に関するものであり、実施例1の発進立
坑(1) と同様な構造の到達立坑(21)は地中壁(24)によっ
て囲繞され、シールド機(10)到達窓口である到達坑口(2
9)の周囲は同様にラーメン構造を有する坑口コンクリー
ト周壁(27)で囲繞する。該到達坑口(29)部分の地中壁部
分、即ち鏡部分(25)は実施例1と同様に脆性補強材(28)
によって補強されている。
【0017】到達立坑(21)においては該坑口コンクリー
ト周壁(27)の内面の鋼製リング(30)を介してシールド機
(10)を収納するための鋼製受箱(30A) を取付けておき、
該鋼製受箱(30A) 内には地山側から及ぼされる水圧およ
び土圧に対抗するために土砂(30B) が充填せられる。
【0018】上記構成において、地山側(32)から図4矢
印に示すように到達坑口(29)に到達したシールド機(10)
は該鏡部分(25)を切削し、突破って鋼製受箱(30A) 内の
土砂(30B) を削りながら該鋼製受箱(30A) 内に収納され
る。その後収納状態のシールド機(10)の背面に止水剤を
注入硬化等の手段により止水処置を行なった上で鋼製受
箱(30A) を解体し、該シールド機(10)を埋設しあるいは
回収作業を行なう。
【0019】
【発明の効果】したがって本発明においては、発進到達
坑口部分の間詰コンクリート壁即ち鏡部分を脆性補強材
で補強するので、シールド機が該鏡部分に損傷されるこ
となく切削出来、シールド機発進到達に先立って地中壁
を取り壊す作業は全く必要なくなり、しかも該鏡部分は
上記脆性補強材で補強してあるから坑口が大深度に位置
し地山側から高水圧、高土圧が及ぼされる場合でも支保
工を必要とせずして崩壊の危険は全くない。更に該坑口
の周囲は鉄筋で強化されたラーメン構造を有する坑口コ
ンクリート周壁で囲繞されることによって補強されてい
るから、シールド機が突破った状態でも坑口が崩壊する
危険が回避される。このように本発明では大深度、大口
径のシールド工法にあっても安全かつ容易に作業が出来
るのである。
【0020】
【図面の簡単な説明】図1〜び図3は本発明の第1実施
例を示すものである。
【図1】シールド機発進時の説明図
【図2】発進立坑断面図
【図3】シールド部分拡大断面図
【図4】本発明の第2実施例を示すシールド機到達時の
説明図
【図5】シールド工法の説明図
【符号の説明】
1 発進立坑 4,24 地中壁7,27 坑口コンクリート周壁 8,28 脆性補強材 9 発進坑口 21 到達立坑 29 到達坑口

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シールド工法における発進到達立坑であっ
    て、周囲を地中壁によって囲繞され、シールド機発進到
    達坑口部分の地中壁は上記地中壁の強度よりも低い強度
    を有する無筋の間詰コンクリート壁とし、該間詰コンク
    リート壁には脆性補強材が建込まれており、かつ該間詰
    コンクリート壁の周囲は鉄筋で強化されたラーメン構造
    を有する坑口コンクリート周壁で囲繞したことを特徴と
    するシールド工法における発進到達立坑の構造
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